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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】配線部材
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/04 20060101AFI20240130BHJP
   H01B 7/40 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H02G3/04
H01B7/40 307Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020090588
(22)【出願日】2020-05-25
(65)【公開番号】P2021191017
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2022-10-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(74)【代理人】
【識別番号】100117662
【弁理士】
【氏名又は名称】竹下 明男
(74)【代理人】
【識別番号】100103229
【弁理士】
【氏名又は名称】福市 朋弘
(72)【発明者】
【氏名】山崎 純
(72)【発明者】
【氏名】水下 昌樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 克明
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/230081(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/098657(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/026782(WO,A1)
【文献】特開昭62-256492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H01B 7/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートと、
前記シート上に配置される複数の第1線状伝送部材と、
前記複数の第1線状伝送部材のうち少なくとも2本以上の第1線状伝送部材と交差する第2線状伝送部材と、
を備え、
前記少なくとも2本以上の第1線状伝送部材の各々が前記第2線状伝送部材と交差する少なくとも2以上の交差部のうち、前記第2線状伝送部材の長手方向における両端に位置する2つの交差部を前記第2線状伝送部材で結ぶ区間が第1交差区間とされ、
前記第2線状伝送部材は前記長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所で前記シートに固定され、
前記第1交差区間の長さ寸法が前記第2線状伝送部材の固定間隔のうち少なくとも前記第1交差区間を除く最大の固定間隔よりも大きく、
前記第1交差区間において前記第2線状伝送部材が前記少なくとも2本以上の第1線状伝送部材よりも前記シート側に位置する、配線部材。
【請求項2】
請求項1に記載の配線部材であって、
前記第2線状伝送部材が前記シートに固定されている箇所が前記第1交差区間に設けられている、配線部材。
【請求項3】
請求項1に記載の配線部材であって、
前記第1交差区間において前記第2線状伝送部材が前記シートに固定されていない、配線部材。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配線部材であって、
前記複数の第1線状伝送部材のうち少なくとも1つは前記第2線状伝送部材よりも太い太径線状伝送部材である、配線部材。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の配線部材であって、
前記複数の第1線状伝送部材及び前記第2線状伝送部材それぞれの被覆層が前記シートに融着されている、配線部材。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の配線部材であって、
前記複数の第1線状伝送部材のうち少なくとも1本の第1線状伝送部材が複数本の前記第2線状伝送部材と交差しており、
前記少なくとも1本の第1線状伝送部材それぞれにおいて、前記第1線状伝送部材の長手方向における両端に位置する交差部を前記第1線状伝送部材で結ぶ区間が第2交差区間とされ、
前記少なくとも1本の第1線状伝送部材は前記第1線状伝送部材の長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所で前記シートに固定され、
前記第2交差区間の長さ寸法が前記第1線状伝送部材の固定間隔のうち少なくとも前記第2交差区間を除く最大の固定間隔よりも小さい、配線部材。
【請求項7】
請求項6に記載の配線部材であって、
前記第1線状伝送部材の固定間隔のうち前記第2交差区間を含む固定間隔は、前記第2交差区間を除く最大の固定間隔よりも小さい、配線部材。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の配線部材であって、
