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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】微量計量供給機
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/48 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
B65G65/48 F
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021072930
(22)【出願日】2021-04-22
(65)【公開番号】P2022167246
(43)【公開日】2022-11-04
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】516166317
【氏名又は名称】株式会社サイレック
(74)【代理人】
【識別番号】100187296
【弁理士】
【氏名又は名称】桜井 重夫
(72)【発明者】
【氏名】横原 大
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-207842(JP,A)
【文献】特開昭64-030635(JP,A)
【文献】特開2016-056005(JP,A)
【文献】特開昭63-270537(JP,A)
【文献】特開昭57-175627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒状の扁平な内部中空の密閉式のホッパーと、該ホッパー内の微粒子を次工程に供給する供給用パイプとを、該供給用パイプの後部を上記ホッパー内に臨ませて同軸に結合してこれらを一体的に同軸で回転させる供給装置であって、上記ホッパーの回転方向が開口し且つ両端部が開口したガイド部材を、上記ホッパーの中心部から半径方向に向けて上記ホッパーの円筒状内側面との間に間隔を開けて上記供給用パイプ側の上記ホッパー内壁に固定し、且つ上記ガイド部材の先端部から上記ホッパーの回転方向に間隔をあけて上記ホッパーの上記円筒状内側面に捕捉切欠を設けて成り、上記ホッパーの回転に従って、上記ホッパー内下部の微粒子を上記捕捉切欠内に捕捉し、捕捉された微粒子を上記ガイド部材内に上方から落下させ、落下させた微粒子を上記ガイド部材内を移動させて上記供給パイプ内に供給するように構成したことを特徴とする微量計量供給機。
【請求項2】
ガイド部材がホッパーの一半径方向及びその反対半径方向に一対設けられており、これに対応して捕捉切欠が一対設けられていることを特徴とする請求項1に記載の微量計量供給機。
【請求項3】
ホッパーが低底丸鍋状のホッパー本体と該ホッパー本体に着脱可能で中心部に貫通口を有する円板状の蓋体とから成り、捕捉切欠が上記ホッパー本体の開口内縁部に設けられており、ガイド部材が上記蓋体に固定されており、供給用パイプがその後部を上記貫通口内に位置させてクランプを介し上記蓋体に着脱可能に固定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の微量計量供給機。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粒子医薬品などを間欠的に一定微量(極微量)ずつ整列させて供給可能な微量計量供給機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粒状物等の原料をホッパーから次工程に供給するための供給機としては、ホッパーに傾斜配した回転パイプを具備させて連続的に原料を供給する所謂パイプフィーダが知られている。この種のものでは、ホッパーは回転せずに原料を蓄えているのみであり、そのため回転するパイプに原料を供給するために、インペラと呼ばれる様々な形状の切り出し具が必要であった。また、次工程に供給する原料を計量(又は計数)して一定量を供給しようとする場合、回転するパイプの先端部に計量カップを設け、供給の最終工程で計量を行っていた。更に、振動フィーダーを用いた計量器の場合、即停止が不可能なため、シャッター装置を設ける必要があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5853260号公報
【文献】特開2003-212322号公報
