(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240130BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H04N1/00 002Z
H04N1/00 350
B41J29/42 F
(21)【出願番号】P 2020025531
(22)【出願日】2020-02-18
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三ヶ島 勝雄
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-020370(JP,A)
【文献】特開2011-044918(JP,A)
【文献】特開2018-157332(JP,A)
【文献】特開2019-008438(JP,A)
【文献】特開2005-010269(JP,A)
【文献】特開2015-193428(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B41J 29/00 -29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと、
用紙が搬送される用紙搬送路と、
透光板と、印刷しようとする用紙であって前記透光板と向かい合って搬送される搬送用紙を読み取る搬送イメージセンサーと、含む読取ユニットと、
前記透光板と向かい合い、前記搬送用紙が前記搬送イメージセンサーとの間で通過するように設けられ、前記搬送イメージセンサーに向けて光を照射する光源と、
前記透光板を擦る清掃棒が差し込まれる清掃穴を含む筐体と、
メンテナンスモードのとき、前記光源を点灯させ、前記搬送イメージセンサーの読み取りで得られた搬送読取画像データに含まれる各画素の画素値を示すグラフを前記表示パネルに表示させる制御部と、を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部と通信可能に接続され、印刷に用いる印刷用画像データを保持する第1メモリーと、
前記搬送イメージセンサーの読み取りで得られた前記搬送読取画像データを記憶し、前記第1メモリーからの前記印刷用画像データを
、前記搬送読取画像データ
を用いてシフト処理とマスク処理を施した、合成画像データを記憶する第2メモリーと、
前記第2メモリーから前記第1メモリーに向けて前記搬送読取画像データを送信するためのデータ信号線と、を含み、
前記メンテナンスモードのとき、
前記第2メモリーから前記第1メモリーに送信された前記搬送読取画像データに基づいて、前記制御部は、前記グラフを前記表示パネルに表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記搬送イメージセンサーはラインセンサーであり、
前記搬送読取画像データは、1ラインの画像データであり、
前記メンテナンスモードのとき、
前記制御部は、
前記搬送イメージセンサーの主走査方向の位置ごとに各画素の画素値を示す前記グラフを前記表示パネルに表示させ、
汚れ除去の基準としての閾値を前記グラフ内に表示させることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記メンテナンスモードの間、
前記制御部は、
前記搬送読取画像データにおいて、画素値が前記閾値よりも暗い画素の数に基づき、前記清掃棒が十分に差し込まれたか否かを判定し、
前記清掃棒が十分に差し込まれたと判定したとき、差し込みが十分であることを知らせる第1メッセージを前記表示パネルに表示させることを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記メンテナンスモードの間、
前記制御部は、前記清掃棒が十分に差し込まれていないと判定したとき、前記清掃棒の差し込みが不十分であることを知らせる第2メッセージを前記表示パネルに表示させることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記メンテナンスモードの間、
前記制御部は、
前記清掃棒が十分に差し込まれたと判定した後、前記清掃棒が抜かれたか否かを判定し、
前記清掃棒が抜かれたと判定した後、新たに生成された前記搬送読取画像データにおいて、画素値が前記閾値未満の画素があるとき、もう一度前記清掃棒を差し込むことを勧める第3メッセージを前記表示パネルに表示させることを特徴とする請求項4又は5に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷を行う部分に向けて搬送されている用紙を読み取る画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原稿を移動させつつ読み取る装置がある。このような装置では、読み取りライン上にコンタクトガラスが設けられる。例えば、コンタクトガラスの上側で原稿が搬送される。コンタクトガラス越しに、イメージセンサーが原稿を読み取る。紙粉、ホコリ、原稿の色材(トナー、インク)、原稿に塗られた修正液などがコンタクトガラスに付着することがある。付着物は光を乱反射させたり、吸収したりすることがある。その結果、シェーディング不良が生じたり、画像データ内にスジが生じたりずることがある。原稿読取装置のコンタクトガラスの清掃に関する技術の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、原稿を読み取り、シェーディングデータを検出し、検出したシェーディングデータが異常か否かを判断し、原稿セット部の原稿の有無を検知し、シェーディングデータの異常検出に応じて原稿読取開始前の時点で異常情報を印字出力し、異常情報に基づく清掃処理の実施終了を検知し、清掃処理後にシェーディングデータを再度検出し、異常の場合に異常情報を通知し、原稿読取位置にコンタクトガラスを配設し、原稿読取面を圧する白色基準となる白色圧板を設け、シェーディングデータの異常を発生させた汚れを認識し、汚れの清掃方法を判定し、汚れがコンタクトガラスあるいは白色圧板の何れの部位に存在するかを判定し、汚れを除去するための清掃方法に関する情報と汚れの部位に関する情報を異常情報として印字出力する原稿読取装置が記載されている。この構成により、汚れの診断、清掃作業を容易に行えるようにしようとする(特許文献1:請求項1、請求項2、段落[0015])。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
