(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】車両用ステップ装置
(51)【国際特許分類】
B60R 3/02 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
B60R3/02
(21)【出願番号】P 2020126386
(22)【出願日】2020-07-27
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】三輪 政史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】町田 利雄
【審査官】瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-009656(JP,U)
【文献】特開2016-188044(JP,A)
【文献】特開2016-094142(JP,A)
【文献】特開2015-067190(JP,A)
【文献】特開平11-310083(JP,A)
【文献】米国特許第09539948(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられるベースと、前記ベースに設けられる複数のアームによって支持されて前記ベースに対して移動可能に設けられるステップとを備え、
前記ベースおよび前記ステップの少なくとも一方は前部コンポーネントと後部コンポーネントとを車両前後方向に連結した構造を有
し、
前記前部コンポーネントと前記後部コンポーネントのそれぞれには、1つ以上の前記アームが取り付けられており、
前記前部コンポーネントと前記後部コンポーネントとの締結部は、それらコンポーネント同士の位置調整が可能である
車両用ステップ装置。
【請求項2】
車両に取り付けられるベースと、前記ベースに設けられる複数のアームによって支持されて前記ベースに対して移動可能に設けられるステップとを備える車両用ステップ装置であって、
前記ベースは第1ベースと第2ベースとを車両前後方向に連結した構造を有し、
前記アームとして、前記ベースに回動可能に取り付けられた第1アーム、第2アームおよび第3アームを備え、
前記第1ベースと前記ステップとは、前記第1アームおよび前記第2アームによって連結され、
前記第2ベースと前記ステップとは、前記第3アームによって連結され、
前記第1ベースと前記第2ベースとの締結部が位置調整可能に構成される
車両用ステップ装置。
【請求項3】
車両に取り付けられるベースと、前記ベースに設けられる複数のアームによって支持されて前記ベースに対して移動可能に設けられるステップとを備える車両用ステップ装置であって、
前記ステップは第1ステップと第2ステップとを車両前後方向に連結した構造を有し、
前記アームとして、前記ベースに回動可能に取り付けられた第1アーム、第2アームおよび第3アームを備え、
前記ベースと前記第1ステップとは、前記第1アームおよび前記第2アームによって連結され、
前記ベースと前記第2ステップとは、前記第3アームによって連結され、
前記第1ステップと前記第2ステップとの締結部が位置調整可能に構成される
車両用ステップ装置。
【請求項4】
車両に取り付けられるベースと、前記ベースに設けられる複数のアームによって支持されて前記ベースに対して移動可能に設けられるステップとを備える車両用ステップ装置であって、
前記ベースは第1ベースと第2ベースとを車両前後方向に連結した構造を有し、
前記ステップに前記アームが回動可能に取り付けられ、
前記アームとして、前記第1ベースに回動可能に取り付けられた第1アーム、第2アームと、第2ベースに回動可能に取り付けられた第3アームを備え、
前記第1アームの軸部と前記第2アームの軸部とは前記ステップに対して位置調整不能に取り付けられており、前記第3アームが、前記ステップに対して位置調整可能に取り付けられる
車両用ステップ装置。
【請求項5】
前記ステップに取り付けられるアームのうち、前記第3アームは、前記第1アームおよび前記第2アームの一方に対して、車両幅方向にずれて配置されている
請求項2~4のいずれか一項に記載の車両用ステップ装置。
【請求項6】
車両に取り付けられるベースと、前記ベースに設けられる複数のアームと、複数の前記アームによって支持されて前記ベースに対して移動可能に設けられるステップとを備え、
前記ベースには、前記ベースを延長する延長部が締結される締結部が設けられること、および、前記ステップには、前記ステップを延長する延長部が締結される締結部が設けられることの少なくとも一方の構成を有する
車両用ステップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ステップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両に設けられる車両用ステップ装置が開示されている。同文献に記載の車両用ステップ装置は、ベースと、ベースに設けられる2個のアームと、アームを回動させる駆動装置と、アームによって支持されるステップとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用ステップ装置において、製造上の制限によって、ステップおよびベースを長手方向に長くすることは難しい。第1の観点で、車両乗降口が大きい車両では、長いステップが設けられていることが望ましい。また、助手席から後部座席まで延びるような乗降口の場合、ステップは、助手席から後部座席まで延びるように構成されることが望ましい。第2の観点で、車両用ステップ装置を車両に固定する上で、ベースが長いことが好ましい。そこで、長いステップまたは長いベースを有する車両用ステップ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する車両用ステップ装置は、車両に取り付けられるベースと、前記ベースに設けられる複数のアームによって支持されて前記ベースに対して移動可能に設けられるステップとを備え、前記ベースおよび前記ステップの少なくとも一方は前部コンポーネントと後部コンポーネントを車両前後方向に連結した構造を有する。
