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特許7428377自動精米装置用返金装置及び自動精米装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】自動精米装置用返金装置及び自動精米装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 1/00 20060101AFI20240130BHJP
   G07D 11/10 20190101ALI20240130BHJP
   G07F 9/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G07D1/00 A
G07D11/10
G07F9/00 107H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020056848
(22)【出願日】2020-03-26
(65)【公開番号】P2021157476
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2023-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000144898
【氏名又は名称】株式会社山本製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増子 貴彦
(72)【発明者】
【氏名】小座間 梓
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-209090(JP,A)
【文献】特開平09-147194(JP,A)
【文献】特開2001-038233(JP,A)
【文献】実開昭55-074960(JP,U)
【文献】特開2009-277094(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00
G07D 11/10
G07F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイン投入口に投入されたコインの金額に応じた時間作動して米粒を精米処理する自動精米装置に設けられ、前記コイン投入口に投入されたコインの受け入れ先とは別に設定されてコインを貯留するコイン貯留部と、
前記コイン貯留部からコインを払い出すための払出信号が入力可能に構成され、前記払出信号に対応する金額分のコインを前記コイン貯留部から払出可能な払出部と、
を有し、
前記コイン貯留部は、
筒状に形成されて同種のコインを複数枚重ねた状態で収納する一本のコインチューブと、
前記コインチューブの下端面に対して前記同種のコインの一枚分の厚み以上二枚分の厚み未満の寸法分だけ下方側に離れて配置され、前記コインチューブに収納されたコイン及びその下方側に重なるコインを支持するコイン支持部と、
を含んで構成され、
前記払出部は、
前記コインチューブの中心軸と平行な方向に沿う軸線回りに回転可能とされ、回転時に前記コインチューブに対して下方側でかつ前記コイン支持部に対して上方側のエリアを通って最下段のコインを押し出し可能な押出部材と、
前記押出部材を前記軸線回りに回転させる駆動部と、
前記払出信号に基づいて、前記押出部材によるコインの押し出し回数が、前記払出信号が示すコインの払出数と同じ数となるように、前記駆動部の作動を制御する駆動制御部と、
を含んで構成されている、自動精米装置用返金装置。
【請求項2】
前記押出部材は、長尺板状に形成され、前記軸線を回転中心とする回転軸に長手方向の一端側が取り付けられ、前記軸線回りに一回転した場合に前記エリアを一回通って一枚のコインを押し出すように設定されており、
前記駆動制御部は、前記払出信号が示すコインの払出数だけ前記押出部材を前記軸線回りに回転させるように前記駆動部の作動を制御する、請求項記載の自動精米装置用返金装置。
【請求項3】
遠隔操作端末から送信された前記払出信号に基づいて前記駆動制御部が前記駆動部の作動を制御する、請求項又は請求項に記載の自動精米装置用返金装置。
【請求項4】
請求項~請求項のいずれか1項に記載の自動精米装置用返金装置と、
前記コイン投入口に投入されたコインのうち、前記コインチューブが収納するコインと同種のコインのみを受け入れるコイン処理装置と、
を有し、
前記コイン処理装置には、釣り銭を返却する釣り銭返却機構が設けられていない、自動精米装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動精米装置用返金装置及び自動精米装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の自動精米装置では、利用者がプリペイドカードを使用しないで投入口にコインを投入する場合、投入されたコインの金額に応じた時間作動して米粒を精米処理する。ところで、このような装置では、例えば、装置の汚れや原料である米粒の表面の状態や結露等の影響で、投入金額に応じた量よりも少ない量しか精米できない場合があり得る。そのような場合に、利用者がコインを追加投入して精米した後、追加で必要になった料金分の返金を求める場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平4-209090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記装置では、そのような返金の求めに応じる機能が設けられていない。