(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】液面検知装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G01F 23/263 20220101AFI20240130BHJP
【FI】
G01F23/263
(21)【出願番号】P 2020054940
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河合 寿二
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-197015(JP,A)
【文献】特開2018-069589(JP,A)
【文献】特開2002-195867(JP,A)
【文献】特開平11-223545(JP,A)
【文献】米国特許第09079414(US,B2)
【文献】米国特許第06339335(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/00
G01F 23/14-23/2965
G01F 23/80
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に取り付けられる液面検知装置であって、
前記画像形成装置に設けられた液体を収容するタンクの外側、かつ、側面に取り付けられる電極パッドと、
前記電極パッドと接続され、第1共振回路の一部であるコイルと、
初期値を不揮発的に記憶するメモリーと、
前記コイルと前記電極パッドが取り付けられた前記タンクをコンデンサーとして用いる前記第1共振回路の共振周波数を認識し、認識した前記共振周波数に基づき、前記第1共振回路の静電容量である第1静電容量を求める検知制御回路と、を含み、
前記検知制御回路は、
前記初期値を前記メモリーに記憶させる場合、
前記画像形成装置への取り付け前に前記第1静電容量を求め、
求めた前記第1静電容量を前記初期値として前記メモリーに記憶させ、
誤差値を前記メモリーに記憶させる場合、
前記画像形成装置への取り付け後、前記第1静電容量を求め、
前記初期値と前記画像形成装置への取り付け後に求めた前記第1静電容量の差に基づいて前記誤差値を求め、求めた前記誤差値を前記メモリーに不揮発的に記憶させ、
前記電極パッドの高さ方向における前記液体の液面の高さを示す値である液面レベル値を求める場合、
前記第1静電容量を求め、
求めた前記第1静電容量から前記誤差値を減じて第1補正容量を求め、
前記第1補正容量と前記初期値に基づき、前記液面レベル値を求めることを特徴とする液面検知装置。
【請求項2】
1枚の検知用基板を含み、
前記検知用基板は、前記メモリーと、前記検知制御回路と、前記コイルを含み、前記電極パッドと信号線でつながっていることを特徴とする請求項1に記載の液面検知装置。
【請求項3】
前記検知制御回路は、初期エンプティー値と初期上端値を前記初期値として前記メモリーに記憶させ、
前記初期エンプティー値は、前記画像形成装置への取り付け前の測定で得られた値であって、前記液体がないときの前記第1静電容量であり、
前記初期上端値は、前記画像形成装置への取り付け前の測定で得られた値であって、前記液面の高さが前記電極パッドの上端と同じ高さのときの前記第1静電容量であり、
Aを前記第1補正容量、Bを前記初期エンプティー値、Cを前記初期上端値とする場合、前記検知制御回路は、(A-B)/(C-B)の計算を行うことより、前記液面レベル値を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の液面検知装置。
【請求項4】
前記検知制御回路は、初期エンプティー値を前記メモリーに記憶させ、
前記初期エンプティー値は、前記画像形成装置への取り付け前の測定で得られた値であって、前記液体がないときの前記第1静電容量であり、
前記検知制御回路は、
前記画像形成装置への取り付け後に得られた前記液体がないときの前記第1静電容量から前記初期エンプティー値を減じた値を前記誤差値として前記メモリーに記憶させることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の液面検知装置。
【請求項5】
前記検知制御回路と接続され、前記電極パッドとは接続されず、コンデンサーを含む第2共振回路を含み、
前記検知制御回路は、前記第2共振回路の共振周波数を認識し、認識した前記第2共振回路の前記共振周波数に基づき前記第2共振回路の静電容量である第2静電容量を求め、
前記メモリーは、温度補正用静電容量を不揮発的に記憶し、
前記検知制御回路は、
前記温度補正用静電容量を前記メモリーに記憶させる場合、
前記画像形成装置への取り付け前に前記第2静電容量を求め、
求めた前記第2静電容量を前記温度補正用静電容量として前記メモリーに記憶させ、
前記液面レベル値を求める場合、
前記画像形成装置への取り付け後に前記第2静電容量を求め、
前記温度補正用静電容量と前記画像形成装置への取り付け後に求めた前記第2静電容量に基づいて所定の演算を行うことにより、前記第1補正容量を補正した第2補正容量を求め、
前記第2補正容量と前記初期値に基づき、前記液面レベル値を求めることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液面検知装置。
【請求項6】
1枚の検知用基板を含み、
前記検知用基板は、前記メモリーと、前記検知制御回路と、前記コイルと、前記第2共振回路を含み、前記電極パッドと信号線でつながっていることを特徴とする請求項5に記載の液面検知装置。
【請求項7】
前記検知制御回路は、初期エンプティー値と初期上端値を前記初期値として前記メモリーに記憶させ、
前記初期エンプティー値は、前記画像形成装置への取り付け前の測定で得られた値であって、前記液体がないときの前記第1静電容量であり、
前記初期上端値は、前記画像形成装置への取り付け前の測定で得られた値であって、前記液面の高さが前記電極パッドの上端と同じ高さのときの前記第1静電容量であり、
Dを前記第2補正容量、Eを前記初期エンプティー値、Fを前記初期上端値とする場合、前記検知制御回路は、(D-E)/(F-E)の計算を行うことより、前記液面レベル値を求めることを特徴とする請求項5又は6に記載の液面検知装置。
【請求項8】
前記検知制御回路は、比率と、前記第1補正容量と、を乗じる演算を前記所定の演算として行い、
前記比率は、前記温度補正用静電容量を、前記液面レベル値を求めるときに求めた前記第2静電容量で除して得られる値であることを特徴とする請求項5乃至7の何れか1項に記載の液面検知装置。
【請求項9】
前記液体はインクであり、
前記タンクは前記インクを収容する容器であり、
前記インクに基づき印刷する画像形成部と、
請求項1乃至8の何れか1項に記載の液面検知装置と、を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
通知を行う通知部と、
