(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】ファイル送信装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/21 20060101AFI20240130BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H04N1/21
H04N1/00 912
(21)【出願番号】P 2020038031
(22)【出願日】2020-03-05
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リチェル・ロペズ
(72)【発明者】
【氏名】ネシェル・ナバロ
【審査官】花田 尚樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-208179(JP,A)
【文献】特開2017-068352(JP,A)
【文献】特開2005-326932(JP,A)
【文献】特開2003-348157(JP,A)
【文献】特開2011-182037(JP,A)
【文献】特開平04-045649(JP,A)
【文献】特開2004-153426(JP,A)
【文献】特開2019-200521(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/21
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取得したファイルを記憶する記憶部と、
操作を受け付ける操作パネルと、
データの送受信を行う通信回路部と、
前記記憶部が記憶する前記ファイルのうち、送信予約ファイルのファイル名が含む送信予約日時を認識し、
前記送信予約日時に到った前記送信予約ファイルである送信対象ファイルについて、前記送信対象ファイルの前記ファイル名が含
む送信宛先を認識し、
認識した前記送信宛先に向けて、前記送信対象ファイルを前記通信回路部に送信させる制御部と、を含むことを特徴とするファイル送信装置。
【請求項2】
前記操作パネルは、前記送信宛先と前記送信予約日時の設定を受け付け、
前記制御部は、
前記操作パネルが受け付けた前記送信予約日時を前記送信予約ファイルの前記ファイル名に含め、
前記操作パネルが受け付けた前記送信宛先を暗号化した暗号化宛先を前記送信予約ファイルの前記ファイル名に含め、
前記送信対象ファイルの前記ファイル名が含む前記暗号化宛先を復号して前記送信宛先を認識することを特徴とする請求項1に記載のファイル送信装置。
【請求項3】
前記操作パネルは、複数の前記送信宛先の設定を受け付け、
前記制御部は、
設定された前記送信宛先ごとに、前記暗号化宛先を生成し、
生成した複数の前記暗号化宛先を前記送信予約ファイルの前記ファイル名に含め、
前記送信対象ファイルの前記ファイル名が含むそれぞれの前記暗号化宛先を復号して複数の前記送信宛先を認識し、
認識した複数の前記送信宛先に向けて、前記送信対象ファイルを前記通信回路部に送信させることを特徴とする請求項2に記載のファイル送信装置。
【請求項4】
前記ファイル名の文字数の上限のために全ての前記暗号化宛先を前記送信予約ファイルのファイル名に含めることができない場合、
前記制御部は、
前記送信予約ファイルを複製し、
複製元の前記送信予約ファイルと複製した前記送信予約ファイルのそれぞれの前記ファイル名に、前記送信予約日時と、1又は複数の前記暗号化宛先を含め、
複製元の前記送信予約ファイルの前記ファイル名と、複製した前記送信予約ファイルの前記ファイル名には、異なる前記暗号化宛先を含めることを特徴とする請求項3項に記載のファイル送信装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記送信対象ファイルの前記ファイル名が含む通知先アドレスを認識し、
認識した前記通知先アドレスに向けて前記送信対象ファイルの送信結果を前記通信回
路部に送信させることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載のファイル送信装置。
【請求項6】
前記操作パネルは、前記通知先アドレスの設定を受け付け、
前記制御部は、
前記操作パネルが受け付けた前記通知先アドレスを暗号化して、暗号化通知先を生成し、
前記送信対象ファイルの前記ファイル名が含む前記暗号化通知先を復号して前記通知先アドレスを認識することを特徴とする請求項5に記載のファイル送信装置。
【請求項7】
送信前に前記送信予約ファイルの削除操作がなされたとき、
前記制御部は、
前記削除操作がなされた前記送信予約ファイルの前記ファイル名が含む通知先アドレスを認識し、
認識した前記通知先アドレスに向けて、前記送信予約ファイルの前記削除操作がなされたことを知らせるメッセージを前記通信回路部に送信させることを特徴とする請求項5又は6に記載のファイル送信装置。
【請求項8】
前記操作パネルは、受信させたい日時である送達希望日時と、送信先タイムゾーンと、設置場所タイムゾーンの設定を受け付け、
前記制御部は、
前記送信先タイムゾーンと、前記設置場所タイムゾーンの時差を認識し、
前記時差に基づき、前記送達希望日時に届くように調整した前記送信予約日時を前記送信予約ファイルのファイル名に含めることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載のファイル送信装置。
【請求項9】
前記記憶部は、
前記送信予約ファイルを送信予約ファイル用フォルダーに格納し、
前記通信回路部による送信が実行された前記ファイルを消去することを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載のファイル送信装置。
【請求項10】
原稿を読み取る画像読取部と、
前記原稿の読み取りで得られた画像データをファイルに変換する画像処理回路と、を含み、