前記少なくとも2本以上の第1線状伝送部材が並列区間において並列し、
前記第2線状伝送部材は前記並列区間において前記少なくとも2本以上の第1線状伝送部材と交差する、配線部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配線部材に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はシート材と、前記シート材の主面上において交差部を有するように配設された複数の絶縁電線と、を備える配線部材を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-207816号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シート上に交差部を有する配線部材において、線状伝送部材がシートからより浮きにくいことが望まれている。
【0005】
そこで、シート上に交差部を有する配線部材において、線状伝送部材がシートから浮きにくくなる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配線部材は、シートと、前記シート上に配置される複数の第1線状伝送部材と、前記複数の第1線状伝送部材のうち少なくとも2本以上の第1線状伝送部材と交差する第2線状伝送部材と、を備え、前記少なくとも2本以上の第1線状伝送部材の各々が前記第2線状伝送部材と交差する少なくとも2以上の交差部のうち、前記第2線状伝送部材の長手方向における両端に位置する2つの交差部を前記第2線状伝送部材で結ぶ区間が第1交差区間とされ、前記第2線状伝送部材は前記長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所で前記シートに固定され、前記第1交差区間の長さ寸法が前記第2線状伝送部材の固定間隔のうち少なくとも前記第1交差区間を除く最大の固定間隔よりも大きく、前記第1交差区間において前記第2線状伝送部材が前記少なくとも2本以上の第1線状伝送部材よりも前記シート側に位置する、配線部材である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、シート上に交差部を有する配線部材において、線状伝送部材がシートから浮きにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は実施形態1にかかる配線部材を示す平面図である。
図2図2図1におけるII-II線に沿って切断した断面図である。
図3図3は配線部材の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
【0010】
本開示の配線部材は、次の通りである。
【0011】
(1)シートと、前記シート上に配置される複数の第1線状伝送部材と、前記複数の第1線状伝送部材のうち少なくとも2本以上の第1線状伝送部材と交差する第2線状伝送部材と、を備え、前記少なくとも2本以上の第1線状伝送部材の各々が前記第2線状伝送部材と交差する少なくとも2以上の交差部のうち、前記第2線状伝送部材の長手方向における両端に位置する2つの交差部を前記第2線状伝送部材で結ぶ区間が第1交差区間とされ、前記第2線状伝送部材は前記長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所で前記シートに固定され、前記第1交差区間の長さ寸法が前記第2線状伝送部材の固定間隔のうち少なくとも前記第1交差区間を除く最大の固定間隔よりも大きく、前記第1交差区間において前記第2線状伝送部材が前記少なくとも2本以上の第1線状伝送部材よりも前記シート側に位置する、配線部材である。これにより、第1交差区間において第2線状伝送部材がシートから浮きにくくなる。
【0012】
(2)(1)の配線部材において、前記第2線状伝送部材が前記シートに固定されている箇所が前記第1交差区間に設けられていてもよい。これにより、第1交差区間において第2線状伝送部材がシートからより浮きにくくなる。
【0013】
(3)(1)の配線部材において、前記第1交差区間において前記第2線状伝送部材が前記シートに固定されていなくてもよい。この場合でも、第2線状伝送部材は複数の第1線状伝送部材に押さえられることによってシートから浮きにくい。
【0014】
(4)(1)から(3)のいずれか1つの配線部材において、前記複数の第1線状伝送部材のうち少なくとも1つは前記第2線状伝送部材よりも太い太径線状伝送部材であってもよい。これにより、第2線状伝送部材が太径線状伝送部材によって押さえられるため、第2線状伝送部材がシートからより浮きにくくなる。
【0015】
(5)(1)から(4)のいずれか1つの配線部材において、前記複数の第1線状伝送部材及び前記第2線状伝送部材それぞれの被覆層が前記シートに融着されていてもよい。これにより、複数の第1線状伝送部材及び第2線状伝送部材が簡易にシートに固定される。
【0016】