【0006】
長いベースおよび長いステップは、成形金型や加工装置によって形成し難い。この構成によれば、ベースおよびステップの少なくとも一方が、分割されて、2個のコンポーネントによって構成されているため、長いステップまたは長いベースを形成できる。このようにして、長いステップまたは長いベースを有する車両用ステップ装置を提供できる。
【0007】
(2)上記車両用ステップ装置において、車両に取り付けられるベースと、前記ベースに設けられる複数のアームによって支持されて前記ベースに対して移動可能に設けられるステップとを備える車両用ステップ装置であって、前記ベースは第1ベースと第2ベースとを車両前後方向に連結した構造を有し、前記アームとして、前記ベースに回動可能に取り付けられた第1アーム、第2アームおよび第3アームを備え、前記第1ベースと前記ステップとは、前記第1アームおよび前記第2アームによって連結され、前記第2ベースと前記ステップとは、前記第3アームによって連結され、前記第1ベースと前記第2ベースとの締結部が位置調整可能に構成される。
【0008】
この構成によれば、ベースとステップとが第1アーム、第2アームおよび第3アームによって連結された状態で、第1ベースに対して第2ベースの位置を調整できる。これによって、ステップが円滑に移動するように第3アームを適切な位置に配置できる。
【0009】
(3)上記車両用ステップ装置において、車両に取り付けられるベースと、前記ベースに設けられる複数のアームによって支持されて前記ベースに対して移動可能に設けられるステップとを備える車両用ステップ装置であって、前記ステップは第1ステップと第2ステップとを車両前後方向に連結した構造を有し、前記アームとして、前記ベースに回動可能に取り付けられた第1アーム、第2アームおよび第3アームを備え、前記ベースと前記第1ステップとは、前記第1アームおよび前記第2アームによって連結され、前記ベースと前記第2ステップとは、前記第3アームによって連結され、前記第1ステップと前記第2ステップとの締結部が位置調整可能に構成される。
【0010】
この構成によれば、ベースとステップとが第1アーム、第2アームおよび第3アームによって連結された状態で、第1ステップに対して第2ステップの位置を調整できる。これによって、ステップが円滑に移動するように第3アームを適切な位置に配置できる。
【0011】
(4)上記車両用ステップ装置において、車両に取り付けられるベースと、前記ベースに設けられる複数のアームによって支持されて前記ベースに対して移動可能に設けられるステップとを備える車両用ステップ装置であって、前記ベースは第1ベースと第2ベースとを車両前後方向に連結した構造を有し、前記ステップに前記アームが回動可能に取り付けられ、前記アームとして、前記第1ベースに回動可能に取り付けられた第1アーム、第2アームと、第2ベースに回動可能に取り付けられた第3アームを備え、前記第1アームの軸部と前記第2アームの軸部とは前記ステップに対して位置調整不能に取り付けられており、前記第3アームが、前記ステップに対して位置調整可能に取り付けられる。
【0012】
この構成によれば、ベースとステップとが第1アーム、第2アームおよび第3アームによって連結された状態で、ステップに対する第3アームの取り付け位置を調整できる。これによって、ステップが円滑に移動するようにアームを適切な位置に配置できる。
【0013】
(5)上記車両用ステップ装置において、前記ステップに取り付けられるアームのうち、前記第3アームは、前記第1アームおよび前記第2アームの一方に対して、車両幅方向にずれて配置されている。
【0014】
この構成によれば、ステップに対してアームの取付部の位置がステップ上で三角形となる。これによって、ステップに加わる荷重に対するアーム構造体の強度を、アームの取付部が一直線に並んでいる場合のアーム構造体の強度よりも、高くできる。
【0015】
(6)上記課題を解決する車両用ステップ装置は、車両に取り付けられるベースと、前記ベースに設けられる複数のアームと、複数の前記アームによって支持されて前記ベースに対して移動可能に設けられるステップとを備え、前記ベースには、前記ベースを延長する延長部が締結される締結部が設けられること、および、前記ステップには、前記ステップを延長する延長部が締結される締結部が設けられることの少なくとも一方の構成を有する。
【0016】
この構成によれば、ベースおよびステップの少なくとも一方を延長できる。このようにして、長いステップまたは長いベースを有する車両用ステップ装置を提供できる。
【発明の効果】
【0017】
長いステップまたは長いベースを有する車両用ステップ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る車両用ステップ装置を備える車両の平面図。
【
図2】ステップがクローズ位置に配置された車両用ステップ装置の斜視図。
【
図3】ステップがオープン位置に配置された車両用ステップ装置の斜視図。
【
図4】ステップがオープン位置に配置された車両用ステップ装置の平面図。
【
図6】
図4のVI-VI線に沿う車両用ステップ装置の断面図。
【
図8】
図4のVIII-VIII線に沿う車両用ステップ装置の断面図。
【
図10】第1ベースと第2ベースとの第1締結部の平面図。
【
図11】
図4のXI-XI線に沿う車両用ステップ装置の断面図。
