公報発行日 2024年2月6
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【課題】本願発明は、与えられた振動刺激の動脈系での作用とリンパ管系での作用の、相対的な大きさの割合を調節可能とし、簡単な機構と小さなパワーで振動刺激を生じさせて不要な振動や騒音を少なくし、唾液に満ちた狭小な口腔内環境に装置を適用して、複数の歯間乳頭部を閉口状態で同時にマッサージすることを目的とする、歯周組織マッサージャーの開発を課題とするものである。
【解決手段】本願発明では、振動モーターを用いる歯周組織マッサージャーの振動モーター制御回路に可変抵抗器を備え、該可変抵抗器が振動モーターの定格出力から振動モーターが停止に至るまでの範囲に於いて無段階的な調節が可能であるものとし、振動モーター以外の運動変換機構あるいは運動伝達機構を用いず、防水性を有した振動モーターを口腔内に入れて、振動モーターの振動を口腔粘膜に伝導することを手段とするものである。
【選択図】図2
本発明の効果を下記に示す。
チェ―ンソウ等を扱う人達が暴露されていた大きな振動が、動脈と交感神経、リンパ管等に作用して、白ろう病と呼ばれる振動傷害の原因となっていたことは良く知られている。
また、振動によって動脈に白ろう病と同様な現象が生じることが、オートバイのハンドルや肩叩き用のバイブレーターの使用でも見られることが知られていた[非特許文献8参照]。
本願発明で用いる振動モーターによる振動は、一般的に提供されている電動歯ブラシの振動よりも振幅が小さく、超音波歯ブラシあるいは音波振動歯ブラシと呼ばれる電動歯ブラシよりも振動数が小さくて、脈管に作用する振動刺激の強度が現在使用されている他の電動歯ブラシや歯茎のマッサージ装置と比べて小さい範囲を含んでいる特徴があり、且つ、振動強度の調節は操作部を有する可変抵抗器によって、振動モーターの定格出力状態から振動が停止に至るまでの無段階的な調節が可能であることから、通常の有感的振動強度から感知できる程度の微弱な振動強度までの範囲で、無段階的な利用が可能であり、加えられた振動刺激の小動脈に対する作用の大きさとリンパ管に対する作用の大きさの違いを利用して、動脈系作用を主とした作用とリンパ管系作用を主とした作用とに、使い分けることが可能である。
これによって、健康な歯茎を守り歯周病を予防する効果の高い振動刺激マッサージと歯周病の治癒機転促進効果の高い振動刺激マッサージを使い分けることが可能である他、振動強度の無段階的な調節が可能なことから、歯周病の改善状況に応じて徐々に振動強度を上げてゆく使い方が可能であり、常に適切で安全な振動強度の利用が可能である。
本願発明による装置では、振動モーター以外の機械的駆動機構や振動伝達機構を含まないために、運動変換や運動伝達に伴うエネルギー損失や、不要な振動と騒音を生じることがなく、振動モーターの形状が縦長円柱形の形状であり防水性を有していることから、湿潤な口腔内の狭小な部位に歯列に沿って挿入して保持することが容易である他、構造体のネック部が細長いために振動モーターを口腔内に入れて口腔内を口唇で密閉することが容易で、閉口状態でのマッサージが容易である特徴が有る。
本願発明による装置は、振動体を歯間部に頬舌的に挿入する歯間部挿入型のマッサージ装置ではなく、歯列と頬の間あるいは歯列と舌の間の狭小な空間の中で、近遠心方向に走る歯列に沿わせて歯頚部に在る複数の歯間乳頭部の基部と接触させることが容易で、複数の歯間乳頭部の基部を同時にマッサージすることができることから、歯周病の好発部位である歯間乳頭部に於けるマッサージの能率が良い利点がある。
防水処置が施されたリード線で、防水性を有して口腔内に挿入される振動モーターと口腔外に置かれる振動モーター制御回路を接続する本願発明請求項1、2による実施例では、振動モーターを口腔内に入れたまま閉口し、閉口状態のまま歯茎をマッサージすることが可能である。
このため、口を閉じたまま唾液を嚥下することが容易で、開口状態でマッサージする場合のように、しばしば装置の口腔内適用部を口腔外に出して唾液を嚥下、あるいは吐き出すことや、唾液が口から滴り落ちることがなく、能率良く、何時でも、何処でも、他の行動をしながら、他に迷惑をかけることもなく、静かに歯周組織をマッサージすることが可能であるために、一日に行うマッサージの頻度を増やして時間を多くすることが容易で、その分、早く大きなマッサージ効果を期待することができる。
本願発明では、健康な歯周組織に於いて、可変抵抗器を操作して心地の良い振動刺激強度に調節することが可能であり、これによって、動脈血流を促進して歯周組織の各細胞に十分な栄養と酸素を届け、各細胞を活性化し組織の代謝の健全性を保ち歯周組織を好気的環境に維持して嫌気性菌の抑制を支援することができると共に、リンパ流も同時に促進されることから、組織液の量と組成の健全性を保つよう支援することができ、付着上皮の代謝とターンオーバーを正常に保ち、健全な歯肉溝滲出液と白血球を生理的に歯肉溝に滲出させること等を支援して、歯周組織が備える生理的防御機構の機能を促進して歯周病を予防する効果を期待することができる。
皮膚の表面を軽く摩るような操作でも、リンパ管の蠕動運動を誘発あるいは促進することが可能であるため、美容あるいは浮腫の治療に於いてもその様な操作が用いられているが、その様な操作は小動脈の血流動態に影響を及ぼすものではない。
