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特許7428305業務効率化支援システム、業務効率化支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】業務効率化支援システム、業務効率化支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/0633 20230101AFI20240130BHJP
   G06Q 50/26 20240101ALI20240130BHJP
【FI】
G06Q10/0633
G06Q50/26
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020055296
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021157357
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】522226063
【氏名又は名称】株式会社ガバメイツ
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木戸 杏朱
(72)【発明者】
【氏名】和久井 克明
(72)【発明者】
【氏名】後藤 亮
【審査官】橋沼 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-088173(JP,A)
【文献】特開平10-293790(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102521686(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業情報を含む業務データ及び前記業務データを分類するための属性情報を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された属性情報に基づいて、前記入力手段により入力された業務データを複数の作業工程に分類する分類手段と、
前記分類手段により分類された複数の作業工程に基づいて、現状業務フローを作成する作成手段と、
前記作成手段により作成された複数の異なる業務ごとの現状業務フローを比較して、標準的な作業時間の標準的な作業工程からなる標準業務フローを作成する標準化手段と、
を備えることを特徴とする業務効率化支援システム。
【請求項2】
前記標準化手段は、機械学習により前記標準業務フローを作成することを特徴とする請求項1に記載の業務効率化支援システム。
【請求項3】
前記標準化手段は、前記複数の異なる業務ごとの現状業務フローにおいて、前記属性情報が同一の作業工程の数を比較し、前記標準業務フローにおける前記属性情報が同一の作業工程の数を、前記属性情報が同一の作業工程の数が最小である現状業務フローと一致させることを特徴とする請求項1又は2に記載の業務効率化支援システム。
【請求項4】
前記標準化手段は、前記複数の異なる業務ごとの現状業務フローにおいて、前記属性情報が同一の作業工程の総作業時間を比較し、前記標準業務フローにおける前記属性情報が同一の作業工程の総作業時間を、前記属性情報が同一の作業工程の総作業時間が最小である現状業務フローと一致させることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の業務効率化支援システム。
【請求項5】
前記分類手段は、前記入力手段により入力された業務データを複数の作業工程に分解し、前記分解された複数の作業工程に前記属性情報を付与又は前記分解された複数の作業工程を前記属性情報に変換して、分類することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の業務効率化支援システム。
【請求項6】
前記標準化手段は、前記複数の異なる業務の各々が有する作業工程の前記属性情報又は名称に基づいて前記業務の類似性を判断し、類似性が高いと判断された業務ごとの現状業務フローを比較することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の業務効率化支援システム。
【請求項7】
前記作成手段により作成された現状業務フローと、前記標準化手段により作成された前記標準業務フローと、の差分に基づいて、前記現状業務フロー内の前記作業工程を前記標準的な作業工程に変更する際に必要な実現手段を出力する最適化手段を備えることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の業務効率化支援システム。
【請求項8】
コンピュータが実行する、業務効率化支援システムの業務効率化支援方法であって、
作業情報を含む業務データ及び前記業務データを分類するための属性情報を入力する入力手段により入力された属性情報に基づいて、前記入力手段により入力された業務データを複数の作業工程に分類する分類工程と、