【
図12】
図4のXII-XII線に沿う車両用ステップ装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
図1~
図10を参照して、車両用ステップ装置について説明する。本実施形態において車両用ステップ装置1の前後方向は、車両用ステップ装置1を車両に取り付けた状態において、車両の前後方向に一致する。また、ベース5の前後方向は、車両用ステップ装置1を車両に取り付けた状態において、車両の前後方向に一致する。ステップ7の前後方向は、車両用ステップ装置1を車両に取り付けた状態において、車両の前後方向に一致する。
【0020】
図1に示されるように、車両用ステップ装置1は、車両2に取り付けられる。例えば、車両用ステップ装置1は、車体の底板の下面に取り付けられる。車両用ステップ装置1は、車体の底板において、ドアによって閉鎖される車両乗降口の付近に取り付けられる。車両用ステップ装置1のステップ7は、ステップ7の使用時、乗降用の補助ステップとして使用される目的で、車両乗降口の下端よりも下方に配置される。車両用ステップ装置1のステップ7は、モータ31の動力によって移動する。車両用ステップ装置1のステップ7は、乗降の際の所定操作指令によって、車両2の底板の下に収容されたクローズ位置からオープン位置まで移動する。ステップ7がオープン位置まで移動すると、ステップ7は、平面視で、ステップ7の少なくとも一部が車体から露出するように配置される。
【0021】
図2に示されるように、ステップ7のクローズ位置は、車両用ステップ装置1が車両2に取り付けられた取付状態において、ベース5の斜め前方または斜め後方の隣接した位置にある。
図3に示されるよう、ステップ7のオープン位置は、車両用ステップ装置1が車両2に取り付けられた取付状態において、ベース5に対して車両幅方向DXに所定距離を隔てた位置にある。
【0022】
図4に示されるように、車両用ステップ装置1は、車両2に取り付けられるベース5と、ステップ7とを備える。ステップ7は、複数のアーム6によって支持されてベース5に対して移動可能に設けられる。本実施形態では、車両用ステップ装置1は、さらに、ベース5に設けられる複数のアーム6と、アーム6を動作させる駆動部8と、ベース5を車体に取り付けるためのブラケット9とを備える。
【0023】
車両用ステップ装置1において、ベース5およびステップ7の少なくとも一方は分割されている。ベース5およびステップ7の少なくとも一方は、複数のコンポーネントを含む。複数のコンポーネントは、互いに締結される。
【0024】
ベース5には、3個のブラケット9が取り付けられる。本実施形態では、3個のブラケット9を前から順に第1ブラケット11、第2ブラケット12、第3ブラケット13と呼ぶ。ブラケット9は省略されてもよい。ブラケット9が省略される場合、ベース5には、ベース5を車体に取り付けるための取付部が設けられる。
【0025】
車両用ステップ装置1は、アーム6として、第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23を備える。第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23は、ベース5に水平回動可能に取り付けられる。第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23がベース5に水平回動可能に取り付けられる状態とは、平地に停車する車両2に車両用ステップ装置1が取り付けられた状態において、ステップ7が水平に移動するように、第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23がベース5に取り付けられる状態を示す。具体的には、各アーム6のベース5側の端部は、ベース5側の回転軸心に直交する面が水平状態で回動するように、ベース5に取り付けられる。
【0026】
また、第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23は、ステップ7に水平回動可能に取り付けられる。第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23がステップ7に水平回動可能に取り付けられる状態とは、平地に停車する車両2に車両用ステップ装置1が取り付けられた状態において、ステップ7が水平に移動するように、第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23がベース5に取り付けられる状態を示す。具体的には、各アーム6のステップ7側の端部は、ステップ7側の回転軸心に直交する面が水平状態で回動するように、ステップ7に取り付けられる。
【0027】
第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23は、前から、第1アーム21、第2アーム22、第3アーム23の順に配置される。第1アーム21の長さ、第2アーム22の長さ、および第3アーム23の長さは、ともに等しい。アーム6の長さは、アーム6の一方端部の回転軸心とアーム6の他方端部の回転軸心との間の距離として定義される。
【0028】
第1アーム21の第1端部21aには第1軸部24が設けられる。第1アーム21の第2端部21bには第2軸部25が設けられる。第1アーム21の第1端部21aは、第1軸部24を介してベース5に取り付けられる。第1アーム21の第2端部21bは、第2軸部25を介してステップ7に取り付けられる。
【0029】
第2アーム22の第1端部22aには第1軸部26が設けられる。第2アーム22の第2端部22bには第2軸部27が設けられる。第2アーム22の第1端部22aは、第1軸部26を介してベース5に取り付けられる。第2アーム22の第2端部22bは、第2軸部27を介してステップ7に取り付けられる。