(6)(1)から(5)のいずれか1つの配線部材において、前記複数の第1線状伝送部材のうち少なくとも1本の第1線状伝送部材が複数本の前記第2線状伝送部材と交差しており、前記少なくとも1本の第1線状伝送部材それぞれにおいて、前記第1線状伝送部材の長手方向における両端に位置する交差部を前記第1線状伝送部材で結ぶ区間が第2交差区間とされ、前記少なくとも1本の第1線状伝送部材は前記第1線状伝送部材の長手方向に沿って間隔をあけた複数箇所で前記シートに固定され、前記第2交差区間の長さ寸法が前記第1線状伝送部材の固定間隔のうち少なくとも前記第2交差区間を除く最大の固定間隔よりも小さくてもよい。これにより、第2交差区間において第1線状伝送部材の固定間隔が大きくなることが抑制され、第1線状伝送部材もシートから浮きにくくなる。
【0017】
(7)(6)の配線部材において、前記第1線状伝送部材の固定間隔のうち前記第2交差区間を含む固定間隔は、前記第2交差区間を除く最大の固定間隔よりも小さくてもよい。これにより、第2交差区間において第1線状伝送部材の固定間隔が大きくなることが抑制され、第1線状伝送部材もシートから浮きにくくなる。
【0018】
(8)(1)から(7)のいずれか1つの配線部材において、前記少なくとも2本以上の第1線状伝送部材が並列区間において並列し、前記第2線状伝送部材は前記並列区間において前記少なくとも2本以上の第1線状伝送部材と交差してもよい。これにより、第1交差区間の長さ寸法を小さくできる。
【0019】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の配線部材の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0020】
[実施形態1]
以下、実施形態1にかかる配線部材について説明する。図1は実施形態1にかかる配線部材10を示す平面図である。図2図1におけるII-II線に沿って切断した断面図である。図1及び図2において仮想線によって示される部分は固定部FPである。
【0021】
配線部材10は、シート20と複数の線状伝送部材30とを備える。シート20には複数の線状伝送部材30が固定されている。シート20は、全体として扁平な形状に形成されている。複数の線状伝送部材30がシート20に固定されることによって、配線部材10が扁平な形態に保たれる。
【0022】
シート20は複数の線状伝送部材30を固定可能であればよく、材料、構造等は特に限定されるものではない。シート20を構成する材料に関し、ここでは、シート20は樹脂材料によって形成されている。シート20を構成する材料は、金属、無機物等、樹脂以外の材料が用いられてもよい。シート20の構造に関し、ここでは、シート20は2層構造を有している。シート20の構造は、1層構造であってもよいし、3層以上の多層構造であってもよい。
【0023】
シート20は第1層22及び第2層24を含む。第1層22は融着層である。融着層には線状伝送部材30が融着固定される。融着層は樹脂材料、好ましくは熱可塑性樹脂材料を含む。融着層の樹脂材料が軟化して融着相手に融着される。かかる樹脂材料の種類は特に限定されるものではなく、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等を採用することができる。
【0024】
融着層の構造は特に限定されるものではない。例えば融着層は一様充実断面を有するシート(非発泡シート又はソリッドシートなどとも呼ばれる)であってもよい。また例えば、融着層は、発泡シート等であることも考えられる。また例えば、融着層は、編布、織布又は不織布等の繊維材シートであることも考えられる。第1層22の一方の表面がシート20の一方主面とされる。
【0025】
第2層24は融着層とは異なる材料で形成されたり、異なる構造を有したりする。第2層24は融着層にある機能を高めたり、融着層にない機能をシート20に追加したりする。第2層24を構成する材料は、上記融着層で説明された材料のほか、金属、無機物等などであってもよい。第2層24の構造は、上記融着層で説明された構造のいずれかであってもよい。第2層24の一方の表面がシート20の他方主面とされる。
【0026】
第1層22の他方の表面と第2層24の他方の表面とが接触しつつ、第1層22と第2層24とが固定されている。第1層22と第2層24との固定態様は特に限定されるものではないが、融着又は接着により固定されているとよい。例えば、第1層22及び第2層24の少なくとも一方が、繊維材シート又は発泡シートのように表面に空隙があるシートであると、空隙に樹脂材料又は接着剤が入り込んで固定されることができる。これによりいわゆるアンカー効果が発揮されて、第1層22及び第2層24が強固に固定される。
【0027】
ここでは第1層22が樹脂製のソリッドシートであり、第2層24が繊維材シートであるものとして説明される。ここでは第1層22と第2層24とが融着されているものとして説明される。つまり、第1層22の樹脂が流動性を有する状態で第2層24の繊維の間に入り込んだ後に硬化される。これにより、第1層22の樹脂が第2層24における繊維の間に入り込んだ状態が維持され、第1層22と第2層24とが強固に固定される。
【0028】
第1層22及び第2層24は同じ大きさ(同じ平面形状)に形成されている。第1層22及び第2層24は一方が他方よりも大きく形成されていてもよい。第1層22及び第2層24は接触する領域が全体的に固定されている。第1層22及び第2層24は接触する領域の一部のみが固定されていてもよい。
