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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】エアクリーナ
(51)【国際特許分類】
   F02M 35/024 20060101AFI20240130BHJP
   F16B 2/24 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
F02M35/024 511B
F16B2/24 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021001532
(22)【出願日】2021-01-07
(65)【公開番号】P2022106494
(43)【公開日】2022-07-20
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】後村 卓嗣
(72)【発明者】
【氏名】宮田 ひまわり
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-247354(JP,A)
【文献】特開2012-237425(JP,A)
【文献】特開2018-80686(JP,A)
【文献】特開2019-116873(JP,A)
【文献】特許第3136978(JP,B2)
【文献】特許第6439493(JP,B2)
【文献】実開昭57-42157(JP,U)
【文献】実開平4-79958(JP,U)
【文献】実開平6-76708(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0043367(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 35/024
F16B 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ケースと第2ケースとのうちの一方に第1突部が形成されるとともに他方に第2突部が形成されており、前記第1ケースと前記第2ケースとの間にエレメントを挟んだとき、前記第1突部の側面が前記第2突部の側面に接触することによって、それら側面と交差する方向についての前記第1ケースと前記第2ケースとの相対位置が位置決めされ、位置決めされた前記第1ケースと前記第2ケースとがクランプ機構によってクランプされるエアクリーナにおいて、
前記クランプ機構は、前記第1ケースと前記第2ケースとのうちの一方に固定された支軸と、その支軸によって回転可能に支持された弾性変形可能なクランプ金具と、前記第1ケースと前記第2ケースとのうちの他方に形成された被掛け止め部と、を備えており、
前記クランプ金具は、そのクランプ金具を前記第1ケースと前記第2ケースとをクランプするクランプ位置まで回転させるための操作部と、前記クランプ金具における前記支軸から離れた位置にあって前記被掛け止め部に引っかけることが可能な掛け止め部と、を備えており、
第1ケースと前記第2ケースとのうちの前記被掛け止め部がある方には、その被掛け止め部よりも前記支軸寄りの位置に突起が形成されており、
前記突起が形成される位置は、前記第1突部の端部が前記第2突部の端部に乗り上げた状態で、前記エレメントを前記第1ケースと前記第2ケースとの間に挟んだとき、前記クランプ金具を支軸回りに回転させて前記掛け止め部を前記被掛け止め部に向けて最大に移動させても、前記掛け止め部が前記突起を乗り越えることのできない位置とされているエアクリーナ。
【請求項2】
前記第1ケースを前記第2ケースに対し回転可能に連結するヒンジを備えており、
前記第1ケースと前記第2ケースとの間に前記エレメントを配置した状態で、前記第1ケースを前記第2ケースに対し前記ヒンジを中心に回転させることにより、前記第1ケースと前記第2ケースとの間に前記エレメントが挟まれるよう構成されている請求項1に記載のエアクリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアクリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気系にはエアクリーナが設けられている。エアクリーナは、エレメントを挟む第1ケースと第2ケースとを備えている。内燃機関の吸気は、エアクリーナのエレメントを通過する。内燃機関の吸気に含まれる塵埃等の異物は、エアクリーナのエレメントによって取り除かれる。
【0003】
特許文献1に示されるエアクリーナでは、第1ケースと第2ケースとのうちの一方に、第1突部が形成されている。第1ケースと第2ケースとのうちの他方には、第2突部が形成されている。第1ケースと第2ケースとの間にエレメントを挟んだときには、第1突部の側面が第2突部の側面に接触する。これにより、それら側面と交差する方向についての第1ケースと第2ケースとの相対位置が位置決めされる。また、エアクリーナは、上述したように位置決めされた第1ケースと第2ケースとをクランプするクランプ機構を備えている。
