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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】結束機
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/12 20060101AFI20240130BHJP
   B65B 13/18 20060101ALI20240130BHJP
   B65B 13/28 20060101ALI20240130BHJP
   B21F 15/06 20060101ALI20240130BHJP
   B25B 25/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
E04G21/12 105E
B65B13/18 G
B65B13/28
B21F15/06
B25B25/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020021026
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2021127568
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-12-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】森村 好一郎
(72)【発明者】
【氏名】草刈 一郎
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-330507(JP,A)
【文献】特開平06-156420(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0132312(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G21/12
B65B13/18-13/28
B21F15/06
B25B25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤを送るワイヤ送り部と、
前記ワイヤ送り部で送られるワイヤを結束物の周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部と、
結束物に巻き付けられたワイヤを切断する切断部と、
結束物に巻き付けられたワイヤを捩じる結束部と、
前記結束部を駆動するモータと、
前記モータを制御する制御部とを備え、
前記結束部は、
前記モータに駆動される回転軸と、
ワイヤを係止すると共に、前記回転軸と共に回転してワイヤを捩じるワイヤ係止体と、
前記ワイヤ係止体の回転を規制する回転規制部とを備え、
前記制御部は、
前記ワイヤ係止体の回転方向に沿った位置、及び、前記回転規制部で前記ワイヤ係止体の回転を規制し得る位置に基づき、ワイヤを捩じる方向に回転する前記モータの停止を制御する
結束機。
【請求項2】
前記ワイヤ係止体の回転方向の位置を検知する回転方向位置検知部を備え、
前記制御部は、前記回転方向位置検知部で検知される前記ワイヤ係止体の回転方向の位置に基づき、ワイヤを捩じる方向に回転する前記モータの停止を制御する
請求項1に記載の結束機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
鉄筋等の結束物をワイヤで結束する結束機に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート建造物には強度を向上させるために鉄筋が使用されており、コンクリート打設時に鉄筋が所定の位置からずれないように、ワイヤで結束している。
【0003】
従来から、2本以上の鉄筋にワイヤを巻き、鉄筋に巻いたワイヤを捩じって当該2本以上の鉄筋をワイヤで結束する鉄筋結束機と称す結束機が提案されている。結束機は、モータの駆動力で送られるワイヤを、カールガイド等と称すワイヤに巻き癖を付けるガイドを通すことで鉄筋の周囲に巻いている。この巻き癖が付けられたワイヤを、誘導ガイド等と称すガイドで、ワイヤを捩じる結束部に誘導し、鉄筋の周囲に巻かれたワイヤを結束部で捩じることで、鉄筋がワイヤで結束される。
【0004】
鉄筋をワイヤで結束する場合、結束が緩いと、鉄筋同士がずれてしまうため、鉄筋同士を強固に保持することが求められている。そこで、所定の負荷トルクまでねじり軸を回転させることができる手段が考案されている(例えば、特許文献1参照)。また、駆動トルクの変化率を用いることで、ねじり締めの際にワイヤがねじ切れず、緩い結束を防止する手段が考案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平5-330507号公報
【文献】特許3227693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ねじり軸と共に回転するスリーブの外周に複数の突起を備えると共に、突起と係止するストッパを備えて、スリーブの回転を規制する構成では、所定の負荷トルクまでねじり軸を正回転させてモータを停止させると、突起の間隔に応じて、スリーブが逆回転し得る状態となる。このため、モータを停止させると、スリーブの回転が停止した位置に応じて、突起からストッパまでの距離が変動するため、回転方向に並列する突起の間で、突起からストッパまでの距離が離れた位置でモータの回転が停止すると、ワイヤが大きく緩む可能性がある。
【0007】
本発明は、このような課題を解決するためなされたもので、捩じられたワイヤが緩むことを抑制できるようにした結束機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するため、本発明は、ワイヤを送るワイヤ送り部と、ワイヤ送り部で送られるワイヤを結束物の周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部と、結束物に巻き付けられたワイヤを切断する切断部と、結束物に巻き付けられたワイヤを捩じる結束部と、結束部を駆動するモータと、モータを制御する制御部とを備え、結束部は、モータに駆動される回転軸と、ワイヤを係止すると共に、回転軸と共に回転してワイヤを捩じるワイヤ係止体と、ワイヤ係止体の回転を規制する回転規制部とを備え、制御部は、ワイヤ係止体の回転方向に沿った位置、及び、回転規制部でワイヤ係止体の回転を規制し得る位置に基づき、ワイヤを捩じる方向に回転するモータの停止を制御する結束機である。
【0009】