【0029】
シート20は柔らかい部材であってもよい。例えば、第1層22が軟質PVCなど軟質な樹脂を材料とするソリッドシートであり、第2層24がPETを材料とする不織布であるなどして、シート20が柔らかい部材とされる。例えば、シート20は線状伝送部材30の曲げに追従可能な可撓性を有してもよい。配線部材10は厚み方向への曲げ(折目がシート20の主面に沿うような曲げ)が可能とされてもよい。
【0030】
複数の線状伝送部材30は、それぞれ電気又は光等を伝送する線状の部材である。複数の線状伝送部材30は、車両における部品同士を接続する部材であることが想定される。線状伝送部材30の端部には、例えばコネクタCが設けられる。このコネクタCが相手側部品に設けられたコネクタと接続されることで、線状伝送部材30が相手側部品に接続される。つまり、本配線部材10は、車両等において各種部品同士を電気的に(或は光通信可能に)接続する配線部材10として用いられる。コネクタCは、シート20に固定されていてもよい。
【0031】
複数の線状伝送部材30の経路は、接続先となる部品の位置等に応じて設定される。複数の線状伝送部材30がシート20に固定されることによって、複数の線状伝送部材30がそれぞれの接続先となる部品の位置等に応じた配線経路に沿った状態に保たれる。複数の線状伝送部材30の経路は直線経路と曲げ経路との組み合わせによって構成されていてもよい。シート20も直線経路と曲げ経路との組み合わせによって構成されていてもよい。複数の線状伝送部材30は、一部に分岐する態様で、シート20に固定されていてもよい。シート20も分岐する形状に形成されていてもよい。ここでは複数の線状伝送部材30はシート20上で曲がっている。また複数の線状伝送部材30はシート20上で分岐している。
【0032】
線状伝送部材30は、伝送線本体31及び被覆層32を含む。伝送線本体31は電気又は光を伝送する伝送路である。例えば、線状伝送部材30が電線の場合、伝送線本体31は導体芯線である。導体芯線は1本又は複数本の素線によって構成される。素線は銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を材料として形成される。また線状伝送部材30が光ファイバの場合、伝送線本体31はコア及びクラッドである。被覆層32は伝送線本体31を覆う層である。被覆層32を構成する樹脂材料は、特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。例えば、線状伝送部材30は、芯線と芯線の周囲の被覆層とを有する一般電線であってもよいし、シールド線、ツイスト線、エナメル線、ニクロム線、光ファイバ等であってもよい。
【0033】
電気を伝送する線状伝送部材30としては、各種信号線、各種電力線であってもよい。電気を伝送する線状伝送部材30の一部等は、信号又は電力を空間に対して送る又は空間から受けるアンテナ、コイル等として用いられてもよい。
【0034】
また、線状伝送部材30は、単心線であってもよい。単心線は単一の線状物である。単心線は伝送路が1つの線状伝送部材30である。線状伝送部材30は、多心線であってもよい。多心線は複数の線状物の複合物である。単心線は複数の伝送路を有する線状伝送部材30である。多心線は、例えば、ツイスト線、複数の線状物を集合させてこれをシースで覆ったケーブル等であってもよい。
【0035】
ここでは線状伝送部材30はシート20に融着固定されている。この場合、線状伝送部材30の最外層と融着層とが融着される。線状伝送部材30において最外層は被覆層32である。被覆層32は融着層に融着可能な材料である。被覆層32を構成する樹脂材料は融着層を構成する樹脂材料と種類が同じである。例えば、融着層を構成する樹脂材料、及び被覆層32を構成する樹脂材料はPVC又はポリオレフィンである。もっとも線状伝送部材30とシート20との固定態様は融着に限られない。融着以外の固定態様については後述する変形例にて詳しく説明する。
【0036】
線状伝送部材30は延在方向に沿って間隔をあけた複数箇所でシート20に固定されている。シート20と線状伝送部材30との固定部FPは線状伝送部材30の延在方向に沿って間隔をあけて複数設けられる。固定部FPの間隔は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。
【0037】
ここでは線状伝送部材30は8本含まれる。8本の線状伝送部材30は2本の線状伝送部材30Aと、4本の線状伝送部材30Bと、2本の線状伝送部材30Cとに分けられる。線状伝送部材30A、30Bの一端は、同じコネクタCに接続される。線状伝送部材30A、30Bの他端は異なるコネクタCに接続される。線状伝送部材30A、30Bは一端から他端に向かう途中で分岐している。線状伝送部材30A、30Bが並列する並列区間では6本の線状伝送部材30が並行している。線状伝送部材30A、30Bはシート20上における少なくとも一部の並列区間において並列する複数の第1線状伝送部材の一例である。
【0038】
