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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】移植機
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/02 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
A01C11/02 303C
A01C11/02 303Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021072008
(22)【出願日】2021-04-21
(65)【公開番号】P2022166654
(43)【公開日】2022-11-02
【審査請求日】2022-12-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】山根 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】村並 昌実
(72)【発明者】
【氏名】大久保 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】東 幸太
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】中島 弘喜
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-012042(JP,A)
【文献】特開2016-220608(JP,A)
【文献】特開2005-034108(JP,A)
【文献】特開2010-220496(JP,A)
【文献】特開2011-160703(JP,A)
【文献】特開2014-103940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降させられながら移植物の植付け作業を行う植付け具(151)と、
エンジン(110)から伝達されてくる駆動力を利用して、前記植付け具(151)を間欠的に昇降させる植付け具昇降機構(140)と、
前記駆動力の伝達オンオフを制御する駆動力制御機構(130)と、
を備え、
前記植付け具昇降機構(140)は、前記駆動力の前記伝達オンオフを行う植付け具昇降クラッチ(142)と、前記駆動力の前記伝達オンオフが行われるように前記植付け具昇降クラッチ(142)を制御するための植付け具昇降牽制アーム(143)と、を有し、
前記駆動力制御機構(130)は、前記駆動力の前記伝達オンオフが行われるように前記植付け具昇降牽制アーム(143)を制御するための植付け具昇降牽制カム(133)を有し、
前記植付け具昇降機構(140)は、前記植付け具昇降クラッチ(142)を収納する植付け具昇降ケース(141)を有し、
前記植付け具昇降牽制アーム(143)の一部は、前記植付け具昇降牽制カム(133)と接触するように前記植付け具昇降ケース(141)から外部へ引出されていることを特徴とする植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜苗移植機などのような移植機に関する。
【背景技術】
【0002】
昇降させられながら移植物の植付け作業を行う植付け具と、エンジンから伝達されてくる駆動力を利用して、植付け具を間欠的に昇降させる植付け具昇降機構と、を有する移植機が、知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6319206号公報
【文献】特許第6766851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述された従来の移植機については、植付け具の間欠的な昇降を行うための駆動力制御機構の構成は必ずしも簡素ではない。
【0005】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、植付け具の間欠的な昇降を行うための駆動力制御機構の構成を簡素化することができる移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、昇降させられながら移植物の植付け作業を行う植付け具(151)と、
エンジン(110)から伝達されてくる駆動力を利用して、前記植付け具(151)を間欠的に昇降させる植付け具昇降機構(140)と、
前記駆動力の伝達オンオフを制御する駆動力制御機構(130)と、
を備え、
前記植付け具昇降機構(140)は、前記駆動力の前記伝達オンオフを行う植付け具昇降クラッチ(142)と、前記駆動力の前記伝達オンオフが行われるように前記植付け具昇降クラッチ(142)を制御するための植付け具昇降牽制アーム(143)と、を有し、
前記駆動力制御機構(130)は、前記駆動力の前記伝達オンオフが行われるように前記植付け具昇降牽制アーム(143)を制御するための植付け具昇降牽制カム(133)を有し、