本発明では、ワイヤを捩じる方向に回転するモータを停止させるタイミングであると判断すると、回転規制部でワイヤ係止体の回転を規制し得る位置までのワイヤ係止体の回転量が最小となる位置までのモータの回転量を求め、当該回転量モータを回転させてから、モータを停止させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明では、ワイヤ係止体が逆転する量が抑制され、ワイヤの捩じられた部位が緩むことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た構成図である。
図2A】第1の実施の形態の結束部の一例を示す斜視図である。
図2B】第1の実施の形態の結束部の一例を示す断面平面図である。
図3】鉄筋結束機の第1の実施の形態の制御機能の一例を示すブロック図である。
図4】鉄筋同士の結束力を示すグラフである。
図5A】第2の実施の形態の結束部の一例を示す側面図である。
図5B】第2の実施の形態の結束部の一例を示す断面図である。
図6】鉄筋結束機の第2の実施の形態の制御機能の一例を示すブロック図である。
図7A】第3の実施の形態の結束部の一例を示す上面図である。
図7B】第3の実施の形態の結束部の一例を示す断面図である。
図8】鉄筋結束機の第3の実施の形態の制御機能の一例を示すブロック図である。
図9A】第4の実施の形態の結束部の一例を示す斜視図である。
図9B】第4の実施の形態の結束部の一例を示す上面図である。
図10A】第4の実施の形態の結束部の動作の一例を示す断面図である。
図10B】第4の実施の形態の結束部の動作の一例を示す断面図である。
図11】第5の実施の形態の結束部の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の結束機の実施の形態としての鉄筋結束機の一例について説明する。
【0017】
<鉄筋結束機の構成例>
図1は、鉄筋結束機の全体構成の一例を示す側面から見た構成図である。鉄筋結束機1Aは、作業者が手に持って使用する形態であり、本体部10Aとハンドル部11Aを備える。
【0018】
また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤWを矢印Fで示す正方向に送り、結束物である鉄筋Sの周囲に巻き回し、鉄筋Sの周囲に巻き回されたワイヤWを、矢印Rで示す逆方向に送って鉄筋Sに巻き付けた後、ワイヤWを捩じり、鉄筋SをワイヤWで結束する。
【0019】
鉄筋結束機1Aは、上述した機能を実現するため、ワイヤWが収容されるマガジン2Aと、ワイヤWを送るワイヤ送り部3Aを備える。また、鉄筋結束機1Aは、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWを鉄筋Sの周囲に巻き回す経路を構成するカール形成部5Aと、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを切断する切断部6Aを備える。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sに巻き付けられたワイヤWを捩じる結束部7Aと、結束部7Aを駆動する駆動部8Aを備える。
【0020】
マガジン2Aは収容部の一例で、長尺状のワイヤWが繰り出し可能に巻かれたリール20が回転、着脱可能に収納される。ワイヤWは、塑性変形し得る金属線で構成されたワイヤ、金属線が樹脂で被覆されたワイヤ、あるいは撚り線のワイヤが使用される。リール20は、1本または複数本のワイヤWが図示しないハブ部に巻かれ、リール20から1本または同時に複数本のワイヤWを引き出せるようになっている。
【0021】
ワイヤ送り部3Aは、1本または並列された複数本のワイヤWを挟持して送る一対の送りギア30を備える。ワイヤ送り部3Aは、図示しない送りモータの回転動作が伝達されて送りギア30が回転する。これにより、ワイヤ送り部3Aは、一対の送りギア30の間に挟持したワイヤWを、ワイヤWの延在方向に沿って送る。複数本、例えば2本のワイヤWを送る構成では、2本のワイヤWが並列された状態で送られる。
【0022】
ワイヤ送り部3Aは、図示しない送りモータの回転方向の正逆を切り替えることで、送りギア30の回転方向が切り替えられ、ワイヤWの送り方向の正逆が切り替えられる。
【0023】
カール形成部5Aは、ワイヤ送り部30で送られるワイヤWに巻き癖をつけるカールガイド50と、カールガイド50で巻き癖を付けられたワイヤWを結束部7Aに誘導する誘導ガイド51を備える。鉄筋結束機1Aでは、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWの経路がカール形成部5Aで規制されることで、ワイヤWの軌跡が図1に破線で示すようなループRuとなり、ワイヤWが鉄筋Sの周囲に巻き回される。
【0024】
切断部6Aは、固定刃部60と、固定刃部60との協働でワイヤWを切断する可動刃部61と、結束部7Aの動作を可動刃部61に伝達する伝達機構62を備える。切断部6Aは、固定刃部60を支点軸とした可動刃部61の回転動作でワイヤWを切断する。伝達機構62は、結束部7Aの動作を、移動部材83を介して可動刃部61に伝達し、結束部7Aの動作と連動して可動刃部61を回転させ、ワイヤWを切断する。
【0025】
結束部7Aは、ワイヤWが係止されるワイヤ係止体70を備える。結束部7Aの詳細な実施形態は後述する。駆動部8Aは、モータ80と、減速及びトルクの増幅を行う減速機81を備える。
【0026】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤ係止体70で係止されるワイヤWの送り経路に、ワイヤWの先端が突き当てられる送り規制部90を備える。また、鉄筋結束機1Aは、上述したカール形成部5Aのカールガイド50と誘導ガイド51が、本体部10Aの前側の端部に設けられる。更に、鉄筋結束機1Aは、鉄筋Sが突き当てられる突き当て部91が、本体部10Aの前側の端部で、カールガイド50と誘導ガイド51との間に設けられる。
【0027】
また、鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11Aが本体部10Aから下方向に延在する。更に、ハンドル部11Aの下部にバッテリ15Aが着脱可能に取り付けられる。また、鉄筋結束機1Aは、マガジン2Aがハンドル部11Aの前方に設けられる。鉄筋結束機1Aは、上述したワイヤ送り部3A、切断部6A、結束部7A,結束部7Aを駆動する駆動部8A等が本体部10Aに収納される。
【0028】