線状伝送部材30Cは、交差領域A1において線状伝送部材30A、30Bとそれぞれ交差している。交差領域A1は、線状伝送部材30A、30Bが並列する並列区間に位置する。線状伝送部材30Cは並列区間において複数の第1線状伝送部材と交差する第2線状伝送部材の一例である。線状伝送部材30Cの両端部は、線状伝送部材30A、30Bの接続されるコネクタCとは異なるコネクタCに接続される。線状伝送部材30Cの少なくとも一方の端部は、線状伝送部材30A、30Bの接続されるコネクタCと同じコネクタCに接続されてもよい。
【0039】
本明細書において、シート20上において2つの線状伝送部材30が交差する部分は交差部40とされる。以下では、2つの線状伝送部材30A、30Cが交差する部分は交差部40ACと称されることがある。2つの線状伝送部材30B、30Cが交差する部分は交差部40BCと称されることがある。また1つの交差部40を構成する2つの線状伝送部材30のうちシート20側に位置する一方の線状伝送部材30は下側線状伝送部材と称され、他方の線状伝送部材30は上側線状伝送部材と称されることがある。
【0040】
図1に示す例では、交差領域A1における12つの交差部40のうち8つの交差部40は交差部40ACであり、4つの交差部40は交差部40BCである。交差領域A1において線状伝送部材30A、30Bと線状伝送部材30Cとは分岐するために交差している。交差領域A1に対して両側において、線状伝送部材30A、30Bと線状伝送部材30Cとは異なる方向に延びている。なお、交差領域A1に対していずれか一方側において、線状伝送部材30A、30Bと線状伝送部材30Cとは並行していてもよい。
【0041】
1本の線状伝送部材30が1つの交差領域A1において別の1本又は複数本の線状伝送部材30と交差する区間は交差区間とされる。1本の線状伝送部材30が1つの交差領域A1において別の複数本の線状伝送部材30と交差する場合の交差区間は以下のように定義される。1本の線状伝送部材30と別の複数本の線状伝送部材30との間に複数の交差部40が形成される。当該複数の交差部40のうち1本の線状伝送部材30の長手方向に沿って最も外側(両端)に位置する2つの交差部40が大外交差部とされる。この2つの大外交差部を当該1本の線状伝送部材30で結ぶ区間が、1本の線状伝送部材30が1つの交差領域A1において別の複数本の線状伝送部材30と交差する場合の交差区間とされる。またこのときの交差区間の長さ寸法は、2つの大外交差部の外縁の間において当該1本の線状伝送部材30の中心軸が延びる長さ寸法とされる。
【0042】
例えば、交差領域A1において、1本の線状伝送部材30Cは6本の線状伝送部材30A、30Bと交差して6つの交差部40AC、40BCを形成している。図1に示すように、6つの交差部40AC、40BCのうち大外交差部は、交差部40AC1、40BC1である。1本の線状伝送部材30Cにおいて、2つの大外交差部40AC1、40BC1を当該1本の線状伝送部材30Cで結ぶ区間が交差区間とされる。ここでは線状伝送部材30Cの交差区間が第1交差区間の一例である。第1線状伝送部材30A、30Bを複数備え、かつ複数の第1線状伝送部材30A、30Bが交差領域A1において並行していない場合は、それぞれの第2線状伝送部材30Cの長手方向における両端に位置する2つの交差部を第2線状伝送部材30Cで結ぶ寸法が第1交差区間とされる。
【0043】
同様に線状伝送部材30Aの交差区間は2本の線状伝送部材30Cとの2つの交差部40ACを線状伝送部材30Aで結ぶ区間である。線状伝送部材30Aの交差区間は第2交差区間の一例である。線状伝送部材30Bの交差区間は2本の線状伝送部材30Cとの2つの交差部40BCを線状伝送部材30Bで結ぶ区間である。線状伝送部材30Bの交差区間は第2交差区間の一例である。複数の第1線状伝送部材30A、30Bが交差領域A1において並行していない場合は、それぞれの第1線状伝送部材30A、30Bの長手方向における両端に位置する2つの交差部を第1線状伝送部材30A、30Bで結ぶ寸法が第2交差区間とされる。線状伝送部材30A、30Bの交差区間(第2交差区間)の長さ寸法は図1における寸法D1である。線状伝送部材30Cの交差区間(第1交差区間)の長さ寸法は図1図2における寸法D2である。
【0044】
線状伝送部材30の固定間隔のうち、交差区間を除く直線区間における最大の固定間隔が最大固定間隔とされる。シート20と線状伝送部材30とが融着固定されている場合、固定間隔は2つの固定部FPそれぞれの内側の縁の間の寸法である。固定間隔は線状伝送部材30のうち2つの固定部FPの間においてシート20と固定されていない部分の長さ寸法である。例えば、線状伝送部材30Aの最大固定間隔は、図1における寸法D3である。また例えば、線状伝送部材30Bの最大固定間隔は、図1における寸法D4である。また例えば、線状伝送部材30Cの最大固定間隔は、図1図2における寸法D5である。
【0045】