【0030】
第3アーム23の第1端部23aには第1軸部28が設けられる。第3アーム23の第2端部23bには第2軸部29が設けられる。第3アーム23の第1端部23aは、第1軸部28を介してベース5に取り付けられる。第3アーム23の第2端部23bは、第2軸部29を介してステップ7に取り付けられる。
【0031】
好ましくは、第1アーム21、第2アーム22、および第3アーム23のうち、第3アーム23は、第1アーム21および第2アーム22の一方に対して、車両幅方向DXにずれたところに配置される。本実施形態では、第3アーム23の第2軸部29は、車両幅方向DXに、第1アーム21の第2軸部25に対してずれたところに配置される。
【0032】
図5に示されるように、駆動部8は、モータ31と、減速部32と、動力伝達部33と、モータカバー35とを備える。駆動部8は、少なくとも1つのアーム6を回動させる。本実施形態では、駆動部8は、第1アーム21を回動させる。
【0033】
モータ31は、モータ支持部材を介してベース5に取り付けられる。モータカバー35は、モータ31、減速部32、および動力伝達部33を収容する。減速部32は、モータ31の出力軸の回転速度を減速する減速ギア(図示省略)と、減速ギアの回転に基づいて回転するピニオンギア34とを有する。ピニオンギア34は、動力伝達部33のラック36に噛み合う。
【0034】
図5および
図6を参照して、動力伝達部33を説明する。
動力伝達部33は、ラック36と、ラック36を往復運動可能に支持する2個の支持ピン37と、連結部品38とを備える。
図6に示されるように、支持ピン37の上端部は、支持基板39を介してベース5に取り付けられる。連結部品38は、ラック36の端部と、第1アーム21の第1端部21aから突出する突出部21cを連結する。突出部21cは、第1アーム21の第1端部21aから第1軸部24の回転軸心に対する径方向に突出する。突出部21cは、第1アーム21の第1端部21aに固定されている。連結部品38の一方の端部は、ラック36の端部に回転可能に取り付けられ、かつ、連結部品38の他方の端部は、第1アーム21の突出部21cに回転可能に取り付けられる。
【0035】
ラック36は、モータ31の回転動力によって移動する。モータ31の回転動力はピニオンギア34に伝えられる。ピニオンギア34の回転によってラック36が移動し、ラック36の移動によって、ラック36と連結部品38によって連結されている第1アーム21が回動する。第1アーム21が回動することによって、ステップ7が移動する。第2アーム22および第3アーム23は、ステップ7の移動に従うように回動する。要するに、モータ31の回転動力によって第1アーム21が回動し、第1アーム21の回動によってステップ7が移動する。
【0036】
図7を参照して、ベース5およびブラケット9について説明する。
車両用ステップ装置1が車両2に取り付けられた取付状態において、ベース5は、車両2の前後方向に延びるように構成される。ベース5は、3個のアーム6を水平回動可能に支持する。ベース5は、ステップ7の長さに応じた長さに構成される。ベース5は、複数のコンポーネントに分割されてもよい。複数のコンポーネントは互いに締結される。本実施形態では、ベース5は、前部コンポーネントとしての第1ベース41と、後部コンポーネントとしての第2ベース46とに分割される。
【0037】
本実施形態では、ステップ7が長く、ステップ7が3個のアーム6によって支持され、ベース5は2個に分割される。
【0038】
本実施形態では、ベース5は、第1ベース41と第2ベース46とを備える。ベース5は、第1ベース41と第2ベース46とを車両前後方向に連結した構造を有する。第1ベース41および第2ベース46は、鉄または鉄合金によって形成される。第1ベース41および第2ベース46は、プレス成型によって形成される。ベース5は、第1ベース41と第2ベース46とを締結する第1締結部50を有する。
【0039】
第1締結部50は、第1ベース41に設けられる第1ベース締結端部42と、第2ベース46に設けられる第2ベース締結端部47とを備える。第2ベース締結端部47は、第1ベース締結端部42に締結される。
【0040】
図10に示されるように、第1ベース締結端部42には、2つのベース締結孔(以下、第1ベース締結孔43および第2ベース締結孔44)が設けられる。第2ベース締結端部47には、2つの締結孔(以下、第3ベース締結孔48および第4ベース締結孔49)が設けられる。第1ベース41と第2ベース46との締結の際、第3ベース締結孔48は第1ベース締結孔43に重ねられ、かつ、第4ベース締結孔49は第2ベース締結孔44に重ねられる。そして、第1ベース締結孔43と第3ベース締結孔48とによって構成される孔に締結ボルトが挿入されて、かつ、第2ベース締結孔44と第4ベース締結孔49とによって構成される孔に締結ボルトが挿入され、これらの締結ボルトが締められることによって第1ベース41と第2ベース46とが締結される。
【0041】
第1ベース41には、第1アーム21および第2アーム22が水平回動可能に取り付けられる(
図4参照)。第1アーム21の第1端部21aは、第1軸部24を介して第1ベース41の前部に取り付けられる。
【0042】
図8に示されるように、第1軸部24の上端部は第1ベース41に固定される。第1軸部24の下端部は、第1軸カバー51によって支持される。第1軸カバー51は、第1ベース41に取り付けられる。第1軸カバー51は、第1軸部24の下端部を支持する支持部52と、第1ベース41に取り付けられる一対の取付部53とを備える(