前記分類工程で分類された複数の作業工程に基づいて、現状業務フローを作成する作成工程と、
前記作成工程で作成された複数の異なる業務ごとの現状業務フローを比較して、標準的な作業時間の標準的な作業工程からなる標準業務フローを作成する標準化工程と、
を有することを特徴とする業務効率化支援方法。
【請求項9】
業務効率化支援システムのコンピューターを、
作業情報を含む業務データ及び前記業務データを分類するための属性情報を入力する入力手段により入力された属性情報に基づいて、前記入力手段により入力された業務データを複数の作業工程に分類する分類手段、
前記分類手段により分類された複数の作業工程に基づいて、現状業務フローを作成する作成手段、
前記作成手段により作成された複数の異なる業務ごとの現状業務フローを比較して、標準的な作業時間の標準的な作業工程からなる標準業務フローを作成する標準化手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務効率化支援システム、業務効率化支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、総務省からの自治体戦略2040構想によって、複数の自治体が同一サービスを共同利用する方針が示されており、そのためには業務フローの標準化等の業務改革は急務である。自治体の予算申請では、通常、エビデンスの提示が求められている。しかしながら、大規模な業務改革に取り組むにあたって、業務の現状把握と効果推定が非常に困難であり、ほとんどの自治体で組織横断的な大規模の業務改革が行われてこなかった。一方で、個々の部門においては、現場レベルで業務を改善してきたが、個別カスタマイズされたRPA等、属人化しやすいものが多く、改善範囲も単一作業の効率化に留まるなど、根本的な改善につながっていなかった。
【0003】
従来、業務改善を目的として、業務を分析するための様々な手法が知られている。例えば、現状として実行されている業務(As-Is)と、あるべき姿の業務(To-Be)との適合部分(フィット)と乖離部分(ギャップ)を調べるフィット&ギャップ分析などがある。
しかしながら、As-Isを把握するためのAs-Is分析はヒアリングが中心であり、分析のためには業務に関する作業の1つひとつを細かく把握する必要がある。また、フィット&ギャップ分析においてもAs-IsとTo-Beの作業を1つひとつ比較する必要がある。
【0004】
このように、業務分析には、膨大な時間がかかる。また、業務に関係する膨大な情報から分析を行うためには高度な分析技術やノウハウが必要であり、これがない場合には精度のよい分析が難しい。また、分析により課題が抽出できた場合にも、求める効果に応じた改善案を自ら見出したり、複数の改善案を比較して最適なものを選定したりしなければならず、この点でも時間がかかる。
さらに、業務は市場動向や法令に対応させる必要があり、定期的にTo-Beを更新する必要があるが、上述のような理由から、継続的にアセスメントを行うことが難しい。
【0005】
そこで、業務分析をコンサルタントに委託する場合がある。
例えば、特許文献1には、業務分析と課題抽出をコンサルタントが行い、業務改善の後、アソシエイトが情報収集、アナリストが分析するサイクルを継続して繰り返すシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2015/122118号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の技術でも、業務の部分的な改善がなされるにとどまっており、業務全体で大きな効果を得られるものではなかった。これは、個々の業務にはさらに細分化された作業を成立させるソリューションや機器、仕組みが存在することから、業務全体として大きく変化することが難しいためと考えられる。また、コンサルタントに委託する場合、コストがかかることとなる。
【0008】
自治体の行政改革担当(庁内の業務改革を推進する組織)は、様々な業務を細部にわたって習熟していないため、個々の業務が見える化、細分化されていない状況下では、業務フローのあるべき姿を設計できなかった。したがって、行政改革担当は、投資対効果を最大化できるような横断的な打ち手を決めにくく、業務改革に向けた予算申請のエビデンスを作りにくかった。また、行政改革部門も、庁内業務の全体像を把握できておらず、現状把握や効果推定が困難であり、業務改革のための予算申請も困難であった。すなわち、自治体の行政改革担当は、全庁の予算や人員縮小が進む中、限られた人的・金銭的・時間的資源で、投資対効果を最大化することができなかった。
【0009】
本発明は、業務フローを容易に最適化して、全体最適を図り、投資対効果を最大化することが可能な業務効率化支援システム、業務効率化支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明は、業務効率化支援システムにおいて、
作業情報を含む業務データ及び前記業務データを分類するための属性情報を入力する入力手段と、