前記植付け具昇降機構(140)は、前記植付け具昇降クラッチ(142)を収納する植付け具昇降ケース(141)を有し、
前記植付け具昇降牽制アーム(143)の一部は、前記植付け具昇降牽制カム(133)と接触するように前記植付け具昇降ケース(141)から外部へ引出されていることを特徴とする移植機である。
本発明に関連する第1の発明は、昇降させられながら移植物の植付け作業を行う植付け具(151)と、
エンジン(110)から伝達されてくる駆動力を利用して、前記植付け具(151)を間欠的に昇降させる植付け具昇降機構(140)と、
前記駆動力の伝達オンオフを制御する駆動力制御機構(130)と、
を備え、
前記植付け具昇降機構(140)は、前記駆動力の前記伝達オンオフを行う植付け具昇降クラッチ(142)と、前記駆動力の前記伝達オンオフが行われるように前記植付け具昇降クラッチ(142)を制御するための植付け具昇降牽制アーム(143)と、を有し、
前記駆動力制御機構(130)は、前記駆動力の前記伝達オンオフが行われるように前記植付け具昇降牽制アーム(143)を制御するための植付け具昇降牽制カム(133)を有することを特徴とする移植機である。
【0007】
本発明に関連する第2の発明は、前記植付け具昇降機構(140)は、前記植付け具昇降クラッチ(142)を収納する植付け具昇降ケース(141)を有し、
前記植付け具昇降牽制アーム(143)の一部は、前記植付け具昇降牽制カム(133)と接触するように前記植付け具昇降ケース(141)から外部へ引出されていることを特徴とする本発明に関連する第1の発明の移植機である。
【0008】
本発明に関連する第3の発明は、前記エンジン(110)から前記伝達されてくる駆動力を利用して、前記植付け具(151)へ前記移植物を供給する移植物供給機構(160)を備え、
前記移植物供給機構(160)への前記駆動力は、前記植付け具昇降クラッチ(142)への駆動力伝達経路における前記植付け具昇降クラッチ(142)の上流側の所定箇所から、または前記植付け具昇降牽制カム(133)への駆動力伝達経路における所定箇所から伝達されることを特徴とする本発明に関連する第1の発明の移植機である。
【0009】
本発明に関連する第4の発明は、複数個の前記植付け具(151)が、車体左右方向に並んで設けられており、
前記駆動力制御機構(130)は、シャフト長手方向が前記車体左右方向である植付け具昇降牽制カムシャフト(132)を有し、
前記複数個の前記植付け具(151)のそれぞれの前記植付け具昇降牽制カム(133)は、前記植付け具昇降牽制カムシャフト(132)へ取付けられていることを特徴とする本発明に関連する第1の発明の移植機である。
【0010】
本発明に関連する第5の発明は、前記エンジン(110)から前記伝達されてくる駆動力を利用して、前記移植物の植付け補助作業を行う植付け補助作業機構(170)を備え、
前記植付け補助作業機構(170)への前記駆動力は、前記植付け具昇降クラッチ(142)への駆動力伝達経路における前記植付け具昇降クラッチ(142)の下流側の所定箇所から伝達されることを特徴とする本発明に関連する第1の発明の移植機である。
【0011】
本発明に関連する第6の発明は、車体左側および車体右側の内の一方の側へ偏倚されて配置されたハンドルフレーム(102)と、
前記車体左側および前記車体右側の内の他方の側へ配置された乗降ステップ(103)と、
を備えたことを特徴とする本発明に関連する第1の発明の移植機である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、植付け具(151)の間欠的な昇降を行うための駆動力制御機構(130)の構成を簡素化することが可能である。そして、本発明により、上述された本発明の効果に加えて、植付け具昇降機構(140)の配置についての自由度を向上することが可能である。
本発明に関連する第1の発明により、植付け具(151)の間欠的な昇降を行うための駆動力制御機構(130)の構成を簡素化することが可能である。
【0013】
本発明に関連する第2の発明により、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、植付け具昇降機構(140)の配置についての自由度を向上することが可能である。
【0014】
本発明に関連する第3の発明により、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、植付け具(151)の間欠的な昇降と独立するように駆動力を移植物供給機構(160)へ伝達することが可能である。
【0015】
本発明に関連する第4の発明により、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、複数個の植付け具(151)の間欠的な昇降を行うことが可能である。
【0016】