図7参照)。支持部52の両端それぞれに取付部53が設けられる。取付部53は、第1ベース41に向かって延びる延長部53aと、延長部53aに繋がっており第1ベース41に固定される固定部53bとを有する。第1軸部24は、一対の取付部53の間に配置される。
【0043】
第2アーム22は、第1軸部26を介して第1ベース41の後部に取り付けられる(
図4参照)。第1軸部26の上端部は第1ベース41に固定される。第1軸部26の下端部は、第2軸カバー54によって支持される。第2軸カバー54は、第1軸カバー51に準じた構造を有する。第2軸カバー54は、第1ベース41に取り付けられる。
【0044】
第2ベース46には、第3アーム23が水平回動可能に取り付けられる(
図4参照)。第3アーム23は、第1軸部28を介して第2ベース46に取り付けられる。第1軸部28の上端部は第2ベース46に固定される。第1軸部28の下端部は、第3軸カバー55によって支持される。第3軸カバー55は、第1軸カバー51に準じた構造を有する。第3軸カバー55は、第2ベース46に取り付けられる。
【0045】
図7に示されるように、第1ベース41には、2個のブラケット9が取り付けられる。本実施形態では、第1ベース41には、第1ブラケット11と第2ブラケット12とが取り付けられる。車両用ステップ装置1が車両2に取り付けられた取付状態において、第1ブラケット11は、第1ベース41の車両前後(長手)方向に交差するように構成される。第1ブラケット11の両端部には、車両2に取り付けられる車両取付部61が設けられる。第1ブラケット11には、車両幅方向DXに第1ベース41に交差するように延びるリブ62が設けられる。車両幅方向DXにおいて、第1ブラケット11の中央部には、第1ベース41に締結される2つのブラケット締結部63が設けられる。2つのブラケット締結部63は、第1ベース41の長手方向に並べられ、平面視で、第1軸部24を間に挟むように配置される。第1ブラケット11の2つのブラケット締結部63それぞれは、第1ベース41と第1軸カバー51の取付部53とが重なる部分に締結される。
【0046】
車両用ステップ装置1が車両2に取り付けられた取付状態において、第2ブラケット12は、第1ブラケット11に準じた構造を有する。
【0047】
第2ベース46には、1個のブラケット9が取り付けられる。本実施形態では、第2ベース46には、第3ブラケット13が取り付けられる。車両用ステップ装置1が車両2に取り付けられた取付状態において、第3ブラケット13は、第1ブラケット11に準じた構造を有する。
【0048】
図9を参照して、ステップ7について説明する。
ステップ7の長さは、例えば、車両乗降口の長さに応じた長さに構成される。ステップ7は、複数のコンポーネントに分割されてもよい。複数のコンポーネントは、互いに締結される。複数のコンポーネントは互いに締結される。本実施形態では、ステップ7は、前部コンポーネントとしての第1ステップ71と、後部コンポーネントとしての第2ステップ72とに分割される。
【0049】
ステップ7は、3個のアーム6によって支持される。本実施形態では、ステップ7は2個に分割される。ステップ7は、第1ステップ71と第2ステップ72とを有する。ステップ7は、第1ステップ71と第2ステップ72とを車両前後方向に連結した構造を有する。さらに、ステップ7は、ステップカバー73を備える。ステップカバー73は、第1ステップ71と第2ステップ72とを覆う。ステップカバー73は、アルミニウムまたはアルミニウム合金によって形成される。ステップカバー73は、押し出しまたは引き抜き法によって形成される。第1ステップ71および第2ステップ72は、鉄または鉄合金によって形成される。第1ステップ71および第2ステップ72は、プレス成型によって形成される。第1ステップ71は、ステップカバー73に締結部材で固定される。第2ステップ72は、ステップカバー73に締結部材で固定される。さらに、ステップ7は、端カバー73aを備える。端カバー73aは、ステップ7の前端および後端に取り付けられる。
【0050】
ステップ7は、第1ステップ71と第2ステップ72とを締結する第2締結部80を有する。第2締結部80は、第1ステップ71に設けられる第1ステップ締結端部74と、第2ステップ72に設けられる第2ステップ締結端部77とを備える。第2ステップ締結端部77は、第1ステップ締結端部74に締結される。
【0051】
第1ステップ締結端部74には、第2アーム22の第2軸部27が取り付けられる。第1ステップ締結端部74の上面には、第2軸部27の上部が露出する。
第2ステップ締結端部77は、第1ステップ締結端部74の上に重ねられるように構成される。第2ステップ締結端部77には、貫通孔77aが設けられる。貫通孔77aは、第2ステップ締結端部77が第1ステップ締結端部74の上に重ねられた状態で、第1ステップ締結端部74の上面から露出する第2軸部27の上部を逃すように構成される。このような構成によって、第1ステップ締結端部74と第2ステップ締結端部77との重なり部分の厚さが大きくなることが抑制される。また、第1ステップ締結端部74において第2アーム22の第2軸部27の周囲に第2ステップ締結端部77が重なる構造を有することによって、第1ステップ締結端部74と第2ステップ締結端部77とが第2アーム22によって支持される。すなわち、第2アーム22は、第1ステップ71の端部と第2ステップ72の端部とをともに支持する。
【0052】
第1ステップ締結端部74には、2つステップ締結孔(以下、第1ステップ締結孔75および第2ステップ締結孔76)が設けられる。第2ステップ締結端部77には、2つのステップ締結孔(以下、第3ステップ締結孔78および第4ステップ締結孔79)が設けられる。
【0053】
