(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】制御装置、劣化推定システム、制御方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/44 20060101AFI20240130BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20240130BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240130BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240130BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H01M10/44 P
H01M10/42 P
H01M10/48 P
H02J7/00 Y
H02J7/00 303C
H02J7/04 G
(21)【出願番号】P 2019221579
(22)【出願日】2019-12-06
【審査請求日】2022-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】溝口 泰紀
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-013205(JP,A)
【文献】特開2014-025738(JP,A)
【文献】国際公開第2018/179562(WO,A1)
【文献】特開2019-168451(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R31/36-31/44
H01M10/42-10/48
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛蓄電池又は複数の鉛蓄電池を含む鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電力を用いて、他の鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールのリフレッシュ充電を行う充電制御部
と、
充放電電気量を用いて、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールの推定SOCを逐次的に算出し、
前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電流及び電圧の推移に基づいて、放電電気量又は放電時間に対する電圧の変化を示す推移曲線を導出し、
第1の電圧から第2の電圧まで前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールを放電した場合に、前記推移曲線に基づいて、放電電気量及び電圧の関係を示す放電曲線を定め、前記放電曲線に基づいて、満充電状態から電圧が終止電圧になるまで放電したときの放電電気量に相当する実力容量と、前記第1の電圧から前記終止電圧まで放電するときの放電電気量に相当する第1電気量とを導出し、前記第1の電圧から前記第2の電圧まで放電した第2電気量と前記実力容量と前記第1電気量とに基づいて、電圧が前記第2の電圧である状態でのSOCを計算し、
計算したSOCに基づいて前記推定SOCを補正するSOC補正部と
を備える制御装置。
【請求項2】
放電した場合に導出した内部抵抗又はコンダクタンスに基づいて、前記鉛蓄電池又は前鉛蓄電池モジュールの劣化の度合を推定する推定部を備える、請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記内部抵抗は、
放電終了直前の電流、電圧と、放電終了直後の電流、電圧に基づき導出した第1内部抵抗、
充電開始直前の電流、電圧と、充電開始直後の電流、電圧に基づき導出した第2内部抵抗、及び
放電した鉛蓄電池に対して交流電流、又は交流電圧を印加した場合の応答から導出した第3内部抵抗のうちのいずれかの1つ以上である、請求項
2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記推定部は、内部抵抗又はコンダクタンスを入力した場合に、劣化の度合を出力する学習モデルに、対象の鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールの内部抵抗又はコンダクタンスを入力して、該鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールの劣化の度合を推定する、請求項
2又は
3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記推定部は、鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電流及び電圧を入力した場合に、劣化の度合を出力する学習モデルに、取得した電流及び電圧を入力して、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールの劣化の度合を推定する、請求項
2又は
3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記推定部が推定した劣化の度合に応じて、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールの負荷を調整する負荷調整部を備える、請求項
2から
5までのいずれか1項に記載の制御装置。
【請求項7】
請求項
2から
6までのいずれか1項に記載の制御装置と、
電流、電
圧、又は前記内部抵抗を前記制御装置に送信する端末と
を備え、
前記制御装置は、前記推定部により推定した劣化の度合を端末に送信する、劣化推定システム。
【請求項8】
鉛蓄電池又は複数の鉛蓄電池を含む鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電力を用いて、他の鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールのリフレッシュ充電を行
い、
充放電電気量を用いて、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールの推定SOCを逐次的に算出し、
前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電流及び電圧の推移に基づいて、放電電気量又は放電時間に対する電圧の変化を示す推移曲線を導出し、
第1の電圧から第2の電圧まで前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールを放電した場合に、前記推移曲線に基づいて、放電電気量及び電圧の関係を示す放電曲線を定め、前記放電曲線に基づいて、満充電状態から電圧が終止電圧になるまで放電したときの放電電気量に相当する実力容量と、前記第1の電圧から前記終止電圧まで放電するときの放電電気量に相当する第1電気量とを導出し、前記第1の電圧から前記第2の電圧まで放電した第2電気量と前記実力容量と前記第1電気量とに基づいて、電圧が前記第2の電圧である状態でのSOCを計算し、
計算したSOCに基づいて前記推定SOCを補正する、制御方法。
【請求項9】
鉛蓄電池又は複数の鉛蓄電池を含む鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電力を用いて、他の鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールのリフレッシュ充電を行