本発明に関連する第5の発明により、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、植付け具(151)の間欠的な昇降と連動するように駆動力を補助作業機構(170)へ伝達することが可能である。
【0017】
本発明に関連する第6の発明により、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、乗降が容易であるレイアウトを実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明における実施の形態の移植機の左側面図
図2】本発明における実施の形態の移植機の駆動力制御機構および植付け具昇降機構近傍の模式的な部分左側面図
図3】本発明における実施の形態の移植機の駆動力制御機構および植付け具昇降機構近傍の模式的な部分平面図
図4】本発明における実施の形態の第一変形例の移植機の駆動力制御機構近傍の模式的な部分平面図
図5】(a)本発明における実施の形態の移植機の植付け具昇降牽制カムシャフトおよび植付け具昇降牽制カムの部分左側面図(その一)、(b)本発明における実施の形態の移植機の植付け具昇降牽制カムシャフトおよび植付け具昇降牽制カムの部分左側面図(その二)、(c)本発明における実施の形態の移植機の植付け具昇降牽制カムシャフトおよび植付け具昇降牽制カムの部分左側面図(その三)、(d)本発明における実施の形態の移植機の植付け具昇降牽制カムシャフトおよび植付け具昇降牽制カムの部分左側面図(その四)、(e)本発明における実施の形態の移植機の植付け具昇降牽制カムシャフトおよび植付け具昇降牽制カムの部分左側面図(その五)、(f)本発明における実施の形態の移植機の植付け具昇降牽制カムシャフトおよび植付け具昇降牽制カムの部分左側面図(その六)、(g)本発明における実施の形態の移植機の植付け具昇降牽制カムシャフトおよび植付け具昇降牽制カムの部分左側面図(その七)、(h)本発明における実施の形態の移植機の植付け具昇降牽制カムシャフトおよび植付け具昇降牽制カムの部分左側面図(その八)、(i)本発明における実施の形態の移植機の植付け具昇降牽制カムシャフトおよび植付け具昇降牽制カムの部分左側面図(その九)、(j)本発明における実施の形態の移植機の植付け具昇降牽制カムシャフトおよび植付け具昇降牽制カムの部分左側面図(その十)、(k)本発明における実施の形態の移植機の植付け具昇降牽制カムシャフトおよび植付け具昇降牽制カムの部分左側面図(その十一)、(l)本発明における実施の形態の移植機の植付け具昇降牽制カムシャフトおよび植付け具昇降牽制カムの部分左側面図(その十二)
図6】本発明における実施の形態の移植機の潅水装置近傍の部分斜視図(その一)
図7】本発明における実施の形態の移植機の潅水装置近傍の部分斜視図(その二)
図8】本発明における実施の形態の移植機の潅水装置近傍の部分斜視図(その三)
図9】本発明における実施の形態の移植機の潅水装置近傍の部分斜視図(その四)
図10】本発明における実施の形態の移植機の潅水装置近傍の部分斜視図(その五)
図11】本発明における実施の形態の移植機の潅水装置近傍の部分斜視図(その六)
図12】(a)本発明における実施の形態の第二変形例の移植機の鎮圧装置近傍の模式的な部分平面図、(b)本発明における実施の形態の第二変形例の移植機の鎮圧装置近傍の模式的な部分断面図
図13】本発明における実施の形態の第三変形例の移植機の鎮圧装置近傍の模式的な部分平面図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあるし透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0021】
はじめに、図1から4を主として参照しながら、本実施の形態の移植機100の構成および動作について具体的に説明する。
【0022】
ここに、図1は本発明における実施の形態の移植機100の左側面図であり、図2は本発明における実施の形態の移植機100の駆動力制御機構130および植付け具昇降機構140近傍の模式的な部分左側面図であり、図3は本発明における実施の形態の移植機100の駆動力制御機構130および植付け具昇降機構140近傍の模式的な部分平面図であり、図4は本発明における実施の形態の第一変形例の移植機100の駆動力制御機構130近傍の模式的な部分平面図である。
【0023】
移植機100は、手動操縦操作または自動操縦操作に応じて、左右一対の従動前車輪121および駆動後車輪122を有する走行装置120で走行しながら、植付け具151を有する植付け装置150により移植物の植付けを行う、野菜苗移植機などのような移植機である。
【0024】
植付け具昇降機構140は、エンジン110から伝達されてくる駆動力を利用して、昇降させられながら移植物の植付け作業を行う植付け具151を間欠的に昇降させる機構である。
【0025】
駆動力制御機構130は、駆動力の伝達オンオフを制御する機構である。
【0026】
