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特許7428352ビタミンEならびにがん治療用組成物および方法
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  • 特許-ビタミンEならびにがん治療用組成物および方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】ビタミンEならびにがん治療用組成物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4745 20060101AFI20240130BHJP
   A61K 31/136 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 47/20 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A61K31/4745
A61K31/136
A61K47/22
A61K47/20
A61P35/00
A61P43/00 121
【請求項の数】 38
(21)【出願番号】P 2021539137
(86)(22)【出願日】2020-01-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-14
(86)【国際出願番号】 US2020012423
(87)【国際公開番号】W WO2020142782
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-08-09
(31)【優先権主張番号】62/788,332
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507264860
【氏名又は名称】ユニバーシティ・オブ・バーモント・アンド・ステイト・アグリカルチュラル・カレッジ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSITY OF VERMONT AND STATE AGRICULTURAL COLLEGE
(73)【特許権者】
【識別番号】521292870
【氏名又は名称】アールエス・オンコロジー,エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】504018057
【氏名又は名称】ウェイク・フォレスト・ユニバーシティ・ヘルス・サイエンシーズ
【氏名又は名称原語表記】Wake Forest University Health Sciences
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100188374
【弁理士】
【氏名又は名称】一宮 維幸
(72)【発明者】
【氏名】カニフ,ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】フライクマン,グレゴリー
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン,キンバリー・ジョンソン
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第101445803(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0164379(US,A1)
【文献】国際公開第2002/102400(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/005529(WO,A2)
【文献】米国特許第03551554(US,A)
【文献】米国特許第03916027(US,A)
【文献】国際公開第2002/066046(WO,A1)
【文献】PLoS ONE,2015年,Vol.10, No.5, e0127310,pp.1-27
【文献】Theranostics,2018年01月01日,Vol.8, No.2,pp.464-485
【文献】Drug Delivery,2017年,Vol.24, No.1,pp.1831-1842
【文献】Oncotarget,2014年,Vol.5, No.22,pp.11365-11380
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 47/00-47/69
A61K 9/00- 9/72
A61P 35/00
A61P 43/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
がんの処置における使用のための、チオストレプトン(TS)およびビタミンE-TPGSを含む、組成物。
【請求項2】
ゲンチアナバイオレット(GV)をさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
ジメチルスルホキシド(DMSO)をさらに含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
組成物におけるTSのモル濃度が、10nM~5000μMの範囲である、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
組成物におけるGVのモル濃度が、10nM~10mMの範囲である、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
組成物におけるビタミンE-TPGSのモル濃度が、10nM~132mMの範囲である、請求項1から5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
薬学的に許容される担体および賦形剤の1つまたは複数をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
がん細胞を含む細胞の集団において細胞生存率を低減するための医薬組成物であって、チオストレプトン(TS)およびビタミンE-TPGSを含み、複数のがん細胞における生存率を低減させるのに十分な量で、がん細胞を含む細胞の集団をTSおよびビタミンE-TPGSと接触させるステップを含む方法において使用されることを特徴とする、医薬組成物。
【請求項9】
TSおよびビタミンE-TPGSが、複数のがん細胞における生存率の低減において相乗効果を有する、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
接触させるステップが、がん細胞をゲンチアナバイオレット(GV)と接触させるステップをさらに含む、請求項8または9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
接触させるステップが、チオストレプトンおよびビタミンE-TPGSを含む組成物を、がん細胞に送達するステップを含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
チオストレプトンおよびビタミンE-TPGSが、組成物の一部として送達され、組成物が、1つまたは複数の薬学的に許容される担体をさらに含んでもよく、組成物が、ジメチルスルホキシド(DMSO)をさらに含んでもよい、請求項8から11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
がん細胞が、対象中に存在し、接触させるステップが、TSおよびビタミンE-TPGS、ならびに任意でGVを、対象に投与するステップを含む、請求項8から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
投与するステップが、全身投与を含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
全身投与が、腸内投与および非経口投与の1つまたは複数を含む、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
24時間で投与されるTSの量が、10ng~5gの範囲である、請求項13から15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
24時間で投与されるGVの量が、10ng~200mgの範囲である、請求項13から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
24時間で投与されるビタミンE-TPGSの量が、10ng~30gの範囲である、請求項13から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
24時間で投与されるビタミンE-TPGSの量が、複数回投与で投与される、請求項13から18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
24時間、複数回投与で投与されるビタミンE-TPGSの総量が、0.01g~500gの範囲である、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
接触させるステップが、TSおよびビタミンE-TPGSを含む1つまたは複数の組成物と接触させるステップを含む、請求項8から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
GVを含む組成物と接触させるステップをさらに含む、請求項21に記載の医薬組成物。
【請求項23】
組成物におけるTSのモル濃度が、10nM~5000μMの範囲である、請求項21または22に記載の医薬組成物。
【請求項24】
組成物におけるGVのモル濃度が、10nM~10mMの範囲である、請求項22に記載の医薬組成物。
【請求項25】
組成物におけるビタミンE-TPGSのモル濃度が、10nM~132mMの範囲である、請求項21から24のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
1つまたは複数の組成物が、薬学的に許容される担体および賦形剤の1つまたは複数をさらに含む、請求項21から25のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
がん細胞が、悪性中皮腫細胞を含む、請求項8から26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
がん細胞が、卵巣がん細胞を含む、請求項8から26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
対象が、哺乳動物であり、ヒトであってもよい、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項30】
がん細胞が、肺の胸膜、腹膜、心膜、および精巣鞘膜の1つまたは複数において、対象中に位置している、請求項13から29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項31】
がん細胞が、卵巣、腹腔、腹腔液、および腹膜の1つまたは複数において、対象中に位置している、請求項13から2628、および29のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項32】
対象が、胸膜滲出を呈するがんを有する、請求項13から31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項33】
対象が、卵巣がんを有する、請求項13から32のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
対象が、悪性中皮腫を有する、請求項13から31のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項35】
投与するステップが、チオストレプトン(TS)およびビタミンE-TPGS、ならびに任意でGVの、対象の体腔への注入を含む、請求項13から34のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
注入の手段が、カテーテルを使用して対象の腔に組成物を投与するステップを含む、請求項35に記載の医薬組成物。
【請求項37】
投与が、対象に提供される一次処置である、請求項13から36のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
対象が、さらに、外科レジメン、放射線療法レジメン、および化学療法レジメンの1つまたは複数を施される、請求項13から37のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2019年1月4日に出願された米国仮特許出願第62/788,332号の米国特許法第119条(e)項に基づく利益を主張し、その開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本発明は、部分的に、がんを処置するための組成物および方法に関するものであり、当該方法は、ビタミンEを含む組成物の投与を含む。