い、
充放電電気量を用いて、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールの推定SOCを逐次的に算出し、
前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電流及び電圧の推移に基づいて、放電電気量又は放電時間に対する電圧の変化を示す推移曲線を導出し、
第1の電圧から第2の電圧まで前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールを放電した場合に、前記推移曲線に基づいて、放電電気量及び電圧の関係を示す放電曲線を定め、前記放電曲線に基づいて、満充電状態から電圧が終止電圧になるまで放電したときの放電電気量に相当する実力容量と、前記第1の電圧から前記終止電圧まで放電するときの放電電気量に相当する第1電気量とを導出し、前記第1の電圧から前記第2の電圧まで放電した第2電気量と前記実力容量と前記第1電気量とに基づいて、電圧が前記第2の電圧である状態でのSOCを計算し、
計算したSOCに基づいて前記推定SOCを補正する
処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールの充電を制御する制御装置、劣化推定システム、制御方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池は、車載用、産業用の他、様々な用途で使用されている。例えば車載用の鉛蓄電池等の二次電池(蓄電素子)は、例えば自動車、バイク、フォークリフト、ゴルフカー等の車両等の移動体に搭載され、エンジン始動時におけるスタータモータへの電力供給源、及びライト等の各種電装品への電力供給源として使用されている。
産業用の鉛蓄電池は、非常用電源や無停電電源装置(UPS:Uninterruptible Power Supply)への電力供給源として使用されている。太陽光、風力等の電力平準化に用いられる電力貯蔵システム等では、多数の鉛蓄電池を並列、直列に接続し、大規模な蓄電システムを構築する。
【0003】
電力平準化に用いられる鉛蓄電池は、余剰電力を蓄電できるように、部分充電状態で運用されることが多い。鉛蓄電池を部分充電状態で使用し続けると、硫酸鉛が粗大化し、充放電されにくくなる、サルフェーションと呼ばれる劣化を引き起こす。そのため、鉛蓄電池を部分充電状態で使用する場合、数日~数週間毎に満充電になるまで充電(リフレッシュ充電)をすることが多い(例えば特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
リフレッシュ充電には、外部の電力が必要になる場合も多く、コスト、及び利便性の観点から問題がある。
【0006】
本発明は、外部の電力を必要とせずにリフレッシュ充電を行う制御装置、劣化推定システム、制御方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る制御装置は、鉛蓄電池又は複数の鉛蓄電池を含む鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電力を用いて、他の鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールのリフレッシュ充電を行う充電制御部と、充放電電気量を用いて、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールの推定SOCを逐次的に算出し、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電流及び電圧の推移に基づいて、放電電気量又は放電時間に対する電圧の変化を示す推移曲線を導出し、第1の電圧から第2の電圧まで前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールを放電した場合に、前記推移曲線に基づいて、放電電気量及び電圧の関係を示す放電曲線を定め、前記放電曲線に基づいて、満充電状態から電圧が終止電圧になるまで放電したときの放電電気量に相当する実力容量と、前記第1の電圧から前記終止電圧まで放電するときの放電電気量に相当する第1電気量とを導出し、前記第1の電圧から前記第2の電圧まで放電した第2電気量と前記実力容量と前記第1電気量とに基づいて、電圧が前記第2の電圧である状態でのSOCを計算し、計算したSOCに基づいて前記推定SOCを補正するSOC補正部とを備える。
【0008】
本発明の一態様に係る劣化推定システムは、上述の制御装置と、電流、電圧、又は内部抵抗を前記制御装置に送信する端末とを備え、前記制御装置は、前記推定部により推定した劣化の度合を端末に送信する。
【0009】
本発明の一態様に係る制御方法は、鉛蓄電池又は複数の鉛蓄電池を含む鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電力を用いて、他の鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールのリフレッシュ充電を行い、充放電電気量を用いて、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールの推定SOCを逐次的に算出し、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電流及び電圧の推移に基づいて、放電電気量又は放電時間に対する電圧の変化を示す推移曲線を導出し、第1の電圧から第2の電圧まで前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールを放電した場合に、前記推移曲線に基づいて、放電電気量及び電圧の関係を示す放電曲線を定め、前記放電曲線に基づいて、満充電状態から電圧が終止電圧になるまで放電したときの放電電気量に相当する実力容量と、前記第1の電圧から前記終止電圧まで放電するときの放電電気量に相当する第1電気量とを導出し、前記第1の電圧から前記第2の電圧まで放電した第2電気量と前記実力容量と前記第1電気量とに基づいて、電圧が前記第2の電圧である状態でのSOCを計算し、計算したSOCに基づいて前記推定SOCを補正する。
【0010】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、鉛蓄電池又は複数の鉛蓄電池を含む鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電力を用いて、他の鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールのリフレッシュ充電を行い、充放電電気量を用いて、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールの推定SOCを逐次的に算出し、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電流及び電圧の推移に基づいて、放電電気量又は放電時間に対する電圧の変化を示す推移曲線を導出し、第1の電圧から第2の電圧まで前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールを放電した場合に、前記推移曲線に基づいて、放電電気量及び電圧の関係を示す放電曲線を定め、前記放電曲線に基づいて、満充電状態から電圧が終止電圧になるまで放電したときの放電電気量に相当する実力容量と、前記第1の電圧から前記終止電圧まで放電するときの放電電気量に相当する第1電気量とを導出し、前記第1の電圧から前記第2の電圧まで放電した第2電気量と前記実力容量と前記第1電気量とに基づいて、電圧が前記第2の電圧である状態でのSOCを計算し、計算したSOCに基づいて前記推定SOCを補正する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、外部からの電力を必要とせずにリフレッシュ充電を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態1に係る劣化推定システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】制御部が電池に調整放電を行って他の電池にリフレッシュ充電を行い、SOC(State Of Charge)の補正を行う場合の処理の手順を示すフローチャートである。
