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特許7428358サーバ、通信システム、通信方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】サーバ、通信システム、通信方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/00 20240101AFI20240130BHJP
   H04W 4/08 20090101ALI20240130BHJP
   H04W 4/10 20090101ALI20240130BHJP
   H04W 4/70 20180101ALI20240130BHJP
【FI】
H04M3/00 B
H04W4/08
H04W4/10
H04W4/70
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2018111643
(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公開番号】P2019216326
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-05-07
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000232254
【氏名又は名称】日本電気通信システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】武井 義尊
(72)【発明者】
【氏名】村松 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】栗盛 翔吾
【合議体】
【審判長】猪瀬 隆広
【審判官】山中 実
【審判官】土居 仁士
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-530928(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/179521(US,A1)
【文献】特表2016-514407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 3/00, H04W 4/08, H04W 4/10, H04W 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
SIP(セッションイニシエーションプロトコル)を用いて、複数のサーバとそれぞれセッションを確立して1対多型通信を行う、論理的に同一グループとして管理されている端末グループを管理するグループ管理部と、
前記端末グループに属する端末とセッションを確立した他のサーバとの間に前記端末グループ単位のセッションを確立するセッション管理部と、
前記他のサーバから受信した前記端末グループに属する端末からのパケットを、前記端末グループに属する端末に転送するパケット転送部と、を備え、
自装置とセッションを確立した端末の数をMとし、前記他のサーバとセッションを確立した端末の数をNとし、所定の通信グループに属するM×N台の端末間のパケットを所定数のセッションで授受し、
前記グループ管理部には、前記端末グループに属する端末が接続するサーバ情報と関連付けて登録されており、
前記セッション管理部は、グループ通信開始要求に応じて前記グループ管理部を参照して、前記端末グループ単位のセッションを確立するか否かを判断すること、
を特徴とするサーバ。
【請求項2】
前記他のサーバから受信したパケットの送信先となる端末が複数存在する場合、前記複数の端末に対してマルチキャストする請求項1のサーバ。
【請求項3】
前記グループ管理部は、PoC(Push to talk over Celler)通信を行う端末グループを管理し、
前記他のサーバと連携して、前記端末グループに属する端末に対し、PoCサービスを提供する請求項1のサーバ。
【請求項4】
前記グループ管理部は、
事前に設定されたマシンツーマシン通信を行う機器を含む端末グループを管理し、
前記他のサーバと連携して、前記端末グループに属する端末に対し、同報通信サービスを提供する請求項1又は2のサーバ。
【請求項5】
所定の公共用の周波数で基地局に接続するPS-LTE(Public Safety LTE)端末に対して、サービスを提供するアプリケーションサーバとして動作する請求項1からいずれか一のサーバ。
【請求項6】
SIP(セッションイニシエーションプロトコル)を用いて、複数のサーバとそれぞれセッションを確立して1対多型通信を行う、論理的に同一グループとして管理されている、端末グループを管理するグループ管理部と、
前記端末グループに属する端末とセッションを確立した他のサーバとの間に前記端末グループ単位のセッションを確立するセッション管理部と、
前記他のサーバから受信した前記端末グループに属する端末からのパケットを、前記端末グループに属する端末に転送するパケット転送部と、を備え、
自装置とセッションを確立した端末の数をMとし、前記他のサーバとセッションを確立した端末の数をNとし、所定の通信グループに属するM×N台の端末間のパケットを所定数のセッションで授受し、