【背景技術】
【0003】
様々ながんのための処置は、がんを有する対象において、がん細胞を死滅させる薬剤の投与を含むことができる。現在のがん処置は、がん細胞を死滅させ、がん患者に安全に投与することができる、比較的少ない化合物または薬剤に限定されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様によると、がん細胞を含む細胞の集団において細胞生存率を低減するための方法が提供され、当該方法は、複数のがん細胞における生存率の統計的に有意な低減に十分な条件下および期間、がん細胞を含む細胞集団をチオストレプトン(TS)およびビタミンE-TPGSと接触させることを含む。いくつかの実施形態では、方法はまた、がん細胞を含む細胞集団を提供することを含む。特定の実施形態では、TSおよびビタミンE-TPGSは、複数のがん細胞における生存率の低減において相乗効果を有する。いくつかの実施形態では、接触させるステップは、がん細胞をゲンチアナバイオレット(GV)と接触させるステップをさらに含む。特定の実施形態では、接触させるステップは、チオストレプトンおよびビタミンE-TPGSを含む組成物を、がん細胞に送達するステップを含む。いくつかの実施形態では、チオストレプトンおよびビタミンE-TPGSは、組成物の一部として送達され、組成物は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体をさらに含んでもよく、組成物は、ジメチルスルホキシド(DMSO)をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、がん細胞は、対象中に存在し、接触させるステップは、TSおよびビタミンE-TPGS、ならびに任意でGVを、対象に投与するステップを含む。いくつかの実施形態では、投与するステップは、全身投与を含む。いくつかの実施形態では、全身投与は、腸内投与および非経口投与の1つまたは複数を含む。いくつかの実施形態では、24時間で投与されるTSの量は、10ng~5gの範囲である。いくつかの実施形態では、24時間で投与されるビタミンE-TPGSの量は、10ng~500gの範囲である。いくつかの実施形態では、対象に単回用量で投与されるビタミンE-TPGSの量は、多くとも30gである。いくつかの実施形態では、ビタミンE-TPGSは、24時間当たり1、2、3、4、5、またはそれ以上の回数で投与される。いくつかの実施形態では、24時間の期間に投与されるGVの量は、10ng~200mgの範囲である。いくつかの実施形態では、TS、ビタミンE-TPGS、およびGVの1つまたは複数の量は、各々独立して、1つまたは複数の24時間の期間内およびその各々の間で選択される。特定の実施形態では、接触させるステップは、TSおよびビタミンE-TPGSを含む1つまたは複数の組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、接触させるステップは、TSおよびビタミンE-TPGSを含む1つまたは複数の組成物と接触させるステップを含む。特定の実施形態では、接触させるステップは、TSおよびビタミンE-TPGSを含む1つまたは複数の組成物と接触させるステップを含む。いくつかの実施形態では、方法はまた、GVを含む組成物と接触させるステップを含む。いくつかの実施形態では、組成物におけるTSのモル濃度は、10nM~5000μMの範囲である。特定の実施形態では、組成物におけるGVのモル濃度は、10nM~500μMの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物におけるビタミンE-TPGSのモル濃度は、10nM~132mMの範囲である。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の組成物は、薬学的に許容される担体および賦形剤の1つまたは複数をさらに含む。いくつかの実施形態では、がん細胞は、悪性中皮腫細胞を含む。特定の実施形態では、がん細胞は、卵巣がん細胞を含む。いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物であり、ヒトであってもよい。いくつかの実施形態では、がん細胞は、肺の胸膜、腹膜、心膜、および精巣鞘膜の1つまたは複数において、対象中に位置している。特定の実施形態では、がん細胞は、卵巣、腹腔、腹腔液、および腹膜の1つまたは複数において、対象中に位置している。いくつかの実施形態では、対象は、胸膜(plural)滲出を伴うがんを有する。特定の実施形態では、対象は、卵巣がんを有する。特定の実施形態では、対象は、悪性中皮腫を有する。いくつかの実施形態では、本発明の組成物を投与する手段は、対象の体腔への注入を含む。いくつかの実施形態では、注入は、カテーテルを使用して対象の腔に組成物を投与するステップを含むことを意味する。いくつかの実施形態では、投与は、対象に提供される一次処置を含む。いくつかの実施形態では、対象は、さらに、外科レジメン、放射線療法レジメン、および化学療法レジメンの1つまたは複数を施される。ビタミンE-TPGSは、本明細書ではVitEおよびVitE-TPGSとも言われる。特定の実施形態では、ビタミンEは、ビタミンE-TPGSである。
【0005】
本発明の別の態様によると、チオストレプトン(TS)およびビタミンE-TPGS、またはビタミンE-TPGSのその機能性誘導体を含む組成物が、提供される。いくつかの実施形態では、組成物は、チオストレプトン(TS)およびビタミンE-TPGSを含む。いくつかの実施形態では、組成物はまた、ゲンチアナバイオレット(GV)、またはGVのその機能性誘導体を含む。いくつかの実施形態では、組成物はまた、ジメチルスルホキシド(DMSO)を含む。特定の実施形態では、組成物におけるTSのモル濃度は、10nM~5000μMの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物におけるGVまたはGVの機能性誘導体のモル濃度は、10nM~10mMの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物におけるビタミンE-TPGSまたはビタミンE-TPGSの機能性誘導体のモル濃度は、10nM~140mMの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物におけるビタミンE-TPGSまたはビタミンE-TPGSの機能性誘導体のモル濃度は、10nM~132mMの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物はまた、薬学的に許容される担体および賦形剤の1つまたは複数を含む。ビタミンE-TPGSは、本明細書ではVitEおよびVitE-TPGSとも言われる。特定の実施形態では、ビタミンEは、ビタミンE-TPGSである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、VitE-TPGSにより48時間処置したLP9およびHM細胞の感受性を評価した、試験の結果を示すグラフである。LP9細胞は、非腫瘍形成性の不死化中皮腫細胞である。HM細胞は、悪性中皮腫細胞である。
図2A図2Aは、TS、または5%のVitE(33mM)-TPGS/0.9%のNaClで希釈したTSで処理した、LP9細胞の感受性を示すグラフを提供する。IC50は、TS単独で、またはVitE-TPGSと組み合わせて、計算した。グラフは、生存率、対、Log[TS]μMを示す。
図2B図2Bは、TS、または5%のVitE(33mM)-TPGS/0.9%のNaClで希釈したTSで処置した、HM細胞の感受性を示すグラフを提供する。IC50は、TS単独で、またはVitE-TPGSと組み合わせて、計算した。グラフは、生存率、対、Log[TS]μMを示す。
図3図3は、in vivoでの腫瘍のルシフェラーゼ画像化により評価された腫瘍量を示すヒストグラムを提供する。TS/GV処置した動物は、35DPIで、対照動物と比較して、約50%小さい腫瘍を有した。( p<0.05、*** p<0.001、**** p<0.0001、群間のTukey多重比較検定を伴う二元配置ANOVA。群当たり、N=6匹の動物)。
図4図4は、実験で測定された動物の体重を示すグラフである。TS/GV/VitE群を除いた全ての群において、最後の約10日間の著しい体重減少に注目されたい。対照動物における大幅な体重減少により、実験は終了された。
図5図5は、4つの試験化合物の注射後、注射後日数(DPI)42で、外科的に切除した腫瘍塊からの腫瘍重量を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
がん細胞を、チオストレプトン(TS)およびビタミンE-TPGS(本明細書でVitEおよびVitE-TPGSとも言われる)を含む組成物と接触させることが、TS投与の殺がん細胞の有効性を高めることが今般決定された。がん細胞を、VitEを伴う溶液中のTSに接触させることが、VitEの不在下でがん細胞をTSと接触させることと比較する場合に、TSの抗がん治療効果を増強することを、ここで同定している。1つまたは複数のがん細胞をTSおよびVitEを含む組成物と接触させることが、TSの殺がん細胞の効能を向上させることがここで見出されており、これは、がん治療剤としてTSの有用性を高める。特定の理論により拘束されるつもりはないが、がん細胞に対するTSの向上した活性は、VitEを含む溶液の場合、TSの高い利用可能性に起因し得るので、溶液中のTSからのより高い殺がん細胞活性を可能にする。ゆえに、同量のTSは、VitEが存在しない場合より、VitEが存在する場合の方が高い殺がん細胞の効能を有することができる。VitEを含む溶液中の場合の向上したTS殺細胞活性の別の利点は、殺がん細胞のより高い効能により、より低用量のTSを対象に投与する能力である。VitE中のTSの高い活性は、より低量のTSの投与を可能にし、これは、毒性および/または他の望ましくない効果のような副作用を低減することができる。任意でGVおよびTLK-199のような別のがん治療用化合物の1つまたは複数を投与することと組み合わせて、TSおよびVitEを含む組成物を投与することは、VitEを含むことのない同じ処置と比較して、TSおよび治療用化合物の殺がん細胞の効果の相乗効果をもたらす。TSおよびVitE TSを含む溶液を投与すること、ならびに、任意で、1つまたは複数の追加のがん治療用化合物をがん細胞および/またはがんを有する対象に投与することは、VitEを含まない溶液で投与されるTSの場合に起こるよりも多くのがん細胞死が処置に起因して起こる、相乗的な処置の効果をもたらすことが見出された。本発明の特定の態様は、1つまたは複数のがん細胞を、がんに対する処置方法としてTSおよびVitEを含む組成物と接触させることを含む。本発明の追加の実施形態は、1つまたは複数のがん細胞をVitE中のTSと接触させることを含み、1つまたは複数のがん細胞を、限定されないが、GV、TLK-199、または、別のがん治療用化合物のような、別のがん治療用化合物と接触させて、細胞、組織、もしくは対象においてがんを処置することも含む。
【0008】
チオストレプトンは、限定されないが、ブリアマイシン、チアクチン、アラニンアミド、HR4S203Y18などを含む、他の名称としても知られている、抗生物質化合物である。本発明の方法および組成物の特定の実施形態で使用されるVitEは、ビタミンE-TPGSであり、これは、D-α-トコフェリルポリエチレングリコールスクシネートであり、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネートとも言われる。本明細書で使用される場合、用語VitEは、用語VitE-TPGSおよびビタミンE-TPGSと互換的に使用される。他のビタミンE化合物または修飾型はまた、本発明の特定の実施形態でのTSを含む溶液で利用することができる。ゲンチアナバイオレット(GV)は、クリスタルバイオレットおよびメチルバイオレットしても知られているが、抗細菌特性、抗真菌特性、抗寄生虫特性(anti-helminithic)、抗トリパノソーマ特性、抗血管新生特性、および抗腫瘍特性を有する、トリフェニルメタン染料である。TLK-199、化学名:(S)-エチル2-アミノ-5-(((R)-3-(ベンジルチオ)-1-(((S)-2-エトキシ-2-オキソ-1-フェニルエチル)アミノ)-1-オキソプロパン-2-イル)アミノ)-5-オキソペンタノエートはまた、エザチオスタット塩酸塩としても知られている。TLK-199は、骨髄異形成症候群(MDS)のような骨髄障害に対する処置として使用されている。
【0009】
