(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】マンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B66B 25/00 20060101AFI20240130BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B66B25/00 B
B66B31/00 C
B66B25/00 A
(21)【出願番号】P 2022131007
(22)【出願日】2022-08-19
【審査請求日】2022-08-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中村 雅昭
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-142649(JP,A)
【文献】特開2011-246230(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 25/00
B66B 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り部から降り部まで搬送方向へ走行する複数のステップと、
無端回転する環状の手摺ベルトをそれぞれ有し、前記複数のステップを幅方向で挟むように配置される一対の欄干部と、
前記乗り部の第1検出領域で利用者を検出する第1センサと、
前記第1検出領域よりも搬送方向下流側に位置する、前記乗り部の第2検出領域で利用者を検出する第2センサと、
前記第1センサ及び前記第2センサから出力される信号に基づいて前記ステップの走行を制御する処理部と、を備え、
前記処理部は、前記ステップが停止しているときに、前記第1センサから利用者を検出したことを示す第1信号を受信した場合、第1加速度で前記ステップの走行を開始し、
前記第1加速度で前記ステップが走行しているときに、前記第2センサから利用者を検出したことを示す第2信号を受信した場合、前記第1加速度よりも小さい第2加速度で前記ステップを走行させ
、
前記処理部は、前記第1信号を受信してから、前記第2信号を受信せずに第1所定時間を経過した場合、定格速度よりも低い設定速度で前記ステップを走行させる、マンコンベヤ。
【請求項2】
前記処理部は、前記設定速度で前記ステップが走行しているときに、前記第2信号を受信した場合、前記第2加速度で前記ステップを走行させ、
前記処理部は、前記設定速度で前記ステップが走行しているときに、前記第2信号を受信せずに第2所定時間を経過した場合、前記ステップを停止させる、請求項
1に記載のマンコンベヤ。
【請求項3】
前記第1検出領域の搬送方向上流側の端部から前記第2検出領域の搬送方向上流側の端部までの距離は、前記第2検出領域の搬送方向上流側の端部から前記ステップまでの距離よりも短い、請求項1
又は2に記載のマンコンベヤ。
【請求項4】
前記処理部は、前記ステップを前記第2加速度で前記定格速度まで加速させて、前記定格速度で走行させているとき、前記第2センサが最後に利用者を検出してから第3所定時間が経過した場合、前記ステップを停止させ、
前記第2所定時間は、前記第3所定時間よりも短い、請求項
2に記載のマンコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、マンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1のマンコンベヤでは、ハンドレールの折り返し部に設けたセンサに利用者が反応すると、ステップは、第一の加速度で加速し、所定時間を経過すると第一の加速度より小さい第二の加速度で加速し、定格速度となるまで、第二の加速度で加速する。
【0003】
ところで、特許文献1のマンコンベヤにおいて、走って乗り込もうとする利用者の場合、ハンドレールの折り返し部を通過後、上記の所定時間経過前に、ステップに乗り込むおそれがあった。この場合、利用者がステップに乗り込んだときは、ステップは比較的大きい第一の加速度で加速している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、停止しているステップが走行を開始し、利用者がステップに乗り込むときに、ステップが小さい加速度で加速するように確実に切替できるマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
マンコンベヤは、乗り部から降り部まで搬送方向へ走行する複数のステップと、
無端回転する環状の手摺ベルトをそれぞれ有し、前記複数のステップを幅方向で挟むように配置される一対の欄干部と、
前記乗り部の第1検出領域で利用者を検出する第1センサと、
前記第1検出領域よりも搬送方向下流側に位置する、前記乗り部の第2検出領域で利用者を検出する第2センサと、
前記第1センサ及び前記第2センサから出力される信号に基づいて前記ステップの走行を制御する処理部と、を備え、
