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特許7427974光学装置、画像読取装置および画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】光学装置、画像読取装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/02 20210101AFI20240130BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240130BHJP
   G02B 5/00 20060101ALI20240130BHJP
   G02B 13/26 20060101ALI20240130BHJP
   H04N 1/028 20060101ALI20240130BHJP
   H04N 1/193 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G02B7/02 D
G02B3/00 A
G02B5/00 B
G02B7/02 A
G02B7/02 Z
G02B13/26
H04N1/028 Z
H04N1/193
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020011092
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021117365
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-12-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【弁理士】
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100125346
【弁理士】
【氏名又は名称】尾形 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100166981
【弁理士】
【氏名又は名称】砂田 岳彦
(72)【発明者】
【氏名】蜂須賀 正樹
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-144406(JP,A)
【文献】特開2004-070268(JP,A)
【文献】特開2014-182210(JP,A)
【文献】特開2015-022163(JP,A)
【文献】特開平03-157602(JP,A)
【文献】特開2009-098613(JP,A)
【文献】特開2000-292694(JP,A)
【文献】特開平10-210213(JP,A)
【文献】特開2018-054724(JP,A)
【文献】特開平11-331497(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/02
G02B 3/00
G02B 5/00
G02B 13/26
H04N 1/028
H04N 1/193
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズと、前記レンズを支持する支持体とを備え、等倍の正立実像を形成するための中間結像面が光路中に形成されるレンズ体と、
前記レンズ体における光の入射面に対向して設けられ、前記複数のレンズの光軸上に位置し光を透過させる透過部と、前記支持体の上に位置し光の通過を遮る遮光部とを有する遮光体と、
前記遮光体における光の入射面に対向して設けられ、前記透過部よりも狭い開口を有し、当該透過部に向かう光の一部を規制する規制体と、
有し、
前記複数のレンズは、当該複数のレンズの並ぶ方向である並び方向に沿って第1列および第2列に並べて設けられ、
前記遮光体は、
前記第1列のレンズの側方で前記並び方向に沿って設けられる第1基部と、当該第1列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第1基部から当該並び方向と交差する交差方向に突出する複数の第1突出部とを有する第1遮光体と、
前記第2列のレンズの側方であって、前記第1列のレンズおよび当該第2列のレンズを挟んで前記第1基部とは反対側に前記並び方向に沿って設けられる第2基部と、当該第2列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第2基部から前記交差方向に突出する複数の第2突出部とを有する第2遮光体と
を有し、
前記規制体は、前記並び方向に沿って、前記第1遮光体における前記複数の第1突出部と前記第2遮光体における前記複数の第2突出部とにより当該並び方向に挟まれる領域を覆うこと
を特徴とする光学装置。
【請求項2】
前記遮光体は、前記複数のレンズのそれぞれの入射面の上以外を覆う前記遮光部と、当該遮光部に設けられた複数の窓部によって形成される前記透過部とを有し、
前記規制体は、前記遮光体における前記遮光部と当該遮光部を形成する前記複数の窓部のそれぞれの周縁の内側とを覆うことを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項3】
前記規制体には、前記複数のレンズのそれぞれに対応して設けられた開口が設けられており、
前記遮光体に設けられる窓部の径よりも、前記規制体に設けられる開口の径が小さいことを特徴とする請求項記載の光学装置。
【請求項4】
前記レンズ体は、
各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数の第1のレンズを備え、前記遮光体における光の出射面に対向して設けられ、当該複数の第1のレンズを透過した光が前記中間結像面を形成する第1のレンズ体と、
各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数の第2のレンズを備え、前記第1のレンズ体における光の出射面に対向して設けられ、当該第1のレンズ体を通過し且つ前記中間結像面を形成した光が入射する第2のレンズ体と
を有し、
前記規制体は、前記第1のレンズ体に設けられた前記複数のレンズのそれぞれの周縁側に入射する光を規制することを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項5】
前記規制体は、前記第1遮光体または前記第2遮光体の基部を覆わないことを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項6】
前記光の入射面のうち、前記規制体および前記第1遮光体または前記第2遮光体によって遮光されない各領域は、前記並び方向に垂直な方向の長さより、当該並び方向の長さの方が短いことを特徴とする請求項1記載の光学装置。
【請求項7】
原稿に対して光を照射する照射部と、
各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿から反射した光を通す複数のレンズと、前記レンズを支持する支持体とを備えるレンズ体と、
前記レンズ体における光の入射面に対向して設けられ、前記複数のレンズの光軸上に位置し光を透過させる透過部と、前記支持体の上に位置し光の通過を遮る遮光部とを有する遮光体と、
前記遮光体における光の入射面に対向して設けられ、前記透過部よりも狭い開口を有し、当該透過部に向かう光の一部を規制する規制体と、
前記複数のレンズを通る光を受光する受光部と
を有し、
前記複数のレンズは、当該複数のレンズの並ぶ方向である並び方向に沿って第1列および第2列に並べて設けられ、
前記遮光体は、
前記第1列のレンズの側方で前記並び方向に沿って設けられる第1基部と、当該第1列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第1基部から当該並び方向と交差する交差方向に突出する複数の第1突出部とを有する第1遮光体と、
