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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】乗用草刈機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/68 20060101AFI20240130BHJP
   A01D 34/64 20060101ALI20240130BHJP
   A01D 34/81 20060101ALI20240130BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20240130BHJP
   F02B 77/11 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A01D34/68 Z
A01D34/64 H
A01D34/68 L
A01D34/81
B60K13/04 B
F02B77/11 D
F02B77/11 E
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020089559
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021182886
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2022-12-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【弁理士】
【氏名又は名称】亀井 岳行
(72)【発明者】
【氏名】増田 龍太郎
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-033431(JP,A)
【文献】特開2015-183539(JP,A)
【文献】特開2016-068805(JP,A)
【文献】特開2016-101772(JP,A)
【文献】特開2010-203393(JP,A)
【文献】特開2014-122634(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0224870(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/00 - 34/90
A01D 42/00 - 43/077
B60K 13/04
F02B 77/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(10)と、
前記車体(10)の前部に配置される運転席(2)と、
前記車体(10)に取り付けられる草刈り装置(5)と、
前記車体(10)の後部でかつ前記運転席(2)の後方になる位置に配置されるエンジン(3)と、
前記エンジン(3)の上方に配置され、前記草刈り装置(5)で刈り取られた刈草を収容する集草容器(56)と、
前記運転席(2)の後方で下方側の位置にかつ前記エンジン(3)の上部よりも低い位置に配置される動力伝達ケース(4)と、
前記動力伝達ケース(4)の上面部(4a)に取り付けられる取付部材(7)と、
前記取付部材(7)に取り付けられる保持部材(8)に保持されて配置される排気ガス浄化装置(6)と、
を備え、
前記排気ガス浄化装置(6)は、前記運転席(2)の後方でかつ前記エンジン(3)の前方になる位置に配置され、
前記排気ガス浄化装置(6)は、その上端(6a)が、前記エンジン(3)の上端(3c)の高さ(H2)以下の位置になる状態で保持され、また、その下端(6b)が、前記取付部材(7)の取り付けられる前記動力伝達ケース(4)の上面部(4a)の高さ(H1)以下の位置になる状態で保持されており、
前記エンジン(3)の左右の方向の一方になる側方に、ラジエータ(38)と冷却ファン(39)を配置していることを特徴とする乗用草刈機。
【請求項2】
前記保持部材(8)は、その下端(8b)が、前記取付部材(7)の取り付けられる前記動力伝達ケース(4)の上面部(4a)の高さ(H1)よりも低い位置になる状態で取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の乗用草刈機。
【請求項3】
前記保持部材(8)は、前記排気ガス浄化装置(6)の一部の外周面を締め付けた状態で保持する保持部(81)と、前記保持部(81)を支持するとともに前記取付部材(7)に取り付けられる支持部(82)とを有する部材であり、前記保持部(81)が上下又は斜め上下に分割可能に構成されており、前記支持部(82)が前記保持部(81)の分割された一方を下方から支持して固定するよう構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗用草刈機。
【請求項4】
前記取付部材(7)は、前記動力伝達ケース(4)の上面部(4a)に取り付けられる取付け面部(71)と、前記取付け面部(71)から左右に間隔をあけて立ち上がる左右の側面部(72L,72R)とを有する、上方が解放された形状からなる部材であり、
前記取付部材(7)における前記左右の側面部(72L,72R)の間が、前記排気ガス浄化装置(6)の状態を検出する検出器(68)と接続する接続線(69)を配策する空間(7s)として使用されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の乗用草刈機。