植付け部アッセンブリーとしての植付け具昇降機構140は走行部としてのトランスミッション111の上方のスペースへ載置されるように配置されて駆動力制御機構130と干渉しないので、株間の調節範囲が十分に広い、駆動力制御機構130によるさまざまなタイミングでの間欠的な植付け具151の駆動が実現される。
【0027】
株間ケースとも呼ばれる駆動力制御機構130は、走行トランスミッションケースとも呼ばれるトランスミッション111と植付け具昇降機構140との間のスペースへ配置される。駆動力制御機構130の駆動力制御ケース131は植付け具昇降機構140の植付け具昇降ケース141とは異なる別のケースであるので、構成要素配置についてのレイアウトの自由度が向上される。
【0028】
駆動力制御ケース131の高さは、トランスミッション111から駆動力制御機構130への伝動出力軸である駆動力制御機構伝動シャフト113の高さとほぼ同じである。したがって、駆動力制御機構130が植付け具昇降機構140より低くなるように配置されることにより低重心化が促進され、伝動チェーンなどは利用されない、駆動力制御機構伝動シャフト113による動力の直接的な伝達が行われるので、構成のシンプル化も実現される。
【0029】
駆動力制御機構130から植付け具昇降機構140への動力の伝達は駆動力制御機構130の植付け具昇降機構伝動チェーンシャフト134へ巻掛けられた植付け具昇降機構伝動チェーン135により行われ、植付け具昇降機構140の高さは植付け具昇降機構伝動チェーンシャフト134の高さと同じであることは要求されないので、構成要素配置についてのレイアウトの自由度が向上される。
【0030】
植付け具昇降機構140は、駆動力の伝達オンオフを行う植付け具昇降クラッチ142と、駆動力の伝達オンオフが行われるように植付け具昇降クラッチ142を制御するための植付け具昇降牽制アーム143と、を有する。
【0031】
駆動力制御機構130は、駆動力の伝達オンオフが行われるように植付け具昇降牽制アーム143を制御するための植付け具昇降牽制カム133を有する。
【0032】
連結プレート140aを利用することにより構成された植付け具昇降機構140の昇降リンクの上下方向における一回の駆動が、植付け具昇降クラッチ142がオンされるたびに一回の回転が行われる棒カム140bの当接に応じて行われる。もちろん、植付け具昇降牽制カム133の形状は、間欠的に行われるこのような棒カム140bの当接の周期などに応じて決定される。変速レバー操作による車速の切替え、またはソレノイドへの通電などが必須ではないので、植付け具151の間欠的な昇降を行うための駆動力制御機構130の構成を簡素化することが可能である。
【0033】
植付け具昇降牽制カム133で植付け具昇降牽制アーム143を確実に動作させることができるので、間欠的な植付け具151の駆動は安定的に行われる。
【0034】
植付け具昇降ケース141が平面視において駆動力制御ケース131とオーバーラップしないように、植付け具昇降機構140は駆動力制御機構130の上方のスペースへ配置されるので、植付け具昇降ケース141の配置についてのレイアウトの自由度が向上される。
【0035】
植付け具昇降機構140は、植付け具昇降クラッチ142を収納する植付け具昇降ケース141を有する。
【0036】
植付け具昇降牽制アーム143の一部は、植付け具昇降牽制カム133と接触するように植付け具昇降ケース141から外部へ引出されている。
【0037】
植付け具昇降牽制アーム143が植付け具昇降牽制カム133と接触するように植付け具昇降ケース141の下方のスペースへオーバーラップにより配置されていれば、十分である。
【0038】
植付け具昇降ケース141の左右幅は植付けホッパーとも呼ばれる植付け具151の左右幅とほぼ同じであるので、コンパクトな構成が実現される。
【0039】
移植物供給機構160は、エンジン110から伝達されてくる駆動力を利用して、植付け具151へ移植物を供給する機構である。
【0040】
移植物供給機構160への駆動力は、植付け具昇降クラッチ142への駆動力伝達経路における植付け具昇降クラッチ142の上流側の所定箇所から、または植付け具昇降牽制カム133への駆動力伝達経路における所定箇所から伝達される。
【0041】
たとえば、移植物供給機構160のいわゆる苗供給テーブルを駆動するためのテーブル駆動シャフトとも呼ばれる移植物供給機構駆動シャフト136は、駆動力制御ケース131から外部へ引出されている。したがって、駆動力制御機構130による駆動力の伝達オンオフの影響は発生しにくいので、安定的な苗供給テーブル連続回転駆動が確実に行われる。
【0042】
このような苗供給テーブル連続回転駆動のための減速は、苗供給テーブルの下方の減速ギヤ機構である減速機構を利用することにより行われる。駆動力制御ケース131の側へは減速機構を設けない構成を採用することができるので、コンパクトな構成が実現されるのみならず、苗供給テーブルの大きさなどに適した減速比が苗供給テーブル側の減速機構によりフレキシブルに得られる。
