(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】処理システム、処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G07B 15/00 20110101AFI20240130BHJP
【FI】
G07B15/00 H
(21)【出願番号】P 2022501436
(86)(22)【出願日】2020-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2020006242
(87)【国際公開番号】W WO2021166068
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】金井 真希
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-067210(JP,A)
【文献】特開2019-079292(JP,A)
【文献】特開2019-028696(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07B 11/00 - 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の定期乗車券の定期券区間情報と顔情報とを含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶手段と、
前記顧客の入場駅及び退場駅を示す情報を取得する入退場情報取得手段と、
前記顧客情報に基づき、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像の中から前記顧客を検出することで、前記顧客の存在を検知した駅を特定する顧客検出手段と、
前記定期券区間情報で示される定期券区間、前記入場駅、前記退場駅及び前記顧客の存在を検知した駅である検知駅の位置関係が所定の警告条件を満たす場合、警告処理を行う警告手段と、
を有
し、
前記顧客検出手段は、前記入退場情報取得手段により取得された前記入場駅を示す情報と、前記画像を生成した前記カメラの位置を示す情報とに基づき、前記カメラが生成した前記画像の中から前記顧客を検出する処理に用いる前記顧客情報を絞り込む処理システム。
【請求項2】
前記顧客検出手段は、前記入退場情報取得手段により前記入場駅を示す情報を取得され、かつ、その後に前記退場駅を示す情報を取得されていない前記顧客の前記顧客情報に基づき、前記画像の中から前記顧客を検出する処理を行う請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記警告条件は、
前記入場駅及び前記退場駅が前記定期券区間内であり、前記検知駅が前記定期券区間外であること、
前記入場駅と前記退場駅との間に前記定期券区間が存在し、前記検知駅が前記定期券区間の外であり、かつ、前記入場駅と前記退場駅との間に前記検知駅が存在しないこと、
前記入場駅が前記定期券区間内であり、前記検知駅が前記定期券区間外であり、前記退場駅が前記定期券区間外であり、かつ、前記退場駅が前記定期券区間を挟んで前記検知駅と反対側の駅であること、
前記退場駅が前記定期券区間内であり、前記検知駅が前記定期券区間外であり、前記入場駅が前記定期券区間外であり、前記入場駅が前記定期券区間を挟んで前記検知駅と同じ側の駅であり、かつ、前記入場駅が前記検知駅と前記退場駅の間の駅であること、及び、
前記検知駅が前記定期券区間外であり、前記退場駅が前記定期券区間外であり、前記退場駅が前記定期券区間を挟んで前記検知駅と反対側の駅であり、前記入場駅が前記定期券区間外であり、前記入場駅が前記定期券区間を挟んで前記検知駅と同じ側の駅であり、かつ、前記入場駅が前記検知駅と前記退場駅の間の駅であること、
の中の少なくとも1つの条件を含む請求項1
又は2に記載の処理システム。
【請求項4】
コンピュータが、
顧客の定期乗車券の定期券区間情報と顔情報とを含む顧客情報を記憶し、
前記顧客の入場駅及び退場駅を示す情報を取得し、
前記顧客情報に基づき、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像の中から前記顧客を検出することで、前記顧客の存在を検知した駅を特定し、
前記定期券区間情報で示される定期券区間、前記入場駅、前記退場駅及び前記顧客の存在を検知した駅である検知駅の位置関係が所定の警告条件を満たす場合、警告処理を行
い、
前記顧客の存在を検知した駅を特定する処理では、取得された前記入場駅を示す情報と、前記画像を生成した前記カメラの位置を示す情報とに基づき、前記カメラが生成した前記画像の中から前記顧客を検出する処理に用いる前記顧客情報を絞り込む処理方法。
【請求項5】
コンピュータを、
顧客の定期乗車券の定期券区間情報と顔情報とを含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶手段、
前記顧客の入場駅及び退場駅を示す情報を取得する入退場情報取得手段、
前記顧客情報に基づき、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像の中から前記顧客を検出することで、前記顧客の存在を検知した駅を特定する顧客検出手段、
前記定期券区間情報で示される定期券区間、前記入場駅、前記退場駅及び前記顧客の存在を検知した駅である検知駅の位置関係が所定の警告条件を満たす場合、警告処理を行う警告手段、
として機能させ
、
前記顧客検出手段は、前記入退場情報取得手段により取得された前記入場駅を示す情報と、前記画像を生成した前記カメラの位置を示す情報とに基づき、前記カメラが生成した前記画像の中から前記顧客を検出する処理に用いる前記顧客情報を絞り込むプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処理システム、処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両(電車等)での移動経路内の一部区間の運賃を支払わない不正乗車が問題となっている。本発明に関連する技術が、特許文献1及び2に開示されている。