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、追加料金の返金の求めに応じることができる自動精米装置用返金装置及び自動精米装置を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の自動精米装置用返金装置は、コイン投入口に投入されたコインの金額に応じた時間作動して米粒を精米処理する自動精米装置に設けられ、前記コイン投入口に投入されたコインの受け入れ先とは別に設定されてコインを貯留するコイン貯留部と、前記コイン貯留部からコインを払い出すための払出信号が入力可能に構成され、前記払出信号に対応する金額分のコインを前記コイン貯留部から払出可能な払出部と、を有し、前記コイン貯留部は、筒状に形成されて同種のコインを複数枚重ねた状態で収納する一本のコインチューブと、前記コインチューブの下端面に対して前記同種のコインの一枚分の厚み以上二枚分の厚み未満の寸法分だけ下方側に離れて配置され、前記コインチューブに収納されたコイン及びその下方側に重なるコインを支持するコイン支持部と、を含んで構成され、前記払出部は、前記コインチューブの中心軸と平行な方向に沿う軸線回りに回転可能とされ、回転時に前記コインチューブに対して下方側でかつ前記コイン支持部に対して上方側のエリアを通って最下段のコインを押し出し可能な押出部材と、前記押出部材を前記軸線回りに回転させる駆動部と、前記払出信号に基づいて、前記押出部材によるコインの押し出し回数が、前記払出信号が示すコインの払出数と同じ数となるように、前記駆動部の作動を制御する駆動制御部と、を含んで構成されている。
【0008】
請求項に記載の自動精米装置用返金装置は、請求項に記載の自動精米装置用返金装置において、前記押出部材は、長尺板状に形成され、前記軸線を回転中心とする回転軸に長手方向の一端側が取り付けられ、前記軸線回りに一回転した場合に前記エリアを一回通って一枚のコインを押し出すように設定されており、前記駆動制御部は、前記払出信号が示すコインの払出数だけ前記押出部材を前記軸線回りに回転させるように前記駆動部の作動を制御する。
【0009】
請求項に記載の自動精米装置用返金装置は、請求項又は請求項に記載の自動精米装置用返金装置において、遠隔操作端末から送信された前記払出信号に基づいて前記駆動制御部が前記駆動部の作動を制御する。
【0010】
請求項に記載の自動精米装置は、請求項~請求項のいずれか1項に記載の自動精米装置用返金装置と、前記コイン投入口に投入されたコインのうち、前記コインチューブが収納するコインと同種のコインのみを受け入れるコイン処理装置と、を有し、前記コイン処理装置には、釣り銭を返却する釣り銭返却機構が設けられていない。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の自動精米装置用返金装置では、自動精米装置に設けられたコイン貯留部は、コイン投入口に投入されたコインの受け入れ先とは別に設定されてコインを貯留する。また、払出部は、コイン貯留部からコインを払い出すための払出信号が入力可能に構成され、払出信号に対応する金額分のコインをコイン貯留部から払出可能になっている。このため、追加料金の返金の求めがあった場合に払出信号が払出部に入力されることで追加料金の返金の求めに応じることができる。
【0012】
また、請求項に記載の自動精米装置用返金装置では、一本のコインチューブは、筒状に形成されて同種のコインを複数枚重ねた状態で収納する。コインチューブの下端面に対して前記同種のコインの一枚分の厚み以上二枚分の厚み未満の寸法分だけ下方側に離れてコイン支持部が配置され、このコイン支持部は、コインチューブに収納されたコイン及びその下方側に重なるコインを支持する。また、押出部材は、コインチューブの中心軸と平行な方向に沿う軸線回りに回転可能となっており、回転時にコインチューブに対して下方側でかつコイン支持部に対して上方側のエリアを通って最下段のコインを押し出し可能になっている。この押出部材は、駆動部によって前記軸線回りに回転させることができる。
【0013】
ここで、駆動部の作動は駆動制御部によって制御されており、駆動制御部は、払出信号に基づいて、押出部材によるコインの押し出し回数が、払出信号が示すコインの払出数と同じ数となるように、駆動部の作動を制御する。これにより、追加料金の返金の求めがあった場合、それに応じた払出信号が駆動制御部に入力されると、求めに応じた枚数のコインが払い出される。すなわち、追加料金の返金の求めに応じることができる。
【0014】
請求項に記載の自動精米装置用返金装置では、押出部材は、長尺板状に形成され、前記軸線を回転中心とする回転軸に長手方向の一端側が取り付けられ、前記軸線回りに一回転した場合に前記エリアを一回通って一枚のコインを押し出すように設定されている。そして、駆動制御部は、払出信号が示すコインの払出数だけ押出部材を前記軸線回りに回転させるように駆動部の作動を制御する。これらにより、比較的簡単な構成で払出信号に応じた枚数のコインを払い出すことができる。
【0015】
請求項に記載の自動精米装置用返金装置では、遠隔操作端末から送信された払出信号に基づいて駆動制御部が駆動部の作動を制御するので、遠隔操作で追加料金の返金の求めに応じることができる。