【
図5】制御部が電池に調整放電を行ってリフレッシュ充電を行い、SOCの補正、劣化度の推定、及び負荷の調整を行う場合の処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】容量が低下した電池1~電池6を推定SOCが30%になるまで深放電した場合の各電池の内部抵抗を調べた結果を示すグラフである。
【
図7】容量が低下した電池1~電池6の満充電時の内部抵抗を調べた結果を示すグラフである。
【
図8】実施形態2に係る劣化推定システムの構成を示すブロック図である。
【
図10】制御部による学習モデルの生成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図11】制御部が電池に調整放電を行ってリフレッシュ充電を行い、電池の劣化度合を推定する処理の手順を示すフローチャートである。
【
図13】制御部が電池に調整放電を行ってリフレッシュ充電を行い、劣化度合を推定する処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施形態の概要)
実施形態に係る制御装置は、鉛蓄電池又は複数の鉛蓄電池を含む鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電力を用いて、他の鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールのリフレッシュ充電を行う充電制御部を備える。
【0014】
上記構成によれば、鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールを放電する際に出力される電力を用いて、他の鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールのリフレッシュ充電を行う。外部からの電力を必要とせずにリフレッシュ充電を行うことができる。リフレッシュ充電による電力コストを削減できるとともに、電力貯蔵システムが電力系統から独立していても、リフレッシュ充電と、放電時の電圧の推移等に基づく、SOCの補正又は劣化状態の推定というメンテナンスを同時に行うことが可能になる。
制御装置は、電力貯蔵システム等に備える鉛蓄電池の充放電を制御する電池制御装置であってもよいし、電池制御装置を遠隔操作により制御するものであってもよい。
【0015】
上述の制御装置において、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電流、及び電圧推移から導出した残存容量に基づいて、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールのSOCの推定値を補正するSOC補正部を備えてもよい。
【0016】
ここで、SOCとは、満充電容量Cfullに対する残存容量Cr を百分率で表したものであり、下記の式により算出される。
SOC=Cr /Cfull×100[%]
【0017】
上記構成によれば、放電した場合の電流、及び電圧の経時的推移に基づいて、後述のようにして残存容量を求める。電流積算法等に基づいてSOCを推定した場合、充電時の副反応や自己放電によるロスがあるので、推定SOCに誤差が生じる。電流センサの検出誤差等により推定の誤差が蓄積されることもある。上述の履歴により導出した残存容量に基づくSOC(以下、実測SOCという)により推定SOCを補正する。例えば、推定SOCを実測SOCに置き換える。以後は、置き換えた実測SOCを基準にして、例えば電流積算法に基づきSOCを推定する。また、推定SOCと実測SOCとの平均値を、更新のSOCとしてもよい。
【0018】
上述の制御装置において、放電した場合に導出した内部抵抗又はコンダクタンスに基づいて、前記鉛蓄電池又は前鉛蓄電池モジュールの劣化の度合を推定する推定部を備えてもよい。
【0019】
正極軟化が進行した場合、正極電極材料を構成する活物質粒子同士の結合が弱くなり、正極電極材料の抵抗が増大すると考えられている。しかし、満充電状態、即ち活物質のほとんど全てが導電性のPbO2 である場合、内部抵抗の増加量は大きくなく、電池全体の内部抵抗に占める、正極軟化に起因する内部抵抗の割合は非常に小さい。寿命末期において、電池全体の内部抵抗は、正極集電体の腐食状態、減液等によって決まるが、例えば集電体腐食は軽微であるが、正極軟化が進行したような場合の電池の残寿命は正確に求めることができない。電池を深放電した場合、軟化により正極内の活物質粒子同士の結合が弱くなったところに、さらに絶縁性のPbSO4 が生じるため、正極電極材料の抵抗は著しく増大する。即ち、深放電状態では、正極軟化の進行の度合に従って、電池内部抵抗が増大する。集電体の腐食等による抵抗増大は、放電状態に関わらず、電池の内部抵抗に影響する。
【0020】
本発明者は、電力貯蔵システム等のように、正極軟化により寿命となる用途で鉛蓄電池を使用した場合においても、深放電を行った場合の内部抵抗又はコンダクタンスに基づいて、劣化の度合を良好に推定できることを見出した(
図6、
図7参照)。
上記構成によれば、リフレッシュ充電を行うために放電した場合の内部抵抗に基づいて、正極軟化、集電体腐食、減液等の多くの劣化モードを加味した鉛蓄電池の劣化状態の情報を得ることができ、良好に劣化の度合を推定することができる。
【0021】
放電は、SOC(推定SOC)0%から40%の範囲内、即ち40%以下に到達するまで、又は、それに対応する電圧に到達するまで行うのが好ましい。40%を超えた場合、正極軟化による内部抵抗の増加量が小さく、精度良く劣化を検知できない。SOCは40%であるのがより好ましく、30%であるのがさらに好ましい。
【0022】
上述の制御装置において、前記内部抵抗は、放電終了直前の電流、電圧と、放電終了直後の電流、電圧に基づき導出した第1内部抵抗、充電開始直前の電流、電圧と、充電開始直後の電流、電圧に基づき導出した第2内部抵抗、及び放電した鉛蓄電池に対して交流電流、又は交流電圧を印加した場合の応答から導出した第3内部抵抗のうちのいずれかの1つ以上であってもよい。
【0023】
上記構成によれば、精度良く内部抵抗を導出できる。
第1内部抵抗Rは、放電後に休止する場合において、下記の式(1)により導出される。
R=ΔV/ΔI=(V2 -V1 )/(I2 -I1 )・・・式(1)
ここで、V1 :放電終了直前の電圧、I1 :放電終了直前の電流
V2 :放電終了直後(休止開始時)の電圧、I2 :放電終了直後の電流
【0024】