【0003】
特許文献1は、駅又は車両において車両に乗り込む顧客の顔を撮像可能に設置されたカメラが生成した画像に基づき、各顧客が車両に乗車した駅を特定し、特定した乗車駅が定期券区間外である場合、退場時にゲートを閉鎖したりすることを開示している。また、特許文献1は、特定した乗車駅が定期券区間外であっても、顧客が定期券区間外で退場した場合には、不足運賃の精算がなされ、不正乗車でなくなるため、退場時のゲート閉鎖等を行わないことを開示している。
【0004】
特許文献2は、乗車、降車の各駅を含んで互いに重複しない2区間をそれぞれ有効区間とする乗車券又は定期乗車券を併用して2有効区間に挟まれる中間区間の運賃を支払わない不正乗車を発見する装置を開示している。当該装置は、乗車改札時に乗車券又は定期乗車券に改札コードを書き込み、降車改札時に乗車券又は定期乗車券に改札コードが書き込まれていいない場合に、不正乗車と判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2019-67210号公報
【文献】特開平6-176226号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
「不正折り返し乗車」を検出する技術が期待されている。不正折り返し乗車は、
図1に示すようにA駅とB駅との間の乗車券を保持する顧客が、例えばA駅で入場した後、D駅方向の車両に乗ってD駅まで移動し、その後、D駅で反対方向の車両に乗り換えてB駅まで移動し、B駅で退場するという乗車である。このような乗車の場合、顧客は、A駅とB駅との間の移動に要する運賃のみならず、A駅とD駅との間の往復に要する運賃をも支払う必要がある。しかし、入退場ゲートで検出した入場駅と退場駅とに基づき運賃を算出するシステムの場合、入場駅であるA駅と退場駅であるB駅との間の乗車を検出できるが、A駅とD駅との間の乗車を検出できない。このことを不正に利用し、A駅とB駅との間の乗車券のみで、上述のような折り返し乗車を行うことが不正折り返し乗車である。
【0007】
例えばD駅が始発駅である場合、A駅でB駅方向の車両に乗るよりも、D駅でB駅方向の車両に乗った方が、座席に座れる等のメリットを受けられる可能性が高くなる。このような理由から、不正折り返し乗車が発生し得る。
【0008】
特許文献1は、不正折り返し乗車を検出するための技術である。しかし、特許文献1に開示の技術のように、単に定期券区間外から車両に乗ったことの検出に応じて不正折り返し乗車と判断する場合、不正折り返し乗車でない場合にも不正折り返し乗車と判断してしまう恐れがある。特許文献2は、不正折り返し乗車を検出するための技術でない。
【0009】
本発明は、不正折り返し乗車を検出するための新たな技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、
顧客の定期乗車券の定期券区間情報と顔情報とを含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶手段と、
前記顧客の入場駅及び退場駅を示す情報を取得する入退場情報取得手段と、
前記顧客情報に基づき、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像の中から前記顧客を検出することで、前記顧客の存在を検知した駅を特定する顧客検出手段と、
前記定期券区間情報で示される定期券区間、前記入場駅、前記退場駅及び前記顧客の存在を検知した駅である検知駅の位置関係が所定の警告条件を満たす場合、警告処理を行う警告手段と、
を有する処理システムが提供される。
【0011】
また、本発明によれば、
コンピュータが、
顧客の定期乗車券の定期券区間情報と顔情報とを含む顧客情報を記憶し、
前記顧客の入場駅及び退場駅を示す情報を取得し、
前記顧客情報に基づき、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像の中から前記顧客を検出することで、前記顧客の存在を検知した駅を特定し、
前記定期券区間情報で示される定期券区間、前記入場駅、前記退場駅及び前記顧客の存在を検知した駅である検知駅の位置関係が所定の警告条件を満たす場合、警告処理を行う処理方法が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、
コンピュータを、
顧客の定期乗車券の定期券区間情報と顔情報とを含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶手段、
前記顧客の入場駅及び退場駅を示す情報を取得する入退場情報取得手段、
前記顧客情報に基づき、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像の中から前記顧客を検出することで、前記顧客の存在を検知した駅を特定する顧客検出手段、
前記定期券区間情報で示される定期券区間、前記入場駅、前記退場駅及び前記顧客の存在を検知した駅である検知駅の位置関係が所定の警告条件を満たす場合、警告処理を行う警告手段、
として機能させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、不正折り返し乗車を検出するための新たな技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】不正折り返し乗車を説明するための図である。
【
図2】本実施形態の処理システムのハードウエア構成の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態の処理システムの構成例の一例である。
【
図4】本実施形態の駅システムの機能ブロック図の一例である。
【
図5】本実施形態の処理システムの機能ブロック図の一例である。
【
図6】本実施形態の処理システムが処理する情報の一例を模式的に示す図である。
