(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】産業車両における光学機器ユニット装置
(51)【国際特許分類】
B66F 9/24 20060101AFI20240130BHJP
B66F 9/075 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B66F9/24 L
B66F9/075 G
(21)【出願番号】P 2020131518
(22)【出願日】2020-08-03
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(72)【発明者】
【氏名】尾畑 英樹
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-150832(JP,A)
【文献】特開2006-336361(JP,A)
【文献】特許第5054852(JP,B2)
【文献】特開2019-116158(JP,A)
【文献】特開2015-221695(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0353024(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/24
B66F 9/075
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを有する光学機器と、
車体の後方へ向けて突出するように固定され、前記光学機器を支持するブラケットと、
前記光学機器を保護する保護部材と、を備え、
前記保護部材は、前記レンズよりも上方であって、前記レンズよりも前記車体の後方に位置
し、
前記保護部材は、断面円形の棒状体であることを特徴とする産業車両における光学機器ユニット装置。
【請求項2】
前記ブラケットは、前記車体の後方へ向けて突出するように固定され、前記レンズの高さよりも低い位置であって、かつ、前記レンズよりも後方に位置する後端部を有することを特徴とする請求項1記載の産業車両における光学機器ユニット装置。
【請求項3】
前記光学機器は、前記レンズを有し、前記車体の後方を撮影するカメラであり、
前記カメラは、前記レンズの光軸が水平となるように前記ブラケットに支持されていることを特徴とする請求項1又は2記載の産業車両における光学機器ユニット装置。
【請求項4】
前記保護部材は、前記レンズの画角に含まれない位置に設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項記載の産業車両における光学機器ユニット装置。
【請求項5】
前記ブラケットは、前記車体における運転席の上部に設けたヘッドガードに設けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項記載の産業車両における光学機器ユニット装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、産業車両における光学機器ユニット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、産業車両にステレオカメラを搭載して、産業車両の周囲の情報を取得することがある(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1では、産業車両としてのフォークリフトのヘッドガードの後部に後方を撮像するステレオカメラが搭載されている。このフォークリフトでは、ステレオカメラにより取得される視差画像から人物の位置が検出されることで、産業車両から人物までの距離が検出される。フォークリフトから人物までの距離が警告閾値未満の場合、フォークリフトに搭載された発光部が点滅発光するため、フォークリフトの周辺の人物に産業車両が近くにいることを認識させることができる。
【0003】
ところで、工場や倉庫といった建築構造物では、産業車両の出入りが可能な出入口が設けられている。出入口では、透明の樹脂シートによるカーテンが設けられている場合がある。この種のカーテンは、例えば、建築構造物内の保温・保冷、あるいは異物進入防止のために設けられていることが多い。フォークリフト等の産業車両はこのカーテンを押し上げ、出入口を通過する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された産業車両の場合、産業車両が後進して出入口を通過する際に、カーテンがカメラに干渉するという問題がある。カーテンがカメラに干渉するとカメラのレンズに傷が発生したり、レンズが汚れたりする。また、カーテンが繰り返しカメラと干渉することで、カメラが故障したり、カメラの取付位置にずれが生じたりするおそれがある。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、光学機器が備えるレンズが出入口に設けられたカーテンとの干渉を防止することができる産業車両における光学機器ユニット装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、レンズを有する光学機器と、車体の後方へ向けて突出するように固定され、前記光学機器を支持するブラケットと、前記光学機器を保護する保護部材と、を備え、前記保護部材は、前記レンズよりも上方であって、前記レンズよりも車体の後方に位置し、前記保護部材は、断面円形の棒状体であることを特徴とする。