第2内部抵抗Rは、休止後に充電する場合において、下記の式(2)により導出される。
R=ΔV/ΔI=(V4 -V3 )/(I4 -I3 )・・・式(2)
ここで、V3 :充電開始直前(休止終了時)の電圧、I3 :充電開始直前の電流
V4 :充電開始直後の電圧、I4 :充電開始直後の電流
【0025】
放電後に休止なしで充電する場合においては、
放電終了直後=充電開始時
放電終了時=充電開始直前であるので、第1内部抵抗又は第2内部抵抗と同様の式により算出される。即ち、この場合の内部抵抗Rは、下記の式(3)により導出される。
R=ΔV/ΔI=(V2 -V1 )/(I2 -I1 )・・・式(3)
ここで、V1 :放電終了時(充電開始直前)の電圧、I1 :放電終了時の電流
V2 :放電終了直後(充電開始時)の電圧、I2 :放電終了直後の電流
【0026】
第3内部抵抗は、例えば「JIS C 8715-1」に準じて算出される。
所定周波数(例えば1Hz~1MHzの間の周波数)の交流電流の実効値Iaを単電池に印加したときの交流電圧の実効値Uaを所定時間(例えば1秒から5秒までの間)測定する。又は所定周波数(例えば1Hz~1MHzの間の周波数)の交流電圧の実効値Uaを単電池に印加したときの交流電流の実効値Iaを、所定時間(例えば1秒から5秒までの間)測定する。
交流内部抵抗Racは、次の式によって求める。
Rac=Ua /Ia
ここで、Rac:交流内部抵抗(Ω)、Ua :交流電圧の実効値(V)、Ia :交流電流の実効値(A)
全ての電圧測定は,通電に使用する接点から独立した状態の端子を使用する。
交流電流で測定する場合、電流印加で重畳する交流ピーク電圧は20mV未満が望ましい。
この方法はインピーダンスを測定するが、その実数成分は、規定する周波数においては、内部抵抗にほぼ等しい。
【0027】
内部抵抗は、上述のように充放電データから導出した直流抵抗、交流インピーダンス以外にも、「JIS C 8704-1」に記載されているように直流電流を使って測定したものでもよいし、パルスインピーダンスでもよい。
【0028】
バッテリーテスタ等により測定され、抵抗の逆数であるコンダクタンスを用いて、劣化の度合を推定することもできる。
【0029】
上述の制御装置において、前記推定部は、内部抵抗又はコンダクタンスと、劣化の度合を示すラベルデータとを教師データに用い、内部抵抗又はコンダクタンスを入力した場合に、劣化の度合を出力する学習モデルに、対象の鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールの内部抵抗又はコンダクタンスを入力して、該鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールの劣化の度合を推定してもよい。
【0030】
上記構成によれば、容易に、精度良く劣化の度合を推定できる。
【0031】
上述の制御装置において、前記推定部は、鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電流及び電圧を入力した場合に、劣化の度合を出力する学習モデルに、取得した電流及び電圧を入力して、前記鉛蓄電池又は前記鉛蓄電池モジュールの劣化の度合を推定してもよい。
【0032】
上記構成によれば、内部抵抗を導出せずに、劣化の度合を推定できる。
【0033】
上述の制御装置において、前記推定部が推定した劣化の度合に応じて、各鉛蓄電池又は各鉛蓄電池モジュールの負荷を調整する負荷調整部を備えてもよい。
【0034】
鉛蓄電池の設置場所の温度や鉛蓄電池毎の性能ばらつき等に起因して、鉛蓄電池の劣化の進行に差異が生じることがある。鉛蓄電池が劣化する都度、一部だけ交換する必要があり、メンテナンスが煩雑であった。正極軟化が進行した場合、従来の満充電状態の内部抵抗に基づく診断では、鉛蓄電池の劣化状態を正しく推定できないため、使用限界を超えた一部の鉛蓄電池がシステムに接続された状態で使用される虞もあった。
【0035】
上記構成によれば、リフレッシュ充電を行うために放電した場合に導出した内部抵抗を用いて推定した劣化の度合に基づき、劣化の早い鉛蓄電池の負荷を下げ、劣化の遅い鉛蓄電池の負荷を上げるように制御する。電力貯蔵システム全体での鉛蓄電池の劣化速度を均一に保持し、鉛蓄電池交換の回数を削減するとともに、一部の鉛蓄電池が限界を超えて使用されるリスクを低減することができる。同様に、鉛蓄電池モジュールについても負荷を調整することができる。
【0036】
実施形態に係る劣化推定システムは、上述の制御装置と、電流、電圧、又は前記内部抵抗を前記制御装置に送信する端末とを備え、前記制御装置は、前記推定部により推定した劣化の度合を端末に送信する。
【0037】
上記構成によれば、端末が送信した電流、電圧、又は内部抵抗若しくはコンダクタンスに基づいて、制御装置が劣化の度合を推定し、推定結果を鉛蓄電池の使用者に報知できる。
【0038】
実施形態に係る制御方法は、鉛蓄電池又は複数の鉛蓄電池を含む鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電力を用いて、他の鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールのリフレッシュ充電を行う。
【0039】
上記構成によれば、鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールを放電する際に出力される電力を用いて、他の鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールのリフレッシュ充電を行う。外部からの電力を必要とせずにリフレッシュ充電を行うことができる。リフレッシュ充電による電力コストを削減できるとともに、電力貯蔵システムが電力系統から独立していても、リフレッシュ充電と、放電時の電圧の推移等に基づく、SOCの補正又は劣化状態の推定というメンテナンスを同時に行うことが可能になる。
【0040】
実施形態に係るコンピュータプログラムは、鉛蓄電池又は複数の鉛蓄電池を含む鉛蓄電池モジュールを放電した場合の電力を用いて、他の鉛蓄電池又は鉛蓄電池モジュールのリフレッシュ充電を行う処理をコンピュータに実行させる。
【0041】
上記構成によれば、外部からの電力を必要とせずにリフレッシュ充電を行うことができる。リフレッシュ充電による電力コストを削減できるとともに、電力貯蔵システムが電力系統から独立していても、リフレッシュ充電と、SOCの補正又は劣化状態の推定というメンテナンスを同時に行うことが可能になる。
【0042】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る劣化推定システム10の構成の一例を示すブロック図である。劣化推定システム10においては、電力貯蔵システム20の電池制御装置2がインターネット等のネットワークNを介して、制御装置1に接続されている。電池制御装置2は、鉛蓄電池(以下、電池という)3、鉛蓄電池モジュール(以下、電池モジュールという)4の充放電を制御する。制御装置1は電池制御装置2により、電池3又は電池モジュール4の後述する調整放電及びリフレッシュ充電を制御する。制御装置1はまた、電池3又は電池モジュール4の推定SOCを補正し、劣化を推定する。電池3は、電槽と、正極端子と、負極端子と、複数の極板群とを備える。
図1においては、電池3を複数直列に接続した電池モジュール4を1つ有する場合につき説明しているが、これに限定されず、電池モジュールは複数備えてもよい。複数の電池モジュールは直列に接続してもよいし、並列に接続してもよい。