本発明は、部分的に、がん細胞を、VitEを含む組成物中のTSと接触させて、細胞、組織、および対象におけるがんを処置する方法に関連する。本発明の特定の方法で使用されるいくつかの組成物は、例えばVitE中のTSを含む組成物であるが、1つまたは複数の標的化剤または送達剤を含む。本発明の特定の実施形態では、TSおよびVitEを含む組成物での処置は、1つまたは複数のがん細胞を、1つまたは複数の薬剤と接触させることを含み、接触は、接触させたがん細胞の1つまたは複数の死滅をもたらす。特定の態様では、本発明は、TSおよびVitE、ならびにGV、TLK-199、標的化剤、およびがん治療用化合物の1つまたは複数を含む組成物を提供する。本発明の特定の態様では、TSおよびVitEを含む組成物は、対象に投与され、GV、TLK-199、標的化剤、およびがん治療用化合物の1つまたは複数を含む、1つまたは複数の組成物もまた、対象に投与される。本発明の特定の態様では、VitE中のTSを含む組成物、およびTLK-199を含む組成物を含む組合せをがん細胞に投与して、がんを処置する。本発明の特定の実施形態では、TSおよびVitEを含む組成物、ならびに、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数を含む少なくとも1つの組成物の組合せをがん細胞に投与して、がんを処置する。
【0010】
本発明の分子、化合物、組成物、および方法は、がんを有するか、またはがんを有するリスクがあるとみなされる対象を処置するのに使用することができる。ゆえに、本発明の方法および化合物は、細胞および対象においてがんを処置するのに有用である。TSおよびVitEを含む組成物を使用して処置し得る細胞は、限定されないが、がん細胞を含む。本発明の方法、化合物、または1つまたは複数の組成物を使用して処置されるがん細胞は、in vitroまたはin vivoであり得る。in vivo細胞は、対象中に存在する。本明細書で使用される場合、用語「1つまたは複数」とは、細胞に言及して使用される場合、単一の細胞または複数の細胞を意味する。複数の細胞は、その間の全ての整数を含む、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、50、100、500、1,000、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、またはそれ以上の細胞を含む。本発明のいくつかの態様では、1つまたは複数の細胞は、細胞培養において存在するか、または対象中に存在する。複数の細胞は、均一か、または不均質な細胞のセットであり得る。本明細書で使用される場合、均一な複数の細胞とは、目的の1つまたは複数の細胞特性が、複数において、細胞の全てで同様である、複数の細胞を意味する。均一な複数の細胞が、細胞の各々が、同様である、例えばがん細胞であるという、目的の1つまたは複数の特性を有することに基づいて、均一であるとみなすことができるが、細胞は、全く同一である必要はなく、目的の特性以外の特徴または特性が、複数の異なる細胞で異なり得ることは理解されよう。本発明の特定の態様では、複数の細胞は、対象中に存在する。
【0011】
本明細書で使用される場合、対象とは、限定されないが、ヒト、マウス、ラット、モルモット、ウサギ、ウシ、イヌ、ネコ、ウマ、ヤギ、および、非ヒト霊長類、例えばサルを含む、脊椎動物を意味する。本発明の特定の態様では、対象は、家畜動物、野生動物、または農業動物であり得る。ゆえに、本発明は、ヒトおよび非ヒト対象において、疾患または状態を処置するのに使用することができる。例えば、本発明の方法および組成物は、獣医学的適用、ならびに、ヒトの予防および処置レジメンで使用することができる。本発明のいくつかの実施形態では、対象は、ヒトである。本発明のいくつかの実施形態では、対象は、1つまたは複数のがんを有する。いくつかの実施形態では、対象は、胸膜滲出を示すが、本明細書で、胸膜滲出を「呈する」とも言われる。
【0012】
TSおよびVitEを含む組成物は、限定されないが、悪性中皮腫、卵巣がん、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫、骨髄腫、神経膠腫、乳がん、上皮がん、子宮がん、膣がん、前立腺がん、精巣がん、陰茎がん、結腸がん、直腸がん、子宮頚部がん、咽頭がん、口腔がん、膵がん、腎がん、肝がん、肺がん、黒色腫、基底細胞癌、扁平上皮細胞癌、頭頚部がん、胃がん、骨がん、結合組織がん、膀胱がん、眼がん、鼻腔がん、脂肪がん、甲状腺がん、非ホジキンリンパ腫、小腸がん、ウィルムス腫瘍、消化器がん、中枢神経系(CNS)がん、末梢神経系(PNS)がん、食道がん、カポジ肉腫、胆嚢がん、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、骨肉腫、神経芽腫、横紋筋肉腫、副鼻腔がん、網膜芽腫、および唾液腺がんを含む、がんの1種または複数種を処置するために、細胞、組織、および/または対象に投与することができる。特定の実施形態では、がん細胞は、卵巣、腹腔、腹腔液、および腹膜の1つまたは複数において、対象中に位置している。本発明の方法および組成物のいくつかの実施形態は、胸膜滲出を呈するがんまたは腫瘍を処置するために使用することができる。
【0013】
TSおよびVitEの組成物は、限定されないが、胸膜細胞、腹膜細胞、真皮細胞、胸部組織細胞、卵巣細胞、中皮腫細胞、筋肉細胞、循環細胞、結合組織細胞、骨細胞、外分泌細胞、内分泌細胞、臓器細胞、間葉細胞、結合組織細胞、上皮細胞、内皮細胞、ニューロン細胞、神経膠細胞、腺細胞、間質細胞、腎細胞、甲状腺細胞、幹細胞、造血細胞、リンパ系細胞、骨髄細胞、赤血球系細胞、心筋細胞、肝細胞、星状膠細胞、希突起膠細胞、および脂肪細胞を含む、多くの異なる種類の細胞を処置するために、利用および投与することができる。本発明の特定の態様では、細胞を、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数を含む1つまたは複数の組成物と接触させることを伴うか、または伴わずに、細胞をTSおよびVitEを含む組成物と接触させることを含む方法により処置された細胞は、がん細胞であり得、がんは、前述のがん、または他の当該技術分野で公知のがんもしくは新生物のいずれかであり得る。本発明のいくつかの態様では、がんは、悪性中皮腫であり、本発明の特定の実施形態では、がんは、卵巣がんである。
【0014】
本発明の特定の態様では、複数のがん細胞は、空間的に互いに近接するがん細胞を含む腫瘍を含む。本発明のいくつかの態様では、複数の細胞は、空間的に互いに近接していないかもしれず、例えば、これらは、対象中に存在し得るが、対象の2つ以上の異なる空間領域、組織、および/または臓器に空間的に分離し得る。本発明のいくつかの態様では、複数のがん細胞は、原発性がんおよび続発性がん(例えば、転移)の1つもしくは複数;1つもしくは複数の原発性がん;ならびに/または、1つもしくは複数の続発性がんを含む。本明細書で使用される場合、原発性がんは、初期に発生するがんに言及して使用され、続発性がんは、原発性がんから離脱し、対象において異なる組織または臓器に移動し、そこに存在するがん細胞を含む。続発性がん由来のがん細胞は、発生する原発性がんと同じがんの種類であり得る。特定の実施形態では、対象は、2つ以上のがんの種類を有し得る。本発明の特定の実施形態では、がん細胞は、転移性がん細胞である。
【0015】
本発明の方法および組成物が適用され得る対象の非限定例は、1つまたは複数のがんと診断されたか、1つまたは複数のがんを有すると疑いがあるか、または、1つまたは複数のがんを有するリスクがある対象である。本発明の方法は、細胞を、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数を含む1つまたは複数の組成物と接触させることを伴うか、または伴わずに、TSおよびVitEを含む組成物を投与することを含む方法を使用する処置時に、がんと診断されており、(1)1つまたは複数のがんに対する処置を受けている、(2)1つまたは複数のがんに対する処置を受けたことがある、および/または、(3)1つまたは複数のがんに対する処置を施される可能性がある、対象に適用することができる。
【0016】
本発明のいくつかの態様では、対象は、1つまたは複数のがんを有するか、または発症するリスクがある。本発明のいくつかの態様では、対象は、原発性がんを有するか、または発症するリスクがある。本発明のいくつかの態様では、対象は、続発性がんを有するか、または発症するリスクがある。原発性がんまたは続発性がんを発症するリスクのある対象は、それぞれ原発性がんまたは続発性がんを発症する対照のリスクと比較して、がんを発症する確率が高い。本発明のいくつかの実施形態では、リスクのレベルは、リスクの対照レベルと比較して、統計的に有意であり得る。リスクのある対象は、例えば、遺伝学的異常を有する、対象(その存在が、がんを発症する高い可能性に対する相関関係を有することを示す);原発性がんに対する処置(例えば、限定されないが、原発性腫瘍の除去)を受けたが、続発性がん、および/もしくは転移および/もしくは別の種類のがんのリスクがあるとみなされる対象;本発明のがん処置以外のがん処置を受けた対象;1つもしくは複数のがんの家族歴および/もしくは個人の既往歴を有する対象;アスベストのような薬剤、化学毒性、もしくは活性に曝露する対象;ならびに/または、がんに対して以前処置して、明らかに寛解している対象を含むことができる。
【0017】
GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数を含む1つまたは複数の組成物を対象に投与することも伴うか、または伴わずに、TSおよびVitEを含む組成物を対象に投与することを含む処置の有効性を決定し、対照値と比較することができる。対照値は、所定値であり得、様々な形態を取ることができる。対照値は、中央値または平均値のような単一のカットオフ値であり得る。対照値は、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数を含む1つまたは複数の組成物を対象に投与することも伴うか、または伴わずに、TSおよびVitEを含む組成物で対象を処置していない、細胞の群またはがんを有する個体の群のような、比較群に基づいて確立することができる。別の比較群は、がんの既往を有する対象の群、およびこのような既往を有さない対象の群であり得る。所定値は、選択される特定の集団に依存する。したがって、選択される所定値は、個体または細胞が入る分類を考慮し得る。適切な範囲および分類は、当業者により通常の実験だけで選択することができる。本明細書で使用される場合、「効果的」および「有効性」とは、がんを有するが、本発明の同じ方法での組成物で処置されない対照と比較して、本発明の方法で処置される場合のがん細胞死が統計的に有意に高いことを意味する。本発明の方法を使用して、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数を含む1つまたは複数の組成物を対象に投与することも伴うか、または伴わずに、TSおよびVitEを含む組成物で処置した対象における細胞死のレベルは、同じ治療用組合せで処置していない対照対象と比較することができ、有効性とは、死滅するがん細胞の数が統計的に有意に増加することを意味する。いくつかの実施形態では、本発明の処置の結果、死滅する細胞の数は、ゼロより大きく、本発明の特定の実施形態では、本発明の処置の結果、死滅する細胞の数は、本発明の方法においてTSおよびVitEを含む組成物で処置しない対照で死滅する、がん細胞の数の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、50、100、1000、10,000倍超である。
【0018】
本発明による対照が、所定値に加えて、実験材料で並列試験される材料のサンプルであり得ることは理解されよう。例は、実験サンプルで並列試験される製造を通して生成される、対照集団由来のサンプルまたは対照サンプルを含み;また、対照は、限定されないが、本発明の処置を含む、がん処置の前、間、または後の対象由来のサンプルであり得る。
【0019】
処置
本明細書で使用される場合、用語「処置する」、「処置した」、または「処置すること」とは、がんに対して使用される場合、対象ががんを発症する可能性を低減する予防的処置を言うことができ、また、がんを除去もしくは改善する、がんがより進行する(例えば、転移する、拡散する、拡大するなど)ことを防ぐ、および/または、療法を伴わない進行と比較して、がんの進行を緩徐にするために、対象ががんを発症した後の処置を言うこともできる。
【0020】
本発明の特定の実施形態では、がん細胞を、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数と接触させることも伴うか、または伴わずに、がん細胞をTSおよびVitEを含む組成物と接触させることは、TSおよびVitE組成物と接触させない細胞に対して、がん細胞の死滅の可能性を高める。