前記グループ管理部には、サーバ毎に、前記端末グループに属する端末が接続するサーバ情報と関連付けて登録されており、
前記セッション管理部は、グループ通信開始要求に応じて前記グループ管理部を参照して、前記端末グループ単位のセッションを確立するか否かを判断する、
第1のサーバと、
前記他のサーバとして動作する第2のサーバと、
を含む通信システム。
【請求項7】
SIP(セッションイニシエーションプロトコル)を用いて、複数のサーバとそれぞれセッションを確立して1対多型通信を行う、論理的に同一グループとして管理されている、端末グループを管理するグループ管理部を備えたサーバであって、
前記グループ管理部には、サーバ毎に、前記端末グループに属する端末が接続するサーバ情報と関連付けて登録されており、
グループ通信開始要求に応じて前記グループ管理部を参照して、前記端末グループ単位のセッションを確立するか否かを判断するステップと、
前記端末グループに属する端末とセッションを確立した他のサーバとの間に前記端末グループ単位のセッションを確立するステップと、
前記他のサーバから受信した前記端末グループに属する端末からのパケットを、前記端末グループに属する端末に転送するステップと、
自装置とセッションを確立した端末の数をMとし、前記他のサーバとセッションを確立した端末の数をNとし、所定の通信グループに属するM×N台の端末間のパケットを所定数のセッションで授受するステップと、
を含む通信方法。
【請求項8】
SIP(セッションイニシエーションプロトコル)を用いて、複数のサーバとそれぞれセッションを確立して1対多型通信を行う、論理的に同一グループとして管理されている、端末グループを管理するグループ管理部を備えたサーバであって、
前記グループ管理部には、サーバ毎に、前記端末グループに属する端末が接続するサーバ情報と関連付けて登録されており、
グループ通信開始要求に応じて前記グループ管理部を参照して、前記端末グループ単位のセッションを確立するか否かを判断する処理と、
前記端末グループに属する端末とセッションを確立した他のサーバとの間に前記端末グループ単位のセッションを確立する処理と、
前記他のサーバから受信した前記端末グループに属する端末からのパケットを、前記端末グループに属する端末に転送する処理と、
自装置とセッションを確立した端末の数をMとし、前記他のサーバとセッションを確立した端末の数をNとし、所定の通信グループに属するM×N台の端末間のパケットを所定数のセッションで授受する処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバ、通信システム、通信方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に、グループのユーザ数が多い大規模なグループ通信においてもグループ通信サーバの処理負荷を抑えることが可能なグループ通信サーバが開示されている。同文献によると、このグループ通信サーバは、セッション開始プロトコル(以下、SIP)によりグループ通信セッションを確立する通信システムにおいて、当該通信システム内に存在する通信端末間のグループ通信セッションを管理する。そして、このグループ通信サーバ(PoCサーバ41)は、SIPにより記述された情報である、自サーバから通信端末への方向のマルチキャストに用いるメディア記述を含む、グループ通信セッションを開始するためのSIPメッセージを生成する。そして、このグループ通信サーバ(PoCサーバ41)は、当該SIPメッセージをグループ通信のメンバである通信端末に対して送信する、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-212777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以下の分析は、本発明によって与えられたものである。特許文献1等に記載されたグループ通信サーバ1台あたりの収容可能ユーザ数(収容可能端末数)は、グループ通信サーバの物理的な能力(メモリ量等)に応じて決定される。収容予定のユーザ数が多い場合は、相当数のグループ通信サーバを用意する必要がある。
【0005】
上記のように、複数のグループ通信サーバを用いて、グループ通信を行う通信システムを構成する場合、異なるグループ通信サーバに属するユーザ同士で通信が行われることになる。この場合、通信が行われている間、該当するグループ通信サーバ間で対象端末数分のセッションが必要となり、グループ通信の頻度や規模に応じてグループ通信サーバ間の帯域消費量(伝送路容量の使用量)が増加してしまうという問題点がある。
【0006】
また、上記セッション数の増加は、システム内部のサーバ等の使用リソースの増加や、端末が接続するまでのTAT(Turn Around Time)の増大(接続遅延)をもたらすことになる。上記の帯域消費量(伝送路容量の使用量)やリソース等の増加は、同時に通信するユーザ(端末)の数やグループの数が増大するほど、顕著なものとなる。
【0007】