【請求項5】
前記排気ガス浄化装置(6)よりも下方の位置であって前記動力伝達ケース(4)の前方の位置に、前記草刈り装置(5)で刈り取った刈草を吸引により収集して前記集草容器(56)内に収容する刈草収集部(53)の吸引部を設けていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の乗用草刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用して草刈作業を行うことが可能な乗用草刈機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ディーゼルエンジンを搭載した草刈機として、運転座席の後方にエンジンを備え、エンジンの上方にエアークリーナを設けるとともにエンジンの後方に排出ガス浄化装置を設けたうえで、運転座席とエアークリーナの間の領域をエアークリーナよりも上方に突き出すように延びるラジエータを設けた草刈機が知られている(特許文献1)。
この草刈機では、ラジエータを通り抜けた冷却風がエンジンルーム内に入り込んだ後にエンジンの上方を通過してエンジンルームの後方に流れ、これにより、エンジンの上方の熱気を押し流してエンジンルーム内の温度を下げることや高温になる排出ガス浄化装置の周辺の熱気を排出させることができる冷却風の経路が作りだされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6449020号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の草刈機にあっては、エンジンの上方にエアークリーナや排気ガス浄化装置やラジエータの一部が存在するよう配置されているので重心が高くなり、しかも、それらの上方に例えば刈り取った草を収容する集草容器を配置しようとした場合にはさらに重心が高くなってしまい、走行が不安定になるおそれがある。
【0005】
本発明は、エンジンの上方に集草容器を配置する場合であっても、安定した走行ができる乗用草刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、以下の手段により解決される。
【0007】
すなわち、請求項1に係る発明は、
車体(10)と、
前記車体(10)の前部に配置される運転席(2)と、
前記車体(10)に取り付けられる草刈り装置(5)と、
前記車体(10)の後部でかつ前記運転席(2)の後方になる位置に配置されるエンジン(3)と、
前記エンジン(3)の上方に配置され、前記草刈り装置(5)で刈り取られた刈草を収容する集草容器(56)と、
前記運転席(2)の後方で下方側の位置にかつ前記エンジン(3)の上部よりも低い位置に配置される動力伝達ケース(4)と、
前記動力伝達ケース(4)の上面部(4a)に取り付けられる取付部材(7)と、
前記取付部材(7)に取り付けられる保持部材(8)に保持されて配置される排気ガス浄化装置(6)と、
を備え、
前記排気ガス浄化装置(6)は、前記運転席(2)の後方でかつ前記エンジン(3)の前方になる位置に配置され、
前記排気ガス浄化装置(6)は、その上端(6a)が、前記エンジン(3)の上端(3c)の高さ(H2)以下の位置になる状態で保持され、また、その下端(6b)が、前記取付部材(7)の取り付けられる前記動力伝達ケース(4)の上面部(4a)の高さ(H1)以下の位置になる状態で保持されており、
前記エンジン(3)の左右の方向の一方になる側方に、ラジエータ(38)と冷却ファン(39)を配置していることを特徴とする乗用草刈機である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の乗用草刈機システムにおいて、前記保持部材(8)は、その下端(8b)が、前記取付部材(7)の取り付けられる前記動力伝達ケース(4)の上面部(4a)の高さ(H1)よりも低い位置になる状態で取り付けられていることを特徴とする乗用草刈機である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の乗用草刈機システムにおいて、前記保持部材(8)は、前記排気ガス浄化装置(6)の一部の外周面を締め付けた状態で保持する保持部(81)と、前記保持部(81)を支持するとともに前記取付部材(7)に取り付けられる支持部(82)とを有する部材であり、前記保持部(81)が上下又は斜め上下に分割可能に構成されており、前記支持部(82)が前記保持部(81)の分割された一方を下方から支持して固定するよう構成されていることを特徴とする乗用草刈機である。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の乗用草刈機において、前記取付部材(7)は、前記動力伝達ケース(4)の上面部(4a)に取り付けられる取付け面部(71)と、前記取付け面部(71)から左右に間隔をあけて立ち上がる左右の側面部(72L,72R)とを有する、上方が解放された形状からなる部材であり、