前記入力手段により入力された属性情報に基づいて、前記入力手段により入力された業務データを複数の作業工程に分類する分類手段と、
前記分類手段により分類された複数の作業工程に基づいて、現状業務フローを作成する作成手段と、
前記作成手段により作成された複数の異なる業務ごとの現状業務フローを比較して、標準的な作業時間の標準的な作業工程からなる標準業務フローを作成する標準化手段と、
を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、コンピュータが実行する、業務効率化支援システムの業務効率化支援方法であって、
作業情報を含む業務データ及び前記業務データを分類するための属性情報を入力する入力手段により入力された属性情報に基づいて、前記入力手段により入力された業務データを複数の作業工程に分類する分類工程と、
前記分類工程で分類された複数の作業工程に基づいて、現状業務フローを作成する作成工程と、
前記作成工程で作成された複数の異なる業務ごとの現状業務フローを比較して、標準的な作業時間の標準的な作業工程からなる標準業務フローを作成する標準化工程と、
を有することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、業務効率化支援システムのコンピューターを、
作業情報を含む業務データ及び前記業務データを分類するための属性情報を入力する入力手段により入力された属性情報に基づいて、前記入力手段により入力された業務データを複数の作業工程に分類する分類手段、
前記分類手段により分類された複数の作業工程に基づいて、現状業務フローを作成する作成手段、
前記作成手段により作成された複数の異なる業務ごとの現状業務フローを比較して、標準的な作業時間の標準的な作業工程からなる標準業務フローを作成する標準化手段、
として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、業務フローを容易に最適化して、全体最適を図り、投資対効果を最大化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る業務効率化支援システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】業務データの一例を示す図である。
図3】業務効率化支援処理の一例を示すフローチャートである。
図4】業務フロー作成処理の一例を示すフローチャートである。
図5】標準作業工程決定処理の一例を示すフローチャートである。
図6】標準業務フローを作成する対象である業務の現状業務フローの一例を概念的に示すフローチャートである。
図7図6の業務と類似する業務の現状業務フローの一例を概念的に示すフローチャートである。
図8図6及び図7の現状業務フローを比較して作成された標準業務フローの一例を概念的に示すフローチャートである。
図9】作成された標準業務フローを採用したときの効果の総計を算出して表示させる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
[業務効率化支援システムの構成]
まず、本実施形態に係る業務効率化支援システム1の構成について説明する。
業務効率化支援システム1は、多数の業務を含む地方自治体等の組織に対する横断的な業務効率化支援を目的としたシステムである。
【0017】
業務効率化支援システム1は、図1に示すように、PC11と、エッジサーバー12と、業務サーバー13と、業務データ収集・分析サーバー14と、クラウドサービス15と、データベース16と、ユーザーインターフェース17と、を備えて構成されている。また、業務効率化支援システム1の各部は、ネットワーク18を介して接続されている。ネットワーク18は、ユーザーのネットワーク環境に合わせて、WAN、LAN、LGWAN、SSL-VPN等であってよい。
【0018】
PC11は、業務効率化支援システム1を導入した組織の社員(ユーザー)が使用する、デスクトップPCやノートPC等の端末装置である。PC11は、少なくとも操作部111と、表示部112と、を備えて構成されている。
【0019】
操作部(入力手段)111は、例えば、キーボード等のキー入力部と、マウス等のポインティングデバイスとを有している。また、操作部111は、キー入力及び位置入力を受け付け、その操作情報を、ネットワーク18を介して各装置に出力する。例えば、操作部111は、作業情報を含む業務データ及び業務データを分類するための属性情報を入力する。
【0020】
図2に、操作部111を介して入力される業務データD1の一例を示す。
業務データD1は、業務の名称と内容、担当者、担当人数、成果物、作業時間、発生件数、発生時期、根拠法令からなる集合情報である。
【0021】
表示部112は、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等から構成されている。また、表示部112は、各装置から出力されて入力される表示信号の指示に従って、各種画面を表示する。
【0022】