鉄筋結束機1Aは、ハンドル部11Aの前側にトリガ12Aが設けられ、ハンドル部11Aの内部にスイッチ13Aが設けられる。また、本体部10Aに制御部を構成する回路が実装された基板100が設けられる。
【0029】
<第1の実施の形態の結束部の構成例>
図2Aは、第1の実施の形態の結束部の一例を示す斜視図、図2Bは、第1の実施の形態の結束部の一例を示す断面平面図であり、次に、各図を参照して、第1の実施の形態の結束部の構成について説明する。
【0030】
結束部7Aは、ワイヤWが係止されるワイヤ係止体70と、ワイヤ係止体70を作動させる回転軸72を備える。結束部7Aと駆動部8Aは、回転軸72とモータ80が減速機81を介して連結され、回転軸72が、減速機81を介してモータ80に駆動される。
【0031】
ワイヤ係止体70は、回転軸72と連結されるセンターフック70Cと、センターフック70Cに対して開閉する第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rと、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rを作動させると共に、ワイヤWを所望の形状に成形するスリーブ71とを備える。
【0032】
結束部7Aにおいて、センターフック70C及び第1のサイドフック70L、第2のサイドフック70Rが設けられた側を前側、回転軸72が減速機81と連結される側を後側とする。
【0033】
センターフック70Cは、回転軸72の一方の端部である前端に、回転軸72に対して回転可能、かつ、回転軸72と一体的に軸方向への移動が可能な構成を介して連結される。
【0034】
第1のサイドフック70Lは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である先端側が、センターフック70Cに対して一方の側部に位置する。また、第1のサイドフック70Lは、回転軸72の軸方向に沿った他方の端部である後端側が、センターフック70Cに軸71bで回転可能に支持される。
【0035】
第2のサイドフック70Rは、回転軸72の軸方向に沿った一方の端部である先端側が、センターフック70Cに対して他方の側部に位置する。また、第2のサイドフック70Rは、回転軸72の軸方向に沿った他方の端部である後端側が、センターフック70Cに軸71bで回転可能に支持される。
【0036】
これにより、ワイヤ係止体70は、軸71bを支点とした回転動作で、第1のサイドフック70Lの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。また、第2のサイドフック70Rの先端側がセンターフック70Cに対して離接する方向に開閉する。
【0037】
回転軸72は、減速機81と一体的に回転可能、かつ、減速機81に対して軸方向に移動可能とする構成を有した連結部72bを介して、他方の端部である後端が減速機81に連結される。連結部72bは、回転軸72を減速機81に近づく方向である後方へ付勢するバネ72cを備える。これにより、回転軸72は、バネ72cにより後方へ引っ張られる力を受けながら、減速機81から離れる方向である前方へ移動可能に構成される。
【0038】
スリーブ71は、支持枠76により回転及び軸方向に摺動可能に支持される。支持枠76は、環状の部材であり、周方向に回転不可及び軸方向に移動不可となる形態で、本体部10Aに取り付けられる。
【0039】
スリーブ71は、回転軸72が挿入される空間の内周面に突出する図示しない凸部を有し、この凸部が、回転軸72の外周に軸方向に沿って形成された送りネジ72aの溝部に入る。スリーブ71は、回転軸72が回転すると、図示しない凸部と回転軸72の送りネジ72aの作用により、回転軸72の軸方向に沿った方向である前後方向へ、回転軸72の回転方向に応じて移動する。また、スリーブ71は、回転軸72と一体的に回転する。
【0040】
スリーブ71は、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rを開閉する開閉ピン71aを備える。
【0041】
開閉ピン71aは、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rに設けられた開閉ガイド孔73に挿入される。開閉ガイド孔73は、スリーブ71の移動方向に沿って延在し、スリーブ71と連動して移動する開閉ピン71aの直線方向の動きを、軸71bを支点とした第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rの回転による開閉動作に変換する形状を有する。
【0042】
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印A2で示す後方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cから離れる方向に移動する。
【0043】
これにより、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、センターフック70Cに対して開き、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間、第2のサイドフック70Rとセンターフック材70Cとの間に、ワイヤWが通る送り経路が形成される。
【0044】
第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、センターフック70Cに対して開いた状態では、ワイヤ送り部3Aで送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lの間を通る。センターフック70Cと第1のサイドフック70Lとの間を通るワイヤWは、カール形成部5Aに誘導される。そして、カール形成部5Aで巻き癖が付けられ、結束部7Aに誘導されたワイヤWは、センターフック70Cと第2のサイドフック70Rの間を通る。
【0045】
ワイヤ係止体70は、スリーブ71が矢印A1で示す前方向に移動することで、開閉ピン71aの軌跡と開閉ガイド孔73の形状により、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、軸71bを支点とした回転動作でセンターフック70Cに近づく方向に移動する。これにより、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが、センターフック70Cに対して閉じる。
【0046】
第1のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。また、第2のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0047】