前記制御部は、変換により生成されたファイルを前記送信予約ファイルとして、前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載のファイル送信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイルを送信する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通信機器間で、メッセージをやりとりすることがある。テキストメッセージをやりとりできる通信機器がある(例えば、携帯電話)。そして、誕生日のような記念日での親しい者へのメッセージの送信に、通信機器を用いることがある。通常、記念日の当日にメッセージを届けたい。忘れずに相手にメッセージを届けるため、メッセージの配達スケジュールを設定できるようにすることがある。特定の日付、時刻にメッセージを送信できるように設定できるモバイルデバイスの一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、メッセージを受信し、少なくとも1人の意図される受信者の電話番号を受信し、メッセージの送信のための日付を受信し、メッセージを格納し、メッセージの送信のための日付を格納し、メッセージを送信すべきかどうかを決定するために現在の日付と送信日付とを比較し、現在の日付が送信日付と等しい場合に格納したメッセージを取り出し、メッセージを意図される受信者に送信するモバイルデバイスが記載されている。この構成により、メッセージの配達のスケジュールを設定できるようにしようとする(特許文献1:請求項26、段落[0005]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の機能を有する画像形成装置がある。例えば、複合機には、印刷機能だけではなく、送信機能を備えるものがある。画像形成装置でも送信の予約をできるようにすることがある。送信が予約されたデータ(送信待ちデータ)は、画像形成装置に不揮発的に記憶される。
【0006】
従来、送信を予約する場合、複雑な設定を行う必要がある。設定を経て、どのデータをいつ、だれに送信するかを定めた予約管理用データが生成される。あるいは、いつ、だれに送信するかを定めたメタデータを、送信待ちのデータに付すこともある。
【0007】
そのため、送信予約をしたデータ名を見ても、送信予約がされたデータなのか、いつ送信するデータなのかわからないという問題がある。送信を予約したデータがどれかわからなくなる場合がある。データの詳細を確認するには、複雑な操作を行わなければならない場合もある。
【0008】
さらに、予約した送信日時を変更する場合、複雑な設定を行わなければならない場合がある。装置(機種)によっては、予約した送信日時を変更できない場合もある。この場合、画像形成装置へのデータの入力と、送信予約をやり直さなくてはならない。このように、予約した送信日時を容易に変更できないという問題もある。
【0009】
特許文献1記載のモバイルデバイスでは、予約されたメッセージの送信パラメータはデータテーブルに管理される(特許文献1:段落[0029]、[0031]、
図6A、
図6B)。メッセージとデータテーブルは分離される。そのため、メッセージのデータだけでは、送信日時等を確認することができない。また、データテーブルを書き換えなくてはならないので、予約した送信日時の変更には、手間がかかる。従って、特許文献1記載のデバイスでは、上記の問題を解決することはできない。
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、送信予約の設定内容がわかるようにファイル名を定め、かつ、送信日時を容易に変更できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に係るファイル送信装置は、記憶部、操作パネル、通信回路部、制御部を含む。前記記憶部は、取得したファイルを記憶する。前記操作パネルは操作を受け付ける。前記通信回路部はデータの送受信を行う。前記制御部は、前記記憶部が記憶する前記ファイルのうち、送信予約ファイルのファイル名が含む送信予約日時を認識する。前記送信予約日時に到った前記送信予約ファイルである送信対象ファイルについて、前記制御部は、前記送信対象ファイルの前記ファイル名が含む前記送信宛先を認識する。前記制御部は、認識した前記送信宛先に向けて、前記送信対象ファイルを前記通信回路部に送信させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、送信予約ファイルの名前を見れば、送信予約の設定内容を理解することができる。送信対象ファイルの送信日時を容易に変更することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る画像形成部の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る複合機での送信予約の設定の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る第1送信予約画面の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る第2送信予約画面の一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る第3送信予約画面の一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る暗号化用データの一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る暗号化用データの一例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る複合機が暗号化したファイル名の一例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る複合機での送信予約ファイルの削除時の処理の一例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る複合機での送信予約ファイルの送信の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1~
図12を用い、本発明の実施形態を説明する。ファイル送信装置として複合機100を例に挙げて説明する。複合機100はファイル(画像データ)を記憶し、記憶したファイルを送信できる。複合機100は画像形成装置でもある。本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は、発明の範囲を限定せず単なる説明例にすぎない。
【0015】
(複合機100)
図1~
図3を用いて、実施形態に係る複合機100を説明する。
図1、
図2は実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
図3は実施形態に係る画像形成部5cの一例を示す図である。
【0016】
図1に示すように、複合機100は、制御部1、記憶部2、画像読取部3、操作パネル4、プリンター部5を含む。
【0017】