【0021】
投与戦略
TSおよびVitEを含む組成物は、単独で、または、GV、TLK-199、別の治療剤、標的化剤、および標識化剤の1つまたは複数と組み合わせて、投与することができる。TSおよびVitEは、単一の医薬組成物で投与されるが、GV、TLK-199、別のがん治療用化合物、標的化剤、および標識化剤のような他の薬剤は、1つまたは複数の別個の組成物で投与することができる。TSおよびVitEを含む組成物は、がんの位置、投与の所望のタイミング、対象およびがんの状態などのような因子に依存する、単一の投与手段を使用して、または2回以上の投与手段を使用して、対象に投与することができる。本発明のいくつかの態様では、TSおよびVitEを含む組成物は、GV、TLK-199、別の治療剤、標的化剤、および標識化剤を含む組成物とは別個の組成物であり、2つ以上の異なる組成物は、その投与が部分的にまたは完全に重複するレジメンを使用して、同時に投与することができるか、または順次投与することができる。本発明のいくつかの態様では、VitE中のTS、GV、およびTLK-199の2つまたは3つが、同時に投与することができ、本発明の特定の実施形態では、VitE中のTS、GV、およびTLK-199の2つまたは3つが、投与時に、異なる組成物に存在することは理解されよう。非限定例では、本発明のいくつかの実施形態では、VitE中のTS、およびTLK-199は、1つの医薬組成物に存在し、共に対象に投与され、GVは、同時に、または、対象に投与されるVitE中のTSおよびTLK-199と異なる時間のいずれかで送達される、異なる医薬組成物に存在する。VitE中のTS、GV、およびTLK-199を投与する相乗効果は、単一組成物での投与を必要としない。別の非限定例では、VitE中のTS、およびTLK-199は、同じ医薬組成物で提供され、対象に共に投与され、GVは、処置の一部として対象に投与されない。
【0022】
本発明の処置方法のいくつかの実施形態では、VitE中のTSは、1つまたは複数の他の治療剤および処置も投与される、がんを有する対象に投与される。ゆえに、例えば、VitE中のTSの投与は、化学療法剤とともに行うことができ、化学療法剤の殺がん細胞の効能を向上することができる。化学療法剤の非限定例は、タキサン、アントラサイクリン、白金系薬物、代謝拮抗薬、塩基類似体、ヌクレオシド類似体、ヌクレオチド類似体、抗葉酸薬、メトトレキセート、アルカノイド、ビンクリスチン、ビンブラスチン、イリノテカン、エトポシド、ベルケイド、チロシンキナーゼ阻害剤、セリン/トレオニンキナーゼ阻害剤、ブレオマイシン、シクロホスファミド、サイトキサン、エベロリムス、およびメトホルミンである。本発明の特定の態様では、本発明の方法および組成物でのVitE中のTSは、標的化剤および標識化剤のような他の分子とともに提供され、本発明の処置方法で使用される。標的化剤または標識化剤は、TS、GV、TLK-199、または別のがん治療用化合物と結合することができ、限定されないが、共有結合を介するような当該技術分野に公知の手段を使用して本発明の処置方法に含まれる。本発明のいくつかの態様では、標的化剤または標識化剤は、製造される際にTSに組み込まれるか、または通常の化学的な製造方法を使用して、製造後に添加することができる。
【0023】
本発明のいくつかの態様で有用な標的化剤は、真皮細胞、卵巣組織細胞、胸膜細胞、腹膜細胞、胸部組織細胞、筋肉細胞、幹細胞、循環細胞、結合組織細胞、骨細胞、外分泌細胞、内分泌細胞、臓器細胞、間葉細胞、結合組織細胞、上皮細胞、内皮細胞、ニューロン細胞、神経膠細胞、腺細胞、間質細胞、腎細胞、甲状腺細胞、幹細胞、造血細胞、リンパ系細胞、骨髄細胞、赤血球系細胞、心筋細胞、肝細胞、星状膠細胞、希突起膠細胞、卵母細胞、または脂肪細胞のような、処置される具体的な細胞に対して、VitE中のTSを指向させるか、または指向するのを助ける標的化剤であり、本発明の特定の実施形態では、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数を指向させるか、または指向するのを助ける標的化剤である。本発明のいくつかの態様で有用な特定の標的化剤は、TS、GV、TLK-199、または別のがん治療用化合物のような化合物を、ミトコンドリアのような細胞小器官に指向させるか、または指向するのを助ける薬剤であり得る。
【0024】
選択する標的化剤は、がんの性質に依存する。いくつかの例では、薬剤の組合せを、1つまたは複数の胸膜領域、肺細胞、腹膜領域、腹膜細胞、真皮細胞、胸部組織細胞、筋肉細胞、循環細胞、結合組織細胞、幹細胞、骨細胞、外分泌細胞、内分泌細胞、臓器細胞、間葉細胞、結合組織細胞、上皮細胞、内皮細胞、ニューロン細胞、神経膠細胞、腺細胞、間質細胞、腎細胞、甲状腺細胞、幹細胞、造血細胞、リンパ系細胞、骨髄細胞、赤血球系細胞、心筋細胞、肝細胞、星状膠細胞、希突起膠細胞、卵母細胞、および脂肪細胞に対して標的化することが望ましい可能性がある。当業者は、通常の方法を使用して、本発明の実施形態において、適した標的化剤を認識し、選択および使用することができる。本発明の特定の実施形態で有用な標的化剤の非限定例は、細胞透過性ペプチド、細胞内部移行剤、配列、小分子、ポリヌクレオチド、リポソーム、ペグ化リポソーム、アクアソーム、生物分解性ポリマー、ナノ粒子、オリゴヌクレオチド、および他の標的化ポリペプチドである。
【0025】
本発明は、いくつかの態様では、TS、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数をミトコンドリアに標的化する薬剤を含む。本発明のいくつかの実施形態では、VitE中に存在するTSは、ミトコンドリア標的化剤に関連する(例えば、結合する)。ミトコンドリア標的化剤の非限定例は、グラミンジンS系ミトコンドリア標的化剤、ミトコンドリア標的化ペプチド、ミトコンドリアに移動するナノ粒子、およびミトコンドリアに対するリポソーム系送達システム、カルニチン-アシルカルニチントランスロカーゼシステムを利用する薬剤、シトクロム、およびリンゴ酸デヒドロゲナーゼである。TS、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つ、2つまたは3つを細胞のミトコンドリアに標的化する、本発明の方法で使用することができるミトコンドリア標的化剤の非限定例は、トリフェニルホスホニウム(TPP)である。本発明のいくつかの実施形態で使用することができる標的化シグナルの追加例は、Diekert,K.ら、PNAS(1999)第96巻、第21号、11752~11757頁;Murphy,M.Biochimica et Biophysica Acta 1777(2008)1028~1031頁;Addya,S.ら、J.Cell Biology、(1997)第139巻、第3号、589~599頁;Del Gaizo,V.ら、(2003)Mol.Gen.and Metabol、第80巻、170~180頁に記載され、これは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0026】
標識化剤は、本発明の方法、化合物、および組成物の特定の実施形態で使用して、本発明の方法の実施形態を使用して投与される細胞および組織において、TS、GV、TLK-199、および他のがん治療用化合物の1つまたは複数の位置を決定することができ、また、投与される処置化合物の細胞、組織、または細胞小器官の位置を評価するのに使用することができる。酵素標識、染料、放射標識、蛍光標識などのような標識化剤と結合および利用する手順は、当該技術分野で周知されている。
【0027】
本発明の組成物、化合物、および方法は、がんを処置するための他の手順と組み合わせた利用により向上することができる。いくつかの例では、処置手順は、医薬および/または外科手術、放射線療法などのような、別の治療剤の投与または処置を含み得る。ゆえに、本発明のいくつかの実施形態では、TSおよびVitEを含む組成物の投与は、がんを処置するための別の療法を施す前、同時、または後の1つまたは複数で実行する。TSおよびVitEを含む組成物の投与を含む、本発明の処置方法は、前がん、異形成、腫瘍、転移、寛解、再発などを含む、がんの任意のステージで使用することができる。本発明の方法はまた、対象でのがんの進行を緩徐にするまたは停止するのに成功しなかった、最小限しか成功しなかった、および/またはもはや成功しない、1つまたは複数の他の抗がん薬、化学療法、外科手術、または放射方法で以前処置された対象に対して使用することができる。
【0028】
有効量
TSおよびVitEは、がんを処置する有効量で、細胞または対象に投与される。「がんを処置する有効量」とは、所望の生物学的効果を実現するのに必要または十分な量である。例えば、本発明の方法でのTSおよびVitEの有効量は、(i)がんの進行を緩慢化または停止すること;(ii)複数のがん細胞を死滅させること;および(iii)がんの1つまたは複数の症状を後退させることの1つまたは複数を行うのに必要な量である。本発明のいくつかの態様によると、有効量は、投与される場合、がんの予防、がんの転移の予防、およびがんの処置の1つまたは複数を含む、対象における所望の治療応答をもたらす、単独での、または、がんに対する別の医薬もしくは処置と組み合わせるかのいずれかでの、VitE中のTSの量である。本発明のいくつかの態様では、所望の生物学的効果は、複数のがん細胞の死滅;がんに起因する症状の改善およびまたは絶対的な除去;例えば、対象が、がんを有していないか、またはがんの存在、レベルもしくは腫瘍サイズ、転移、および重症度の1つまたは複数が、低減することを示す診断検査により示されるように、がんの部分的または完全な抑止の1つまたは複数であり得る。
【0029】
典型的には、VitE中のTSの有効量は、盲検研究において対照集団に対する試験集団の有効用量を確立する臨床試験で決定される。いくつかの実施形態では、有効量は、所望の応答をもたらす量、例えば、がんを減少させる;がんを有する細胞および/または対象において、がんの寛解を維持する量である。ゆえに、がんを処置する有効量は、投与される場合、対象において、複数のがん細胞の細胞死を、VitE中のTSを投与せずに対象または組織で起こるがん細胞死のレベルより高いレベルまで、上昇させる量であり得る。がんを処置する場合、本発明の処置への所望の応答は、細胞、組織、および/または対象でのがんの1つまたは複数の症状または生理学的特性を低減または除去することができる。低減または除去は、一時的であり得るか、または永久的であり得る。がんの状態は、公知の方法を使用してモニタリングすることができる。本発明のいくつかの態様では、がんの処置への所望の応答は、がんの発症を遅延または予防すること、がんの進行を緩徐化、遅延、または停止すること、がんの寛解を維持することなどを含み得る。
【0030】
本発明の処置方法でVitEを含む溶液で投与されるTSの有効量はまた、細胞または対象に対するVitE中のTSの投与の生理学的効果、例えば、投与後のがん細胞死の増加、がんの減少などを評価することにより決定することができる。本明細書では、用語「投与すること(administrating)」および「投与すること(administering」」とは、1つまたは複数のがん細胞を処置することに言及して使用される場合、1つまたは複数のがん細胞を、VitE化合物を含む溶液中に存在するTSと接触させることを意味する。本発明の処置方法のいくつかの実施形態では、また、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数を、VitE中のTSを投与される対象に投与することを含む。本発明の特定の実施形態では、TS、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数は、医薬組成物の一部である。本発明の特定の実施形態では、VitE中のTSは、医薬組成物の一部である。本発明の特定の実施形態では、VitE中のTSを含む組成物、ならびに、GV、TLK-199、および別のがん治療剤の1つまたは複数を含む1つまたは複数の組成物は、1つ、2つ、または3つの異なる医薬組成物の一部として投与することができ、ここで、組成物の各々の投与の手法は、1つまたは複数のがん細胞を、TS、GV、TLK-199、および/または他のがん治療用化合物と接触させることに適している。本発明の医薬組成物のいくつかの実施形態はまた、薬学的に許容される担体を含む。TS、GV、TLK-199、および他のがん治療用化合物の1つまたは複数が、別個の医薬組成物の一部である場合、医薬組成物の各々が、しかし、同じ薬学的に許容される担体を含み得るが、必要がないことは理解されよう。
【0031】