前記処理部は、前記ステップが停止しているときに、前記第1センサから利用者を検出したことを示す第1信号を受信した場合、第1加速度で前記ステップの走行を開始し、
前記第1加速度で前記ステップが走行しているときに、前記第2センサから利用者を検出したことを示す第2信号を受信した場合、前記第1加速度よりも小さい第2加速度で前記ステップを走行させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図4】同実施形態に係るマンコンベヤのステップの走行制御フロー図
【
図5】同実施形態に係るマンコンベヤのステップの走行速度変化を示すグラフ
【
図6】同実施形態に係るマンコンベヤのステップの走行速度変化を示すグラフ
【
図7】同実施形態に係るマンコンベヤのステップの走行速度変化を示すグラフ
【
図8】同実施形態に係るマンコンベヤのステップの走行速度変化を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0008】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0009】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書及び図面で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0010】
図1に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、躯体に設置される構造体2と、利用者(人)を搬送する搬送部3と、搬送部3を第1方向D1で挟むように配置される一対(
図1においては、一つのみ図示している)の欄干部4と、搬送部3及び欄干部4を駆動させる駆動部5と、装置全体を制御する処理部6とを備えていてもよい。
【0011】
各図において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向である第1横方向(「幅方向」ともいう)D1であり、第2方向D2は、水平方向と平行な方向であって、且つ、第1横方向D1と直交する第2横方向(「前後方向」ともいう)D2であり、第3方向D3は、第1横方向D1及び第2横方向D2と直交する鉛直方向であって、上下方向D3である。
【0012】
第4方向D4は、搬送部3が利用者を搬送する搬送方向D4であって、搬送方向D4の一方向は、搬送方向上流側D41といい、他方向は、搬送方向下流側D42という。なお、第2~第4方向D2~D4は、それぞれ所定の同一仮想面に含まれる方向であって、第1方向D1は、当該仮想面に対して直交する方向である。
【0013】
本実施形態に係るマンコンベヤ1は、利用者を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、利用者を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。なお、本実施形態においては、マンコンベヤ1は、利用者を斜め上方へ搬送する、という構成であるが、マンコンベヤ1は、利用者を斜め下方へ搬送する、という構成でもよい。
【0014】
搬送部3は、例えば、本実施形態のように、駆動部5に駆動されることによって無端回転する環状の走行部3aと、走行部3aに接続されることによって走行部3aと共に走行し、利用者が乗る踏面を有する複数のステップ3bとを備えていてもよい。特に限定されないが、走行部3aは、例えば、ローラチェーンとしてもよい。
【0015】
また、例えば、走行部3aは、第1横方向D1に離れて一対設けられ、複数のステップ3bは、一対の走行部3a,3aの間に配置されていてもよい。そして、ステップ3bは、それぞれの走行部3aに対して第1横方向D1を軸にして回転可能に接続されていてもよい。
【0016】
駆動部5は、例えば、本実施形態のように、ステップ3bが反転するように走行部3aが巻き掛けられて且つ第1横方向D1を軸にして回転する一対の回転部5a,5aと、回転部5aを回転させる駆動源5bとを備えていてもよい。特に限定されないが、回転部5aは、例えば、スプロケットとしてもよく、また、駆動源5bは、例えば、モータとしてもよい。
【0017】
欄干部4は、例えば、無端回転する環状の手摺ベルト4aと、手摺ベルト4aを支持する欄干本体部4bと、欄干本体部4bの下部を覆うカバー部4cとを備えていてもよい。なお、例えば、手摺ベルト4aが駆動部5の駆動によって走行し、手摺ベルト4aの走行は、ステップ3bの走行と同期してもよい。
【0018】
構造体2は、例えば、本実施形態のように、第2横方向D2のそれぞれの端部に配置される機械室2a,2bを備えていてもよい。なお、下方に配置される機械室2aは、第1機械室2aといい、上方に配置される機械室2bは、第2機械室2bという。また、構造体2は、例えば、複数の枠材で構成されるトラス構造又はケタ構造としてもよい。
【0019】
マンコンベヤ1は、例えば、本実施形態のように、機械室2a,2bを上方から覆うように、構造体2に取り付けられる床プレート1aを備えていてもよい。これにより、床プレート1aは、搬送部3に乗り降りするために、搬送部3の第2横方向D2の各端部に配置される乗降部1b,1cを構成している。