線状伝送部材30Cの交差区間(第1交差区間)の長さ寸法は線状伝送部材30Cの最大固定間隔よりも大きい。具体的には図1図2に示されるように、寸法D2が寸法D5よりも大きい。なお、第2線状伝送部材30Cが複数本存在する場合、複数本の第2線状伝送部材30Cを比べたとき、第1交差区間の長さ寸法及び最大固定間隔の少なくとも一方が異なる場合があり得る。この場合、それぞれの第2線状伝送部材30Cの中で、第1交差区間の長さ寸法が最大固定間隔よりも大きければよい。1本の第2線状伝送部材30Cの第1交差区間の長さ寸法が、別の1本の第2線状伝送部材30Cの最大固定間隔以下であってもよい。また1本の第2線状伝送部材30Cが複数の交差領域それぞれで複数の第1線状伝送部材30A、30Bと交差する場合もあり得る。この場合、1本の第2線状伝送部材30Cに第1交差区間が複数存在するが、当該複数の第1交差区間それぞれの長さ寸法が1本の線状伝送部材30Cの最大固定間隔よりも大きければよい。
【0046】
線状伝送部材30Cの1交差区間において線状伝送部材30A、30Bが上側線状伝送部材となり、線状伝送部材30Cが下側線状伝送部材となっている。これにより、第2線状伝送部材が複数の第1線状伝送部材よりもシート20側に位置する。
【0047】
第1線状伝送部材である6本の線状伝送部材30A、30Bのうち少なくとも1本は、第2線状伝送部材である線状伝送部材30Cよりも太い太径線状伝送部材である。ここでは、4本の線状伝送部材30Bのうち2本の線状伝送部材30B1が太径線状伝送部材である。
【0048】
図2に示す例では、線状伝送部材30B1及び線状伝送部材30Cは共に単心の一般電線である。線状伝送部材30B1の導体断面積が線状伝送部材30Cの導体断面積よりも大きいことによって、線状伝送部材30B1が線状伝送部材30Cより太い。もっとも、太径線状伝送部材が線状伝送部材30Cより太くなる構造は特に限定されるものではなく、適宜設定可能である。例えば、太径線状伝送部材がシールド層を備えるシールド線であることによって、太径線状伝送部材が線状伝送部材30Cより太くてもよい。また例えば、太径線状伝送部材が多心線であることによって、太径線状伝送部材が線状伝送部材30Cより太くてもよい。
【0049】
つまり、線状伝送部材30の太さは、線状伝送部材30の芯数、芯となる線状伝送部材30の層構造、各層の厚みなどの複数の条件が複合的に組み合わさって決まる。太径線状伝送部材は、これらの条件が線状伝送部材30Cとは異なるものとされることによって、線状伝送部材30Cより太くされている。
【0050】
交差区間においてシート20と線状伝送部材30とが固定されていない。交差区間に固定部FPが設けられていない。交差区間においてシート20と線状伝送部材30とが固定されていてもよい。
【0051】
線状伝送部材30Aの第2交差区間の長さ寸法は線状伝送部材30Aの最大固定間隔よりも小さい。具体的には図1に示されるように、寸法D1が寸法D3よりも小さい。同様に線状伝送部材30Bの第2交差区間の長さ寸法は線状伝送部材30Bの最大固定間隔よりも小さい。具体的には図1に示されるように、寸法D1が寸法D4よりも小さい。これにより、線状伝送部材30A、30Bは第2交差区間において上側線状伝送部材とされても、シート20から浮きにくい。なお、第1線状伝送部材30A(30B)が複数本存在する場合、複数本の第1線状伝送部材30A(30B)を比べたとき、第2交差区間の長さ寸法及び最大固定間隔の少なくとも一方が異なる場合があり得る。この場合、それぞれの第1線状伝送部材30A(30B)の中で、第2交差区間の長さ寸法が最大固定間隔よりも小さければよい。1本の第1線状伝送部材30A(30B)の第1交差区間の長さ寸法が、別の1本の第1線状伝送部材30A(30B)の最大固定間隔以上であってもよい。また1本の第1線状伝送部材30A(30B)が複数の交差領域それぞれで複数の第2線状伝送部材30Cと交差する場合もあり得る。この場合、1本の第1線状伝送部材30A(30B)に第2交差区間が複数存在するが、当該複数の第2交差区間それぞれの長さ寸法が当該1本の線状伝送部材30A(30B)の最大固定間隔よりも小さければよい。
【0052】
線状伝送部材30A、30B、30Cは交差部40を含む区間において直線状に延びている。もっとも、線状伝送部材30A、30B、30Cは交差部40を含む区間において曲がって延びていてもよい。
【0053】
線状伝送部材30A、30Bと線状伝送部材30Cとは交差区間において直交している。線状伝送部材30A、30Bと線状伝送部材30Cとは交差区間において斜めに交差していてもよい。線状伝送部材30A、30Bと線状伝送部材30Cとが交差区間において斜めに交差している場合、直交する場合よりも交差区間が長くなる。
【0054】
<実施形態1の効果等>
線状伝送部材30において固定間隔が大きくなると固定部FPの間の部分がシート20から浮きやすい。また上側線状伝送部材は交差区間においてシート20と固定することが難しい。このため、交差区間が長い線状伝送部材30が上側線状伝送部材となると、シート20から浮きやすくなる。これに対して、上記配線部材10によると、線状伝送部材30Cにおいて交差区間(第1交差区間)の長さ寸法D2がシート20との固定間隔のうち少なくとも第1交差区間を除く最大の固定間隔D5よりも大きく、線状伝送部材30Cが下側線状伝送部材となっている。これにより、交差区間において線状伝送部材30Cが上側線状伝送部材となる場合と比べて、線状伝送部材30Cがシート20から浮きにくくなる。