VitE中のTS、ならびに/または、VitE中のTSとGV、TLK-199、および別のがん治療剤の1つもしくは複数との組合せの効能を決定するのに適したアッセイは、当業者に知られており、処置への応答のレベル、ならびに対象に投与される化合物の組合せの量および投与量を測定するのに利用することができる。VitE中のTSの量、ならびに、GV、TLK-199、および別のがん治療剤の1つもしくは複数の量は、少なくとも部分的に、このような測定に基づいて修正することができる。本発明のがん処置への応答の測定の非限定例は、がん診断検査、病期分類、腫瘍測定、スキャンなどを含む。処置の量は、例えば、投与される医薬組成物の量の増減、投与される医薬組成物の変更、投与経路の変更、投与のタイミングの変更、非限定例として化学療法剤があげられる別の治療剤の投与の変更などの1つまたは複数により変化させ得る。有効量は、処置される特定のがん、処置される対象の年齢および身体状況;がんの病期および重症度、処置の期間、前療法、同時療法、または差し迫った療法(もしあれば)の性質、投与の具体的な経路、ならびに、保健従事者の知識および専門知識内の追加の因子で変化する。例えば、限定することを意図していないが、TSの有効量は、送達させる手法、ならびに、GVまたはTLK-199もまた、VitE中のTSを含む医薬組成物に含まれるか否かに依存し得る。本発明のいくつかの態様では、がん治療方法は、VitE中のTSの対象への1回または複数回の投与を含み得ること、および、対象に、VitE中に存在しないTSを含む1つまたは複数の追加の組成物を投与し得るが、そうする必要はないことが理解されよう。
【0032】
がんの処置用のGV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数の投与を伴うか、または伴わない、VitE中のTSの有効量は、含まれる具体的な化合物、化合物の送達の様式、および処置が、単独で、または別の治療剤もしくは化合物と組み合わせて使用されるか否かに依存して変化し得る。任意の特定の適用のための有効量はまた、処置されるがん、投与される特定の化合物、対象のサイズ、またはがんの重症度のような因子に依存して変化し得る。当業者は、過度の実験を必要とせずに、本発明の特定の化合物の有効量を経験的に決定することができる。化合物効力、相対的生物学的利用能、患者の体重、有害な副作用の重症度、および、処置した対象において実質的に望ましくない毒性を引き起こさず、対象においてがんを処置するのに有効である、効果的な予防的または治療的な処置レジメンを計画し、利用する、投与の好ましい様式のような因子を考慮して、本明細書で提供される教示と組み合わせて、当業者は、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数を含むか、または含まないVitE中のTSを選んで投与することができる。
【0033】
医薬組成物の投与量、ならびに/または、VitE中のTS、ならびに/もしくは、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数の投与量は、特に任意の合併症の事象において、個別の健康管理提供者または獣医が調節することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、対象に単回投与で投与されるビタミンE-TPGSの量は、30g以下である。いくつかの実施形態では、ビタミンE-TPGSは、24時間当たり1、2、3、4、5、またはそれ以上の回数で投与される。いくつかの実施形態では、24時間の期間に投与されるGVの量は、10ng~200mgの範囲である。いくつかの実施形態では、TS、ビタミンE-TPGS、およびGVの1つまたは複数の量は、各々独立して、1つまたは複数の24時間の期間内およびその各々の間で選択される。特定の実施形態では、接触させることは、TSおよびビタミンE-TPGSを含む1つまたは複数の組成物と接触させることを含む。特定の実施形態では、接触させることは、TSおよびビタミンE-TPGSを含む1つまたは複数の組成物と接触させることを含む。特定の実施形態では、接触させることは、TSおよびビタミンE-TPGSを含む1つまたは複数の組成物と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、方法はまた、GVを含む組成物と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、組成物のTSのモル濃度は、10nM~5000μMの範囲である。特定の実施形態では、組成物のGVのモル濃度は、10nM~10mMの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物のビタミンE-TPGSのモル濃度は、10nM~145mMの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物のビタミンE-TPGSのモル濃度は、10nM~132mMの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物のビタミンE-TPGSのモル濃度は、少なくとも10nM、50nM、100nM、1000nM、10,000nM、1mM、10mM、20mM、30mM、40mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、110mM、120mM、130mM、140mM、150mM、または160mMである。本発明の併用処置方法での使用のために、VitE中のTS、GV、TLK-199、および/または別のがん治療剤の各々の治療有効量は、独立して、決定され、典型的には、1日または複数日に、1日に1用量または複数用量の投与で、0.01mg/kg~約1.0g/kg、約0.1mg/kg~約500mg/kg、または約0.2mg/kg~約100mg/kgで変化する。
【0035】
いくつかの実施形態では、24時間で投与されるTSの量は、10ng~1gの範囲である。いくつかの実施形態では、24時間で投与されるビタミンE-TPGSの量は、10ng~500gの範囲である。いくつかの実施形態では、対象に単回用量で投与されるビタミンE-TPGSの量は、30g以下である。いくつかの実施形態では、ビタミンE-TPGSは、24時間当たり1、2、3、4、5、またはそれ以上の回数で投与される。いくつかの実施形態では、24時間の期間に投与されるGVの量は、10ng~200mgの範囲である。いくつかの実施形態では、TS、ビタミンE-TPGS、およびGVの1つまたは複数の量は、各々独立して、1つまたは複数の24時間の期間内およびその各々の間で選択される。
【0036】
特定の実施形態では、接触させることは、TSおよびビタミンE-TPGSを含む1つまたは複数の組成物と接触させることを含む。特定の実施形態では、接触させることは、TSおよびビタミンE-TPGSを含む1つまたは複数の組成物と接触させることを含む。特定の実施形態では、接触させることは、TSおよびビタミンE-TPGSを含む1つまたは複数の組成物と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、方法はまた、GVを含む組成物と接触させることを含む。いくつかの実施形態では、組成物のTSのモル濃度は、10nM~5000μMの範囲である。特定の実施形態では、組成物のGVのモル濃度は、10nM~10mMの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物のビタミンE-TPGSのモル濃度は、10nM~132mMの範囲である。いくつかの実施形態では、組成物のビタミンE-TPGSのモル濃度は、少なくとも10nM、100nM、1000nM、10,000nM、1mM、10mM、50mM、60mM、70mM、80mM、90mM、100mM、110mM、120mM、130mM、140mM、150mM、または160mMである。いくつかの実施形態では、1つまたは複数の組成物は、薬学的に許容される担体および賦形剤の1つまたは複数をさらに含む。
【0037】
投与される絶対量は、同時処置、投与回数、ならびに、年齢、身体状況、サイズ、および体重を含む個別の対象のパラメーターを含む、様々な因子に依存する。当業者に周知の因子が存在し、通常の実験だけで対処することができる。いくつかの実施形態では、最大用量、すなわち、信頼できる医学的判定による最高安全用量は、使用することができる。薬物送達の経路(直接投与、対、全身)に依存して、臨床投与に対する薬物の濃度は、変化する。本発明の特定の実施形態では、VitE-TPGS中に可溶化したTSを含む組成物でのVitE-TPGSの百分率は、最大で0.1%、0.2%、0.3%、0.4%、0.5%、0.6%、0.7%、0.8%、0.9%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%であり得、与えられた範囲内の全ての百分率を含む。本発明のいくつかの態様では、がんを処置するために対象に投与される組成物は、5%のVitE-TPGS可溶化TSを含む。本発明の方法のいくつかの実施形態では、ジメチルスルホキシド(DMSO)はまた、対象に投与される1つまたは複数の組成物に含まれる。
【0038】
VitE中のTSの複数回投与もまた、企図される。いくつかの例では、VitE中のTSは、少なくとも毎日、隔日、毎週、隔週、毎月などに、1回、2回、3回、またはそれ以上の回数、対象に投与される。用量は、1日に1回、または1日に2回以上、例えば、24時間の期間に2回、3回またはそれ以上の回数、投与することができる。本発明のいくつかの実施形態では、TSおよびVitEを含む組成物は、1日に0回、1回、またはそれ以上の回数、1週間に1、2、3、4、5、6、7日間、対象に投与される。非限定例として、TSおよびVitEを含む本発明の組成物は、1週間で、第1日に1回、第2日に0回、第3日に2回、第4日および第5日に0回、ならびに第6日および第7日に1回、投与することができる。投与スケジュールは、対象の必要性に基づいて決定することができる。本発明のいくつかの実施形態では、TSおよびVitEを含む組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、またはそれ以上の週数の間、その週の1またはそれ以上の週の1日または数日に1回または複数回の頻度で対象に投与される。TSおよびVitEを含む本発明の組成物の投与のスケジュールは、規則的または不規則な投与頻度を含むことができ、頻度は、限定されないが、状態の重症度などのようなパラメーターに基づいて決定することができる。
【0039】
本発明の医薬組成物は、単独で、互いを組み合わせて、および/または、他の薬物療法、もしくはがんを有する対象に投与される他の処置レジメンと組み合わせて、投与することができる。本発明の実施形態で使用される医薬組成物は、好ましくは、無菌であり、対象への投与に適した重量または体積の単位において、接触させたがん細胞を死滅させること、および所望の治療応答を生じさせることの1つまたは複数を行うのに有効量のVitE中のTSの組合せを含有する。
【0040】
対象に投与されるTSおよびVitEを含む医薬組成物の投与は、異なるパラメーターにしたがって、特に、使用される投与の様式および対象の状態にしたがって選ぶことができる。他の因子は、所望の期間の処置を含み得る。対象における応答が、適用された初期用量で不十分である場合、より高い用量(または、異なった、より局在化した送達経路による効果的により高い用量)は、患者の許容性が許容する程度まで利用することができる。
【0041】
投与方法
VitE中のTSに対する様々な投与経路が利用可能である。選択される特定の送達様式は、処置される特定の状態および治療効能に必要な投与量に依存する。本発明の方法は、一般的に言うと、臨床的に許容されない有害作用を起こさずに効果的なレベルの処置を引き起こす任意の様式を意味する、医学的に許容される投与の任意の様式を使用して実施することができる。本発明のいくつかの実施形態では、VitE中のTSの組成物は、経口、経腸、粘膜、経皮、および/または非経口経路を介して投与される。用語「非経口」は、皮下、静脈内、筋肉内、胸膜内、腹腔内、および胸骨内の注射または注入技術を含む。他の経路は、限定されないが、鼻(例えば、胃-経鼻管を介して)、皮膚、膣、直腸、および舌下を含む。本発明の送達経路は、髄腔内、心室内、または頭蓋内を含み得る。
【0042】