原稿ではなく、インクやトナーで印刷を行う部分に向けて搬送中の用紙(搬送用紙)を読み取ることがある。搬送用紙の読取結果に基づき、例えば、搬送用紙のサイズや、搬送位置のずれの程度が確認される。搬送用紙を読み取る場合、用紙搬送経路上に読取ユニットが設けられる。読取ユニットは、イメージセンサー、コンタクトガラスを含む。搬送用紙はコンタクトガラスと接しつつ通過する、又は、コンタクトガラスと向かい合いながら通過する。コンタクトガラスは搬送用紙とイメージセンサーの間に位置する。コンタクトガラスは、搬送用紙をガイドするとともに、イメージセンサーを保護する。
【0006】
搬送用紙を読み取る読取ユニットでもコンタクトガラスも汚れることがある。例えば、搬送用紙の紙粉がコンタクトガラスに付着することがある。コンタクトガラスの汚れは、搬送用紙のエッジの誤検出の原因となり得る。
【0007】
原稿読取装置は、コンタクトガラスを露出できるように設計されている。例えば、原稿押さえを開けると、コンタクトガラスが露出するものがある。また、特許文献1のように、カバーを開けることにより、コンタクトガラスと搬送路を露出できるようになっているものもある(特許文献1:
図5、
図6参照)。コンタクトガラスの汚れを直接見て確認することができる。汚れがとれたか否かが見てわかる。その他、搬送で問題が起きても原稿を傷無く取り出すことができるというメリットもある。
【0008】
一方、搬送用紙を読み取る読取ユニットは、用紙搬送路の一部として組み込まれることがある。このような読取ユニットは、外部に露出できないように設けられる場合がある。このような場合、コンタクトガラスの汚れを直接目で確認することができない。汚れの拭き取り状況を直接見られない場合がある。原稿読取装置に比べ、搬送用紙用の読取ユニットは、コンタクトガラスの清掃が難しいという問題がある。
【0009】
特許文献1記載の技術は、搬送される原稿を読み取る。カバーを開けることにより、コンタクトガラスを見ながら清掃することができる(特許文献1:段落[0034]、[0035]、
図5、
図6)。特許文献1記載の技術では、上記の問題を解決することはできない。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑み、搬送用紙用の読取ユニットの透光板の汚れの位置を確認できるようにするとともに、清掃状況を確認できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、表示パネル、用紙搬送路、読取ユニット、光源、筐体、及び、制御部を含む。前記用紙搬送路では用紙が搬送される。前記読取ユニットは透光板を含む。また、前記読取ユニットは、印刷しようとする用紙であって前記透光板と向かい合って搬送される搬送用紙を読み取る搬送イメージセンサーを含む。前記光源は前記透光板と向かい合う。前記光源は前記搬送用紙が前記搬送イメージセンサーとの間で通過するように設けられる。前記光源は前記搬送イメージセンサーに向けて光を照射する。前記筐体は、前記透光板を擦る清掃棒が差し込まれる清掃穴を含む。メンテナンスモードのとき、前記制御部は、前記光源を点灯させ、前記搬送イメージセンサーの読み取りで得られた搬送読取画像データに含まれる各画素の画素値を示すグラフを前記表示パネルに表示させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、読取ユニットの透光板を直接見られなくても、透光板のうち汚れのある部分の位置を確認することができる。清掃状況を確認することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る読取ユニットの一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る画像処理装置での画像データの流れの一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る搬送読取画像データの一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る印刷装置の正面を右斜上から見た斜視図である。
【
図7】実施形態に係る印刷装置の正面を右斜上から見た斜視図である。
【
図8】実施形態に係る画像形成装置のメンテナンスモードでの透光板の清掃の一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る清掃用画面の一例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る清掃用画面の一例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る清掃用画面の一例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る清掃用画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1~
図12を用いて、本発明の実施形態を説明する。以下では、画像形成装置100としてプリンターを例に挙げて説明する。本説明でのプリンター(画像形成装置100)は、インクを用いて印刷する。なお、画像形成装置100は、複合機でもよい。
【0015】
(画像形成装置100の概要)
まず、
図1及び
図2を用いて、実施形態に係る画像形成装置100の概要を説明する。
図1、
図2は、実施形態に係る画像形成装置100の一例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、画像形成装置100は、給紙装置100a、印刷装置100b、第1後処理装置100c、第2後処理装置100dを含む。
図1において、実線矢印は、用紙搬送方向を示す。給紙装置100aと印刷装置100bが連結(接続)される。印刷装置100bと第1後処理装置100cが連結(接続)される。第1後処理装置100cと第2後処理装置100dが連結(接続)される。
【0017】
給紙装置100aは複数の給紙カセット101を含む。各給紙カセット101は用紙を収容する。印刷のとき、何れかの給紙カセット101から用紙が供給される。1つの給紙カセット101に対して1つの給紙ローラーが設けられる。印刷時、用紙を給紙する給紙カセット101の給紙ローラーが回転する。給紙装置100aは、供給した用紙を印刷装置100bに向けて搬送する。給紙装置100aは、給紙した用紙を搬送するためのローラー対と搬送路を含む。