【文献】特開2011-063307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、切り出し具を使用する供給機の場合、原料を最後まで使い切ることは不可能であった。そのため、医薬品などの高価な原料を供給には不適当であった。また、パイプの先端に計量カップの設けられたものは、計量における微調整が行い難かった。また、ジャッター装置の設けられたものでは、シャッターの開閉速度に起因する計量誤差が生じ易く、正確に計量できない問題があった。
【0005】
本発明者は、医薬品などの高価な原料で0.3mm程度以下の微粒子からなる原料を極微量(50mg程度)ずつ次工程のアンプルへの充填作業に供給できないかと鋭意研究を続けてきた結果、従来のパイプフィーダーを抜本的に改良することにより、上述の問題を解決できることを見出し本発明に至ったものである。従って、本発明の目的は、上述のような問題を解決することであり、新規な微量計量供給機を提供することによりこの問題を解決することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するため、略円筒状の扁平な内部中空の密閉式のホッパーと、該ホッパー内の微粒子を次工程に供給する供給用パイプとを、該供給用パイプの後部を上記ホッパー内に臨ませて同軸に結合してこれらを一体的に同軸で回転させる供給装置であって、上記ホッパーの回転方向が開口し且つ両端部も開口したガイド部材を、上記ホッパーの中心部から半径方向に向けて上記ホッパーの円筒状内側面との間に間隔を開けて上記供給用パイプ側の上記ホッパー内壁に固定し、且つ上記ガイド部材の先端部から上記ホッパーの回転方向に間隔をあけて上記ホッパーの上記円筒状内側面に捕捉切欠を設けて成り、上記ホッパーの回転に従って、上記ホッパー内下部の微粒子を上記捕捉切欠内に捕捉し、捕捉された微粒子を上記ガイド部材内に上方から落下させ、落下させた微粒子を上記ガイド部材内を移動させて上記供給パイプ内に供給するように構成したことを特徴とする微量計量供給機を提供するものである。
【0007】
また、本発明の好ましい実施態様においては、ガイド部材がホッパーの一半径方向及びその反対半径方向に一対設けられており、これに対応して捕捉切欠が一対設けられている。
【0008】
また、本発明の更に好ましい実施態様においては、ホッパーが低底丸鍋状のホッパー本体と該ホッパー本体に着脱可能で中心部に貫通口を有する円板状の蓋体とから成り、捕捉切欠が上記ホッパー本体の開口内縁部に設けられており、ガイド部材が上記蓋体に固定されており、供給用パイプがその後部を上記貫通口内に位置させてクランプを介し上記蓋体に着脱可能に固定されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の微量計量供給機は、上述のように構成されているため、本発明の微量計量供給機によれば、医薬品などの高価な原料で0.3mm程度以下の微粒子からなる原料を極微量(50mg程度)ずつ次工程のアンプルへの充填作業に供給できて、最後まで使い切ることが可能であり、原料が挟まるような箇所もないため、原料に大きなせん断応力が加わらない。また、ホッパー内に残った原料でも、再利用することが容易である。更に、供給用パイプ内を、原料を一定の極微量ずつ間隔を開けてしかも整列させて連続的に移動させることができるため、正確に計量したような状態で原料を間欠的に次工程に供給することができる。しかも、パイプ、従ってまたホッパーの回転速度を調整することにより、極微量の原料の微調整も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の微量計量供給機の一実施例の模式的な断面図である。
図2図1の微量計量供給機の左側面図である。
図3図1の微量計量供給機の分解図である。
図4図1の模式的なA―A端面斜視図である。
図5図1の微量計量供給機のホッパー本体の斜視図である。
図6図1のA―A端面図で、ホッパーの回転に伴いガイド部材が最下点手前の位置にあることを示す図である。
図7図1のA―A端面図で、ホッパーの回転に伴いガイド部材が最下点を通り過ぎた位置にあることを示す図である。
図8図1のA―A端面図で、ホッパーの回転に伴いガイド部材が中間点の位置にあることを示す図である。
図9図1のA―A端面図で、ホッパーの回転に伴いガイド部材が中間点と最上点の間の位置にあることを示す図である。
【実施例
【0011】