制御部1は複合機100の動作を制御する。制御部1はジョブ(コピーや送信)での各部の動作を制御する。制御部1は制御回路11、画像処理回路12、画像データ生成回路13、通信回路部14を含む。制御回路11はジョブに関する処理、演算を行う。例えば、制御回路11はCPUである。画像データ生成回路13はA/D変換回路を含む。画像データ生成回路13は、画像読取部3が原稿を読み取って出力したアナログ画像信号を処理して原稿画像データを生成する。画像処理回路12は画像処理用の集積回路(例えば、ASIC)である。画像処理回路12は原稿画像データの画像処理を行う。例えば、画像処理回路12は、原稿画像データに基づくファイル(画像ファイル)を生成できる。
【0018】
通信回路部14は通信制御回路と通信メモリーを含む。通信メモリーは通信用ソフトウェアを記憶する。通信用ソフトウェアに基づき、通信制御回路は通信を制御する。通信回路部14はコンピューター200と通信する。例えば、コンピューター200はPCやサーバーである。通信回路部14はコンピューター200からの印刷用データを受信できる。制御部1は受信した印刷用データに基づきプリンター部5に印刷させる(プリントジョブ)。また、操作パネル4は宛先の設定を受け付ける。設定された宛先に向けて、制御部1はファイルを通信回路部14に送信させる(送信ジョブ)。
【0019】
複合機100は、記憶部2として、RAM21、ROM22、ストレージ23を含む。例えば、ストレージ23はHDD又はSSDである。記憶部2のプログラムやデータに基づき、制御部1は各部を制御する。
【0020】
画像読取部3は光源、イメージセンサーを含む。画像読取部3は原稿を読み取る。イメージセンサーは原稿を読み取り、アナログ画像信号を出力する。アナログ画像信号に基づき、画像データ生成回路13は原稿画像データを生成する。
【0021】
操作パネル4は使用者の設定を受け付ける。操作パネル4は表示パネル41、タッチパネル42、ハードキー43を含む。制御部1はメッセージ、設定用画面、操作用画像を表示パネル41に表示させる。例えば、操作用画像はボタン、キー、タブである。タッチパネル42の出力に基づき、制御部1は操作された操作用画像を認識する。ハードキー43はスタートキーやテンキーを含む。タッチパネル42、ハードキー43は使用者の設定操作(ジョブ関連操作)を受け付ける。例えば、実行するジョブの種類や、ジョブの設定値の設定を受け付ける。操作パネル4、ハードキー43の出力に基づき、制御部1は設定内容を認識する。
【0022】
複合機100はプリンター部5を含む。プリンター部5は、給紙部5a、用紙搬送部5b、画像形成部5c、定着部5dを含む。制御部1は給紙部5a、用紙搬送部5b、画像形成部5c、定着部5dの動作を制御する。
【0023】
給紙部5aは用紙カセット、給紙ローラーを含む。用紙束が用紙カセットにセットされる。印刷ジョブのとき、制御部1は給紙ローラーを回転させ、用紙を供給させる。用紙搬送部5bは、搬送ローラー対、搬送モーターを含む。搬送モーターは搬送ローラー対を回転させる。制御部1は搬送モーターと搬送ローラー対を回転させ、用紙を用紙搬送部5bに搬送させる。制御部1は画像データに基づくトナー像を画像形成部5cに形成させる。画像形成部5cは、露光装置、転写ローラー、感光体ドラム、帯電装置、現像装置を含む。印刷のとき、制御部1は、メインモーター(不図示)を回転させ、感光体ドラムを回転させる。また、制御部1は、感光体ドラムを帯電装置に帯電させる。また、制御部1は、出力用画像データに基づき感光体ドラムを露光装置に露光させる。制御部1は、感光体ドラムの静電潜像を現像装置にトナーで現像させる。転写ローラーは、用紙へのトナー像の転写を行う。制御部1は、用紙に転写されたトナー像の定着を定着部5dに行わせる。例えば、定着部5dは、ヒーターと複数の定着用回転体を含む。ヒーターは定着用回転体を熱する。トナー像が転写された用紙は、定着用回転体のニップに進入し、加熱、加圧される。この加熱、加圧により、用紙にトナー像が定着する。制御部1は機外に向けて定着後の用紙を用紙搬送部5bに排出させる。
【0024】
(ファイルの送信予約)
次に、
図2を用いて、実施形態に係る複合機100でのファイルの送信予約の概要の一例を説明する。
図2は、実施形態に係る複合機100でのファイルの送信予約の概要の一例を示す図である。
【0025】
複合機100では、送信予約を行うことができる。制御部1は、送信予約が設定されたファイルを設定された時間に送信する(送信予約ジョブ)。以下、送信予約が設定されたファイルを送信予約ファイルF1と称する。送信予約ファイルF1は、記憶部2(ストレージ23)に記憶される(
図1参照)。
【0026】
例えば、誕生日のお祝いメッセージを送りたい場合がある。この場合、予約者は、誕生日当日にお祝いメッセージを含むファイルの送信予約を行えばよい。これにより、誕生日当日に忘れずに、相手方にメッセージを届けることができる。また、仕事(ビジネス)に関する文書のファイルを、取引先が指定した日時に文書ファイルを送信したい場合もある。この場合、取引先の指定日時に文書ファイルを送信する予約を行えばよい。このように、仕事がスムーズに進めるため送信予約を行うこともある。
【0027】
送信予約の処理の流れは、以下のとおりである。
(1)ファイルの取得
予約者は、送信を予約するファイルを記憶部2に格納する。
(2)送信予約に関する設定
予約者は、送信を予約するファイルの指定、送信に関する設定を操作パネル4に行う。送信に関する設定には、例えば、送信予約日時、送信宛先の設定がある。
(3)送信予約日時になるまで待つ。送信予約日時になると、制御部1は、送信予約ファイルF1を通信回路部14に送信させる。
【0028】
(ファイルの取得)
次に、
図3を用いて、実施形態に係る複合機100でのファイルの取得の一例を説明する。
図3は、実施形態に係る複合機100でのファイルの取得の一例を示す図である。
【0029】
図3では、画像読取部3を用いてファイルを取得する例を説明する。
図3のスタートは、画像読取部3に原稿をセットした時点である。まず、操作パネル4は、原稿読み取りの設定を受け付ける(ステップ♯11)。例えば、操作パネル4は、読取解像度、原稿サイズ、拡大縮小、生成するファイル形式などの設定を受け付ける。複合機100では、ファイル形式として、PDF、TIFF、JPEG、XPSを選択することができる。
【0030】
操作パネル4への設定に基づき、制御部1は、原稿読み取りの設定内容を認識する(ステップ♯12)。そして、制御部1は、原稿の読み取りを画像読取部3に行わせる(ステップ♯13)。例えば、操作パネル4のスタートボタンが操作されたとき、制御部1は、原稿の読み取りを画像読取部3に開始させる。画像読取部3のイメージセンサーが出力するアナログ画像信号に基づき、制御部1は、原稿画像データを生成する(ステップ♯14)。画像データ生成回路13は、アナログ画像信号をディジタル信号に変換し、原稿画像データを生成する。