本発明の方法のいくつかの実施形態では、VitE中のTSを含む組成物を、細胞および/または対象に投与する手段は、組成物を対象の体腔に注入する、および/または、対象の体腔を組成物で洗浄するために、カテーテルを使用することを含む。本発明の特定の実施形態で使用することができるカテーテルの例は、限定されないが、胸膜内カテーテル、および腹膜内カテーテルを含む。非限定例では、胸膜内カテーテルは、1またはそれ以上の用量のVitE中のTSを含む本発明の組成物を、胸膜滲出を呈する対象の胸膜腔に投与するのに使用される。別の非限定例では、卵巣がんを有する対象は、VitE中のTSを含む本発明の組成物を、腹膜内カテーテルを使用して腹膜腔に投与することができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施形態では、TSおよびVitEを含む組成物、または、GV、TLK-199、および/もしくは別のがん治療用化合物を含む1つもしくは複数の組成物は、徐放性マトリックス内に配置し、対象でのマトリックスの配置により投与することができる。本発明のいくつかの態様では、VitE中のTS、GV、TLK-199、および別のがん治療剤の1つまたは複数は、具体的な細胞、または、非限定例がミトコンドリアである細胞小器官を標的化する送達薬剤でコーティングされたナノ粒子を使用して、細胞および/または対象に投与することができる。
【0044】
VitE中のTS、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数は、製剤において投与することができ、これは、薬学的に許容される溶液で投与することができ、薬学的に許容される濃度の塩、緩衝化剤、保存剤、相溶性担体、補助剤、および任意の他の治療成分を通常、含有することができる。本発明の方法によると、VitE中のTS、GV、TLK-199、および他のがん治療用化合物の1つまたは複数は、1つまたは複数の医薬組成物で投与することができる。一般に、医薬組成物は、本発明の化合物、および薬学的に許容される担体を含む。薬学的に許容される担体は、当業者に周知されており、独立して、通常の方法を使用して、選択および利用することができる。本明細書で使用される場合、薬学的に許容される担体とは、活性成分の生物学的活性の有効性、例えば、がん細胞を死滅させるVitE中のTSの能力に干渉しない、非毒性材料を意味する。
【0045】
薬学的に許容される担体は、希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、および当該技術分野で周知の他の材料を含むことができる。例示的な薬学的に許容される担体は、米国特許第5,211,657号に記載され、他は、当業者に知られている。このような調製剤は、塩、緩衝化剤、保存剤、相溶性担体、および任意の他の治療剤を通常、含有することができる。医学的に使用される場合、塩は、薬学的に許容されるべきであるが、薬学的に許容されない塩は、都合よく使用して、薬学的に許容されるその塩を調製することができ、本発明の範囲から除外するものではない。このような薬理学的および薬学的に許容される塩は、限定されないが、以下の酸:塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、ギ酸、マロン酸、コハク酸などから調製されるものを含む。また、薬学的に許容される塩は、アルカリ金属またはアルカリ土類塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、またはカルシウム塩として調製することができる。
【0046】
本発明のいくつかの実施形態では、VitE中のTS、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数は、組織に直接的に投与される。いくつかの実施形態では、化合物が投与される組織は、がんが存在するか、または存在するもしくは発生する可能性がある組織である。直接的な組織投与は、対象の組織を、VitE中のTSを含む溶液で洗浄することにより達成することができる。このような溶液は、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数を含み得るが、必要はない。洗浄(washing)手段を使用する投与はまた、洗浄(lavage)とも言われ、溶液が、対象のがん細胞と接触する手法において、VitE中のTSを含有する溶液を対象に流すことにより、VitE中のTSを対象に送達することを含むことができる。対象の組織とVitE中のTSとの接触は、列挙した範囲の時間内の各整数を含む、少なくとも0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、120、180、240、300、360、420、またはそれ以上の分間のような期間、維持することができる。がん細胞をVitE中のTSと接触させることはまた、VitE中のTSを含む組成物の直接注射、または他の当該技術分野で公知の手段を使用して達成することができる。本発明のいくつかの実施形態では、処置方法は、胸膜内洗浄を使用して、VitE中のTSを含む組成物を、対象に投与することを含む。本発明の併用処置が、対象の細胞をVitE中のTSと接触させることを含み得、また、洗浄手段を使用し、別の手段を使用して対象の細胞をVitE中のTS、GV、TLK-199、または別のがん治療用化合物の別の1つと接触させて、対象の細胞をGV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数と接触させ、その非限定例は、IV投与、徐放性投与などである。VitE中のTSを含む組成物は、1回で投与することができるか、あるいは、複数回投与で投与することができる。1回または複数回で投与する場合、VitE中のTSは、各時間に同じ経路で、または1つもしくは複数の異なる投与経路を使用して投与することができる。例えば、第1回(または最初の数回)の投与は、罹患組織に直接行い、その後は全身に投与してよい。
【0047】
VitE中のTSが全身投与される本発明の実施形態では、VitE中のTS組成物は、注射による、例えば、ボーラス注射または連続注入による、非経口投与用に製剤化することができる。注射用の製剤は、添加された保存剤を含むか、または含まない、単位剤形、例えば、アンプルまたは多回用量の容器で提示され得る。医薬組成物は、油性または水性ビヒクルにおいて、懸濁剤、溶液、または乳剤などの形態を取り得、懸濁化剤、安定化剤、および/または分散化剤のような製剤化剤(formulatory agent)を含有することができる。
【0048】
非経口投与用の調製剤は、無菌の水性もしくは非水性溶液、懸濁剤、または乳剤を含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油、およびオレイン酸エチルのような注射用有機エステルである。水性担体は、水、アルコール性/水性溶液、乳剤、または懸濁剤を含み、生理食塩水および緩衝化媒体を含む。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース、および塩化ナトリウム、乳酸化リンゲルまたは不揮発性油を含む。静脈内ビヒクルは、液体および栄養補充剤、電解質補充剤(例えば、リンゲルデキストロースに基づくもの)などを含む。保存剤および他の添加物質はまた、例えば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、および不活性ガスなどのように存在し得る。より低用量は、静脈内投与のような他の形態の投与に起因する。対象における応答が、適用された初期用量で不十分である場合、より高い用量(または、異なった、より局在化した送達経路による効果的により高い用量)は、患者の許容性が許容する程度まで利用することができる。1日当たりの多回用量は、必要に応じて、VitE中のTSの適切な全身または局所のレベルを達成するのに使用することができる。
【0049】
本発明のいくつかの実施形態では、ナノ粒子は、VitE中のTSを含む組成物、ならびに/または、GV、TLK-199、および別のがん治療用化合物の1つまたは複数を含む組成物のような、本発明の組成物の投与において使用することができる。薬物送達に対してナノ粒子を使用するための方法は、当該技術分野で知られており、例えば、Choi,Y.H.およびHan,H.J.、Pharm.Invest.(2018)48:43~60頁;Onoue,S.ら(2014)Int.J.Nanomed.9:1025~1037頁;ならびに、Schroeder,A.ら(2011)Nat.Rev.Cancer、12月23日:12(1)39~50頁を参照し、その各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
さらに他の実施形態では、送達ビヒクルは、生体適合性ミクロ粒子または哺乳動物レシピエントへの移植に適したインプラントである。本方法にしたがって有用である例示的な生体分解性インプラントは、多くの出版物に記載されており、例えば、Song,R.ら、Drug Design,Development and Therapy2018年:12 3117~3145頁;Ulery,B.ら、J Polym Sci B Polym Phys.2011年6月15日;49(12):832~864頁を参照し(その各々は、参照により本明細書に組み込まれる)、それらは、医薬化合物を投与するための生体適合性、生物分解性ポリマーマトリックスを記載する。このような送達手段は、当該技術分野で周知であり、対象において本発明の化合物の持続放出を達成するのに使用することができ、分解するためではなく、むしろ、長い期間にわたる拡散により放出するために選択され得る。
【0051】
非生物分解性および生物分解性の両方のポリマーマトリックスは、限定されないが、VitE中のTS、GV、TLK-199、または別のがん治療用化合物を含む、本発明の治療用化合物を、細胞および/または対象に送達するのに使用することができる。いくつかの実施形態では、マトリックスは、生物分解性であり得る。マトリックスポリマーは、天然または合成ポリマーであり得る。ポリマーは、一般に約数時間から1年またはそれ以上にわたって放出が望まれる期間に基づいて選択することができる。典型的には、数時間と3~12か月との間の範囲の期間にわたる放出は、使用することができる。ポリマーは、任意で、水中のその重量の最大で約90%を吸収することができるヒドロゲルの形態であり、さらに、任意で、多価イオンまたは他のポリマーと架橋されている。
【0052】
本発明の特定の実施形態では、VitE中のTS、および/または、GV、TLK-199、もしくは別のがん治療用化合物の1つまたは複数は、拡散により、またはポリマーマトリックスの分解により、生体分解性インプラントを使用して送達することができる。このような使用のための例示的な合成ポリマーは、当該技術分野で周知されている。生物分解性ポリマーおよび非生物分解性ポリマーは、当該技術分野で公知の方法を使用する本発明の方法で使用される、治療用化合物の送達で使用することができる。生体分解性ヒドロゲルのような生体接着性ポリマーはまた、本発明のがん処置方法の実施形態に対して、VitE中のTS、GV、TLK-199、および/または別のがん治療用化合物の1つまたは複数を送達するのに使用することができる。追加の適した送達システムは、時限放出性、遅延放出性、または持続放出性の送達システムを含み得る。このようなシステムは、1つまたは複数のVitE中のTS、GV、TLK-199、および別のがん治療剤の反復投与を避けることができ、これは、対象および健康管理提供者に対する利便性を高める。多くの種類の放出送達システムは、利用することができ、当業者に周知されている。加えて、ポンプ系のハードウエア送達システムは、使用することができ、そのいくつかは、移植に適合している。
【0053】
長期的な持続放出インプラントの使用は、対象の予防的な処置、および再発がんを発症するリスクのある対象に特に適している。長期的な放出とは、本明細書で使用される場合、インプラントが、少なくとも30日、60日、90日、またはそれより長く、治療レベルの有効成分を送達するために構築および配置されることを意味する。長期的な持続放出インプラントは、当業者に周知であり、上述の放出システムのいくつかを含む。
【0054】
本発明の治療方法の実施形態での使用のための治療用製剤は、凍結乾燥製剤または水溶液の形態で、所望の程度の純度を有するTS、GV、および/またはTLK-199化合物を、任意の薬学的に許容される担体、賦形剤、または安定剤[Remington’s Pharmaceutical Sciences第21版(2006)]と混合することにより、保管のために調製することができる。許容される担体、賦形剤、または安定剤は、利用される投与量および濃度でレシピエントに対して無毒性であり、限定されないが、リン酸塩、クエン酸塩、および他の有機酸のような、緩衝剤;アスコルビン酸およびメチオニンを含む、抗酸化剤;保存剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロリド;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンのようなアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;およびm-クレゾール);低分子量(約10個未満の残基)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリンのような、タンパク質;ポリビニルピロリドンのような、親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、もしくはリジンのような、アミノ酸;単糖類、二糖類、およびグルコース、マンノース、もしくはデキストリンを含む、他の炭水化物;EDTAのような、キレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトールのような、糖類;ナトリウムのような、塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに/または、TWEEN(登録商標)、PLURONICS(登録商標)、もしくはポリエチレングリコール(PEG)のような、非イオン性界面活性剤を含む。本発明の方法の一実施形態での1つまたは複数のがん治療用化合物の送達のための製剤の非限定例は、限定されないが、TS、GV、TLK-199、VitE-TPGS、DMSO、生理食塩水、Kolliphor-EL、デキストロース、および塩化ナトリウムの1つまたは複数を含む。