前記第2列のレンズの側方であって、前記第1列のレンズおよび当該第2列のレンズを挟んで前記第1基部とは反対側に前記並び方向に沿って設けられる第2基部と、当該第2列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第2基部から前記交差方向に突出する複数の第2突出部とを有する第2遮光体と
を有し、
前記規制体は、前記並び方向に沿って、前記第1遮光体における前記複数の第1突出部と前記第2遮光体における前記複数の第2突出部とにより当該並び方向に挟まれる領域を覆うこと
を特徴とする画像読取装置。
【請求項8】
原稿に対して光を照射する照射部と、
各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿から反射した光を通す複数のレンズと、前記レンズを支持する支持体とを備えるレンズ体と、
前記レンズ体における光の入射面に対向して設けられ、前記複数のレンズの光軸上に位置し光を透過させる透過部と、前記支持体の上に位置し光の通過を遮る遮光部とを有する遮光体と、
前記遮光体における光の入射面に対向して設けられ、前記透過部よりも狭い開口を有し、当該透過部に向かう光の一部を規制する規制体と、
前記複数のレンズを通る光を受光する受光部と、
前記受光部が受光した光に基づいて画像を形成する画像形成部と
を有し、
前記複数のレンズは、当該複数のレンズの並ぶ方向である並び方向に沿って第1列および第2列に並べて設けられ、
前記遮光体は、
前記第1列のレンズの側方で前記並び方向に沿って設けられる第1基部と、当該第1列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第1基部から当該並び方向と交差する交差方向に突出する複数の第1突出部とを有する第1遮光体と、
前記第2列のレンズの側方であって、前記第1列のレンズおよび当該第2列のレンズを挟んで前記第1基部とは反対側に前記並び方向に沿って設けられる第2基部と、当該第2列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第2基部から前記交差方向に突出する複数の第2突出部とを有する第2遮光体と
を有し、
前記規制体は、前記並び方向に沿って、前記第1遮光体における前記複数の第1突出部と前記第2遮光体における前記複数の第2突出部とにより当該並び方向に挟まれる領域を覆うこと
を特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学装置、画像読取装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数の第1レンズと複数の第1レンズを保持する第1ホルダ部とを、透光性を有する樹脂にて一体成形してなる第1レンズアレイと、複数の第2レンズと複数の第2レンズを保持する第2ホルダ部とを、透光性を有する樹脂にて一体成形してなる第2レンズアレイとを、各レンズ同士が向かい合うように重ね合わせて配置するとともに、遮光性を有する黒色の樹脂にて構成され且つ複数の貫通孔が設けられた遮光部材を、これら複数の貫通孔が第1レンズアレイに設けられた各第1レンズの第1レンズ面の正面となるように、第1レンズアレイに重ね合わせて配置してなるレンズアレイユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-352429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズを備えるレンズ体に対して、例えば迷光を抑制するための、レンズを通る光の一部を遮る遮光体を設けることがある。また、このような遮光体としては、各レンズに対向する位置に光を通す貫通孔を設ける構成が知られている。ただし、遮光体に貫通孔を設けただけでは、遮光体の貫通孔およびレンズ体を通過した光によって得られる、等倍の正立実像の焦点深度が浅くなってしまうことがあった。
【0005】
本発明は、本構成を採用しない場合と比較して、得られる等倍の正立実像の焦点深度を深くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数のレンズと、前記レンズを支持する支持体とを備え、等倍の正立実像を形成するための中間結像面が光路中に形成されるレンズ体と、前記レンズ体における光の入射面に対向して設けられ、前記複数のレンズの光軸上に位置し光を透過させる透過部と、前記支持体の上に位置し光の通過を遮る遮光部とを有する遮光体と、前記遮光体における光の入射面に対向して設けられ、前記透過部よりも狭い開口を有し、当該透過部に向かう光の一部を規制する規制体と、を有し、前記複数のレンズは、当該複数のレンズの並ぶ方向である並び方向に沿って第1列および第2列に並べて設けられ、前記遮光体は、前記第1列のレンズの側方で前記並び方向に沿って設けられる第1基部と、当該第1列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第1基部から当該並び方向と交差する交差方向に突出する複数の第1突出部とを有する第1遮光体と、前記第2列のレンズの側方であって、前記第1列のレンズおよび当該第2列のレンズを挟んで前記第1基部とは反対側に前記並び方向に沿って設けられる第2基部と、当該第2列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第2基部から前記交差方向に突出する複数の第2突出部とを有する第2遮光体とを有し、前記規制体は、前記並び方向に沿って、前記第1遮光体における前記複数の第1突出部と前記第2遮光体における前記複数の第2突出部とにより当該並び方向に挟まれる領域を覆うことを特徴とする光学装置である。
請求項2記載の発明は、前記遮光体は、前記複数のレンズのそれぞれの入射面の上以外を覆う前記遮光部と、当該遮光部に設けられた複数の窓部によって形成される前記透過部とを有し、前記規制体は、前記遮光体における前記遮光部と当該遮光部を形成する前記複数の窓部のそれぞれの周縁の内側とを覆うことを特徴とする請求項1記載の光学装置である。
請求項3記載の発明は、前記規制体には、前記複数のレンズのそれぞれに対応して設けられた開口が設けられており、前記遮光体に設けられる窓部の径よりも、前記規制体に設けられる開口の径が小さいことを特徴とする請求項2記載の光学装置である。
請求項4記載の発明は、前記レンズ体は、各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数の第1のレンズを備え、前記遮光体における光の出射面に対向して設けられ、当該複数の第1のレンズを透過した光が前記中間結像面を形成する第1のレンズ体と、各々の光軸が互いに沿うように並べられた複数の第2のレンズを備え、前記第1のレンズ体における光の出射面に対向して設けられ、当該第1のレンズ体を通過し且つ前記中間結像面を形成した光が入射する第2のレンズ体とを有し、前記規制体は、前記第1のレンズ体に設けられた前記複数のレンズのそれぞれの周縁側に入射する光を規制することを特徴とする請求項1記載の光学装置である。
請求項5記載の発明は、前記規制体は、前記第1遮光体または前記第2遮光体の基部を覆わないことを特徴とする請求項1記載の光学装置である。
請求項6記載の発明は、前記光の入射面のうち、前記規制体および前記第1遮光体または前記第2遮光体によって遮光されない各領域は、前記並び方向に垂直な方向の長さより、当該並び方向の長さの方が短いことを特徴とする請求項1記載の光学装置である。