【0031】
制御部1は、原稿画像データに基づき、ファイル(画像ファイル)を生成する(ステップ♯15)。例えば、画像処理回路12は、設定に従って画像処理を行う。画像処理回路12は、画像処理後の画像データを、設定されたファイル形式に変換する。制御部1は、変換によって生成されたファイルを記憶部2に不揮発的に記憶させる(ステップ♯16→エンド)。制御部1はファイルをストレージ23に記憶させる。制御部1は、操作パネル4で指定されたフォルダー、又は、予め定められたフォルダーにファイルを格納する。
【0032】
ファイルの取得に画像読取部3を用いる例を説明した。しかし、複合機100(制御部1)は、通信回路部14を用いてファイルを取得してもよい。例えば、使用者は、コンピューター200で複合機100に送信するファイルを指定してもよい。通信回路部14は、コンピューター200から送信されたファイルを取得してもよい。また、通信回路部14は、操作パネル4で指定されたコンピューター200のフォルダーから、操作パネル4で指定されたファイルを取得してもよい。いずれの場合でも、通信回路部14は、コンピューター200から取得したファイルを記憶部2(ストレージ23)に記憶させる。
【0033】
また、複合機100は、USBメモリーのような携帯型メモリーを介して、ファイルを取得してもよい。複合機100は、携帯型メモリーを接続する通信インターフェイス15を含む(
図1参照)。制御部1は、通信インターフェイス15に接続された携帯型メモリーと通信する。制御部1は、携帯型メモリーが記憶するファイルを取得してもよい。制御部1は、取得したファイルを記憶部2(ストレージ23)に記憶させる。
【0034】
(送信予約の設定)
次に、
図4~
図10を用いて、実施形態に係る複合機100での送信予約の設定の一例を説明する。
図4は、実施形態に係る複合機100での送信予約の設定の一例を示す図である。
図5は、実施形態に係る第1送信予約画面61の一例を示す図である。
図6は、実施形態に係る第2送信予約画面62の一例を示す図である。
図7は、実施形態に係る第3送信予約画面63の一例を示す図である。
図8、
図9は、実施形態に係る暗号化用データD2の一例を示す図である。
図10は、実施形態に係る複合機100が暗号化したファイル名の一例を示す図である。
【0035】
送信予約をする場合、予約者は、送信予約に関する設定を行う必要がある。
図4のスタートは、操作パネル4が送信予約に関する設定の開始指示を受け付けた時点である。予約者は、所定の操作を行うことにより、送信予約の設定を開始することができる。
【0036】
まず、制御部1は、送信予約するファイルを認識する(ステップ♯21)。送信予約の設定の開始指示がなされたとき、制御部1は、ストレージ23に記憶されたファイルの一覧を表示パネル41に表示させてもよい。予約者は、操作パネル4で送信予約するファイルを指定する。制御部1は、指定されたファイルを送信予約するファイルと認識する。なお、送信予約で指定できるファイルは1つである。
【0037】
次に、制御部1は、第1送信予約画面61を表示パネル41に表示させる(ステップ♯22)。予約者は、第1送信予約画面61で設定を行う。第1送信予約画面61での設定に基づき、制御部1は、送信予約日時を認識する(ステップ♯23)。
【0038】
図5は、第1送信予約画面61の一例を示す図である。第1送信予約画面61は、送信予約日時を設定するための画面である。操作パネル4は、送信予約日時の設定を受け付ける。第1送信予約画面61は、第1チェックボックスCB1と第2チェックボックスCB2を含む。第1チェックボックスCB1と第2チェックボックスCB2のうち、何れか一方のみにチェックを入れることができる。
【0039】
各チェックボックスに対して、日時を設定するための欄が複数付される。各欄はプルダウンメニュー形式で数値を指定することができる。日時として、月、日、年、時、分を設定することができる。
【0040】
送信する日時を直接設定したい場合(調整しない場合)、予約者は、第1チェックボックスCB1を選ぶ。
図5では、2020年8月7日の午前7時25分が設定されている。
図5の例では、第1チェックボックスCB1にチェックが入れられた場合、制御部1は、送信予約日時が2020年8月7日の午前7時25分であると認識する。
【0041】
受信者が外国に在住している場合、時差を考慮して送信したい場合がある。時差を考慮して送信したい場合、予約者は、第2チェックボックスCB2を選ぶ。第2チェックボックスCB2に付された日時の設定欄を用いて、予約者はファイルを相手に届けたい(受信させたい)日時を設定する。
図5では、2020年10月10日の午前9時00分が設定されている。つまり、
図5では、2020年10月10日の午前9時00分に相手が受信させる設定となっている。操作パネル4は、受信者に届けたい日時(送達希望日時)の設定を受け付ける。
【0042】
第2チェックボックスCB2の下側には、第1タイムゾーン設定欄C1と、第2タイムゾーン設定欄C2が設けられる。第1タイムゾーン設定欄C1は、ファイル送信装置(複合機100)が設置された場所(国)のタイムゾーンを設定するための欄である。第2タイムゾーン設定欄C2は、送信先(受信者)が居る場所(国)のタイムゾーンを設定するための欄である。各欄はプルダウンメニュー形式で標準時を指定することができる。
【0043】
図5に示すUTCは協定世界時(Coordinated Universal Time)を意味する。世界の国々は、協定世界時を基準に自国の標準時を定めている。
図5において、UTCに続く+、-の符号と数字は、協定世界時との時差を示す。例えば、日本は、UTCよりも9時間進んだ時間を標準時としている(UTC+9)。また、ハワイは、UTCよりも10時間遅れた時間を標準時としている(UTC-10)。日本とハワイの標準時の時差は19時間となる。このように、操作パネル4は、送信先のタイムゾーンと、設置場所のタイムゾーンの設定を受け付ける。
【0044】
制御部1は、送信先のタイムゾーンと、設置場所のタイムゾーンの時差を認識する。制御部1は、時差に基づき、送達希望日時に届くように、送信予約日時を定める。具体的に、制御部1は、送達希望日時に時差を加算する、又は、送達希望日時から時差を減ずる。送信先よりも設置場所の方が時間的に進んでいるとき、制御部1は、送達希望日時に時差の絶対値を加算する。つまり、制御部1は、時差分待ってから送信する。一方、送信先よりも設置場所の方が時間的に遅れているとき、制御部1は、送達希望日時に時差の絶対値を減算する。つまり、制御部1は、時差分早く送る。
