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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】移動式作業台
(51)【国際特許分類】
   E04G 1/24 20060101AFI20240130BHJP
   E04G 1/34 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
E04G1/24 301A
E04G1/34 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019226528
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021095713
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】597144484
【氏名又は名称】ジー・オー・ピー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117857
【弁理士】
【氏名又は名称】南林 薫
(72)【発明者】
【氏名】千田 豊治
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-011644(JP,U)
【文献】特開2003-097031(JP,A)
【文献】特開2018-188000(JP,A)
【文献】特開平10-311138(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0356198(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 1/00-7/34
E04G 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板部と、
上側から見て前記天板部に重なり合うように配置される脚部と、
上側から見て前記天板部の外周縁からはみ出して配置される車輪部と、を備え
前記車輪部は、前記天板部に設けられ、上側から見て前記天板部の長手側の端部および短手側の端部からはみ出して配置されることを特徴とする移動式作業台。
【請求項2】
前記車輪部は、
前記移動式作業台で作業する場合には床面から離れて配置され、前記移動式作業台を折り畳んで移動しようとする場合には床面に接地することを特徴とする請求項1に記載の移動式作業台。
【請求項3】
前記車輪部は、前記天板部の作業面と直交する方向に沿った回転軸線を中心に回転することを特徴とする請求項1または2に記載の移動式作業台。
【請求項4】
前記車輪部は、
前記天板部の内部に配置されることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の移動式作業台。
【請求項5】
前記車輪部は、
前記移動式作業台の種類ごとに車輪の色が異なることを特徴とする請求項1ないしの何れか1項に記載の移動式作業台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式作業台に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高所作業を行うための移動式作業台が知られており、高所作業を行う位置に応じて移動式作業台を移動させる必要がある。特許文献1には、脚部と走行部を備え、折り畳んだ状態で傾斜させて牽引することで移動させることができる作業台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-188000号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された作業台は、例えば狭い通路を移動させるのが困難である。
【0005】
本発明は、上述したような問題点に鑑みてなされたものであり、狭い通路であっても容易に移動させることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、天板部と、上側から見て前記天板部に重なり合うように配置される脚部と、上側から見て前記天板部の外周縁からはみ出して配置される車輪部と、を備え、前記車輪部は、前記天板部に設けられ、上側から見て前記天板部の長手側の端部および短手側の端部からはみ出して配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、狭い通路であっても容易に移動させることができるようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態の移動式作業台の構成の一例を示す斜視図である。