【0018】
印刷装置100bは用紙に印刷を行う。印刷装置100bはインクを用いて印刷する。第1後処理装置100cは、用紙の乾燥とデカール(カール除去)を行う。インク乾燥のため、第1後処理装置100cは、ファン102とヒーター103を含む。ファン102は風を印刷装置100bが印刷した用紙に吹き付ける。ヒーター103は用紙に吹き付ける空気を暖める。これにより、インクを乾かすことができる。また、第1後処理装置100cはデカールローラー対104を含む。デカールローラー対104は用紙に圧力をかける。第2後処理装置100dは、排出トレイ105に用紙を排出する。第2後処理装置100dは、印刷された面が下向きとなるように、用紙の表裏を逆転できる。
【0019】
図2に示すように、印刷装置100bは制御部1、記憶部2、操作パネル3、印刷部4、通信部5を含む。制御部1は印刷装置100bの各部、給紙装置100a、第1後処理装置100c、第2後処理装置100dの動作を制御する。制御部1は、制御回路10、画像処理回路11を含む基板である。
【0020】
例えば、制御回路10はCPUである。制御回路10は、記憶部2に記憶される制御プログラムや制御データに基づき演算、処理を行う。記憶部2は、ROM、ストレージ(HDD、フラッシュROM)のような不揮発性の記憶装置を含む。また、記憶部2は、RAMのような揮発性の記憶装置を含む。画像処理回路11は、印刷に用いる画像データの画像処理を行う。
【0021】
画像形成装置100は操作パネル3を含む。操作パネル3は、表示パネル31、タッチパネル32を含む。制御部1は、設定画面や情報を表示パネル31に表示させる。表示パネル31は、キー、ボタン、タブのような操作用画像を表示する。タッチパネル32は表示パネル31へのタッチ操作を検知する。タッチパネル32の出力に基づき、制御部1は操作された操作用画像を認識する。制御部1は、使用者が行った設定操作を認識する。
【0022】
操作パネル3は、印刷に用いる給紙カセット101の選択を受け付ける。印刷ジョブのとき、制御部1は、選択された給紙カセット101の給紙ローラーを回転させる。そして、制御部1は、用紙を印刷装置100bの用紙搬送部4aに進入させる。
【0023】
印刷装置100b(画像形成装置100)は印刷部4を含む。印刷装置100bは、印刷部4として、用紙搬送部4a、画像形成部4b、用紙センサー410を含む。印刷ジョブを行うとき、制御部1は印刷部4の動作を制御する。
【0024】
制御部1は、給紙装置100aから供給された用紙を用紙搬送部4aに搬送させる。制御部1は、画像形成部4bに向けて用紙を用紙搬送部4aに搬送させる。
図1、
図2に示すように、用紙搬送部4aの搬送経路上には、用紙搬送方向上流側から順に、搬送ローラー対41、読取ユニット6と光源60、レジストセンサー42、レジストローラー対43、用紙センサー410、搬送ユニット40、ラインヘッド49が設けられる。レジストローラー対43を回転させるため、レジストモーター44が設けられる。制御部1は、レジストモーター44の回転を制御して、レジストローラー対43の回転を制御する。
【0025】
印刷装置100bはレジストセンサー42を含む。レジストセンサー42は、レジストローラー対43よりも用紙搬送方向上流側に設けられる。レジストセンサー42の出力レベルは、用紙の存在を検知しているか否かにより変化する。レジストセンサー42の出力は制御部1に入力される。レジストセンサー42の出力に基づき、制御部1は、レジストセンサー42に用紙の先端が到達したことを認識する。また、制御部1は、用紙後端がレジストセンサー42を抜けたことを認識する。
【0026】
レジストローラー対43への用紙到達時点では、制御部1は、レジストローラー対43を停止させておく。例えば、前の用紙の後端がレジストセンサー42を抜けると、制御部1はレジストローラー対43を停止させる。一方、制御部1は、レジストローラー対43よりも1つ上流側の搬送ローラー対41を回転させる。用紙の先端は、レジストローラー対43に突き当たる。突き当たった用紙は撓み、用紙の先端はレジストローラー対43のニップに沿う。用紙の斜行が矯正される。レジストセンサー42の出力に基づく用紙の先端到達の認識後、所定の撓み作成時間が経過したとき、制御部1は、レジストローラー対43を回転させる。これにより、用紙は、搬送ユニット40に向けて送り出される。
【0027】
搬送ユニット40は、搬送ベルト45、駆動ローラー46、従動ローラー47を含む。搬送ベルト45は駆動ローラー46と従動ローラー47にかけ回される。駆動ローラー46を回転させるため、ベルトモーター48が設けられる。印刷ジョブ中、制御部1は、ベルトモーター48を回転させ、搬送ベルト45を周回させる。なお、搬送ベルト45は用紙を吸着する。例えば、複数の孔が搬送ベルト45に開けられる。そして、孔から空気を吸引する吸着装置が設けられる(不図示)。吸着によりベルト上の用紙位置を固定することができる。
【0028】
画像形成部4bは搬送用紙に印刷を行う。画像形成部4bは、搬送用紙にインクを吐出して画像を記録する。
図1、
図2に示すように、画像形成部4bは、4本のラインヘッド49を含む。ラインヘッド49のうち、1つはブラック、1つはイエロー、1つはシアン、1つはマゼンタのインクを吐出する。各ラインヘッド49は固定される。搬送ユニット40(搬送ベルト45)の上方に各ラインヘッド49が設けられる。各ラインヘッド49(下面のノズル)と搬送ベルト45の間には、一定の隙間が設けられる。用紙はこの隙間を通過する。
【0029】
ラインヘッド49は複数のノズルを含む。ノズルは、用紙搬送方向と垂直な方向(主走査方向)に並ぶ(
図1では紙面に垂直な方向)。各ノズルの開口は搬送ベルト45と向かい合う。制御部1は印刷のための印刷用画像データi0を供給する。この印刷用画像データi0に基づき、ラインヘッド49は、ノズルからインクを搬送用紙に吐出する。インクは搬送用紙に着弾する。これにより、画像が記録(形成)される。
【0030】