【0043】
以下、制御装置1が、他の電池3のリフレッシュ充電を行うための電池3の調整放電を制御し、推定SOCを補正し、劣化の度合を推定する場合について説明する。制御装置1は、同様にして、電池モジュール4の調整放電及びリフレッシュ充電を制御し、推定SOCを補正し、劣化の度合を推定することができる。
制御装置1は、電池制御装置2から電池3の調整放電の電流、及び電圧の推移(経時的推移)等の履歴情報を取得して、電池3の推定SOCを補正し、電池3の劣化の度合を判定し、得られた結果を電池制御装置2へ送信する。
【0044】
制御装置1は、装置全体を制御する制御部11、主記憶部12、通信部13、補助記憶部14、及び計時部15を備える。制御装置1は、1又は複数のサーバで構成することができる。制御装置1は複数台で分散処理する他、仮想マシンを用いてもよい。
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等で構成することができる。制御部11はGPU(Graphics Processing Unit)を含んで構成してもよい。また、量子コンピュータを用いてもよい。
【0045】
主記憶部12は、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の一時記憶領域であり、制御部11が演算処理を実行するために必要なデータを一時的に記憶する。
【0046】
通信部13は、ネットワークNを介して、電池制御装置2との間で通信を行う機能を有し、所要の情報の送受信を行うことができる。具体的には、通信部13は、電池制御装置2が送信した前記履歴情報を受信する。通信部13は、電池3の劣化の判定結果を電池制御装置2へ送信する。
【0047】
補助記憶部14は大容量メモリ、ハードディスク等であり、制御部11が処理を実行するために必要なプログラム、調整放電の処理を行うプログラム141と、劣化履歴DB142、使用履歴DB143、及び関係DB144を記憶している。劣化履歴DB142は、他のDBサーバに記憶してもよい。
【0048】
表1に、劣化履歴DB142に記憶されているテーブルの一例を示す。
【0049】
【0050】
劣化履歴DB142は、複数の到達した推定SOC毎に、No.列、第1内部抵抗列,第2内部抵抗列,第3内部抵抗列の内部抵抗列、及び劣化度列を記憶している。No.列は、複数の異なる電池3につき、また同一の電池3の異なるタイミングにおいて、電池3の劣化の判定を行った場合の行No.を記憶している。内部抵抗列は、上述のようにして導出した第1内部抵抗、第2内部抵抗、第3内部抵抗を記憶している。内部抵抗は、初期の電池3の内部抵抗を100%とした場合の割合で示す。内部抵抗列に、第1内部抵抗、第2内部抵抗、及び第3内部抵抗の全てを記憶する場合に限定されない。少なくとも1つ以上を記憶する。また、上述の他の内部抵抗を記憶してもよい。
さらに、内部抵抗を記憶する代わりに、コンダクタンスを記憶してもよい。
【0051】
劣化度列は、測定により得られた劣化度を記憶している。劣化度は例えばSOH(State of Health)に対応し、SOH100%の劣化度を0%とし、SOH0%の劣化度を100%とする。SOHは電池3に期待される特性に基づいて定めることができる。例えば、使用可能期間を基準とし、評価の時点において残存する使用可能期間の割合をSOHと定めてもよい。常温ハイレート放電時の電圧を基準とし、評価の時点における常温ハイレート放電時の電圧をSOHの評価に用いてもよい。容量維持率が閾値以下になった場合の劣化度を100%としてもよい。いずれの場合においても、SOHが0%、即ち劣化度が100%の場合、電池3の機能が喪失した状態を表す。
劣化履歴DB142は、電池3の機種毎に、また、電力貯蔵システム20毎に、内部抵抗及び劣化度を記憶してもよい。
【0052】
表2に、使用履歴DB143に記憶されているテーブルの一例を示す。
【0053】
【0054】
使用履歴DB143は、電池3毎に、複数の推定SOC毎に、No.列、第1内部抵抗列,第2内部抵抗列,第3内部抵抗列の内部抵抗列、及び劣化度列を記憶している。表2においてはIDNo.1の電池3の使用履歴を示している。第1内部抵抗列,第2内部抵抗列,第3内部抵抗列の内部抵抗列、及び劣化度列は、劣化履歴DB142の第1内部抵抗列,第2内部抵抗列,第3内部抵抗列の内部抵抗列、及び劣化度列と同様の内容を記憶している。
内部抵抗列は、上述のようにして導出した第1内部抵抗、第2内部抵抗、第3内部抵抗を記憶している。内部抵抗列に、第1内部抵抗、第2内部抵抗、及び第3内部抵抗の全てを記憶する場合に限定されない。少なくとも1つ以上を記憶する。また、上述の他の内部抵抗を記憶してもよい。
さらに、内部抵抗を記憶する代わりに、コンダクタンスを記憶してもよい。
劣化度列は、後述するようにして推定した劣化度を記憶している。
【0055】
関係DB144は、放電曲線の回帰式と、複数の推定SOC毎に求めた、劣化度と内部抵抗との関係(劣化度曲線)とを記憶している。放電曲線は、例えば電流積算法により、充放電容量を用いて逐次的に算出した推定SOCを補正するために用いる。回帰式としては、例えば特開平11-121049号公報に記載されている、放電曲線の回帰式Y=aX+b+c/(X-d)が挙げられる。劣化度曲線は、劣化履歴DB142に記憶された内部抵抗、劣化度に基づいて、例えば電池3の機種毎に導出する。
【0056】
図2に、推定SOCが30%である場合の劣化度曲線の一例を示す。横軸は劣化度(%)、縦軸は、初期の電池の内部抵抗を100%とした場合の内部抵抗の割合(%)を示す。
関係はテーブルデータであってもよい。
【0057】
前記補助記憶部14に記憶されるプログラム141は、プログラム141を読み取り可能に記録した記録媒体140により提供されてもよい。記録媒体140は、例えば、USBメモリ、SDカード、マイクロSDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)等の可搬型のメモリである。記録媒体140に記録されているプログラム141は、図示していない読取装置を用いて記録媒体140から読み取られ、補助記憶部14にインストールされる。また、プログラム141は、通信部13を介した通信により提供されてもよい。
計時部15は、計時を行う。
【0058】
電力貯蔵システム20は、火力発電システム、メガソーラー発電システム、風力発電システム、UPS、及び鉄道用の安定化電力貯蔵システム等に電力を供給し、また、これらのシステムで生じた電力を貯蔵する。
【0059】
電力貯蔵システム20は、電池制御装置2と、電池モジュール4と、温度センサ7と電流センサ8とを備える。
【0060】
電池制御装置2は、制御部21、記憶部22、表示パネル25、計時部26、入力部27、通信部28、及び操作部29を備える。
端子17,18を介し電池モジュール4に負荷19が接続される。
【0061】
制御部21は、例えばCPU、ROM及びRAM等により構成され、電池制御装置2の動作を制御する。
制御部21は、各電池3の状態を監視する。
制御部21は、各電池3の電圧を検出する電圧センサ、フライバック式又はフォワード式のコンバータ等を備え、調整放電及びリフレッシュ充電を制御する。フライバック式のコンバータを備える場合、トランスの一次、二次巻線が逆極性に接続してあり、一次側のトランジスタをオンして調整放電を行う電池3からトランスの一次側の巻線にエネルギーを蓄え、一次側のトランジスタをオフした後に、トランスの二次側の巻線からエネルギーを放出し、他の電池3に充電エネルギーを移動させる。フォワード式のコンバータを備える場合、調整放電を行う電池3の放電時に、トランスを介して他の電池3に電力を伝達させる。