図2】移動式作業台の構成の一例を示す平面図である。
図3】移動式作業台の構成の一例を示す正面図である。
図4】移動式作業台の構成の一例を示す側面図である。
図5】移動式作業台を折り畳んだ状態の一例を示す正面図である。
図6】第1実施形態の車輪体の構成の一例を示す図である。
図7】移動式作業台を連結した状態を示す平面図である。
図8】移動式作業台を連結した状態を拡大した拡大図である。
図9】移動式作業台を移動させている状態を示す模式図である。
図10】第2実施形態の移動式作業台の構成の一例を示す斜視図である。
図11】第2実施形態の車輪体の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施形態に係る移動式作業台について図面を参照して説明する。なお、説明を容易にするために、各図には必要に応じて、上側をUp、下側をLo、右側をR、左側をL、前側をFr、後側をRrとして示している。
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態の移動式作業台100は、作業者が高所作業を行うための作業台であり、天板部の下面に設けられた車輪部により移動させることができる。
【0011】
図1は、移動式作業台100の構成の一例を示す斜視図である。図2は、移動式作業台100の構成の一例を示す平面図である。図3は、移動式作業台100の構成の一例を示す正面図である。図4は、移動式作業台100の構成の一例を示す側面図である。
移動式作業台100は、天板部110と、脚部120と、車輪部130と、回動部140と、走行部150と、補助接地部160とを備える。
【0012】
まず、天板部110について説明する。
天板部110は、高所作業を行う作業者の足場として機能する。天板部110は、脚部120および車輪部130が取り付けられる基台部である。また、天板部110は、平面視において(上側から見て)、前後方向に長い略矩形状である。本実施形態では、天板部110の左右方向の長さと前後方向の長さとの比が略2:3や1:2である。具体的に、天板部110の左右方向の長さが略1000mm(例えば700mm~1050mm)であり、前後方向の長さが略1500mm(例えば1450mm~1550mm)である。天板部110は、例えば、アルミニウム合金製の複数の長尺状の天板部材が連結して構成される。天板部110は、例えばシルバー色等の金属色である。
また、天板部110は、作業面となる上面に滑り止めとしての複数の突起111を有する。突起111は、間隔を空けて天板部110の全面に亘って形成される。突起111は上側に向かって突出し、中央に孔を有する。
【0013】
また、天板部110は、4隅に近接した位置に複数の連結部材114を有する。連結部材114は、隣接する他の移動式作業台100などを連結する部材である。図2の拡大斜視図において二点鎖線で示すように、連結部材114はバー状であって、側方から見て略コ字状に曲げた形状である。連結部材114は、基軸115、把持部116、連結軸117を有する。基軸115は把持部116の一端から鉛直方向に沿った軸であり、天板部110内に収容される方向に付勢される。把持部116は上側から見て略へ字状あるいは略V字状に曲げられ、作業者が連結部材114を引き上げるときに把持する。連結軸117は把持部116の他端から鉛直方向に沿った軸であり、天板部110を他の移動式作業台100などに連結させる。図2の拡大斜視図において実線で示すように、連結する移動式作業台100がない場合には、連結部材114は基軸115および連結軸117が天板部110の内部に収容される。一方、連結部材114を他の移動式作業台100に連結するには、作業者は把持部116を引き上げて連結軸117の下端を露出させる。次に、図2の拡大斜視図の二点鎖線で示すように、作業者は、基軸115を中心にして軸回りに回動させることで、連結軸117を天板部110の外周縁よりも外側に位置させる。次に、作業者は連結軸117を、他の移動式作業台100の後述する連結孔112に上側から挿入することで、他の移動式作業台100を連結することができる。
【0014】
また、天板部110は、外周縁に近接した位置に複数の被連結部としての連結孔112を有する。連結孔112は、隣接する他の移動式作業台100等と連結するための孔である。連結孔112は、長手側の端部に例えば6つ、短手側の端部に例えば4つ形成される。また、天板部110は、外周縁に近接した位置に、補助手摺部30を取り付けるための複数の手摺用孔を有する。
【0015】