ラインヘッド49の上流側に用紙センサー410が設けられる。用紙センサー410は用紙の先端到達と後端通過を検知する。用紙センサー410の出力レベルは用紙の存在を検知しているときと、検知していないときとで異なる。用紙センサー410はページの印刷開始のタイミングを定めるためのセンサーである。用紙センサー410の出力は制御部1に入力される。用紙センサー410の出力に基づき、制御部1は、用紙センサー410への用紙先端到達を認識する。先端到達認識後、所定の待ち時間が経過すると、制御部1は、ラインヘッド49での1ライン目のインク吐出(描画)を開始させる。待ち時間はラインヘッド49ごとに定められる。例えば、待ち時間は、用紙センサー410の用紙検知位置からラインヘッド49のノズルまでの距離を理想的な(仕様上の)用紙搬送速度で除した時間とされる。
【0031】
制御部1は通信部5と接続される。通信部5は通信用コネクター、通信制御回路、通信用メモリーを含む。通信用メモリーは、通信用ソフトウェアを記憶する。通信部5はコンピューター200と通信する。コンピューター200は、例えば、PCやサーバーである。制御部1はコンピューター200から印刷用データを受信する。印刷用データは印刷設定や印刷内容を含む。例えば、印刷用データはページ記述言語で記述されたデータを含む。制御部1(画像処理回路11)は、受信した(入力された)印刷用データを解析する。受信した印刷用データに基づき、制御部1はラスターデータ(画像データ)を生成する。
【0032】
(光源60と読取ユニット6)
次に、
図1~
図3を用いて、実施形態に係る読取ユニット6の一例を説明する。
図3は実施形態に係る読取ユニット6の一例を示す図である。
【0033】
読取ユニット6は搬送用紙を読み取る。
図1に示すように、読取ユニット6は、最上流のラインヘッド49、レジストローラー対43、及び、レジストセンサー42よりも用紙搬送方向上流側に設けられる。
図1は、搬送ローラー対41とレジストセンサー42の間に読取ユニット6と光源60を設ける例を示す。
【0034】
図3、
図4に示すように、読取ユニット6は搬送イメージセンサー61を含む。搬送イメージセンサー61はラインセンサーである。搬送イメージセンサー61は複数の受光素子を含む。複数の受光素子は、主走査方向(
図3の紙面垂直方向、用紙搬送方向と垂直な方向)で並ぶ。搬送イメージセンサー61は、主走査方向で搬送用紙を読み取る。
【0035】
画像形成装置100(印刷装置100b)の機内では、搬送ガイド411による用紙搬送路412が形成される。用紙搬送路412は用紙搬送部4aの一部である。例えば、読取ユニット6は、用紙搬送路412の下側に設けられる。読取ユニット6は透光板62を含む。読取ユニット6の上面が透光板62となっている。透光板62はガラス板又は透光性樹脂板である。透光板62は、例えば、コンタクトガラスである。搬送イメージセンサー61は、印刷のために透光板62と向かい合って用紙(搬送用紙)を読み取る。透光板62は搬送ガイド411としても機能する。
【0036】
光源60は読取ユニット6の上面と向かい合う位置に設けられる。光源60は、搬送イメージセンサー61との間を搬送用紙が通過する位置に設けられる。光源60は主走査方向に沿って光を照射する。光源60は、用紙搬送路412、搬送用紙、及び、搬送イメージセンサー61(透光板62)に向けて光を照射する(
図3の下向き)。光路は、用紙搬送路412を上下方向で横切る。搬送用紙はこの光路を遮る。
【0037】
読取ユニット6の上面は光を透過する。例えば、読取ユニット6の内部に、レンズ63(ロッドレンズアレイ)と搬送イメージセンサー61が設けられる。光源60からの光はレンズ63を経て、搬送イメージセンサー61に入射される。読取ユニット6は、CIS型である。
【0038】
搬送イメージセンサー61は複数の受光素子を含む。各受光素子は主走査方向に並ぶ。搬送イメージセンサー61は、各受光素子が蓄えた電荷をアナログ画像信号として出力する。搬送イメージセンサー61は、1ライン読み取るごとに、アナログ画像信号を出力する。アナログ画像信号のA/D変換を行うことにより、搬送読取画像データi1が生成される。用紙搬送時、搬送イメージセンサー61は、ライン単位での読み取りを繰り返す。
【0039】
光源60と読取ユニット6の間に用紙がない場合、光源60からの光は、搬送イメージセンサー61に入射される。光源60と読取ユニット6の間に用紙がある場合、光源60の光は用紙で遮られる。そのため、搬送読取画像データi1では、用紙を読み取った画素(用紙がある部分の画素)は暗い(濃い、黒い)画素値となる。一方、用紙がない部分を読み取った画素は、明るい(薄い、白い)画素値となる。高濃度画素と低濃度画素の境界の位置に基づき、制御部1は、搬送用紙の主走査方向でのエッジ(端辺)の位置を認識できる。
【0040】
(画像データの流れ)
次に、
図4を用いて、実施形態に係る画像形成装置100での画像データの流れの一例を説明する。
図4は、実施形態に係る画像処理装置での画像データの流れの一例を示す図である。
【0041】
制御部1の画像処理回路11は、コンピューター200から送信され、通信部5が受信した印刷用データに基づき、ラスターデータ(画像データ)を生成する。さらに、画像処理回路11は、印刷設定に応じた画像処理をラスターデータに施す。画像処理回路11は、最終的に各ノズル(各画素)のインクの吐出、不吐出を示す画像データを印刷用画像データi0として生成する。画像処理回路11は、色ごとに、印刷用画像データi0を生成する。制御部1は、生成した印刷用画像データi0を第1メモリー21に記憶させる。記憶部は第1メモリー21を含む。第1メモリー21は、例えば、DRAMである。
【0042】
画像形成装置100(印刷装置100b)は、AFE回路64(アナログフロントエンド回路)を含む。AFE回路64は、イメージセンサーの各受光素子が出力するアナログ画像信号を処理する。AFE回路64は、処理したアナログ画像信号をディジタル値に変換し、搬送読取画像データi1を生成する。AFE回路64は、1画素8ビットのモノクロ画像データを生成する(8ビット以上でもよい)。AFE回路64は、生成した搬送読取画像データi1(各画素のディジタル値)を第2メモリー72に入力(送信)する。
【0043】
画像形成装置100は、画像合成部7を含む。画像合成部7は、例えば、ビデオ制御回路71、第2メモリー72を含む。画像合成部7は基板、又は、チップである。ビデオ制御回路71は、例えば、CPUである。第2メモリー72は、例えば、DRAMである。
【0044】