図5に示すように、制御部1は、時差を考慮して送達希望日時を調整して得られた送信予約日時を第1送信予約画面61に表示させてもよい。
図5の場合、送達希望日時の19時間後の時間が調整後の送信予約日時として表示されている。
【0045】
送信予約日時の認識後、制御部1は、第2送信予約画面62を表示パネル41に表示させる(ステップ♯24)。具体的に、第1送信予約画面61で第1ネクストボタンB1が操作されたとき、制御部1は、第2送信予約画面62を表示させる。予約者は、第2送信予約画面62で設定を行う。第2送信予約画面62での設定に基づき、制御部1は、通知先アドレスA1を認識する(ステップ♯25)。
【0046】
図6は、第2送信予約画面62の一例を示す図である。第2送信予約画面62は、通知先アドレスA1を設定するための画面である。通知先アドレスA1は、予約者に通知を送るためのアドレスである。例えば、予約者が所持する携帯通信装置(スマートフォン)や使用するPCのメールアドレスを通知先アドレスA1とすることができる。操作パネル4は、通知先アドレスA1の設定を受け付ける。
【0047】
第2送信予約画面62は、通知先アドレス入力欄C3を含む。通知先アドレス入力欄C3がタッチされたとき、制御部1はソフトウェアキーボード画面を表示させる。ソフトウェアキーボード画面を用いて、予約者は通知先アドレスA1を入力する。制御部1は、通知先アドレス入力欄C3に入力されたアドレスを通知先アドレスA1と認識する。
【0048】
通知先アドレスA1の認識後、制御部1は、第3送信予約画面63を表示パネル41に表示させる(ステップ♯26)。具体的に、第2送信予約画面62で第2ネクストボタンB2が操作されたとき、制御部1は、第3送信予約画面63を表示させる。予約者は、第3送信予約画面63で設定を行う。第3送信予約画面63での設定に基づき、制御部1は、送信宛先A2を認識する(ステップ♯27)。
【0049】
図7は、第3送信予約画面63の一例を示す図である。第3送信予約画面63は、送信タイプ(送信手法)と送信宛先A2を設定するための画面である。送信宛先A2は、送信予約でのファイルの送り先である。操作パネル4は、送信宛先A2の設定を受け付ける。第3送信予約画面63は、送信タイプ設定欄C4を含む。プルダウンメニュー形式で送信タイプを選ぶことができる。例えば、送信タイプとして、SMB、E-mail、FTPを選択することができる。
【0050】
SMBは、Server Message Blockというファイル共有に関するプロトコルの略称である。SMB送信では、制御部1は、複合機100とLANで接続されたコンピューター200の共有フォルダーに向けて、ファイルを通信回路部14に送信させる。SMB送信での送信宛先A2はコンピューター200の共有フォルダーへのパスである。E-mailの送信では、メール本文にファイルが添付される。制御部1は、メールアドレスに向けて、ファイルを通信回路部14に送信させる。E-mail送信での送信宛先A2はメールアドレスである。FTPは、File Transfer Protocolというデータ送信プロトコルの略称である。FTP送信では、制御部1は、予め設定されたFTPサーバーのフォルダーに向けて、ファイルを通信回路部14に送信させる。FTP送信での送信宛先A2はFTPサーバーの保存場所へのパスである。
【0051】
送信タイプ設定欄C4の右側に、送信宛先設定欄C5が付される。選んだ送信タイプに対応するアドレスを送信宛先設定欄C5に入力する。1つの送信宛先設定欄C5に1つの送信宛先A2を設定することができる。送信宛先設定欄C5がタッチされたとき、制御部1は、ソフトウェアキーボード画面を表示パネル41に表示させる。予約者は、ソフトウェアキーボード画面を用いて、送信宛先A2を入力する。制御部1は、送信宛先設定欄C5に入力されたアドレスを送信宛先A2と認識する。
【0052】
なお、複合機100の記憶部2(ストレージ23)は、アドレス帳データD1を不揮発的に記憶する(
図1参照)。アドレス帳データD1は、宛先名と送信宛先A2の組み合わせが1又は複数定義されたデータである。アドレス帳データD1は、送信のたびに逐一送信宛先A2を入力しなくてすむようにするためのデータである。
【0053】
アドレス帳データD1を用いて、送信宛先A2を設定できるようにしてもよい。制御部1は、第3送信予約画面63にアドレス帳ボタンB3を表示させる。アドレス帳ボタンB3が操作されたとき、制御部1は、宛先名と送信宛先A2の組み合わせの一覧表を表示させる。制御部1は、一覧表で選択された送信宛先A2を送信予約で用いる宛先と認識してもよい。制御部1は、一覧表で選択された送信宛先A2を送信宛先設定欄C5に含める。
【0054】
第3送信予約画面63には、複数の送信宛先設定欄C5が設けられる。送信予約では、複数の送信宛先A2を設定することができる。操作パネル4は、複数の送信宛先A2の設定を受け付ける。また、第3送信予約画面63には、追加ボタンB4が設けられる。追加ボタンB4が操作されると、制御部1は、送信タイプ設定欄C4と送信宛先設定欄C5の組み合わせを追加する。例えば、5つ以上の送信宛先A2を設定することができる。
【0055】
第3送信予約画面63での設定が終わると(エンドボタンB5が操作されると)、制御部1は暗号化通知先E1と暗号化宛先E2を生成する(ステップ♯28、
図10参照)。暗号化宛先E2は、設定された送信宛先A2を暗号化した文字、数字、記号、又は、これらの組み合わせである。暗号化通知先E1は、設定された通知先アドレスA1を暗号化した文字、数字、記号、又は、これらの組み合わせである。送信宛先A2が複数設定された場合、制御部1は、設定された送信宛先A2ごとに、暗号化宛先E2を生成する。
【0056】
本説明では、カエサル(シーザー)暗号を応用した暗号方式を用いる例を説明する。なお、暗号化方式(アルゴリズム)に特に制限は無い。他の暗号化方式を適用してもよい。まず、カエサル暗号方式は、アルファベット順に文字(アルファベット)をシフトする方式である。例えば、3文字シフトの場合、アルファベットのAは、Dに置き換えられる。
【0057】
図8、
図9は、実施形態に係る暗号化用データD2の一例を示す図である。暗号化用データD2を用いて、制御部1は、アルファベットと数字を置き換える。なお、制御部1は記号の置き換えは基本的に行わない。
【0058】
図8は、数字の暗号化用データD2の一例を示す。
図8の左側の表は暗号化前の値を示す。
図8の右側の表は暗号化後(変換後)の値を示す。
図8の例の場合、数字のゼロは、暗号化によって9に変換される。
【0059】
図9は、文字(アルファベット)の暗号化用データD2の一例を示す。複合機100では、カエサル暗号よりも複雑な暗号化を行う。