前記取付部材(7)における前記左右の側面部(72L,72R)の間が、前記排気ガス浄化装置(6)の状態を検出する検出器(68)と接続する接続線(69)を配策する空間(7s)として使用されることを特徴とする乗用草刈機である。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の乗用草刈機において、前記排気ガス浄化装置(6)よりも下方の位置であって前記動力伝達ケース(4)の前方の位置に、前記草刈り装置(5)で刈り取った刈草を吸引により収集して前記集草容器(56)内に収容する刈草収集部(53)の吸引部を設けていることを特徴とする乗用草刈機である。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明では、エンジン(3)の上方に集草容器(56)を配置する乗用草刈機であっても、排気ガス浄化装置(6)をエンジン(3)の前方であって動力伝達ケース(4)の上面部(4a)に配置することに加えて、排気ガス浄化装置(6)を、その上端(6a)がエンジン(3)の上端(3c)の高さ(H2)以下の位置になる状態で保持され、また、その下端(6b)が動力伝達ケース(4)の上面部(4a)の高さ以下の位置になる状態で保持されるよう配置する。このため、請求項1に記載の発明では、排気ガス浄化装置(6)をそのような状態で配置しない場合に比べると乗用草刈機の重心が低く抑えられる。
また、請求項1に記載の発明では、排気ガス浄化装置(6)をエンジン(3)の上方でなくエンジン(3)の前方に配置し、しかもラジエータ(38)をエンジン(3)の側方の位置に配置しているので、重心を比較的低くすることが可能になる。
したがって、この発明の乗用草刈機によれば、エンジン(3)の上方に集草容器(56)を配置する場合であっても、安定した走行ができる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、乗用草刈機の重心がより低く抑えられ、エンジン(3)の上方に集草容器(56)を配置する場合であっても、乗用草刈機のより安定した走行が可能になる。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、保持部材(8)の保持部(81)を上下又は斜め上下に分割可能であるので、排気ガス浄化装置(6)の着脱作業をその上下又は斜め上下に移動させることで容易に行うことができる
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、排気ガス浄化装置(6)の状態を検出する検出器(68)の接続線(69)を、取付部材(7)において上方が解放された左右の側面部(72L,72R)の間の空間(7s)を利用して容易に配策することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、刈草収集部(53)の吸引部を、排気ガス浄化装置(6)よりも下方の位置であって動力伝達ケース(4)の前方の位置に設けているので、乗用草刈機の重心が低く抑えられる
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る乗用草刈機の左側面図である。
図2図1の乗用草刈機の一部を右斜め上の後方から見た状態で示す斜視図である。
図3図1の乗用草刈機の後部の一部を左斜め上の後方から見た状態で示す斜視図である。
図4図1の乗用草刈機の内部の一部を左側から見た状態で示す概要図である。
図5図1の乗用草刈機の内部の一部を上方から見た状態で示す概要図である。
図6】排気ガス浄化装置の取付け状態を示す右斜め下の前方から見た状態で示す斜視図である。
図7】排気ガス浄化装置の取付け状態を右斜め上方から見た状態で示す斜視図である。
図8図7の排気ガス浄化装置の一部を示す斜視図である。
図9】排気ガス浄化装置を取り付けて保持する取付部材および保持部材を示す斜視図である。
図10】排気ガス浄化装置の保持状態を示す概要図である。
図11】排気ガス浄化装置の保持部材の他の構成例を示す斜視図である。
図12図11の保持部材を他の方向から見た状態で示す斜視図である。
図13図11の保持部材における上部保持板を開けた状態を示す概略左側面図である。
図14図11の保持部材における上部保持板等の構成を示す斜視図である。
図15図11の保持部材における上部保持板と下部保持板との回動可能な連結部分を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0019】
図1から図5には、本発明の実施形態に係る乗用草刈機1の全体又は一部が示されている。
乗用草刈機1は、前後の方向に走行可能な車体10を備えており、その車体10の前部および後部に前輪11,11と後輪12,12がそれぞれ設けられている。また、乗用草刈機1は、車体10の前部に運転席2が配置され、車体10の後部にエンジン3が配置されている。
【0020】
運転席2は、車体10の前部の上側に形成されるフロア部21の後方に配置されている。フロア部21には、その前部に配置されるステアリングコラム22と、ステアリングコラム22の左右に配置される操縦用の脚踏みペダル23や、ステアリングコラム22の後方に配置される運転席2となる座席24や、座席24の左右に配置される操作部25が設けられている。ステアリングコラム22には操舵用のステアリングホイール(ハンドル)26が設けられており、操作部25には操縦用の手動レバー27、図示しない操作盤等が設けられている。この乗用草刈機1では、ステアリングホイール26の左右への回転操作により後輪12,12が左右に操舵される。
【0021】