制御部1は、色ごとに、第1メモリー21の印刷用画像データi0を第2メモリー72に送信する。第2メモリー72は受信した印刷用画像データi0を記憶する。一方、ビデオ制御回路71は、搬送読取画像データi1に基づき、用紙のない範囲を認識する。例えば、ビデオ制御回路71は、用紙のうち折れている部分、パンチ穴部分を認識する。また、搬送読取画像データi1に基づき、ビデオ制御回路71は、用紙のエッジの位置を認識する。認識結果に基づき、ビデオ制御回路71は、用紙サイズ、用紙位置のずれ量、ずれ方向などを認識する。
【0045】
ビデオ制御回路71は、認識した用紙の位置のずれ量、ずれ方向に基づき、印刷用画像データi0の画素の位置を、用紙搬送方向と垂直な方向(主走査方向)でずらす(シフト処理)。例えば、ビデオ制御回路71は、認識したずれ方向に、認識したずれ量と同じ量だけ、印刷用画像データi0の画素の位置をずらす。ビデオ制御回路71は、認識した用紙のない範囲に基づき、マスクデータi2を生成する。マスクデータi2は、用紙のない部分へのインクの吐出を防ぐためのデータである。
【0046】
ビデオ制御回路71は合成画像データi3を生成する。合成画像データi3は、シフト処理とマスク処理を施した印刷用画像データi0である。例えば、ビデオ制御回路71は、マスクデータi2とシフトした印刷用画像データi0を重ねあわせる。ビデオ制御回路71は、印刷用画像データi0のインク吐出を行う画素のうち、用紙の無い部分の画素の画素値をインク不吐出の画素値とする(マスク処理)。ビデオ制御回路71は、色ごとにマスクデータi2を生成し、マスク処理を行う。これにより、用紙外へのインク吐出が防がれる。ビデオ制御回路71は、対応する色の合成画像データi3をラインヘッド49に送信する。ラインヘッド49は、受信した(供給された)合成画像データi3に基づき、インクを吐出する。
【0047】
画像形成装置100は、エンジン制御回路8を含む。エンジン制御回路8は、用紙搬送部4aの動作を制御する。例えば、エンジン制御回路8は、レジストモーター44、ベルトモーター48の回転を制御する。また、エンジン制御回路8は、レジストセンサー42、用紙センサー410の出力に基づき、用紙の搬送状況を認識する。
【0048】
また、エンジン制御回路8は、用紙の先端がノズル下方に来たことを画像合成部7(ビデオ制御回路71)に通知する。例えば、用紙センサー410の用紙先端到達検知から、予め定められた待ち時間が経過したとき、エンジン制御回路8は、画像合成部7に通知する。言い換えると、エンジン制御回路8は、インク吐出開始タイミングをビデオ制御回路71に知らせる。この通知を受けると、ビデオ制御回路71は合成画像データi3のラインヘッド49への入力を開始する。例えば、待ち時間は、用紙センサー410からラインヘッド49のノズルまでの距離を、理想的(仕様上)の用紙搬送速度で除して得られる時間である。
【0049】
(透光板62の清掃)
次に、
図5~
図7を用いて、実施形態に係る透光板62の清掃の一例を説明する。
図5は実施形態に係る搬送読取画像データi1の一例を示す図である。
図6、
図7は、実施形態に係る印刷装置100bの正面を右斜上から見た斜視図である。
【0050】
用紙搬送路412では、用紙が搬送される。読取ユニット6(透光板62)は用紙搬送路412に面している。透光板62は搬送ガイド411としても機能する。用紙搬送路412内には、紙粉やホコリが存在する。そのため、紙粉やホコリが、汚れとして透光板62に付着することがある。
【0051】
図5は、光源60点灯時の搬送読取画像データi1の一例を示す。
図5の各グラフでの横軸は、主走査方向(用紙搬送方向と垂直な方向)での画素の位置(座標)を示す。主走査方向は、画像形成装置100(印刷装置100b)の前後方向と平行である。
図5のグラフの横軸において、右側が画像形成装置100の前側(正面側)であり、左側が画像形成装置100の後側(奥側)である。
図5の縦軸は、各画素の画素値の濃度(明暗)のレベルを示す。
【0052】
図5(a)は、光源60と搬送イメージセンサー61の間に用紙がなく、かつ、透光板62に汚れが付いていないときの搬送読取画像データi1の一例を示す。搬送イメージセンサー61の全ての画素(受光素子)に漏れなく光が照射される。その結果、搬送読取画像データi1の全ての画素の画素値は、明るい(薄い)値となる。
【0053】
図5(b)は、光源60と搬送イメージセンサー61の間に用紙があるとき、かつ、透光板62に汚れが付いていないときの搬送読取画像データi1の一例を示す。用紙は光を遮る。そのため、用紙を読み取る画素に照射される光量は、用紙外を読み取る画素に照射される光量に比べて少なくなる。その結果、用紙を読み取った画素の画素値は、暗い(濃い)値となる。用紙外を読み取った画素の画素値は、明るい(薄い)値となる。ビデオ制御回路71は、隣り合う画素の画素値の変化量が大きい位置を用紙のエッジ位置と認識できる。
【0054】
図5(c)は、光源60と搬送イメージセンサー61の間に用紙がなく、かつ、透光板62に汚れがあるときの搬送読取画像データi1の一例を示す。汚れは光源60が放つ光を乱反射することがある。また、汚れは光源60が放つ光を吸収する場合もある。そのため、汚れを読み取る画素(受光素子)の入射光量は、汚れのない部分を読み取る画素の入射光量に比べて少なくなる。その結果、搬送読取画像データi1のうち、汚れを読み取った画素の画素値は、汚れのない部分を読み取った画素の画素値よりも暗い(濃い)値となる。汚れている状態で用紙を読み取ると、用紙エッジと汚れを区別できず、エッジの位置を誤検知するおそれがある。その結果、例えば、用紙の主走査方向のサイズを誤検知するおそれがある。
【0055】
印刷装置100bでは、読取ユニット6は印刷装置100bの内部に埋め込まれている。そのため、透光板62を露出させることはできない。つまり、透光板62を目視しながら清掃することはできない。そこで、画像形成装置100は、清掃棒9を用いて、透光板62を清掃できるようになっている。以下、
図6、
図7を用いて、透光板62の清掃の一例を説明する。
【0056】
透光板62を清掃する場合、印刷装置100bの正面カバー106を開ける。印刷装置100bの正面カバー106は2枚ある。
図6は、2枚の正面カバー106を両開き(観音開き)している状態を示す。正面カバー106は、それぞれ、別々に開閉可能である。透光板62を清掃する場合、正面カバー106のうち、少なくとも右側のカバー(右正面カバー106R)を開ける必要がある。
【0057】
右正面カバー106Rを開けることにより内部筐体107が露出される。印刷装置100bの内部筐体107には、清掃穴108が設けられる。清掃穴108は、内部筐体107の正面右側上方(右正面カバー106Rの裏側)に設けられる。