請求項7記載の発明は、原稿に対して光を照射する照射部と、各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿から反射した光を通す複数のレンズと、前記レンズを支持する支持体とを備えるレンズ体と、前記レンズ体における光の入射面に対向して設けられ、前記複数のレンズの光軸上に位置し光を透過させる透過部と、前記支持体の上に位置し光の通過を遮る遮光部とを有する遮光体と、前記遮光体における光の入射面に対向して設けられ、前記透過部よりも狭い開口を有し、当該透過部に向かう光の一部を規制する規制体と、前記複数のレンズを通る光を受光する受光部とを有し、前記複数のレンズは、当該複数のレンズの並ぶ方向である並び方向に沿って第1列および第2列に並べて設けられ、前記遮光体は、前記第1列のレンズの側方で前記並び方向に沿って設けられる第1基部と、当該第1列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第1基部から当該並び方向と交差する交差方向に突出する複数の第1突出部とを有する第1遮光体と、前記第2列のレンズの側方であって、前記第1列のレンズおよび当該第2列のレンズを挟んで前記第1基部とは反対側に前記並び方向に沿って設けられる第2基部と、当該第2列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第2基部から前記交差方向に突出する複数の第2突出部とを有する第2遮光体とを有し、前記規制体は、前記並び方向に沿って、前記第1遮光体における前記複数の第1突出部と前記第2遮光体における前記複数の第2突出部とにより当該並び方向に挟まれる領域を覆うことを特徴とする画像読取装置である。
請求項8記載の発明は、原稿に対して光を照射する照射部と、各々の光軸が互いに沿うように並べられ、原稿から反射した光を通す複数のレンズと、前記レンズを支持する支持体とを備えるレンズ体と、前記レンズ体における光の入射面に対向して設けられ、前記複数のレンズの光軸上に位置し光を透過させる透過部と、前記支持体の上に位置し光の通過を遮る遮光部とを有する遮光体と、前記遮光体における光の入射面に対向して設けられ、前記透過部よりも狭い開口を有し、当該透過部に向かう光の一部を規制する規制体と、前記複数のレンズを通る光を受光する受光部と、前記受光部が受光した光に基づいて画像を形成する画像形成部とを有し、前記複数のレンズは、当該複数のレンズの並ぶ方向である並び方向に沿って第1列および第2列に並べて設けられ、前記遮光体は、前記第1列のレンズの側方で前記並び方向に沿って設けられる第1基部と、当該第1列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第1基部から当該並び方向と交差する交差方向に突出する複数の第1突出部とを有する第1遮光体と、前記第2列のレンズの側方であって、前記第1列のレンズおよび当該第2列のレンズを挟んで前記第1基部とは反対側に前記並び方向に沿って設けられる第2基部と、当該第2列のレンズにおけるレンズ同士の間で当該第2基部から前記交差方向に突出する複数の第2突出部とを有する第2遮光体とを有し、前記規制体は、前記並び方向に沿って、前記第1遮光体における前記複数の第1突出部と前記第2遮光体における前記複数の第2突出部とにより当該並び方向に挟まれる領域を覆うことを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によれば、レンズの列が複数であり、遮光体が第1遮光体と第2遮光体とを含んでいる構成において、焦点深度を深くするとともに迷光の発生を抑制することができ、さらに、本構成を採用しない場合と比較して、規制体の構造の複雑化を抑制することができる。
請求項2記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、焦点深度を深くするとともに迷光の発生を抑制することができる。
請求項3記載の発明によれば、、規制体に複数のレンズに対応する開口を設けた構成において、焦点深度を深くするとともに迷光の発生を抑制することができる。
請求項4記載の発明によれば、レンズ体が複数である構成において、焦点深度を深くするとともに迷光の発生を抑制することができる。
請求項5記載の発明によれば、第1遮光体の基部および第2遮光体の基部を覆う場合と比較して、規制体を小型化することができる。
請求項6記載の発明によれば、各開口がレンズ径より小さい径をもつ円形である場合と比較して、得られる像における光量が不足することを抑制することができる。また、各開口がレンズ径と同程度の径を持つ円形である場合と比較して、ある開口から入射した光が、その開口に対応するレンズと並び方向に隣り合ったレンズに入射してしまうことを抑制することができる。
請求項7記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、得られる等倍の正立実像の焦点深度を深くすることができる。
請求項8記載の発明によれば、本構成を採用しない場合と比較して、得られる等倍の正立実像の焦点深度を深くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施の形態が適用される画像形成装置の概略構成図である。
図2】本実施の形態が適用される画像読取装置の概略構成図である。
図3】本実施の形態が適用されるレンズアレイユニットの分解斜視図である。
図4】(a)および(b)は、遮光壁を説明するための図である。
図5】(a)および(b)は、遮光壁の配置を説明するための図である。
図6】(a)乃至(d)は、遮光フィルムの変形例を説明するための図である。
図7】(a)および(b)は、遮光フィルムの形状を変化させたシミュレーション結果を示す図である。
図8】遮光壁の変形例を説明するための図であって、変形例の遮光壁を含むレンズアレイユニットの分解斜視図である。
図9】(a)および(b)は、遮光壁の変形例における壁貫通孔とフィルム貫通孔との関係とを説明するための図である。
図10】(a)および(b)は、レンズアレイユニットにおける遮光壁および遮光フィルムの有無と焦点深度との関係を説明するための図である。
図11】(a)および(b)は、遮光フィルムの変形例における壁貫通孔とフィルム貫通孔との関係とを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、以下の説明で参照する図面における各部の大きさや厚さ等は、実際の寸法とは異なっている場合がある。
<画像形成装置100>
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置100の概略構成図である。
図1に示すように、画像形成装置100は、原稿Gの情報を読み取る原稿読取装置1と、原稿読取装置1で読み取った原稿の情報(読取画像)に基づいて画像を記録紙Sに形成する画像形成部2と、画像形成部2に供給する記録紙Sを送り出す給紙部3とを備えている。この画像形成装置100では、画像形成部2と給紙部3とを本体101の内部に収容する一方で、本体101の上方に原稿読取装置1を配置している。本体101は、その上面部に、画像が形成された記録紙Sを排出して収容する排出収容部102を有する。
【0010】
原稿読取装置1は、筐体103を有する。また、原稿読取装置1は、筐体103の上面部に、原稿Gを置く光透過性の原稿台105と、その原稿台105を覆うとともに筐体103に対して開閉操作できる原稿カバー106とを有する。原稿カバー106には、原稿Gを読取位置まで搬送するとともに読み取り後の原稿Gを排出する自動原稿搬送部107と、自動原稿搬送部107により送られる原稿Gを搭載する原稿トレイ108と、自動原稿搬送部107から排出される原稿Gを収容する収容部109とが設けられている。
【0011】
画像形成部2は、例えば電子写真方式にて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を形成する像形成ユニット20と、その像形成ユニット20で形成されたトナー像を記録紙Sに転写するまで搬送する中間転写ユニット26と、中間転写ユニット26から記録紙Sに転写したトナー像を定着させる定着ユニット27とを備えている。なお、画像形成部2は、電子写真方式以外に、例えばインクジェット方式にて画像を形成するものを採用してもよい。
【0012】
給紙部3は、予め定めたサイズ、種類などからなる複数枚の記録紙Sを搭載可能な引き出し式の収容体31と、収容体31に収容される記録紙Sを1枚ずつ搬送路に送り出す送出装置32とを有する。給紙部3と画像形成部2との間には、給紙部3から送り出された記録紙Sを二次転写位置まで搬送する供給搬送路28が配置されている。