エンジン3は、図2から図5等に示されるように、車体10の後部のうち前側に存在する状態で配置されている。エンジン3としては、例えば、ディーゼルエンジンが使用される。
エンジン3は、その前方で下方になる位置に、エンジン3の動力を変速および分配して伝達する動力伝達ケース4が連結して配置されている。動力伝達ケース4は、例えばエンジン3の動力の一部を減速させて前輪11,11の駆動輪に伝達し、またその動力の一部を分配して後述する草刈り装置5に伝達するよう構成されている。
【0022】
動力伝達ケース4は、車体10の前後方向のほぼ中央部に配置されているが、実施の形態1における動力伝達ケース4は車体10の一部を構成している。
このため車体10は、動力伝達ケース4の前部に突出して取り付けられる、フロア部21を形成するフロアフレーム13や前輪11,11等を支持する左右の前方サイドフレーム14L,14Rを含めて構成されている。また車体10は、動力伝達ケース4の後部に突出して取り付けられる、エンジン3、後輪12,12を支持する左右の後方サイドフレーム15L,15Rやエンジン3の上方で後述する集草容器56等を支持する平面U字状の上部フレーム16等も含めて構成されている。
【0023】
前方サイドフレーム14L,14Rには、図4図5等に示されるように、運転席2の左右両側に位置して立ち上がるよう配置される左右の枠フレーム17L,17Rや、枠フレーム17L,17Rの上部後端どうしを左右に横断するよう配置して連結する連結フレーム18が設けられている。また、上部フレーム16の前端部には、左右を横断するように配置される横断フレーム19が設けられている。上部フレーム16は、連結フレーム18の一部と後方サイドフレーム15L,15Rの一部に取り付け金具や柱フレーム等を介して下方から支持される状態で設けられている。
【0024】
エンジン3には、図示しないエアークリーナを通して吸気した空気を送る通常の吸気パイプ33と、排気ガス再循環(EGR)システム34を通して送られる循環吸気パイプとが接続されている。また、エンジン3には、排気ガス浄化装置6を通して排気ガスを外部に排出する排気パイプ36が接続されている。さらに、このエンジン3は、吸気パイプ33と排気パイプ36を接近させた接近部に過給器37(図5参照)が配置されている。
【0025】
また、エンジン3は、図4図5等に示されるように、その右の側方に、ラジエータ38と冷却ファン39が配置されている。冷却ファン39は、ラジエータ38のエンジン3と向き合う側に配置されており、ラジエータ38を通過させて外気を取り入れた後に冷却風としてエンジン3の側面部に吹き付けるようになっている。ラジエータ38と冷却ファン39は、左右の後方サイドフレーム15と上部フレーム16に図示しないブラッケット等の取付け具を介して取り付けられている。
【0026】
さらに、エンジン3は、左右の後方サイドフレーム15と上部フレーム16の間にわたって配置されるサイドカバー101で覆われている。またエンジン3は、その上部が、上部フレーム16に開閉可能に配置される図示しない上カバーで覆われている。さらにエンジン3は、図1に示されるように、外装カバー105によっても外部から覆い隠されている。図1における符号106はバッテリーを示している。
【0027】
排気ガス浄化装置6は、図4図5等に示されるように、エンジン3の前方でかつ運転席2の後方になる位置に、換言すればエンジン3と運転席2の間に配置されている。
排気ガス浄化装置6は、ディーゼルエンジンからなるエンジン3から排気される排気ガスを浄化処理する装置であり、例えば、円筒状の収容体61の内部に酸化触媒(DOC)とディーゼル微粒子フィルター(DPF)を直列に連結させた状態で配置して排気ガスを通過させる構造を有している。DOCは、排気ガス中の有害物質を酸化して無害化させる処理を行う。DPFは、排気ガスに含まれる粒状物質を捕集する処理を行う。
【0028】
また、排気ガス浄化装置6は、図5図6等に示されるように、その収容体61の一端部(右側端部)61bにエンジン3から延びる上流側の排気パイプ36aが接続され、その収容体61の他端部(左側端部)61cに下流側の排気パイプ36bが接続されている。また、排気ガス浄化装置6と運転席2の間には、図4等に示されるように、排気ガス浄化装置6で発生する熱が運転席2の方に移動することを遮る遮熱板45が設けられている。
実施の形態における排気ガス浄化装置6は、後述するように動力伝達ケース4の上に配置されている。
【0029】
また、乗用草刈機1は、図1に示されるように、車体10の前部の下方でかつ前輪11,11の前方に草刈り装置5が取り付けられており、車体10の後部でかつエンジン3の上方に集草容器56が配置されている。
この乗用草刈機1では、エンジン3の上方に集草容器56が配置されるが、特に排気ガス浄化装置6をエンジン3の上方でなくエンジン3の前方に配置し、しかもラジエータ38をエンジン3の側方の位置に配置しているので、重心を比較的低くすることを可能にしている。
【0030】
草刈り装置5は、下面が解放されたカバー51の内部で刈刃を回転させて芝草等の草刈り作業を行う装置であって、例えばロータリ形式のモーアと称されるものである。この草刈り装置5は、そのカバー51が支持アーム52を介して車体10における左右の前方サイドフレーム14L,14Rに回動可能に取り付けられて上下移動するようになっている。また、草刈り装置5は、その刈刃が動力伝達ケース4から伝達される動力により回転するようになっている。