本願発明では振動強度の調節が、操作部を有する可変抵抗器によって振動モーターの定格出力状態から振動が停止に至るまでの無段階的な調節が可能であり、感知できる程度の微弱な振動の利用が可能であることから、歯周病の存在が疑われる場合、もしくは歯周病の存在が明らかな場合に於いて、相当する微弱な振動刺激を用いることで動脈系の作用を抑制してリンパ系の作用を促進するマッサージ操作とすることが可能である。
これによって、量と組成に於いて異常を来たしている組織液の歯周組織からの排出を優先して促進し、炎症の進行を断ち切り、微小循環系と代謝を正常化し、歯周病を治癒機転に向かわせる効果を期待することができる。
振動は骨内を伝わり易い性質があり、歯茎に加えられた振動が骨伝導によって内耳に伝わり、振動刺激を音として感知することができる。
従って、本願発明による装置では、顎顔面の骨に振動刺激を与えることが可能である。
一方、骨に加えられた衝撃を骨細胞が感知して、骨芽細胞に造骨を促進させる作用があることや、衝撃がない状態が続く場合には、骨細胞がスクレロスチンを大量に分泌して骨芽細胞の分裂を抑制し、骨芽細胞の数を減らすことが知られていることから[非特許文献9参照]、骨に対する振動刺激は骨細胞を刺激して造骨を促進すること、あるいはスクレロスチンの分泌を抑制して骨の正常なリモデリングを支援する効果を期待することができる。
本願発明による装置で歯間乳頭部の基部のマッサージを行う場合には、歯牙の歯頚部に沿って振動モーターを位置させることから歯槽骨にも振動が伝わる。
これによって、歯槽骨を振動刺激して骨芽細胞による造骨を促進し、歯周病による歯槽骨の吸収を抑制する効果を期待することができる。
また、咀嚼によって生じる振動が歯を伝わって歯槽骨に伝達されるが、歯を失った場合には、歯槽骨に伝達される振動が減少して、歯槽骨の減少を促進すると考えられる。
従って、歯を失った部位での本願発明の適用は、歯槽骨の吸収を抑制する効果を期待することができる。
さらに、歯牙の歯頚部に振動モーターを直接触れさせることにより、歯牙を共振現象によって振動させることが可能である。
これにより、歯槽骨に対する衝撃的な振動刺激によって歯槽骨のリモデリングを支援することや、歯根膜に対する直接的な振動刺激によって歯根膜の動脈血流量を増大させ、歯肉溝浸出液の産生量を増大することが可能であり、それらの臨床利用研究を可能とすることができる。
歯周病は細菌によって生じる歯槽骨の吸収を伴う口腔粘膜の慢性炎症であるが、慢性副鼻腔炎も細菌による鼻甲介粘膜の慢性炎症である。そして、静脈とリンパ管に富む鼻甲介粘膜は、鬱血あるいは血管の透過性亢進等で腫脹が生じ易く、粘膜が肥厚して鼻閉がもたらされ易い特徴があり、慢性副鼻腔炎の鼻粘膜と歯周病の口腔粘膜の状態は、細菌による粘膜の慢性炎症と言う点で類似性があると考えることができる。
歯周病の予防と治療に、マッサージによる歯茎のリンパ流の促進が効果を有していることから、鼻甲介粘膜のリンパ流の促進を目的としたマッサージも、炎症症状を改善し鼻粘膜の肥厚を抑制して、鼻閉を抑制する効果を期待することができると考えられる。
従って、本願発明を用いて、歯槽粘膜を介して上顎骨を振動刺激する、あるいは鼻を介して鼻骨を振動刺激することによって、骨伝導によって伝達された振動刺激によって、鼻甲介粘膜をリンパ管系の作用発現を主体とした振動強度でマッサージすることが可能である。
本願発明、請求項2による実施例では、振動モーターを鼻に接して保持する器具の製作が容易であり、鼻粘膜組織の組織液の排出を促進して鼻粘膜の肥厚を抑制し、鼻閉の改善あるいは鼻閉を予防する効果を期待することができる。
本願発明、請求項2による実施例では、上下顎の印象を採得して、上下顎模型上で、防水性を有し弾性樹脂で被覆された複数の振動モーターを、それぞれの歯列の歯間乳頭部の基部に接するように配置して、振動モーターをマウスピースに固定設置したマウスピースの製作が可能である。その際には、それぞれの振動モーターは1基しかない電源部とそれぞれに並列に接続するものであるが、その際に、それぞれの振動モーターに可変抵抗器を個別に設けて、それぞれの振動モーターを個別に制御することも可能である。
振動モーターをマウスピースに設置することによって、何時でも何処でもマウスピースをしたまま他の作業をすることや、上下顎の歯茎をそれぞれの歯茎の状態に応じた振動強度で一度に短時間でマッサージすることが可能となり、効果を得るまでの期日の短縮が可能となる他、振動モーターを床タイプのシーネに固定設置することも可能であり、臨床応用がし易い利点がある。
本発明による装置は清掃機能を全く備えていないマッサージ専用の装置であるが、歯茎のマッサージが何時でも、何処でも可能であるために、洗面所などで行う歯磨きでは、プラークの除去に専念するだけでよく、口腔衛生機器が備えるべき機能に於いて、歯の清掃機能と歯茎のマッサージ機能を明確に分離することが可能である。
それによって、それぞれに高い性能を持つ専用機器の機能別の使用が容易となり、かえって精度が高く能率の良い機能の組み合わせ利用によって、口腔の健康を効率良く大きく増進させる効果を期待することができる。
本願発明による装置は、振動モーター以外の機械的駆動機構や運動伝達機構を有していないために、不要な振動や音を生じることがなく、骨伝導によって内耳に伝達される振動音がモノトーンとなって、不快感が少ない特徴がある。
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