【0043】
なお、複数個の植付け具151が、車体左右方向に並んで設けられていてもよい(図4参照)。
【0044】
駆動力制御機構130は、シャフト長手方向が車体左右方向である植付け具昇降牽制カムシャフト132を有する。
【0045】
複数個の植付け具151のそれぞれの植付け具昇降牽制カム133は、植付け具昇降牽制カムシャフト132へ取付けられている。
【0046】
多数の植付け具昇降機構140が並んでいる構成により、いわゆる多条植えを行うことができる。車体左右方向において植付け具151から見て側方へ飛出した部材は実質的に存在しないので、狭い植付け条間隔が実現される。それぞれの植付け具昇降機構140は独立的に動作するので、千鳥植付けまたは並列植付けなどが牽制タイミングをフレキシブルに変更することにより自由に行われ、植付け具151が旋回時に邪魔にならないように、植付け具151の停止位置が牽制タイミングに依らずに植付けホッパー上死点位置とほぼ一致する構成が採用される。
【0047】
多数の植付け具昇降機構140が利用される構成においても、植付け具昇降牽制カム133を駆動するための植付け具昇降牽制カムシャフト132、および植付け具昇降機構伝動チェーン135を駆動するための植付け具昇降機構伝動チェーンシャフト134を車体左右方向において延伸することにより、多数の植付け具昇降機構140を単一の駆動力制御機構130で駆動することができる。
【0048】
植付け補助作業機構170は、エンジン110から伝達されてくる駆動力を利用して、移植物の植付け補助作業を行う機構である。
【0049】
植付け補助作業機構170への駆動力は、植付け具昇降クラッチ142への駆動力伝達経路における植付け具昇降クラッチ142の下流側の所定箇所から伝達される。
【0050】
植付け補助作業機構170の潅水装置1000または施肥装置などを駆動するためのPTOシャフトとも呼ばれる植付け補助作業機構駆動シャフト144は、植付け具昇降機構140から外部へ引出されている。したがって、駆動力制御ケース131が平面視においてPTOシャフト部分である植付け補助作業機構駆動シャフト144とオーバーラップしないので、植付け補助作業機構駆動シャフト144がシャフト使用時に邪魔にならないのみならず、駆動力制御機構130による駆動力の伝達オンオフを有効に利用しながら、多数の植付け具昇降機構140が利用される構成においても、オプショナルな植付け補助作業機構170の安定的な駆動がそれぞれの植付け具昇降機構140の駆動と同位相で確実に行われる。
【0051】
ハンドルフレーム102は、車体左側および車体右側の内の一方の側へ偏倚されて配置されたフレームである。
【0052】
このようなハンドルオフセットにより、ハンドルフレーム102が植付け作業時に邪魔にならないので、車体左右方向における中央への植付けが行われるのみならず、車体前後方向における反対側からの苗テーブル供給は容易である。
【0053】
乗降ステップ103は、車体左側および車体右側の内の他方の側へ配置されたステップである。
【0054】
乗降ステップ103は車体左右方向におけるハンドルフレーム反対側の走行装置伝動チェーンケース112へ取付けられているので、乗降ステップ103が利用される乗降は容易である。
【0055】
スタンド104の車体左右方向における中央空きスペースが確保されており、車体左右方向における中央への植付けが行われるとき、スタンド104がいわゆるセンサー板の邪魔にならないので、スタンド104の左右スタンドポールの接地位置は畝の両側位置であり、畝でのスタンド使用にともなう植付け位置の荒れはほとんど発生しない。
【0056】
図5(a)から5(l)に示されているように、植付け具昇降牽制カムシャフト132は、植付け具昇降牽制カム133が押しボルトでしっかりと固定される、六角軸である。
【0057】
ここに、図5(a)から5(l)は、本発明における実施の形態の移植機100の植付け具昇降牽制カムシャフト132および植付け具昇降牽制カム133の部分左側面図(その一から十二)である。
【0058】
図5(a)から5(f)においては植付け具昇降牽制カム133の通常カム組付けが行われており、図5(g)から5(l)においては、カム板裏返しを利用することにより、反転カム組付けが行われている。
【0059】
もちろん、植付け具昇降機構伝動チェーン135のスプロケットが固定される、植付け具昇降機構伝動チェーンシャフト134も、六角軸であってもよい。
【0060】
植付け具昇降ケース141の配置についてのレイアウトの自由度が向上されるのみならず、六角軸位相選択による植付け具昇降牽制カム133の組付け変更で、千鳥植付けまたは並列植付けなどが牽制タイミングをフレキシブルに変更することにより自由に行われる。
【0061】
これは、植付け具昇降牽制カム133のカム板形状は左右対称形状であり、上述されたように、カム板裏返しを利用することができるからである。
【0062】