【0020】
本実施形態においては、マンコンベヤ1は、利用者を斜め上方へ搬送する、という構成であるため、下方に配置される第1乗降部1bは、乗り部1bとなり、上方に配置される第2乗降部1cは、降り部1cとなる。なお、マンコンベヤ1は、利用者を斜め下方へ搬送する、という構成でもよい。
【0021】
図2に示すように、手摺ベルト4aは、前後方向D2の両端部に、円弧状の折り返し部4dを有する。乗り部1bに位置する一対の折り返し部4dの間の空間は、乗り口1dとなる。
【0022】
マンコンベヤ1は、乗り部1bの第1検出領域AR1で利用者を検出する第1センサ71と、第1検出領域AR1よりも搬送方向下流側D42に位置する、乗り部1bの第2検出領域AR2で利用者を検出する第2センサ72と、を備えていてもよい。ここで、第2検出領域AR2が第1検出領域AR1よりも搬送方向下流側D42に位置するとは、
図3に示すように、第2検出領域AR2の搬送方向上流側D41の端部E2が、第1検出領域AR1の搬送方向上流側D41の端部E1よりも搬送方向下流側D42に位置することを意味しており、第1検出領域AR1と第2検出領域AR2は搬送方向D4において互いに一部が重なっていてもよい。第1検出領域AR1は、乗り口1dよりも搬送方向上流側D41に位置するようにしてもよい。また、第2検出領域AR2は、乗り口1dよりも搬送方向下流側D42且つステップ3bよりも搬送方向上流側D41に位置するようにしてもよい。
【0023】
第1センサ71は、一対の手摺ベルト4aの下方に配置されてもよい。第1センサ71は、例えば、カバー部4cの搬送方向上流側D41の端部に配置されてもよい。第1センサ71は、左右のカバー部4cにそれぞれ配置されてもよい。第1センサ71は、乗り口1dから搬送方向上流側D41へ向かって広がる第1検出領域AR1を有する反射型光電センサであってもよい。第1センサ71は、投光部と受光部を有し、第1検出領域AR1に進入する利用者を検出する。なお、第1検出領域AR1の一部は、乗り口1dよりも搬送方向下流側D42に広がっていてもよい。第1検出領域AR1は、
図3に示すように上下方向D3視で略V字状であってもよい。第1センサ71は、利用者を検出した場合、利用者を検出したことを示す第1信号を出力する。
【0024】
第2センサ72は、一対の欄干部4に配置されてもよい。第2センサ72は、例えば、折り返し部4dに配置されてもよい。また、第2センサ72は、上下方向D3に複数設けられてもよい。第2センサ72は、乗り口1dを通過する利用者を検出する透過型光電センサであってもよい。第2センサ72は、対向配置される投光部72a及び受光部72bを有し、投光部72aと受光部72bの間の第2検出領域AR2を通過する利用者を検出する。第2センサ72は、利用者を検出した場合、利用者を検出したことを示す第2信号を出力する。
【0025】
第1検出領域AR1の搬送方向上流側D41の端部E1から第2検出領域AR2の搬送方向上流側D41の端部E2までの距離L1は、第2検出領域AR2の搬送方向上流側D41の端部E2からステップ3bまでの距離L2よりも短い、という構成でもよい。なお、端部E2からステップ3bまでの距離L2は、端部E2から床プレート1aの搬送方向下流側D42の端部E3までの距離である。
【0026】
距離L1を長くし過ぎると、第1センサ71が、マンコンベヤ1を利用する意思のない通行人等を誤検出するおそれがある。また、距離L2を短くし過ぎると、利用者がステップ3bに乗り込むまでにステップ3bを十分に増速できないおそれがある。距離L1を距離L2より短くすることで、マンコンベヤ1を利用する意思のない通行人等の誤検出を抑制しつつ、利用者がステップ3bに乗り込むまでにステップ3bを十分に増速させることができる。
【0027】
処理部6は、第1センサ71及び第2センサ72から出力される信号に基づいてステップ3bの走行を制御する。処理部6は、ステップ3bの走行を制御するため、駆動部5の駆動源5b(例えば、モータ)を制御する。
【0028】
次に、処理部6によるステップ3bの走行制御の方法の一例について、
図4~
図8を用いて説明する。
図4は、処理部6によるステップ3bの走行制御のフロー図であり、
図5~
図8は、ステップ3bの走行速度変化を示すグラフである。なお、
図5~
図8は、停止待機中のステップ3bの走行を開始した点をゼロ点としている。
【0029】
まず、STEP1において、処理部6は、マンコンベヤ1が停止待機中か否かを判定する。マンコンベヤ1が停止待機中とは、例えば、省エネのためにステップ3bが停止している状態である。
【0030】
マンコンベヤ1が停止待機中であるとき(STEP1でYES)、STEP2において、処理部6は、第1センサ71が利用者を検出したか否かを判定する。具体的には、処理部6は、第1センサ71から第1信号を受信したか否かを判定する。
【0031】