【0004】
特許文献2に示されるように、クランプ機構は、支軸とクランプ金具と被掛け止め部とを備えている。支軸は、第1ケースと第2ケースとのうちの一方に固定されている。クランプ金具は、支軸によって回転可能に支持されており、且つ、弾性変形可能となっている。被掛け止め部は、第1ケースと第2ケースとのうちの他方に形成されている。また、クランプ金具は、操作部と掛け止め部とを備えている。操作部は、クランプ金具を第1ケースと第2ケースとをクランプするクランプ位置まで回転させる操作を行うためのものである。掛け止め部は、クランプ金具の端部に位置して上記被掛け止め部に引っかけることが可能なものである。
【0005】
エアクリーナを組み立てる際には、エレメントを第1ケースと第2ケースとの間に配置した後、第1ケースと第2ケースとを接近させる。これにより、エレメントが第1ケースと第2ケースとによって挟まれる。このときには、第1突部の側面が第2突部の側面に接触することにより、それら側面と交差する方向についての第1ケースと第2ケースとの相対位置が位置決めされる。
【0006】
更に、作業者が操作部を持ってクランプ金具の掛け止め部を被掛け止め部に向けて移動させる。これにより、掛け止め部が被掛け止め部に引っかけられるとともに、クランプ金具が支軸回りに回転してクランプ位置に移動する。その結果、クランプ金具が弾性変形する。そして、クランプ金具の弾性力により、第1ケースと第2ケースとが互いに接近する方向に押される。こうしてクランプ機構による第1ケースと第2ケースとのクランプが行われるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第3136978号公報
【文献】特許第6439493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、エアクリーナを組み立てるため、第1ケースと第2ケースとを互いに接近させたとき、第1ケース及び第2ケースに対するエレメントの相対位置が適正でない場合がある。この場合、第1突部の側面と第2突部の側面とを接触させることができず、第1突部の突出方向の端部が第2突部の突出方向の端部に乗り上げ、その状態でクランプ機構による第1ケースと第2ケースとのクランプが無理やり行われるおそれがある。すなわち、第1突部の突出方向の端部が第2突部の突出方向の端部に乗り上げた状態で、クランプ金具の掛け止め部が被掛け止め部に届くよう、同クランプ金具を無理に変形させることになる。その結果、クランプ金具が塑性変形し、その塑性変形によりクランプ機構による第1ケースと第2ケースとの適正なクランプを行えなくなるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するエアクリーナは、第1ケースと第2ケースとのうちの一方に第1突部が形成されるとともに他方に第2突部が形成されている。そして、第1ケースと第2ケースとの間にエレメントを挟んだとき、第1突部の側面が第2突部の側面に接触することによって、それら側面と交差する方向についての第1ケースと第2ケースとの相対位置が位置決めされる。更に、位置決めされた第1ケースと第2ケースとが、クランプ機構によってクランプされる。上記クランプ機構は、第1ケースと第2ケースとのうちの一方に固定された支軸と、その支軸によって回転可能に支持された弾性変形可能なクランプ金具と、第1ケースと第2ケースとのうちの他方に形成された被掛け止め部と、を備えている。上記クランプ金具は、そのクランプ金具を前記第1ケースと前記第2ケースとをクランプするクランプ位置まで回転させるための操作部と、クランプ金具における支軸から離れた位置にあって被掛け止め部に引っかけることが可能な掛け止め部と、を備えている。第1ケースと第2ケースとのうちの被掛け止め部がある方には、その被掛け止め部よりも支軸寄りの位置に突起が形成されている。この突起が形成される位置は、第1突部の端部が第2突部の端部に乗り上げた状態で、エレメントを第1ケースと第2ケースとの間に挟んだとき、クランプ金具を支軸回りに回転させて掛け止め部を被掛け止め部に向けて最大に移動させても、掛け止め部が突起を乗り越えることのできない位置とされている。
【0010】
上記構成によれば、第1突部の突出方向の端部が第2突部の突出方向の端部に乗り上げた状態で、クランプ金具の掛け止め部を被掛け止め部に届かせるように同クランプ金具を支軸回りに回転させても、そのときの掛け止め部の移動が突起によって阻害される。このため、第1突部の突出方向の端部が第2突部の突出方向の端部に乗り上げた状態で、クランプ機構による第1ケースと第2ケースとのクランプが無理やり行われること、より詳しくはクランプ金具の掛け止め部が被掛け止め部に届くよう同クランプ金具が無理に変形させられることはない。その結果、クランプ金具が塑性変形することを抑制でき、その塑性変形によりクランプ機構による第1ケースと第2ケースとの適正なクランプを行えなくなることも抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】エアクリーナを示す斜視図。
