(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】産業用フロート
(51)【国際特許分類】
B63B 21/20 20060101AFI20240130BHJP
B63B 22/02 20060101ALN20240130BHJP
【FI】
B63B21/20 B
B63B22/02 A
(21)【出願番号】P 2020021419
(22)【出願日】2020-02-12
【審査請求日】2023-01-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000229162
【氏名又は名称】日本ソリッド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波多野 倫
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-347693(JP,A)
【文献】特開平03-143216(JP,A)
【文献】実開昭57-035193(JP,U)
【文献】実開昭59-012774(JP,U)
【文献】実開昭58-009502(JP,U)
【文献】実開平04-069393(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 21/00 - 22/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長軸方向に半円状の中空半割体の底面を接合面とし、
該中空半割体の側面に締着具を挿着するための窪部を複数設け、該窪部に締着具を挿入するための固定口を
締着具の挿入軸方向に対し二重壁として設け、
該中空半割体の中空部に封止機能を有する充填口を設け、
前記中空半割体の接合面を互に合わせて
一対の中空半割体とし、該一対の中空半割体の一方の固定口から締着具を補強管を介して挿通して、他方の中空半割体の固定口に貫通させて締着したことを特徴とする産業用
浮沈体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈殿池、水路、湖沼、河川、ダム、海洋等に水中吊下体等を設置するときに使用する産業用フロートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、産業用 フロートとしては、強度を保持する観点から一体成型した円筒体、球体あるいは半円体を合体させて両端部に円筒型キャップを嵌合させた円筒体のフロートが知られている。
しかしながら、これら従来の産業用フロートは、その付設部が限定され、例えばシート状膜に直接付設するためには、該シート状膜の縁部にしか付設することができなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで本発明者は、シート膜のような水中吊下体の任意の箇所に任意の方向に付設できる産業用フロートについて種々研究を重ねた結果本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明は、接合面を有する長方形の中空半割体に締着具を挿着するための窪部を複数個所に設けると共に、該窪部に締着具を挿入して固定するための固定口を二重壁として設け、該中空半割体の互の接合面を合わせて、一方の固定口から締着具を補強管を介して挿通して、他方の固定口に貫通させて締着し一体化したことを特徴とする産業用浮沈体(以下「産業用フロート」と称する)。
【発明の効果】
【0005】
本発明の産業用フロートは、ボルト等により長方形の空中半割体フロートを緊縮する箇所が強固な構造を有するので、ボルト等の締着具で強く緊縮しても破損することがなく、また締着具を装着した場合に締着具が産業用フロートの外縁面より突出していないために、産業用フロートを水中吊下体で包納しても水中吊下体を破損することがない。また本発明の産業用フロートは目的に応じて水中吊下体の任意の箇所に任意の方向に付設することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図9】本発明の産業用フロートの他の態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に本発明の産業用フロートについて図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る産業用フロートFの一態様を示す斜視図である。本発明の産業用フロートFは中空半割体1を一対にして構成されたものである。
図2は中空半割体1の一例を示す側面図である。中空半割体1は他の中空半割体1’と接合するための接合面2を有している。そして中空半割体1には任意の箇所に締着具3を挿着するための窪部4が設けられている。この窪部4は締着具3が中空半割体1の外縁部の表面から突出しないように設けることができる。窪部4には締着具3を挿入して固定するための固定口5が設けられている。この固定口5は、接合面2に対して平行になるように設けられている。この固定口5は
図3に示すように中空半割体1と一体的に設けられており、かつ二重壁6として設けられていることにより、固定口5の強度が格段に向上する。
【0008】
また中空半割体1の固定口5の下部には補強管7を設けるための凹部8を設ける。補強管7は、ストレートの管体の外、
図4に示すような鍔付管体9が好ましい。鍔付管体9の鍔部10は凹部8に嵌合できる形状が好ましい。このように鍔部10を設けることによって締着具3を固く締め付けて固定口5を補強し強固にさせることができる。この鍔付管体9は
図6に示すように分割して複数本用いることもできる。
【0009】
また産業用フロートFを構成した時にロープ等の連結具を挿通する挿通口11を設けるために中空半割体1の接合面2部に例えば半円形等の連結具挿通窪部12を設けることが好ましい。
【0010】
次に本発明の産業用フロートFの組立方法について説明する。実際に使用する場合は、水中吊下体を中空半割体1の接合面2で挟持した状態で組立てを行うが、
図6は産業用フロートの組立方法のみを説明するため水中吊下体は省略して図示したものである。
中空半割体1、1’の接合面2を互いに合わせて一対の産業用フロートFとする。一対の中空半割体1、1’の一方の固定口5からボルト(締着具3)を挿入し補強管7を通して他方の固定口5に挿通させ、ナットによって緊縮することによって産業用フロートFを構成することができる。なお補強管7の長さは固定口5を支持するために固定口5間の長さと同じ長さとすることが好ましい。
【0011】
本願発明の産業用フロートFは
図9に示すように中空半割体1の中空部に充填口13を設け、該充填口13から砂等の比重1以上の物体を充填した後封止することによって重錘としても使用することができるので、産業用
の浮沈体として多目的に使用できる。
【符号の説明】
【0012】
1・・・中空半割体
2・・・接合面
3・・・締着具
4・・・窪部
5・・・固定口
6・・・二重壁
7・・・補強管