検知した前記液面の高さが予め定められた閾値以上のとき、前記タンクの交換の必要性を前記通知部に通知させる制御部と、を含むことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共振周波数に基づいて現在の静電容量を認識し、液面の高さを示す値を求める液面検知装置に関する。また、本発明は、液面検知装置を含む画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器、タンク内の液面の高さ(液体のレベル)を検知する場合、静電容量センサーを用いることがある。一般に、静電容量センサーは一対の電極を含む。一対の電極はコンデンサーとして機能する。例えば、一対の電極は、その長辺が上下方向となるように、容器内に設置される。容器内の液体が多いほど、電極間の液体の量が増える。容器内の液体の高さにより、電極間の誘電率が変化する。各電極が液体に浸かる程度によって静電容量が変化する。静電容量の変化に基づき、液面の高さを検出する装置の一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、液体内に挿入され、筒状の外部電極と、この外部電極に対して絶縁間隙を介して設けられた内部電極と、を備える液面センサーを含み、液面センサーの外部電極および内部電極間に交流電圧を印加し、印加電圧に基づき外部電極および内部電極間の静電容量を検出し、検出された静電容量に基づき液面を検知する液面検出装置が記載されている(特許文献1:請求項1、請求項4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置には、液体を扱うものがある。例えば、インクを用いて印刷を行う画像形成装置がある。このような画像形成装置に液面検知装置を搭載することが考えられる。液面の高さを正確に検知するため、上限まで液面が来たこと(上端であること)を検知するセンサー、電極間の現在の静電容量を測るセンサー(電極)、液面が下限であること(液体なしであること)を検知するセンサーを液面検知装置に含めることがある。これら3つのセンサーを用いることで、下限のときの静電容量、上限のときの静電容量、電極間の現在の静電容量を正確に把握することができる。これにより、下限から上限の間(最小レベルから最大レベルの間)で、現在の液面がどのレベル(高さ)にあるかを求めることができる。複数個のセンサーを用いることで、誤差を少なくすることができる。
【0006】
しかし、複数個のセンサーを設けると、液面検知装置のコストが高くつく。そこで、コストを抑えるため、電極間の現在の静電容量を測るためのセンサー(電極)のみを用いることが考えられる。下限から上限の間で現在の液面がどの高さにあるかを求めるため、下限の静電容量、上限の静電容量のデータを記憶するメモリーを液面検知装置に付加することが考えられる。
【0007】
例えば、液面検知装置の生産工程で下限の静電容量と、上限の静電容量がメモリーに書き込まれる。この場合、各静電容量をメモリーに書き込んだときと、液面検知装置を実際に画像形成装置に取り付けたときとで、液面検知装置の検知環境(測定条件)が変わる。例えば、静電容量を演算する回路と電極(コンデンサー)間の浮遊容量が変わる。
【0008】
そのため、画像形成装置に取り付けた場合、生産工程で書き込んだ下限の静電容量と、上限の静電容量が、適切ではない場合がある(上限から下限までのレンジのずれ)。例えば、液面が上限のときの静電容量に差がでる。検知環境の変化による誤差によって、液面の高さを正確に検知できない場合があるという問題がある。
【0009】
特許文献1記載の技術では、静電容量に基づき液面位置の測定をすることは記載されている。しかし、液面の高さを示す値を求めるとき、予め不揮発的にメモリーに書き込んだデータを用いない。従って、特許文献1記載の技術では、上記の問題を解決することはできない。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑み、液面の高さ検知用のデータを記憶するメモリーを含む液面検知装置を画像形成装置に取り付けた場合、検知環境の変化により生ずる誤差を軽減し、液面の高さを正確に検知する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る液面検知装置は、画像形成装置に取り付けられる。前記液面検知装置は、電極パッド、コイル、メモリー、検知制御回路を含む。前記電極パッドは、前記画像形成装置に設けられた液体を収容するタンクの外側、かつ、側面に取り付けられる。前記コイルは、前記電極パッドと接続され、第1共振回路の一部である。前記メモリーは初期値を不揮発的に記憶する。前記検知制御回路は、前記コイルと前記電極パッドが取り付けられた前記タンクをコンデンサーとして用いる前記第1共振回路の共振周波数を認識する。認識した前記共振周波数に基づき、前記検知制御回路は、前記第1共振回路の静電容量である第1静電容量を求める。前記初期値を前記メモリーに記憶させる場合、前記検知制御回路は、前記画像形成装置への取り付け前に前記第1静電容量を求め、求めた前記第1静電容量を前記初期値として前記メモリーに記憶させる。誤差値を前記メモリーに記憶させる場合、前記検知制御回路は、前記画像形成装置への取り付け後、前記第1静電容量を求め、前記初期値と前記画像形成装置への取り付け後に求めた前記第1静電容量の差に基づいて前記誤差値を求め、求めた前記誤差値を前記メモリーに不揮発的に記憶させる。前記電極パッドの高さ方向における前記液体の液面の高さを示す値である液面レベル値を求める場合、前記検知制御回路は、前記第1静電容量を求め、求めた前記第1静電容量から前記誤差値を減じて第1補正容量を求め、前記第1補正容量と前記初期値に基づき、前記液面レベル値を求めてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、高さ検知用のデータを記憶するメモリーを含む液面検知装置を画像形成装置に取り付けた場合、検知環境の変化により生ずる誤差を軽減することができる。液面の高さを正確に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る画像形成装置の一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るメンテナンスユニットの一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る液面検知装置の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る液面検知装置での初期値のメモリーへの書き込みの流れの一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る液面検知装置で求める静電容量の違いの一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る液面検知装置での誤差値の登録の流れの一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る液面検知装置による液面レベル値の算出の流れの一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る画像形成装置での通知の一例を説明する。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、
図1~
図9を用いて、本発明の実施形態に係る液面検知装置9と、液面検知装置9を備えた画像形成装置100を説明する。画像形成装置100はインクを用いて印刷する。以下で説明する画像形成装置100はプリンターである。なお、画像形成装置100は、複合機でもよい。
【0015】
(画像形成装置100の概要)
まず、
図1、
図2を用いて、実施形態に係る画像形成装置100の概要を説明する。
図1、
図2は、実施形態に係る画像形成装置100の一例を示す図である。
【0016】
画像形成装置100は用紙に印刷を行う。画像形成装置100は、制御部1、記憶部2、エンジン制御部3a、ビデオ制御部3b、操作パネル4、給紙部5、用紙搬送部6、画像形成部7、インク補給部8、液面検知装置9を含む。制御部1、エンジン制御部3a、ビデオ制御部3bは、例えば、基板である。
【0017】