【0008】
本発明では、保護部材がレンズよりも上方であって、かつ、レンズよりも後方に位置する位置に固定されている。このため、産業車両がカーテンを設けた出入口を通過しても、カーテンはレンズよりも上方に位置する保護部材と干渉し、光学機器と干渉することはない。その結果、光学機器のレンズとカーテンとの干渉によるレンズの傷発生、レンズの汚れ発生を防止することができる。
また、保護部材が断面円形の棒状体であることから、産業車両がカーテンを設けた出入口を通過するとき、保護部材はカーテンに対して円滑に摺動する。したがって、保護部材はカーテンを損傷することはないほか、カーテンが保護部材に引っ掛かってカメラやブラケットに過度な荷重を与えることはない。
【0009】
また、上記の産業車両における光学機器ユニット装置において、前記ブラケットは、前記車体の後方へ向けて突出するように固定され、前記レンズの高さよりも低い位置であって、かつ、前記レンズよりも後方に位置する後端部を有する構成としてもよい。
この場合、ブラケットの後端部がレンズの高さよりも低い位置であって、かつ、レンズよりも後方に位置することにより、ブラケットが保護部材とともにカーテンのレンズとの干渉をより確実に妨げることができる。
【0010】
また、上記の産業車両における光学機器ユニット装置において、前記光学機器は、前記レンズを有し、前記車体の後方を撮影するカメラであり、前記カメラは、前記レンズの光軸が水平となるように前記ブラケットに支持されている構成としてもよい。
この場合、レンズの光軸が水平となるようにカメラがブラケットに支持されているので、カメラにより撮影された撮像画像における画像歪を抑制することができる。
【0011】
また、上記の産業車両における光学機器ユニット装置において、前記保護部材は、前記レンズの画角に含まれない位置に設けられている構成としてもよい。
この場合、保護部材がレンズの画角に含まれない位置に設けられていることにより、保護部材が光学機器の機能を妨げることはない。
【0012】
また、上記の産業車両における光学機器ユニット装置において、前記ブラケットは、前記車体における運転席の上部に設けたヘッドガードに設けられている構成としてもよい。
この場合、ブラケットがヘッドガードに設けられていることから、産業車両がカーテンを設けた出入口を後進によって通過しても、カーテンはレンズよりも上方に位置する保護部材と干渉し、光学機器と干渉することはない。
【0013】
また、上記の産業車両における光学機器ユニット装置において、前記保護部材は、断面円形の棒状体である構成としてもよい。
この場合、保護部材が断面円形の棒状体であることから、産業車両がカーテンを設けた出入口を通過するとき、保護部材はカーテンに対して円滑に摺動する。したがって、保護部材はカーテンを損傷することはないほか、カーテンが保護部材に引っ掛かってカメラやブラケットに過度な荷重を与えることはない。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、光学機器が備えるレンズが出入口に設けられたカーテンとの干渉を防止することができる産業車両における光学機器ユニット装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1の実施形態に係るフォークリフトの側面図である。
【
図2】第1の実施形態に係るフォークリフトの後面図である。
【
図3】第1の実施形態に係るフォークリフトにおけるカメラユニット装置の斜視図である。
【
図4】第1の実施形態に係るフォークリフトにおけるカメラユニット装置の分解斜視図である。
【
図5】第1の実施形態に係るフォークリフトにおけるカメラユニット装置の側面図である。
【
図6】(a)はカーテンに干渉する直前のフォークリフトの側面図であり、(b)はカーテンに干渉したときのフォークリフトの側面図である。
【
図7】
参考例に係るフォークリフトにおけるカメラユニット装置の斜視図である。
【
図8】
参考例に係るフォークリフトにおけるカメラユニット装置の分解斜視図である。
【
図9】
参考例に係るフォークリフトにおけるカメラユニット装置の側面図である。
【