図9に示す(1)の文字列は、アルファベットの大文字の前半13文字(A~M)である。
図9に示す(2)の文字列は、アルファベットの大文字の後半13文字(N~Z)である。
図9に示す(3)の文字列は、アルファベットの小文字の前半13文字(a~m)である。
図9に示す(4)の文字列は、アルファベットの小文字の後半13文字(n~z)である。
【0060】
図9に示す(5)の文字列は、(1)と(4)の文字列を組み合わせた文字列である。(5)の文字列は、(1)の文字列の文字と文字の間に、(4)の文字列の文字を1文字ずつ順番に挟み込んだ文字列である。
図9に示す(6)の文字列は、(3)と(2)の文字列を組み合わせた文字列である。(6)の文字列は、(3)の文字列の文字と文字の間に、(2)の文字列の文字を1文字ずつ順番に挟み込んだ文字列である。
図9に示す(7)の文字列は、(5)と(6)の文字列を組み合わせた文字列である。(7)の文字列では、(5)の文字列の後に(6)の文字列を続けて配置している。(8)の文字列は、(7)の文字列を3文字、右方向に巡回シフトさせた文字列である。
【0061】
記憶部2は、(7)の文字列のデータと、(8)の文字列のデータを暗号化用データD2として不揮発的に記憶する(
図1参照)。(7)の文字列は暗号化前(変換前)、(8)の文字列は暗号化後(変換後)を示す。カエサル方式と異なり、各文字のシフト数が固定されていない。
図9の例では、制御部1は、アルファベットのAはアルファベットのYに変換される。つまり、記憶部2(ストレージ23)は、アルファベットの変換表を暗号化用データD2として記憶する。
【0062】
そして、制御部1は、送信予約するファイルのファイル名を消し、送信予約日時をファイル名に含める(ステップ♯29)。なお、制御部1は、送信予約日時を変換しない(暗号化しない)。次に、制御部1は、通知先アドレスA1をファイル名に含める(ステップ♯210)。このとき、制御部1は、暗号化通知先E1をファイル名に含める。なお、制御部1は、暗号化通知先E1ではなく、暗号化していない通知先アドレスA1をファイル名に含めてもよい。
【0063】
さらに、制御部1は、送信タイプと送信宛先A2をファイル名に含める(ステップ♯211)。このとき、制御部1は、暗号化宛先E2をファイル名に含める。制御部1は、暗号化宛先E2に対応する送信タイプをファイル名に含める。なお、制御部1は、暗号化宛先E2ではなく、暗号化していない送信宛先A2をファイル名に含めてもよい。送信宛先A2が複数ある場合、制御部1は、送信宛先A2のうち1つの暗号化宛先E2を選択する。制御部1は、選択した暗号化宛先E2とその送信タイプをファイル名に含める。
【0064】
図10は、暗号化後(変換後)のファイル名の一例を示す。例えば、制御部1は、送信予約日時、通知先アドレスA1(暗号化通知先E1)、送信タイプ、送信宛先A2(暗号化宛先E2)の順にファイル名に含める。なお、ファイル名での表記順は、送信予約日時、通知先アドレスA1(暗号化通知先E1)、送信タイプ、送信宛先A2(暗号化宛先E2)の順に限られない。そして、制御部1は、各項目(送信予約日時、暗号化通知先E1、送信タイプ、暗号化宛先E2)の間に、アンダーバーを付してもよい。アンダーバーは項目の区切りを示す。区切りを示す記号は、アンダーバー以外でもよい。
【0065】
なお、ファイル名に含められない(使用できない)記号がある。OSにより、使用できない記号は異なる。例えば、Linux(登録商標)では、「/」をファイル名に使用できない。送信宛先A2が含む記号であり、ファイル名に使用できない記号については、制御部1は自動的に変換する。
図10の例では、制御部1は、/の記号を%2Fに置き換えている。
【0066】
送信宛先A2が複数設定される場合がある。そこで、制御部1は、設定された送信宛先A2の暗号化宛先E2の全てをファイル名に含めたか否かを確認する(ステップ♯212)。全ての暗号化宛先E2をファイル名に含めていないとき(ステップ♯212のNo)、制御部1は含めていない送信宛先A2を1つ選択する(ステップ♯213)。
【0067】
制御部1は、選択した送信宛先A2の送信タイプと暗号化宛先E2を追加できるか否かを判定する(ステップ♯214)。一般に、ファイル名に含めることができる文字数(記号数)には上限がある。例えば、Linuxでは、ファイル名の文字数の上限は255バイトである(半角文字で255文字)。この上限を超えてファイル名に送信タイプや暗号化宛先E2を含めることはできない。
【0068】
具体的に、制御部1は、追加前のファイル名の文字数を確認する。また、制御部1は、追加しようとする文字数(送信タイプとアンダーバーと暗号化宛先E2の合計)を認識する。追加前のファイル名の文字数と追加しようとする文字数の合計が上限を超える場合、制御部1は、追加できないと判定する。追加前のファイル名の文字数と追加しようとする文字数の合計が上限を超えない場合、制御部1は、追加できると判定する。
【0069】
追加できると判定したとき(ステップ♯214のYes)、制御部1は、送信タイプと暗号化宛先E2(送信宛先A2)をファイル名に含める(ステップ♯215)。具体的に、制御部1は、既に設定したファイル名の後に、アンダーバーと送信タイプと暗号化宛先E2(送信宛先A2)を追加する。そして、制御部1は、ステップ♯212を実行する(ステップ♯212に戻る)。
【0070】
一方、追加できないと判定したとき(ステップ♯214のNo)、制御部1はファイルを複製する(ステップ♯216)。そして、複製したファイルについて、制御部1は、ステップ♯29を行う(ステップ♯29に戻る)。この場合、制御部1は、複製したファイルのファイル名に、送信予約日時、暗号化通知先E1(通知先アドレスA1)、送信タイプ、暗号化宛先E2(送信宛先A2)を追加する。制御部1は、複製元のファイルのファイル名と、複製したファイルのファイル名に、異なる暗号化宛先E2を含める。まだファイル名に含めていない暗号化宛先E2がある場合、制御部1は、複製したファイルに送信タイプ、暗号化宛先E2、アンダーバーを追加する。
【0071】
全ての暗号化宛先E2(送信宛先A2)をファイル名に含めた場合(ステップ♯212のYes)、制御部1は、送信予約ファイルF1を所定の場所に格納する(移動させる。ステップ♯217)。送信予約ファイルF1は、予約者が選択し、ファイル名に送信予約日時、暗号化通知先E1、暗号化宛先E2を含むファイルである。制御部1は、送信予約ファイルF1用フォルダーに送信予約ファイルF1を格納する。送信予約ファイルF1用フォルダーはストレージ23に設けられる。各送信予約ファイルF1は送信予約ファイルF1用フォルダーにまとめられる。ステップ♯217により、制御部1は、送信予約に関する設定と処理を終了する(エンド)。