第1ステップ71と第2ステップ72との締結の際、第3ステップ締結孔78は第1ステップ締結孔75に重ねられ、かつ、第4ステップ締結孔79は第2ステップ締結孔76に重ねられる。そして、第2ステップ締結孔76と第4ステップ締結孔79とによって構成される孔に締結ボルトが挿入され、かつ、第1ステップ締結孔75と第3ステップ締結孔78とによって構成される孔に締結ボルトが挿入されて、締結ボルトが締められることによって第1ステップ71と第2ステップ72とが締結される。
【0054】
ステップ7とアーム6との関係を説明する。
第1アーム21の第2端部21bは、第2軸部25を介して第1ステップ71に取り付けられる。第2アーム22の第2端部22bは、第2軸部27を介して第1ステップ71に取り付けられる。第2ベース46と第2ステップ72とは、第3アーム23によって連結される。第3アーム23の第2端部23bは、第2軸部29を介して第2ステップ72に取り付けられる。
【0055】
次に、車両用ステップ装置1の構造について説明する。
ベース5およびステップ7の少なくとも一方は、複数のコンポーネントに分割される。ベース5が複数のコンポーネントに分割されてもよい。ステップ7が複数のコンポーネントに分割されてもよい。本実施形態では、上述のようにベース5は、互いに締結される第1ベース41と第2ベース46とを有する。ステップ7は、互いに締結される第1ステップ71と第2ステップ72とを有する。
【0056】
第1ベース41と第1ステップ71とは、第1アーム21および第2アーム22によって連結される。すなわち、第1ベース41と第1ステップ71と第1アーム21と第2アーム22とによって平行四辺形リンクが構成される。
【0057】
車両用ステップ装置1は、3個のアーム6を備える。車両用ステップ装置1が3個のアーム6を備える場合、ベース5、アーム6、およびステップ7の寸法が高精度でなければ、ステップ7が円滑に移動するように車両用ステップ装置1を組み立てることが難しい。具体的には、ステップ7が円滑に移動するためには、第1ベース41および第1ステップ71に取り付けられる第1アーム21および第2アーム22に対し、第2ベース46および第2ステップ72に取り付けられる第3アーム23を精確な位置に配置することが重要となる。このようなことから、本実施形態では、第1ベース41と第2ベース46との第1締結部50、第1ステップ71と第2ステップ72との第2締結部80、第2ベース46における第3アーム23の第1軸部28、および、第2ステップ72における第3アーム23の第2軸部29の少なくとも1箇所が位置調整可能に構成される。
【0058】
構造の簡潔性から、例えば、第1ベース41と第2ベース46との第1締結部50、および、第1ステップ71と第2ステップ72との第2締結部80の少なくとも一方が位置調整可能に構成されることが好ましい。
【0059】
図10に示されるように、本実施形態では、第2ベース46は、第1ベース41に対して位置調整可能に取り付けられる。具体的には、第2ベース46の第2ベース締結端部47が、第1ベース41の第1ベース締結端部42に対して位置調整可能に構成される。第1ベース締結端部42の第2ベース締結孔44が第2ベース締結端部47の第4ベース締結孔49よりも大きく構成される。より具体的には、第2ベース締結孔44は、第1ベース締結端部42に第2ベース締結端部47を重ねた状態で、第2ベース締結孔44内に第4ベース締結孔49が収まるように構成され、ボルトとナット等により締結される。これにより、第1ベース41に対して第2ベース46が位置決め可能になり、第1アーム21、第2アーム22、および第3アーム23の位置関係が調整される。
【0060】
一例では、第1ステップ71に第2ステップ72が締結される状態で、第1ステップ71と第1ベース41とが第1アーム21および第2アーム22によって連結される。次いで、第2ステップ72と第2ベース46とが第3アーム23によって連結される。最後に、第1ベース41に対して第2ベース46の位置が調整される。この最後の作業において、第1ベース41に対して第2ベース46を位置決めする。具体的には、ステップ7が開閉するようにステップ7を移動させつつ、ステップ7が円滑に移動する第2ベース46の位置を探し出し、探し出された位置で、第1ベース41に第2ベース46を固定する。このようにして、第1アーム21、第2アーム22、および第3アーム23の位置関係が調整される。
【0061】
本実施形態の作用を説明する。
車両用ステップ装置1は、ベース5、ステップ7およびアーム6を備える。ベース5またはステップ7が長くなると、大型の金属加工装置または成形装置が必要となる。このようなことから、ベース5またはステップ7が長い車両用ステップ装置1を製造し難いという問題がある。この点、本実施形態では、ベース5およびステップ7の少なくとも一方が複数のコンポーネントに分割される。コンポーネントは、金属加工装置または成形装置によって製造し易いため、長いベース5または長いステップ7を有する車両用ステップ装置1を提供できる。
【0062】
車両用ステップ装置1は、第1ベース41と第1ステップ71と第1アーム21と第2アーム22とを含む平行四辺形リンク機構を有するステップ装置本体部90を備える(
図4参照)。車両用ステップ装置1は、ステップ装置本体部90にステップ延長部91が接続される構造を有する。ステップ延長部91は、第2ベース46と第2ステップ72と第3アーム23とを備え、ステップ装置本体部90に接続可能に構成される。ステップ延長部91は、第1ベース41と第2ベース46との締結部分である第1締結部50と、第1ステップ71と第2ステップ72との締結部分である第2締結部80とによって、平行四辺形リンク機構を有するステップ装置本体部90に締結される。第1締結部50および第2締結部80の少なくとも一方が位置調整可能に構成される。これによって、平行四辺形リンク機構の第1アーム21および第2アーム22の動作に対して第3アーム23が円滑に連動するようにステップ延長部91の位置をステップ装置本体部90に対して位置決めできる。