図1は本発明の微量計量供給機の一実施例の模式的な断面図、図2図1の微量計量供給機の左側面図、図3図1の微量計量供給機の分解図であって、これらの図において、1は略円筒状の扁平な内部中空の密閉式のホッパー、2はホッパー1内の微粒子5(6図以降参照)を次工程に供給する供給用パイプである。ホッパー1と供給用パイプ2は、供給用パイプ2の後部をホッパー1内に臨ませて同軸に結合されており、従来のものとは異なり、これらは一体的に同軸で回転させるように構成されている。
【0012】
ホッパー1は、図5にも示す如く低底丸鍋状のホッパー本体11と、中心部に図4にも示す如く貫通口12を有する円板状の蓋体13とで構成されており、蓋体13は、ネジ等によりホッパー本体11に着脱可能に固定されている。そして、供給用パイプ2はその後部を貫通口13内に実質的に位置させてクランプ15を介し蓋体13に着脱可能に固定されている。この固定によって、ホッパー1と供給用パイプ2は、一体的に同軸で回転する。尚、供給用パイプ2は、実施例の場合、厳密には、大径長尺の供給用パイプ本体(図示せず)とその内側に、ホッパー1側に一部を露出させてこれと一体的に固定した小径短尺の連通パイプ(図1乃至図3には符号2で示されている)とで構成されているが、これらは機能的には別体で構成される必要もないので、これらは併せて以下供給用パイプ2と記すことにする。図2において、14はクランプ固定ネジ、16はクランプレバーである。
【0013】
3は、図4にも示す如くホッパー1の中心部から半径方向に向けてホッパー1の円筒状内側面との間に間隔を開けて供給用パイプ2側のホッパー内壁、具体的には蓋体13に固定したガイド部材である。ガイド部材3は、ホッパー1の回転方向が開口した形状に構成されている。更に具体的には、ガイド部材3は、その横断面が蓋体13の内面との関係においてV字型を形成するように蓋体13の内面に固定されており、且つ蓋体13の中心部側の先端部はL字型にホッパー1の回転方向に屈曲されており、その屈曲部の極手前を蓋体13の貫通口12に臨ませている。従って、ガイド部材3における蓋体13の貫通口12側がその反対側の半径方向先端部よりよりもホッパー1の回転に伴い低く位置した場合、若しガイド部材3と蓋体13との間に上方から微粒子(粒状原料)5が供給されると、供給された微粒子5はガイド部材3に沿って蓋体13の貫通口12側に移動し、上記屈曲部から貫通口12を経て供給用パイプ2内に導かれる。また、ガイド部材3の半径方向の反対側の先端部は開口しており、ガイド部材3における蓋体13の貫通口12側よりもその反対側の半径方向先端部がホッパー1の回転に伴い低く位置した場合、ガイド部材3がホッパー1下部内の微粒子5内を通過する際にガイド部材3内に捕捉された微粒子5は、ホッパー1内に下部の微粒子5から脱出した時点で、開口部12の反対側の半径方向の先端部が開口しているため、この先端部の開口から、ホッパー1の円筒状内側面との間の間隔を介してホッパー1内に落下する。尚、この実施例では、ガイド部材3はホッパー1の一半径方向及びその反対半径方向に一対設けられている。
【0014】
4は、ガイド部材3の半径方向先端部からホッパー1の回転方向に間隔をあけてホッパー1の円筒状内側面に設けられた捕捉切欠である。更に具体的には、捕捉切欠4は、図4及び図5に示す如くホッパー本体11の開口内縁部に設けられている。捕捉切欠4のガイド部材3の間隔は近すぎても遠過ぎても好ましくなく、図4に示す程度の距離位が好ましい。
捕捉切欠4は、実施例の場合、ガイド部材3が一対設けられているのに対応させて、ホッパー本体11の中心部に対して対称に一対設けられている。尚、図4において捕捉切欠4とガイド部材3は同一部材に設けられているように視覚されるが、この実施例の場合、捕捉切欠4はホッパー本体11に、またガイド部材3は蓋体13に設けられている。もっとも、蓋体13を円板状に構成せず、蓋体13の周縁部を円筒状に直角に突出させそこに捕捉切欠4を設けることも本発明において可能なことは云う迄もない。また、捕捉切欠4の形状には図4に示すものに限定されず、様々な形状にすることができるが、なるべく、捕捉切欠4が下方からホッパー1の中間部の水平位置までは捕捉した微粒子5がこぼれ難い形状を選択するのが好ましい。
【0015】
而して、実施例の微量計量供給機は、従来の所謂パイプフィーダーと同様、供給用パイプ2が支持ローラーによって支持されつつ駆動ローラーによって回転駆動される。この回転駆動によって、供給用パイプ2に同軸に結合されたホッパー1も、実施例の場合供給用パイプ2とともに回転する。供給用パイプ2の回転速度や、供給用パイプ2の供給先端部を下方に位置させた供給用パイプの傾斜角度が適宜可能なことは従来品と同様である。
【0016】