【0016】
請求項に記載の自動精米装置では、コイン処理装置は、コイン投入口に投入されたコインのうち、コインチューブが収納するコインと同種のコインのみを受け入れる。このコイン処理装置には、釣り銭を返却する釣り銭返却機構が設けられていないが、釣り銭の返却が必要な場合には、自動精米装置用返金装置を用いてコインを払い出すことができる。このため、コイン処理装置に釣り銭返却機構を設ける場合に比べて構成を大幅に簡素化することができ、自動精米装置全体の製造コストを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態における自動精米装置を含むシステムの概略構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施形態における自動精米装置を前斜め右方側から見た状態で示す斜視図である。
図3】本発明の実施形態における自動精米装置の精米処理のフロー図である。
図4】本発明の実施形態における自動精米装置用返金装置を示す正面視の図である。
図5図4の5-5線に沿って切断した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態に係る自動精米装置用返金装置及び自動精米装置について図1図5を用いて説明する。なお、これらの図において適宜示される矢印FRは装置前方側を示しており、矢印UPは装置上方側を示しており、矢印RHは装置正面視における右方側を示している。
【0019】
図1には、本実施形態における自動精米装置10を含むシステムの概略構成が示されている。本実施形態の自動精米装置10は、コイン投入口60(図2参照)に投入されたコインの金額に応じた時間作動して米粒を精米処理する所謂コイン精米装置である。
【0020】
図1に示す如く、自動精米装置10は、コイン処理装置12、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)14及び自動精米装置用返金装置(以下、「返金装置」と略す。)16を含んで構成されている。コイン処理装置12は、自動精米装置10に精米処理を実行させる際にコインが投入される装置である。PLC14は、運転プログラムに予め設定された手順に従って、精米処理を実行させるように、自動精米装置10の各機構部を自動制御する装置である。返金装置16は、返金の求めに応じてコインを払い出す装置である。コイン処理装置12、PLC14及び返金装置16については、詳細後述する。また、図示を省略するが、自動精米装置10は、インターネット等のネットワークNWに接続されるルータや当該ルータに接続される中継器であるハブ等を備えている。
【0021】
図1に示す如く、自動精米装置10は、ネットワークNWを介して遠隔操作端末18に接続されている。遠隔操作端末18には、例えば、スマートフォンやパソコン等を適用することができる。遠隔操作端末18は、画面上からIPアドレス及びパスワードを入力することで、自動精米装置10を遠隔において監視及び操作することが可能になっている。
【0022】
図2には、自動精米装置10を前斜め右方側から見た状態の斜視図が示され、図3には、自動精米装置10の精米処理がフロー図で示されている。なお、この自動精米装置10は、一例として、玄米を精米処理するための専用装置であり、籾摺り機能は備えていない。
【0023】
図2に示す如く、自動精米装置10における機体20の前面壁20A側には、玄米(広義には精米処理前の米粒)を供給するための供給口32Aが設けられると共に、その下方側に台31が設けられている。供給口32Aには、シャッタ33が設けられると共に、異物混入防止用の網(図示省略)が装着されている。供給口32Aは、図3に示す供給ホッパ32の上側に設けられている。図3に示す如く、供給ホッパ32の後方側には、第一昇降機34が設けられている。第一昇降機34の下部側には、供給ホッパ32等を通過した玄米が供給される。第一昇降機34は、供給された玄米を装置上方側へ持ち上げ搬送し、石抜機36に供給する。
【0024】
石抜機36は、供給された玄米を石抜き処理して、玄米から小石を除去する。石抜機36の近傍には、石抜機36で除去された小石を受ける小石受部38が設けられると共に、第二昇降機40の下部が配置されている。第二昇降機40の下部側には、石抜機36で石抜き処理された玄米が供給される。第二昇降機40は、供給された玄米を装置上方側へ持ち上げ搬送してとう精タンク42に供給する。
【0025】
とう精タンク42の下端側は、流量調整部44を介して精米機46が接続されている。精米機46は、供給された玄米を精米処理して白米にする。精米機46にはダクト48が接続され、精米機46で発生した糠はファン50によってダクト48を通って糠ハウス(図示省略)等に搬送される。
【0026】
精米機46の下方側にはシフタ52が設けられている。シフタ52には、精米機46から白米が供給される。シフタ52は、供給された白米から小砕粒等を取り除いて白米ホッパ54に供給する。白米ホッパ54の下端には排出口54Aが形成され、この排出口54Aから白米が排出されるようになっている。
【0027】
図2に示す如く、白米ホッパ54の下方側には、小袋受け台56が設けられている。小袋受け台56上には、白米ホッパ54から排出される白米を集積する袋を配置できるようになっている。