エッジサーバー12は、様々なアプリケーションを動作させてユーザーの業務遂行を支援するサーバーであり、ネットワーク18を介して、各ユーザーが使用するPC11や業務サーバー13、業務データ収集・分析サーバー14にデータを転送する。
【0023】
業務サーバー13は、ユーザーの業務遂行を支援するための基幹サーバーであり、ネットワーク18を介して、各ユーザーが使用するPC11やエッジサーバー12、業務データ収集・分析サーバー14にデータを転送する。
【0024】
業務データ収集・分析サーバー14は、本発明を実施するために業務データD1を収集し、分析するためのサーバーであり、ネットワーク18を介して、各ユーザーが使用するPC11にデータを転送する。業務データ収集・分析サーバー14は、少なくとも制御部141を備えて構成されている。
【0025】
制御部141は、CPU、ROM、メモリーを備えて構成される。
CPUは、ROMに記憶されている各種処理プログラムを読み出し、当該プログラムに従って、業務データ収集・分析サーバー14の各部の動作を集中制御する。
ROMは、不揮発性の半導体メモリー等により構成され、各種処理プログラム、当該プログラムの実行に必要なパラメーターやファイル等を記憶している。
メモリーは、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等により構成され、プログラムや各種データを一時的に記憶する。
制御部141は、業務効率化支援処理を実行することで、分類手段、作成手段、標準化手段、最適化手段として機能する。
【0026】
クラウドサービス15は、ネットワーク18を介して、各ユーザーが使用するPC11、エッジサーバー12、業務サーバー13、業務データ収集・分析サーバー14にサービスを提供する。
【0027】
データベース16は、業務サーバー13や業務データ収集・分析サーバー14で生成されたデータを記憶し、ユーザーインターフェース17やエッジサーバー12を介して、各ユーザーが使用するPC11にデータを表示する。
【0028】
[業務効率化支援システムの動作]
次に、本実施形態に係る業務効率化支援システム1の業務データ収集・分析サーバー14により行われる業務効率化支援処理について、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0029】
業務データ収集・分析サーバー14の制御部141は、可視化工程(ステップS1)、標準化工程(ステップS2)、第1最適化工程(ステップS3)、第2最適化工程(ステップS4)、共同化工程(ステップS5)の各工程を実施する。
【0030】
可視化工程(ステップS1)は、業務を構成、実現手段で分類し、異なる業務・組織から同じ性質の作業工程を判定、抽出する工程である。具体的には、業務データD1を収集し、所定の属性情報(性質、打ち手、キーワード)に基づいて作業工程に分類し、現状業務フロー(As-Is)を作成する。
標準化工程(ステップS2)は、同じ性質の作業工程を有する複数の業務を比較し、標準作業工程、標準作業時間を算出する工程である。具体的には、属性情報に基づいて複数の現状業務フローから類似の作業工程を抽出して比較し、標準作業工程と標準作業時間(目標値)が設定された標準業務フロー(To-Be)を作成する。
第1最適化工程(ステップS3)は、標準作業工程、標準作業時間を実現するために必要なツールや手法を表示させる工程である。具体的には、標準業務フローを実現するための打ち手を提示する。
第2最適化工程(ステップS4)は、第1最適化工程の手法を採用したときの、複数の業務における効果の総計を算出して表示させる工程である。具体的には、現状業務フローと標準業務フローを比較し、打ち手を実施したときの改善効果を試算し、提示する。
共同化工程(ステップS5)は、異なる組織間で「可視化工程→標準化工程」を行う工程である。具体的には、共通の打ち手を複数業務に適用(共同化)する。
【0031】
次に、現状業務フロー及び標準業務フローを作成する業務フロー作成処理について、図4のフローチャートを参照して説明する。
【0032】
まず、業務データ収集・分析サーバー14の制御部141は、PC11から業務データD1を収集する(ステップS101)。なお、業務データD1は、PC11の操作部111を介して、ユーザーにより入力される。
【0033】
次に、制御部141は、ステップS1で収集した業務データを所定の属性にしたがって複数の作業工程に分解する(ステップS102)。ここで、所定の属性は、作業者、作業順序である。また、分解された作業工程は、単一作業又は単一作業を集約した作業である。
【0034】
次に、制御部141は、ステップS102で分解された複数の作業工程を属性情報に基づいて分類する(ステップS103)。具体的には、制御部141は、ステップS102で分解された複数の作業工程に属性情報を付与又はステップS102で分解された複数の作業工程を属性情報に変換して、分類する。なお、属性情報は、PC11の操作部111を介して、ユーザーにより入力される。
すなわち、制御部141は、本発明の分類手段として機能する。
【0035】