制御部1は画像形成装置100の各部の動作指示を出す。制御部1は印刷ジョブを管理する。例えば、印刷ジョブのとき、制御部1は、エンジン制御部3aに給紙と用紙搬送の指示を出す。この指示に基づき、エンジン制御部3aは、給紙部5と用紙搬送部6の動作を制御する。また、印刷ジョブのとき、制御部1は、インク吐出用画像データを生成する。制御部1は、印刷指示とインク吐出用画像データをビデオ制御部3bに送信する。インク吐出用画像データに基づき、ビデオ制御部3bは、ラインヘッド70からインクを吐出させる。
【0018】
制御部1は、制御回路10、画像処理回路11、通信回路部12を含む基板である。例えば、制御回路10はCPUである。制御回路10は、記憶部2に記憶される制御プログラムや制御データに基づき演算、処理を行う。記憶部2は、ROM、ストレージ(HDD、フラッシュROM)のような不揮発性の記憶装置を含む。また、記憶部2は、RAMのような揮発性の記憶装置を含む。画像処理回路11は、印刷に用いる画像データ(印刷用画像データ)の画像処理を行う。画像処理回路11は、印刷用画像データに基づき、インク吐出用画像データを生成する。
【0019】
通信回路部12は通信用コネクター、通信制御回路、通信用メモリーを含む。通信用メモリーは、通信用ソフトウェアを記憶する。通信回路部12はコンピューター200と通信する。例えば、コンピューター200はPCやサーバーである。制御部1はコンピューター200からプリントジョブデータを受信する。プリントジョブデータは印刷設定や印刷内容を含む。例えば、プリントジョブデータはページ記述言語で記述されたデータを含む。制御部1(画像処理回路11)は、受信した(入力された)プリントジョブデータを解析する。プリントジョブデータの解析結果に基づき、制御部1はラスターデータ(印刷用画像データ)を生成する。
【0020】
エンジン制御部3aは、エンジン制御回路、エンジンメモリーを含む。エンジン制御回路は、例えば、CPUである。エンジンメモリーは、給紙制御、用紙搬送制御に関するプログラム、データを記憶する。
【0021】
ビデオ制御部3bは基板、又は、チップである。ビデオ制御部3bはビデオ制御回路と画像メモリーを含む。ビデオ制御回路は、画像処理を行い、ラインヘッド70のインク吐出を制御する。画像メモリーは、インク吐出用画像データと画像処理やインク吐出に必要なデータを記憶するメモリーである。画像メモリーは、例えば、DRAMである。
【0022】
操作パネル4は、表示パネル41、タッチパネル42を含む。制御部1は、設定画面や情報を表示パネル41に表示させる。表示パネル41は、キー、ボタン、タブのような操作用画像を表示する。タッチパネル42は表示パネル41へのタッチ操作を検知する。タッチパネル42の出力に基づき、制御部1は操作された操作用画像を認識する。制御部1は、使用者が行った設定操作を認識する。
【0023】
給紙部5は用紙束を収容する。給紙部5は給紙ローラー51を含む。給紙ローラー51は給紙部5内にセットされた用紙のうち、最上位の用紙と接する。給紙ローラー51を回転させる給紙モーター(不図示)が設けられる。印刷ジョブのとき、エンジン制御部3aは給紙モーターを回転させて給紙ローラー51を回転させる。これにより、用紙が給紙部5から用紙搬送部6(第1搬送部6a)に送り出される。
【0024】
用紙搬送部6は用紙を搬送する。用紙搬送部6は、第1搬送部6a第2搬送部6bを含む。第1搬送部6aは給紙部5から供給された用紙を画像形成部7に向けて搬送する。第2搬送部6bは、画像形成部7(ラインヘッド70)を通過した用紙を排出トレイ101に向けて搬送する。なお、画像形成装置100の側面(
図1において左側)には、後処理装置(オプション装置、不図示)を取り付けることができる。
【0025】
図1に示すように、第1搬送部6aは、搬送ユニット60と第1搬送ローラー対61を含む。第1搬送ローラー対61は複数設けられる。各第1搬送ローラー対61を回転させるため、第1搬送モーター62が設けられる。印刷ジョブのとき、エンジン制御部3aは、第1搬送モーター62を回転させる。搬送ユニット60は、搬送ベルト63、駆動ローラー64、複数の従動ローラー65を含む。搬送ベルト63は駆動ローラー64と従動ローラー65にかけ回される。駆動ローラー64を回転させるため、ベルトモーター66が設けられる。印刷ジョブ中、エンジン制御部3aは、ベルトモーター66を回転させ、搬送ベルト63を周回させる。なお、搬送ベルト63は用紙を吸着する。例えば、複数の孔が搬送ベルト63に開けられる。そして、孔から空気を吸引する吸着装置が設けられる(不図示)。吸着によりベルト上の用紙位置を固定することができる。
【0026】
第2搬送部6bは複数の第2搬送ローラー対67を含む。各第2搬送ローラー対67を回転させるため、第2搬送モーター68が設けられる。印刷ジョブのとき、エンジン制御部3aは、第2搬送モーター68を回転させる。
【0027】
画像形成部7は搬送用紙に印刷を行う。画像形成部7は搬送用紙にインクを吐出する。
図1に示すように、画像形成部7は、4本のラインヘッド70を含む。ラインヘッド70Bkは、ブラックのインクを吐出する。ラインヘッド70Yは、イエローのインクを吐出する。ラインヘッド70Cはシアンのインクを吐出する。ラインヘッド70Mはマゼンタのインクを吐出する。各ラインヘッド70は固定される。搬送ユニット60(搬送ベルト63)の上方に各ラインヘッド70が設けられる。各ラインヘッド70(下面のノズル)と搬送ベルト63の間には、一定の隙間が設けられる。用紙はこの隙間を通過する。
【0028】
ラインヘッド70は複数のノズルを含む。ノズルは、用紙搬送方向と垂直な方向(主走査方向)に並ぶ(
図1では紙面に垂直な方向)。各ノズルの開口は搬送ベルト63と向かい合う。つまり、ノズルは下向きである。制御部1は印刷のためのインク吐出用画像データをビデオ制御部3bに供給する。このインク吐出用画像データに基づき、ビデオ制御部3bは、ノズルから搬送用紙へのインク吐出をラインヘッド70に行わせる。インクが搬送用紙に着弾し、画像が記録(形成)される。
【0029】
インク補給部8は、インクタンク81とインク補給管82を含む。インクタンク81はラインヘッド70に補給するインクを収容する。インクタンク81は4色それぞれ設けられる。インク補給管82は、インクタンク81と対応する色のラインヘッド70を接続する。インク補給管82を通って、インクがラインヘッド70に供給される。
【0030】
(メンテナンスユニット7a)
次に、
図1、
図3を用いて、実施形態に係るメンテナンスユニット7aの一例を説明する。
図3は、実施形態に係るメンテナンスユニット7aの一例を示す図である。
【0031】
画像形成装置100は常にベタ画像を印刷する訳ではない。印刷中、固定されたラインヘッド70の中には、インクを吐出しないノズルがでることがある。ノズルでは、インクの成分(溶媒)は揮発(蒸発)している。インクを長時間吐出しないノズルでは、成分揮発によって、インクの粘度が高くなる。粘度が高いインクは吐出されにくい。粘度上昇が続くと、最終的に、ノズルが詰まる場合がある。
【0032】
そこで、制御部1は、印刷開始後、一定時間経過するごとに、パージ処理を画像形成部7(ラインヘッド70)に行わせる。パージ処理は、詰まり防止のためにラインヘッド70からインクを吐き捨てる処理である。パージ処理は、メンテナンスのための処理の1つである。パージ処理では、印刷が中断される。パージ処理中、エンジン制御部3aは、用紙を給紙、搬送させない。
【0033】
画像形成装置100は、ラインヘッド70のメンテナンスのため、メンテナンスユニット7aを含む。
図1に示すように、メンテナンスユニット7aは、ラインヘッド70の下方に設けられる。