【
図7】本実施形態の処理システムの作用効果を説明するための図である。
【
図8】本実施形態の処理システムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】本実施形態の処理システムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】本実施形態の処理システムの処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
まず、本実施形態の処理システムの概要を説明する。本実施形態の処理システムは、顧客毎に、定期乗車券の定期券区間情報と、顔の外観の特徴を示す顔情報とを含む顧客情報を記憶しておく。そして、処理システムは、当該顔情報と、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像とに基づき、顧客が存在した駅を特定する。そして、処理システムは、定期券区間、入場駅、退場駅及び顧客が存在した駅の位置関係が所定の警告条件を満たす場合、警告処理を行う。警告処理は、顧客が駅から退場する時に、入退場ゲートを閉じる処理や、警告ランプを点灯させる処理や、警告音を出力する処理や、駅員に通知する処理や、不正乗車分の運賃を算出して駅員に通知する処理などが例示される。
【0016】
本実施形態の処理システムは、定期券区間、入場駅、退場駅及び顧客が存在した駅という4つの位置関係が所定の警告条件を満たす場合に、不正折り返し乗車と判断する。このように、本実施形態の処理システムは、適切かつ必要な情報を用いて適切に判断することで、不正折り返し乗車でない場合に不正折り返し乗車と判断したり、不正折り返し乗車である場合に不正折り返し乗車でないと判断したりする不都合の発生を軽減することができる。
【0017】
以下、処理システムの構成を詳細に説明する。まず、処理システムのハードウエア構成の一例を説明する。
【0018】
処理システムの各機能部は、任意のコンピュータのCPU(Central Processing Unit)、メモリ、メモリにロードされるプログラム、そのプログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット(あらかじめ装置を出荷する段階から格納されているプログラムのほか、CD(Compact Disc)等の記憶媒体やインターネット上のサーバ等からダウンロードされたプログラムをも格納できる)、ネットワーク接続用インターフェイスを中心にハードウエアとソフトウエアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。
【0019】
図2は、処理システムのハードウエア構成を例示するブロック図である。
図2に示すように、処理システムは、プロセッサ1A、メモリ2A、入出力インターフェイス3A、周辺回路4A、バス5Aを有する。周辺回路4Aには、様々なモジュールが含まれる。処理システムは周辺回路4Aを有さなくてもよい。なお、処理システムは物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成されてもよいし、物理的及び/又は論理的に一体となった1つの装置で構成されてもよい。処理システムが物理的及び/又は論理的に分かれた複数の装置で構成される場合、複数の装置各々が上記ハードウエア構成を備えることができる。
【0020】
バス5Aは、プロセッサ1A、メモリ2A、周辺回路4A及び入出力インターフェイス3Aが相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。プロセッサ1Aは、例えばCPU、GPU(Graphics Processing Unit)などの演算処理装置である。メモリ2Aは、例えばRAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。入出力インターフェイス3Aは、入力装置、外部装置、外部サーバ、外部センサー、カメラ等から情報を取得するためのインターフェイスや、出力装置、外部装置、外部サーバ等に情報を出力するためのインターフェイスなどを含む。入力装置は、例えばキーボード、マウス、マイク、物理ボタン、タッチパネル等である。出力装置は、例えばディスプレイ、スピーカ、プリンター、メーラ等である。プロセッサ1Aは、各モジュールに指令を出し、それらの演算結果をもとに演算を行うことができる。
【0021】
次に、処理システムの機能構成を詳細に説明する。
図3に示すように、処理システム10は、センターシステム1と、複数の駅システム2とで構成される。駅システム2は、各駅に関連する処理を実行するシステムであり、各駅に設置される。センターシステム1は、複数の駅システム2と通信し、全体を統合管理するシステムであり、任意の位置に設置される。
【0022】
駅システム20は、
図4に示すように、駅サーバ21、カメラ22、入退場ゲート23等を有する。カメラ22は、駅構内の任意の位置に設置され、動画像や静止画像を生成する。駅サーバ21とカメラ22とは通信可能に構成される。駅サーバ21は、カメラ22が生成した画像を受信し、センターシステム1に送信する。
【0023】
入退場ゲート23は、駅のプラットフォームへの入退場を制御するためのゲートである。顧客は、入退場ゲート23を通過する際、ICカード、磁気カード、携帯端末(スマートフォン、携帯電話、スマートウォッチ、タブレット端末等)等に記憶された所定の情報(カード識別情報、顧客情報等)を、入退場ゲート23に入力する。入退場ゲート23は、入力された情報に基づき、ゲートの開閉を制御する。入退場ゲート23による当該処理は広く知られているので、ここでの説明は省略する。駅サーバ21と入退場ゲート23とは通信可能に構成される。駅サーバ21は、入退場ゲート23から上記所定の情報を受信し、センターシステム1に送信する。
【0024】
図5に、処理システム10の機能ブロック図の一例を示す。図示するように、処理システム10は、顧客情報記憶部11と、入退場情報取得部12と、顧客検出部13と、警告部14とを有する。