次に、制御部141は、ステップS103で分類した複数の作業工程に基づいて、現状業務フローを作成する(ステップS104)。
すなわち、制御部141は、本発明の作成手段として機能する。
制御部141は、上記のステップS101~ステップS104の処理を実行することで、可視化工程(図3のステップS1)を実施する。
【0036】
次に、制御部141は、ステップS104で作成された複数の異なる業務ごとの現状業務フローの作業工程を所定条件で比較して、標準的な作業工程(標準作業工程)を決定する標準作業工程決定処理を行う(ステップS105)。具体的には、制御部141は、複数の異なる業務の各々が有する作業工程の属性情報に基づいて業務の類似性を判断し、類似性が高いと判断された業務ごとの現状業務フローの作業工程を比較する。ここで、標準作業工程は、理想的な、あるべき姿の作業工程である。標準作業工程を決定する手段としては、新たな作業工程を追加する、既存の作業工程を削除する、既存の作業工程を入れ替える等が挙げられる。また、標準作業工程を決定する際には、作業工程の単位時間を算出して比較し、少ない方の単位時間を標準的な作業時間(標準作業時間)として決定する。
【0037】
ここで、図4のステップS105で行われる標準作業工程決定処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0038】
まず、制御部141は、複数の異なる現状業務フローの作業工程に付与された属性情報を抽出する(ステップS201)。
【0039】
次に、制御部141は、ステップS201で抽出された属性情報に基づいて、同一の属性情報を有する作業工程を抽出する(ステップS202)。
【0040】
次に、制御部141は、ステップS202で抽出された同一の属性情報を有する作業工程の優劣を、所定条件で比較する(ステップS203)。ここで、所定条件は、承認フロー、誤り発生数、確認数、機械学習等である。
【0041】
次に、制御部141は、ステップS203で比較した結果、所定条件で優れている作業工程を標準作業工程に決定する(ステップS204)。
【0042】
図4に戻り、制御部141は、ステップS105で決定された標準作業工程と標準作業時間とを組み合わせて、標準作業時間の標準作業工程からなる標準業務フローを作成する(ステップS106)。
すなわち、制御部141は、本発明の標準化手段として機能する。
制御部141は、上記のステップS105、ステップS106の処理を実行することで、標準化工程(図3のステップS2)を実施する。
【0043】
次に、作成された現状業務フローについて、図6及び図7のフローチャートを参照して説明する。図6に、標準業務フローを作成する対象である業務(△証明書の交付業務)の現状業務フロー、図7に、図6の業務と類似する業務(□証明書発行業務)の現状業務フローを示す。なお、図6及び図7に示される各作業工程は2段構成となっており、上段に各作業工程の名称、下段に各作業工程の属性情報、担当者、作業時間が左から順に並べられている。
【0044】
まず、図6のフローチャートを参照して、△証明書の交付業務を説明する。
△証明書の交付業務においては、まず、窓口相談の工程a1が実施される。窓口相談の工程a1は、属性情報が「受付1[相談]」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「5分」である。
【0045】
次に、受付の工程a2が実施される。受付の工程a2は、属性情報が「受付2[書類受理]」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「3分」である。
【0046】
次に、記入事項確認の工程a3が実施される。記入事項確認の工程a3は、属性情報が「確認」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「3分」である。
【0047】
次に、記入事項確認の工程a4が実施される。記入事項確認の工程a4は、属性情報が「確認」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「2分」である。
【0048】
次に、住民票照合の工程a5が実施される。住民票照合の工程a5は、属性情報が「照会」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「3分」である。また、工程a5には、根拠法令(法令○条)が示されている。
【0049】
次に、交付可否判断の工程a6が実施される。交付可否判断の工程a6は、属性情報が「審査」であり、担当者が「臨時職員」であり、作業時間が「10分」である。
【0050】
次に、担当承認の工程a7が実施される。担当承認の工程a7は、属性情報が「承認」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「5分」である。
【0051】
次に、係長承認の工程a8が実施される。係長承認の工程a8は、属性情報が「承認」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「3分」である。