実施例の微量計量供給機は上述のように構成されているため、次に、ホッパー1の回転に従って、ホッパー1内下部の微粒子5を上記捕捉切欠4内に捕捉し、捕捉された微粒子5を上記ガイド部材3の内に上方から落下させ、落下させた微粒子5を上記ガイド部材3内を移動させて上記供給パイプ2内に供給する。以下、この動作を図6乃至図9に基づいて説明する。
【0017】
図6図1のA―A端面図で、ホッパー1の回転に伴いガイド部材3が最下点手前の位置にあることを示す図である。この状態では、ガイド部材3も捕捉切欠4もホッパー1内下部に溜まっている微粒子5内にあり、ガイド部材3内にも捕捉切欠4内にも微粒子5が捕捉されている。
【0018】
6の状態からホッパー1が矢印方向に回転すると図7の状態となる。図7は、ホッパー1の回転に伴いガイド部材3が最下点を通り過ぎた位置にあることを示す図である。この状態では図6の状態と大差はなく、ガイド部材3も捕捉切欠4もホッパー1内下部に溜まっている微粒子5内にあり、ガイド部材3内にも捕捉切欠4内にも微粒子5が捕捉されている。
【0019】
図8はホッパー1の回転に伴いガイド部材3が中間点の位置にあることを示す図である。図7に状態からホッパー1が矢印方向に回転し図8に至る前にガイド部材3の先端部がホッパー1内下部の微粒子5から脱出する。ガイド部材3の先端部が脱出すると、開口部12の先端部は前述の如く開口しているため、この先端部の開口から、ガイド部材3に捕捉されていた微粒子5は、ホッパー1の円筒状内側面との間の間隔を介してホッパー1内に落下する。この落下は図8の状態に至るまでに完了し、図8の状態では、ガイド部材3内の微粒子5は空になっている。一方、捕捉切欠4内に捕捉されていた微粒子5は殆ど捕捉された状態にある。
【0020】
図8の状態からホッパー1が矢印方向に回転すると、捕捉切欠4内に捕捉されていた微粒子5は極微量ずつ落下し、最初は図示の実施例の場合空になったガイド部材3内にその上方から落下せず、ガイド部材3の先端部とホッパー1の円筒状内側面との間の間隔を介して直接ホッパー1下部に落下する。図9の状態にホッパー1が回転位置する前に、捕捉切欠4内の微粒子5は、ガイド部材3内に上方から落下し始める。この落下は図9の状態で略終了する。尚、図9では微粒子5が落下しているように図示しているが、この時までに微粒子5の落下が終了しているのが通常である。図9から明らかなように、この時、一対のガイド部材3の反対側(図9のホッパー1内左下部側)のガイド部材3及びこれに対応する捕捉切欠4にはホッパー内下部の微粒子5が捕捉乃至捕捉開始されている。以後このガイド部材3と捕捉切欠4についてホッパー1の回転に伴い図6から図9に至る動作が行われ、繰り返しガイド部材3内への上方からの微粒子5がホッパー1の半回転毎に落下する。
【0021】
ガイド部材3内に落下した微粒子5は、ガイド部材3に沿って蓋体13の貫通口12側に移動し、上記屈曲部から貫通口12を経て供給用パイプ2内に導かれる。供給用パイプ2内に導入された供給用パイプ2の回転及び傾斜によってひと塊りになって供給用パイプ2内を次工程に向けて進行する。そして、この供給用パイプ2内への導入はホッパー1の半回転毎に間欠的に行われるから、供給用パイプ2への微粒子5は間欠的に所定量ずつ計量された状態で導入され、結果として、供給用パイプ2内では計量された所定量の微粒子5の塊りが整列した状態で進行し、次々と一定間隔で次工程の例えばアンプル詰めに供給される。
【0022】
本発明の微量計量供給機において、供給する微粒子5のひと塊りの量は、捕捉切欠4の形状の大きさ、ガイド部材3の長さ、ガイド部材3と捕捉切欠4の位置関係によって調整可能であるが、供給パイプ2、従ってホッパー1の回転速度を調整することにより捕捉切欠4内の微粒子5の慣性速度が変化するため供給する微粒子5のひと塊りの量の微調整することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の微量計量供給機は、微粒子医薬品(0.3mm程度以下)などを間欠的に一定微量(極微量、例えば50mg)ずつ整列させて供給する必要がある分野で、極めて有用であり実効的でもある。
【符号の説明】
【0024】
1 ホッパー
11 ホッパー本体
12 貫通口
13 蓋体
14 クランプ固定ネジ
15 クランプ
16 クランプレバー
2 供給用パイプ
3 ガイド部材
4 捕捉切欠
5 微粒子












図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9