【0013】
次に、画像形成装置100の基本的な動作について説明をする。
まず、原稿読取装置1では、ユーザによって原稿台105と原稿トレイ108のいずれか一方に原稿Gが置かれる。そして、ユーザが操作ボタン(不図示)などを操作することで、原稿読み取りの指示を受け付けると、原稿Gの読み取り動作が開始される。すなわち、原稿読取装置1が原稿Gの読み取り情報を取得する。そして、画像形成部2が、原稿読取装置1から受信した原稿Gの読み取り情報に基づいて、画像形成動作を実行する。この際、画像形成部2の動作にあわせて、給紙部3から記録紙Sが送り出される。そして、記録紙Sは、画像形成部2にてトナー像が定着された後、排出収容部102へと排出される。以上の画像形成の動作は、原稿Gの枚数や画像形成枚数に応じた分だけ同様に繰り返される。
【0014】
<原稿読取装置1>
図2は、本実施の形態が適用される原稿読取装置1の概略構成図である。
次に、図2を参照しながら、本実施の形態が適用される原稿読取装置1について説明をする。図2に示すように、原稿読取装置1は、透明板70と、透明板70を支持する合成樹脂製のケース71と、ケース71の底面部に組み付けられた基板72とを備えている。基板72の表面上には、主走査方向(紙面と直交する方向)に間隔を隔てて列状に並べられた複数の点状の光源73と、これら複数の光源73と同方向に並べられた複数の受光素子74とが設けられている。各光源73は、例えば発光ダイオードを用いて構成されている。各受光素子74は、光電変換機能を有するものであり、光を受けると、その受光量に対応した出力レベルの信号、具体的には画像信号を出力する。なお、本実施の形態では、複数の点状の光源73が照射部の一例であり、複数の受光素子74が受光部の一例である。
【0015】
ここで、原稿読取装置1は、透明板70と各受光素子74との間に、レンズアレイユニット10を備えている。レンズアレイユニット10の詳細な構成は後述するが、図示のレンズアレイユニット10は、ケース71に設けられた凹溝75内に配置されている。また、図示の透明板70の表面部のうち、レンズアレイユニット10に対向する部分は、主走査方向に延びる画像読み取り領域Laとなっている。この画像読み取り領域Laには、各光源73から光が照射される。
【0016】
原稿読取装置1においては、自動原稿搬送部107(図1参照)によって透明板70の表面上に導かれた原稿Gに対して、光源73からの光が照射される。原稿Gに照射された光の反射光は、レンズアレイユニット10に向けて進行する。すると、レンズアレイユニット10の作用によって、画像読み取り領域Laにおける原稿Gの1ライン分の画像が、複数の受光素子74上に正立等倍で結像する。このため、複数の受光素子74からは、原稿Gの画像に対応する1ライン分の画像信号が出力される。このような読み取り処理は、原稿Gが例えば自動原稿搬送部107が有するプラテンローラ77によって副走査方向に搬送される過程において、複数回にわたって繰り返し実行される。
【0017】
なお、以下の説明においては、画像読み取り領域Laから受光素子74に向かう方向、すなわち図2における上下方向を光軸方向ということがある。また、本実施の形態では、主走査方向が並び方向の一例であり、副走査方向が交差方向の一例である。
【0018】
<レンズアレイユニット10>
図3は、本実施の形態が適用されるレンズアレイユニット10の分解斜視図である。
次に、図3を参照しながら、本実施の形態が適用されるレンズアレイユニット10について説明をする。
【0019】
図3に示すように、レンズアレイユニット10は、遮光フィルム110と、遮光壁130と、第1レンズアレイ170と、第2レンズアレイ180とを有している。さらに説明をすると、図示の例のレンズアレイユニット10においては、遮光フィルム110、遮光壁130、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180が、この順で積層されるとともに、接着剤などによって互いに接着され一体化している。そして、このレンズアレイユニット10を原稿読取装置1に取り付けた場合には、遮光フィルム110が透明板70に対峙し、また、第2レンズアレイ180が複数の受光素子74に対峙する。以下、レンズアレイユニット10が有する各部材について説明をする。
【0020】
<第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180>
まず、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180について説明をする。
レンズ体の一例としての第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180は、各々略直方体状の部材である。さらに説明をすると、図示の第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180は、1対のレンズ部材であり、互いに一致する形状である。
【0021】
第1のレンズ体の一例としての第1レンズアレイ170は、略直方体状の第1支持体171と、第1支持体171の表裏面に形成された複数の第1レンズ173とを有する。複数の第1レンズ173は、各々の光軸が互いに沿うように構成されている。なお、複数の第1レンズ173の光軸が互いに沿うとは、第1レンズ173の各々が画像読み取り領域Laにおける原稿Gの1ライン分の画像を、複数の受光素子74上に正立等倍で結像するものであればよく、複数の第1レンズ173の光軸が互いに平行であるだけでなく、互いの角度にずれがあってもよい。また、複数の第1レンズ173は、主走査方向に沿った第1列R71および第2列R72に並べて設けられる。ここで、複数の第1レンズ173は、千鳥状に配置されている。すなわち、第1列R71を構成する第1レンズ173と、第2列R72を構成する第1レンズ173とは、主走査方向において互いにずれて配置されている。なお、第1列R71における第1レンズ173は、予め定めた間隔、すなわちピッチで配置されている。また、第2列R72における第1レンズ173は、第1列R71と同一の間隔で配置されている。そして、図3に示す第1レンズアレイ170では、図中上方側を向く面が第1レンズアレイ170における光の入射面となり、図中下方側を向く面が第1レンズアレイ170における光の出射面となる。
【0022】
第2のレンズ体の一例としての第2レンズアレイ180は、略直方体状の第2支持体181と、第2支持体181の表裏面に形成された複数の第2レンズ183とを有する。複数の第2レンズ183は、各々の光軸が互いに沿うように構成されている。なお、複数の第2レンズ183の光軸が互いに沿うとは、第2レンズ183の各々が画像読み取り領域Laにおける原稿Gの1ライン分の画像を、複数の受光素子74上に正立等倍で結像するものであればよく、複数の第2レンズ183の光軸が互いに平行であるだけでなく、互いの角度にずれがあってもよい。また、複数の第2レンズ183は、主走査方向に沿った第1列R81および第2列R82に並べて設けられる。ここで、複数の第2レンズ183は、千鳥状に配置されている。すなわち、第1列R81を構成する第2レンズ183と、第2列R82を構成する第2レンズ183とは、主走査方向において互いにずれて配置されている。なお、第1列R81における第2レンズ183は、予め定めた間隔で配置されている。また、第2列R82における第2レンズ183は、第1列R81と同一の間隔で配置されている。そして、図3に示す第2レンズアレイ180では、図中上方側を向く面が第2レンズアレイ180における光の入射面となり、図中下方側を向く面が第2レンズアレイ180における光の出射面となる。
【0023】