次に、脚部120について説明する。脚部120は、天板部110の荷重を支持したり、天板部110で作業する作業者の荷重を支持したりする機能を有する。また、脚部120は、天板部110の下側で連結され、天板部110に対して回動可能である。脚部120が回動することで、脚部120が天板部110と重なり合うようにして折り畳まれる。
具体的には、脚部120は4本の脚部材120a~120dを有する。なお、図3および図4では、脚部材120dは、脚部材120b、120cによって隠れるために図示されていない。
脚部材120a、120bは、前後方向における後側に位置し、天板部110から床面に向かって延びる。また、脚部材120aと脚部材120bとは、互いに左右方向に離れて位置する。脚部材120c、120dは、前後方向における前側に位置し、天板部110から床面に向かって延びる。また、脚部材120cと脚部材120dとは、互いに左右方向に離れて位置する。
【0016】
脚部材120a~120dは、主脚121と、伸縮脚122と、横架部材125a,125bと、当接部材126とを有する。
主脚121は、脚部材120a~120dを主とする部材である。主脚121は、例えば、アルミニウム合金製であり、押し出し成形することによって形成される。主脚121は例えばシルバー色等の金属色である。また、主脚121は、例えば、中空状の断面略矩形の部材である。
【0017】
伸縮脚122は、主脚121の下端から突出させる長さを変更することで脚部材120a~120dを長手方向に沿って伸縮させる部材である。伸縮脚122により脚部材120a~120dを伸縮させることで、天板部110の高さを調整することができる。脚部120は高さ方向に例えば、0mmから400mmまでの間を例えば略50mmや略100mmの間隔で段階的に調整することができる(図3および図4では最も伸ばした状態を二点鎖線で示し、最も縮めた状態を実線で示している)。
伸縮脚122は、主脚121の内部に嵌まり込み、主脚121の長手方向に沿って摺動可能である。伸縮脚122は例えばアルミニウム合金製であり、押し出し成形することによって形成される。伸縮脚122は例えばシルバー色等の金属色である。また、伸縮脚122は、例えば、中空状の断面略矩形の部材である。
【0018】
また、伸縮脚122は、下端にストッパ部材123を有する(図4を参照)。ストッパ部材123は、伸縮脚122の下端が主脚121に入り込まないようにする部材である。ストッパ部材123は例えばアルミニウム合金製であり、押し出し成形することによって形成される。ストッパ部材123は例えばシルバー色等の金属色である。また、ストッパ部材123は、例えば、中空状の断面略矩形の部材であり、主脚121と同一の部材を用いることができる。ストッパ部材123は伸縮脚122の下端の外周に嵌め込んだ状態で、ボルトやリベット等を用いて固定される。
【0019】
また、主脚121はロック機構124を有する(図4を参照)。ロック機構124は、伸縮脚122が主脚121の下端から突出させる長さを段階的にロックする。ロック機構124は、主脚121のそれぞれ中央よりも下側の位置であって、脚部材120aと脚部材120bとが対向する側面および脚部材120cと脚部材120dとが対向する側面に取り付けられる。
【0020】
横架部材125a、125bは、脚部材120aと脚部材120bとの間、および、脚部材120cと脚部材120dとの間に水平方向に沿って架け渡され、脚部材120a~120dの剛性を向上させる部材である。
脚部材120aと脚部材120bとの間には、鉛直方向に間隔を空けて複数の横架部材125a、125bが架け渡される。具体的には、脚部材120aの主脚121と脚部材120bの主脚121との間には3本の横架部材125aが配置され、脚部材120aの伸縮脚122と脚部材120bの伸縮脚122との間には1本の横架部材125bが配置される。横架部材125aは主脚121にブラケットを介してボルトやリベット等を用いて固定される。一方、横架部材125bは伸縮脚122のストッパ部材123にブラケットを介してボルトやリベット等を用いて固定される。
【0021】
横架部材125a、125bは例えばアルミニウム合金製であり、押し出し成形することによって形成される。また、横架部材125a、125bは、例えば中空状または中実状の断面略矩形または断面多角形の部材である。なお、横架部材125aと横架部材125bとは、異なる色が付されている。横架部材125aは例えばシルバー色等の金属色であり、横架部材125bは例えばゴールド色である。横架部材125bは、例えばアルマイト処理の工程において着色される。横架部材125bが横架部材125aと異なる色に付されているのは、横架部材125bが可動することを作業者に認識させるためである。すなわち、横架部材125bは、伸縮脚122に固定されているために、横架部材125bを鉛直方向に移動させることで伸縮脚122を主脚121から突出する長さを変更することができる。