スリーブ71は、ワイヤWの一方の端部である先端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c1と、切断部6Aで切断されたワイヤWの他方の端部である終端側を所定の方向に押して曲げることで、ワイヤWを所定の形状に成形する曲げ部71c2を備える。
【0048】
スリーブ71は、矢印A1で示す前方向に移動することで、センターフック70Cと第2のサイドフック70Rで係止されたワイヤWの先端側を曲げ部71c1で押して、鉄筋S側へ曲げる。また、スリーブ71は、矢印A1で示す前方向に移動することで、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lで係止され、切断部6Aで切断されたワイヤWの終端側を曲げ部71c2で押して、鉄筋S側へ曲げる。
【0049】
結束部7Aは、回転軸72の回転動作と連動したワイヤ係止体70及びスリーブ71の回転を規制する回転規制部74を備える。回転規制部74は、スリーブ71に回転規制羽根74aが設けられ、本体部10Aに回転規制規制爪74bが設けられる。
【0050】
回転規制羽根74aは、スリーブ71の外周から径方向に突出する複数の凸部を、スリーブ71の周方向に所定の間隔で設けて構成される。本例では、45°間隔で8枚の回転規制羽根74aが形成される。回転規制羽根74aは、スリーブ71に固定され、スリーブ71と一体的に移動、回転する。
【0051】
回転規制爪74bは、回転規制羽根74aが通過可能な間隔で対向する一対の爪部として第1の爪部74b1及び第2の爪部74b2を備える。第1の爪部74b1及び第2の爪部74b2は、回転規制羽根74aの回転方向に応じて回転規制羽根74aに押されることで、回転規制羽根74aの軌跡上から退避可能に構成される。
【0052】
回転規制部74は、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する第1の動作域、及び、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWを捩じるまでの第2の動作域の中で、スリーブ71の曲げ部71c1、71c2でワイヤWを折り曲げてワイヤWを成形する動作域では、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止される。これにより、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制され、回転軸72の回転動作でスリーブ71が前後方向へ移動する。また、回転規制部74は、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWを捩じるまでの第2の動作域の中で、ワイヤWを捩じる動作域では、回転規制羽根74aの回転規制爪74bとの係止が解除され、回転軸72の回転に連動してスリーブ71が回転する。ワイヤ係止体70は、スリーブの回転と連動して、ワイヤWを係止したセンターフック70C、第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが回転する。
【0053】
図3は、鉄筋結束機の第1の実施の形態の制御機能の一例を示すブロック図である。鉄筋結束機1Aは、図1に示すトリガ12Aの操作で押されるスイッチ13Aの状態に応じて、制御部14Aがモータ80及び送りギア30を駆動する送りモータ31を制御する。
【0054】
モータ80はブラシレスモータであり、制御部14Aは、モータ80の回転量(回転角度)を認識、制御可能である。そこで、制御部14Aは、モータ80に掛かる負荷を検知し、負荷が最大となったことを検知すると、モータ80の回転を停止させるまでのモータ80の回転量を、回転規制爪74bの位置に基づき求める。そして、負荷が最大となったことを検知してから、所定量モータ80を回転させた後、モータ80の正転を停止させる。
【0055】
<鉄筋結束機の動作例>
次に、各図を参照して、鉄筋結束機1Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。
【0056】
鉄筋結束機1Aは、ワイヤWが一対の送りギア30の間に挟持され、このワイヤWの先端が、送りギア30の挟持位置と、切断部6Aの固定刃部60との間に位置した状態が待機状態となる。また、鉄筋結束機1Aは、待機状態では、図2A図2Bに示すように、第1のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して開き、第2のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して開いた状態である。
【0057】
鉄筋Sがカール形成部5Aのカールガイド50と誘導ガイド51との間に入れられ、トリガ12Aが操作されると、制御部14Aは、送りモータ31を正回転方向に駆動し、ワイヤ送り部3AでワイヤWを矢印Fで示す正方向に送る。
【0058】
複数本、例えば2本のワイヤWを送る構成の場合、図示しないワイヤガイドにより、2本のワイヤWが当該ワイヤWにより形成されるループRuの軸方向に沿って並列された状態で送られる。
【0059】
正方向に送られるワイヤWは、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lの間を通り、カール形成部5Aのカールガイド50に送られる。ワイヤWは、カールガイド50を通ることで、鉄筋Sの周囲に巻き回される巻き癖が付けられる。
【0060】
カールガイド50で巻き癖が付けられたワイヤWは、誘導ガイド51に誘導され、更にワイヤ送り部3Aで正方向に送られることで、誘導ガイド51によりセンターフック70Cと第2のサイドフック70Rの間に誘導される。そして、ワイヤWは、先端が送り規制部90に突き当てられるまで送られる。ワイヤWの先端が送り規制部90に突き当てられる位置まで送られると、制御部14Aは、送りモータ31の駆動を停止する。
【0061】
ワイヤWの正方向への送りを停止した後、制御部14Aは、モータ80を正回転方向に駆動する。スリーブ71は、ワイヤ係止体70でワイヤWを係止する第1の動作域では、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止されることで、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制される。これにより、スリーブ71は、モータ80の回転が直線移動に変換され、前方向である矢印A1方向に移動する。