【0072】
(送信予約ファイルF1の削除)
次に、
図11を用いて、実施形態に係る複合機100での送信予約ファイルF1の削除時の処理の一例を説明する。
図11は、実施形態に係る複合機100での送信予約ファイルF1の削除時の処理の一例を示す図である。
【0073】
送信予約ファイルF1は、送信予約日時になるまで記憶部2(送信予約ファイルF1用フォルダー)で保持される。操作パネル4を操作することにより、送信予約ファイルF1用フォルダーが含む送信予約ファイルF1のファイル名を閲覧することができる。また、操作パネル4は、送信予約ファイルF1の削除操作を受け付ける。予約者は、予定変更で不要になった送信予約ファイルF1を削除できる。しかし、送信予約ファイルF1の通知先アドレスA1と送信宛先A2は暗号化されている。そのため、他人が誤って送信予約ファイルF1を削除する可能性がある。そこで、送信予約ファイルF1を誤って削除することを防ぐため、制御部1は、以下の処理を行う。
【0074】
図11のスタートは、操作パネル4が送信予約ファイルF1の削除操作を受け付けた時点である。まず、制御部1は、削除操作がなされた送信予約ファイルF1を削除待ちフォルダー(削除待ちファイルの保存場所)に移動させる(ステップ♯31)。削除待ちフォルダーは、ストレージ23に予め設けられる。制御部1は、削除操作がなされた送信予約ファイルF1を削除待ちフォルダーに移動させる。
【0075】
制御部1は、削除操作がなされた送信予約ファイルF1のファイル名が含む暗号化通知先E1を復号する(ステップ♯32)。制御部1は、暗号化用データD2を用いて暗号化通知先E1を通知先アドレスA1に戻す。そして、制御部1は、復号した通知先アドレスA1に向けて、メッセージを通信回路部14に送信させる(ステップ♯33)。メッセージは、送信予約ファイルF1の削除操作がなされたことを知らせるメッセージである。
【0076】
制御部1は、待ち時間内に削除不要の返信があったか否かを確認する(ステップ♯34)。言い換えると、制御部1は、メッセージに対する返信を受けたか否かを監視する。待ち時間は予め定められる。待ち時間は、例えば、数分~数時間の範囲内で定めることができる。操作パネル4は、待ち時間の設定を受け付けてもよい。この場合、制御部1は、設定された待ち時間を用いる。
【0077】
削除不要の返信を受信したとき(ステップ♯34のYes)、制御部1は、送信予約ファイルF1を送信予約ファイルF1用フォルダーに戻す(ステップ♯35→エンド)。制御部1は、誤って削除操作がなされた送信予約ファイルF1を元に戻す。一方、待ち時間内に削除不要の返信を受信しないとき(ステップ♯34のNo)、制御部1は、待ち時間内に返信がなかった送信予約ファイルF1を消去する(ステップ♯36→エンド)。なお、ステップ♯34~ステップ♯36を行わないようにしてもよい。この場合、制御部1は、メッセージを送信すると、送信予約ファイルF1を消去する。
【0078】
(送信予約ファイルF1の送信)
次に、
図12を用いて、実施形態に係る複合機100での送信予約ファイルF1の送信の一例を説明する。
図12は、実施形態に係る複合機100での送信予約ファイルF1の送信の一例を示す図である。
【0079】
送信予約ファイルF1のファイル名に基づき、制御部1は送信予約日時を認識する。送信予約日時になったことを知るため、制御部1は時計回路を含む(
図1参照)。時計回路はいわゆるRTC回路である。時計回路は、年、月、日、時間、分、秒をカウントする。制御部1は、送信予約ファイルF1が送信予約日時になったか否かを監視する。以下の説明では、送信予約日時になった送信予約ファイルF1を送信対象ファイルと称する。
【0080】
図12のスタートは、ある送信予約ファイルF1が送信予約日時になった時点である。まず、制御部1は、送信対象ファイルのファイル名のうち、暗号化通知先E1と暗号化宛先E2を復号する(ステップ♯41)。これにより、制御部1は、通知先アドレスA1と送信宛先A2を認識する(ステップ♯42)。なお、ファイル名が複数の暗号化宛先E2を含む場合、制御部1は、それぞれの暗号化宛先E2を復号し、それぞれの送信宛先A2とその送信タイプを認識する。
【0081】
制御部1は、認識した送信宛先A2に向けて、送信対象ファイルを通信回路部14に送信させる(ステップ♯43)。制御部1は、送信宛先A2に対応する送信タイプ(送信方式)で送信する。なお、ファイル名が複数の暗号化宛先E2を含む場合、制御部1は、復号したそれぞれの送信宛先A2に向けて、送信対象ファイルを送信させる。
【0082】
送信対象ファイルの送信後、制御部1は、通知先アドレスA1に向けて、送信対象ファイルの送信結果を通信回路部14に送信させる(ステップ♯44)。送信宛先A2と通信を確立し、送信対象ファイルの送信に成功した場合、制御部1は送信成功を通信回路部14に送信させる。送信対象ファイルの送信過程でエラーが発生した場合、制御部1は送信失敗を通信回路部14に送信させる。なお、ファイル名が複数の暗号化宛先E2を含む場合、制御部1は、送信宛先A2ごとの送信結果を通信回路部14に送信させる。
【0083】
送信予約用フォルダーのうち、制御部1は、通信回路部14による送信が実行されたファイル(送信対象ファイル)を記憶部2に消去させる(ステップ♯45)。制御部1は、送信が終わった送信予約ファイルF1を自動的に削除する。そして、制御部1は、送信予約ファイルF1の送信処理を終了する(エンド)。
【0084】
このようにして、実施形態に係るファイル送信装置(複合機100)は、記憶部2、操作パネル4、通信回路部14、制御部1を含む。記憶部2は、取得したファイルを記憶する。操作パネル4は操作を受け付ける。通信回路部14はデータの送受信を行う。制御部1は、記憶部2が記憶するファイルのうち、送信予約ファイルF1のファイル名が含む送信予約日時を認識する。送信予約日時に到った送信予約ファイルF1である送信対象ファイルについて、制御部1は、送信対象ファイルのファイル名が含む送信宛先A2を認識する。制御部1は、認識した送信宛先A2に向けて、送信対象ファイルを通信回路部14に送信させる。
【0085】
送信予約日時をファイル名に含める処理がなされる。ファイル名を見れば、いつ送信するファイルなのかを直ちに把握することができる。送信予約日時を含めるので、送信予約ファイルF1と、その他のファイルを直ちに見分けることもできる。また、ファイル名中の送信予約日時の部分を修正すれば、送信予約日時を変更することができる。複雑な操作の必要がない。送信予約の再設定をする必要もない。
【0086】