図3に示すように、メンテナンスユニット7aは、第1移動機構71、第2移動機構72、トレイユニット73を含む。
【0034】
トレイユニット73は、インク受けトレイ74を含む。インク受けトレイ74は、ラインヘッド70(ノズル)から吐き捨てられるインクを受け、回収するためのトレイである。インク受けトレイ74には中央にインク排出穴が設けられる。インク受けトレイ74のうち、インクが落下する面は、インク排出穴に向けてインクが流れるように傾斜している。インク排出穴の下方に、廃インクタンク75(タンクに相当)が設けられる。廃インクタンク75は、吐き捨てられ、インク排出穴から落下したインクを受け止める。言い換えると、廃インクタンク75は、吐き捨てられたインクを廃インクとして回収する。
【0035】
第1移動機構71は搬送ユニット60を水平方向(
図1の紙面に対して垂直な方向)で移動させる。印刷のとき、第1移動機構71は、ラインヘッド70の下方となるように、搬送ユニット60を移動、配置する。パージ処理のとき、制御部1は、退避位置に向けて搬送ユニット60を第1移動機構71に移動させる。搬送ユニット60の退避位置は、ラインヘッド70の下方から外れる位置である。
【0036】
第2移動機構72は、トレイユニット73を上下方向(垂直方向)で移動させる。パージ処理のとき、搬送ユニット60の退避位置への移動後、制御部1は、トレイユニット73を第2移動機構72に上昇させる。これにより、トレイユニット73は、ラインヘッド70の下面に向けて移動する。第2移動機構72は、トレイユニット73をラインヘッド70の下方位置まで移動させる。パージ処理が終わったとき、制御部1は、下限位置までトレイユニット73を第2移動機構72に下降させる。下降後、制御部1は、ラインヘッド70の下方に向けて、搬送ユニット60を第1移動機構71に移動させる。
【0037】
ユニット、トレイの移動のため、第1移動機構71、第2移動機構72は、モーター、ギア、ベルト、プーリー、ベルト、ワイヤーのような機械要素を含む。制御部1は、モーターの回転を制御し、メンテナンスユニット7aの移動を制御する。パージ処理のため、画像形成装置100はポンプ76も含む。パージ処理のとき、制御部1はポンプ76を動作させる。ポンプ76は、各ラインヘッド70に送り込む方向に、インクに圧力かける装置である。その結果、全てのノズルからインクがにじみ出す。ノズルからインクが押し出される。この圧力印加で、粘度の上がったインクをノズルの外へ押しやることができる。
【0038】
制御部1は、予め定められた実行間隔でパージ処理を行う。実行間隔は、例えば、数分~60分の間の何れかの時間である。操作パネル4は、実行間隔の設定を受け付けてもよい。この場合、制御部1は、設定された実行間隔で、4色の全てのラインヘッド70でパージ処理を行う。印刷ジョブの開始から、又は、先のパージ処理から実行間隔が経過したとき、制御部1は、印刷を一時中止させ、パージ処理を行い、パージ処理後、印刷を再開させる。
【0039】
(液面検知装置9)
次に、
図4を用いて、実施形態に係る液面検知装置9の一例を説明する。
図4は、実施形態に係る液面検知装置9の一例を示す図である。
【0040】
液面検知装置9は、検知制御回路90、コイルL1(第1共振回路91の一部)、第2共振回路92、電極パッド93(第1共振回路91の一部)、メモリー94を含む。例えば、検知制御回路90は、共振周波数、静電容量を検知できるように設計されたICである。メモリー94は不揮発性の記憶装置である。例えば、メモリー94は、EEPROMである。メモリー94は複数の初期値を不揮発的に記憶する。初期値は、第1共振回路91、第2共振回路92の共振周波数を認識し、廃インクタンク75の静電容量を求め、廃インクタンク75内の液面の高さを示す値である液面レベル値を求めるためのデータを含む(詳細は後述)。
【0041】
液面検知装置9は1枚の検知用基板95を含む。検知用基板95には、検知制御回路90、コイルL1、第2共振回路92、メモリー94が実装される。
【0042】
廃インクタンク75は画像形成装置100内に設置される。
図4は、廃インクタンク75が画像形成装置100内のフレームF1の上に設置される例を示す。例えば、フレームF1は金属製であり、導電性を有する。例えば、フレームF1は鉄製である。廃インクタンク75を第1共振回路91のコンデンサーとして用いるため、電極パッド93が、廃インクタンク75に取り付けられる(貼り付けられる)。廃インクタンク75は交換可能(取り外し可能)である。廃インクタンク75を交換するとき、古い廃インクタンク75から電極パッド93は取り外される。新しい廃インクタンク75が設置されると、新しい廃インクタンク75に電極パッド93が取り付けられる。
【0043】
電極パッド93は、画像形成装置100に設けられた廃インクタンク75の面のうち、底面(フレームF1と接触する面)以外の面の何れか1面に取り付けられる。貼り付くように、電極パッド93の平面が廃インクタンク75の側面と接する。電極パッド93は、廃インクタンク75の外側(外面)に取り付けられる。そのため、電極パッド93自体はインクと非接触である。
図4は、電極パッド93を廃インクタンク75の側面に取り付ける例を示す。
図4の例では、電極パッド93の長手方向は、画像形成装置100に設けられた廃インクタンク75の高さ方向と平行である。
【0044】
廃インクタンク75自体は、樹脂製である。コンデンサーとして機能させるため、廃インクタンク75の素材は絶縁性を有する。電極パッド93の長辺の長さは、廃インクタンク75の高さ(上下方向の長さ)と同じもしくは短い。廃インクタンク75を取り付けると、定位置で廃インクタンク75に接するように、電極パッド93の位置が固定されていてもよい。
【0045】
また、電極パッド93は粘着性を有してもよい。電極パッド93の取り付け位置が一定になるように、廃インクタンク75に印が付されてもよい。印は、シール、刻印、塗装の何れでもよい。印は、電極パッド93の貼り付け面と同じ大きさ、同じ形でもよいし、電極パッド93の上端の位置を指し示す線でもよい。
【0046】
電極パッド93は信号線96にてコイルL1の一端と接続される。コイルL1の一端は、検知制御回路90の第1端子90aとも接続される。コイルL1の他端は、検知制御回路90の第2端子90bと接続される。第1共振回路91は、コイルL1、電極パッド93、コンデンサーとしての廃インクタンク75を含む。第1共振回路91は、LC共振回路である。第1共振回路91(廃インクタンク75)の静電容量を求めるため、液面検知装置9は、廃インクタンク75をコンデンサーとして用いる第1共振回路91の共振周波数を認識する。
【0047】
検知制御回路90は、第1端子90aと第2端子90bを用いて、第1共振回路91(コイルL1)に信号を入力する。例えば、検知制御回路90は交流電圧を印加する。検知制御回路90は、周波数を変えつつ、第1共振回路91に流れる電流を監視する。検知制御回路90は、電流が最大となった周波数を第1共振回路91の共振周波数と認識する。
【0048】
第2共振回路92は、コイルL2とコンデンサーC2を含む。第2共振回路92は検知制御回路90と接続される。コイルL2の一端と、コンデンサーC2の一端と、検知制御回路90の第3端子90cが接続される。コイルL2の他端と、コンデンサーC2の他端と、検知制御回路90の第4端子90dが接続される。第2共振回路92は電極パッド93と接続されない。
【0049】
検知制御回路90は、第3端子90cと第4端子90dを用いて、第2共振回路92(コイルL1)に信号を入力する。例えば、検知制御回路90は交流電圧を印加する。検知制御回路90は、周波数を変えつつ、第2共振回路92に流れる電流を監視する。検知制御回路90は、電流が最大となった周波数を第2共振回路92の共振周波数と認識する。