すなわち、植付け具昇降牽制カム133の左右対称軸が植付け具昇降牽制カムシャフト132の六角軸対称軸の間に位置するように、植付け具昇降牽制カム133の組付けが行われるので、植付け具昇降牽制カム133の位相と植付け具昇降牽制カムシャフト132の位相との間のズレは15度であると見做され、六角軸位相選択およびカム板裏返しを利用することにより、30(=15×2)度の位相選択による12(=360/30)種類の牽制タイミングが実現される。
【0063】
つぎに、図6から11を主として参照しながら、本実施の形態の移植機100の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0064】
ここに、図6から11は、本発明における実施の形態の移植機100の潅水装置1000近傍の部分斜視図(その一から六)である。
【0065】
図6、7および9においては、理解を容易にするために、構成要素の一部分は断面が現れるように切欠かれて示されている。
【0066】
カラー部材1130が、車体左右方向において潅水装置1000のピストン1100へ穿孔された横孔へ装着されるように配置されたブシュ部材1120の中へ挿通されている。ネジ孔がピストン1100のピストン端面へ穿孔されてロッドエンドが配置される構成と比べて、構成要素の原価が低く抑えられるのみならず、ピストン1100のピストン長調節も容易であるので、構成のシンプル化にともなう原価低減とともに、いわゆる調節レス構成が実現される。
【0067】
上述された横孔へ装着されるように配置されたブシュ部材1120はグリス潤滑のための有孔ブシュ部材であり、グリスニップル部材1140がピストン1100のピストン端面へ向かって貫通するように穿孔されたタップ孔の先端へ取付けられている。ピストン端面のロッドエンドへのグリス注入によるメンテナンスが容易になり、消耗品である回動部としてのブシュ部材1120などの耐久性が向上される。
【0068】
クランク1200のプレート部材1210はベースプレートとしてのピストン1100のプレート部材1110を挟込むための二重構成を有し、このような二重構成におけるスリット幅はボルト部材1150のボルトヘッド対辺距離とほぼ同じであるので、通常の標準部品である、ボルト部材1150、カラー部材1130およびナット部材1160による締付けでプレート部材1110をしっかりと固定することができる。標準部品の利用により、いわゆる二面取り加工が利用される専用ネジ付きピンなどは不要になるので、構成のシンプル化にともなう原価低減が実現される。
【0069】
駆動出力側であるクランク1200のプレート部材1210の長孔1211から挿入されたボルト部材は、ピストン1100の側に穿孔されたタップ孔と締結される。したがって、クランク位相は360度にわたって任意に変更可能であり、オプショナルな植付け補助作業機構170のための駆動出力軸の四角軸位相が決められていない場合に対応した調節は容易である。
【0070】
L字形状のジョイントであるジョイント1300がピストン1100の潅水シリンダー出力軸の下流側へ取付けられているので、奥行方向のスペースが狭くても、潅水ホース配索はこのような省スペース化により容易であり、構成要素配置についてのレイアウトの自由度が向上される。
【0071】
クランク組付け位相の目安を与える目印として凹み1111が、クランクプレート部材であるプレート部材1210により挟込まれている、プレート部材1110の所定位置へ設けられているので、ベースプレートとしてのプレート部材1110へ配置された複数個のクランク組付け孔の内から適切なクランク組付け孔を選択することにより、植付け部停止位置である、ピストン1100のピストン上死点位置を少し越えた位置へのクランク組付けを容易に行うことができる。ピストン1100が上死点を少し超えた状態における植付け部駆動軸の停止により、駆動軸を先行向きへ回動させる力が潅水シリンダー内部の負圧により発生するので、このような位置へのクランク組付けにより、植付け部停止時に駆動軸を先行させる潅水装置1000のアシスト機能が発揮される。
【0072】
つぎに、図12(a)および12(b)を主として参照しながら、本実施の形態の移植機100の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0073】
ここに、図12(a)は本発明における実施の形態の第二変形例の移植機100の鎮圧装置2000近傍の模式的な部分平面図であり、図12(b)は本発明における実施の形態の第二変形例の移植機100の鎮圧装置2000近傍の模式的なA-A部分断面図である。
【0074】
鎮圧輪とも呼ばれる鎮圧ローラー2100は、スクレーパー2400とともに鎮圧アーム2200へ取付けられている。
【0075】
鎮圧アーム2200のアーム根元部は、車体左右方向が長手方向である鎮圧ロッド2300へ取付けられている。鎮圧ロッド2300は、しっかりとした二箇所での鎮圧ロッド支持が行われるように、たとえば、本体フレームであるメインフレーム101へ回動可能に組付けられている。