【0031】
集草容器56は、草刈り装置5で刈り取られた刈草を収容する容器であって、いわゆるコレクタと称されるものである。集草容器56は、例えば立法体のような箱形状からなる構造物であり、その後方側面部に収容した刈草を排出するための開閉可能なドア56bが設けられている。
集草容器56は、座席24や操作部25の後方において動力伝達ケース4の上方に立ち上がるよう設けられる左右の支柱フレーム57に、昇降およびダンプ機構58を介して取り付けられている。昇降およびダンプ機構58は、集草容器56に収容した刈草を排出させる際に集草容器56を所定の位置および状態に動かすよう機能するものであり、支持フレーム、リンク機構、油圧シリンダ等で構成されている。左右の支柱フレーム57の上端には、互いを接続するような形状の安全バー59が設けられている。
【0032】
さらに、乗用草刈機1は、図4に示されるように、前輪11,11の間であって草刈り装置5の後方で動力伝達ケース4の前方の位置に、刈り取った刈草を吸引により収集して集草容器56内に収容する刈草収集部53が設けられている。刈草収集部53は、吸引部となるブロワー53aや、ブロワー53aと集草容器56との間を接続してブロワー53aで収集した刈草を集草容器56にむけて通過させる搬送部となるシュータ(ダクト)53b等で構成されている。
【0033】
そして、この乗用草刈機1においては、図4から図7等に示されるように、排気ガス浄化装置6を動力伝達ケース4の上に配置している。
すなわち、排気ガス浄化装置6は、動力伝達ケース4の上面部4aに取り付けられた取付部材7に取り付けられる保持部材8に保持された状態で配置されている。
【0034】
動力伝達ケース4は、図4図6に示されるように、箱状の外観からなる本体部41と、本体部41の後部において半円盤状に上方に突出した外観から形状からなる突出部42を有している。本体部41の内部には、図示しない複数の回転軸、ギア列、ギア移動機構等が配置されている。
この動力伝達ケース4における上面部4aは、例えば、図7に示されるように、上記した半円盤状の突出部42の頂部において上方に突出した状態で形成されたネジ孔付きの台座面部又は突部で構成されている。
【0035】
取付部材7は、図7から図9等に示されるように、動力伝達ケース4の上面部4aに取り付けられる取付け面部71と、その取付け面部71から左右に間隔をあけて立ち上がる左右の側面部72L,72Rとを有し、全体として上方が解放された形状からなる部材である。
取付け面部71の動力伝達ケース4の上面部4aにおける図示しないネジ孔に対応する位置には、車体10の前後方向に沿って長い長孔からなる取付け孔73が設けられている。左右の側面部72L,72Rには、保持部材8を取り付ける図示しないネジ通し孔が設けられている。また、左右の側面部72L,72Rの後端部には、排気ガス再循環システム34への排気ガス導入パイプ35aを通過させる半円弧状の切欠き部74が設けられている。取付部材7は、取付け面部71と左右の側面部72L,72Rの3面で囲まれる空間7sを有している。
【0036】
取付部材7は、図7等に示されるように、ネジ(ボルト)75を取付け面部71における取付け孔73を通して上面部4aのネジ孔に締結することで固定される。
この際、取付部材7は、上面部4aに対する前後方向の固定位置を長孔からなる取付け孔73を利用して適宜前後方向に変位させて微調整することが可能である。これにより、排気ガス浄化装置6の前後方向における位置についても微調整することができる。
【0037】
保持部材8は、図7から図9等に示されるように、排気ガス浄化装置6の収容体61の一部における外周面を締め付けた状態で保持する左右の保持部81L,81Rと、保持部81L,81Rを支持するとともに取付部材7に取り付けられる左右の支持部82L,82Rとを有する部材である。また、保持部材8は、左右の保持部81L,81Rが2分割可能に構成されており、左右の支持部82L,82Rが保持部81L,81Rの分割された一方(84)を下方から支持して固定するよう構成されている。
【0038】
左右の保持部81L,81Rはいずれも、図9等に示されるように、一体化と分割が可能であり、所要の幅からなる一対の上部保持板83と下部保持板84で構成されている。
上部保持板83と下部保持板84は、排気ガス浄化装置6の円筒状の収容体61における外径よりも少し大きい曲率半径からなる半円弧状の板材である。上部保持板83と下部保持板84は、仮に排気ガス浄化装置6の円筒状の収容体61における外径と同じか又は小さい曲率半径からなる半円弧状であると、排気ガス浄化装置6を変形させる等のおそれがなく確実に保持することが難しくなる。
【0039】
上部保持板83は、上方に凸の半円弧状の板材の両端が外側に曲げられた形状からなる第1曲げ端部831および第2曲げ端部832を有しており、その第1曲げ端部831および第2曲げ端部832に図示しないネジ通し孔を設けている。また上部保持板83は、半円弧状のほぼ中央部に、外側に一時的に突出するよう曲げられて変形しやすい変形代部分(易変形部)835が設けられている。