【0052】
次に、システム入力の工程a9が実施される。システム入力の工程a9は、属性情報が「登録」であり、担当者が「OCR/RPA(Robotic Process Automation)」であり、作業時間が「1分」である。
【0053】
次に、チェックの工程a10が実施される。チェックの工程a10は、属性情報が「突合」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「1分」である。
【0054】
次に、証明書印刷の工程a11が実施される。証明書印刷の工程a11は、属性情報が「交付1[印刷]」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「2分」である。
【0055】
次に、封入の工程a12が実施される。封入の工程a12は、属性情報が「交付2[封入]」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「1分」である。
【0056】
次に、発送の工程a13が実施される。発送の工程a13は、属性情報が「交付3[発送]」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「2分」である。
【0057】
次に、図7のフローチャートを参照して、△証明書の交付業務(図6参照)と類似する業務である□証明書発行業務を説明する。
□証明書発行業務においては、まず、申請書受理の工程b1が実施される。申請書受理の工程b1は、属性情報が「受付2[書類受理]」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「1分」である。
【0058】
次に、窓口確認の工程b2が実施される。窓口確認の工程b2は、属性情報が「確認」であり、担当者が「臨時職員」であり、作業時間が「3分」である。
【0059】
次に、担当審査の工程b3が実施される。担当審査の工程b3は、属性情報が「審査」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「7分」である。また、工程b3には、根拠法令(法令□条)が示されている。
【0060】
次に、担当承認の工程b4が実施される。担当承認の工程b4は、属性情報が「承認」であり、担当者が「担当、正規職員」であり、作業時間が「5分」である。
【0061】
次に、交付指示書承認の工程b5が実施される。交付指示書承認の工程b5は、属性情報が「承認」であり、担当者が「係長」であり、作業時間が「2分」である。
【0062】
次に、システム入力の工程b6が実施される。システム入力の工程b6は、属性情報が「登録」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「6分」である。
【0063】
次に、証明書確認の工程b7が実施される。証明書確認の工程b7は、属性情報が「突合」であり、担当者が「正規職員」であり、作業時間が「2分」である。
【0064】
次に、印刷の工程b8が実施される。印刷の工程b8は、属性情報が「交付1[印刷]」であり、担当者が「外部委託」であり、作業時間が「0分」である。
【0065】
次に、封入の工程b9が実施される。封入の工程b9は、属性情報が「交付2[封入]」であり、担当者が「外部委託」であり、作業時間が「0分」である。
【0066】
次に、発送の工程b10が実施される。発送の工程b10は、属性情報が「交付3[発送]」であり、担当者が「外部委託」であり、作業時間が「0分」である。
【0067】
次に、図6及び図7の現状業務フローを比較して作成された標準業務フロー(△証明書の交付業務)について、図8のフローチャートを参照して説明する。なお、図8に示される各作業工程は2段構成となっており、上段に各作業工程の名称、下段に各作業工程の属性情報、担当者、作業時間が左から順に並べられている。
【0068】
まず、属性情報が「受付1[相談]」の作業工程である窓口相談の工程c1が実施される。属性情報が「受付1[相談]」の作業工程は、図7には存在せず、図6の工程a1のみであるので、工程a1の内容をそのまま工程c1としている。
【0069】
次に、属性情報が「受付2[書類受理]」の作業工程である申請書受理の工程c2が実施される。属性情報が「受付2[書類受理]」の作業工程は、図6の工程a2及び図7の工程b1であり、作業時間は工程a2(3分)よりも工程b1(1分)の方が短い。したがって、作業時間が短い工程b1の内容をそのまま工程c2としている。
【0070】
次に、属性情報が「確認」の作業工程である窓口確認の工程c3が実施される。属性情報が「確認」の作業工程は、図6の工程a3、a4及び図7の工程b2であり、属性情報が同一の作業工程の数は図7の方が少ない。したがって、工程c3は、属性情報が同一の作業工程の数が少ない図7の工程b2の内容をそのまま採用している。すなわち、担当者は、工程b2の担当者である「臨時職員」である。
【0071】