図示の例においては、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180は、第1レンズ173および第2レンズ183の各々が互いに対向するように配置される。すなわち、各第1レンズ173の出射面と各第2レンズ183の入射面とが対峙している。さらに説明をすると、第1レンズ173の光軸と第2レンズ183の光軸とが一致するように揃えて配置されている。また、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180の各々は、例えば透光性を有する光学樹脂を用いて射出成形することにより、一体的に形成される。なお、以下の説明において、第1レンズ173の光軸と第2レンズ183の光軸とを区別する必要がない場合、単に「第1レンズ173の光軸」と呼ぶことがある。
【0024】
また、図示の例においては、第1レンズアレイ170と第2レンズアレイ180との間、換言すれば、第1レンズアレイ170における光の出射面と第2レンズアレイ180における光の入射面との間に位置する光路中には、中間結像面が形成されるようになっている。そして、この領域に中間結像面が形成されることにより、第1レンズアレイ170の入射面側から入射してきた光は、第1レンズアレイ170の出射面および第2レンズアレイ180の入射面を介して進行し、第2レンズアレイ180の出射面側に、等倍の正立実像を形成するようになっている。
【0025】
なお、図2では、第1レンズアレイ170における光の出射面と、第2レンズアレイ180における光の入射面とが、ほぼ接触するように描かれているが、実際には、これらの間には空間が存在している。そして、この空間内において、上述した中間結像面が形成される。
【0026】
<遮光フィルム110>
次に、遮光フィルム110について説明をする。遮光フィルム110は、長尺状の薄板部材である。
規制体の一例としての遮光フィルム110は、平面視略長方形状の板面111を有する。この板面111には、複数のフィルム貫通孔113が形成されている。この例において、開口の一例としての各フィルム貫通孔113は、略円形である。また、各フィルム貫通孔113の位置は、第1レンズ173および第2レンズ183に対応する。すなわち、各フィルム貫通孔113は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。また、フィルム貫通孔113は、主走査方向に沿った第1列R11および第2列R12に並べて設けられる。さらに説明をすると、第1レンズ173の光軸一つ一つ(各光軸)に、フィルム貫通孔113が各々対応している。そして、図3に示す遮光フィルム110では、図中上方側を向く面が遮光フィルム110における光の入射面となり、図中下方側を向く面が遮光フィルム110における光の出射面となる。
【0027】
図示の例においては、遮光フィルム110は、遮光壁130よりも、厚さが薄い。すなわち、遮光フィルム110は、遮光壁130よりも光軸方向の寸法が小さい。また、遮光フィルム110は、例えば黒色顔料を混ぜた樹脂材料(例えば、アクリル樹脂)により形成されている。この遮光フィルム110は、第1レンズ173および第2レンズ183の結像に寄与しない光を遮断する。さらに説明をすると、遮光フィルム110は、光軸方向において遮光壁130を挟んで第1レンズ173および第2レンズ183とは反対側、言い替えると遮光壁130の上面に設けられ、遮光壁130に進入しようとする光の一部を遮断する。なお、遮光フィルム110と遮光壁130との関係については、後で詳しく説明する。
【0028】
<遮光壁130>
図4(a)および(b)は、遮光壁130を説明するための図である。より詳細には、図4(a)は第1壁部材131Aの斜視図であり、図4(b)は第1壁部材131Aの上面図である。
図5(a)および(b)は、遮光壁130の配置を説明するための図である。より詳細には、図5(a)は第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bの位置関係を示す図であり、図5(b)は図5(a)のVBにおける拡大図である。
【0029】
次に、図3図4(a)および(b)、図5(a)および(b)を参照しながら、遮光壁130について説明をする。
図3に示すように、遮光体の一例としての遮光壁130は、各々略直方体状の2つの壁部材131、すなわち第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bを並べて構成される。さらに説明をすると、遮光壁130は、第1レンズ173の光軸を挟んで互いに対向して設けられる第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bを有する。ここで、第1壁部材131Aは第1遮光体の一例であり、第2壁部材131Bは第2遮光体の一例である。
【0030】
遮光部の一例としての第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは、例えば黒色顔料を混ぜた樹脂材料(例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂)により形成されている。なお、図示の例においては、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは同一の部材である。そこで、以下においては、第1壁部材131Aを例に詳細な構造を説明する。
【0031】
図4(a)および(b)に示すように、第1壁部材131Aは、略直方体状の部材である。この第1壁部材131Aは、長手方向が主走査方向に沿って配置される。例えば、第1壁部材131Aは、主走査方向の長さL1が300mmであり、光軸方向の長さL2が5mmであり、副走査方向の長さL3が2mmである。第1壁部材131Aは、法線が副走査方向に沿う面である第1側面133を有する。なお、この第1側面133は、第1壁部材131Aにおいて第2壁部材131B(図3参照)と対向する面として捉えることができる。
【0032】
この第1壁部材131Aは、主走査方向に複数の壁を有した櫛歯型である。さらに説明をすると、第1壁部材131Aは、第1側面133に光軸方向に沿って形成される複数の光軸溝135を有する。この複数の光軸溝135は、予め定めた間隔で主走査方向に複数並べて設けられる。複数の光軸溝135の各々は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。付言すると、主走査方向における光軸溝135の間隔は、第1レンズアレイ170における第1レンズ173の間隔、および第2レンズアレイ180における第2レンズ183の間隔と一致する。
【0033】
ここで、図4(b)に示すように、第1側面133に複数の光軸溝135が形成された第1壁部材131Aは、長手方向が主走査方向に沿って伸びる基部132と、基部132から副走査方向に突出する複数の突出部137を有する構成として捉えることができる。ここで、突出部137の先端138は、主走査方向において予め定められた間隔で配置されている。また、光軸溝135の底部139は、主走査方向において予め定められた間隔で配置されている。なお、第1壁部材131Aにおける突出部137とは、主走査方向において光軸溝135の間に挟まれる部分であって、光軸溝135の底部139を結ぶ仮想線ILから第1レンズ173の光軸側の部分をいう。また、第1壁部材131Aにおける基部132とは、光軸溝135の底部139を結ぶ仮想線ILから第1レンズ173の光軸側とは反対の側の部分をいう。図4(b)に示す例においては、基部132は平面視略長方形状の部分である。なお、本実施の形態の第1壁部材131Aにおいて、基部132が第1基部の一例であり、各突出部137が第1突出部の一例である。また、本実施の形態の第2壁部材131Bにおいて、基部132が第2基部の一例であり、各突出部137が第2突出部の一例である。
【0034】