【0063】
本実施形態の効果を説明する。
(1)車両用ステップ装置1では、ベース5およびステップ7の少なくとも一方は、前部コンポーネントと後部コンポーネントとを車両前後方向に連結した構造を有する。
【0064】
長いベース5および長いステップ7は、成形金型や加工装置によって形成し難い。この構成によれば、ベース5およびステップ7の少なくとも一方が、分割されて、2個のコンポーネントによって構成されているため、長いステップ7または長いベース5を形成できる。このようにして、長いステップ7または長いベース5を有する車両用ステップ装置1を提供できる。
【0065】
(2)車両用ステップ装置1は、第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23を備える。ベース5は、第1ベース41と第2ベース46とを車両前後方向に連結した構造を有する。ステップ7は、本実施形態のように2つに分割されてもよいし、分割されていなくてもよい。第1ベース41とステップ7とは、第1アーム21および第2アーム22によって連結され、さらに、第2ベース46とステップ7とは、第3アーム23によって連結される。第1ベース41と第2ベース46との第1締結部50が位置調整可能に構成される。
【0066】
この構成によれば、ベース5とステップ7とが第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23によって連結された状態で、第1ベース41に対して第2ベース46の位置を調整できる。これによって、ステップ7が円滑に移動するように第3アーム23を適切な位置に配置できる。
【0067】
(3)車両用ステップ装置1において、第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23を備える。ベース5は、本実施形態のように2つに分割されてもよいし、分割されていなくてもよい。ステップ7は、第1ステップ71と第2ステップ72とを車両前後方向に連結した構造を有する。ベース5と第1ステップ71とは、第1アーム21および第2アーム22によって連結され、さらに、ベース5と第2ステップ72とは、第3アーム23によって連結される。第1ステップ71と第2ステップ72との第2締結部80が位置調整可能に構成される。
【0068】
この構成によれば、ベース5とステップ7とが第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23によって連結された状態で、第1ステップ71に対して第2ステップ72の位置を調整できる。これによって、ステップ7が円滑に移動するように第3アーム23を適切な位置に配置できる。
【0069】
一例では、第2ステップ72の第2ステップ締結端部77が、第1ステップ71の第1ステップ締結端部74に対して位置調整可能に構成される。具体的には、第2ステップ締結端部77の第4ステップ締結孔79の孔径は、締結部材の軸径よりも十分に大きい寸法に構成される。第1ステップ締結端部74の第2ステップ締結孔76の孔径は、締結部材の軸径よりも十分に大きい寸法に構成される。これにより、第1ステップ71に対して第2ステップ72が位置決め可能になる。また、第1ステップ71に対して第2ステップ72が位置決めされた状態で、ボルトとナット等によって、第1ステップ71に第2ステップ72を締結できる。
【0070】
(4)車両用ステップ装置1において、第3アーム23は、第1アーム21および第2アーム22の一方に対して車両幅方向DXにずれたところに配置されている。
この構成によれば、ステップ7に対して第3アーム23の取付部の位置がステップ7上で三角形となる。これによって、ステップ7に加わる荷重に対するアーム構造体の強度を、第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23の取付部が一直線に並んでいる場合のアーム構造体の強度よりも、高くできる。ここで、アーム構造体の強度は、第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23全体としての強度を意味する。
【0071】
<その他の実施形態>
上記実施形態は、上記構成の例に限定されない。上記実施形態は、以下のように変更され得る。なお、以下の変形例では、上記実施形態の構成と実質的に変更のない構成については、上記実施形態の構成と同一の符号をつけて説明する。
【0072】
・3個のアーム6の少なくとも1つについて、アーム6の軸部の位置をベース5に対して移動可能に構成し、第3アーム23の回動調整を行った後に、アーム6の軸部の位置を固定してもよい。その際に、位置調整された軸部を有するアーム6の軸部のクリアランスと、他のアーム6の軸部のクリアランスは、同じとなるように構成されてもよい。
【0073】
・次のように、第1アーム21、第2アーム22、および、第3アーム23のうちの1つが、ステップ7に対して位置調整可能に取り付けられてもよい。
【0074】
この構成によれば、ベース5とステップ7とが第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23によって連結された状態で、第1アーム21、第2アーム22、および、第3アーム23のうちの1つについて、ベース5およびステップ7の少なくとも一方に対する取り付け位置を調整できる。これによって、ステップ7が円滑に移動するように、第1アーム21、第2アーム22、および、第3アーム23のうちの1つを適切な位置に配置できる。