【0025】
顧客情報記憶部11は、複数の顧客各々の顧客情報を記憶する。
図6に、顧客情報の一例を模式的に示す。顧客情報は、顧客を識別する情報を含む。顧客を識別する情報は、氏名、性別、年令、電話番号、住所、顔情報などである。顔情報は、顧客の顔の外観の特徴を示す情報である。顔情報は、顔画像であってもよいし、顔画像から抽出された所定の特徴量であってもよい。当該情報は、事前に登録される情報である。
【0026】
また、顧客情報は、顧客が購入した定期乗車券の内容を示す情報(定期乗車券情報)を含む。定期乗車券情報は、当該定期券で移動可能な範囲を示す定期券区間情報と、当該定期券の有効期間とを含む。当該情報は、定期乗車券購入時に登録される情報である。
【0027】
また、顧客情報は、入場駅を示す情報、退場駅を示す情報、及び、検知駅を示す情報を含む。検知駅は、入場駅から入場後、かつ、退場駅から退場前にその顧客の存在が確認された駅である。これらの情報は、以下で説明する入退場情報取得部12及び顧客検出部13により更新される情報である。
【0028】
なお、顧客情報は、その時点でチャージされている金額を含んでもよい。また、顧客情報は、利用履歴を含んでもよい。利用履歴は、入場駅、入場日時、退場駅、退場日時等を含む。また、利用履歴は、チャージされているお金の利用履歴(利用日、利用場所、利用金額、チャージ日、チャージ場所、チャージ金額など)を含んでもよい。当該情報は、チャージされているお金や定期乗車券の利用に応じて更新される情報である。
【0029】
顧客情報記憶部11は、センターシステム1に設けられる。すなわち、センターシステム1が、複数の顧客各々の顧客情報を保持している。なお、変形例として、顧客情報の少なくとも一部を駅システム2が保持してもよい。そして、任意の同期手段で、センターシステム1が保持している顧客情報と、駅システム2が保持している顧客情報との同期処理を行い、内容の同一性を確保してもよい。
【0030】
図5に戻り、入退場情報取得部12は、顧客の入場駅及び退場駅を示す情報を取得する。上述の通り、顧客は、入退場ゲート23を通過する際、ICカード、磁気カード、携帯端末(スマートフォン、携帯電話、スマートウォッチ、タブレット端末等)等に記憶された所定の情報(カード識別情報、顧客情報等)を、入退場ゲート23に入力する。入退場情報取得部12は、入退場ゲート23に入力された顧客を特定するための情報(カード識別情報、顧客情報等)と、その入退場ゲート23が設置された駅を特定する情報とを取得する。この情報により、どの顧客がどの駅で入場したか、また、どの駅で退場したかを特定することができる。入退場情報取得部12は、顧客の入場駅及び退場駅を示す情報を取得すると、その顧客の顧客情報(
図6参照)に入場駅及び退場駅を登録する(顧客情報の更新)。
【0031】
入退場情報取得部12は、センターシステム1に設けられてもよいし、駅システム2に設けられてもよい。
【0032】
なお、本明細書において、「取得」とは、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータを取りに行くこと(能動的な取得)」、たとえば、他の装置にリクエストまたは問い合わせして受信すること、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すこと等、および、ユーザ入力に基づき、又は、プログラムの指示に基づき、「自装置に他の装置から出力されるデータを入力すること(受動的な取得)」、たとえば、配信(または、送信、プッシュ通知等)されるデータを受信すること、また、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、及び、「データを編集(テキスト化、データの並び替え、一部データの抽出、ファイル形式の変更等)などして新たなデータを生成し、当該新たなデータを取得すること」の少なくともいずれか一方を含む。
【0033】
顧客検出部13は、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像の中から、顧客情報に含まれる顔情報で示される外観の特徴を有する人物を検索することで、顧客を検出する。当該画像解析の手法は広く知られているので、ここでの説明は省略する。
【0034】
顧客検出部13は、当該検出処理により、顧客の存在を検知した駅(検知駅)を特定する。例えば、顧客検出部13は、顧客を検出した画像を生成したカメラが設置されている駅を、顧客の存在を検知した駅として特定できる。また、顧客検出部13は、顧客を検出した画像を生成したカメラが車両に設置されている場合、その画像を生成した時にその車両が存在した駅を、顧客の存在を検知した駅として特定できる。ある画像を生成した時に車両が存在した駅を特定する方法は特段制限されない。例えば、カメラが現在位置情報取得手段(GPS(global positioning system)等)を備え、各画像を生成した時の位置を示す情報を各画像に付与してもよい。なお、この例示した処理はあくまで一例であり、これに限定されない。
【0035】
そして、顧客検出部13は、画像内から検出した顧客の顧客情報(
図6参照)に、その顧客の存在を検知した検知駅を登録する(顧客情報の更新)。なお、顧客検出部13は、検知駅がその顧客の定期券区間に含まれない場合に、特定した検知駅を顧客情報に登録してもよい。そして、顧客検出部13は、検知駅がその顧客の定期券区間に含まれる場合、特定した検知駅を顧客情報に登録しなくてもよい。
【0036】
顧客検出部13は、センターシステム1に設けられる。すなわち、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像は、センターシステム1に送信される。そして、センターシステム1が受信した画像を解析して画像の中から顧客を検出し、顧客情報を更新する。
【0037】