本発明は、上記したグループ通信サーバに代表されるサーバを複数用意して1対多型の通信を行う際のサーバ間の帯域消費量(伝送路容量の使用量)等の増加の抑制に貢献できるサーバ、通信システム、通信方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の視点によれば、SIP(セッションイニシエーションプロトコル)を用いて、複数のサーバとそれぞれセッションを確立して1対多型通信を行う端末グループを管理するグループ管理部と、前記端末グループに属する端末とセッションを確立した他のサーバとの間に前記端末グループ単位のセッションを確立するセッション管理部と、前記他のサーバから受信した前記端末グループに属する端末からのパケットを、前記端末グループに属する端末に転送するパケット転送部と、を備えるサーバが提供される。
【0009】
第2の視点によれば、上記したサーバ(第1のサーバ)と、上記した他のサーバとして動作する第2のサーバと、を含む通信システムが提供される。
【0010】
第3の視点によれば、SIP(セッションイニシエーションプロトコル)を用いて、複数のサーバとそれぞれセッションを確立して1対多型通信を行う端末グループを管理するグループ管理部を備えたサーバが、前記端末グループに属する端末とセッションを確立した他のサーバとの間に前記端末グループ単位のセッションを確立するステップと、前記他のサーバから受信した前記端末グループに属する端末からのパケットを、前記端末グループに属する端末に転送するステップと、を含む通信方法が提供される。本方法は、端末グループに属する端末間の通信を実現するサーバという、特定の機械に結びつけられている。
【0011】
第4の視点によれば、SIP(セッションイニシエーションプロトコル)を用いて、複数のサーバとそれぞれセッションを確立して1対多型通信を行う端末グループを管理するグループ管理部を備えたサーバに、前記端末グループに属する端末とセッションを確立した他のサーバとの間に前記端末グループ単位のセッションを確立する処理と、前記他のサーバから受信した前記端末グループに属する端末からのパケットを、前記端末グループに属する端末に転送する処理と、を実行させるプログラムが提供される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジトリーな)記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、グループ通信サーバに代表されるサーバを複数用意して1対多型の通信を行う際のサーバ間の帯域消費量(伝送路容量の使用量)等の増加の抑制に貢献することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態の通信システムの構成を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態のサーバが保持する端末グループ情報の一例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態の通信システムの動作を表したシーケンス図である。
図5】本発明の第1の実施形態の効果を説明するための図である。
図6】本発明の第1の実施形態の効果を説明するための別の図である。
図7】本発明の第1の実施形態の効果を説明するための別の図である。
図8】本発明の第1の実施形態の効果を説明するための別の図である。
図9】本発明の第2の実施形態の通信システムの構成を示す図である。
図10】本発明の第2の実施形態のサーバが保持する端末グループ情報の一例を示す図である。
図11】本発明の第2の実施形態の通信システムの動作を表したシーケンス図である。
図12】本発明のサーバを構成するコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インタフェースがあるが図示省略する。
【0015】
本発明は、その一実施形態において、図1に示すように、グループ管理部101と、セッション管理部102と、パケット転送部103と、を備える第1のサーバ100aにて実現できる。
【0016】
より具体的には、グループ管理部101は、SIPを用いて、複数のサーバ(図1の100a、200a)とそれぞれセッションを確立して1対多型通信を行う端末グループ(図1の端末グループA)を管理する。
【0017】
セッション管理部102は、前記端末グループに属する端末とセッションを確立した他のサーバ(図1の第2のサーバ200a)との間に前記端末グループ単位のセッション(図1の900a)を確立する。
【0018】
さらに、パケット転送部103は、前記他のサーバ(図1の第2のサーバ200a)から受信した前記端末グループに属する端末からのパケットを、前記端末グループに属する端末に転送する。
【0019】
以上のように構成される本発明によれば、1対多型通信を行う端末グループを収容する複数のサーバ(図1の100a、200a)間のセッション数を、端末グループ当たりの必要最小限の数に抑えることが可能となる。これにより、サーバ間の帯域消費量(伝送路容量の使用量)を減らすことができるほか、サーバ(図1の100a、200a)の使用リソースの低減や、端末がサーバに接続するまでのTATの低減に貢献することが可能となる。
【0020】
[第1の実施形態]