【0055】
また第1交差区間において線状伝送部材30Cがシート20に固定されていない。この場合でも、線状伝送部材30Cは複数の線状伝送部材30A、30Bに押さえられることによってシート20から浮きにくい。
【0056】
また、線状伝送部材30Cは、太径の線状伝送部材30B1によって押さえられるため、シート20からより浮きにくくなる。
【0057】
また複数の線状伝送部材30それぞれの被覆層32がシート20に融着されている。これにより、複数の線状伝送部材30が簡易にシート20に固定される。
【0058】
また線状伝送部材30A、30Bの交差区間(第2交差区間)の長さ寸法D1が第1線状伝送部材30A、30Bの固定間隔のうち少なくとも第2交差区間を除く最大の固定間隔D3、D4よりも小さい。これにより、第2交差区間において第1線状伝送部材30A、30Bの固定間隔が大きくなることが抑制され、第1線状伝送部材30A、30Bもシートから浮きにくくなる。
【0059】
また少なくとも2本以上の第1線状伝送部材30A、30Bが並列区間において並列し、第2線状伝送部材30Cは並列区間において少なくとも2本以上の第1線状伝送部材30A、30Bと交差している。これにより、第1交差区間の長さ寸法D2を小さくできる。もっとも、第2線状伝送部材30Cは並列区間ではない区間において、少なくとも2本以上の第1線状伝送部材30A、30Bと交差していてもよい。
【0060】
[変形例]
図3は配線部材10の変形例を示す断面図である。
【0061】
図3に示す配線部材110において、第2線状伝送部材がシート20に固定されている箇所が交差区間に設けられている点で、上記配線部材10とは異なる。このような配線部材110によると、交差区間において第2線状伝送部材がシート20に固定される箇所が設けられるため、交差区間において第2線状伝送部材がシート20からより浮きにくくなる。
【0062】
具体的には、図3に示すように、線状伝送部材30Cのうち2つの交差部40AC1、40BC1の間に固定部FP1が設けられる。図3に示す例では、線状伝送部材30Cのうち上側線状伝送部材の間の部分に固定部FP1が設けられている。これ以外の部分に固定部FP1が設けられてもよい。固定部FP1の両側に位置する上側線状伝送部材同士の間隔が他の上側線状伝送部材同士の間隔よりも広くなっている。固定部FP1の両側に位置する上側線状伝送部材同士の間隔が他の上側線状伝送部材同士の間隔よりも広くなっていなくてもよい。線状伝送部材30Cのうち上側線状伝送部材と重なる部分に固定部FPが設けられていてもよい。
【0063】
また配線部材110では上側線状伝送部材に太径線状伝送部材が設けられていない。線状伝送部材30A、30Bは線状伝送部材30Cと同じかそれよりも細い線状伝送部材である。この場合、太径線状伝送部材が設けられる場合と比べて、線状伝送部材30A、30Bが線状伝送部材30Cを押さえる力が弱くなる。このような場合に、固定部FP1が設けられるとよい。
【0064】
このほか、第1線状伝送部材30A、30Bの固定間隔のうち第2交差区間を含む固定間隔(図1の寸法D1を示す線に対して左側の固定部FPと右側の固定部FPとの間隔)は、第2交差区間を除く最大の固定間隔D3、D4よりも小さくてもよい。これにより、第2交差区間において第1線状伝送部材30A、30Bの固定間隔が大きくなることが抑制され、第1線状伝送部材30A、30Bもシート20から浮きにくくなる。
【0065】
またこれまで交差領域A1は複数の線状伝送部材30が分岐するために設けられるものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。交差領域は、複数の線状伝送部材30の並び順を変えるために設けられてもよい。この場合、交差部を構成する2本の線状伝送部材30が交差部の両側において並行しているとよい。
【0066】
またこれまで配線部材10、110に1つの交差領域A1が設けられているものとして説明されたが、このことは必須の構成ではない。配線部材には複数の交差領域が設けられていてもよい。ここで上側線状伝送部材における交差区間の長さと最大固定間隔との関係、及び下側線状伝送部材における交差区間の長さと最大固定間隔との関係に着目すると、交差領域は以下の4つの交差領域に分けられる。
【0067】
第1の交差領域は、上側線状伝送部材における交差区間の長さが最大固定間隔以下であり、下側線状伝送部材における交差区間の長さが最大固定間隔より長い交差領域である。例えば、上記交差領域A1は第1の交差領域である。
【0068】
第2の交差領域は、上側線状伝送部材における交差区間の長さが最大固定間隔以下であり、下側線状伝送部材における交差区間の長さが最大固定間隔以下である交差領域である。例えば、上側線状伝送部材の本数及び下側線状伝送部材の本数が共に少ない場合の交差領域が、第2の交差領域である。
【0069】
第3の交差領域は、上側線状伝送部材における交差区間の長さが最大固定間隔よりも長く、下側線状伝送部材における交差区間の長さが最大固定間隔以下である交差領域である。例えば、上記交差領域A1における上側線状伝送部材と下側線状伝送部材とを入れ替えたような交差領域が、第3の交差領域である。
【0070】