次に、属性情報が「照会」の作業工程である住民票照合の工程c4が実施される。属性情報が「照会」の作業工程は、図7には存在せず、図6の工程a5のみである。ここで、工程a5には、根拠法令(法令○条)があるので、工程を削除することなく、工程a5の内容をそのまま工程c4として反映している。
【0072】
次に、属性情報が「審査」の作業工程である担当審査の工程c5が実施される。属性情報が「審査」の作業工程は、図6の工程a6及び図7の工程b3である。ここで、工程b3には、正規職員が実施すべき業務であることを示す根拠法令(法令□条)があるので、工程c5の担当者には工程b3の内容(正規職員)を採用している。また、作業時間は、工程a6(10分)よりも工程b3(7分)の方が短いので、工程c5の作業時間には作業時間が短い工程b3の作業時間を採用している。すなわち、根拠法令の観点からも作業時間の観点からも工程b3を優先すべき状況であるので、工程b3の内容をそのまま工程c5としている。
【0073】
次に、属性情報が「承認」の作業工程である担当承認の工程c6及び交付指示書承認の工程c7が実施される。属性情報が「承認」の作業工程は、図6の工程a7、a8及び図7の工程b4、b5であり、属性情報が同一の作業工程の総作業時間は、工程a7+a8(5+3=8分)よりも工程b4+b5(5+2=7分)の方が短い。したがって、属性情報が同一の作業工程の総作業時間が短い工程b4、b5の内容をそのまま工程c6、c7としている。
【0074】
次に、属性情報が「登録」の作業工程であるシステム入力の工程c8が実施される。属性情報が「登録」の作業工程は、図6の工程a9及び図7の工程b6であり、作業時間は工程b6(6分)よりも工程a9(1分)の方が短い。したがって、作業時間が短い工程a9の内容をそのまま工程c8としている。
【0075】
次に、属性情報が「突合」の作業工程であるチェックの工程c9が実施される。属性情報が「突合」の作業工程は、図6の工程a10及び図7の工程b7であり、作業時間は工程b7(2分)よりも工程a10(1分)の方が短い。したがって、作業時間が短い工程a10の内容をそのまま工程c9としている。
【0076】
次に、属性情報が「交付1[印刷]」の作業工程である印刷の工程c10が実施される。属性情報が「交付1[印刷]」の作業工程は、図6の工程a11及び図7の工程b8であり、作業時間は工程a11(2分)よりも外部委託の工程b8(0分)の方が短い。したがって、作業時間が短い工程b8の内容をそのまま工程c10としている。
【0077】
次に、属性情報が「交付2[封入]」の作業工程である封入の工程c11が実施される。属性情報が「交付2[封入]」の作業工程は、図6の工程a12及び図7の工程b9であり、作業時間は工程a12(1分)よりも外部委託の工程b9(0分)の方が短い。したがって、作業時間が短い工程b9の内容をそのまま工程c11としている。
【0078】
次に、属性情報が「交付3[発送]」の作業工程である発送の工程c12が実施される。属性情報が「交付3[発送]」の作業工程は、図6の工程a13及び図7の工程b10であり、作業時間は工程a13(2分)よりも外部委託の工程b10(0分)の方が短い。したがって、作業時間が短い工程b10の内容をそのまま工程c12としている。
【0079】
次に、作成された標準業務フローを採用したときの効果の総計を算出して表示させる処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0080】
まず、制御部141は、図4のステップS106で作成された標準業務フローの実現手段(打ち手)を決定する(ステップS301)。ここで、実現手段を決定する手段としては、例えば、作業工程と実現手段とを関連付けたデータベース又は機械学習から選定する手段等が挙げられる。
制御部141は、ステップS301の処理を実行することで、第1最適化工程(図3のステップS3)を実施する。
【0081】
次に、制御部141は、図4のステップS104で作成された現状業務フローと図4のステップS106で作成された標準業務フローとを比較し、それぞれの作業工程の関連付けを行う(ステップS302)。
【0082】
次に、制御部141は、ステップS302で関連付けられた作業工程の作業時間の差分を算出し、ステップS301で決定された実現手段で得られる改善効果を算出する(ステップS303)。
【0083】
次に、制御部141は、ステップS301で決定された実現手段と標準作業工程との関連付けを行い、ステップS303で算出された改善効果を組み合わせた結果をPC11に出力する(ステップS304)。
制御部141は、上記のステップS302~ステップS304の処理を実行することで、第2最適化工程(図3のステップS4)を実施する。
【0084】
すなわち、制御部141は、上記の図9の処理を実行することで、本発明の最適化手段として機能する。
【0085】