【0050】
(液体の液面の高さを示す値の検知)
図4を用いて、実施形態に係る液面検知装置9による液体の液面の高さを示す値の検知の概要を説明する。
【0051】
液面検知装置9は画像形成装置100に取り付けられる。そして、液面検知装置9の電極パッド93が廃インクタンク75に取り付けられる。電極パッド93の平面が廃インクタンク75と接する。液面検知装置9は液面レベル値を求める。液面レベル値は、廃インクタンク75内の液体(廃インク)の液面の高さを示す値である。
【0052】
具体的に、検知制御回路90は、以下の(式1)の計算により液面レベル値を求める。
(式1) 液面レベル値=(現在の静電容量-初期エンプティー値97)/(初期上端値98-初期エンプティー値97)
式1からわかるように、液面レベル値は、取り付けられた電極パッド93の上端を100%とし、液体なしを0%とする範囲において、何割程度の位置に液面の高さが位置しているかを示す値である。つまり、検知制御回路90は、比率を液面レベル値として求める。なお、マイナスの値が算出されたとき、検知制御回路90は、0%と扱う。
【0053】
初期エンプティー値97は、画像形成装置100への取り付け前の測定で得られた、液体がないとき(空のとき)の廃インクタンク75の静電容量である。初期上端値98は、画像形成装置100への取り付け前の測定で得られた、液体が上端のとき(上端と判定するとき)の廃インクタンク75の静電容量である。これらの初期値(初期エンプティー値97と初期上端値98)は、メモリー94に不揮発的に書き込まれる。
【0054】
廃インクタンク75の素材は絶縁性樹脂(プラスチック)である。そして、廃インクタンク75は、フレームF1に接する(
図4の例では下側)。そのため、廃インクタンク75は接地している。電極パッド93と廃インクタンク75に接するフレームF1が電極として機能する。廃インクタンク75は、電極パッド93とフレームF1の間の空間に電荷をチャージする。つまり、電極パッド93と、接地された廃インクタンク75と、によって、廃インクタンク75をコンデンサーと扱うことができる。
【0055】
廃インクタンク75が空のとき、廃インクタンク75は、絶縁性樹脂と空気を誘電体とするコンデンサーとなる。廃インクタンク75に廃インクが入っているとき、廃インクタンク75は、絶縁性樹脂と液体(廃インク)と空気を誘電体とするコンデンサーとなる。廃インクの液面の高さに応じて、廃インクタンク75の誘電率が変化する。本実施形態の廃インクは空気よりも誘電率が高い。そのため、液面が高くなるほど、廃インクタンク75の静電容量は大きくなる。
【0056】
検知制御回路90は、第1共振回路91の共振周波数を認識する。認識した共振周波数に基づき、検知制御回路90は、第1共振回路91(現在の廃インクタンク75)の静電容量(第1静電容量)を求める。共振周波数の式(f=1/2π√LC)、又は、共振の条件XL=XC(2πfL=1/2πfC)を整理すると、C=1/(4π2f2L)が得られる。検知制御回路90は、fに共振周波数、Lに第1共振回路91のコイルL1のインダクタンス値を代入し、第1共振回路91の静電容量を求める。メモリー94は、コイルL1のインダクタンス値を不揮発的に記憶する。
【0057】
(初期値の書き込み)
次に、
図5を用いて、実施形態に係る液面検知装置9での初期値のメモリー94への書き込みの流れの一例を説明する。
図5は、実施形態に係る液面検知装置9での初期値のメモリー94への書き込みの流れの一例を示す図である。
【0058】
液面検知装置9は画像形成装置100に取り付けられる。液面検知装置9は、画像形成装置100に組み込む部品(ユニット)の1つといえる。画像形成装置100の製造組立工場と別の場所で液面検知装置9(検知用基板95と電極パッド93の組み合わせ)を生産できる。生産した液面検知装置9が画像形成装置100の製造組立工場に搬入される。搬入後、液面検知装置9を画像形成装置100に取り付けられる(組み込まれる)。
【0059】
液面検知装置9の生産過程で、第1共振回路91の静電容量である第1静電容量を求めるためのデータである初期値がメモリー94に書き込まれる。初期値は、上述した初期エンプティー値97と初期上端値98を含む。また、初期値は、温度補正用静電容量99を含んでもよい。温度補正用静電容量99は、初期値を記憶させるときの第2共振回路92のコンデンサーC2の静電容量である。
【0060】
初期値の書き込み前に、液面検知装置9のコイルL1とコイルL2のインダクタンス値が予め不揮発的にメモリー94に書き込まれている。第1静電容量を求めるのに必要なためである。設計段階でコイルL1とコイルL2のインダクタンス値は定められている。そのため、メモリー94は設計値を記憶してもよい。また、コイルL1とコイルL2のインダクタンス値を機器で計測してもよい。計測結果をメモリー94に記憶させてもよい。
【0061】
生産過程で初期値を記憶させる場合、初期値書き込み用の治具に液面検知装置9がセットされる。画像形成装置100に取り付けた状態が模擬的に再現される。また、例えば、治具には設定用コンピューターを含めることができる。治具に液面検知装置9にセットすることにより、設定用コンピューターと検知制御回路90が通信線で接続される。これにより、設定用コンピューターから検知制御回路90に指示を与えることができる。
【0062】
図5のスタートは、治具に液面検知装置9をセットした状態である。まず、検知制御回路90は、初期エンプティー値97を求める(ステップ♯11)。例えば、設定用コンピューターが初期エンプティー値97を求める指示を出す。この指示に基づき、検知制御回路90はステップ♯11を行う。
【0063】
具体的に、初期エンプティー値97を求める場合、担当者は、電極パッド93を空の廃インクタンク75に取り付けてもよい(接触させてもよい)。なお、空状態での第1静電容量を認識できればよいので、電極パッド93を廃インクタンク75に取り付けない状態で測定してもよい。その後、検知制御回路90は、周波数を変えつつ交流電圧を印加し、第1共振回路91の共振周波数を認識する。認識した共振周波数とコイルL1のインダクタンス値に基づき、検知制御回路90は、空状態での第1静電容量を初期エンプティー値97として求める。
【0064】
次に、検知制御回路90は、初期上端値98を求める(ステップ♯12)。例えば、設定用コンピューターが初期上端値98を求める指示を出す。この指示に基づき、検知制御回路90はステップ♯12を行う。
【0065】
具体的に、初期上端値98を求める場合、担当者は、電極パッド93を、廃インクで満たされた廃インクタンク75に取り付ける。担当者は、液面と電極パッド93の上端が一致するように、廃インクタンク75に電極パッド93を取り付ける(接触させる)。その後、検知制御回路90は、交流電圧を印加し、第1共振回路91の共振周波数を認識する。認識した共振周波数とコイルL1のインダクタンス値に基づき、検知制御回路90は、廃インクタンク75が廃インクで満たされた状態での第1静電容量を初期上端値98として求める。
【0066】
次に、検知制御回路90は、温度補正用静電容量99を求める(ステップ♯13)。例えば、設定用コンピューターが温度補正用静電容量99を求める指示を出す。この指示に基づき、検知制御回路90はステップ♯13を行う。
【0067】
具体的に、温度補正用静電容量99を求める場合、検知制御回路90は、交流電圧を第2共振回路92に印加し、第2共振回路92の共振周波数を認識する。認識した共振周波数とコイルL2のインダクタンス値に基づき、検知制御回路90は、第2共振回路92の静電容量である第2静電容量を温度補正用静電容量99として求める。