続いて、本発明をPoCサービスに適用した第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施形態の通信システムの構成を示す図である。図2を参照すると、拠点AにサーバA200、拠点BにサーバB100を配置し、拠点間ネットワーク900で接続した構成が示されている。より望ましい形態において、このような複数のサーバを用いたPoC通信システムは、例えば、PS-LTE(Public Safety LTE)のアーキテクチャとしても採用される。その際の課題となるのが、拠点間ネットワーク900の帯域消費量の低減である。本実施形態のサーバA200、サーバB100は、所定の公共用の周波数で基地局に接続するPS-LTE端末に対して、サービスを提供するアプリケーションサーバとして動作し、その解決手段を提供するものとなる。なお、LTEは、Long Term Evolutionの略である。
【0021】
サーバB100(第1のサーバに相当)は、グループ管理部101と、セッション管理部102と、パケット転送部103と、を備え、拠点Bのサービスエリアに在圏する端末UE_B、UE_CにPoCサービスを提供する。
【0022】
グループ管理部101はサーバB100及びサーバA200とのいずれかとセッションを確立して1対多型通信を行う端末グループを管理する。図3は、グループ管理部101にて管理される端末グループ情報の一例を示す図である。図3の例では、グループごとに当該グループに属するユーザ(端末)とその接続サーバとを特定可能としたテーブルが示されている。以下の説明では、図3のとおり、ユーザ(端末)UE_A、UE_B、UE_Cが属するグループAが設けられているものとして説明する。
【0023】
なお、本実施形態では、通話を行いたいユーザ(端末)を事前に設定しておく事前設定方式でPoCサービスを提供するものとして説明するが、随時端末グループを生成するアドホック方式等を用いることもできる。この場合、図3のような端末グループを管理するグループ管理サーバを追加すればよい。
【0024】
セッション管理部102は、拠点Bのサービスエリアに在圏する端末UE_B、UE_Cとセッションを確立する。また、セッション管理部102は、前記セッションを確立した端末UE_B、UE_Cのいずれかからグループ通信開始要求(SIP_REFER)を受けると、グループ管理部101を参照してサーバ間のグループ通信が必要となるか否かを判定する。サーバ間のグループ通信が必要と判定した場合、セッション管理部102は、サーバA200に対し、セッション確立要求(SIP_INVITE)を送信する。
【0025】
パケット転送部103は、サーバA200からグループ通信に属するパケットを受信すると、該当する通信グループの端末に対し、当該パケットを必要数複製した上で各端末に転送する。
【0026】
サーバA200(第2のサーバ、他のサーバに相当)は、グループ管理部201と、セッション管理部202と、パケット転送部203と、を備え、拠点Aのサービスエリアに在圏する端末UE_AにPoCサービスを提供する。サーバA200のグループ管理部201、セッション管理部202及びパケット転送部203は、それぞれサーバB100のグループ管理部101、セッション管理部102及びパケット転送部103と同等であるので、説明を省略する。
【0027】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図4は本発明の第1の実施形態の通信システムの動作を表したシーケンス図である。図4を参照すると、事前設定セッション方式に従い、端末A(UE_A)は、サーバA200とセッションを確立する(ステップS001)。端末B(UE_B)、端末C(UE_C)も同様に、サーバB100とセッションを確立する(ステップS002、S003)。なお、図4の例では、端末A(UE_A)、端末B(UE_B)、端末C(UE_C)の順でセッションを確立しているが、セッションを確立する順序は任意でよい。
【0028】
以下の例では、端末A(UE_A)において発呼操作が行われたものとして説明する(ステップS004)。
1)発呼操作がなされると、端末A(UE_A)は、端末B(UE_B)、端末C(UE_C)に対するグループ通信開始要求(SIP_REFER)を送信する(ステップS005)。
2)サーバA200は、グループ通信開始要求を受信すると、グループ管理部201の情報を参照して、複数サーバ間のグループ通信であるか否かを判定する。ここでは、グループAに属する端末は、図3に示すように、複数のサーバに接続する設定となっているものとする。この場合、サーバA200は、端末B(UE_B)、端末C(UE_C)を収容するサーバB100に対して、セッション確立要求(SIP_INVITE)を送信する(ステップS006)。
3)サーバB100は、サーバA200とのセッションを確立する(ステップS007)。以降、グループ通信が終了するまで、端末A(UE_A)、端末B(UE_B)及び端末C(UE_C)間のユーザパケットのサーバA200、サーバB100間の転送は、このセッションを用いて行われる。
4)以降、端末A(UE_A)が、サーバA200に対して、通話内容を格納したユーザパケット(RTP Media)を送信する(ステップS011)。サーバA200は、前記ステップS007で生成したセッションを用いて、サーバB100側に通話内容を格納したユーザパケット(RTP Media)を送信する(ステップS012)。