図2】エアクリーナを示す斜視図。
図3】エアクリーナのヒンジを示す斜視図。
図4】エアクリーナのクランプ機構を示す斜視図。
図5】エアクリーナの突起を示す側面図。
図6】エアクリーナの突起の他の例を示す斜視図。
図7】クランプ機構の他の例を示す側面図。
図8】クランプ機構の他の例を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、エアクリーナの一実施形態について、図1図5を参照して説明する。
図1及び図2に示すエアクリーナは、内燃機関の吸気系に設けられる。エアクリーナは略四角形の箱状とされている。エアクリーナは、エレメント1と第1ケース2と第2ケース3とを備えている。図2に示すように、第1ケース2の開口と第2ケース3の開口とは対向している。エレメント1は、それら第1ケース2と第2ケース3との間に配置されている。
【0013】
第1ケース2にはアウトレットパイプ2aが繋がっている。第2ケース3にはインレットパイプ3aが繋がっている。内燃機関の吸気は、インレットパイプ3aから第2ケース3内に流入し、エレメント1を通過した後に第1ケース2からアウトレットパイプ2aを介して流出する。内燃機関の吸気に含まれる塵埃等の異物は、エアクリーナのエレメント1によって取り除かれる。
【0014】
図1及び図2に示すように、第1ケース2と第2ケース3とのうち、一方には第1突部7が形成され、他方には第2突部8が形成されている。詳しくは、第1突部7は第1ケース2の開口端に位置しており、第2突部8は第2ケース3の開口端に位置している。また、第1突部7及び第2突部8は、第1ケース2及び第2ケース3の短辺方向の両側にそれぞれ設けられている。図1及び図2には、一方側の第1突部7及び第2突部8のみ図示している。なお、第1突部7及び第2突部8は、必ずしも第1ケース2及び第2ケース3の短辺方向の両側にそれぞれ設けられている必要はなく、片側のみに設けられていてもよい。第1ケース2と第2ケース3との間にエレメント1を挟んだときには(図1)、第1突部7の側面7aが第2突部8の側面8aに接触する。
【0015】
第1ケース2及び第2ケース3の長辺方向の端部には、図3に示すようにヒンジ4が設けられている。ヒンジ4は突出バー5と受け部6とを供えている。突出バー5は、第1ケース2の長辺方向の端部に位置している。受け部6は、第2ケース3の長辺方向の端部に位置しており、突出バー5を挿入することが可能となっている。そして、突出バー5を受け部6に対し位置合わせし、第1ケース2を突出バー5の突出方向にスライドさせることにより、突出バー5が受け部6に挿入される。
【0016】
この状態では、第1ケース2が第2ケース3に対しヒンジ4を中心に回転可能となる。図2に示すように、第1ケース2は第2ケース3から離れるように回転され、その状態で第1ケース2と第2ケース3との間にエレメント1が配置される。その後、図1に示すように第1ケース2を第2ケース3に近づけるように回転させることにより、エレメント1が第1ケース2と第2ケース3との間に挟まれる。このときには、第1突部7の側面7aが第2突部8の側面8aに接触する。これにより、それら側面7a,8aと交差する方向についての第1ケース2と第2ケース3との相対位置が位置決めされる。
【0017】
次に、上述したように位置決めされた第1ケース2と第2ケース3とをクランプするためのクランプ機構11について説明する。
図1及び図2に示すように、エアクリーナは、複数のクランプ機構11を備えている。それらクランプ機構11は、第1ケース2及び第2ケース3の長辺方向の両端部のうち、上記ヒンジ4(図3)を有する端部と反対の端部に位置している。クランプ機構11は、エレメント1を第1ケース2と第2ケース3との間に挟んだ状態で、それら第1ケース2と第2ケース3とをクランプする。
【0018】
図4に示すように、クランプ機構11は、支軸12とクランプ金具13と被掛け止め部14とを備えている。支軸12は、第1ケース2と第2ケース3とのうちの一方に固定されている。この例では、支軸12は、第2ケース3に固定されている。クランプ金具13は、支軸12によって回転可能に支持されており、且つ、弾性変形可能となっている。被掛け止め部14は、第1ケース2と第2ケース3とのうちの他方、この例では第1ケース2に形成されている。
【0019】
クランプ金具13は、操作部13bと掛け止め部13aとを備えている。操作部13bは、クランプ金具13を第1ケース2と第2ケース3とをクランプするクランプ位置、すなわち図4に示す位置まで回転させる操作を行うためのものである。掛け止め部13aは、クランプ金具13における支軸12から離れた位置にあって上記被掛け止め部14に引っかけることが可能となっている。
【0020】