第1センサ71が利用者を検出したとき(STEP2でYES)、STEP3において、処理部6は、
図5に示すように、第1加速度でステップ3bの走行を開始する。第1加速度は、例えば、1.2秒で定格速度に達する加速度であってもよい。また、定格速度は、例えば、30m/minであってもよい。第1センサ71によって乗り口1dよりも搬送方向上流側D41で利用者を検出して、ステップ3bを比較的大きい第1加速度で加速させることで、利用者がステップ3bに乗り込む際のステップ3bの走行速度を、利用者が違和感なく乗り込める走行速度(例えば、10m/min以上)まで早期に増速することができる。
【0032】
次に、STEP4において、処理部6は、第2センサ72が利用者を検出したか否かを判定する。具体的には、処理部6は、第2センサ72から第2信号を受信したか否かを判定する。
【0033】
第2センサ72が利用者を検出したとき(STEP4でYES)、STEP5において、処理部6は、
図5に示すように、第2加速度でステップ3bを走行させる。
図5に示す例では、ステップ3bの走行開始から約0.55秒後に第2センサ72が利用者を検出している。第2加速度は、第1加速度よりも小さい加速度である。第2加速度は、乗り込みに安全とされる、例えば、5秒で定格速度に達する加速度であってもよい。
【0034】
第2センサ72が、乗り口1dよりも搬送方向下流側D42且つステップ3bよりも搬送方向上流側D41に位置する第2検出領域AR2で利用者を検出するため、利用者がステップ3bに乗り込むときに、ステップ3bの加速度を第1加速度から第2加速度に確実に切り替えることができる。また、第2センサ72によって乗り口1dを通過した利用者を検出して、ステップ3bを比較的小さい第2加速度で加速するように切り替えることで、利用者は、違和感なくステップ3bに乗り込むことができる。
【0035】
次に、STEP6において、ステップ3bの走行速度が定格速度に達しているか否かを判定する。ステップ3bの走行速度が定格速度に達している場合(STEP6でYES)、STEP7において加速を終了し、ステップ3bを定格速度で走行させる。
【0036】
STEP3においてステップ3bが第1加速度で加速中に、第2センサ72が利用者を検出しないとき(STEP4でNO)、STEP8において、第1信号を受信してから第1所定時間T1を経過しているか否かを判定する。第1信号を受信してから第1所定時間T1を経過している場合(STEP8でYES)、STEP9において加速を終了し、
図6に示すように、ステップ3bを定格速度よりも低い設定速度で走行させる。
図6に示す例では、第1所定時間T1は約0.7秒である。第1センサ71で利用者が検出されたにもかかわらず第2センサ72で利用者が検出されない時間が続く場合、例えば、利用者がマンコンベヤ1の利用を途中でやめた場合や、単に人が第1センサ71の第1検出領域AR1を横切った場合等に、定格速度よりも低い設定速度でステップ3bを走行させるため、マンコンベヤ1の省エネ運転に繋がる。
【0037】
次に、STEP10において、処理部6は、第2センサ72が利用者を検出したか否かを判定する。第2センサ72が利用者を検出したとき(STEP10でYES)、STEP5において、処理部6は、
図7に示すように、第2加速度でステップ3bを走行させる。その後のSTEP6以降は上記の通りである。
【0038】
一方、STEP9においてステップ3bが設定速度で走行中に、第2センサ72が利用者を検出しないとき(STEP10でNO)、STEP11において、第1所定時間T1を経過してから第2所定時間T2を経過しているか否かを判定する。第1所定時間T1を経過してから第2所定時間T2を経過している場合(STEP11でYES)、STEP12において、
図8に示すように、ステップ3bを停止させる。斯かる構成によれば、マンコンベヤ1のさらなる省エネ運転に繋がる。
【0039】
また、特に限定されないが、STEP7においてステップ3bが定格速度で走行中、STEP13~STEP15において、第2センサ72が最後に利用者を検出してから第3所定時間T3(図示していない)を経過したか否かを判定する、という構成でもよい。第2センサ72が最後に利用者を検出してから第3所定時間T3を経過したか否かは、具体的には、STEP7で加速を終了してからタイマーを作動させ、STEP13においてタイマーのカウント値が第3所定時間T3を超えたか否かで判定する。このとき、第2センサ72が新たな利用者を検出すると(STEP14でYES)、STEP15においてタイマーのカウント値をリセットすることで、最後の利用者から第3所定時間T3をカウントするようにしている。
【0040】
第2センサ72が最後に利用者を検出してから第3所定時間T3が経過した場合(STEP13でYES)、STEP16において、ステップ3bを停止させる。ここで、第3所定時間T3は、例えば、ステップ3bが1/2周の距離を走行する時間+30秒である。
【0041】
[1]