図7は、内部筐体107のうち、清掃穴108が設けられた部分を拡大した図である。透光板62を清掃する場合、清掃棒9を清掃穴108に差し込む。清掃棒9の端部には、汚れを擦りとるための汚れ取りシート91が貼り付けられている。汚れ取りシート91は、例えば、毛羽立たない布である。
【0058】
清掃穴108は、透光板62の上側(用紙搬送路412側)まで貫通している。清掃棒9を清掃穴108から入れると、汚れ取りシート91及び清掃棒9が透光板62の上に差し込まれる。汚れ取りシート91を透光板62に接触させつつ、清掃棒9を印刷装置100bの前後方向で往復させることにより、透光板62の汚れを取り除くことができる。
【0059】
(メンテナンスモード)
次に、
図8~
図12を用いて、実施形態に係る画像形成装置100のメンテナンスモードの一例を説明する。
図8は、実施形態に係る画像形成装置100のメンテナンスモードでの透光板62の清掃の一例を示す図である。
図9~
図12は、実施形態に係る清掃用画面30の一例を示す図である。
【0060】
透光板62の清掃を行う場合、清掃者(メンテナンス担当者)は、画像形成装置100をメンテナンスモードとする。操作パネル3は、画像形成装置100をメンテナンスモードとする設定を受け付ける。操作パネル3がメンテナンスモードとする設定を受け付けたとき、制御部1は、メンテナンスモードでのみ許された処理を行う。
【0061】
まず、制御部1(制御回路10)は、メンテナンスモードになったことをビデオ制御回路71(画像合成部7)とエンジン制御回路8に通知する(ステップ♯1)。この通知を受け、エンジン制御回路8は、右正面カバー106Rが開けられたか否かの監視を続ける(ステップ♯2、ステップ♯2のNo→ステップ♯2)。
【0062】
印刷装置100bは、右正面カバー106Rの開状態を検知するための開閉センサー109を含む。開閉センサー109の右正面カバー106Rが空いているときの出力レベルは、閉じているときの出力レベルと異なる。開閉センサー109の出力は、エンジン制御回路8に入力される(
図4参照)。開閉センサー109の出力レベルに基づき、エンジン制御回路8は、右正面カバー106Rが開いているか、閉じられているかを認識する。
【0063】
右正面カバー106Rが開けられたとき(ステップ♯2のYes)、エンジン制御回路8は、右正面カバー106Rが開けられたことを制御部1(制御回路10)と画像合成部7(ビデオ制御回路71)に通知する(ステップ♯3)。この通知に基づき、ビデオ制御回路71(画像合成部7)は光源60を点灯させる(ステップ♯4)。ビデオ制御回路71は、光源60と読取ユニット6の動作を制御できる。
【0064】
また、ビデオ制御回路71は、読取ユニット6(搬送イメージセンサー61)に読み取りを開始させる(ステップ♯5)。AFE回路64は、搬送読取画像データi1を生成する。AFE回路64は、生成された搬送読取画像データi1を第2メモリー72に記憶させる(ステップ♯6)。以後、読取ユニット6は所定の周期で読み取りを繰り返す。AFE回路64は搬送読取画像データi1の生成を繰り返す。
【0065】
ビデオ制御回路71は、第2メモリー72に新たに記憶された搬送読取画像データi1の第1メモリー21への送信を開始する(ステップ♯7)。メンテナンスモードでのみ、ビデオ制御回路71は搬送読取画像データi1を第1メモリー21に送る。第2メモリー72から第1メモリー21への搬送読取画像データi1の送信するデータ信号線D1を設けてもよい(
図4参照)。
【0066】
以後、ビデオ制御回路71は、第1メモリー21に順次蓄えられる搬送読取画像データi1のうち、最新のものを所定の周期で送信する。周期は予め定められる。例えば、周期は1秒程度とされる。周期は1秒未満でもよいし、1秒を超えてもよい。なお、ビデオ制御回路71は、第2メモリー72の搬送読取画像データi1のうち、記憶してから所定時間が経過した搬送読取画像データi1を破棄してもよい。例えば、ビデオ制御回路71は、記憶してから1周期を超えた搬送読取画像データi1を破棄する。
【0067】
新たに第1メモリー21に記憶された搬送読取画像データi1に基づき、制御部1(制御回路10)は清掃用画面30の表示を開始させる(ステップ♯8)。清掃用画面30は、各画素の画素値を示すグラフGを含む。清掃用画面30の詳細は後述する。
【0068】
制御部1は、透光板62の清掃終了入力がなされたか否かを確認する(ステップ♯9)。操作パネル3は、清掃終了指示を受け付けてもよい。例えば、清掃終了ボタンB1が清掃用画面30に配置されてもよい(
図9~
図12参照)。この場合、清掃終了ボタンB1が操作されたとき、制御部1は、透光板62の清掃終了入力がなされたと認識する。また、清掃終了入力は、右正面カバー106Rが閉じられたことのエンジン制御回路8からの通知でもよい。この場合、右正面カバー106Rが閉じられたことを開閉センサー109が検知したとき、エンジン制御回路8は、閉じられたことを制御部1、ビデオ制御回路71に通知する。
【0069】
清掃終了入力がなされていない場合(ステップ♯9のNo)、新たに第1メモリー21に記憶された搬送読取画像データi1に基づき、制御部1(制御回路10)は清掃用画面30の表示内容を更新する(ステップ♯10)。制御部1は、清掃用画面30内のグラフG、メッセージを更新する。そして、制御部1は、ステップ♯9を実行する(ステップ♯9に戻る)。
【0070】
清掃終了入力がなされた場合(ステップ♯9のYes)、制御部1(制御回路10)は、清掃用画面30を表示するための処理を終了させる(ステップ♯11)。具体的に、制御部1は、光源60の消灯をビデオ制御回路71(画像合成部7)に指示する。ビデオ制御回路71は指示を受け、光源60を消灯する。また、制御部1は、読み取り、搬送読取画像データi1の生成の終了をビデオ制御回路71に指示する。この指示を受け、ビデオ制御回路71は、搬送イメージセンサー61に読み取りを終了させる。また、AFE回路64に搬送読取画像データi1の生成を終了させる。
【0071】
さらに、制御部1は、搬送読取画像データi1の第1メモリー21への送信の終了をビデオ制御回路71に指示する。この指示に基づき、ビデオ制御回路71は搬送読取画像データi1の送信を終了する。また、制御部1は、操作パネル3(表示パネル31)での清掃用画面30の表示を終了させる。そして、制御部1(制御回路10)、画像合成部7、エンジン制御回路8は、本フローチャートに関する処理を終了する(エンド)。