ここでは、脚部材120aと脚部材120bとの間に架け渡される横架部材125a、125bについて説明したが、脚部材120cと脚部材120dとの間でも、同様の構成である。
【0022】
当接部材126は、脚部材120aと脚部材120bの後側の側面に固定され、脚部120を折り畳んだときに、床面に接したり、積み重ねた他の移動式作業台100の天板部110に接したりすることで、積み重ねた移動式作業台100の天板部110が水平になるように維持する。
【0023】
このように、横架部材125a、125bが脚部材120aと脚部材120bとの間、および、脚部材120cと脚部材120dとの間に架け渡されることで、脚部材120aと脚部材120bが一つのユニット、すなわち第1の脚体120Aとし、脚部材120cと脚部材120dとが一つのユニット、すなわち第2の脚体120Bとして構成される。脚部120は、一対の脚体120A、120Bが前後方向で対向するように配置される。したがって、後述するように脚部120が天板部110に対して回動する場合には、脚部材120aと脚部材120bとが一体で回動し、脚部材120cと脚部材120dとが一体で回動する。
【0024】
次に回動部140について説明する。
回動部140は、脚部120を天板部110に対して回動させる機能を有する。脚部120が回動部140を介して天板部110に対して回動することで、脚部120が下側に向かって延びる開脚姿勢と、脚部120が天板部110に重なり合って折り畳まれる閉脚姿勢とに変化する。
具体的には、回動部140は4つの回動体140a~140dを有する。なお、図3および図4では、回動体140dは回動体140b、140cによって隠れるために図示されていない。回動体140a~140dは、それぞれ脚部材120a~120dと天板部110との間に配置される。回動体140a、140bの回動支点P1は、回動体140c、140dの回動支点P2よりも上側、すなわち天板部110側にオフセットして位置する。
【0025】
次に、走行部150について説明する。
走行部150は、天板部110および脚部120を支持しながら移動式作業台100を任意の位置に移動させる機能を有する。走行部150は、脚部120の下側に連結される。
具体的には、走行部150は4つのキャスター150a~150dを有する。なお、図3および図4では、キャスター150dはキャスター150b、150cによって隠れるために図示されていない。キャスター150a~150dは、それぞれ脚部材120a~120dの下端で鉛直方向の軸回りに旋回可能に連結される。また、キャスター150a~150dは、それぞれ作業者の操作に応じて車輪の回転を固定することができるストッパを有しても良い。また、本実施形態のキャスター150a~150dは、移動式作業台100が容易に移動できるように、それぞれ2つの車輪151を有する。
【0026】
図5は、天板部110に対して脚部120を回動させて折り畳んだ閉脚状態を示す正面図である。
移動式作業台100は、折り畳む場合に天板部110を床面に接地するようにして折り畳むため、下側から天板部110、脚部材120a、脚部材120cの順に重なり合う。移動式作業台100が折り畳まれた状態では高さTHを小さくすることができる。なお、脚部材120aと脚部材120bとには、当接部材126が配置されていることから、他の移動式作業台100を積み重ねたときに当接部材126の上に、他の移動式作業台100の天板部110を安定して積み重ねることができる。
【0027】
本実施形態の移動式作業台100は、開脚状態で脚部120が完全に鉛直方向に延出しているのではなく、安定性を向上させるために鉛直方向に対して傾斜している。
すなわち、図3に示すように移動式作業台100を左右方向に沿って見たときに、一対の脚体120A、120Bは、上端から下端に向かうにしたがって、互いに離れるように傾斜している。具体的には、床面と脚部120との間の鋭角側の傾斜角度αは、80度よりも大きく、90度よりも小さい角度である。
【0028】
このように、脚部材120a~120dが下端に向かうほど天板部110の中央から離れる方向に傾斜していることで、移動式作業台100の脚部120は天板部110を安定して支持することができる。一方、脚部材120a~120dは、前後方向から見た場合には、略鉛直方向に延出している。したがって、前後方向から見た場合には、脚部材120aと脚部材120bとは平行に略鉛直方向に延出し、脚部材120cと脚部材120dとは平行に略鉛直方向に延出する。
【0029】