【0055】
効能の決定およびアッセイ
本発明の特定の態様は、がんの処置において、VitEを含む溶液中のTSの効能を評価する方法を含む。このような方法は、VitE中のTSと接触させたがん試験細胞での効果を、VitE中のTSと接触させていない実質的に類似した対照のがん細胞の状態と比較することを含み得る。限定されないが、がん細胞死の高い可能性のような所望の効果の1つまたは複数での変化は、がんの処置に対するVitE中のTSの有効性を示す。本発明のいくつかの実施形態では、アッセイ方法は、対象から生物学的なサンプルを得ること、サンプルをVitE中のTSと接触させること、および、細胞の応答(例えば、細胞死の高い可能性など)を評価することを含み得る。試験細胞の応答は、対照のがん細胞と比較することができる。本明細書で使用される場合、生物学的なサンプルは、in vitroでの生物学的なサンプルであり得るか、またはin vivoで検出される(例えば、得られた)サンプルであり得る。本明細書で使用される場合、生物学的なサンプルは、細胞サンプル、組織サンプル、血液サンプル、体液サンプル、細胞内サンプルなどであり得る。生物学的なサンプルは、細胞、組織、または細胞小器官を含み得、限定されないが、真皮細胞、胸膜腔由来の細胞、腹膜腔由来の細胞、卵巣組織細胞、胸部組織細胞、筋肉細胞、循環細胞、結合組織細胞、幹細胞、骨細胞、外分泌細胞、内分泌細胞、臓器細胞、間葉細胞、結合組織細胞、上皮細胞、内皮細胞、ニューロン細胞、神経膠細胞、腺細胞、間質細胞、腎細胞、甲状腺細胞、幹細胞、造血細胞、リンパ系細胞、骨髄細胞、赤血球系細胞、心筋細胞、肝細胞、星状膠細胞、希突起膠細胞、卵母細胞、および脂肪細胞のような細胞を含み得る。本発明のいくつかの実施形態では、生物学的なサンプルは、1つまたは複数のがん細胞を含み得る。
【0056】
がんを評価するアッセイは、限定されないが、(1)対象におけるがんの処置において、VitE中のTSを投与することを含む処置の効能を特徴付けること;(2)VitE中のTSを投与すること、ならびに、1つまたは複数の化合物、化学療法剤、放射線処置、外科的処置、および他の処置を投与することを含む、併用療法を評価すること、(3)VitE中のTSの決定した効能の少なくとも一部に基づいて、がんに対する処置を選択すること;ならびに、(4)対象におけるがんの処置の少なくとも一部として、VitE中のTSを対象に投与することを含み得る。ゆえに、対象は、特徴付けることができ、処置レジメンは、モニタリングすることができ、処置は、選択することができ、疾患状態は、本発明の方法の実施形態を使用してより良好に理解することができる。
【0057】
本発明は、いくつかの態様では、VitE中のTSを含む組成物を、がん細胞および/または対象に投与することを含む、処置の効能を決定する、様々なアッセイを含む。細胞、組織、対象、および(例えば、対象由来、培養内などの)サンプルにおいて、本発明の処置方法の効能を決定するのに有用である、本発明の方法は、限定されないが、がん細胞死などを決定する診断アッセイを含む。がんを処置するVitE中のTSの効能の評価は、in vitroで、例えば、細胞培養、細胞サンプル、細胞懸濁液などで行うことができるか、または、in vivoで、例えば、周知のがん診断評価および追跡方法を使用して生きている対象で行うことができる。
【0058】
当業者に理解される通り、処置の評価はまた、がんの症状または臨床的エンドポイントの評価に基づくことができ、このような評価は、本発明の方法に関連して使用して、がんの状態、および/またはがんに対する本発明の処置の効能を評価することができる。
【0059】
以下の実施例は、本発明の実施の具体的な例を説明するために提供され、本発明の範囲を限定することを意図しない。当業者には明らかなように、本発明は、様々な組成物および方法での適用を見出すであろう。
【実施例
【0060】
実施例1
試験を実行して、チオストレプトン(TS)、またはビタミンE-TPGS(VitE-TPGS、D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000スクシネート)に希釈したTSと接触させた場合、培養の中皮腫(LP9)および悪性中皮腫(HM)細胞の細胞生存率の効果を試験した。
【0061】
チオストレプトンは、水溶液に難溶性であるので、当該化合物の臨床使用を制限する。試験を実行して、TSを可溶化する、いくつかの異なる溶液の能力を決定した(実施例4を参照)。結果は、5%のVitE-TPGSの溶液が、ミリモル濃度にTSを可溶化したことを示し、本溶液を、さらなる試験で使用して、TS活性が本製剤を使用した細胞培養において保持されるか否かを決定した。
【0062】
方法
示された細胞株を、96ウェルプレートにプレーティングし、終夜吸着させた。翌日、試験化合物を、完全組織培養培地の細胞での複製ウェル内で順次希釈した。VitE-TPGSを、0.9%のNaClで0.025%(w/v)の出発濃度から順次希釈し、LP9またはHM細胞を添加した(図1)。DMSOに溶解したTSを、細胞培養培地中で20μMの出発濃度まで希釈し、順次希釈したか、または、1.5mMのTS/DMSO/5%のVitE-TPGS(33mM)/0.9%のNaCl溶液から20μMのTS/0.06%のVitE-TPGSの出発濃度まで希釈し、LP9またはHM細胞について順次希釈した(図2)。細胞を、クリスタルバイオレットで残留細胞を染色することによる細胞生存率の間接的読み取りを使用して細胞数を決定する前の48時間、試験化合物でインキュベートした。細胞の50%が生存していない、阻害濃度(IC50)を、試験化合物に対して決定した。
【0063】
結果
VitE-TPGSは、正常な中皮細胞(LP9)および悪性中皮腫(HM)細胞の両方に対して、細胞毒性があるかを決定した(図1)。HM細胞は、LP9中皮細胞と比較して、VitE-TPGSでは高い細胞毒性を示した(LP9細胞でのIC50 0.0014%、対、HM細胞でのIC50 0.0006%)。VitE-TPGSで希釈したTSは、TS単独と比較して、LP9およびHM細胞に対してより高い細胞毒性があった(図2)。加えて、HM細胞は、LP9細胞よりTSへの感受性が高かったが、これは、いずれの細胞株においてもTSをVitE-TPGSと組み合わせた場合に維持されることが一貫して観察された治療ウインドウである。
【0064】
実施例2
実施例1で概説した試験を、追加の細胞株でも実施する。結果は、実施例1で見られた結果を裏付ける。
【0065】
実施例3
マウス実験を実行して、in vivoでのMM細胞をTSおよびVitE-TPGSの組合せと接触させることにより、in vivoでの悪性中皮腫(MM)細胞および腫瘍増殖の効果を試験する。
【0066】
実施例4
本試験を実行して、下記に詳述されるように様々な製剤化システムにおいて、試験物質の固有溶解度を決定した。記載した試験では、試験物質は、チオストレプトン(TS)であった。
【0067】
方法
本方法は、所望の製剤混合物での24時間のインキュベーションの後、平衡溶解度を測定した。各製剤混合物での試験物質の溶解度を、所望の溶媒中の試験物質の溶液の注射により得られるLC/MSスペクトルのAUCの、参照規格溶液のAUCに対する比較により測定した。試験を、活性医薬成分(API)とも言われる、試験物質としてTSで実行した。参照溶液は、どの時点でも新たに作製した。次いで、データを計算して、時間の関数として、残留する%試験物質を得た。手順方法は、以下の通りであった:
1)活性医薬成分(API)の原液は、10mMで1,4-ジオキサンにおいて調製した。
【0068】
2)原料の19個の200μlの部分を、19個の透明な500μlの微小遠心管内に分注し、溶媒を、窒素流により除去した。19個の管には、1~19の番号を付けた。
3)原料の5個の200μlの部分を、5個の透明な200μlの微小遠心管内に分注し、溶媒を、窒素流により除去した;これらの管には、S1、S2、S3、S4、およびS5を付け、LC/MSによる量子化のために保管した。
【0069】
4)ビヒクルを、共溶媒のためにw/w基準で、および塩のためにモル基準で調製した。
5)200μLの各ビヒクルを、そのビヒクルに対応する適切な微小遠心管1~19に導入した。APIの最終濃度は、10mMであった。これらは、試験サンプルであった。
【0070】
6)サンプル管1~19を、30分間超音波処理した後、24時間撹拌した。
7)容器を、遠心分離し、50μlの上清を除去し、LC/MS解析のために350μlのアセトニトリルで希釈した。これらを、試験サンプルとした。
【0071】
8)微小遠心管S1~S5を、200μlのアセトニトリルおよび200μlの1,4-ジオキサンを管に添加することにより、解析の直前に再構成し、30分間超音波処理した。これらを、スタンダードとした。
【0072】
9)解析前に、24個の全ての管を遠心分離した。
10)サンプル管1~19から50μlの透明な上清を除去し、LC/MS解析のために350μlのアセトニトリルで希釈した。
【0073】
11)スタンダード管S1~S5から100μlの透明な上清を除去し、LC/MS解析のために300μlのアセトニトリルで希釈した。
12)LCを、以下の設定にしたがって実施した:
a)ブランク、b)スタンダード1、c)サンプル1~5、d)スタンダード2、e)サンプル6~10、f)スタンダード3、g)サンプル11~15、h)スタンダード4、i)サンプル16~19、j)スタンダード5。
【0074】
13)量子化(Quantization)は、原液からのAUCとの比較に基づき、相対的であった。
結果
スタンダードを、LC/MSおよび254nmでのUVスペクトル、蒸発光散乱(ELSD)にかけ、親ピーク(457、M+H)に対する抽出イオンクロマトグラムを統合して、各時点のAUCを得た。各時点について、新たに調製したスタンダードを使用した。このデータを使用して、残留する試験物質の%を計算した(表1に示される)。
【0075】
【表1】
【0076】
考察
試験は、試験物質が、水溶液、ならびに様々な有機溶媒で、かなり低い溶解度を呈したことを示した。試験物質(TS)は、1,4-ジオキサンおよびクロロホルムに溶けやすいことが見出されたことに加えて、いくつかの良好な賦形剤混合物は、生理食塩水と比較して、相対溶解度が高いことが見出された。3つの最良のものは、以下のように同定された:生理食塩水における30%でのCapryol90、生理食塩水における5%でのVitE-TPGS、生理食塩水における20%でのGelucire44/14、および生理食塩水における10%でのCremophore。さらなる試験を、TSを含むVitE-TPGSを使用して、細胞株で実行した。また、高い溶解度が、より多くの量のVitE-TPGSを使用することにより(最大20%の量を使用している)、または生理食塩水中のTPGSを含む共溶媒を使用することにより、達成可能であったことを見出された。
【0077】
実施例5
試験を実行して、中皮腫のマウスモデルにおける賦形剤としてVitE-TPGSを使用して、チオストレプトン(TS)およびゲンチアナバイオレット(GV)の週1回の注射の活性を試験した。この実験の第一目標は、DMSOのみを有する標準的な製剤と比較して、賦形剤としてVitE-TPGSを使用して週1回の注射で投与した時の、TS/GVのin vivoでの腫瘍細胞毒性を決定することであった。加えて、悪性中皮腫(MM)腫瘍を有する動物および有さない動物において、TS/GV/VitE製剤を受ける動物で重量変化をモニタリングして、毒性プロファイルを調査した。
【0078】
方法
オスのFOX-Chase SCIDマウスを、HM悪性中皮腫(HM-Luc)腫瘍細胞を発現する250万のルシフェラーゼを含む、腹腔内(i.p.)注射により注射し、腫瘍を2週間、生着させた。動物を、6匹の動物の4群に分けた:
群:
1.1.5%のDMSO/PBSビヒクル対照