クランプ機構11により第1ケース2と第2ケース3とをクランプする際には、作業者が操作部13bを持ってクランプ金具13の掛け止め部13aを被掛け止め部14に向けて移動させる。これにより、掛け止め部13aが被掛け止め部14に引っかけられるとともに、クランプ金具13が支軸12回りに回転してクランプ位置に移動する。その結果、クランプ金具13が弾性変形する。そして、クランプ金具13の弾性力により、第1ケース2と第2ケース3とが互いに接近する方向に押される。こうしてクランプ機構11による第1ケース2と第2ケース3とのクランプが行われる。
【0021】
クランプ機構11により第1ケース2と第2ケース3とのクランプを解除する際には、作業者が操作部13bを持ってクランプ金具13の掛け止め部13aを被掛け止め部14から離れる方向に移動させる。これにより、掛け止め部13aが被掛け止め部14から外されるとともに、クランプ金具13が支軸12回りに回転してクランプ位置から離れる方向に移動する。その結果、クランプ機構11による第1ケース2と第2ケース3とのクランプが解除され、第2ケース3から第1ケース2を外すことが可能になる。
【0022】
ところで、エアクリーナを組み立てるため、エレメント1を挟んだ状態で第1ケース2と第2ケース3とを互いに接近させたとき、第1ケース2及び第2ケース3に対するエレメント1の相対位置が適正でない場合がある。この場合、図5に示すように第1突部7の側面7aと第2突部8の側面8aとを接触させることができず、第1突部7の端部が第2突部8の端部に乗り上げるおそれがある。特に、上記エアクリーナでは、第1ケース2を第2ケース3に対しヒンジを中心に回転させることにより、第1ケース2と第2ケース3との間にエレメント1が挟まれるよう構成されているため、上述したことが生じやすい。
【0023】
そして、第1突部7の端部が第2突部8の端部に乗り上げると、その状態のままクランプ機構11による第1ケース2と第2ケース3とのクランプが無理やり行われるおそれがある。この場合、第1突部7の端部が第2突部8の端部に乗り上げた状態で、クランプ金具13の掛け止め部13aが被掛け止め部14に届くよう、同クランプ金具13を無理に変形させることになる。その結果、クランプ金具13が塑性変形し、その塑性変形によりクランプ機構11による第1ケース2と第2ケース3との適正なクランプを行えなくなるおそれがある。
【0024】
こうしたことに対処するため、第1ケース2と第2ケース3とのうちの被掛け止め部14がある方(この例では第1ケース2)に、突起15が形成されている。突起15は、図5の左に向かって突出するとともに、支軸12と同じ方向に延びている。この突起15は、第1ケース2における被掛け止め部14よりも支軸12寄りに位置している。突起15が形成される位置は、次のような位置とされる。すなわち、第1突部7の端部が第2突部8の端部に乗り上げた状態で、エレメント1を第1ケース2と第2ケース3との間に挟んだとき、クランプ金具13を支軸12回りに回転させて掛け止め部13aを被掛け止め部14に向けて最大に移動させても、掛け止め部13aが突起15を乗り越えることのできない位置とされる。
【0025】
詳しくは、第1突部7の端部が第2突部8の端部に乗り上げたとき、支軸12から突起15下端までの距離を「A」とし、自然長でのクランプ金具13の掛け止め部13a上端までの距離を「C」とすると、「A≧C」となるように突起15の位置が定められている。
【0026】
ここで、クランプ金具13を支軸12から離れる方向に伸ばすことにより、クランプ金具13が塑性変形するときの支軸12から掛け止め部13a上端までの距離を「X」とすると、支軸12から掛け止め部13a上端までの距離が「X」以上となるよう、クランプ金具13を伸ばすと、同クランプ金具13が塑性域に入る。突起15の位置は、上記距離Aが距離X未満となるようにも定められている。
【0027】
また、突起15から被掛け止め部までの距離を「B」としたとき、その距離Bは次のように定められている。すなわち、第1ケース2と第2ケース3との相対位置が適切に位置決めされ、第1突部7の側面7aと第2突部8の側面8aとが接した状態では、クランプ金具13を支軸12回りに回転させたとき、掛け止め部13aが突起15に当たらないように上記距離Bが定められている。
【0028】
次に、本実施形態のエアクリーナの作用効果について説明する。
(1)第1突部7の端部が第2突部8の端部に乗り上げた状態で、クランプ金具13の掛け止め部13aを被掛け止め部14に届かせるように同クランプ金具13を支軸12回りに回転させても、そのときの掛け止め部13aの移動が突起15によって阻害される。このため、第1突部7の端部が第2突部8の端部に乗り上げた状態で、クランプ機構11による第1ケース2と第2ケース3とのクランプが無理やり行われること、より詳しくはクランプ金具13の掛け止め部13aが被掛け止め部14に届くよう同クランプ金具13が無理に変形させられることはない。その結果、クランプ金具13が塑性変形することを抑制でき、その塑性変形によりクランプ機構11による第1ケース2と第2ケース3との適正なクランプを行えなくなることも抑制できる。