【0062】
スリーブ71が前方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73を通過する。これにより、第1のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第1のサイドフック70Lがセンターフック70Cに対して閉じると、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cとの間を移動することが可能な形態で係止される。
【0063】
また、第2のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cに近づく方向に移動する。第2のサイドフック70Rがセンターフック70Cに対して閉じると、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間に挟まれたワイヤWが、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止される。
【0064】
第1のサイドフック70L及び第2のサイドフック70Rが閉じる動作でワイヤWを係止する位置までスリーブ71を前進させた後、制御部14Aは、モータ80の回転を一時停止し、送りモータ31を逆回転方向に駆動する。これにより、一対の送りギア30が逆転する。
【0065】
よって、一対の送りギア30の間に挟持されたワイヤWが、矢印Rで示す逆方向に送られる。ワイヤWの先端側が、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間から抜けない形態で係止されているので、ワイヤWを逆方向に送る動作で、ワイヤWは鉄筋Sに巻き付けられる。
【0066】
ワイヤWを鉄筋Sに巻き付ける位置までワイヤWを引き戻し、制御部14Aは、送りモータ31の逆回転方向の駆動を停止した後、モータ80を正回転方向に駆動することで、スリーブ71を矢印A1で示す前方向に移動させる。スリーブ71が前方向に移動する動作が伝達機構62で切断部6Aに伝達されることで可動刃部61が回転し、第1のサイドフック70Lとセンターフック70Cで係止されたワイヤWが、固定刃部60と可動刃部61の動作で切断される。
【0067】
ワイヤWを切断するとほぼ同時に曲げ部71c1、71c2が鉄筋Sに接近する方向へ移動する。これにより、センターフック70Cと第2のサイドフック70Rで係止されたワイヤWの先端側を、曲げ部71c1で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に前方向に移動することで、第2のサイドフック70Rとセンターフック70Cとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c1で挟まれた状態で保持される。
【0068】
また、センターフック70Cと第1のサイドフック70Lで係止され、切断部6Aで切断されたワイヤWの終端側を、曲げ部71c2で鉄筋S側へ押圧して、係止位置を支点として鉄筋S側へ曲げる。スリーブ71が更に前方向に移動することで、第1のサイドフック70Lとセンターフックとの間で係止されたワイヤWが、曲げ部71c2で挟まれた状態で保持される。
【0069】
ワイヤWの先端側及び終端側を鉄筋S側に折り曲げた後、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、スリーブ71が更に前方向に移動する。スリーブ71が所定の位置まで移動することで、ワイヤ係止体70で係止したワイヤWを捩じる動作域に到達すると、回転規制羽根74aの回転規制爪74bとの係止が解除される。
【0070】
これにより、モータ80が更に正回転方向に駆動されることで、回転軸72と連動してワイヤ係止体70が回転し、ワイヤWを捩じる。
【0071】
結束部7Aは、スリーブ71が回転する動作域では、鉄筋Sが突き当て部91に突き当てられ、鉄筋Sが結束部7A方向に近づく方向である後方への移動が規制されるので、ワイヤWが捩じられることで、ワイヤ係止体70を回転軸72の軸方向に沿って前方に引っ張られる力が加わる。
【0072】
回転軸72は、軸方向に沿って前方に移動させる力がワイヤ係止体70に加わると、バネ72cにより後方へ押される力を受けながら前方へ移動可能に構成される。これにより、結束部7Aは、スリーブ71が回転する動作域では、ワイヤ係止体70及び回転軸72が前方に移動しながらワイヤWを捩じる。
【0073】
図4は、鉄筋同士の結束力を示すグラフである。ワイヤWを捩じることで、結束力が増加する。
【0074】
制御部14Aは、モータ80に掛かる負荷を検知し、駆動トルクの変化率が上昇から減少に切り替わることで、負荷が最大となったことを検知すると、モータ80の回転を停止させるまでのモータ80の回転量Dを、スリーブ71の回転方向に沿った位置と、回転規制爪74bの位置に基づき求める。なお、スリーブ71の回転方向に沿った位置は、ワイヤ係止体70の回転方向に沿った位置と同じである。また、回転規制爪74bの位置は、回転規制部74で回転規制爪74bといずれかの回転規制羽根74の係止によりスリーブ71(ワイヤ係止体70)の回転を規制し得る位置である。モータ80の回転を停止させるまでの回転量Dとは、ワイヤ係止体70が逆転する場合に、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止するまでの回転量が最小となる回転量である。
【0075】
制御部14Aは、モータ80に掛かる負荷の最大値を検知してから、更に、所定の回転量Dだけ、モータ80を回転させた後、モータ80の正転を停止させる。
【0076】
モータ80に掛かる負荷の最大値検知してから、更に、所定の回転量Dだけ、モータ80を回転させた後、モータ80の正転を停止させた場合の結束力を図4に実線で示す。また、モータ80に掛かる負荷の最大値を検知した時点でモータ80の正転を停止させた場合の結束力を図4に破線で示す。
【0077】
これにより、モータ80に掛かる負荷の最大値を検知してから、更に、所定の回転量Dだけ、モータ80を回転させた後、モータ80の正転を停止させることで、ワイヤ係止体70が逆転する量が抑制され、ワイヤWの捩じられた部位が緩むことが抑制される。
【0078】
更に、制御部14Aは、モータ80を逆回転させ、モータ80が逆回転方向に駆動されると、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止されていることで、回転軸72の回転に連動したスリーブ71の回転が規制され、スリーブ71は、後方向である矢印A2方向に移動する。