また、送信宛先A2もファイル名に含めておくことができる。送信予約に必要な値(パラメータ)をファイル名に含ませることができる。送信予約ファイルF1とは別に、送信日時や宛先を管理するデータは必要がない。送信予約に必要な値をファイル名に含ませるので、送信予約のために保存しておくデータのサイズを必要最小限とすることができる。
【0087】
操作パネル4は、送信宛先A2と送信予約日時の設定を受け付ける。制御部1は、操作パネル4が受け付けた送信予約日時を送信予約ファイルF1のファイル名に含める。制御部1は、操作パネル4が受け付けた送信宛先A2を暗号化した暗号化宛先E2を送信予約ファイルF1のファイル名に含める。制御部1は、送信対象ファイルのファイル名が含む暗号化宛先E2を復号して送信宛先A2を認識する。送信宛先A2と送信予約日時を設定することができる。そして、ファイル名に含める送信宛先A2を暗号化することができる。ファイル名を見ただけでは、誰宛の送信予約ファイルF1か、わからなくすることができる。悪意の者が見ても、受信者を把握できないようにすることができる。情報セキュリティ上の安全性を高めることができる。
【0088】
操作パネル4は、複数の送信宛先A2の設定を受け付ける。制御部1は、設定された送信宛先A2ごとに、暗号化宛先E2を生成する。制御部1は、生成した複数の暗号化宛先E2を送信予約ファイルF1のファイル名に含める。制御部1は、送信対象ファイルのファイル名が含むそれぞれの暗号化宛先E2を復号して複数の送信宛先A2を認識する。制御部1は、認識した複数の送信宛先A2に向けて、送信対象ファイルを通信回路部14に送信させる。1つの送信予約ファイルF1に複数の送信宛先A2を含めることができる。宛先ごとの送信予約ファイルF1の作成、送信予約ファイルF1の記憶をせずにすむ。記憶部2の記憶領域の使用量を少なくすることができる。しかも、それぞれの送信宛先A2が暗号化することができる。全ての宛先を把握できないようにすることができる。
【0089】
ファイル名の文字数の上限のために全ての暗号化宛先E2を送信予約ファイルF1のファイル名に含めることができない場合、制御部1は、送信予約ファイルF1を複製する。制御部1は、複製元の送信予約ファイルF1と複製した送信予約ファイルF1のそれぞれのファイル名に、送信予約日時と、1又は複数の暗号化宛先E2を含める。制御部1は、複製元の送信予約ファイルF1のファイル名と、複製した送信予約ファイルF1のファイル名には、異なる暗号化宛先E2を含める。文字数の上限でファイル名に含められない送信宛先A2がある場合、自動的に送信予約ファイルF1を複製することができる。複製されたファイル名に、送信予約日時と、1又は複数の暗号化宛先E2を含めることができる。文字数の上限に引っかかっても、送信予約の設定を複数回行う必要がない。送信宛先A2の全てにファイルを送信することができる。
【0090】
制御部1は、送信対象ファイルのファイル名が含む通知先アドレスA1を認識する。制御部1は、認識した通知先アドレスA1に向けて送信対象ファイルの送信結果を通信回路部14に送信させる。通知先アドレスA1もファイル名に含めておくことができる。送信予約者への通知に必要な情報をファイル名に含ませることができる。予約者に送信結果を知らせることができる。
【0091】
操作パネル4は、通知先アドレスA1の設定を受け付ける。制御部1は、操作パネル4が受け付けた通知先アドレスA1を暗号化して、暗号化通知先E1を生成する。制御部1は、暗号化通知先E1を送信予約ファイルF1のファイル名に含める。制御部1は、送信対象ファイルのファイル名が含む暗号化通知先E1を復号して通知先アドレスA1を認識する。ファイル名に暗号化した通知先アドレスA1を含めることができる。ファイル名を見ただけでは、予約者が誰か、わからなくすることができる。悪意の者が見ても、誰がファイルを送信しようとしているかを把握できないようにすることができる。情報セキュリティ上の安全性を高めることができる。
【0092】
送信前に送信予約ファイルF1の削除操作がなされたとき、制御部1は、削除操作がなされた送信予約ファイルF1のファイル名が含む通知先アドレスA1を認識する。制御部1は、認識した通知先アドレスA1に向けて、送信予約ファイルF1の削除操作がなされたことを知らせるメッセージを通信回路部14に送信させる。送信予約ファイルF1の削除操作がなされたことを予約者に知らせることができる。誤って消去されるおそれがあることを知らせることができる。
【0093】
操作パネル4は、受信させたい日時である送達希望日時と、送信先タイムゾーンと、設置場所タイムゾーンの設定を受け付ける。制御部1は、送信先タイムゾーンと、設置場所タイムゾーンの時差を認識する。時差に基づき、制御部1は、送達希望日時に届くように調整した送信予約日時を送信予約ファイルF1のファイル名に含める。外国在住者に送信する場合がある。現地とファイル送信装置(複合機100)の設置場所との時差に基づき、送達希望日時にあわせた送信予約日時を自動的に設定することができる。例えば、時差が2時間の国の午前8時にファイル届けたい場合、制御部1は送信予約日時を午前6時に自動調整する。相手に届けたい時間に送信が開始されるように、送信予約日時を自動的に調整することができる。
【0094】
記憶部2は、送信予約ファイルF1を送信予約ファイルF1用フォルダーに格納する。記憶部2は、通信回路部14による送信が実行されたファイルを消去する。送信予約ファイルF1を決まったフォルダー(記憶領域)に格納することができる。送信予約ファイルF1用フォルダーを見れば、それぞれの送信予約ファイルF1を確認することができる。
【0095】
ファイル送信装置は画像読取部3と画像処理回路12を含む。画像読取部3は原稿を読み取る。画像処理回路12は、原稿の読み取りで得られた画像データをファイルに変換する。制御部1は、変換により生成されたファイルを送信予約ファイルF1として、記憶部2に記憶させる。画像読取部3の読み取りで得られたファイルを送信予約ファイルF1及び送信対象ファイルとすることができる。読取で得られた画像データを蓄え、予約した時間に送信することができる。
【0096】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されず、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明は、設定された宛先にファイルを送信する送信装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0098】
100 複合機(ファイル送信装置) 1 制御部
12 画像処理回路 14 通信回路部
2 記憶部 3 画像読取部
4 操作パネル A1 通知先アドレス
A2 送信宛先 E1 暗号化通知先
E2 暗号化宛先 F1 送信予約ファイル