さて、図5(a)に示すように、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bは、互いに光軸溝135が形成された面である第1側面133(図4(a)参照)を対向させて配置される。そして、図5(a)に示すように光軸方向に沿って見ると、光軸溝135は、各々第1レンズ173および第2レンズ183と一致する位置に配置される。なお、本実施の形態では、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bを対峙させて構成される遮光壁130のうち、基部132および複数の突出部137が存在しないことによって形成される空間が、透過部および窓部の一例となっている。より具体的に説明すると、基部132および複数の突出部137が存在しないことによって形成される複数の柱状の領域のそれぞれが窓部としての機能を有し、これら複数の窓部によって透過部が構成されている。なお、窓部については、円形状等からなる閉じた形状ではなく、本実施の形態のように開いた形状であってもかまわない。換言すれば、本実施の形態における窓部の概念には、枠があるもの(閉じた形状)と、枠がないもの(開いた形状)とが含まれる。なお、閉じた形状を有する窓部の例については、後述する変形例2で説明を行う。
【0035】
本実施の形態のレンズアレイユニット10では、これら第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bによって構成された遮光壁130の入射面側に、遮光フィルム110を配置している。そして、遮光壁130に設けられた上記透過部のうち、第1レンズ173の光軸の直上となる領域は、遮光フィルム110に設けられた複数のフィルム貫通孔113によって覆われることなく露出するようになっている。これに対し、遮光壁130に設けられた透過部のうち、第1レンズ173の光軸の直上以外となる領域は、遮光フィルム110に設けられた複数のフィルム貫通孔113によって覆われるようになっている。したがって、遮光フィルム110に設けられた複数のフィルム貫通孔113によって形成される開口は、遮光壁130に設けられた透過部を構成する窓部よりも狭くなっている。また、別の観点からみれば、本実施の形態の遮光フィルム110は、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bが存在しない領域のうちの一部を覆っているとみなすこともできる。したがって、レンズアレイユニット10の全体を入射面側から目視したとき、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bによって形成される、S字状の開口(窓部)を連ねてなる透過部(図5(a)参照)を視認することはできず、遮光フィルム110に設けられた複数のフィルム貫通孔113(図3参照)だけを視認できることになる。
【0036】
<レンズアレイユニット10の動作>
このようにして構成されたレンズアレイユニット10では、画像読み取り領域Laから反射してきた光が、遮光フィルム110、遮光壁130、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180を介して、受光素子74上に結像する。このとき、第1レンズアレイ170と第2レンズアレイ180との間に位置する光路中には、中間結像面が形成され、第2レンズアレイ180の出射面側に位置する受光素子74上には、等倍の正立実像が形成される。
【0037】
本実施の形態では、第1壁部材131Aおよび第2壁部材131Bからなる遮光壁130の入射面側に、遮光壁130における窓部の径よりも開口の径を狭めた遮光フィルム110を設けている。このため、例えば遮光壁130の窓部と同じ形状の開口を有する遮光フィルム110を設けた場合と比較して、画像読み取り領域Laから遮光壁130に向かう光のうち、遮光フィルム110における第1列R11と第2列R12との間の領域から入射しようとする光を規制することができる。これにより、等倍の正立実像が形成される焦点において、最も外側に位置するべき光が、遮光フィルム110によって遮られることになる。その結果、第1レンズ173および第2レンズ183の画角が狭められ、焦点深度が増加し得る。
【0038】
また、上述した構成を採用することにより、遮光フィルム110を介して遮光壁130の内部に到達した光のうち、遮光壁130の光軸溝135や底部139で反射する光の一部をカットできるため、迷光が生じにくくなる。なお、迷光とは、物体面の物点からでた光線が像面上の対応する像点以外に到達する光のことをいう。
【0039】
また、上記のように、遮光フィルム110は、黒色顔料を混ぜた樹脂材料により構成されている。このように、遮光フィルム110を黒色とすることにより、遮光フィルム110に到達した光が、遮光フィルム110において反射することが抑制される。
【0040】
<変形例1>
図6(a)乃至(d)は、遮光フィルム110の変形例を示す図である。
次に、図6(a)乃至(d)を参照しながら、遮光フィルム110の変形例について説明をする。上記の説明においては、遮光フィルム110(図6(a)参照)が、平面視略長方形状の板面111に形成された略円形のフィルム貫通孔113を有することを説明したが、これに限定されない。遮光フィルム110は、光軸方向において遮光壁130を挟んで第1レンズ173および第2レンズ183とは反対側に設けられ、遮光壁130に進入する光の一部を遮断する構成であれば、その形状は特に限定されない。すなわち、規制体に設けられる開口の形状については、図3に示すような円形状等からなる閉じた形状ではなく、U字状等からなる開いた形状であってもかまわない。換言すれば、本実施の形態における開口の概念には、枠があるもの(閉じた形状)と、枠がないもの(開いた形状)とが含まれる。
【0041】
例えば、図6(b)に示す遮光フィルム210のように、平面視略長方形状の板面211に形成された略半円状の貫通孔213を有する構成であってもよい。ここで、図6(b)に示す遮光フィルム210は、遮光フィルム110(図6(a)参照)の幅方向両端を切り落とした形状と捉えることができる。例えば、遮光フィルム110の幅方向長さW1が2mmとすると、遮光フィルム210の幅方向長さW2は0.75mmとなる。
【0042】
また、図6(c)に示す遮光フィルム310のように、平面視略長方形状の板面311に形成された貫通孔313を有する構成であってもよい。貫通孔313は、略半円、より具体的には、半円よりも領域が狭い円弧と弦によって形成される所謂弓形である。図6(c)に示す遮光フィルム310は、遮光フィルム110(図6(a)参照)の幅方向両端を切り落とした形状と捉えることができる。例えば、遮光フィルム110の幅方向長さW1が2mmとすると、遮光フィルム310の幅方向長さW3は0.6mmとなる。
【0043】
また、図6(d)に示す遮光フィルム410のように、平面視略長方形状であってもよい。すなわち、フィルム貫通孔113(図6(a)参照)を有しない構成であってもよい。遮光フィルム410は、副走査方向における第1レンズ173の第1列R71および第2列R72の間において、第1列R71および第2列R72に沿って配置される長尺状部材として捉えることができる。例えば、遮光フィルム410の幅方向長さW4は0.18mmである。
【0044】
図7(a)および(b)は、遮光フィルム110の形状を変化させたシミュレーション結果を示す図である。より詳細には、図7(a)は、遮光フィルム110の形状を変化させた場合における、主走査方向における焦点深度のシミュレーション結果を示す図である。また、図7(b)は、遮光フィルム110の形状を変化させた場合における、副走査方向における焦点深度のシミュレーション結果を示す図である。
【0045】
なお、図7(a)および(b)における解像度は、書き込む線画像データの濃度コントラストを100%とした場合の、原稿G上の読取画像の濃度コントラストの相対値である。また、シミュレ―ションの条件としては、図2に示すレンズアレイユニット10のように、遮光壁130、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180をこの順に積層したものに対して、各形状の遮光フィルム110を配置することとした。
【0046】