図10】別例に係るフォークリフトにおけるカメラユニット装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(第1の実施形態)
以下、第1の実施形態に係る産業車両における光学機器ユニット装置について図面を参照して説明する。本実施形態の産業車両はフォークリフトであり、光学機器はカメラである。したがって、本実施形態では、フォークリフトにおけるカメラユニット装置について説明する。なお、なお、方向を特定する「前後」、「左右」および「上下」については、フォークリフトのオペレータが運転席の運転シートに着座して、フォークリフトの前進側を向いた状態を基準として示す。
【0017】
図1に示すように、フォークリフト10は、車体11の前部に荷役装置12を備えている。車体11の中央付近には運転席13が設けられている。車体11の前部には前輪としての駆動輪14が設けられ、車体11の後部には後輪としての操舵輪15が設けられている。車体11の後部にはカウンタウエイト16が備えられており、カウンタウエイト16は車両重量の調整と車体11における重量バランスを図るためのものである。本実施形態のフォークリフト10は、操舵輪15が一輪であるバッテリフォークリフトである。
【0018】
荷役装置12はアウタマスト18およびインナマスト19を有するマスト20を備えている。左右一対のアウタマスト18には、アウタマスト18の内側にてスライド可能なインナマスト19が備えられている。車体11とアウタマスト18との間には、油圧により作動するティルトシリンダ(図示せず)が設置されている。マスト20はティルトシリンダの作動により下端部を支点として前後方向に傾動する。マスト20には油圧により作動するリフトシリンダ22が設けられている。リフトシリンダ22の作動により、インナマスト19がアウタマスト18内でスライドして昇降する。
【0019】
マスト20には左右一対のフォーク23がリフトブラケット24を介して設けられ、リフトブラケット24はインナマスト19に対して昇降するように設けられている。つまり、リフトブラケット24はマスト20に対して昇降可能である。なお、左右のフォーク23は互いに同じ構成である。
【0020】
車体11には、運転席13の上部を覆うヘッドガード25が設けられている。ヘッドガード25は、車体11の前部から立設されたフロントピラー26と、車体11の後部から立設されたリヤピラー27により支持されている。ヘッドガード25は公知のものである。ヘッドガード25は、中空構造部材によってフロントピラー26と一体となっているサイドビーム28と、左右一対のサイドビーム28の間に設けられる格子状のルーフ部29と、左右一対のサイドビーム28の後端を接続するリヤビーム30と、を有している。
【0021】
図2に示すように、リヤビーム30の後端面には、左右一対のリヤコンビネーションランプ31が備えられている。リヤコンビネーションランプ31は、方向指示器32、制動灯33および後退灯34が一体的に組み合わされたランプである。
【0022】
本実施形態のフォークリフト10は、光学機器ユニット装置としてのカメラユニット装置40を備えている。
図3、
図4に示すように、カメラユニット装置40は、光学機器としてのステレオカメラ41と、ステレオカメラ41を支持するブラケット42と、ステレオカメラ41を保護する保護具43と、を備えている。
【0023】
ステレオカメラ41は左右一対のカメラレンズ44を備えた公知のカメラである。ステレオカメラ41の筐体45は箱状であり、筐体45は、カメラレンズ44を備える正面46と、正面46の反対側の背面47と、左右一対の側面48、49と、上面50と、下面51と、を有する。下面51には、ステレオカメラ41をブラケット42に固定するためのボルト52が螺入される複数のボルト孔(図示せず)が設けられている。
図5に示すように、正面46が後方を向くように下面51はブラケット42に当接する。背面47には配線(図示)が引き出されている。
【0024】
図5に示すように、レンズとしてのカメラレンズ44には上下方向について所定の画角αが設定されている。画角αが、ステレオカメラ41の撮影可能範囲と対応する。ステレオカメラ41は車体11に搭載されたコントローラ(図示せず)と接続されており、ステレオカメラ41によって撮影された撮像画像は、コントローラによって画像解析される。撮像画像の画像解析の結果から撮像画像における障害物の有無および障害物までの距離が検出される。
【0025】
本実施形態のステレオカメラ41は、レーザー測距器(図示せず)を内蔵している。レーザー測距器は距離測定用のレーザー光を発光するレンズとしてのレーザーレンズ54を備えており、レーザーレンズ54は正面46におけるカメラレンズ44の間に備えられている。レーザーレンズ54の光軸A2はカメラレンズ44の光軸A1と平行である。レーザー測距器はステレオカメラ41の撮影可能範囲においてレーザー光による距離測定を行う。