なお、変形例として、駅システム2が顧客情報の一部(顔情報、氏名等の画像解析による顧客検出に必要な情報)を保持している場合、顧客検出部13は、駅システム2の駅サーバ21に設けられてもよい。すなわち、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像は、駅サーバ21に送信される。例えば、駅に設置されたカメラが生成した画像は、その駅の駅サーバ21に送信される。また、車両に設置されたカメラが生成した画像は、任意の駅サーバ21(最寄りの駅の駅サーバ21)に送信される。そして、駅サーバ21が受信した画像を解析して画像の中から顧客を検出し、センターシステム1に記憶されている顧客情報を更新する。
【0038】
他の変形例として、駅システム2が顧客情報の全部を保持している場合、顧客検出部13は、駅システム2の駅サーバ21に設けられてもよい。すなわち、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像は、駅サーバ21に送信される。例えば、駅に設置されたカメラが生成した画像は、その駅の駅サーバ21に送信される。また、車両に設置されたカメラが生成した画像は、任意の駅サーバ21(最寄りの駅の駅サーバ21)に送信される。そして、駅サーバ21が受信した画像を解析して画像の中から顧客を検出し、駅システム2に記憶されている顧客情報を更新する。その後、任意の同期手段で、センターシステム1が保持している顧客情報と、駅システム2が保持している顧客情報との同期処理を行い、内容の同一性を確保する。
【0039】
警告部14は、顧客が入退場ゲート23から退場する時に、定期券区間情報で示される定期券区間、入場駅、退場駅及び顧客の存在を検知した駅である検知駅の位置関係が所定の警告条件を満たすか判断し、満たす場合に警告処理を行う。警告処理は、入退場ゲート23を閉じる処理や、警告ランプを点灯させる処理や、警告音を出力する処理や、駅員に通知する処理や、不正乗車分の運賃を算出して駅員に通知する処理などが例示されるが、これらに限定されない。警告条件は、以下の警告条件1乃至5の中の少なくとも1つを含む。
【0040】
「警告条件1:入場駅及び退場駅が定期券区間内であり、検知駅が定期券区間外」
当該警告条件によれば、例えば
図7に示すようにA駅とB駅との間を定期券区間とする定期乗車券を保持している顧客が、A駅で入場した後、D駅方向の車両に乗ってD駅まで移動し、その後、D駅で反対方向の車両に乗り換えてB駅まで移動し、B駅で退場するという不正折り返し乗車(パターン1)を検出することができる。この場合、A駅が入場駅となり、D駅が検知駅となり、B駅が退場駅となり、A駅とD駅との間の乗車が不正乗車となる。
【0041】
また、当該警告条件によれば、例えば
図7に示すようにA駅とB駅との間を定期券区間とする定期乗車券を保持している顧客が、A駅で入場した後、B駅方向の車両に乗ってE駅まで移動し、その後、E駅で反対方向の車両に乗り換えてB駅まで移動し、B駅で退場するという不正折り返し乗車(パターン2)を検出することができる。この場合、A駅が入場駅となり、E駅が検知駅となり、B駅が退場駅となり、B駅とE駅との間の乗車が不正乗車となる。
【0042】
また、当該警告条件によれば、例えば
図7に示すようにA駅とB駅との間を定期券区間とする定期乗車券を保持している顧客が、A駅で入場した後、D駅方向の車両に乗ってD駅まで移動し、その後、D駅で反対方向の車両に乗り換えてE駅まで移動し、その後、E駅で反対方向の車両に乗り換えてB駅まで移動し、B駅で退場するという不正折り返し乗車(パターン3)を検出することができる。この場合、A駅が入場駅となり、D駅及びE駅が検知駅となり、B駅が退場駅となり、A駅とD駅との間の乗車、及び、B駅とE駅との間の乗車が不正乗車となる。
【0043】
なお、当該警告条件によれば、入場駅と退場駅との間に検知駅が存在しないことが担保される。これにより、正当な乗車(正しく運賃を支払っている乗車)を誤って不正折り返し乗車と判断する不都合が回避される。
【0044】
また、当該警告条件によれば、定期乗車券利用による不正折り返し乗車を検出できるので、定期乗車券利用による常習性が推定される不正折り返し乗車を検出することができる。
【0045】
「警告条件2:入場駅と退場駅との間に定期券区間が存在し、検知駅が定期券区間の外であり、かつ、入場駅と退場駅との間に検知駅が存在しない」
当該警告条件によれば、上記パターン1乃至パターン3を検出することができる。また、当該警告条件によれば、例えば
図7に示すようにA駅とB駅との間を定期券区間とする定期乗車券を保持している顧客が、C駅で入場した後、D駅方向の車両に乗ってD駅まで移動し、その後、D駅で反対方向の車両に乗り換えてB駅まで移動し、B駅で退場するという不正折り返し乗車(パターン4)を検出することができる。この場合、C駅が入場駅となり、D駅が検知駅となり、B駅が退場駅となり、C駅とD駅との間の乗車が不正乗車となる。
【0046】
また、当該警告条件によれば、例えば
図7に示すようにA駅とB駅との間を定期券区間とする定期乗車券を保持している顧客が、C駅で入場した後、D駅方向の車両に乗ってD駅まで移動し、その後、D駅で反対方向の車両に乗り換えてF駅まで移動し、F駅で退場するという不正折り返し乗車(パターン5)を検出することができる。この場合、C駅が入場駅となり、D駅が検知駅となり、F駅が退場駅となり、C駅とD駅との間の乗車が不正乗車となる。
【0047】
また、当該警告条件によれば、例えば
図7に示すようにA駅とB駅との間を定期券区間とする定期乗車券を保持している顧客が、A駅で入場した後、B駅方向の車両に乗ってE駅まで移動し、その後、E駅で反対方向の車両に乗り換えてF駅まで移動し、F駅で退場するという不正折り返し乗車(パターン6)を検出することができる。この場合、A駅が入場駅となり、E駅が検知駅となり、F駅が退場駅となり、E駅とF駅との間の乗車が不正乗車となる。
【0048】
また、当該警告条件によれば、例えば