5)サーバB100は、サーバA200から受信したパケットの宛先の数に応じて、パケットを複製し、それぞれ端末B(UE_B)、端末C(UE_C)に送信する(ステップS013)。
【0029】
なお、上記ステップS006で、グループ通信開始要求を受信し、グループ管理部201を参照して、複数サーバ間のグループ通信ではなく、同一のサーバ内でのグループ通信であると判定した場合、ステップS006~S007は不要となる。また、上記した例では省略したが、グループ通信の終了後、該当するセッションを解放してもよいことはもちろんである。その場合、端末A(UE_A)等における発呼操作の後に、再びステップS005~S007の処置が行われることになる。
【0030】
続いて本実施形態の効果について説明する。図5は、本発明の第1の実施形態の効果を説明するための図である。まず、本実施形態では、サーバ間のセッション数の削減に成功していることについて説明する。図5の比較例の1:1通信では、サーバA200とサーバB100間のセッションは1本で足りる。図5の比較例の1:M通信では、サーバA200とサーバB100間のセッションはM本となり、サーバ間の帯域消費量(伝送路容量の使用量)等が増大してしまうことになる。
【0031】
一方、本実施形態では、先に説明したとおり、グループ単位でセッションを生成するので、サーバ間の帯域消費量(伝送路容量の使用量)を減らすことが可能となっている。
【0032】
本実施形態では、サーバ間のトラヒックの削減に成功していることについて説明する。図6は、本発明の第1の実施形態の効果を説明するための別の図である。図6の比較例の1:1通信では、サーバA200とサーバB100間の送信パケットは1つで足りる。図6の比較例の1:M通信では、サーバA200とサーバB100間のセッションはM本あるため、送信パケット数(拠点間パケット数)もM個になる。
【0033】
一方、本実施形態では、先に説明したとおり、サーバB100でパケットを必要数複製する構成を採用している。このため、サーバA200とサーバB100間の送信パケット数(拠点間パケット数)は1個で足りる。
【0034】
上記の効果は、通信グループや通信グループに属する端末の数が増えるほど大きなものとなる。例えば、図7に示すように、通信グループにN台×M台の端末(ユーザ)が属している場合、個々にセッションを確立すると、セッション数は、N×M本となってしまうが、本実施形態では、セッションを1つに集約することができる。
【0035】
また、上記の効果は、通信グループの数が増えるほど大きなものとなる。例えば、図8に示すように、端末数(ユーザ数)がN台×M台の通信グループAと、端末数がP台×Q台の通信グループBが存在する場合、個々にセッションを確立すると、セッション数は、N×M+P×Q本となってしまう。本実施形態では、セッションはグループ単位で1つ作成されるので、2本に抑えることができる。
【0036】
[第2の実施形態]
続いて、本発明をM2M(Machine to Machine)通信と呼ばれる機器間通信やIoT(Internet of Things)通信に適用した第2の実施形態について説明する。サーバ100、200の基本的な機能は第1の実施形態と同様であるので、以下、その相違点を中心に説明する。
【0037】
図9は、本発明の第2の実施形態の通信システムの構成を示す図である。図2に示した第1の実施形態との相違点は、端末グループに、端末のほか、機器M_A、機器M_Bが含まれており、PoC通信でなく、M2M通信やIoTシステムの制御情報やセンサデータのマルチキャストを行う点である。
【0038】
図10は、グループ管理部101にて管理される端末グループ情報の一例を示す図である。図10の例では、図3に示した第1の実施形態の通信グループ情報との相違点は、ユーザ(端末)として、機器M_A、機器M_Bが追加されている点である。
【0039】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図11は本発明の第2の実施形態の通信システムの動作を表したシーケンス図である。図11のC-Plane制御は、第1の実施形態のステップS001~S007に示した事前設定セッション方式のセッション確立処理と同様である。具体的には、端末UE_A、機器M_A、機器M_B、端末UE_BがそれぞれサーバA200及びサーバB100とセッションを確立する。
【0040】
以降の動作も第1の実施形態と同様である。例えば、端末A(UE_A)が、サーバA200に対して、データを格納したユーザパケット(RTP Media)を送信する(ステップS111)。サーバA200は、サーバB100間のセッションを用いて、サーバB100側にデータを格納したユーザパケット(RTP Media)を送信する(ステップS112)。
【0041】
サーバB100は、サーバA200から受信したパケットの宛先の数に応じて、パケットを複製し、それぞれ機器M_A、M_B、端末B(UE_B)に送信する(ステップS113)。
【0042】
以上のとおり、本発明は、複数サーバを用いたPoCサービスのみならず、M2M通信やIoTシステムにおけるデータのマルチキャスト(同報通信サービス)にも適用することができる。