【0029】
(2)エアクリーナは、第1ケース2を第2ケース3に対し回転可能に連結するヒンジ4を備え、第1ケース2を第2ケース3に対しヒンジ4を中心に回転させることにより、第1ケース2と第2ケース3との間にエレメントが挟まれるよう構成されている。こうしたエアクリーナでは、第1ケース2を第2ケース3に対しヒンジ4を中心に回転させる際、第1突部7の端部が第2突部8の端部に乗り上げやすくなる。こうしたエアクリーナであっても、クランプ機構11による第1ケース2と第2ケース3とのクランプが無理やり行われ、それに伴いクランプ金具13が塑性変形することを効果的に抑制できる。
【0030】
なお、上記実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
図6に示すように、突起15は、支軸12と直交する方向に延びるものであってもよい。
【0031】
・支軸12と被掛け止め部14との位置関係が逆であってもよい。すなわち、支軸12が第1ケース2に固定され、被掛け止め部14が第2ケース3に形成されていてもよい。この場合、突起15が第2ケース3に形成される。
【0032】
・クランプ機構11として、図7及び図8に示すものを採用してもよい。このクランプ機構11は、支軸12とクランプ金具16,17と掛け止め部18とピン19と被掛け止め部20とを備えている。支軸12は第1ケース2に固定されている。この支軸12に対しクランプ金具16の端部が回転可能に支持されている。また、クランプ金具16に対しピン19によってクランプ金具17の端部が回転可能に連結されている。掛け止め部18は、クランプ金具17におけるピン19とは反対側の端部に位置している。被掛け止め部20は第2ケース3に形成されている。
【0033】
このクランプ機構11では、次のように第1ケース2と第2ケース3とのクランプを行う。第1突部7の側面7aと第2突部8の側面8aとが接した状態で、クランプ金具16の操作により図7に実線で示すように掛け止め部18を被掛け止め部20に引っかける。その後、クランプ金具16を支軸12回りに二点鎖線で示す位置まで回転させる。これにより、クランプ金具17が二点鎖線で示すように弾性変形する。図7の二点鎖線は、クランプ金具16,17がクランプ位置に移動した状態を示している。このときには、クランプ金具17の弾性力により、第1ケース2と第2ケース3とが互いに接近する方向に押される。こうしてクランプ機構11による第1ケース2と第2ケース3とのクランプが行われる。クランプ機構11による第1ケース2と第2ケース3とのクランプの解除は、上述した手順と逆の手順によって行われる。
【0034】
このクランプ機構11では、クランプ金具16が、クランプ金具16,17をクランプ位置まで回転させる操作を行うための操作部として機能する。
第1ケース2と第2ケース3とのうちの被掛け止め部20がある方、すなわち第2ケース3には、突起21が形成される。突起21は、被掛け止め部20よりも支軸12寄りに位置している。突起21が形成される位置は、次のような位置とされる。すなわち、第1突部7の突出方向の端部が第2突部8の突出方向の端部に乗り上げた状態で、エレメント1を第1ケース2と第2ケース3との間に挟んだとき、クランプ金具16,17を支軸12回りに回転させて掛け止め部18を被掛け止め部20に向けて最大に移動させても、掛け止め部18が突起21を乗り越えることのできない位置とされる。
【0035】
なお、このクランプ機構11においても、支軸12と被掛け止め部20との位置関係が逆であってもよい。すなわち、支軸12が第2ケース3に固定され、被掛け止め部20が第1ケース2に形成されていてもよい。この場合、突起21が第1ケース2に形成される。
【0036】
・ヒンジ4が第1ケース2及び第2ケース3の長辺方向の端部ではなく短辺方向の端部に位置しており、クランプ機構11が第1ケース2及び第2ケース3の両端部のうちの上記ヒンジ4を有する端部と反対側の端部に位置していてもよい。
【0037】
・ヒンジ4を省略するとともに、第1突部7及び第2突部8のみによって側面7a,8aと交差する方向についての第1ケース2と第2ケース3の相対位置の位置決めを行うようにしてもよい。
【0038】
・クランプ機構11の数を一つあるいは三つ以上などに適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1…エレメント
2…第1ケース
2a…アウトレットパイプ
3…第2ケース
3a…インレットパイプ
4…ヒンジ
5…突出バー
6…受け部
7…第1突部
7a…側面
8…第2突部
8a…側面
11…クランプ機構
12…支軸
13…クランプ金具
13a…掛け止め部
13b…操作部
14…被掛け止め部
15…突起
16…クランプ金具
17…クランプ金具
18…掛け止め部
19…ピン
20…被掛け止め部
21…突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8