【0072】
図9~
図12を用いて、清掃用画面30の一例を説明する。メンテナンスモードでは、制御部1(制御回路10)は、清掃用画面30を表示パネル31に表示させる。制御部1は、清掃用画面30内に、グラフGを含める。グラフGは、搬送イメージセンサー61の読み取りで得られた搬送読取画像データi1に基づく。グラフGは、搬送読取画像データi1に含まれる各画素の画素値の分布を示す。
【0073】
清掃用画面30のグラフGの横軸は、主走査方向(用紙搬送方向と垂直な方向)での画素の位置(座標)を示す。
図9~
図12では、グラフGの右側が画像形成装置100の前側(正面側)を示し、左側が画像形成装置100の後側(奥側)を示す。つまり、制御部1(制御回路10)は、主走査方向での画素の位置ごとに各画素の画素値の分布を示すグラフGを表示パネル31に表示させる。グラフGの縦軸は、各画素の画素値の濃度(明暗)のレベルを示す。
【0074】
さらに、制御部1(制御回路10)は、汚れ除去の基準としての閾値ThをグラフG内に表示させる。
図9~
図12では、破線で閾値Thを示すラインを示している。閾値Thは、表示するメッセージを定める基準として用いることができる(詳細は後述)。
【0075】
図9は、清掃棒9を清掃穴108に差し込む前の清掃用画面30の一例を示す。
図9に示すように、透光板62のうち、汚れを読み取った画素の画素値は、汚れがない部分を読み取った画素の画素値よりも暗い値となる。グラフGを見れば、清掃者は、汚れがある位置を把握できる。透光板62を直接見られなくても、汚れの位置がわかる。
【0076】
図10は、清掃穴108に差し込んだ清掃棒9を奥まで到達させたときの清掃用画面30の一例を示す。言い換えると、
図10は、透光板62の主走査方向の一端から他端までを清掃棒9で透光板62の表面を擦ったときに表示される清掃用画面30の一例を示す。清掃棒9は、イメージセンサーへの光の入射を妨げる。この場合、清掃棒9が透光板62の全体を覆っている。そのため、
図10に示すように、イメージセンサーの全ての画素(受光素子)への光の入射が妨げられる。全ての画素の画素値は、暗い値となる。グラフGを見れば、清掃者は、十分に清掃棒9を差し込んでいるかを把握できる。透光板62を直接見られなくても、透光板62を十分に拭いているかを把握することができる。
【0077】
メンテナンスモードのとき、グラフG(清掃用画面30)を更新するごとに、制御部1(制御回路10)は、清掃棒9が十分に差し込まれたか否かを判定してもよい。例えば、制御部1は、第1メモリー21が新たに受信した搬送読取画像データi1について、画素値が閾値Th以下の画素の数に基づき、判定してもよい。例えば、全ての画素の画素値が閾値Thよりも暗い値のとき、制御部1(制御回路10)は、清掃棒9が十分に差し込まれたと判定してもよい。あるいは、閾値Thよりも暗い画素値の画素数が予め定められた基準値以上のとき、制御部1(制御回路10)は、清掃棒9が十分に差し込まれたと判定してもよい。例えば、基準値は、搬送イメージセンサー61(搬送読取画像データi1)の主走査方向の画素数の90%以上~100%未満の範囲内の何れかの値としてもよい。
【0078】
清掃棒9が十分に差し込まれたと判定したとき、制御部1(制御回路10)は、第1メッセージM1を表示パネル31に表示させてもよい。第1メッセージM1は、差し込みが十分であることを知らせるメッセージである。
【0079】
図9~
図12に示すように、清掃用画面30にはメッセージ表示領域F1が設けられる。清掃棒9が十分に差し込まれたと判定したとき、制御部1(制御回路10)は、メッセージ表示領域F1に第1メッセージM1を表示させる。
図10は、第1メッセージM1として、「清掃棒9は奥まで差し込まれています。」というメッセージを表示する例を示す。第1メッセージM1は上記の例に限られない。第1メッセージM1は、差し込みが十分であることを知らせる内容であればよい。
【0080】
図11は、清掃棒9を奥まで差し込む前の状態の一例を示す。清掃棒9は、イメージセンサーへの光の入射を妨げる。
図11に示すように、透光板62上の清掃棒9を読み取った画素の画素値は、清掃棒9を読み取っていない画素の画素値よりも暗い値となる。グラフGを見れば、清掃者は、透光板62の奥行きのうち、どの程度まで清掃棒9を差し込んでいるかを把握できる。透光板62を直接見られなくても、差し込みの程度を把握することができる。
【0081】
制御部1は、第1メモリー21が新たに受信した搬送読取画像データi1に基づいて、清掃棒9が十分に差し込まれたか否かを判定する。制御部1が、清掃棒9が十分に差し込まれていないと判定したとき、制御部1は、第2メッセージM2を表示パネル31に表示させてもよい。第2メッセージM2は、清掃棒9の差し込みが不十分であることを知らせるメッセージである。
【0082】
制御部1(制御回路10)は、メッセージ表示領域F1に第2メッセージM2を表示させる。
図11は、第2メッセージM2として、「清掃棒9の差し込みが不十分です。」というメッセージを表示する例を示す。第2メッセージM2は上記の例に限られない。第2メッセージM2は、差し込みが不十分であることを知らせる内容であればよい。
【0083】
また、制御部1(制御回路10)は、清掃棒9が十分に差し込まれたと判定した後、清掃棒9が抜かれたか否かを判定してもよい。清掃棒9が十分に差し込まれたか否かの判定は、上述のとおりである。
【0084】
十分差し込まれたとの判定後、新たに第1メモリー21が受信した搬送読取画像データi1において、予め定められた判定基準値よりも暗い画素値が1つもないとき、制御部1は、清掃棒9が抜かれたと判定してもよい。判定基準値は閾値Thよりも暗い値とされる。例えば、判定基準値は、清掃棒9を読み取った画素の画素値の平均値とできる。つまり、清掃棒9を読み取った画素がないと認められるとき、制御部1は、清掃棒9が抜かれたと判定する。
【0085】
清掃棒9が抜かれたと判定した後、さらに新たに第1メモリー21が受信した搬送読取画像データi1において、制御部1(制御回路10)は、画素値が汚れ除去の基準としての閾値Th未満の画素があるか否かを判定する。制御部1は、閾値Thを用いて、清掃後に汚れが残っているか否かを確認する。
【0086】