【0026】
次に、ブラケット42について説明すると、
図3に示すように、ブラケット42は、板状であって互いに平行な一対の長辺55および短辺56とを備えている。一方の長辺55寄りにはボルト用通孔57が設けられている。ボルト用通孔57にボルト58を挿通し、ヘッドガード25におけるリヤビーム30の下面にボルト58を締結することにより、ブラケット42はヘッドガード25に取り付けられる。そのためブラケット42は車体11の後方へ向けて突出しており、他方の長辺55は、ブラケット42がヘッドガード
25に取り付けられている状態では、ブラケット42の後端部に相当する。
【0027】
図4に示すように、ブラケット42にはステレオカメラ41を固定するための複数のボルト用通孔59が設けられている。ボルト52をボルト用通孔59に挿通し、ステレオカメラ41のボルト孔に螺入することによりステレオカメラ41がブラケット42上に固定される。また、ブラケット42には、保護具43を固定するためのボルト用通孔60が設けられている。ボルト用通孔60にはボルト61が挿通される。ブラケット42の後端部は、カメラレンズ44の画角αに含まれない位置に設けられている。
【0028】
次に、保護具43について説明すると、保護具43はステレオカメラ41を保護するための部材である。本実施形態の保護具43は、断面円形の棒状体による第1保護部材62と、断面円形の棒状体による第2保護部材63と、第1保護部材62と第2保護部材63との両端を接続する板状の接続部材64と、を有している。
【0029】
保護部材としての第1保護部材62は、屈曲による門形の部材であり、ステレオカメラ41のカメラレンズ44を保護するために設けられている。第1保護部材62は、端部を含む一対の取付部65と、取付部65から起立する方向に屈曲されて延在する一対の立ち上がり部66と、立ち上がり部66から水平になるように屈曲されて一対の立ち上がり部66の間に延在する水平部67と、を有する。
【0030】
保護具43がブラケット42に取り付けられた状態では、取付部65の軸線が短辺56に平行となるように、取付部65の外周面は、接続部材64に取り付けられている。一対の立ち上がり部66は、ステレオカメラ41の上面50を超える高さまで延在する。水平部67はステレオカメラ41の上面50を超える高さであって、かつ、ステレオカメラ41の正面46よりも後方に位置する。
図5に示すように、第1保護部材62の水平部67は、カメラレンズ44の画角αに含まれない位置に設けられている。
【0031】
第2保護部材63は、第1保護部材62と同様に、屈曲による門形の部材であり、ステレオカメラ41の上面50を保護するために設けられている。第2保護部材63は、接続部材64から立設される左右一対の立設部68と、立設部68から水平になるように屈曲されて一対の立設部68の間に延在する水平部69と、を有する。
【0032】
接続部材64は板状の部材であり、接続部材64の上面には第1保護部材62の取付部65が取り付けられている。接続部材64と取付部65との取り付けは溶接による。接続部材64の上面には第2保護部材63の立設部68の端部が取り付けられている。接続部材64と立設部68との端部が取り付けられている。接続部材64には、接続部材64をブラケット42に固定するためのボルト孔70が設けられている。ボルト61をブラケット42のボルト用通孔60に挿通させてボルト孔70に螺入することにより、接続部材64はブラケット42に固定される。なお、
図3、
図4では一方のボルト孔70のみが示される。
【0033】
次に、本実施形態に係るカメラユニット装置40の作用について説明する。工場や倉庫といった建築構造物において、透明の樹脂シートによるカーテンが設けられている出入口をフォークリフト10が後進して通過する場合について説明する。このカーテンは、例えば、建築構造物内の保温・保冷、あるいは異物進入防止のために設けられている。
【0034】
図6(a)に示すように、フォークリフト10は後進によってカーテンCが設けられた出入口を通過しようとする。後進するフォークリフト10のカウンタウエイト16およびカメラユニット装置40はカーテンCに当たる。
図6(b)に示すように、フォークリフト10がさらに後進することによって、カーテンCが押し上げられる。カーテンCが押し上げられるとき、カーテンCはカメラユニット装置40の第1保護部材62の水平部67に対して摺接する。第1保護部材62がカメラレンズ44よりも後方に位置するので、カーテンCがカメラレンズ44と干渉することはない(
図5を参照)。また、カーテンCが押し上げられるとき、カーテンCにおける第1保護部材62の水平部67よりも下方の部位では、カーテンCが前方へ入り込んでもブラケット42の後端がカーテンCに当たるので、カーテンCにおける第1保護部材62よりも下方の部位がカメラレンズ44と干渉する可能性は殆どない(