下部保持板84は、下方に凸の半円弧状からなる板材の半円弧状における両端が外側に曲げられた形状からなる第1曲げ端部841および第2曲げ端部842を有しており、その第1曲げ端部841および第2曲げ端部842に図示しないネジ通し孔を設けている。また下部保持板84は、半円弧状のほぼ中央部に、外側に一時的に突出するよう曲げられて変形しやすい変形代部分(易変形部)845が設けられている。下部保持板84が支持部82に固定される場合、変形代部分845は特に設ける必要がなく省略してもよい。
【0040】
左右の保持部81L,81Rは、図9等に示されるように、一対の上部保持板83と下部保持板84を、その第1曲げ端部831および第1曲げ端部841とその第2曲げ端部832および第2曲げ端部842とにおいてネジ通し孔に貫通させた頭部付きのネジ85aにナット85bを締結させることにより、全体が円環状の形態からなる一体物にすることができる。一方、左右の保持部81L,81Rは、一体化させた上部保持板83と下部保持板84を、頭部付きのネジ85aからナット85bを取り外すことで第1曲げ端部831と第1曲げ端部841との間および第2曲げ端部832と第2曲げ端部842との間において切り離して分割することができる。
【0041】
左右の支持部82L,82Rはいずれも、図9等に示されるように、左右の保持部81L,81Rにおける下部保持板84を下方から支持して固定する円弧状の取付け固定部821を有する形状の板材で構成されている。取付け固定部821は、斜め前方にむくように傾いた円弧状の形状で切り欠かれた部分として形成されている。
支持部82L,82Rには、支持左右の側面部72L,72Rとの間で締結する頭部付きのネジ(ボルト)を通して使用される、車体10の上下方向に沿って長い長孔からなる取付け孔822が設けられている。また支持部82L,82Rは、その後端部に、側面部72L,72Rにおける切欠き部74にほぼ対応させた凹形状の切欠き部824が設けられている。
【0042】
支持部82L,82Rは、図9図10等に示されるように、その取付け固定部821に下部保持板84を斜め前方に傾いた状態に溶接等の固定手段で固定している。
これにより、左右の保持部81L,81Rにおける上部保持板83は、下部保持板84と斜め上下の状態で一体化や分割ができるようになっている。斜め上下の状態は、水平の状態でなく、水平の状態から例えば前方に所要の角度だけ傾くような状態である。またこれにより、左右の保持部81L,81Rは、上部保持板83と下部保持板84の分割位置が水平よりも少し前斜めに傾いた位置関係になっている。
また、本実施の形態における取付け固定部821は、下部保持板84が変形代部分845を設けているため、その変形代部分845を収容する図示しない窪み部が設けられている。
【0043】
また、支持部82L,82Rは、図7から図10等に示されるように、下部保持板84が固定された状態で、取付部材7における左右の側面部72L,72Rに取り付けられる。このときの取り付けは、ネジ(ボルト)86aを支持部82L,82Rにおける取付け孔822と側面部72L,72Rにおけるネジ通し孔を貫通させてナット86bを締結させることで行われる。
この際、支持部82L,82Rおよび下部保持板84は、側面部72L,72R(ひいては動力伝達ケース4の上面部4a)に対する上下方向の固定位置を長孔からなる取付け孔822を利用して適宜上下方向に変位させて微調整することが可能である。これにより、排気ガス浄化装置6の上下方向における位置についても微調整することができる。
【0044】
排気ガス浄化装置6の取り付けは、左右の保持部81L,81Rにおいて上部保持板83が取り外された状態で下方に凸の円弧状からなる下部保持板84に排気ガス浄化装置6を乗せた後、上部保持板83を排気ガス浄化装置6の上から下部保持板84にネジ85aとナット85bとの締結により一体化させた状態にすることにより行われる。
【0045】
そして、この乗用草刈機1においては、図10等に示されるように、排気ガス浄化装置6の下端6bが、取付部材7の取り付けられる動力伝達ケース4の上面部4aの高さH1以下の位置になる状態で保持されるように構成されている。
【0046】
排気ガス浄化装置6の下端6bは、取り付け時に最も下方に存在する部位であり、例えば収容体61の取り付け時において最下になる部分である。排気ガス浄化装置6は、その下端6bが動力伝達ケース4の上面部4aの高さH1と同じか又はそれより低い位置になるよう保持されている。
【0047】
これにより、乗用草刈機1は、エンジン3の上方に集草容器56を配置するにもかかわらず、排気ガス浄化装置6がエンジン3の前方であって動力伝達ケース4の上面部4aに配置されることに加えて、排気ガス浄化装置6の下端6bが動力伝達ケース4の上面部4aの高さH1以下の位置になる状態で保持されるよう配置されるので、乗用草刈機1の重心が低く抑えられる。
したがって、この乗用草刈機1は、エンジン3の上方に集草容器56を配置する場合であっても、安定した走行ができる。
【0048】
また、この乗用草刈機1は、図10等に示されるように、排気ガス浄化装置6の上端6aが、エンジン3の上端3cの高さH2以下の位置になる状態で保持されるよう構成されている。
【0049】
排気ガス浄化装置6の上端6aは、取り付け時に最も上方に存在する部位であり、例えば収容体61の取り付け時において最上になる部分である。エンジン3の上端3cは、エンジン躯体のうち最も上方に存在する部分であり、例えばシリンダヘッドの最上部である。排気ガス浄化装置6は、その上端6aがエンジン3の上端3cの高さH2と同じか又はそれより低い位置になるよう保持されている。