【0068】
検知制御回路90は、初期値をメモリー94に書き込む(ステップ♯14)。これにより、メモリー94は、液面を検知するためのデータとして、初期値と各コイルL1のインダクタンス値を不揮発的に記憶する。初期値は、求めた初期エンプティー値97、初期上端値98、温度補正用静電容量99である。検知制御回路90は、初期値の書き込みの処理を終了する(エンド)。
【0069】
(誤差値910の登録)
次に、
図6、
図7を用いて、実施形態に係る液面検知装置9での誤差値910の登録の一例を説明する。
図6は、実施形態に係る液面検知装置9で求める静電容量の違いの一例を示す図である。
図7は、実施形態に係る液面検知装置9での誤差値910の登録の流れの一例を示す図である。
【0070】
液面検知装置9は画像形成装置100に取り付けられる。実機(画像形成装置100)と治具では、共振周波数及び静電容量を検知する(測定する)環境が異なる。検知条件(測定条件)に差がある。そのため、廃インクタンク75の液面の高さが同じでも、検知制御回路90が求める第1静電容量(第1共振回路91の静電容量)に差が出る。この差の原因は複数考えられる。検知用基板95から電極パッド93までの浮遊容量C0(
図4参照)が治具と実際の画像形成装置100で異なることが原因の一つと考えられる。
【0071】
図6は、検知環境の違いによる第1静電容量の差の一例を示すグラフである。
図7は、画像形成装置100に実際に取り付けたときの方が、求める(測定する)第1静電容量が大きくなる場合の一例を示す。なお、画像形成装置100に実際に取り付けたときの方が、求める第1静電容量が小さくなる場合もあり得る。
【0072】
液面検知装置9は初期値を用いて、液面レベル値を求める。画像形成装置100への取り付け前後で、検知環境の違いによる第1静電容量の差が大きい場合、液面の高さを正確に検知することができない。そこで、画像形成装置100では、液面レベル値を求めるとき、求めた第1静電容量を補正する。補正のため、誤差値910をメモリー94に記憶させる。誤差値910の登録(記憶)は、液面検知装置9の画像形成装置100への取付後に行われる。画像形成装置100の製造組立時の工程の1つとして誤差値910の登録が行われてもよいし、画像形成装置100の出荷前検査の一つとして誤差値910の登録が行われてもよい。
【0073】
図7のスタートは、誤差値910の登録を開始する時点である。
図7の時点では、液面検知装置9は既に画像形成装置100に取り付けられている。
図7のスタートは、例えば、液面検知装置9が画像形成装置100に設けられた状態で、操作パネル4が誤差値910の登録指示を受け付けた時点である。担当者が操作パネル4に登録指示を行う。制御部1と検知制御回路90は通信可能に接続される(
図4参照)。制御部1は、誤差値910の登録開始指示を検知制御回路90に送る。この指示を受け、検知制御回路90は、誤差値910の記憶処理を開始する。
【0074】
まず、検知制御回路90は、画像形成装置100への取り付け後の(画像形成装置100に取り付けた状態での)第1静電容量を求める(ステップ♯21)。具体的に、検知制御回路90は、交流電圧を印加し、第1共振回路91の共振周波数を認識する。認識した共振周波数とコイルL1のインダクタンス値に基づき、検知制御回路90は、第1静電容量を求める。
【0075】
なお、誤差値910の登録時、廃インクタンク75は画像形成装置100に取り付けておいてもよいし、取り付けていなくてもよい。廃インクタンク75を取り付けておく場合、液体が入っていない(空の)廃インクタンク75を用いる。ただし、初期エンプティー値97を求めたときと同じ状態にすることが好ましい。液体がないとき(空のとき)の廃インクタンク75の静電容量を測って初期エンプティー値97を得た場合、電極パッド93を液体が入っていない(空の)廃インクタンク75に取り付けることが好ましい。
【0076】
次に、ステップ♯21で求めた第1静電容量に基づき、検知制御回路90は、誤差値910を求める(ステップ♯22)。そして、検知制御回路90は、求めた誤差値910をメモリー94に記憶させる(書き込む)(ステップ♯23→エンド)。これにより、メモリー94は新たに誤差値910を不揮発的に記憶する。
【0077】
図6は、廃インクの液面の高さに対する第1静電容量の変化を示す曲線を示すグラフである。検知環境が変わるが、検知制御回路90、コイルL1、インクの組成は変わらない。そのため、治具に取り付けたときと画像形成装置100に取り付けたときとで、曲線の傾きや曲線の形状は大きく変わらない。廃インクが空のときと、電極パッド93の上端まで廃インクが満たされているときとでは、第1静電容量の差に大きな違いがでない。
【0078】
廃インクが満たされた廃インクタンク75を誤差値910の登録に用いることはできる。しかし、電極パッド93の上端まで廃インクで満たされた廃インクタンク75の用意に手間がかかる。また、誤差値910の登録後、廃インクタンク75を交換しなくてはならない。そこで、画像形成装置100では、画像形成装置100への取り付け後の測定で得られた、液体がないときの第1静電容量(ステップ♯21で求めた第1静電容量)から、初期エンプティー値97を減じた値を誤差値910とする。
【0079】
(液面レベル値の算出)
次に、
図8を用いて、実施形態に係る液面検知装置9による液面レベル値の算出の流れの一例を説明する。
図8は、実施形態に係る液面検知装置9による液面レベル値の算出の流れの一例を示す図である。
【0080】
図8のスタートは、廃インクタンク75の液面レベル値の算出を開始する時点である。
図8のスタートの時点でも、液面検知装置9は、既に画像形成装置100に取り付けられている。制御部1は、液面レベル値の算出開始指示を検知制御回路90に送る。この指示を受け、検知制御回路90は液面レベル値の算出処理を開始する。
【0081】
主電源の投入によって画像形成装置100が起動したとき、制御部1は、算出開始指示を検知制御回路90に送ってもよい。パージ処理を行ったとき、制御部1は、算出開始指示を検知制御回路90に送ってもよい。印刷を開始するとき、制御部1は、算出開始指示を検知制御回路90に送ってもよい。印刷を終了したとき、制御部1は、算出開始指示を検知制御回路90に送ってもよい。廃インクタンク75の交換のときに開けるカバーが開閉されたとき、制御部1は、算出開始指示を検知制御回路90に送ってもよい。
【0082】
まず、検知制御回路90は第1静電容量を求める(ステップ♯31)。具体的に、検知制御回路90は、交流電圧を印加し、第1共振回路91の共振周波数を認識する。認識した共振周波数とコイルL1のインダクタンス値に基づき、検知制御回路90は、第1静電容量(第1共振回路91の静電容量、廃インクタンク75の静電容量)を求める。
【0083】
次に、検知制御回路90は求めた第1静電容量から誤差値910を減じた値を第1補正容量として求める(ステップ♯32)。第1補正容量は、検知環境の変化の影響を減らすため、ステップ♯31で求めた第1静電容量を誤差値910で補正した値である。
【0084】
誤差値910の登録時(画像形成装置100への取り付け後)に得られた第1静電容量が初期エンプティー値97よりも大きいとき(
図6参照)、誤差値910はプラスの値となる。そのため、ステップ♯32の補正によって、第1静電容量は減らされる。一方、誤差値910の登録時に得られた第1静電容量が初期エンプティー値97よりも小さいとき、誤差値910はマイナスの値となる。この場合、ステップ♯32の補正によって、第1静電容量は加算される。
【0085】