なお、「半円0.6」とは、遮光フィルム110の副走査方向の両側を切り落とし、遮光フィルム110の幅方向長さを0.6mmとしたものである。また、比較対象として、遮光フィルム110を設けない条件を「フィルム無し」とした。また、「線0.18」は図6(d)の遮光フィルム410であり、「半円0.6」は図6(c)の遮光フィルム310であり、「半円0.75」は図6(b)の遮光フィルム210であり、「円」は図6(a)の遮光フィルム110である。
【0047】
次に、図6(a)乃至(d)、図7(a)および(b)を参照しながら、遮光フィルム110の形状を変化させた際のシミュレーション結果について説明をする。
図7(a)および(b)に示すように、上記遮光フィルム110、210、310、410、および「半円0.65」の遮光フィルム(不図示)の各々において、主走査方向における焦点深度、および副走査方向における焦点深度をシミュレーションした。
【0048】
図7(a)および(b)によれば、「線0.18」、「半円0.6」、「半円0.65」、「半円0.75」、および「円」のいずれにおいても、「フィルム無し」と比較して、より大きな焦点深度が得られた。すなわち、遮光フィルム110を配置することによって、レンズアレイユニット10の光学性能(ここでは焦点深度)が向上することが確認された。なお、「線0.18」である遮光フィルム410においては、図7(b)に示す副走査方向における焦点深度が「フィルム無し」と比較して大きくなることが確認された。
【0049】
<変形例2>
図8は、遮光壁130の変形例を説明するための図であって、変形例の遮光壁130を含むレンズアレイユニット10の分解斜視図である。図8に示すレンズアレイユニット10は、遮光壁130以外の構成要素(遮光フィルム110、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180)については、図3に示したものと基本的に同じであるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0050】
<遮光壁130>
図8に示すように、遮光体の一例としての遮光壁130は、単体の壁部材131によって構成されている。さらに説明をすると、遮光壁130は、複数の壁貫通孔134が設けられた壁部材131を有している。
【0051】
遮光部の一例としての壁部材131は、例えば黒色顔料を混ぜた樹脂材料(例えば、ポリカーボネートやアクリル樹脂)により構成されている。そして、壁部材131は、略直方体状の部材であり、長手方向が主走査方向に沿って配置される。
【0052】
遮光壁130に設けられる複数の壁貫通孔134は、略円形である。また、各壁貫通孔134の位置は、第1レンズ173および第2レンズ183に対応する。すなわち、各壁貫通孔134は、第1レンズ173の光軸が通過する位置に形成されている。また、壁貫通孔134は、主走査方向に沿った第1列R31および第2列R32に並べて設けられる。さらに説明をすると、第1レンズ173の光軸一つ一つ(各光軸)に壁貫通孔134がそれぞれ対応している。これを別の観点からみれば、遮光壁130に設けられる各壁貫通孔134は、遮光フィルム110に設けられる各フィルム貫通孔113にそれぞれ対応している。このとき、遮光壁130の第1列R31は遮光フィルム110の第1列R11に対応し、遮光壁130の第2列R32は遮光フィルム110の第2列R12に対応する。
【0053】
したがって、レンズアレイユニット10を構成した状態では、遮光フィルム110に設けられた各フィルム貫通孔113(開口の一例)と、遮光壁130に設けられた各壁貫通孔134(窓部の一例)とが、光軸方向において重なるようになっている。
【0054】
<遮光壁130と遮光フィルム110との関係>
図9(a)および(b)は、遮光壁130の変形例における壁貫通孔134とフィルム貫通孔113との関係とを説明するための図である。より詳細には、図9(a)は、遮光壁130に設けられた壁貫通孔134の内径である壁貫通孔径D3を説明するための図である。また、図9(b)は、遮光フィルム110に設けられたフィルム貫通孔113の内径であるフィルム貫通孔径D1を説明するための図である。
【0055】
この例の場合、遮光壁130に設けられる各壁貫通孔134の形状は円形である。また、遮光フィルム110に設けられる各フィルム貫通孔113の形状も円形である。ただし、図9(a)および(b)に示したように、各フィルム貫通孔113の内径であるフィルム貫通孔径D1は、各壁貫通孔134の内径である壁貫通孔径D3よりも小さい(D1<D3)。そして、遮光フィルム110と遮光壁130とを重ねた状態において、遮光フィルム110に設けられた各フィルム貫通孔113の周縁は、遮光壁130に設けられた各壁貫通孔134の周縁よりも内側までを覆う。したがって、レンズアレイユニット10の全体を入射面側から目視したとき、壁部材131に形成される複数の壁貫通孔134を直接に視認することはできず、遮光フィルム110に設けられた複数のフィルム貫通孔113を介して視認することになる。
【0056】
<レンズアレイユニット10の動作>
図8に示すレンズアレイユニット10においても、図3に示すレンズアレイユニット10と基本的に同様の動作を行う。すなわち、レンズアレイユニット10では、画像読み取り領域Laから反射してきた光が、遮光フィルム110、遮光壁130、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180を介して、受光素子74上に結像する。このとき、第1レンズアレイ170と第2レンズアレイ180との間に位置する光路中には、中間結像面が形成され、第2レンズアレイ180の出射面側に位置する受光素子74上には、等倍の正立実像が形成される。
【0057】
図10(a)および(b)は、レンズアレイユニット10における遮光壁130および遮光フィルム110の有無と焦点深度との関係を説明するための図である。より詳細には、図10(a)は、遮光壁130および遮光フィルム110が存在しない場合における焦点深度を説明するための図であり、図10(b)は、遮光壁130および遮光フィルム110が存在する場合における焦点深度を説明するための図である。なお、図10(a)および(b)は、主走査方向に隣接する2つのレンズ(第1レンズ173および第2レンズ183)に対する光の入射および出射を例示している。また、図10(b)は、遮光壁130によって形成される窓部よりも、遮光壁130を覆う遮光フィルム110によって形成される開口の方が狭くなっている場合を例示している。
【0058】
まず、図10(a)を参照しながら、従来の構成の場合について説明を行う。
画像読み取り領域Laで反射した光は、入射光Liとして、隣接する2つの第1レンズ173に向かう。なお、ここでは、便宜上、入射光Liを、第1の光L1、第2の光L2および第3の光L3に分けて説明を行う。ここで、第1の光L1は、入射光Liのうち、隣り合う2つの第1レンズ173の境界部側に向かう光をいう。また、第2の光L2は、入射光Liのうち、上記第1の光L1と主走査方向に隣接する光であって、隣り合う2つの第1レンズ173の各中央部側に向かう光をいう。さらに、第3の光L3は、入射光Liのうち、上記第2の光L2と主走査方向に隣接する光であって、隣り合う2つの第1レンズ173の境界部とは反対となる各端部側に向かう光をいう。
【0059】
各第1レンズ173の入射面から入射した入射光L1は、それぞれの出射面から出射される。各第1レンズ173の出射面から出射される光は、各第1レンズ173の入射面側と同じく、第1レンズ173同士の境界部側からみて、第1の光L1、第2の光L2および第3の光L3の順となっている。そして、各第1レンズ173を通過した光は、各第1レンズ173の作用によって集光され、各第1レンズ173と各第2レンズ183との間の空間で中間結像面を形成し、その後、拡散しつつ隣接する2つの第2レンズ183へと向かう。各第2レンズ183の入射面に入射する光は、第2レンズ183同士の境界部側からみて、第3の光L3、第2の光L2および第1の光L1の順となっている。このように、各第1レンズ173の入射面側と各第2レンズ183の入射面側とで、第1の光L1~第3の光L3の順が反転している。