図7に示すようにA駅とB駅との間を定期券区間とする定期乗車券を保持している顧客が、C駅で入場した後、B駅方向の車両に乗ってE駅まで移動し、その後、E駅で反対方向の車両に乗り換えてF駅まで移動し、F駅で退場するという不正折り返し乗車(パターン7)を検出することができる。この場合、C駅が入場駅となり、E駅が検知駅となり、F駅が退場駅となり、E駅とF駅との間の乗車が不正乗車となる。
【0049】
また、当該警告条件によれば、例えば
図7に示すようにA駅とB駅との間を定期券区間とする定期乗車券を保持している顧客が、C駅で入場した後、D駅方向の車両に乗ってD駅まで移動し、その後、D駅で反対方向の車両に乗り換えてE駅まで移動し、その後、E駅で反対方向の車両に乗り換えてF駅まで移動し、F駅で退場するという不正折り返し乗車(パターン8)を検出することができる。この場合、C駅が入場駅となり、D駅及びE駅が検知駅となり、F駅が退場駅となり、C駅とD駅との間の乗車、及び、E駅とF駅との間の乗車が不正乗車となる。
【0050】
また、当該警告条件によれば、例えば
図7に示すようにA駅とB駅との間を定期券区間とする定期乗車券を保持している顧客が、A駅で入場した後、D駅方向の車両に乗ってD駅まで移動し、その後、D駅で反対方向の車両に乗り換えてF駅まで移動し、F駅で退場するという不正折り返し乗車(パターン9)を検出することができる。この場合、A駅が入場駅となり、D駅が検知駅となり、F駅が退場駅となり、A駅とD駅との間の乗車が不正乗車となる。
【0051】
また、当該警告条件によれば、例えば
図7に示すようにA駅とB駅との間を定期券区間とする定期乗車券を保持している顧客が、C駅で入場した後、E駅方向の車両に乗ってE駅まで移動し、その後、E駅で反対方向の車両に乗り換えてB駅まで移動し、B駅で退場するという不正折り返し乗車(パターン10)を検出することができる。この場合、C駅が入場駅となり、E駅が検知駅となり、B駅が退場駅となり、B駅とE駅との間の乗車が不正乗車となる。
【0052】
なお、「入場駅と退場駅との間に検知駅が存在しない」という条件により、正当な乗車(正しく運賃を支払っている乗車)を誤って不正折り返し乗車と判断する不都合が回避される。
【0053】
また、当該警告条件によれば、定期乗車券利用による不正折り返し乗車を検出できるので、定期乗車券利用による常習性が推定される不正折り返し乗車を検出することができる。
【0054】
「警告条件3:入場駅が定期券区間内であり、検知駅が定期券区間外であり、退場駅が定期券区間外であり、かつ、退場駅が定期券区間を挟んで検知駅と反対側の駅である」
当該警告条件によれば、例えば上記パターン9を検出することができる。なお、当該警告条件によれば、入場駅と退場駅との間に検知駅が存在しないことが担保される。これにより、正当な乗車(正しく運賃を支払っている乗車)を誤って不正折り返し乗車と判断する不都合が回避される。また、当該警告条件によれば、定期乗車券利用による不正折り返し乗車を検出できるので、定期乗車券利用による常習性が推定される不正折り返し乗車を検出することができる。
【0055】
「警告条件4:退場駅が定期券区間内であり、検知駅が定期券区間外であり、入場駅が定期券区間外であり、入場駅が定期券区間を挟んで検知駅と同じ側の駅であり、かつ、入場駅が検知駅と退場駅の間の駅である」
当該警告条件によれば、例えば上記パターン4を検出することができる。なお、「入場駅が検知駅と退場駅の間の駅」という条件により、入場駅と退場駅との間に検知駅が存在しないことが担保される。これにより、正当な乗車(正しく運賃を支払っている乗車)を誤って不正折り返し乗車と判断する不都合が回避される。また、当該警告条件によれば、定期乗車券利用による不正折り返し乗車を検出できるので、定期乗車券利用による常習性が推定される不正折り返し乗車を検出することができる。
【0056】
「警告条件5:検知駅が定期券区間外であり、退場駅が定期券区間外であり、退場駅が定期券区間を挟んで検知駅と反対側の駅であり、入場駅が定期券区間外であり、入場駅が定期券区間を挟んで検知駅と同じ側の駅であり、かつ、入場駅が検知駅と退場駅の間の駅である」
当該警告条件によれば、例えば上記パターン5を検出することができる。なお、「入場駅が検知駅と退場駅の間の駅」という条件により、入場駅と退場駅との間に検知駅が存在しないことが担保される。これにより、正当な乗車(正しく運賃を支払っている乗車)を誤って不正折り返し乗車と判断する不都合が回避される。また、当該警告条件によれば、定期乗車券利用による不正折り返し乗車を検出できるので、定期乗車券利用による常習性が推定される不正折り返し乗車を検出することができる。
【0057】
警告部14は、駅システム2に設けられる。すなわち、駅サーバ21又は入退場ゲート23が、センターシステム1又は駅システム2に記憶されている顧客情報を参照して、定期券区間情報で示される定期券区間、入場駅、退場駅及び検知駅の位置関係が所定の警告条件を満たすか判断し、満たす場合に警告処理を行う。なお、変形例として、センターシステム1が警告部14を備え、上記判断及び警告処理を行ってもよい。
【0058】
次に、処理システム10の処理の流れの一例を説明する。
【0059】
図8のフローチャートは、顧客が入退場ゲート23から入場する時に処理システム10が行う処理の流れの一例を示す。入退場情報取得部12は、入退場ゲート23に入力された顧客を特定するための情報(カード識別情報、顧客情報等)と、その入退場ゲート23が設置された駅を特定する情報とを取得すると(S10のYes)、その情報で特定される顧客の顧客情報(
図6参照)に、その情報で特定される駅を入場駅として登録する(S11)。
【0060】
図9のフローチャートは、車両の運行が行われている間に処理システム10が継続的に行う処理の流れの一例を示す。
【0061】
顧客検出部13は、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像を取得すると(S20)、顧客情報記憶部11に記憶されている顧客の顔情報に基づき、画像の中から顧客を検出する処理を行う(S21)。そして、顧客検出部13は、画像の中から顧客を検出すると、その顧客の顧客情報に、その画像が示す駅(そのカメラが設置されている駅、その画像生成時にそのカメラが位置した駅)を検知駅として登録する(S22)。なお、顧客検出部13は、検知駅が定期券区間に含まれない場合に、特定した検知駅を顧客情報に登録してもよい。そして、顧客検出部13は、検知駅が定期券区間に含まれる場合、特定した検知駅を顧客情報に登録しなくてもよい。