なお、脚部120を傾斜させすぎると、脚部材120a~120dの下端が、前後方向に突出してしまうことから、移動式作業台100を壁や他の移動式作業台100等に近接させようとした場合に脚部材120a~120dが干渉してしまい、壁や他の移動式作業台100に近接することができない。そこで、本実施形態では、移動式作業台100の上側から見て、脚部材120a~120dは、天板部110の外周縁を鉛直方向に伸ばした直線Eを外側にはみ出さないように配置している。換言すると、移動式作業台100の上側から見て、脚部材120a~120dは、脚部材120a~120dの上端から下端までが天板部110に重なり合うように配置している。
【0030】
また、脚部材120a~120dの下端には鉛直方向の軸回りに旋回可能なキャスター150a~150dが連結されている。キャスター150a~150dが旋回して、最も外側に位置するような場合であっても、キャスター150a~150dの何れの部材もが天板部110の外周縁を鉛直方向に伸ばした直線Eを外側にはみ出さないように配置している。換言すると、移動式作業台100の上側から見て、キャスター150a~150dが天板部110に重なり合うように配置している。
【0031】
次に、補助接地部160について説明する。
補助接地部160は、天板部110の外周縁に上側から力が掛かったときに、移動式作業台100の傾倒を防止するアウトリガーの機能を有する。ここで、補助接地部160は、上側から見て天板部110の外周縁からはみ出して配置される。
具体的には、補助接地部160は4つの補助脚部材160a~160dを有する。なお、図3および図4では、補助脚部材160dはそれぞれ補助脚部材160b、160cによって隠れるために図示されていない。補助脚部材160a~160dは、それぞれ脚部材120a~120dに取り付けられる。
【0032】
次に、車輪部130について説明する。
車輪部130は、移動式作業台100を移動させる機能を有する。具体的に、車輪部130は4つの車輪体130a~130dを有する。車輪体130a~130dは、それぞれ同一の構成であるために、車輪体130aについて説明する。
【0033】
図6は、車輪体130aの構成の一例を示す図である。図6(a)は車輪体130a周辺の構成を示す平面図であり、図6(b)は車輪体130a周辺の構成を示す正面図である。
車輪体130aは、車軸131と、車輪132とを有する。
車軸131は、車輪132を回転可能に保持する。車軸131は、上下方向に沿った軸状であり、天板部110の下面から下側に突出する状態で天板部110に取り付けられる。また、車軸131は例えばステンレス鋼等の金属製である。
車輪132は、移動式作業台100を用いて作業者が高所作業をする場合には床面から離れている一方、作業者が移動式作業台100を折り畳み、天板部110を立たせた状態で移動させるときには床面に接地して床面と接触しながら回転する。ここで、天板部110を立たせた状態とは、天板部110の作業面が床面に対して略鉛直な状態をいう。車輪132は、天板部110の作業面に対して略直交する回転軸線Laを中心に回転する。具体的に、図6(a)に示すように平面視において、車輪132は円形である。また、車輪132は中心に貫通孔を有し、貫通孔に車軸131が挿入されることで車軸131によって回転可能に保持される。また、車輪132は例えば合成樹脂製である。
【0034】
図6(b)に示すように、本実施形態の車輪132の直径Dは略80mmである。なお、車輪132の直径Dは、走行性を考慮して40mm以上であることが好ましく更には60mm以上であることが好ましい。一方、車輪132の直径Dは大型化を抑制するために120mm以下であることが好ましく更には100mm以下であることが好ましい。また、図6(b)に示すように、本実施形態の車輪132の高さHは略40mmである。車輪132の高さHは、走行性を考慮して10mm以上であることが好ましい。一方、車輪132の高さHは大型化を抑制するために天板部110の厚みtよりも小さいことが好ましい。なお、本実施形態の天板部110の厚みは略55mmである。
【0035】
また、車輪体130aは、平面視において大部分が天板部110と重なり合うように配置され、一部が天板部110の外周縁からはみ出して配置される。具体的には、平面視において車輪132の大部分が天板部110と重なり合い、車輪132の一部が天板部110から外側に、はみ出して配置される。図6(a)に示すように、車輪体130aは、車輪132が天板部110の短手側の端部および長手側の端部それぞれから突出している。ここで、図6(a)に示すように、車輪体130aの短手側の端部からの突出量S1、長手側の端部からの突出量S2とすると、突出量S1、S2はそれぞれ略同一であり、本実施形態では略8.5mmである。なお、突出量S1、S2は、立たせた天板部110と床面とが接しないように0mmよりも大きいことが好ましく更には5mm以上であることが好ましい。一方、突出量S1、S2が大きいと天板部110を壁に近接させたり、他の移動式作業台100と連結させたりすることが困難になるために所定の距離以下であることが好ましい。