【0075】
具体的には、第1アーム21の第2軸部25と第2アーム22の第2軸部27とは、ステップ7に対して位置調整不能に取り付けられる。第3アーム23は、ステップ7に対して位置調整可能に取り付けられる。
【0076】
一例では、第2軸部29を支持する支持部品が第2ステップ72に対して位置調整可能に取り付けられる。この構成によれば、ベース5とステップ7とが第1アーム21、第2アーム22および第3アーム23によって連結された状態で、ステップ7に対する第3アーム23の取り付け位置を調整できる。これによって、ステップ7が円滑に移動するように第3アーム23を適切な位置に配置できる。
【0077】
他の例では、第3アーム23の第2軸部29の回転軸心が、第2ステップ72に対して移動可能であるように第2軸部29が構成されてもよい。軸部に十分なクリアランスが存在する場合(
図11参照)、ステップ7の移動とともに第3アーム23の回転軸心の位置が水平方向において自動的に移動する。この構成によれば、部品間の位置調整を行わずとも、ステップ7が円滑に移動するようになる。
【0078】
・本実施形態および上記の変形例において、第2ベース46における第3アーム23の第1軸部28、および、第2ステップ72における第3アーム23の第2軸部29の少なくとも一方の軸部のクリアランスCL1,CL2は、第1アーム21の第1軸部24および第2軸部25、並びに、第2アーム22の第1軸部26および第2軸部27のいずれのクリアランスよりも大きくなるように構成されてもよい。
【0079】
図11を参照して、第3アーム23の第1軸部28のクリアランスCL1を説明する。
図11は、第3アーム23の第1軸部28の断面図である。
第1軸部28は、第3アーム23に固定される筒体81と、筒体81に挿通する軸体82と、軸体82と筒体81との間に配置される軸受83とを備える。第1軸部28のクリアランスCL1は、軸受83と軸体82との間の隙間、または軸受83と筒体81との間の隙間として定義される。
【0080】
図12を参照して、第3アーム23の第2軸部29のクリアランスCL2を説明する。
図12は、第3アーム23の第2軸部29の断面図である。
第2軸部29は、第3アーム23に設けられる貫通孔84と、貫通孔84に挿通する軸体85と、軸体85と貫通孔84との間に配置される軸受86とを備える。軸体85は、貫通孔を有する本体部85aと、本体部85aの貫通孔に嵌合する嵌合部材85bとを有する。第2軸部29のクリアランスCL2は、軸受86と軸体85との間の隙間、または軸受86と貫通孔84との間の隙間として定義される。
【0081】
これらのクリアランスCL1およびクリアランスCL2によってステップ7またはベース5に対して第3アーム23の回動調整が可能である。
【0082】
・本実施形態に示される車両用ステップ装置1において、平行四辺形リンク機構を有するステップ装置本体部90は、短いステップ97を有する車両用ステップ装置3として使用されてもよい。
【0083】
・本実施形態に示される車両用ステップ装置1において、平行四辺形リンク機構は、四角形のリンク機構によって構成されてもよい。
【0084】
図13に示されるように、車両用ステップ装置3は、車両2に取り付けられるベース95と、ベース95に設けられる複数のアーム96と、複数のアーム96によって支持されてベース95に対して移動可能に設けられるステップ97と、アーム96を動作させる駆動部8とを備える。ベース95は、第1ベース41によって構成される。ベース95には、ベース95を延長する延長部が締結される締結部98が設けられる。例えば、延長部は、上記実施形態における第2ベース46のように構成される。締結部98は、第1ベース41の第1ベース締結端部42のように構成される。
【0085】
ステップ97には、ステップ97を延長する延長部が締結される締結部100が設けられる。締結部100は、本実施形態に示される第1ステップ71の第1ステップ締結端部74のように構成してもよい。例えば、延長部は、本実施形態に示される第2ステップ72のように構成される。
【0086】
ステップ97の締結部100には、ステップ97の端部を構成する装着部品102を取り付けることもできる。装着部品102は、締結部100に着脱可能に構成される。例えば、装着部品102は、締結ボルトによって締結部100に締結される。車両用ステップ装置3に取り付けられるベース95の延長部およびステップ97の延長部は、様々な形態をとり得る。ステップ97には、ステップカバーが設けられることが好ましい。
【0087】
車両用ステップ装置3の効果を説明する。
車両用ステップ装置3は、次の第1構成(A)および第2構成(B)の少なくとも一方を備える。第1構成(A)は、ベース95には締結部98が設けられ、締結部98は、ベース95を延長する延長部が締結されるように構成される、という構成である。第2構成(B)は、ステップ97には、締結部100が設けられ、締結部100は、ステップ97を延長する延長部が締結されるように構成される、という構成である。
【0088】
この構成によれば、ベース95およびステップ97の少なくとも一方を延長できる。このようにして、長いステップ97または長いベース95を有する車両用ステップ装置3を提供できる。
【符号の説明】
【0089】
1,3…車両用ステップ装置
2…車両
5…ベース
6…アーム
7…ステップ
21…第1アーム
22…第2アーム
23…第3アーム
41…第1ベース
46…第2ベース
50…第1締結部
53a…延長部
71…第1ステップ
72…第2ステップ
80…第2締結部
95…ベース
96…アーム
97…ステップ
98…締結部
100…締結部