【0050】
これにより、乗用草刈機1は、エンジン3の上方に集草容器56を配置するにもかかわらず、排気ガス浄化装置6の下端6bが動力伝達ケース4の上面部4aの高さH1以下の位置になる状態で保持されるよう配置されることに加えて、排気ガス浄化装置6の上端6aがエンジン3の上端3cの高さH2以下の位置になる状態で保持されるよう配置されるので、乗用草刈機1の重心がより確実に低く抑えられる。
このことによっても、乗用草刈機1は、より確実に安定した走行ができる。
【0051】
さらに、この乗用草刈機1は、図10等に示されるように、保持部材8の下端8bが動力伝達ケース4の上面部4aの高さH1よりも低い位置になる状態で取り付けられている。
【0052】
保持部材8の下端8bは、左右の支持部82L,82Rの最も下方に位置する端部である。この場合は、例えば、保持部材8を取付部材7に対して相対的に低い位置になるよう取り付ければよい。
このことによっても、乗用草刈機1は、その重心が低く抑えられるので、確実に安定した走行ができる。
【0053】
この他、乗用草刈機1では、排気ガス浄化装置6を取り付けた際、保持部81L,81Rは、図7から図9等に示されるように、ネジ(ボルト)85aとナット85bとの締結後においても、第1曲げ端部831と第1曲げ端部841の間および第2曲げ端部832と第2曲げ端部842の間に隙間(遊間)ができて非接触の状態に保たれるようになっている。
これにより、保持部81L,81Rは、排気ガス浄化装置6の収容体61の外径にばらつきがあっても、そのばらつきを上記隙間の部分で吸収することが可能であり、排気ガス浄化装置6を変形や破損させるおそれもなく確実に保持することができる。
【0054】
また、保持部材8の保持部81L,81Rにおいては、ナット85bとして緩み止めリング(フリクションリング)が設けられたナット、いわゆるUナット(登録商標)を適用している。
これにより、ネジ85aとの締結後に緩み止めリングの作用によりナット85bが緩むおそれがなく、排気ガス浄化装置6の確実な保持が可能になる。また、Uナットからなるナット85bを適用した場合は、ダブルナットのような締結後の緩みのおそれがなく、また締結時におけるトルク管理が容易になって締め付け過ぎによる排気ガス浄化装置6の変形等のおそれもない。
【0055】
また、保持部材8の保持部81L,81Rにおいては、少なくとも上部保持板83に変形代部分(易変形部)835が設けられているので、上部保持板83を下部保持板84にネジ85aとナット85bとの締結により一体化させて排気ガス浄化装置6を挟むように保持する場合、ネジ85aとナット85bを強く締め付けたときでも、その締め付けにより発生する変形に伴う応力が上部保持板83の変形代部分835に集中して他の部分に集中することが抑制される。
これにより、その締め付けにより発生する変形に伴う応力が下部保持板84の支持部82における取付け固定部821の溶接等により固定した部分に集中することが軽減されるようになり、その溶接等により固定した部分が破損、破断する等の不具合が生じすることを防止できる。
【0056】
また、排気ガス浄化装置6は、内部に溜まったスス等を除去して清掃するメンテナンスを所要の期間ごとに行うため、そのメンテナンス時に着脱する必要がある。この排気ガス浄化装置6では、図7に示されるようにその内部の圧力(内圧)と排出後の圧力(排気圧)との圧力差を検出し、その圧力差が所定の値以上になるとススが溜まってメンテンナンスの必要性が判断されるようになっている。
【0057】
排気ガス浄化装置6の取り外しは、分割可能な保持部81L,81Rにおける上部保持板83をネジ85aとナット85bの締結を解除した後に下部保持板84から取り外すことで行われる。反対に排気ガス浄化装置6の取り付けは、前に傾いた状態にある下方に凸の半円弧状からなる下部保持板84に排気ガス浄化装置6を載せて一旦置いた後、上部保持板83をネジ85aとナット85bの締結を行うことにより下部保持板84と一体化することで行うことができる。
これにより、この乗用草刈機1においては、排気ガス浄化装置6の着脱を容易に行うことができる。
【0058】
ちなみに、排気ガス浄化装置6においては、図7に示されるように、内圧を測定する図示しない第1圧力計と排気圧を測定する図示しない第2圧力計の測定情報が接続線67c,67dを通して検出器68に送信されて圧力差が計測されるようになっている。一方、乗用草刈機1では、取付部材7における左右の側面部72L,72Rの間に上方が解放された空間7sが存在している。検出器68は、排気ガス浄化装置6の他端部(左側端部)61cの取り外し可能な取付け枠65の一部に取り付けられている。
これにより、その空間7sに入り込んだ位置関係にある上記第1圧力計と検出器68の間を接続する接続線67cは、取付部材7における空間7sを利用して容易に引き回して配策することができる。
【0059】
保持部材8における保持部81L,81Rについては、例えば、図11から図13に例示するように構成することもできる。
【0060】
図11から図13に例示される保持部81L,81Rは、上部保持板83と下部保持板84がその各一端部側においてヒンジのように回動可能に連結された構造になっている。