【0062】
図10のフローチャートは、顧客が入退場ゲート23から退場する時に処理システム10が行う処理の流れの一例を示す。入退場情報取得部12は、入退場ゲート23に入力された顧客を特定するための情報(カード識別情報、顧客情報等)と、その入退場ゲート23が設置された駅を特定する情報とを取得すると(S30のYes)、その情報で特定される顧客の顧客情報(
図6参照)に、その情報で特定される駅を退場駅として登録する(S31)。
【0063】
次いで、警告部14は、顧客情報に登録されている定期券区間、入場駅、退場駅及び検知駅の位置関係が、所定の警告条件を満たすか判断する(S32)。そして、警告条件を満たす場合(S32のYes)、警告部14は警告処理を行う。一方、警告条件を満たさない場合(S32のNo)、警告部14は警告処理を行わない。警告処理は、入退場ゲート23を閉じる処理や、警告ランプを点灯させる処理や、警告音を出力する処理や、駅員に通知する処理や、不正乗車分の運賃を算出して駅員に通知する処理などが例示されるが、これらに限定されない。
【0064】
ここで、本実施形態の変形例を説明する。顧客情報(
図6参照)は、不正折り返し乗車を検出された回数を含んでもよい。そして、警告部14は、定期券区間、入場駅、退場駅及び検知駅の位置関係が所定の警告条件を満たす場合、その顧客の顧客情報における不正折り返し乗車を検出された回数を「1」増やしてもよい。そして、警告部14は、当該回数が閾値を超えた場合、上記警告処理を行ってもよい。このような構成とすることで、不正折り返し乗車を繰り返し行っている常習者を検出することができる。
【0065】
以上説明した本実施形態の処理システム10によれば、定期券区間、入場駅、退場駅及び検知駅(顧客が存在した駅)という4つの適切な情報を用い、これらの位置関係に基づき不正折り返し乗車か否かを判断する。このように、適切かつ必要な情報を用いて適切に判断することで、本実施形態の処理システム10は、不正折り返し乗車でない場合に不正折り返し乗車と判断したり、不正折り返し乗車である場合に不正折り返し乗車でないと判断したりする不都合の発生を軽減することができる。
【0066】
また、上述のような特徴的な警告条件を設定することで、精度よく、不正折り返し乗車を検出することができる。例えば、上述のような複数パターンの不正折り返し乗車を検出することができる。
【0067】
また、不正折り返し乗車の検出処理において定期券区間を参照することで、定期乗車券利用による常習性が推定される不正折り返し乗車を検出することができる。
【0068】
また、上述のように、特定した検知駅のうち、定期券区間に含まれない検知駅のみを顧客情報に登録することで、不要な情報の処理を回避し、コンピュータ負担の軽減が実現される。上記説明からも明らかなように、定期券区間に含まれる検知駅は、不正折り返し乗車の検出において必要のない情報である。
【0069】
<第2の実施形態>
本実施形態の顧客検出部13は、入退場情報取得部12により入場駅を示す情報を取得され、かつ、その後に退場駅を示す情報を取得されていない顧客の顧客情報に基づき、画像の中から顧客を検出する処理を行う。なお、顧客検出部13は、その他の顧客の顧客情報は、画像の中から顧客を検出する処理に利用しなくてもよい。
【0070】
「入退場情報取得部12により入場駅を示す情報を取得され、かつ、その後に退場駅を示す情報を取得されていない顧客」は、ある駅の入退場ゲート23から入場した後、退場していない顧客である。すなわち、当該顧客は、車両に乗車して移動する可能性がある顧客である。画像処理で参照する顔情報をこのような顧客の顔情報に絞り込むことで、コンピュータの処理負担を軽減できるほか、顧客の検出精度が向上する。当該顧客以外の顧客は、その時点で駅構内に入場していないので、その顧客が画像から検出されることはない。このため、このような顧客の顔情報を参照しなくても、特段問題はない。
【0071】
また、本実施形態の顧客検出部13は、入退場情報取得部12により取得された入場駅を示す情報と、画像を生成したカメラの位置を示す情報とに基づき、各カメラが生成した画像の中から顧客を検出する処理に用いる顧客情報を絞り込んでもよい。例えば、X駅とY駅とが離れている場合、Y駅で生成された画像の中からX駅で入場した顧客が含まれる可能性は低い。このような検出可能性が低い顧客の顔情報を参照する情報から取り除くことで、コンピュータの処理負担を軽減できるほか、顧客の検出精度が向上する。ここで、絞り込むアルゴリズムの一例を説明するが、これに限定されない。
【0072】
例えば、顧客AがX駅で入場したことを検知した場合、X駅からの距離が閾値以内の駅で生成された画像の解析時に、顧客Aの顔情報を参照してもよい。また、当該閾値は、X駅での入場を検知したタイミングからの時間経過に応じて徐々に大きくなるように変化させてもよい。
【0073】
処理システム10のその他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0074】
以上説明した本実施形態の処理システム10によれば、第1の実施形態の処理システム10と同様の作用効果が実現される。また、顧客検出部13による画像解析で参照する顧客の顔情報を適切に絞り込むことができるので、顧客の検出漏れを抑制しつつ、コンピュータの処理負担軽減や、顧客の検出精度向上を実現することができる。
【0075】
<第3の実施形態>
本実施形態の処理システム10は、定期乗車券以外の乗車券に基づく乗車時における不正折り返し乗車の検出を目的とする。定期乗車券以外の乗車券に基づく乗車は、例えば、一定金額がチャージされたICカード、磁気カード、携帯端末(スマートフォン、携帯電話、スマートウォッチ、タブレット端末等)等に基づく乗車である。例えば、ICカードや磁気カードの発行時に、発行したICカードや磁気カードに紐づけて、