以上のように、本実施形態に係る業務効率化支援システム1は、作業情報を含む業務データ及び業務データを分類するための属性情報を入力する入力手段(操作部111)と、入力手段により入力された属性情報に基づいて、入力手段により入力された業務データを複数の作業工程に分類する分類手段(制御部141)と、分類手段により分類された複数の作業工程に基づいて、現状業務フローを作成する作成手段(制御部141)と、作成手段により作成された複数の異なる業務ごとの現状業務フローを比較して、標準的な作業時間の標準的な作業工程からなる標準業務フローを作成する標準化手段(制御部141)と、を備える。
したがって、本実施形態に係る業務効率化支援システム1によれば、複数の現状業務フローを比較して作業工程や作業時間を標準化することができるので、業務フローを容易に最適化することが可能となる。よって、多数の業務を含む組織に対して横断的に業務効率化を図ることができるので、全体最適を実現して、投資対効果を最大化することができる。
【0086】
また、本実施形態に係る業務効率化支援システム1によれば、標準化手段は、機械学習により標準業務フローを作成する。
したがって、本実施形態に係る業務効率化支援システム1によれば、自動的に標準業務フローを作成することができるので、投資対効果を容易に最大化することができる。
【0087】
また、本実施形態に係る業務効率化支援システム1によれば、標準化手段は、複数の異なる業務ごとの現状業務フローにおいて、属性情報が同一の作業工程の数を比較し、標準業務フローにおける属性情報が同一の作業工程の数を、属性情報が同一の作業工程の数が最小である現状業務フローと一致させる。
したがって、本実施形態に係る業務効率化支援システム1によれば、業務フローの作業工程の数を最小化することができるので、業務を効率化することができる。
【0088】
また、本実施形態に係る業務効率化支援システム1によれば、標準化手段は、複数の異なる業務ごとの現状業務フローにおいて、属性情報が同一の作業工程の総作業時間を比較し、標準業務フローにおける属性情報が同一の作業工程の総作業時間を、属性情報が同一の作業工程の総作業時間が最小である現状業務フローと一致させる。
したがって、本実施形態に係る業務効率化支援システム1によれば、業務に係る作業時間を最小化することができるので、業務を効率化することができる。
【0089】
また、本実施形態に係る業務効率化支援システム1によれば、分類手段は、入力手段により入力された業務データを複数の作業工程に分解し、分解された複数の作業工程に属性情報を付与又は分解された複数の作業工程を属性情報に変換して、分類する。
したがって、本実施形態に係る業務効率化支援システム1によれば、属性情報を用いて作業工程を分類することができるので、作業工程同士を比較し易くすることが可能となり、作業工程や作業時間の標準化を容易に行うことができる。
【0090】
また、本実施形態に係る業務効率化支援システム1によれば、標準化手段は、複数の異なる業務の各々が有する作業工程の属性情報又は名称に基づいて業務の類似性を判断し、類似性が高いと判断された業務ごとの現状業務フローを比較する。
したがって、本実施形態に係る業務効率化支援システム1によれば、複数の現状業務フローを比較する前段階において、業務同士の類似性を確保することができるので、作業工程や作業時間を適切に標準化することが可能となり、業務フローの最適化をより確実に実現することができる。
【0091】
また、本実施形態に係る業務効率化支援システム1は、作成手段により作成された現状業務フローと、標準化手段により作成された標準業務フローと、の差分に基づいて、現状業務フロー内の作業工程を標準的な作業工程に変更する際に必要な実現手段を出力する最適化手段(制御部141)を備える。
したがって、本実施形態に係る業務効率化支援システム1によれば、作業工程や作業時間を標準化する際の打ち手を提供することができるので、業務フローを容易に最適化することが可能となる。よって、多数の業務を含む組織に対して横断的に業務効率化を図ることができるので、全体最適を実現して、投資対効果を最大化することができる。
【0092】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0093】
例えば、上記実施形態では、図4のステップS105で標準作業工程を決定する際に、複数の異なる業務の各々が有する作業工程の「属性情報」に基づいて業務の類似性を判断するようにしているが、これに限定されるものではない。例えば、「属性情報」の代わりに、「名称」に基づいて業務の類似性を判断するようにしてもよい。
【0094】
その他、業務効率化支援システムを構成する各装置の細部構成及び各装置の細部動作に関しても、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 業務効率化支援システム
11 PC
111 操作部(入力手段)
112 表示部
12 エッジサーバー
13 業務サーバー
14 業務データ収集・分析サーバー
141 制御部(分類手段、作成手段、標準化手段、最適化手段)
15 クラウドサービス
16 データベース
17 ユーザーインターフェース
18 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9