制御部1(制御回路10)は、閾値Th未満の画素があるとき、第3メッセージM3を表示パネル31に表示させてもよい。第3メッセージM3は、もう一度清掃棒9を差し込むことを勧めるメッセージである。
【0087】
制御部1(制御回路10)は、メッセージ表示領域F1に第3メッセージM3を表示させてもよい。
図12は、第3メッセージM3として、「まだ汚れが残っています。清掃が不十分です。」というメッセージを表示する例を示す。第3メッセージM3は上記の例に限られない。第3メッセージM3は清掃を続けるべきことを知らせる内容であればよい。
【0088】
このようにして、実施形態に係る画像形成装置100は、表示パネル31、用紙搬送路412、読取ユニット6、光源60、筐体(内部筐体107)、及び、制御部1を含む。用紙搬送路412では用紙が搬送される。読取ユニット6は透光板62を含む。また、読取ユニット6は、印刷しようとする用紙であって透光板62と向かい合って搬送される搬送用紙を読み取る搬送イメージセンサー61を含む。光源60は透光板62と向かい合う。光源60は搬送用紙が搬送イメージセンサー61との間で通過するように設けられる。光源60は搬送イメージセンサー61に向けて光を照射する。筐体(内部筐体107)は、透光板62を擦る清掃棒9が差し込まれる清掃穴108を含む。メンテナンスモードのとき、制御部1は、光源60を点灯させ、搬送イメージセンサー61の読み取りで得られた搬送読取画像データi1に含まれる各画素の画素値を示すグラフGを表示パネル31に表示させる。
【0089】
透光板62(コンタクトガラス)のうち、汚れ(ホコリ、紙粉)がある部分では、光源60からの光が乱されたり、吸収されたりする。汚れを読み取った画素の画素値は、汚れがない部分を読み取った画素の画素値よりも暗い(濃い)値となる。表示パネル31のグラフGを確認することにより、透光板62のうち汚れのある部分の位置を確認することができる。透光板62を直接見ることができなくても、透光板62のどのあたりを擦れば汚れを効果的に落とせるかを知ることができる。
【0090】
また、清掃棒9は、光源60からイメージセンサーへの光の到達を妨げる。清掃穴108から清掃棒9が差し込まれたとき、清掃棒9を読み取った画素の画素値は暗く(濃く)なる。表示パネル31で各画素の画素値を見ることで、清掃棒9を奥まで十分に差し込んだか否かを確認することができる。漏れなく透光板62を清掃できたか(拭き取れたか)否か、を確認することができる。透光板62を直接見られなくても、汚れが残らないように清掃することができる。
【0091】
画像形成装置100は、第1メモリー21、第2メモリー72、データ信号線D1を含む。第1メモリー21は、制御部1と通信可能に接続され、印刷に用いる印刷用画像データi0を保持する。第2メモリー72は、搬送イメージセンサー61の読み取りで得られた搬送読取画像データi1を記憶する。第2メモリー72は、第1メモリー21からの印刷用画像データi0を搬送読取画像データi1に基づいて加工した合成画像データi3を記憶する。データ信号線D1を用いて、第2メモリー72から第1メモリー21に向けての搬送読取画像データi1が送信される。メンテナンスモードのとき、第2メモリー72から第1メモリー21に送信された搬送読取画像データi1に基づいて、制御部1は、グラフGを表示パネル31に表示させる。画像形成装置100は、画像データを生成する部分(回路)と、生成された画像データに基づき印刷を実行する部分(回路)とを別々に設けることがある。この場合、画像データ生成回路側から印刷実行用回路側に向けて、画像データが送信される。画像データの流れは、双方向通信ではなく、一方通行であることが多い。そこで、搬送読取画像データi1を画像データの流れの上流側に送り込むため、第2メモリー72から第1メモリー21に画像データを送る信号線を設ける。信号線を設けることにより、印刷実行用回路側(第2メモリー72)から画像データ生成回路側(第1メモリー21)に送ることができる。
【0092】
搬送イメージセンサー61はラインセンサーである。搬送読取画像データi1は、1ラインの画像データである。メンテナンスモードのとき、制御部1は、搬送イメージセンサー61の主走査方向の位置ごとに各画素の画素値を示すグラフGを表示パネル31に表示させる。制御部1は、汚れ除去の基準としての閾値ThをグラフG内に表示させる。閾値Thと画素値を比較して、汚れがある位置や、透光板62を十分に清掃に清掃できたか否かを確認することができる。
【0093】
メンテナンスモードの間、制御部1は、搬送読取画像データi1において、画素値が閾値Thよりも暗い画素の数に基づき、清掃棒9が十分に差し込まれたか否かを判定する。制御部1は、清掃棒9が十分に差し込まれたと判定したとき、差し込みが十分であることを知らせる第1メッセージM1を表示パネル31に表示させる。清掃棒9が十分奥まで差し込まれていることを清掃者に知らせることができる。これ以上、清掃棒9を押し込まなくてもよいことを知らせることができる。
【0094】
メンテナンスモードの間、制御部1は、清掃棒9が十分に差し込まれていないと判定したとき、清掃棒9の差し込みが不十分であることを知らせる第2メッセージM2を表示パネル31に表示させる。清掃棒9が十分奥まで差し込まれていないことを清掃者に知らせることができる。
【0095】
メンテナンスモードの間、制御部1は、清掃棒9が十分に差し込まれたと判定した後、清掃棒9が抜かれたか否かを判定する。清掃棒9が抜かれたと判定した後、新たに生成された搬送読取画像データi1において、画素値が閾値Th未満の画素があるとき、制御部1は、もう一度清掃棒9を差し込むことを勧める第3メッセージM3を表示パネル31に表示させる。まだ汚れが残っていることを清掃者に知らせることができる。
【0096】
本発明の実施形態と変形例を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は搬送用紙を読み取るイメージセンサーを含む画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0098】
100 画像形成装置 107 内部筐体
108 清掃穴 1 制御部
21 第1メモリー 31 表示パネル
412 用紙搬送路 6 読取ユニット
60 光源 62 透光板
61 搬送イメージセンサー 72 第2メモリー
9 清掃棒 D1 データ信号線
G グラフ i0 印刷用画像データ
i1 搬送読取画像データ M1 第1メッセージ
M2 第2メッセージ M3 第3メッセージ
Th 閾値