【0079】
スリーブ71が後方向に移動すると、曲げ部71c1、71c2がワイヤWから離れ、曲げ部71c1、71c2によるワイヤWの保持が解消される。また、スリーブ71が後方向に移動すると、開閉ピン71aが開閉ガイド孔73を通過する。これにより、第1のサイドフック70Lは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。また、第2のサイドフック70Rは、軸71bを支点とした回転動作で、センターフック70Cから離れる方向に移動する。これにより、ワイヤ係止体70からワイヤWが抜ける。
【0080】
<第2の実施の形態の結束部の構成例>
図5Aは、第2の実施の形態の結束部の一例を示す側面図、図5Bは、第2の実施の形態の結束部の一例を示す図5AのA-A断面図である。なお、第2の実施の形態の結束部において、第1の実施の形態の結束部と同じ構成については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0081】
結束部7Bは、スリーブ71に取り付けられたエンコーダ101と、エンコーダ101を検知するセンサ102を備える。エンコーダ101は回転方向位置検知部の一例で、スリーブ71の外周に取り付けられ、スリーブ71の回転方向に沿って並ぶスリット101aが設けられる。
【0082】
センサ102は回転方向位置検知部の一例で、例えば、受発光素子から構成される一対の光学センサで構成され、スリーブ71と共に軸方向に移動し、かつ、非回転な移動部材83によりエンコーダ101のスリット101aを検知可能な位置に取り付けられる。
【0083】
図6は、鉄筋結束機の第2の実施の形態の制御機能の一例を示すブロック図である。鉄筋結束機1Aは、図1に示すトリガ12Aの操作で押されるスイッチ13Aの状態に応じて、制御部14Bがモータ80及び送りギア30を駆動する送りモータ31を制御する。
【0084】
制御部14Bは、モータ80に掛かる負荷を検知し、負荷が最大となったことを検知すると、モータ80の回転を停止させるまでのモータ80の回転量を、センサ102で検知されるスリーブ71(ワイヤ係止体70)の回転量に基づき求める。そして、負荷が最大となったことが検知してから、所定量モータ80を回転させた後、モータ80の正転を停止させる。
【0085】
<第2の実施の形態の結束部の動作例>
次に、各図を参照して、第2の実施の形態の結束部7B及び駆動部8Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。なお、ワイヤWを正方向に送り、カール形成部5Aで鉄筋Sの周囲に巻き回す動作、ワイヤWをワイヤ係止体70で係止する動作、ワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作、ワイヤWを切断する動作、ワイヤWを捩じる動作は、上述した鉄筋結束機1Aの動作と同じである。
【0086】
ワイヤWを捩じることで、モータ80に掛かる負荷が増加する。制御部14Bは、モータ80に掛かる負荷を検知し、駆動トルクの変化率が上昇から減少に切り替わることで、負荷が最大となったことが検知すると、モータ80の回転を停止させるまでのモータ80の回転量Dを、センサ102で検知されるスリーブ71(ワイヤ係止体70)の回転量に基づき求める。モータ80の回転を停止させるまでの回転量Dとは、ワイヤ係止体70が逆転する場合に、回転規制羽根74aが回転規制爪74bに係止するまでの回転量が最小となる回転量である。
【0087】
制御部14Bは、モータ80に掛かる負荷の最大値を検知してから、更に、所定の回転量Dだけ、モータ80を回転させた後、モータ80の正転を停止させる。
【0088】
これにより、ワイヤ係止体70が逆転する量が抑制され、ワイヤWの捩じられた部位が緩むことが抑制される。なお、エンコーダ101は、スリット101aに代えて光の反射率が異なる部位を交互に並べる構成とし、センサ102は、反射型の光学センサで構成しても良い。また、エンコーダ101は、スリット101aに代えて磁石を備える構成とし、センサ102は、磁気センサで構成しても良い。
【0089】
<第3の実施の形態の結束部の構成例>
図7Aは、第3の実施の形態の結束部の一例を示す上面図、図7Bは、第3の実施の形態の結束部の一例を示す図7AのB-B断面図である。なお、第3の実施の形態の結束部において、第1の実施の形態の結束部と同じ構成については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0090】
結束部7Cは、スリーブ71に取り付けられた被逆止部材103と、被逆止部材103に係止される逆止部材104と、逆止部材104を駆動するソレノイド105を備える。被逆止部材103は、スリーブ71の外周に取り付けられ、スリーブ71の回転方向に沿って並ぶ平歯車状の凹凸部103aが設けられる。逆止部材104は、被逆止部材103の凹凸部103aと対向する部位に、凹凸部103aに嵌る歯車形状の凹凸部104aが設けられる。ソレノイド105は逆止部材駆動部の一例で、図示しないコイル、金属芯、バネ等により、逆止部材104を被逆止部材103に対して離接する方向に移動させる。
【0091】
図8は、鉄筋結束機の第3の実施の形態の制御機能の一例を示すブロック図である。鉄筋結束機1Aは、図1に示すトリガ12Aの操作で押されるスイッチ13Aの状態に応じて、制御部14Cがモータ80及び送りギア30を駆動する送りモータ31を制御する。
【0092】
制御部14Cは、モータ80に掛かる負荷を検知し、負荷が最大となったことを検知すると、モータ80の正転を停止させると共に、ソレノイド105を駆動し、逆止部材104の凹凸部104aを、被逆止部材103の凹凸部103aに係止させる。
【0093】
<第3の実施の形態の結束部の動作例>
次に、各図を参照して、第3の実施の形態の結束部7C及び駆動部8Aにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。なお、ワイヤWを正方向に送り、カール形成部5Aで鉄筋Sの周囲に巻き回す動作、ワイヤWをワイヤ係止体70で係止する動作、ワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作、ワイヤWを切断する動作、ワイヤWを捩じる動作は、上述した鉄筋結束機1Aの動作と同じである。
【0094】