【0036】
なお、車輪体130b~130dについても、車輪体130aと同様に構成されている。すなわち、例えば、車輪体130b~130dはそれぞれ、平面視において車輪132が天板部110の短手側の端部および長手側の端部それぞれから突出している。
【0037】
ここで、移動式作業台100a、100bを連結させる場合について説明する。なお、移動式作業台100a、100bは、上述した移動式作業台100と同一の構成である。
図7は、長手側の端部同士を連結した2つの移動式作業台100a、100bの平面図である。図8は、連結した2つの移動式作業台100a、100bの連結部分を拡大した拡大図である。
移動式作業台100aと移動式作業台100bとを連結する場合には作業者は移動式作業台100aのうち移動式作業台100bに近接した連結部材114を引き上げて回動させ、移動式作業台100bの連結孔112に挿入する。同様に、作業者は移動式作業台100bのうち移動式作業台100aに近接した連結部材114を引き上げて回動させ、移動式作業台100aの連結孔112に挿入する。したがって、図8に示すように、移動式作業台100aと移動式作業台100bそれぞれの連結部材114が、互いに異なる移動式作業台100bと移動式作業台100aに連結される。このように、移動式作業台100a、100bを連結することで、作業者が作業する作業平面を拡大させることができる。なお、連結部材114は、上側から見て略へ字状あるいは略V字状に曲がっていることから、連結したときに連結部材114同士が干渉することを防止できる。
【0038】
ここで、図8に示すように、移動式作業台100aと移動式作業台100bとを連結させたときに、移動式作業台100aの天板部110と移動式作業台100bの天板部110との間には、連結部材114が連結孔112に余裕を持って挿入できるように、最大で距離Gの隙間が形成できるように設定されている。移動式作業台100aと移動式作業台100bとを連結させると、移動式作業台100aの車輪体130dと移動式作業台100bの車輪体130bとが対向する。このとき、車輪部130の天板部110からの突出量S2が大きいと、車輪体130b、130d同士が干渉してしまい、移動式作業台100bの天板部110と移動式作業台100bの天板部110との間の隙間が距離Gよりも大きくなってしまい、連結部材114が連結孔112に挿入できない。したがって、隙間が距離Gよりも大きくならないように、車輪部130の天板部110からの突出量S2は、距離Gの1/2以下であることが好ましい。なお、図7および図8では、長手側の端部同士を連結する場合について説明したが、短手側の端部同士を連結する場合でも同様であるために、車輪部130の天板部110からの突出量S1は、距離Gの1/2以下であることが好ましい。
【0039】
以上のように構成される移動式作業台100において、作業者により移動式作業台100を折り畳み、天板部110を立たせた状態で移動させる方法について説明する。
図9は、作業者により移動式作業台100を移動させている状態を示す模式図である。図9(a)は天板部110の短手方向が上下方向になるように、すなわち長手側の端部が床面と対向するように天板部110を立たせた状態である。この状態では、天板部110の長手側の端部が床面から離れ、車輪体130aおよび車輪体130cが床面と接地する。したがって、作業者は、天板部110を立たせた状態で移動式作業台100を天板部110の長手方向に押すことで、車輪体130aおよび車輪体130cが床面と接触しながら回転するので、移動式作業台100を容易に移動させることができる。移動式作業台100を折り畳み、天板部110を立たせた状態では、移動方向に対して直交する方向の移動式作業台100の厚み(図5に示す高さTH)を小さくできることから、狭い通路であっても移動式作業台100を容易に移動させることができる。
【0040】
図9(a)では、車輪体130aおよび車輪体130cを床面と接地させるように、天板部110を立たせる場合について説明したが、この場合に限られない。例えば、車輪体130aおよび車輪体130bを床面と接地させたり、車輪体130bおよび車輪体130dを床面と接地させたり、車輪体130cおよび車輪体130dを床面と接地させたりするように天板部110を立たせるようにしてもよい。本実施形態のように、4つの車輪部130の何れも短手側の端部および長手側の端部それぞれから突出していることで、作業者は向きを考慮しなくても天板部110を立たせることで、4つの車輪部130のうち2つの車輪部130の車輪132を床面と接地させることができる。