図5を参照)。
【0035】
なお、フォークリフト10が前進によりカーテンCが設けられている出入口を通過する場合には、カーテンCの下端がカメラユニット装置40と干渉するが、カーテンCの下端は、第1保護部材62および第2保護部材63と摺接し、カメラレンズ44と干渉することはない。
【0036】
本実施形態に係るカメラユニット装置40は以下の作用効果を奏する。
(1)第1保護部材62がカメラレンズ44よりも上方であって、かつ、カメラレンズ44よりも後方に位置する位置に固定されている。このため、フォークリフト10がカーテンCを設けた出入口を通過しても、カーテンCはカメラレンズ44よりも上方に位置する第1保護部材62と干渉し、ステレオカメラ41のカメラレンズ44と干渉することはない。その結果、カメラレンズ44とカーテンとの干渉によるカメラレンズ44の傷発生、カメラレンズ44の汚れ発生を防止することができる。
【0037】
(2)ブラケット42の後端部は、カメラレンズ44の高さよりも低い位置であって、かつ、カメラレンズ44よりも後方に位置する。このため、ブラケット42が第1保護部材62とともにカーテンCのカメラレンズ44との干渉をより確実に妨げることができる。その結果、カメラレンズ44とカーテンCとの干渉によるカメラレンズ44の傷発生、カメラレンズ44の汚れ発生をより確実に防止できる。また、第1保護部材62がカメラレンズ44よりも後方に位置することにより、後方からの干渉する干渉物に対してステレオカメラ41を保護することができる。
【0038】
(3)ステレオカメラ41は車体11の後方を撮影するカメラであり、ステレオカメラ41は、カメラレンズ44の光軸A1が水平となるようにブラケット42に支持されている。このため、ステレオカメラ41により撮影された撮像画像における画像歪を抑制することができる。
【0039】
(4)第1保護部材62は、カメラレンズ44の画角αに含まれない位置に設けられているので、第1保護部材62がステレオカメラ41の機能を妨げることはない。
【0040】
(5)ブラケット42は、車体11における運転席13の上部に設けたヘッドガード25に設けられている。このため、フォークリフト10がカーテンCを設けた出入口を後進によって通過しても、カーテンCはカメラレンズ44よりも上方に位置する第1保護部材62と干渉し、カメラレンズ44と干渉することはない。
【0041】
(6)第1保護部材62は、断面円形の棒状体であるので、フォークリフト10がカーテンCを設けた出入口を通過するとき、第1保護部材62はカーテンCに対して円滑に摺動する。したがって、第1保護部材62はカーテンCを損傷することはないほか、フォークリフト10の通過時にカーテンCが第1保護部材62に引っ掛かってステレオカメラ41やブラケット42に過度な荷重を与えることはない。
【0042】
(7)第2保護部材63が設けられているので、ステレオカメラ41は第1保護部材62と相俟ってカーテンCと干渉し難くなり、カーテンCとの干渉によってステレオカメラ41に生じる衝撃やステレオカメラ41の位置ずれを防止できる。また、第2保護部材63は上方からの落下物に対してステレオカメラ41を保護することができる。
【0043】
(参考例)
次に、参考例に係るカメラユニット装置について説明する。本参考例のカメラユニット装置は、保護具の構成が第1の実施形態と異なる。本参考例では、第1の実施形態と同じ構成については、第1の実施形態の説明を援用し、共通の符号を用いる。
【0044】
本
参考例のフォークリフト10は、
図7、
図8に示す光学機器ユニット装置としてのカメラユニット装置80を備えている。カメラユニット装置80は、ヘッドガード25におけるリヤピラー27の長手方向の中心に取り付けられている。
図7、
図8に示すように、カメラユニット装置80は、光学機器としてのステレオカメラ41と、ステレオカメラ41を支持するブラケット42と、ステレオカメラ41を保護する保護具81と、を備えている。
【0045】
保護具81はステレオカメラ41を保護するための部材である。本参考例の保護具81は、金属板を打ち抜き、打ち抜いた金属板を屈曲した単一部材のカバー部材であり、保護部材に相当する。
【0046】
保護具81は、ステレオカメラ41のカメラレンズ44を保護するために設けられている。保護具81は、ブラケット42に固定される一対の取付部82と、取付部82から起立する方向に屈曲されて延在する一対の立ち上がり部83と、立ち上がり部83から水平になるように屈曲されて一対の立ち上がり部83の間に延在する水平部84と、を有する。取付部82にはボルト61が螺入されるボルト孔85が備えられている。ボルト61をブラケット42のボルト用通孔60に挿通させてボルト孔85に螺入することにより、保護具81はブラケット42に固定される。なお、