次に、検知制御回路90は第2静電容量を求める(ステップ♯33)。具体的に、検知制御回路90は、交流電圧を印加し、第2共振回路92の共振周波数を認識する。認識した共振周波数とコイルL2のインダクタンス値に基づき、検知制御回路90は、第2静電容量(第2共振回路92の静電容量)を求める。
【0086】
コンデンサーは温度によって、静電容量が変わる。ここで、第2共振回路92は、検知制御回路90以外に接続されない。求めた第2静電容量と温度補正用静電容量99に差が出る場合、初期値の登録時と現時点の温度差が原因と考えられる。温度差の影響は、第1共振回路91にも影響がある。そこで、温度補正用静電容量99と、求めた第2静電容量と、に基づいて、検知制御回路90は、所定の演算を行うことにより、第1補正容量を補正した第2補正容量を求める。
【0087】
具体的に、検知制御回路90は、温度補正用静電容量99をステップ♯33で求めた第2静電容量で除して比率を求める(ステップ♯34)(比率=温度補正用静電容量99/第2静電容量)。そして、検知制御回路90は、得られる比率を、第1補正容量に乗じて第2補正容量を求める(ステップ♯35)。比率に基づき補正を行うので、第2共振回路92のコンデンサーC2の静電容量は、第1共振回路91より小さくてもよい。小型でコスト的に問題のないコンデンサーを用いることができる。
【0088】
第1共振回路91、第2共振回路92ともに、温度が上がると、静電容量が大きくなるとする。現在の第2静電容量が温度補正用静電容量99(治具を用いた静電容量)よりも大きいとき、現在の温度は、温度補正用静電容量99の設定時よりも高いと考えられる。上記の演算によれば、求められる比率は1未満となる。そのため、ステップ♯34の補正によって、静電容量を減らす方向に補正がなされる。
【0089】
一方、現在の第2静電容量が温度補正用静電容量99よりも小さいとき、現在の温度は、初期値の設定時よりも低いと考えられる。上記の演算によれば、求められる比率は1を超える。ステップ♯34の補正によって、静電容量を増やす方向に補正がなされる。
【0090】
そして、検知制御回路90は、初期値(初期エンプティー値97、初期上端値98)と、第1補正容量又は第2補正容量に基づき、液面レベル値を求める(ステップ♯36)。
【0091】
第1補正容量を用いる場合、温度に関する補正を行わずに液面レベル値を求めることになる。第2補正容量を用いる場合、温度に関する補正を行って液面レベル値を求めることになる。操作パネル4は、第1補正容量と第2補正容量の何れを用いるかの選択を受け付けてもよい。検知制御回路90は、選択された補正容量を用いて、液面レベル値を求める。第2補正容量を用いない場合、検知制御回路90は、ステップ♯33~ステップ♯35をスキップしてもよい。
【0092】
第1補正容量を用いる場合の検知手法を説明する。Aを第1補正容量、Bを初期エンプティー値97、Cを初期上端値98とする。検知制御回路90は、(A-B)/(C-B)の計算を行う。検知制御回路90は、液面レベル値(液体の液面の高さ)として比率を求める。
【0093】
次に、第2補正容量を用いる場合の検知手法を説明する。Dを第2補正容量、Eを初期エンプティー値97、Fを初期上端値98とする。検知制御回路90は、(D-E)/(F-E)の計算を行う。検知制御回路90は液面レベル値として比率を求める。なお、BとEは同じ値であってもよい。また、CとFは同じ値であってもよい。
【0094】
そして、検知制御回路90は液面レベル値を制御部1に通知する(ステップ♯37→エンド)。廃インクタンク75内の液面の位置が高いほど、求められる比率(液面レベル値)は1に近くなる。廃インクタンク75内の液面の位置が低いほど、求められる比率は0に近くなる。つまり、制御部1は、液面レベル値の大きさに基づき、廃インクがどれだけ溜まっているかを認識できる。
【0095】
(検知結果に基づく通知)
次に、
図9を用いて、実施形態に係る画像形成装置100での通知の一例を説明する。
図9は、実施形態に係る画像形成装置100での通知の一例を説明する。
【0096】
制御部1は、液面検知装置9(検知制御回路90)から液面の高さを示す値(液面レベル値)を受信する。液面レベル値に基づき、制御部1は、廃インクタンク75の交換時期が来ているか否かを認識できる。また、廃インクタンク75からインクが溢れる危険があるほど、インクが溜まっているか否かも認識できる。制御部1は、液面検知装置9から伝えられた液面レベル値に基づき、使用者に通知を行う。以下、
図9を用いて、通知の流れの一例を説明する。
図9のスタートは、液面検知装置9(検知制御回路90)から液面レベル値を受信した時点である。
【0097】
制御部1は、液面レベル値が第1閾値以上か否かを確認する(ステップ♯41)。第1閾値は、印刷を止める必要があるほど、廃インクが溜まっているか否かを判定するための値である。溜まりすぎの状態で印刷すると、廃インクが溢れる可能性が高くなる。また、交換のための廃インクタンク75の取り外しで廃インクを溢す可能性も高くなる。第1閾値は予め定められる。例えば、記憶部2(ストレージ)が第1閾値を不揮発的に記憶する。例えば、第1閾値は、80~100%の範囲の何れかの値とできる。
【0098】
液面レベル値が第1閾値以上のとき(ステップ♯41のYes)、制御部1は、第1メッセージを通知部に通知させる(ステップ♯42)。第1メッセージは、廃インクタンク75を交換すべきこと、及び、廃インクタンク75が交換されるまで印刷できないことを知らせるメッセージである。通知部は、表示パネル41と通信回路部12である。制御部1は、第1メッセージを表示パネル41に表示させる。また、制御部1は、画像形成装置100の管理者のコンピューター200に向けて、第1メッセージを含むデータを通信回路部12に送信させる。
【0099】
この場合、制御部1は、画像形成装置100を、印刷ジョブを開始できない印刷禁止モードとする(ステップ♯43→エンド)。具体的に、印刷ジョブの開始指示がなされても、給紙部5、用紙搬送部6、画像形成部7を動作させない。
【0100】
印刷禁止モードを解除したい場合、使用者は、廃インクタンク75を交換する必要がある。例えば、廃インクタンク75を取り外すときに開けられるカバーの開閉を検知するセンサーが設けられる。このカバーが開閉されたとき、制御部1は、液面検知装置9に液面レベル値を求めさせる。新たに通知された液面レベル値が第1閾値未満のとき、制御部1はロックモードを解除する。
【0101】
液面レベル値が第1閾値未満のとき(ステップ♯41のNo)、制御部1は、液面レベル値が第2閾値以上か否かを確認する(ステップ♯44)。第2閾値は、容器(廃インクタンク75)の交換を促すメッセージを表示するか否かを判定するための値である。第2閾値は予め定められる。例えば、記憶部2(ストレージ)が第2閾値を不揮発的に記憶する。例えば、第2閾値は、40~70%の範囲の何れかの値とできる。ただし、第2閾値は第1閾値よりも小さい。
【0102】
液面レベル値が第2閾値以上のとき(ステップ♯44のYes)、制御部1は、第2メッセージを含む通知部に通知させる(ステップ♯45)。ステップ♯45の後、又は、液面レベル値が第2閾値未満のとき(ステップ♯44のNo)、制御部1は、本フローチャートの処理を終了する(エンド)。第2メッセージは、廃インクタンク75を交換すべきことを知らせるメッセージである。制御部1は第2メッセージを表示パネル41に表示させる。また、制御部1は、画像形成装置100の管理者のコンピューター200に向けて、第2メッセージを含むデータを通信回路部12に送信させる。
【0103】