この場合、上部保持板83と下部保持板84は、図12から図14等に示されるように、前記第1の曲げ端部831,841に代えて一端部を外側に折り返すように丸めた形状に曲げる加工をした丸め端部836,846を設けている。
【0061】
また、この上部保持板83と下部保持板84は、図14等に示されるように、その丸め端部836,846における幅方向の半部を切り欠いて取り除いた形状からなる切欠き部837,847を形成するよう構成されている。
これにより、上部保持板83と下部保持板84は、同じ形状のものを製作して、それを互いに上下に所要の姿勢で配置することで使えるようになる。つまり、この切欠き部837,847を形成する場合は、同じ形状のものを製作して共用することが可能となり、異なる形状のものを別々に製作して対応する場合に比べるとコストの削減を図ることができる。
【0062】
そして、上記丸め端部836,846および切欠き部837,847を有する上部保持板83と下部保持板84は、例えば、次のようにして組み立てられる。
まず、下部保持板84を左右の支持部82L,82Rにおける取付け固定部821に溶接等の手段により固定する(図11)。
次に、固定された下部保持板84に対して上部保持板83を、図12等に示されるように上記丸め端部836,846および切欠き部837,847が互いに接合する状態にする。しかる後、図15等に示されるように、丸め端部836,846どうしで形成される円柱状の空間に軸としての一端に頭部のあるピン87を挿入してからピン87の他端にある図示しないピン止め孔にスナップピン88を挿し込んで止める。
以上により、上部保持板83を下部保持板84に対して回動可能に取り付けられ、組み立てが完了する。この上部保持板83と下部保持板84がヒンジのように回動可能に連結する際、その回動可能な構造はピン87とスナップピン88を用いて構成することができるので、この点でもコストの低減化が図れる。
【0063】
上記構成からなる保持部81L,81Rを採用した乗用草刈機1においては、排気ガス浄化装置6を着脱する場合、上部保持板83の第2曲げ端部832におけるネジ85aとナット85bの締結を解除することで、上部保持板83を上記丸め端部836,846に挿入されたピンを支点にして回動させることができ、これにより、図11から図13に示されるように上部保持板83を下部保持板84や排気ガス浄化装置6から離して開いた状態にすることができる。
この結果、排気ガス浄化装置6を下部保持板84から取り出すことや、排気ガス浄化装置6を下部保持板84に乗せることが可能になる。この際、上部保持板83を下部保持板84から取り外す必要がない。
【0064】
また、排気ガス浄化装置6を装着するときには、排気ガス浄化装置6を下部保持板84に乗せた後、上部保持板83を閉じた状態に回動させて下部保持板84との間でネジ85aとナット85bの締結を行うことで下部保持板84と一体化させればよい。
この際、ナット85bをネジ85aに所要の状態で締結することで排気ガス浄化装置6を保持することができる。またこの際、ナット85bのネジ85aとの締結作業は、上部保持板83および下部保持板84における第2曲げ端部832,842の一方の端部で行えばよくなり、このため、その締結時におけるトルク管理が少なくて済み、また締結度合いのばらつきの発生も抑えられる。
【0065】
したがって、上記構成からなる保持部81L,81Rを採用した乗用草刈機1においては、上部保持板83の開閉等を容易に行うことができるので、排気ガス浄化装置6の着脱作業もさらに容易になり、排気ガス浄化装置6のメンテナンスのしやすさが向上する。
【0066】
また、この構成の乗用草刈機1においては、上部保持板83の第2曲げ端部832について、単なる貫通孔からなるネジ通し孔834(図11図12参照)に代えて、図14に示されるように、端部まで切り欠いたネジ通し切欠き838を設けるようにしてもよい。この場合は、上部保持板83を開閉する際に、ナット85bをネジ85aから完全に取り外す必要がなくなり、ナット85bをネジ85aに緩めた位置に留めておくことが可能になり、作業性が向上する。また、このネジ通し切欠き838は、下部保持板84の第2曲げ端部842に(ネジ通し切欠き848として)存在していてもよいが、ネジ85aの取り付け安定性の観点からは単なる貫通孔のネジ通し孔を適用することが好ましい。
【0067】
なお、上記実施の形態では、保持部81L,81Rにおける上部保持板83と下部保持板84として、その分割部分(第1曲げ端部831,841や第2曲げ端部832,842が対向する位置)が斜めに傾いた状態に配置されて斜め上下に分割される構成を採用する場合を例示していたが、それに限定されず、例えば、ほぼ水平の状態に配置されて上下に分割される構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 …乗用草刈機
3 …エンジン
3c…上端(上部の一例)
4 …動力伝達ケース
4a…上面部
5 …草刈り装置
6 …排気ガス浄化装置
6a…上端
6b…下端
7 …取付部材
7s…空間
8 …保持部材
8b…下端
10…車体
56…集草容器
68…検出器
69c…接続線
71…取付け面部
72L,72R…左右の側面部
81…保持部
82…支持部
H1…上面部の高さ
H2…エンジンの上端の高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15