図6に示すような顧客情報が処理システム10に登録される。また、携帯端末にインストールした所定のアプリケーションでの初期登録時に、
図6に示すような顧客情報が処理システム10に登録される。
【0076】
顧客は、入退場ゲート23を通過する際、ICカード、磁気カード、携帯端末(スマートフォン、携帯電話、スマートウォッチ、タブレット端末等)等に記憶された所定の情報(カード識別情報、顧客情報等)を、入退場ゲート23に入力する。その後の処理は、第1及び第2の実施形態と同様である。
本実施形態の警告条件は、「入場駅と退場駅との間に検知駅が存在しない」である。
【0077】
処理システム10のその他の構成は、第1及び第2の実施形態と同様である。
【0078】
以上説明した本実施形態の処理システム10によれば、第1及び第2の実施形態の処理システム10と同様の作用効果が実現される。また、本実施形態の処理システム10によれば、定期乗車券以外の乗車券に基づく乗車時における不正折り返し乗車を検出することが可能となる。
【0079】
<変形例>
すべての実施形態に適用可能な変形例を説明する。ここまでは、センターシステム1と駅システム2とにより処理システム10が構成されるものとしたが、センターシステム1及び駅システム2のいずれか一方のみにより処理システム10が構成されてもよい。すなわち、センターシステム1及び駅システム2のいずれか一方が、顧客情報記憶部11、入退場情報取得部12、顧客検出部13及び警告部14のすべてを備えてもよい。
【0080】
以上、実施形態(及び実施例)を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態(及び実施例)に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0081】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限定されない。
1. 定期乗車券の定期券区間情報と顔情報とを含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶手段と、
前記顧客の入場駅及び退場駅を示す情報を取得する入退場情報取得手段と、
前記顧客情報に基づき、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像の中から前記顧客を検出することで、前記顧客の存在を検知した駅を特定する顧客検出手段と、
前記定期券区間情報で示される定期券区間、前記入場駅、前記退場駅及び前記顧客の存在を検知した駅である検知駅の位置関係が所定の警告条件を満たす場合、警告処理を行う警告手段と、
を有する処理システム。
2. 前記顧客検出手段は、前記入退場情報取得手段により前記入場駅を示す情報を取得され、かつ、その後に前記退場駅を示す情報を取得されていない前記顧客の前記顧客情報に基づき、前記画像の中から前記顧客を検出する処理を行う1に記載の処理システム。
3. 前記顧客検出手段は、前記入退場報取得手段により取得された前記入場駅を示す情報と、前記画像を生成した前記カメラの位置を示す情報とに基づき、前記カメラが生成した前記画像の中から前記顧客を検出する処理に用いる前記顧客情報を絞り込む1又は2に記載の処理システム。
4. 前記警告条件は、前記入場駅及び前記退場駅が前記定期券区間内であり、前記検知駅が前記定期券区間外である1から3のいずれかに記載の処理システム。
5. 前記警告条件は、前記入場駅と前記退場駅との間に前記定期券区間が存在し、前記検知駅が前記定期券区間の外であり、かつ、前記入場駅と前記退場駅との間に前記検知駅が存在しないことである1から4のいずれかに記載の処理システム。
6. 前記警告条件は、前記入場駅が前記定期券区間内であり、前記検知駅が前記定期券区間外であり、前記退場駅が前記定期券区間外であり、かつ、前記退場駅が前記定期券区間を挟んで前記検知駅と反対側の駅である1から5のいずれかに記載の処理システム。
7. 前記警告条件は、前記退場駅が前記定期券区間内であり、前記検知駅が前記定期券区間外であり、前記入場駅が前記定期券区間外であり、前記入場駅が前記定期券区間を挟んで前記検知駅と同じ側の駅であり、かつ、前記入場駅が前記検知駅と前記退場駅の間の駅である1から6のいずれかに記載の処理システム。
8. 前記警告条件は、前記検知駅が前記定期券区間外であり、前記退場駅が前記定期券区間外であり、前記退場駅が前記定期券区間を挟んで前記検知駅と反対側の駅であり、前記入場駅が前記定期券区間外であり、前記入場駅が前記定期券区間を挟んで前記検知駅と同じ側の駅であり、かつ、前記入場駅が前記検知駅と前記退場駅の間の駅である1から7のいずれかに記載の処理システム。
9. コンピュータが、
定期乗車券の定期券区間情報と顔情報とを含む顧客情報を記憶し、
前記顧客の入場駅及び退場駅を示す情報を取得し、
前記顧客情報に基づき、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像の中から前記顧客を検出することで、前記顧客の存在を検知した駅を特定し、
前記定期券区間情報で示される定期券区間、前記入場駅、前記退場駅及び前記顧客の存在を検知した駅である検知駅の位置関係が所定の警告条件を満たす場合、警告処理を行う処理方法。
10. コンピュータを、
定期乗車券の定期券区間情報と顔情報とを含む顧客情報を記憶する顧客情報記憶手段、
前記顧客の入場駅及び退場駅を示す情報を取得する入退場情報取得手段、
前記顧客情報に基づき、駅及び車両の少なくとも一方に設置されたカメラが生成した画像の中から前記顧客を検出することで、前記顧客の存在を検知した駅を特定する顧客検出手段、
前記定期券区間情報で示される定期券区間、前記入場駅、前記退場駅及び前記顧客の存在を検知した駅である検知駅の位置関係が所定の警告条件を満たす場合、警告処理を行う警告手段、
として機能させるプログラム。