【0062】
記憶部22には、制御部21が劣化の判定処理を実行するために必要なプログラム23、及び充放電の履歴データ24を記憶している。プログラム23は、プログラム23を読み取り可能に記録した記録媒体により提供されてもよい。
充放電の履歴とは、電池3の運転履歴であり、電池3が充電又は放電を行った期間(使用期間)を示す情報、使用期間において電池3が行った充電又は放電に関する情報等を含む情報である。電池3の使用期間を示す情報とは、充電又は放電の開始及び終了の時点を示す情報、電池3が使用された累積使用期間等を含む情報である。電池3が行った充電又は放電に関する情報とは、電池3が行った充電時又は放電時の電圧、レート等を示す情報、累積の充放電電気量、累積の充放電電気量に基づく推定SOCの履歴等である。
【0063】
表示パネル25は、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)表示パネル等で構成することができる。制御部21は、表示パネル25に所要の情報を表示するための制御を行う。
計時部26は、計時を行い、調整放電のタイミング等をカウントする。
入力部27は、温度センサ7、及び電流センサ8からの検出結果の入力を受け付ける。
通信部28は、ネットワークNを介して制御装置1との間で通信を行う機能を有し、所要の情報の送受信を行うことができる。
操作部29は、例えば、ハードウェアキーボード、マウス、タッチパネル等で構成され、表示パネル25に表示されたアイコン等の操作、文字等の入力等を行うことができる。
【0064】
電流センサ8は、電池モジュール4に直列に接続されており、電池モジュール4の電流に応じた検出結果を出力する。
温度センサ7は、電池モジュール4の設置場所の温度に応じた検出結果を出力する。
【0065】
以下、電池3の調整放電と他の電池3のリフレッシュ充電、調整放電を行った電池3の推定SOCの補正、劣化の度合を推定する方法について説明する。
【0066】
制御装置1は、調整放電を行った場合の電流、及び電圧の推移データに基づいて、推定SOCを補正する。
【0067】
推定SOCは、以下のようにして導出される。
実力容量Q0 [Ah]の電池を、ある時点T0 におけるSOCT0から、電気量Q1 [Ah]放電した後の推定SOCT1は、下記の式により算出される。
SOCT1=SOCT0-Q1 /Q0 [%]
SOCT1から電気量Q2 [Ah]充電した後の推定SOCT2は、下記の式により算出される。
SOCT2=SOCT1+Q2 /Q0 [%]=SOCT0-Q1 /Q0+Q2 /Q0 [%]
以上のように、充放電電気量を用いて、制御部21は、逐次的に推定SOCを算出する。
但し、充電によりSOCが100%を超える場合、100%を超える分の電気量は過充電電気量とし、SOC範囲は常に0%≦SOC≦100%とする。
このように逐次推定SOCを算出していく場合、充電時の副反応や自己放電による電気量のロス、電流センサ8の検出誤差等により推定誤差が蓄積されるので、推定SOCを補正する必要がある。放電電圧が終止電圧に到達するまで放電された場合、推定SOCを0%にリセットする。
【0068】
制御部11は、制御部21から取得した調整放電時の電流、及び電圧の推移に基づいて、調整放電の期間の推移曲線を導出する。推移曲線は、放電電気量又は放電時間に対する電圧の変化を示す。定電流で放電する場合、放電電気量は電流に放電時間を乗じて算出される。推移曲線に基づいて、回帰式により放電曲線(Q-V曲線)又は(T-V曲線)を求める。前記Yの回帰式を用いる場合、推移曲線に基づいて、係数a、b、c、dが求まる。
【0069】
図3に、放電曲線を示す。
図3の横軸は放電電気量(Ah)、縦軸は電圧(V)である。
電圧V1 から終止電圧のV2 まで放電した場合、推移曲線に基づいて外挿することにより放電曲線が求まる。満充電状態の電池の放電開始電圧V0 から終止電圧のV2 まで放電した場合の電気量Q
V0-V2は実力容量に相当する。実力容量Q
V0-V2は、直近のリフレッシュ充電後の推移曲線につき、例えば回帰式を用い、外挿して放電曲線を求めることで導出してもよい。放電曲線のV2 の時点のSOCを0%と定義する。
【0070】
電圧がV1 からV3 になるまで放電した場合、回帰により、V1 からV2 までの放電曲線が求まり、QV1-V2が求まる。
V3 時点のSOCは、V3 からV2 の電気量QV3-V2 を、実力容量QV0-V2 で除した値であるため、V3 のSOCは、以下の式により算出される。
V3 のSOC=QV3-V2/QV0-V2=(QV1-V2-QV1-V3)/QV0-V2
Qは放電電流に時間を乗じて算出される。
なお、回帰式は前記Yの式に限定されない。また、回帰式を関係DB144に記憶せず、最小二乗法等により、推移曲線に基づいて放電曲線を求めてもよい。
また、残存容量QV3-V2の求め方は、上述の場合に限定されない。
【0071】
制御部11は、電圧がV1 からV2 になるまで調整放電を行った場合、SOCは0%であるので、推定SOCを0%にリセットする。
制御部11は、電圧がV1 からV3 になるまで調整放電を行った場合、前記V3 のSOC(実測SOC)により、推定SOCを補正する。上述したように、推定SOCを実測SOCに置き換える。又は、推定SOCと実測SOCとの平均値を、更新のSOCとする。
【0072】
図4は、制御部11が電池3に調整放電を行って他の電池3にリフレッシュ充電を行い、SOCの補正を行う場合の処理の手順を示すフローチャートである。
制御部11は、調整放電を行う電池3、調整放電の電力を用いてリフレッシュ充電を行う電池3を特定する(S101)。制御部11は、推定SOCを100%にする電池3を特定し、該電池3の推定SOCを100%にする電力を取り出すことができる電池3を特定する。
【0073】
制御部11は、制御部21に、電池3を調整放電し、調整放電の電力を用いて、他の電池3に対しリフレッシュ充電を行う指示を送信する(S102)。
制御部21は、電池3に対し、他の電池3の推定SOCを100%にする電力を取り出すことができる電圧に到達するまで調整放電を行い、該電力を用いて、他の電池3に対しリフレッシュ充電を行う(S201)。
制御部21は、調整放電の電流、電圧の推移、及び積算の充放電電気量に基づき導出した推定SOCを履歴データ24から取得し、制御装置1へ送信する(S202)。
【0074】
制御部11は、調整放電の電流、電圧の推移、及び推定SOCを受信する(S103)。
制御部11は、上述のようにして実測SOCを導出する(S104)。
制御部11は、実測SOCに基づいて推定SOCを補正する(S105)。
実測SOCが0%である場合、推定SOCを0%にする。
実測SOCが0%でない場合、制御部11は、例えば推定SOCを実測SOCに置き換える。また、制御部11は、推定SOCと実測SOCとの平均値を、新SOCとしてもよい。
制御部11は、補正SOCを電池制御装置2へ送信し(S106)、処理を終了する。
制御部21は、補正SOCを受信する。以後、制御部21は、補正後のSOCを基準に、SOCを推定する(S203)。
【0075】
以上のように、本実施形態によれば、電池3を放電する際に出力される電力を用いて、他の電池3のリフレッシュ充電を行う。外部からの電力を必要とせずにリフレッシュ充電を行うことができる。リフレッシュ充電による電力コストを削減できるとともに、電力貯蔵システムが電力系統から独立していても、リフレッシュ充電と、推定SOCの補正というメンテナンスを同時に行うことが可能になる。