【0060】
各第2レンズ183の入射面から入射した光は、それぞれの出射面から出射される。ここでは、各第2レンズ183の出射面から出射される光を、出射光Loと称する。各第2レンズ183の出射面側において、出射光Loは、各第2レンズ183の入射面側と同じく、第2レンズ183同士の境界部側からみて、第3の光L3、第2の光L2および第1の光L1の順となっている。そして、各第2レンズ183を通過した出射光Loは、各第2レンズ183の作用によって集光され、各第2レンズ183の出射面側(受光素子74側)で等倍の正立実像を形成する。このように、従来の構成の場合、第1の光L1、第2の光L2および第3の光L3の三者によって構成された出射光Loが、等倍の正立実像を形成することになる。なお、出射光Loが集光時になす角度を集光角度θという。
【0061】
次に、図10(b)を参照しながら、変形例2の構成の場合について説明を行う。
画像読み取り領域Laで反射した光は、第1の光L1、第2の光L2および第3の光L3を含む入射光Liとして、隣接する2つの第1レンズ173へと向かう。ただし、こちらの場合には、各第1レンズ173の入射面側に遮光壁130および遮光フィルム110が設けられている。このため、上記入射光Liのうち、最も内側に位置する第1の光L1は、遮光フィルム110に遮られることになる。その結果、入射光Liのうちの第2の光L2および第3の光L3が、隣接する2つの第1レンズ173まで到達する。
【0062】
各第1レンズ173の入射面から入射した第2の光L2および第3の光L3は、それぞれの出射面から出射される。各第1レンズ173の出射面から出射される光は、各第1レンズ173の入射面側と同じく、第1レンズ173同士の境界部側からみて、第2の光L2および第3の光L3の順となっている。そして、各第1レンズ173を通過した光は、各第1レンズ173の作用によって集光され、各第1レンズ173と各第2レンズ183との間の空間で中間結像面を形成し、その後、拡散しつつ隣接する2つの第2レンズ183へと向かう。各第2レンズ183の入射面に入射する光は、第2レンズ183同士の境界部側からみて、第3の光L3および第2の光L2の順となっている。このように、各第1レンズ173の入射面側と各第2レンズ183の入射面側とで、第2の光L2および第3の光L3の順が反転している。
【0063】
各第2レンズ183の入射面から入射した光は、それぞれの出射面から出射光Loとして出射される。各第2レンズ183の出射面側において、出射光Loは、各第2レンズ183の入射面側と同じく、第2レンズ183同士の境界部側からみて、第3の光L3および第2の光L2の順となっている。そして、各第2レンズ183を通過した出射光Loは、各第2レンズ183の作用によって集光され、各第2レンズ183の出射面側(受光素子74側)で等倍の正立実像を形成する。このように、変形例2の構成の場合、第1の光L1を除いた第2の光L2および第3の光L3の二者によって構成された出射光Loが、等倍の正立実像を形成することになる。また、こちらの場合、遮光フィルム110および遮光壁130を設けたことにより、結果として、出力光Loにおいて最も外側に位置するはずの第1の光L1が出力光Loから除外されるため、集光角度θは図10(a)に示す従来の場合よりも小さくなり、焦点深度をより深くする(大きくする)ことが可能となる。
【0064】
<変形例3>
上述した変形例では、遮光壁130に設けられる壁貫通孔134が円形状であるのに合わせて、遮光フィルム110に設けられるフィルム貫通孔113も円形状としていたが、これに限られるものではない。
【0065】
図11(a)および(b)は、遮光フィルム110の変形例における壁貫通孔134とフィルム貫通孔113との関係とを説明するための図である。より詳細には、図11(a)は、遮光壁130に設けられた壁貫通孔134を説明するための図である。また、図4(b)は、遮光フィルム110に設けられたフィルム貫通孔113を説明するための図である。なお、レンズアレイユニット10における遮光フィルム110以外の構成要素(遮光壁130、第1レンズアレイ170および第2レンズアレイ180)については、図8に示したものと基本的に同じであるため、ここではその詳細な説明を省略する。
【0066】
この例では、遮光壁130に設けられる壁貫通孔134が円形状であるのに対し、遮光フィルム110に設けられるフィルム貫通孔113は非円形状としている。より詳細に説明すると、遮光フィルム110に設けられるフィルム貫通孔113は、副走査方向の両端部については略円形状とする一方、主走査方向の両端部については略直線状としている。これにより、入射光Liのうち、各第1レンズ173の主走査方向両端部側に向かう光を規制するようになっている。
【0067】
図9に示す構成を採用した場合、遮光フィルム110に設けられるフィルム貫通孔113の面積が小さくなるため、得られる等倍の正立実像における光量が不足する懸念がある。これに対し、図11に示す構成を採用することにより、遮光フィルム110に設けられるフィルム貫通孔113の面積を、図9に示す構成を採用した場合よりも大きく確保することが可能となる分、得られる等倍の正立実像における光量が不足することを抑制することができる。また、図11に示す構成を採用することにより、あるフィルム貫通孔113に入射した光が、このフィルム貫通孔113と主走査方向に隣接する他のフィルム貫通孔113に対応して設けられた第1レンズ173に入射する、といった事態が生じにくくなる。
【0068】
<その他>
なお、上述した各実施の形態では、黒色顔料を混ぜた樹脂材料からなる遮光フィルム110を用いていたが、これに限られるものではない。例えば、透明な樹脂材料からなるフィルムに、印刷等によって黒色顔料を塗布してなる遮光フィルム110を用いてもよい。この場合は、遮光フィルム110の特定の箇所に穴あけを施すことによって光を透過させる透光部を設けてもよいし、遮光フィルム110の特定の箇所に印刷を行わないことによって透光部を設けてもよい。
【0069】
また、上述した各実施の形態では、遮光壁130に空間(貫通孔)を設けることによって透過部を構成していたが、これに限られるものではない。遮光壁130を、例えば透光性を有しない樹脂等からなる遮光部と透光性を有する樹脂等からなる透過部との組み合わせによって構成したり、透明部材の表面に透過部と遮光部とを印刷することによって構成したりしてもかまわない。
【0070】
また、上述した各実施の形態では、2つのレンズアレイ(第1、第2レンズアレイ170、180)を用いてレンズ体を構成していたが、これに限られるものではない。すなわち、等倍の正立実像を形成するための中間結像面が光路中に形成されるものであれば、レンズアレイの数は1つであってもよいし3つ以上であってもかまわない。
【0071】
また、上述した各実施の形態では、第1レンズアレイ170を構成する複数の第1レンズ173および第2レンズアレイ180を構成する複数の第2レンズ183を、それぞれ2列に並べて配置していたが、これに限られるものではない。例えば、これらをそれぞれ3列以上としてもかまわない。
【0072】
また、上述した各実施の形態では、遮光フィルム110と遮光壁130とを別々に構成していたが、これらを一体に成形してもよいし、原稿側(入射面側)に狭くなるような形で成形してもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…原稿読取装置、10…レンズアレイユニット、100…画像形成装置、110…遮光フィルム、111…板面、113…フィルム貫通孔、130…遮光壁、131A…第1壁部材、131B…第2壁部材、132…基部、134…壁貫通孔、135…光軸溝、137…突出部、170…第1レンズアレイ、171…第1支持体、173…第1レンズ、180…第2レンズアレイ、181…第2支持体、183…第2レンズ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11