【0076】
鎮圧アーム部材2210は、鎮圧ローラー2100の側のいわゆる安全停止スイッチを押すためのピンが取付けられている部材であるのみならず、鎮圧アーム2200のアーム根元部を鎮圧ロッド2300へ取付ける部材でもある。たとえば、ボルト部材がハブへ取付けられたウェルドナット部材で押出されることにより、鎮圧アーム2200のアーム根元部は鎮圧ロッド2300へしっかりと取付けられている。
【0077】
このような鎮圧アーム2200の取付けにより、車体左右方向における車体内側および車体外側の合計で四組の鎮圧ローラー2100は、フレキシブルな植付け条間距離調節機能が実現されるように、鎮圧アーム2200のアーム根元部で車体左右方向においてスライド可能である。たとえば、車体左右方向における車体外側へ向かって、車体内側の一組の鎮圧ローラー2100のスライド可能距離が15ミリメートルであり、車体外側の一組の鎮圧ローラー2100のスライド可能距離が45ミリメートルである場合においては、二組の鎮圧ローラー2100が車体外側へ向かって最外側へスライドされると、それらの間の車体左右方向における距離は30ミリメートルである。
【0078】
車体内側の一組の鎮圧ローラー2100の回動角度が規制されるように、鎮圧アーム部材2210のプレート2211はストッパーとしてのフラットボタン2212へ下方から当接することにより支持される。フラットボタン2212はメインフレーム101などへ螺合された押しボルトのボルトヘッドであり、フラットボタン2212の押出し量は調節可能であるので、規制される鎮圧ローラー2100の回動角度は調節可能であり、フレキシブルな鎮圧ローラー2100の高さ調節機能が実現される。
【0079】
プレート2211はL字形状のプレートであるので、車体内側の一組の鎮圧ローラー2100が車体左右方向においてスライドされても、このようなフラットボタン2212への当接は保証され、鎮圧ローラー2100の高さ調節機能は植付け条間距離調節にかかわらずにいつも有効である。
【0080】
車体外側の一組の鎮圧ローラー2100の鎮圧アーム2200へ取付けられたバー2220は車体内側の一組の鎮圧ローラー2100の鎮圧アーム2200へ当接するので、車体外側の一組の鎮圧ローラー2100の回動角度も規制される。
【0081】
図13に示されているように、鎮圧アーム2200は、強度性が高い、車体左右方向において二股に分岐して鎮圧ローラー2100を保持するアームであってもよい。
【0082】
ここに、図13は、本発明における実施の形態の第三変形例の移植機100の鎮圧装置2000近傍の模式的な部分平面図である。
【0083】
車体左右方向におけるアーム根元部の幅が小さくなるように形成された一対のハの字形状のプレートとともに一対の平行なパイプを利用する、このように二股に分岐するアームの保持構成は、多くの場合において、植付け条間距離調節のためのストロークを確保しやすい構成である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明における移植機は、植付け具の間欠的な昇降を行うための駆動力制御機構の構成を簡素化することができ、野菜苗移植機などのような移植機に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0085】
100 移植機
101 メインフレーム
102 ハンドルフレーム
103 乗降ステップ
104 スタンド
110 エンジン
111 トランスミッション
112 走行装置伝動チェーンケース
113 駆動力制御機構伝動シャフト
120 走行装置
121 従動前車輪
122 駆動後車輪
130 駆動力制御機構
131 駆動力制御ケース
132 植付け具昇降牽制カムシャフト
133 植付け具昇降牽制カム
134 植付け具昇降機構伝動チェーンシャフト
135 植付け具昇降機構伝動チェーン
136 移植物供給機構駆動シャフト
140 植付け具昇降機構
140a 連結プレート
140b 棒カム
141 植付け具昇降ケース
142 植付け具昇降クラッチ
143 植付け具昇降牽制アーム
144 植付け補助作業機構駆動シャフト
150 植付け装置
151 植付け具
160 移植物供給機構
170 植付け補助作業機構
1000 潅水装置
1100 ピストン
1110 プレート部材
1111 凹み
1120 ブシュ部材
1130 カラー部材
1140 グリスニップル部材
1150 ボルト部材
1160 ナット部材
1200 クランク
1210 プレート部材
1211 長孔
1300 ジョイント
2000 鎮圧装置
2100 鎮圧ローラー
2200 鎮圧アーム
2210 鎮圧アーム部材
2211 プレート
2212 フラットボタン
2220 バー
2300 鎮圧ロッド
2400 スクレーパー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13