【0041】
図9(b)は天板部110の長手方向が上下方向になるように、すなわち短手側の端部が床面と対向するように天板部110を立たせた状態である。図9(b)に示す状態では、上下方向の移動式作業台100の寸法L1が大きくなるものの、移動方向に沿った移動式作業台100の寸法L2を小さくできる。したがって、例えば、狭い一般的な乗用エレベータ内でも移動式作業台100を載せることができる。
【0042】
このように、本実施形態の移動式作業台100によれば、天板部110と、上側から見て天板部110に重なり合うように配置される脚部120と、上側から見て天板部110の外周縁からはみ出して配置される車輪部130と、を備える。天板部110の外周縁からはみ出して配置される車輪部130を有することで、作業者が移動式作業台100を折り畳み、天板部110を立たせた状態で移動させるときに車輪部130を床面に接地させることができる。天板部110を立たせた状態では移動式作業台100の厚みを小さくでき、車輪部130が床面に接触しながら回転することで、狭い通路であっても移動式作業台100を容易に移動させることができる。
【0043】
(第2実施形態)
第2実施形態の移動式作業台200は、天板部の内部に設けられた車輪部により移動させることができる。なお、第1実施形態と同様の構成は同一符号を付して適宜、説明を省略する。
図10は、移動式作業台200の外観の構成の一例を示す斜視図である。
移動式作業台200は、天板部210と、脚部120と、車輪部230と、回動部140と、走行部150と、補助接地部160とを備える。本実施形態の移動式作業台200は、天板部210と車輪部230の構成が第1実施形態と異なり、他の構成は同様である。
【0044】
まず、天板部210について説明する。
天板部210は、矩形の4つの角が切り欠かれた略八角形状である。また、天板部210は、少なくとも車輪部230が配置される4隅が中空状である。例えば、天板部210を構成する天板部材による上下板2枚と側板との組み合わせによって中空状を形成することができる。ただし、天板部210は、角柱状部材を並べて結合し、車輪部230が配置される4隅を切削することで中空状にしてもよく、それぞれの方法を組み合わせてもよい。
【0045】
次に、車輪部230について説明する。
車輪部230は、移動式作業台200を移動させる機能を有する。具体的に、車輪部230は4つの車輪体230a~230dを有する。車輪体230a~230dは、それぞれ同一の構成であるために、車輪体230aについて説明する。
【0046】
図11は、車輪体230aの構成の一例を示す図である。図11(a)は車輪体230a周辺の構成を示す平面図であり、図11(b)は車輪体230a周辺の構成を示す正面図である。なお、図11(a)に示すように天板部210は角が切り欠かれた切欠部211aを有する。
車輪体230aは、第1の実施形態の車輪体130aと同様に、平面視において大部分が天板部210と重なり合うように配置され、一部が天板部210の外周縁からはみ出して配置される。具体的には、図11(a)に示すように、車輪体230aは短手側の端部から突出量S1、長手側の端部から突出量S2それぞれ突出する。また、本実施形態の車輪体230aは、平面視において切欠部211aからも外側に突出している。
【0047】
本実施形態の車輪体230aは、ボルト231と、車輪232と、ナット233とを有する。
ボルト231は、車軸としての機能を有する。ボルト231は、天板部210を上下方向に沿って貫通する軸状である。ボルト231の頭部が天板部210の上面に当接し、先端が天板部210の下面から突出する。
【0048】
車輪232は、移動式作業台200を用いて作業者が高所作業をする場合には床面から離れている一方、作業者が移動式作業台200を折り畳み、天板部210を立たせた状態で移動させるときには床面に接地して床面と接触しながら回転する。本実施形態の車輪232は、車輪自体の構成については第1実施形態の車輪132と同様であるが、車輪232の配置される位置が異なる。本実施形態の車輪232は、天板部210の内部に配置される。具体的には、図11(b)に示すように、車輪232は高さHが天板部210の厚みtよりも小さく、車輪232が天板部210の厚みt内に収まる位置、すなわち天板部210の上面と下面との間に配置される。また、車輪232は例えば合成樹脂製である。
【0049】