図7、
図8では一方のボルト孔70のみが示される。
【0047】
保護具81がブラケット42に取り付けられた状態では、取付部82と立ち上がり部83との境界付近が短辺56に平行となるように、取付部82は、ブラケット42に取り付けられている。一対の立ち上がり部83は、ステレオカメラ41の上面50を超える高さまで延在する。
図9に示すように、水平部84はステレオカメラ41の上面50を超える高さであって、かつ、水平部84の後端は、ステレオカメラ41の正面46よりも後方に位置する。水平部84の後端は、前後方向におけるブラケット42の後端と同じ位置である。保護具81の水平部84は、カメラレンズ44の画角αに含まれない位置に設けられている。
【0048】
本参考例に係るカメラユニット装置80によれば、カバー部材である保護具81がステレオカメラ41の上面50および側面48、49を覆う。保護具81の後端は、カメラレンズ44よりも上方であって、かつ、カメラレンズ44よりも後方に位置する位置に固定されている。このため、フォークリフト10がカーテンCを設けた出入口を通過しても、カーテンCはカメラレンズ44よりも上方に位置する保護具81と干渉し、ステレオカメラ41のカメラレンズ44と干渉することはない。その結果、カメラレンズ44とカーテンCとの干渉によるカメラレンズ44の傷発生、カメラレンズ44の汚れ発生を防止することができる。
【0049】
また、ブラケット42が保護具81とともにカーテンCのカメラレンズ44との干渉をより確実に妨げることができる。そして、保護具81はステレオカメラ41の機能を妨げることはない。保護具81はステレオカメラ41の上面50および側面48、49の殆どを覆うので、落下物や雨水に対してステレオカメラ41を保護できる。
【0050】
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
【0051】
○ 上記の実施形態では、産業車両としてのフォークリフトを例示して説明したが、産業車両はフォークリフトに限定されない。産業車両は、例えば、牽引車であってもよく、あるいは建設車両でもよい。
○ 上記の実施形態では、光学機器としてステレオカメラを例示したが、これに限らない。光学機器は、カメラのほかレンズを備えた測距器(例えば、3D-LiDAR)のほか、レンズを有する発光部を備えた光学センサであってもよい。また、カメラはステレオカメラ以外のカメラでもよい。
○ 上記の実施形態では、ステレオカメラの光軸が水平になるようにカメラユニット装置がフォークリフトに設けられたが、この限りではない。光学機器の光軸は水平以外の方向へ向けられてもよく、例えば、ヘッドガードにカメラユニット装置を設ける場合、後方であってやや下方にカメラの光軸が向けられるようにしてもよい。
○ 上記の実施形態では、ブラケットの後端が光学機器のレンズよりも後方に位置するとしたが、これに限らない。ブラケットの後端は、レンズと同じ位置であってもよいし、レンズよりも前方であってもよい。
○ 上記の実施形態では、保護具がレンズの画角に含まれないように設けられたがこれに限定されない。光学機器の機能に影響しない程度、あるいは光学機器の機能に影響してもその影響が小さい場合であれば、保護具の一部がレンズの画角に含まれてもよい。
○ 上記の実施形態では、フォークリフトのヘッドガードにカメラユニット装置を備えたが、これに限らない。カメラユニット装置は、例えば、カウンタウエイトに備えられてもよい。その場合、カメラユニット装置のブラケットの後方には、車体の一部(例えば、カウンタウエイト)が存在しないように配置されるのが好ましい。
〇 上記の実施形態では、カメラユニット装置がヘッドガードの後端から後方へ突出するように設けられたが、この限りではない。例えば、
図10に示すように、カメラユニット装置90は、ヘッドガード25の後端から後方へ突出せず、ヘッドガード25のルーフ部29の上面から突出して配置されていてもよい。この場合、例えば、ヘッドガード25の後端と干渉せず、カメラユニット装置90と干渉する長さを有するカーテンCであっても、レンズとカーテンCとの干渉を防止することができる
。
【符号の説明】
【0052】
10 フォークリフト
11 車体
12 荷役装置
22 リフトシリンダ
23 フォーク
25 ヘッドガード
40、80、90 カメラユニット装置(光学機器ユニット装置としての)
41 ステレオカメラ(光学機器としての)
42 ブラケット
43、81 保護具
44 カメラレンズ
52、58、61 ボルト
54 レーザーレンズ
57、59、60 ボルト用通孔(ブラケット側)
62 第1保護部材(保護部材としての)
63 第2保護部材
64 接続部材
A1、A2 光軸
C カーテン
α レンズ画角