ワイヤWを捩じることで、モータ80に掛かる負荷が増加する。制御部14Cは、モータ80に掛かる負荷を検知し、駆動トルクの変化率が上昇から減少に切り替わることで、負荷が最大となったことが検知すると、モータ80の正転を停止させると共に、ソレノイド105を駆動し、逆止部材104の凹凸部104aを、被逆止部材103の凹凸部103aに係止させる。
【0095】
被逆止部材103の凹凸部103aは、平歯車状の構成であるので、凹凸の間隔を、従来の回転規制羽根の間隔より小さくすることができ、逆止部材104の凹凸部104aについても、ソレノイド105で駆動されることで、凹凸部104aを被逆止部材103の凹凸部103aに嵌る形状とし、かつ、逆止部材104の往復移動で係止と係止の解除が可能となる。
【0096】
これにより、モータ80の回転が停止するタイミングでスリーブ71(ワイヤ係止体70)の回転が規制され、ワイヤ係止体70が逆転する量が抑制され、ワイヤWの捩じられた部位が緩むことが抑制される。
【0097】
<第4の実施の形態の結束部の構成例>
図9Aは、第4の実施の形態の結束部の一例を示す斜視図、図9Bは、第4の実施の形態の結束部の一例を示す上面図である。なお、第4の実施の形態の結束部において、第1の実施の形態の結束部と同じ構成については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0098】
結束部7Dは、回転軸72の回転動作と連動したワイヤ係止体70及びスリーブ71の回転を規制する回転規制部74を備える。回転規制部74は、スリーブ71に回転規制羽根74aが設けられる。また、図1に示す本体部10Aに、第1の逆止部材106と第2の逆止部材107が設けられる。
【0099】
回転規制羽根74aは、スリーブ71の外周から径方向に突出する複数の凸部を、スリーブ71の周方向に所定の間隔で設けて構成される。本例では、45°間隔で8枚の回転規制羽根74aが形成される。回転規制羽根74aは、スリーブ71に固定され、スリーブ71と一体的に移動、回転する。
【0100】
第1の逆止部材106は、軸106aを支点とした回転動作で、回転規制羽根74aと係止及び係止解除され、バネ106bで、回転規制羽根74aに係止される方向に付勢される。第1の逆止部材106は、ワイヤWを捩じる方向である一の方向(矢印F10方向)に回転する回転規制羽根74aに押されることで、軸106aを支点とした回転動作により、回転規制羽根74aの軌跡上から退避可能、かつ、一の方向の反対の他の方向(矢印R10方向)に回転する回転規制羽根74aと係止可能に構成される。
【0101】
第2の逆止部材107は、軸107aを支点とした回転動作で、回転規制羽根74aと係止及び係止解除され、バネ107bで、回転規制羽根74aに係止される方向に付勢される。第2の逆止部材107は、ワイヤWを捩じる方向である一の方向(矢印F10方向)に回転する回転規制羽根74aに押されることで、軸107aを支点とした回転動作により、回転規制羽根74aの軌跡上から退避可能、かつ、一の方向の反対の他の方向(矢印R10方向)に回転する回転規制羽根74aと係止可能に構成される。
【0102】
第1の逆止部材106と第2の逆止部材107は、スリーブ71を挟んだ両側に設けられ、かつ、第1の逆止部材106による回転規制羽根74aとの係止位置と、第2の逆止部材107による回転規制羽根74aとの係止位置が、スリーブ71(ワイヤ係止体70)の回転方向に沿って位相差をもって、所定の角度ずれる位置に設けられる。本例では、第1の逆止部材106による回転規制羽根74aとの係止位置と、第2の逆止部材107による回転規制羽根74aとの係止位置が、回転規制羽根74aの間隔である45°の半分の約22.5°ずれた位置に設けられる。
【0103】
これにより、第1の係止部材106及び第2の係止部材107は、スリーブ71(ワイヤ係止体70)が、ワイヤWを捩じる方向に回転すると、回転規制羽根74aの軌跡上から退避し、スリーブ71の回転を阻害しない。これに対し、第1の係止部材106及び第2の係止部材107は、スリーブ71(ワイヤ係止体70)が、ワイヤWを捩じる方向と逆方向に回転しようとすると、回転規制羽根74aの軌跡上に突出し、第1の係止部材106及び第2の係止部材107のどちらか一方が回転規制羽根74aと係止し、スリーブ71の逆方向の回転を規制する。
【0104】
<第4の実施の形態の結束部の動作例>
図10A及び図10Bは、第4の実施の形態の結束部の動作の一例を示す図9BのC-C断面図であり、次に、各図を参照して、第4の実施の形態の結束部7Dにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。なお、ワイヤWを正方向に送り、カール形成部5Aで鉄筋Sの周囲に巻き回す動作、ワイヤWをワイヤ係止体70で係止する動作、ワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作、ワイヤWを切断する動作、ワイヤWを捩じる動作は、上述した鉄筋結束機1Aの動作と同じである。
【0105】
ワイヤWを捩じることで、図1等に示すモータ80に掛かる負荷が増加する。モータ80に掛かる負荷が最大となったことが検知すると、モータ80の正転を停止させる。モータ80の正転が停止し、モータ80の逆回転することでワイヤ係止体70に逆転させる力が加わった場合、回転規制羽根74aが第1の逆止部材106または第2の逆止部材107に係止される位置まで、ワイヤ係止体70が逆転する。
【0106】
ワイヤ係止体70の逆転量は、モータ80の正転が停止した段階での回転規制羽根74aと、第1の逆止部材106による回転規制羽根74aとの係止位置までの距離、または、回転規制羽根74aと、第2の逆止部材107による回転規制羽根74aとの係止位置までの距離の短い方であり、回転規制羽根74aの間隔の半分以下、本例では、22.5°以下である。
【0107】
これにより、ワイヤ係止体70が逆転する量が抑制され、ワイヤWの捩じられた部位が緩むことが抑制される。
【0108】
<第5の実施の形態の結束部の構成例>
図11は、第5の実施の形態の結束部の一例を示す斜視図である。なお、第4の実施の形態の結束部において、第1の実施の形態の結束部と同じ構成については、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0109】
結束部7Eは、回転軸72の回転動作と連動したワイヤ係止体70及びスリーブ71の回転を規制する回転規制部74を備える。回転規制部74は、スリーブ71に第1の回転規制羽根74cと第2の回転規制羽根74dが設けられる。また、図1に示す本体部10Aに、第1の逆止部材108と第2の逆止部材109が設けられる。
【0110】