以上より、マンコンベヤ1は、本実施形態のように、乗り部1bから降り部1cまで搬送方向D4へ走行する複数のステップ3bと、無端回転する環状の手摺ベルト4aをそれぞれ有し、前記複数のステップ3bを幅方向D1で挟むように配置される一対の欄干部4と、前記乗り部1bの第1検出領域AR1で利用者を検出する第1センサ71と、前記第1検出領域AR1よりも搬送方向下流側D42に位置する、前記乗り部1bの第2検出領域AR2で利用者を検出する第2センサ72と、前記第1センサ71及び前記第2センサ72から出力される信号に基づいて前記ステップ3bの走行を制御する処理部6と、を備え、前記処理部6は、前記ステップ3bが停止しているときに、前記第1センサ71から利用者を検出したことを示す第1信号を受信した場合、第1加速度で前記ステップ3bの走行を開始し、前記第1加速度で前記ステップ3bが走行しているときに、前記第2センサ72から利用者を検出したことを示す第2信号を受信した場合、前記第1加速度よりも小さい第2加速度で前記ステップ3bを走行させる、という構成が好ましい。
【0042】
斯かる構成によれば、第2センサ72が乗り部1bの第2検出領域AR2で利用者を検出した場合に、ステップ3bの加速度を第1加速度から第1加速度よりも小さい第2加速度に切り替えるため、利用者がステップ3bに乗り込むときに、ステップ3bが小さい加速度で加速するように確実に切り替えることができる。また、第2センサ72によって利用者を検出して、ステップ3bを比較的小さい第2加速度で加速するように切り替えることで、利用者は、違和感なくステップ3bに乗り込むことができる。
【0043】
[2]
また、上記[1]のマンコンベヤ1においては、本実施形態のように、前記処理部6は、前記第1信号を受信してから、前記第2信号を受信せずに第1所定時間T1を経過した場合、定格速度よりも低い設定速度で前記ステップ3bを走行させる、という構成が好ましい。
【0044】
斯かる構成によれば、例えば、第1センサ71で検出された利用者が、マンコンベヤ1の利用をやめた場合(乗り口1dを通過しない場合)、定格速度よりも低い設定速度でステップ3bを走行させるため、マンコンベヤ1の省エネ運転に繋がる。
【0045】
[3]
また、上記[2]のマンコンベヤ1においては、本実施形態のように、前記処理部6は、前記設定速度で前記ステップ3bが走行しているときに、前記第2信号を受信した場合、前記第2加速度で前記ステップ3bを走行させ、前記処理部6は、前記設定速度で前記ステップ3bが走行しているときに、前記第2信号を受信せずに第2所定時間T2を経過した場合、前記ステップ3bを停止させる、という構成が好ましい。
【0046】
斯かる構成によれば、例えば、第1センサ71で検出された利用者が、マンコンベヤ1の利用をやめた場合(乗り口1dを通過しない場合)、第1所定時間T1及び第2所定時間T2を経過したときにステップ3bを停止するため、マンコンベヤ1のさらなる省エネ運転に繋がる。一方、第1所定時間T1を経過してから第2所定時間T2を経過する前に、第2センサ72が利用者を検出した場合、ステップ3bを比較的小さい第2加速度で加速させるため、利用者は違和感なくステップ3bに乗り込むことができる。
【0047】
[4]
また、上記[1]~[3]の何れか一つのマンコンベヤ1においては、本実施形態のように、前記第1検出領域AR1の搬送方向上流側D41の端部E1から前記第2検出領域AR2の搬送方向上流側D41の端部E2までの距離L1は、前記第2検出領域AR2の搬送方向上流側D41の端部E2から前記ステップ3bまでの距離L2よりも短い、という構成が好ましい。
【0048】
斯かる構成によれば、マンコンベヤ1を利用する意思のない通行人等の誤検出を抑制しつつ、利用者がステップ3bに乗り込むまでにステップ3bを十分に増速させることができる。
【0049】
[5]
また、上記[3]のマンコンベヤ1においては、前記処理部6は、前記ステップ3bを前記第2加速度で前記定格速度まで加速させて、前記定格速度で走行させているとき、前記第2センサ72が最後に利用者を検出してから第3所定時間T3が経過した場合、前記ステップ3bを停止させ、前記第2所定時間T2は、前記第3所定時間T3よりも短い、という構成が好ましい。
【0050】
斯かる構成によれば、マンコンベヤ1の省エネ運転に繋がる。
【0051】
なお、マンコンベヤは、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤは、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0052】
(A)上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理部6は、第1信号を受信してから、第2信号を受信せずに第1所定時間T1を経過した場合、定格速度よりも低い設定速度でステップ3bを走行させる、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理部6は、第1信号を受信してから第2信号を受信しない場合、ステップ3bを第1加速度で定格速度となるまで加速させる、という構成でもよい。
【0053】