【0076】
図5は、制御部11が電池3に調整放電を行ってリフレッシュ充電を行い、SOCの補正、劣化度の推定、及び負荷の調整を行う場合の処理の手順を示すフローチャートである。
制御部11は、放電を行う電池3、放電の電力を用いてリフレッシュ充電を行う電池3を特定する(S111)。
制御部11は、制御部21に、電池3に対し調整放電し、同時に放電の電力を用いて、他の電池3に対し充電を行う指示を送信する(S112)。
制御部21は、電池3に対し調整放電を行い、放電の電力を用いて、他の電池3に対リフレッシュ充電を行う(S211)。
制御部21は、放電の電流、電圧の推移、及び積算の充放電電気量に基づき導出した推定SOCを履歴データ24から取得し、制御装置1へ送信する(S212)。
【0077】
制御部11は、放電の電流、電圧の推移、及び到達した推定SOCを受信する(S113)。
制御部11は、実測SOCを導出する(S114)。
制御部11は、推定SOCを補正する(S115)。
制御部11は、補正SOCを送信する(S116)。
制御部21は、補正SOCを受信する(S213)。
制御部11は、調整放電を行ったときの電圧、電流を取得する(S117)。制御部11は、例えば第1内部抵抗を導出する場合、放電終了の直前、直後の電圧及び電流を取得する。
【0078】
制御部11は、上述のようにして内部抵抗を導出する(S118)。
制御部11は、劣化度を推定し、使用履歴DB143に記憶する(S119)。制御部11は、関係DB144から、到達した推定SOCに対応する劣化度曲線を読み出し、導出した内部抵抗に対応する劣化度を読み取る。推定SOCに対応する劣化度曲線がない場合、内挿計算により劣化度を求める。
制御部11は、劣化度を電池制御装置2へ送信する(S120)。
制御部21は、劣化度を受信する(S214)。
制御部21は、劣化度を表示パネル25に表示する(S215)。
【0079】
制御部11は、負荷を調整するか否かを判定する(S121)。制御部11は、例えば劣化度が閾値A以上であるか、又は劣化度が閾値B以下である場合、負荷を調整すると判定する。負荷を調整しない場合(S121:NO)、処理を終了する。
制御部11は、負荷を調整する場合(S121:YES)で劣化度が閾値A以上であるとき、制御部21に、電池3の充放電量を下げる、充放電の頻度を下げる等の指示を送信する。制御部11は、劣化度が閾値B以下であるとき、電池3の充放電量を上げる、充放電の頻度を上げる等の指示を送信し(S122)、処理を終了する。
制御部21は、該電池3の負荷を調整し(S205)、処理を終了する。制御部21は、該電池3の負荷を調整しない場合、S215の後、処理を終了する。
【0080】
図6は、容量が低下した電池1~電池6を推定SOCが30%になるまで深放電した場合の各電池の内部抵抗を調べた結果を示すグラフである。縦軸は、初期の電池の内部抵抗を100%とした場合の内部抵抗の割合を示す。
図7は、容量が低下した電池1~電池6の満充電時の内部抵抗を調べた結果を示すグラフである。縦軸は、初期の電池の内部抵抗を100%とした場合の内部抵抗の割合を示す。
図6及び
図7より、推定SOC30%まで放電を行った場合の内部抵抗が、電池の容量低下を精度良く反映していることが分かる。
【0081】
本実施形態によれば、調整放電を行った場合の内部抵抗に基づいて、正極軟化、集電体腐食、減液等の多くの劣化モードを加味した電池3の劣化の度合を良好に推定することができる。
そして、電池3の負荷を調整することにより、電力貯蔵システム20全体での電池3の劣化速度を均一に保持し、電池交換の回数を削減するとともに、一部の電池3が使用限界を超えて使用されるリスクを低減することができる。
【0082】
なお、制御部21が表示パネル25に劣化度を表示することに代えて、音声により劣化度を電力貯蔵システム20のオペレータに報知してもよい。
本実施形態においては、制御装置1が電池制御装置2により、調整放電及びリフレッシュ充電を制御する場合につき説明しているがこれに限定されない。電池制御装置2が、制御装置1により遠隔操作されることなく、調整放電及びリフレッシュ充電を行ってもよい。
また、電池制御装置2が内部抵抗を導出して、制御装置1に送信してもよい。電池制御装置2が電池3のSOCを補正し、電池3の劣化の度合を推定してもよい。
【0083】
(実施形態2)
図8は、実施形態2に係る劣化推定システム10の構成を示すブロック図である。
実施形態2に係る劣化推定システム10は、補助記憶部14が学習モデルDB145を記憶していること以外は、実施形態1に係る劣化推定システム10と同様の構成を有する。学習モデルDB145に、複数の到達SOC(推定SOC)毎に生成した学習モデル146が記憶されている。
【0084】
図9は、学習モデル146の一例を示す模式図である。
学習モデル146は、人工知能ソフトウェアの一部であるプログラムモジュールとしての利用が想定される学習モデルであり、多層のニューラルネットワーク(深層学習)を用いることができ、例えば畳み込みニューラルネットワーク(Convolutional Neural Network:CNN)を用いることができるが、他のニューラルネットワークを用いてもよい。他の機械学習を用いてもよい。制御部11が、学習モデル146からの指令に従って、学習モデル146の入力層に入力された内部抵抗に対し演算を行い、判定結果として、劣化度合とその確率とを出力するように動作する。CNNの場合、中間層はコンボリューション層、プーリング層、及び全結合層を含む。ノード(ニューロン)の数は
図12の場合に限定されない。
劣化度合は、例えば1~10の10段階の数値で表す。劣化度合は、劣化度の範囲に基づいて定める。例えば、劣化度合の「1」を上記SOHの90~100%の範囲に、「10」はSOH0~10%の範囲に定めることができる。
【0085】
入力層、出力層及び中間層には、1又は複数のノードが存在し、各層のノードは、前後の層に存在するノードと一方向に所望の重みで結合されている。入力層のノードの数と同数の成分を有するベクトルが、学習モデル146の入力データ(学習用の入力データ及び推定用の入力データ)として与えられる。学習済みの入力データとして、少なくとも到達SOCにおける内部抵抗を含む。入力データとして、内部抵抗以外に、満充電状態の内部抵抗、開回路電圧、放電容量、放電電圧(に基づく放電容量の推定値)、及び取得した温度センサ7により温度の少なくとも1つを含んでもよい。
【0086】
学習済みの学習モデル146の入力層は、内部抵抗を入力する。入力層の各ノードに与えられたデータは、最初の中間層に入力して与えられると、重み及び活性化関数を用いて中間層の出力が算出され、算出された値が次の中間層に与えられ、以下同様にして出力層の出力が求められるまで次々と後の層(下層)に伝達される。なお、ノードを結合する重みのすべては、学習アルゴリズムによって計算される。
【0087】
学習モデル146の出力層は、出力データとして劣化度合と、その確率とを生成する。
出力層は、
例えば、劣化度合が1である確率…0.01
劣化度合が2である確率…0.90
劣化度合が3である確率…0.02
・・・
劣化度合が10である確率…0.001
のように出力する。
制御部11は、確率が最大である劣化度合の数値を取得する。
出力層は、劣化度合の代わりに、上述の劣化度を、例えば0%~100%までの範囲で、1%刻みに、劣化度とその確率とを出力してもよい。
【0088】