【0043】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したネットワーク構成、各要素の構成、メッセージの表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。また、以下の説明において、「A及び/又はB」は、A及びBの少なくともいずれかという意味で用いる。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インタフェースがあるが図示省略する。
【0044】
また、上記した実施形態では、発呼端末側のサーバA200が、グループ管理部201の情報を参照して、複数サーバ間のグループ通信であるか否かを判定するものとして説明したが、当該判定をサーバB100側で行わせてもよい。この場合、サーバB100側のセッション管理部102がグループ管理部201の情報を参照して、複数サーバ間のグループ通信であり、セッションを確立済みであるか否かを判定することになる。
【0045】
また、上記した第1、第2の実施形態に示した手順は、サーバ100、200として機能するコンピュータ(図12の9000)に、サーバ100、200としての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、図12のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インタフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、図12のCPU9010にて、セッション確立プログラムやパケット転送プログラムを実行させればよい。
【0046】
即ち、上記した第1、第2の実施形態に示したサーバ100、200の各部(処理手段、機能)は、これらサーバに搭載されたプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0047】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点によるサーバ参照)
[第2の形態]
上記したサーバの前記グループ管理部には、前記端末グループに属する端末が接続するサーバ情報が登録されており、
前記セッション管理部は、前記グループ管理部を参照して、前記端末グループ単位のセッションを確立するか否かを判断する構成を採ることができる。
[第3の形態]
上記したサーバは、
前記他のサーバから受信したパケットの送信先となる端末が複数存在する場合、前記複数の端末に対してマルチキャストする構成を採ることができる。
[第4の形態]
上記したサーバは、
自装置とセッションを確立した端末の数をMとし、前記他のサーバとセッションを確立した端末の数をNとし、所定の通信グループに属するM×N台の端末間のパケットを所定の数(例えば1つ)のセッションで授受する構成を採ることができる。
[第5の形態]
上記したサーバのグループ管理部は、
PoC(Push to talk over Celler)通信を行う端末グループを管理し、
前記他のサーバと連携して、前記端末グループに属する端末に対し、PoCサービスを提供する構成を採ることができる。
[第6の形態]
上記したサーバのグループ管理部は、事前に設定されたマシンツーマシン通信を行う機器を含む端末グループを管理し、
前記他のサーバと連携して、前記端末グループに属する端末に対し、同報通信サービスを提供する請求項1から4いずれか一のサーバ。
[第7の形態]
上記したサーバは、所定の公共用の周波数で基地局に接続するPS-LTE(Public Safety LTE)端末に対して、サービスを提供するアプリケーションサーバとして動作する形態を採ることができる。
[第8の形態]
(上記第2の視点による通信システム参照)
[第9の形態]
(上記第3の視点による通信方法参照)
[第10の形態]
(上記第4の視点によるプログラム参照)
なお、上記第8~第10の形態は、第1の形態と同様に、第2~第7の形態に展開することが可能である。
【0048】
なお、上記の特許文献の開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択(部分的削除を含む)が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0049】
100 サーバB
100a 第1のサーバ
101 グループ管理部
102 セッション管理部
103 パケット転送部
200 サーバA
201 グループ管理部
202 セッション管理部
203 パケット転送部
200a 第2のサーバ
900a セッション
900 拠点間ネットワーク
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インタフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置
UE_A~UE_C 端末
M_A~M_B 機器
図1
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