(B)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理部6は、設定速度でステップ3bが走行しているときに、第2信号を受信した場合、第2加速度でステップ3bを走行させ、処理部6は、設定速度でステップ3bが走行しているときに、第2信号を受信せずに第2所定時間T2を経過した場合、ステップ3bを停止させる、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、処理部6は、第1所定時間T1を経過した後、第2所定時間T2よりも長い時間、ステップ3bを設定速度で走行させ続けてもよい。
【0054】
(C)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、第1検出領域AR1の搬送方向上流側D41の端部E1から第2検出領域AR2の搬送方向上流側D41の端部E2までの距離L1は、第2検出領域AR2の搬送方向上流側D41の端部E2からステップ3bまでの距離L2よりも短い、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、距離L1は、距離L2以上である、という構成でもよい。
【0055】
(D)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、処理部6は、ステップ3bを第2加速度で定格速度まで加速させて、定格速度で走行させているとき、第2センサ72が最後に利用者を検出してから第3所定時間T3が経過した場合、ステップ3bを停止させ、第2所定時間T2は、第3所定時間T3よりも短い、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第2センサ72が最後に利用者を検出してから第3所定時間T3が経過した場合にも、ステップ3bを必ずしも停止させる必要はなく、定格速度よりも低い設定速度でステップ3bを走行させてもよい。
【0056】
(E)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、第1センサ71は、乗り口1dから搬送方向上流側D41へ向かって広がる第1検出領域AR1を有する反射型光電センサであり、第2センサ72は、乗り口1dを通過する利用者を検出する透過型光電センサである、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、第1センサ71及び第2センサ72の少なくとも一方は、画像センサである、という構成でもよい。画像センサは、例えば、カメラが出力したデータを画像処理することで、利用者を検出する。また、第1センサ71及び第2センサ72の少なくとも一方は、重量センサである、という構成でもよい。重量センサは、例えば、床プレート1aに配置されたロードセルによって、利用者を検出する。
【0057】
また、第1センサ71は、第1検出領域AR1の利用者だけでなく、乗り口1dよりも搬送方向下流側D42に位置する第2検出領域AR2の少なくとも一部の利用者を検出してもよい。また、第2センサ72は、第2検出領域AR2の利用者だけでなく、乗り口1dよりも搬送方向上流側D41に位置する第1検出領域AR1の一部の利用者を検出してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1…マンコンベヤ、1a…床プレート、1b…乗り部、1c…降り部、1d…乗り口、2…構造体、2a…第1機械室、2b…第2機械室、3…搬送部、3a…走行部、3b…ステップ、4…欄干部、4a…手摺ベルト、4b…欄干本体部、4c…カバー部、4d…折り返し部、5…駆動部、5a…回転部、5b…駆動源、6…処理部、71…第1センサ、72…第2センサ、72a…投光部、72b…受光部、AR1…第1検出領域、AR2…第2検出領域、D1…幅方向、D2…前後方向、D3…上下方向、D4…搬送方向、D41…搬送方向上流側、D42…搬送方向下流側、E1…第1検出領域の搬送方向上流側の端部、E2…第2検出領域の搬送方向上流側の端部、E3…床プレートの搬送方向下流側の端部、T1…第1所定時間、T2…第2所定時間、T3…第3所定時間
【要約】
【課題】 停止しているステップが走行を開始し、利用者がステップに乗り込むときに、ステップが小さい加速度で加速するように確実に切替できるマンコンベヤを提供する。
【解決手段】 マンコンベヤは、乗り部の第1検出領域で利用者を検出する第1センサと、第1検出領域よりも搬送方向下流側に位置する、乗り部の第2検出領域で利用者を検出する第2センサと、第1センサ及び第2センサから出力される信号に基づいてステップの走行を制御する処理部とを備え、処理部は、ステップが停止しているときに、第1センサから利用者を検出したことを示す第1信号を受信した場合、第1加速度でステップの走行を開始し、第1加速度でステップが走行しているときに、第2センサから利用者を検出したことを示す第2信号を受信した場合、第1加速度よりも小さい第2加速度でステップを走行させる。
【選択図】
図2