2.2%のVitE/1.5%のDMSO/PBSビヒクル対照、[13mMで使用されるVitE-TPGS、注射毎にマウス当たり4mgの送達されたVitE-TPGSをもたらす]
3.20mg/kgのTS+2mg/kgのGV/1.5%のDMSO/PBS
4.20mg/kgのTS+2mg/kgのGV/2%のVitE-TPGS/1.5%のDMSO/PBS
腫瘍の生着の2週間後、腫瘍を、ルシフェリンのi.p.注射に続いて、IVIS生動物撮像装置を使用して月曜日毎に撮影した。ビヒクルまたは薬物溶液(200μL)を、4.5週間、火曜日毎にi.p.注射した。動物は、トータルで4回の薬物注射を受けた。ビヒクル対照群での著しい体重減少により、動物を、腫瘍注射の42日後に回収した。
【0079】
結果
注射後日数(DPI)14、21、28、および35でのルシフェリンのi.p.注射、および生動物撮像に続いて、動物において腫瘍を可視化した。DPI21、28、および35は、試験化合物の1回、2回、または3回の週1回の注射の後の腫瘍サイズに相当する。薬物注射を開始する前(DPI14)では、生動物撮像により評価したように、群間の腫瘍サイズに著しい差はなかった。DMSOおよびVitE対照群の両方での腫瘍は、実験の期間にわたって類似した速度で成長した(図3)。腫瘍サイズは、VitEビヒクル対照動物と比較して、第21日、第28日、および第35日にTS/GV/VitEを受けた動物で著しく小さかった。35DPIでは、TS/GV/DMSO動物は、DMSO対照動物と比較して、著しく小さい腫瘍を示し始めた。TS/GV/VitEを受ける動物での腫瘍の増殖は、TS/GV/DMSOを受ける動物と比較して、より遅い速度で成長したが(DPI14~28)、これは、二元配置ANOVA統計解析により、統計的有意差に達しなかった。統計的に有意ではなかったが、TS/GV/VitE群の腫瘍は、TS/GV/DMSO群と比較して、28DPIで、約50%小さく、統計的有意差に達すると予想される動物数が増大した。
【0080】
およそ35DPIで、対照群の動物は、動物の身体検査により評価されるように、腫瘍量に屈する徴候(すなわち、黄疸の出現の徴候)、および著しい体重減少(図4)を示し始めた。41DPIで、対照群およびTS/GV/DMSO群の全ての動物は、著しく体重が減少し、42DPIで、実験を終了する必要がある不調の著しい徴候を示した。TS/GV/VitE群の動物は、実験を通して著しい体重減少は示さず、本製剤が、より長期的なKaplan-Meier生存試験に好適であることを示した(図4)。
【0081】
動物を、過剰量のイソフルランおよび頚椎脱臼により殺処分した後、臓器(肺、肝臓、腎臓)および残留した腫瘍塊を採取した。液体窒素中での急速凍結か、パラホルムアルデヒド中での固定かまたは細胞培養/腫瘍オルガノイドの増殖のための処理の前に、腫瘍を計量し、(体積を)測定した。
【0082】
DMSO対照群の動物は、目に見える黄疸を有し、多くの対照動物は、本モデルでの侵略的腫瘍増殖を示す、横隔膜への15~60%の腫瘍侵襲を有する。全ての群は、腔に血性腹水を伴う少なくとも1匹の動物を有する。肝臓のいくつかの「ばち状(clubbing)」も、全ての群で観察された。対照マウスにおける横隔膜侵襲に関わらず、任意の群に特異的であることが肉眼で観察されず、全ての群での腫瘍量が、最も観察される臨床症状の原因であったことを示唆した。
【0083】
TS/GV/DMSOおよびTS/GV/VitE処置動物由来の外科的に切除される腫瘍は、対照と比較して、統計的有意差に達さなかったが、それぞれ、腫瘍塊において25%および33%の低減を示した(図5)。この傾向は、TS/GV/DMSO製剤と比較して、TS/GV/VitE製剤の高い活性を支持する。
【0084】
考察および結論
1.5%のDMSO/2%のVitE-TPGS溶液中のTS/GVの週1回の投与は、中皮腫の固定時間点の異種移植マウスモデルにおける腫瘍進行を示した。TS/GV/VitEは、腫瘍移植を伴うか、または伴わない動物に、4.5週間にわたって4回投与した場合、限定的な毒性(体重減少、ひどい組織損傷)を示した。これらの結果は、卵巣および中皮腫のマウスモデルを使用する今後のKaplan-Meier生存試験におけるTS/GV/VitEの使用を支持する。加えて、これらのデータは、TS/GV/VitEが、中皮腫のマウスモデルにおいて活性を保持し、TS/GV/DMSO製剤と比較して、効力が高くなり、標的外の毒性が低くなり、医院において進めるのに適切な製剤であるという、説得力のある証拠を提供する。
【0085】
等価物
本発明のいくつかの実施形態が、本明細書で説明および図示されているが、当業者は、本明細書に記載された、機能を実行するため、ならびに/または、結果および/もしくは利点の1つもしくは複数を得るための様々な他の手段ならびに/または構造を容易に想到し、このような変形および/または修正の各々は、本発明の範囲内にあると考えられる。より一般には、当業者は、本明細書中に記載される全てのパラメーター、寸法、材料および配置が、例示的であると意図されており、実際のパラメーター、寸法、材料および/または配置が、本発明の教示が使用される具体的な適用(複数可)に依存することを容易に理解されよう。当業者は、通常の実験だけを使用して、本明細書に記載された、本発明の具体的な実施形態との多くの等価物を認識するか、または確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態が、例のみとして提示され、添付の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内で、本発明が、具体的に記載され、請求された以外の方法で実施することができることは理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載された、各個別の特徴、システム、物質、材料、および/または方法を対象とする。加えて、2つ以上のこのような特徴、システム、物質、材料、および/または方法のいずれかの組合せは、このような特徴、システム、物質、材料、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本発明の範囲内に含まれる。
【0086】
全ての定義は、本明細書に定義され、使用される場合、辞書の定義、参照により組み込まれた文献での定義、および/または、定義された用語の通常の意味よりも優先すると理解されるべきである。
【0087】
不定冠詞「a」および「an」は、本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、そうでないと明確に示されない限りは、「少なくとも1つ」を意味するものと理解されるべきである。
【0088】
成句「および/または」は、本明細書および特許請求の範囲において使用される場合、そのように結合した要素、すなわち、ある場合においては接合的に存在し、他の場合においては離接的に存在する要素の「いずれかまたは両方」を意味するものと理解されるべきである。そうでないと明確に示されない限り、具体的に同定されたそれらの要素に関係するか否かに関わらず、「および/または」節により具体的に同定された要素以外の他の要素が任意で存在し得る。
【0089】
本出願で引用または参照される全ての参考文献、特許および特許出願、ならびに出版物は、その全体をここに参照により本明細書に組み込まれる。
発明の態様
[態様1]チオストレプトン(TS)およびビタミンE-TPGSを含む、組成物。
[態様2]ゲンチアナバイオレット(GV)をさらに含む、態様1に記載の組成物。
[態様3]ジメチルスルホキシド(DMSO)をさらに含む、態様1または2に記載の組成物。
[態様4]組成物におけるTSのモル濃度が、10nM~5000μMの範囲である、態様1から3のいずれかに記載の組成物。
[態様5]組成物におけるGVのモル濃度が、10nM~10mMの範囲である、態様2に記載の組成物。
[態様6]組成物におけるビタミンE-TPGSのモル濃度が、10nM~132mMの範囲である、態様1から5のいずれかに記載の組成物。
[態様7]薬学的に許容される担体および賦形剤の1つまたは複数をさらに含む、態様1から6のいずれかに記載の組成物。
[態様8]がん細胞を含む細胞の集団において細胞生存率を低減するための方法であって、複数のがん細胞における生存率の統計的に有意な低減に十分な条件下および期間、がん細胞を含む細胞の集団をチオストレプトン(TS)およびビタミンE-TPGSと接触させるステップを含む、方法。
[態様9]がん細胞を含む細胞の集団を提供するステップをさらに含む、態様8に記載の方法。
[態様10]TSおよびビタミンE-TPGSが、複数のがん細胞における生存率の低減において相乗効果を有する、態様8または9に記載の方法。
[態様11]接触させるステップが、がん細胞をゲンチアナバイオレット(GV)と接触させるステップをさらに含む、態様8から10のいずれかに記載の方法。
[態様12]接触させるステップが、チオストレプトンおよびビタミンE-TPGSを含む組成物を、がん細胞に送達するステップを含む、態様8から11のいずれかに記載の方法。
[態様13]チオストレプトンおよびビタミンE-TPGSが、組成物の一部として送達され、組成物が、1つまたは複数の薬学的に許容される担体をさらに含んでもよく、組成物が、ジメチルスルホキシド(DMSO)をさらに含んでもよい、態様8から12のいずれかに記載の方法。
[態様14]がん細胞が、対象中に存在し、接触させるステップが、TSおよびビタミンE-TPGS、ならびに任意でGVを、対象に投与するステップを含む、態様8から13のいずれかに記載の方法。
[態様15]投与するステップが、全身投与を含む、態様14に記載の方法。
[態様16]全身投与が、腸内投与および非経口投与の1つまたは複数を含む、態様15に記載の方法。
[態様17]24時間で投与されるTSの量が、10ng~5gの範囲である、態様14から16のいずれかに記載の方法。
[態様18]24時間で投与されるGVの量が、10ng~200mgの範囲である、態様14から17のいずれかに記載の方法。
[態様19]24時間で投与されるビタミンE-TPGSの量が、10ng~30gの範囲である、態様14から18のいずれかに記載の方法。
[態様20]24時間で投与されるビタミンE-TPGSの量が、複数回投与で投与される、態様14から19のいずれかに記載の方法。
[態様21]24時間、複数回投与で投与されるビタミンE-TPGSの総量が、0.01g~500gの範囲である、態様20に記載の方法。
[態様22]接触させるステップが、TSおよびビタミンE-TPGSを含む1つまたは複数の組成物と接触させるステップを含む、態様8から21のいずれかに記載の方法。
[態様23]GVを含む組成物と接触させるステップをさらに含む、態様22に記載の方法。
[態様24]組成物におけるTSのモル濃度が、10nM~5000μMの範囲である、態様22または23に記載の方法。
[態様25]組成物におけるGVのモル濃度が、10nM~10mMの範囲である、態様23に記載の方法。
[態様26]組成物におけるビタミンE-TPGSのモル濃度が、10nM~132mMの範囲である、態様22から25のいずれかに記載の方法。
[態様27]1つまたは複数の組成物が、薬学的に許容される担体および賦形剤の1つまたは複数をさらに含む、態様22から26のいずれかに記載の方法。
[態様28]がん細胞が、悪性中皮腫細胞を含む、態様8から27のいずれかに記載の方法。
[態様29]がん細胞が、卵巣がん細胞を含む、態様8から27のいずれかに記載の方法。
[態様30]対象が、哺乳動物であり、ヒトであってもよい、態様14に記載の方法。
[態様31]がん細胞が、肺の胸膜、腹膜、心膜、および精巣鞘膜の1つまたは複数において、対象中に位置している、態様14から30のいずれかに記載の方法。
[態様32]がん細胞が、卵巣、腹腔、腹腔液、および腹膜の1つまたは複数において、対象中に位置している、態様14から27、29、および30のいずれかに記載の方法。
[態様33]対象が、胸膜滲出を呈するがんを有する、態様14から32のいずれかに記載の方法。
[態様34]対象が、卵巣がんを有する、態様14から33のいずれかに記載の方法。
[態様35]対象が、悪性中皮腫を有する、態様14から33のいずれかに記載の方法。
[態様36]投与するステップが、チオストレプトン(TS)およびビタミンE-TPGS、ならびに任意でGVの、対象の体腔への注入を含む、態様14から35のいずれかに記載の方法。
[態様37]注入の手段が、カテーテルを使用して対象の腔に組成物を投与するステップを含む、態様36に記載の方法。
[態様36]投与が、対象に提供される一次処置を含む、態様14から35のいずれかに記載の方法。
[態様37]対象が、さらに、外科レジメン、放射線療法レジメン、および化学療法レジメンの1つまたは複数を施される、態様14から36のいずれかに記載の方法。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5