このようにして、実施形態に係る液面検知装置9は、画像形成装置100に取り付けられる。液面検知装置9は、電極パッド93、コイルL1、メモリー94、検知制御回路90を含む。電極パッド93は、画像形成装置100に設けられた液体を収容するタンクの外側、かつ、側面に取り付けられる。コイルL1は、電極パッド93と接続され、第1共振回路91の一部である。メモリー94は初期値を不揮発的に記憶する。検知制御回路90は、コイルL1と電極パッド93が取り付けられたタンクをコンデンサーとして用いる第1共振回路91の共振周波数を認識する。認識した共振周波数に基づき、検知制御回路90は、第1共振回路91の静電容量である第1静電容量を求める。初期値をメモリー94に記憶させる場合、検知制御回路90は、画像形成装置100への取り付け前に第1静電容量を求め、求めた第1静電容量を初期値としてメモリー94に記憶させる。誤差値910をメモリー94に記憶させる場合、検知制御回路90は、画像形成装置100への取り付け後、第1静電容量を求め、初期値と画像形成装置100への取り付け後に求めた第1静電容量の差に基づいて誤差値910を求め、求めた誤差値910をメモリー94に不揮発的に記憶させる。電極パッド93の高さ方向における液体の液面の高さを示す値である液面レベル値を求める場合、検知制御回路90は、第1静電容量を求め、求めた第1静電容量から誤差値910を減じて第1補正容量を求め、第1補正容量と初期値に基づき、液面レベル値を求めてもよい。
【0104】
液面レベル値を求めるとき、誤差値910に基づき、第1静電容量を補正することができる。言い換えると、初期値を設定したときの測定環境で得られる第1静電容量となるように、画像形成装置100に取り付け後の測定で得られた静電容量を補正することができる。補正した第1静電容量(第1補正容量)と初期値に基づき、正確に液面の高さを示す値(液面レベル値)を求めることができる。また、電極パッド93は、交換可能なタンクの外側に取り付けられる。電極パッド93はタンクと別体であるので、タンクの製造コストを抑えることができる。また、電極パッド93は液体と非接触であるので、電極パッド93は汚れない。
【0105】
検知制御回路90は、初期エンプティー値97と初期上端値98を初期値としてメモリー94に記憶させる。初期エンプティー値97は、画像形成装置100への取り付け前の測定で得られた値であって、液体がないときの第1静電容量である。初期上端値98は、画像形成装置100への取り付け前の測定で得られた値であって、液面の高さが電極パッド93の上端と同じ高さのときの第1静電容量である。Aを第1補正容量、Bを初期エンプティー値97、Cを初期上端値98とする場合、検知制御回路90は、(A-B)/(C-B)の計算を行うことより、液面レベル値を求める。液体なしから初期上端値98に対応する高さまでの範囲において、現在の液面が、どの割合まで到達しているかを検知することができる。
【0106】
検知制御回路90は、初期エンプティー値97をメモリー94に記憶させる。検知制御回路90は、画像形成装置100への取り付け後に得られた液体がないときの第1静電容量から初期エンプティー値97を減じた値を誤差値910としてメモリー94に記憶させる。この構成によれば、初期値を記憶させたときの液体なしの状態での第1静電容量と、画像形成装置100に取り付け後、液体なしの状態での第1静電容量の差を誤差値910とすることができる。第1静電容量を適切に補正することができる。
【0107】
液面検知装置9は、検知制御回路90と接続され、電極パッド93とは接続されず、コンデンサーC2を含む第2共振回路92を含む。検知制御回路90は、第2共振回路92の共振周波数を認識し、認識した第2共振回路92の共振周波数に基づき、第2共振回路92の静電容量である第2静電容量を求める。メモリー94は、温度補正用静電容量99を不揮発的に記憶する。温度補正用静電容量99をメモリー94に記憶させる場合、検知制御回路90は、画像形成装置100への取り付け前に第2静電容量を求める。検知制御回路90は、求めた第2静電容量を温度補正用静電容量99としてメモリー94に記憶させる。液面レベル値を求める場合、検知制御回路90は、画像形成装置100への取り付け後に第2静電容量を求め、温度補正用静電容量99と画像形成装置100への取り付け後に求めた第2静電容量に基づいて所定の演算を行うことにより、第1補正容量を補正した第2補正容量を求め、第2補正容量と初期値に基づき、液面レベル値を求めてもよい。コンデンサーは温度によって静電容量が変わる。初期値を記憶させたときと、液面レベル値を求めるときの温度差の影響がなくなるように、求めた静電容量(第1静電容量、第1補正容量)を補正することができる。温度差の影響を減らすので、現在の液面の高さを正確に検知することができる。
【0108】
液面検知装置9は1枚の検知用基板95を含む。検知用基板95は、メモリー94と、検知制御回路90と、コイルL1と、第2共振回路92を含み、電極パッド93と信号線96でつながっている。液面検知装置9を1枚の基板にまとめることができる。画像形成装置100には、基板を取り付けるだけで、メモリー94、検知制御回路90、コイルL1、及び、第2共振回路92をまとめて取り付けることができる。
【0109】
検知制御回路90は、初期エンプティー値97と初期上端値98を初期値としてメモリー94に記憶させる。Dを第2補正容量、Eを初期エンプティー値97、Fを初期上端値98とする場合、検知制御回路90は、(D-E)/(F-E)の計算を行うことより、液面レベル値を求めてもよい。初期エンプティー値97に対応する高さから初期上端値98に対応する高さまでの範囲において、現在の液面が、どの割合まで到達しているかを検知することができる。
【0110】
検知制御回路90は、比率と、第1補正容量と、を乗じる演算を所定の演算として行う。比率は、温度補正用静電容量99を、液面レベル値を求めるときに求めた第2静電容量で除して得られる値である。温度差による静電容量の変化率を求めることができる。求めた変化率を第1補正容量に乗じて、温度差による影響を除去した第1静電容量(第2補正容量)を求めることができる。
【0111】
液体はインクである。タンクはインク(廃インク)を収容する容器である。画像形成装置100は、インクに基づき印刷する画像形成部7と、液面検知装置9と、を含む。タンクが収容するインクの液面の高さを正確に検知することができる。
【0112】
画像形成装置100は通知を行う通知部と制御部1と、を含む。検知した液面の高さが予め定められた閾値以上のとき、制御部1は、タンクの交換の必要性を通知部に通知させる。タンク内のインクが多くなっていることを使用者に通知(警告)することができる。
【0113】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0114】
例えば、廃インクタンクに液面検知装置を適用する例を説明した。しかし、各ラインヘッドにインクを供給するインクタンク81に液面検知装置9を適用してもよい。この場合、液面レベル値は、インクタンク81のインク残量を示す値となる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は液面の高さを検知する装置、及び、インクを用いて印刷する画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0116】
100 画像形成装置 12 通信回路部(通知部)
41 表示パネル(通知部) 75 廃インクタンク(タンク)
9 液面検知装置 90 検知制御回路
91 第1共振回路 92 第2共振回路
93 電極パッド 94 メモリー
95 検知用基板 96 信号線
97 初期エンプティー値(初期値) 98 初期上端値(初期値)
99 温度補正用静電容量 910 誤差値
L1 コイル C2 コンデンサー