図10は制御部11による学習モデル146の生成処理の手順を示すフローチャートである。
制御部11は、劣化履歴DB142を読み出し、所定の推定SOCにおける各行の内部抵抗と、劣化度に基づく劣化度合とを対応づけた教師データを取得する(S301)。
【0089】
制御部11は教師データを用いて、内部抵抗を入力した場合に劣化度合の確率を出力する学習モデル146(学習済みモデル)を生成する(S302)。具体的には、制御部11は、教師データを入力層に入力し、中間層での演算処理を経て、出力層から劣化度合の確率を取得する。
制御部11は、出力層から出力された劣化度合の判定結果を、教師データにおいて内部抵抗に対しラベル付けされた情報、即ち正解値と比較し、出力層からの出力値が正解値に近づくように、中間層での演算処理に用いるパラメータを最適化する。該パラメータは、例えば上述の重み(結合係数)、活性化関数の係数等である。パラメータの最適化の方法は特に限定されないが、例えば制御部11は誤差逆伝播法を用いて各種パラメータの最適化を行う。
制御部11は、生成した学習モデル146を補助記憶部14に格納し、一連の処理を終了する。
【0090】
図11は、制御部11が電池3に調整放電を行ってリフレッシュ充電を行い、電池3の劣化度合を推定する処理の手順を示すフローチャートである。
制御部11は、放電を行う電池3、放電の電力を用いて充電を行う電池3を特定する(S131)。
制御部11は、制御部21に、電池3に対し調整放電し、同時に放電の電力を用いて、他の電池3に対し充電を行う指示を送信する(S132)。
制御部21は、電池3に対し調整放電を行い、放電の電力を用いて、他の電池3に対し充電を行う(S231)。
制御部21は、放電時の電流、電圧を履歴データ24から取得し、制御装置1へ送信する(S232)。
【0091】
制御部11は、電流、電圧を受信する(S133)。
制御部11は、内部抵抗を導出する(S134)。
制御部11は、推定SOCに対応する学習モデル146を選択し、内部抵抗を学習モデル146に入力する(S135)。
制御部11は、学習モデル146が出力した、確率が最大である劣化度合の数値を、今回の推定時の劣化度合として推定し(S136)、処理を終了する。
劣化度合の推定後は、
図5のS120以降の処理を行うことができる。
推定SOCに対応する学習モデル146がない場合、該推定SOCに近い2つの推定SOCの学習モデル146を用いて劣化度合を推定し、内挿計算により劣化度合を求める。
【0092】
本実施形態によれば、容易に、精度良く劣化度合を推定できる。
【0093】
なお、制御装置1は、放電時の電圧、電流を取得したときに、推定SOCを補正してもよい。
また、制御装置1が電池3の劣化の度合を推定する場合につき説明しているがこれに限定されない。電池制御装置2の記憶部22に学習モデル146を記憶し、電池制御装置2が電池3の劣化の度合を推定してもよい。
【0094】
制御部11は、学習モデル146を用いて推定した劣化度合と、実測により得られた劣化度合とに基づいて、劣化度合の推定の信頼度が向上するように、学習モデル146を再学習させることができる。使用履歴DB35の所定の行において、実測の劣化度を求め、推定した劣化度合と、実測の劣化度に基づく劣化度合とが一致している場合、この行の内部抵抗に対し劣化度合が対応付けられた教師データを多数入力して再学習させることで、前記劣化度合の確率を上げることができる。推定した劣化度合と実測による劣化度合とが一致していない場合、内部抵抗に対し、実測による劣化度合が対応付けられた教師データを入力して再学習させる。
【0095】
学習モデル146は、到達SOCにおける内部抵抗及び到達SOCと、劣化度合を示すラベルデータとを教師データに用いて学習してあり、内部抵抗及び到達SOCを入力した場合に、劣化度合を出力するものであってもよい。この場合、上述のように複数の学習モデルを生成する必要がない。
【0096】
(実施形態3)
図12は、実施形態3に係る学習モデル147の一例を示す模式図である。
学習モデル147は、入力データが学習モデル146の入力データと異なること以外は、学習モデル146と同様の構成を有する。
学習済みの学習モデル147の入力層は、電流、電圧、SOC(到達した推定SOC)、及び温度を入力する。電流及び電圧は電池3を調整放電した場合に得られ、上述の内部抵抗を導出するときに用いられる電流及び電圧である。入力データは、入力層の各ノードに与えられたデータは、最初の中間層に入力して与えられると、重み及び活性化関数を用いて中間層の出力が算出され、算出された値が次の中間層に与えられ、以下同様にして出力層の出力が求められるまで次々と後の層(下層)に伝達される。ノードを結合する重みのすべては、学習アルゴリズムによって計算される。入力データは、電流、電圧、SOC、及び温度の全てを含む場合に限定されない。他の情報を含んでもよい。少なくとも電流、電圧、及びSOCを含む。実施形態2のように、複数のSOCに応じて複数の学習モデルを生成する場合、SOCに対応する学習モデルを選択するので、SOCは入力しなくてよい。
【0097】
学習モデル147の出力層は、出力データとして劣化度合と、その確率とを生成する。
出力層は、
例えば、劣化度合が1である確率…0.01
劣化度合が2である確率…0.90
劣化度合が3である確率…0.02
・・・
劣化度合が10である確率…0.001
のように出力する。
【0098】
図13は、制御部11が電池3に調整放電を行ってリフレッシュ充電を行い、劣化度合を推定する処理の手順を示すフローチャートである。
制御部11は、放電を行う電池3、放電の電力を用いて充電を行う電池3を特定する(S141)。
制御部11は、制御部21に、電池3に対し調整放電し、同時に放電の電力を用いて、他の電池3に対し充電を行う指示を送信する(S142)。
制御部21は、電池3に対し所定の調整放電を行い、放電の電力を用いて、CMU6又は9により、他の電池3に対し充電を行う(S241)。
制御部21は、電流、電圧、SOC、及び温度を履歴データ24から取得し、制御装置1へ送信する(S242)。
【0099】
制御部11は、電流、電圧、SOC、及び温度を受信する(S143)。
制御部11は、電流、電圧、SOC、及び温度を学習モデル147に入力する(S144)。
制御部11は、学習モデル147が出力した、確率が最大である劣化度合の数値を、度合として判定し(S145)、処理を終了する。
【0100】
本実施形態によれば、容易に、精度良く劣化度合を推定できる。
なお、制御装置1は、放電時の電圧、電流を取得したときに、推定SOCを補正してもよい。
また、制御装置1が電池3の劣化の度合を推定する場合につき説明しているがこれに限定されない。電池制御装置2の記憶部22に学習モデル147を記憶し、電池制御装置2が電池3の劣化の度合を推定してもよい。
【0101】
本発明は上述した実施の形態の内容に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。即ち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0102】
1 制御装置
2 電池制御装置
3 鉛蓄電池
4 鉛蓄電池モジュール
7 温度センサ
8 電流センサ
10 劣化推定システム
11 制御部(充電制御部、SOC補正部、推定部、負荷調整部)
12 主記憶部
13、28 通信部
14 補助記憶部
141、23 プログラム
142 劣化履歴DB
143 使用履歴DB
144 関係DB
145 学習モデルDB
146、147 学習モデル
20 電力貯蔵システム
29 操作部