ナット233は、車軸を天板部210に固定する機能を有する。ナット233は、天板部210を貫通したボルト231のうち天板部210の下面から突出したネジ部と螺合されることで天板部210の下面に当接する。
【0050】
また、本実施形態の4つの車輪体230a~230dの車輪232は、移動式作業台200の種類ごとに異なる色が施されている。例えば、移動式作業台に、天板部210の高さが700mm~900mmの範囲で調整可能な移動式作業台200a、天板部210の高さが1075mm~1475mmの範囲で調整可能な移動式作業台200bなどが用意されているとする。この場合、例えば、移動式作業台200aの4つの車輪体230a~230dの車輪232を緑色にし、移動式作業台200bの4つの車輪体230a~230dの車輪232を青色などにする。このように、移動式作業台200の種類ごとに異なる色を施すことで、作業者は容易に移動式作業台の種類を判別することができる。なお、移動式作業台の種類は、天板部210の高さが異なる場合に限られず、天板部の大きさが異なる場合であってもよい。
【0051】
以上のように構成される移動式作業台200において、作業者により移動式作業台200を折り畳み、天板部210を立たせた状態で移動させる方法は、第1実施形態と同様であり、狭い通路であっても移動式作業台200を容易に移動させることができる。
本実施形態の移動式作業台200によれば、車輪部230が天板部210の内部に配置されることから、天板部210の下面に車輪部230を配置するスペースを取らずにすむことから天板部210を小型化することができる。また、車輪部230は、天板部210の内部に配置されると共に、上側から見て天板部210の長手側の端部および短手側の端部からはみ出して配置されることから、天板部210の角が他の物体と接触したときに、天板部210の角あるいは物体が破損するのを防止あるいは抑制することができる。
【0052】
以上、本発明を種々の実施形態を用いて説明したが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲内で変更等が可能であり、各実施形態および変形例を適宜、組み合わせてもよい。
【0053】
なお、上述した実施形態では、移動式作業台100、200の車輪部130、230が4つの車輪体130a~130d、230a~230dを有する場合について説明したが、この場合に限られず、2つ以上あるいは3つ以下の車輪体を有していてもよい。例えば、車輪部130が2つの車輪体130a、130bのみを有する場合には、車輪体130a、130bは短手側の端部のみから車輪132が突出するようにして、長手側の端部からは突出しないように構成してもよい。また、例えば、車輪部130が2つの車輪体130a、130cのみを有する場合には、車輪体130a、130cは長手側の端部のみから車輪132が突出するようにして、短手側の端部からは突出しないように構成してもよい。また、例えば、同じ側の端部に位置する車輪体と車輪体との間に新たな車輪体を設けることで、天板部110、210の荷重を3つ以上の車輪体で支持するようにしてもよい。
【0054】
また、上述した第2実施形態で説明した車輪232に色を施す構成について、第1実施形態の車輪132にも適用することができる。
また、上述した実施形態では、上側から見て脚部120が天板部110に重なり合うように配置される場合について説明したが、この場合に限られず、脚部120が天板部110と重なり合うように配置されていなくてもよい。
また、上述した第2実施形態では、車輪232が天板部210の上面と下面との間に配置される場合について説明したが、車輪232の一部が天板部210の上面から上側にはみ出していてもよい。また、車輪232の一部が天板部210の下面から下側にはみ出していてもよい。
また、上述した実施形態では、車輪体130a~130d、230a~230dが天板部110、210の短手側の端部から突出する突出量S1と、長手側の端部から突出する突出量S2とが略同一である場合について説明したが、この場合に限られない。車輪体130a~130d、230a~230dは、突出量S1が突出量S2よりも大きくてもよく、突出量S2が突出量S1よりも大きくてもよい。
【符号の説明】
【0055】
100、200:移動式作業台 110、210:天板部 120:脚部 130、230:車輪部 140:回動部 150:走行部 121:主脚 122:伸縮脚 160:補助接地部 132、232:車輪
図1
図2
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図5
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図11