第4の交差領域は、上側線状伝送部材における交差区間の長さが最大固定間隔よりも長く、下側線状伝送部材における交差区間の長さが最大固定間隔より長い交差領域である。例えば、上側線状伝送部材の本数及び下側線状伝送部材の本数が共に多い場合の交差領域が、第4の交差領域である。
【0071】
配線部材に複数の交差領域が設けられる場合、一部又はすべての交差領域が第1の交差領域であればよい。これにより、第1の交差領域において、第2線状伝送部材の浮きを抑制することができる。複数の交差領域のうち一部の交差領域が第1の交差領域である場合、第1の交差領域以外の交差領域は第2の交差領域であると良い。これにより、複数の交差領域において、線状伝送部材30の浮きを抑制することができる。配線部材に第3の交差領域又は第4の交差領域が設けられる場合もあり得る。
【0072】
交差領域において、線状伝送部材30の浮きを抑制する部材が設けられてもよい。例えば、線状伝送部材30の浮きを抑制する部材は、交差領域を覆うカバーシートであってもよい。また例えば、線状伝送部材30の浮きを抑制する部材は、上側線状伝送部材と下側線状伝送部材とを接合する接着剤又は粘着剤などの接合部材であってもよい。
【0073】
配線部材に複数の交差領域が設けられる場合、1つの線状伝送部材30が複数の交差領域において交差部をなしていてもよい。1つの線状伝送部材30が複数の交差領域における交差部において上側線状伝送部材となっていてもよい。1つの線状伝送部材30が複数の交差領域における交差部において下側線状伝送部材となっていてもよい。1つの線状伝送部材30が1つの交差領域における交差部において上側線状伝送部材となり、別の交差領域における交差部において下側線状伝送部材となっていてもよい。例えば、上記線状伝送部材30A、30Bが交差領域A1とは別の交差領域における交差部において、上側線状伝送部材となっていてもよいし、下側線状伝送部材となっていてもよい。また例えば、上記線状伝送部材30Cが交差領域A1とは別の交差領域における交差部において、下側線状伝送部材となっていてもよいし、上側線状伝送部材となっていてもよい。
【0074】
上述したように、シート20と線状伝送部材30との固定態様は融着固定であってもよいし、融着固定以外の固定態様であってもよい。シート20と線状伝送部材30との固定態様としては、接触部位固定であってもよいし、非接触部位固定であってもよいし、両者が併用されていてもよい。ここで接触部位固定とは、シート20と線状伝送部材30とが接触する部分がくっついて固定されているものである。また、非接触部位固定とは、接触部位固定でない固定態様であり、例えば、縫糸、カバー、粘着テープなどが、線状伝送部材30をシート20に向けて押え込んだり、シート20と線状伝送部材30とを挟み込んだりして、その状態に維持するものである。
【0075】
係る接触部位固定の態様として、接触部位間接固定であってもよいし、接触部位直接固定であってもよいし、異なる領域で両者が併用されていてもよい。ここで接触部位間接固定とは、シート20と線状伝送部材30とが、その間に設けられた接着剤、粘着剤、両面粘着テープなどを介して間接的にくっついて固定されているものである。また接触部位直接固定とは、シート20と線状伝送部材30とが別に設けられた接着剤等を介さずに直接くっついて固定されているものである。接触部位直接固定では、例えばシート20と線状伝送部材30とのうち少なくとも一方に含まれる樹脂が溶かされることによってくっついて固定されることが考えられる。
【0076】
係る接触部位直接固定の状態が形成されるに当たり、樹脂は、例えば、熱によって溶かされることも考えられるし、溶剤によって溶かされることも考えられる。つまり、接触部位直接固定の状態としては、熱による接触部位直接固定の状態であってもよいし、溶剤による接触部位直接固定の状態であってもよい。好ましくは、熱による接触部位直接固定の状態であるとよい。
【0077】
このとき接触部位直接固定の状態を形成する手段は特に限定されるものではなく、融着等の公知の手段を用いることができる。例えば、融着によって熱による接触部位直接固定の状態を形成する場合、超音波融着、加熱加圧融着、熱風融着、高周波融着など種々の融着手段を採用することができる。またこれらの手段によって接触部位直接固定の状態が形成されると、シート20と線状伝送部材30とは、その手段による接触部位直接固定の状態とされる。具体的には、例えば、超音波融着によって接触部位直接固定の状態が形成されると、シート20と線状伝送部材30とは、超音波融着による接触部位直接固定の状態とされる。従って、上記融着固定は、接触部位直接固定の一態様である。
【0078】
なお、上記各実施形態及び各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0079】
10、110 配線部材
20 シート
22 第1層
24 第2層
30 線状伝送部材
30A、30B 線状伝送部材(第1線状伝送部材)
30B1 太径線状伝送部材
30C 線状伝送部材(第2線状伝送部材)
31 伝送線本体
32 被覆層
40、40AC、40AC1、40BC、40BC1 交差部
A1 交差領域
C コネクタ
FP 固定部
図1
図2
図3