第1の回転規制羽根74cは、スリーブ71の外周から径方向に突出する複数の凸部を、スリーブ71の周方向に所定の間隔で設けて構成される。本例では、45°間隔で8枚の第1の回転規制羽根74cが形成される。第1の回転規制羽根74cは、スリーブ71に固定され、スリーブ71と一体的に移動、回転する。
【0111】
第2の回転規制羽根74dは、スリーブ71の外周から径方向に突出する複数の凸部を、スリーブ71の周方向に所定の間隔で設けて構成される。本例では、45°間隔で8枚の第2の回転規制羽根74dが形成される。第2の回転規制羽根74dは、スリーブ71に固定され、スリーブ71と一体的に移動、回転する。
【0112】
第1の回転規制羽根74cと第2の回転規制羽根74dは、スリーブ71(ワイヤ係止体70)の回転方向に沿って位相差をもって設けられ、各回転規制羽根の間隔である45°の半分の約22.5°ずれた位置に設けられる。
【0113】
第1の逆止部材108は、軸108aを支点とした回転動作で、第1の回転規制羽根74cと係止及び係止解除され、バネ108bで、第1の回転規制羽根74cに係止される方向に付勢される。第1の逆止部材108は、ワイヤWを捩じる方向に回転する第1の回転規制羽根74cに押されることで、軸108aを支点とした回転動作により、第1の回転規制羽根74cの軌跡上から退避可能、かつ、ワイヤWを捩じる方向と逆方向に回転する第1の回転規制羽根74cと係止可能に構成される。
【0114】
第2の逆止部材109は、軸109aを支点とした回転動作で、第2の回転規制羽根74dと係止及び係止解除され、バネ109bで、第2の回転規制羽根74dに係止される方向に付勢される。第2の逆止部材109は、ワイヤWを捩じる方向に回転する第2の回転規制羽根74dに押されることで、軸109aを支点とした回転動作により、第2の回転規制羽根74dの軌跡上から退避可能、かつ、ワイヤWを捩じる方向と逆方向に回転する第2の回転規制羽根74dと係止可能に構成される。
【0115】
これにより、第1の係止部材108は、スリーブ71(ワイヤ係止体70)が、ワイヤWを捩じる方向に回転すると、第1の回転規制羽根74cの軌跡上から退避し、スリーブ71の回転を阻害しない。また、第2の係止部材109は、スリーブ71(ワイヤ係止体70)が、ワイヤWを捩じる方向に回転すると、第2の回転規制羽根74dの軌跡上から退避し、スリーブ71の回転を阻害しない。
【0116】
これに対し、第1の係止部材108は、スリーブ71(ワイヤ係止体70)が、ワイヤWを捩じる方向と逆方向に回転しようとすると、第1の回転規制羽根74cの軌跡上に突出し、第1の係止部材108が第1の回転規制羽根74cと係止し、スリーブ71の逆方向の回転を規制する。
【0117】
また、第2の係止部材109は、スリーブ71(ワイヤ係止体70)が、ワイヤWを捩じる方向と逆方向に回転しようとすると、第2の回転規制羽根74dの軌跡上に突出し、第2の係止部材109が第2の回転規制羽根74dと係止し、スリーブ71の逆方向の回転を規制する。
【0118】
そして、第1の逆止部材108による第1の回転規制羽根74cとの係止位置と、第2の逆止部材109による第2の回転規制羽根74dとの係止位置が、スリーブ71の回転方向に対し、各回転規制羽根の間隔である45°の半分の約22.5°ずれた位置となる。これにより、スリーブ71(ワイヤ係止体70)の逆転可能な回転量は、各回転規制羽根の間隔半分となる。
【0119】
<第5の実施の形態の結束部の動作例>
次に、各図を参照して、第5の実施の形態の結束部7Eにより鉄筋SをワイヤWで結束する動作について説明する。なお、ワイヤWを正方向に送り、カール形成部5Aで鉄筋Sの周囲に巻き回す動作、ワイヤWをワイヤ係止体70で係止する動作、ワイヤWを逆方向に送り、鉄筋Sに巻き付ける動作、ワイヤWを切断する動作、ワイヤWを捩じる動作は、上述した鉄筋結束機1Aの動作と同じである。
【0120】
ワイヤWを捩じることで、図1等に示すモータ80に掛かる負荷が増加する。モータ80に掛かる負荷が最大となったことが検知すると、モータ80の正転を停止させる。モータ80の正転を停止し、モータ80を逆転することで、ワイヤ係止体70を逆転させる力が加わった場合、第1の回転規制羽根74cが第1の逆止部材108に係止される位置まで、または、第2の回転規制羽根74dが第2の逆止部材109に係止される位置まで、ワイヤ係止体70が逆転する。
【0121】
ワイヤ係止体70の逆転量は、モータ80の正転が停止した段階での第1の回転規制羽根74cと、第1の逆止部材108による第1の回転規制羽根74cとの係止位置までの距離、または、第2の回転規制羽根74dと、第2の逆止部材109による第2の回転規制羽根74dとの係止位置までの距離の短い方であり、各回転規制羽根の間隔の半分以下、本例では、22.5°以下である。
【0122】
これにより、ワイヤ係止体70が逆転する量が抑制され、ワイヤWの捩じられた部位が緩むことが抑制される。
【符号の説明】
【0123】
1A・・・鉄筋結束機、10A・・・本体部、2A・・・マガジン、20・・・リール、3A・・・ワイヤ送り部、30・・・送りギア、5A・・・カール形成部、50・・・カールガイド、51・・・誘導ガイド、6A・・・切断部、60・・・固定刃部、61・・・可動刃部、62・・・伝達機構、7A、7B・・・結束部、70・・・ワイヤ係止体、70L・・・第1のサイドフック、70R・・・第2のサイドフック、70C・・・センターフック、71・・・スリーブ、71a・・・開閉ピン、71c1・・・曲げ部、71c2・・・曲げ部、72・・・回転軸、72a・・・送りネジ、72b・・・連結部、72c・・・バネ、73・・・開閉ガイド孔、74・・・回転規制部、74a・・・回転規制羽根、74b・・・回転規制爪、74c・・・第1の回転規制羽根、74d・・・第2の回転規制羽根、76・・・支持枠、8A・・・駆動部、80・・・モータ、81・・・減速機、91・・・突き当て部、101・・・エンコーダ(回転方向位置検知部)、101a・・・スリット、102・・・センサ(回転方向位置検知部)、103・・・被逆止部材、103a・・・凹凸部、104・・・逆止部材、104a・・・凹凸部、105・・・ソレノイド(逆止部材駆動部)、106・・・第1の逆止部材、106a・・・軸、106b・・・バネ、107・・・第2の逆止部材、107a・・・軸、107b・・・バネ、108・・・第1の逆止部材、108a・・・軸、108b・・・バネ、109・・・第2の逆止部材、109a・・・軸、109b・・・バネ、W・・・ワイヤ
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11