【0028】
また、自動精米装置10における機体20の前面壁20Aには、操作パネル30が配置されている。操作パネル30には、白度を選択するための白度選択ボタン21、22、23、24、25、26、27(以下、「白度選択ボタン21~27」と略す)が設けられている。白度選択ボタン21~27は、スタートボタンを兼ねている。また、操作パネル30には、白度選択ボタン21~27の側方側にコイン投入口60が設けられると共に、コイン投入口60の下方側にはコイン返却口62が設けられている。
【0029】
コイン投入口60及びコイン返却口62は、それぞれコイン処理装置12の一部を構成している。コイン投入口60は、所定のコイン(本実施形態では一例として100円硬貨)の投入用とされる。すなわち、コイン処理装置12は、コイン投入口60に投入されたコインのうち所定のコインのみを受け入れるコインセレクタとされ、コイン投入口60から所定のコイン以外のコインが投入された場合には、そのコインをコイン返却口62から返却するようになっている。また、コイン処理装置12は、コイン投入口60から所定のコインが投入された場合、そのコインを装置内の金庫に直接入れるようになっている。そして、このコイン処理装置12には、釣り銭を返却する釣り銭返却機構が設けられていない。
【0030】
また、コイン処理装置12は、コイン投入口60から所定のコインが投入された後、利用者によって白度選択ボタン21~27のいずれかが押されて精米処理のための運転が実行されている場合、その実行中においては、所定のコインが追加投入されてもそのコインをコイン返却口62から返却するようになっている。
【0031】
図1に示すPLC14は、コイン処理装置12のコイン投入口60(図2参照)から投入されたコインの金額に対応する時間だけ精米に必要な処理が実行されるように自動精米装置10の各部を制御する。すなわち、PLC14は、CPU、ROM、RAM及び通信インタフェース(いずれも図示省略)等を含んで構成され、PLC14のROMには、金額に対応する作動時間及び所定の運転プログラムが記憶されており、この運転プログラムに従ってPLC14のCPUが図3に示す各部の作動を制御する。なお、すべての精米処理が終了する前に精米運転が停止した場合には、コイン投入口60(図2参照)から所定のコインが投入されることで、精米運転が再開される。
【0032】
図2に示すコイン処理装置12の側方側には、図4に示す返金装置16が設けられている。図4は、返金装置16の正面視の図である。また、図5には、図4の5-5線に沿って切断した状態の断面図が示されている。
【0033】
これらの図に示す如く、返金装置16は、コインCを貯留するコイン貯留部68を備えている。コイン貯留部68は、図2に示されるコイン投入口60に投入されたコインの受け入れ先(つまりコイン処理装置12のコインの受け入れ先)とは別に設定されている。
【0034】
図4及び図5に示されるように、コイン貯留部68は、一本のコインチューブ72を備えている。コインチューブ72は、一例として透明樹脂製とされ、筒状に形成されて同種のコインCを複数枚重ねた状態で収納する。なお、コインチューブ72にコインCを入れるのは管理者(又は管理者から委託された者)である。コインチューブ72が収納するコインCとコイン処理装置12(図2参照)が受け入れる所定のコインとは同種のコインとなっている。コインチューブ72の中心軸72Xは、装置上下方向に沿うように設定されている。
【0035】
コインチューブ72の下方側にはコイン支持部74が設けられている。コイン支持部74は、コイン貯留部68の一部を構成している。コイン支持部74は、コインチューブ72の下端面に対して前記同種のコインCの一枚分の厚み以上二枚分の厚み未満の寸法分だけ下方側に離れて配置され、コインチューブ72に収納されたコインC及びその下方側に重なるコインCを支持するように構成されている。図5に示す如く、本実施形態では一例として、コイン支持部74には、最下段のコインC(C1)の下面のうち装置前側(図中右側)を除く部分が載せられている。
【0036】
コイン支持部74の前端からは装置前方側(図中右側)へ向けて装置下方側に傾斜した傾斜壁部76Aが延出されている。また、傾斜壁部76Aの下端側には装置下方側に垂下された垂下部76Bが連続して形成されている。さらに、垂下部76Bの下端にはコイン受け部76Cが連続して形成されている。図4に示す如く、コイン受け部76Cは、装置正面視で若干傾斜しており、コイン受け部76Cを底面として形成されたコイン通路76Xは、その下降側(図中右側)においてコイン返却口62(図2参照)の内側空間に通じている。
【0037】
また、返金装置16は、コイン貯留部68からコインCを払い出すための払出信号が入力可能に構成された払出部70を備えている。払出部70は、払出信号に対応する金額分のコインCをコイン貯留部68から払出可能に構成されている。
【0038】
払出部70は、コインチューブ72の中心軸72Xと平行な方向に沿う軸線Ax回りに回転可能とされた押出部材(「回転板」としても把握できる部材)78を備えている。押出部材78は、長尺板状に形成されており、その板厚方向が軸線Ax方向と一致するように配置されている。押出部材78の上下面は、軸線Axと直交している。押出部材78の長手方向の一端側は、軸線Axを回転中心とする回転軸80に取り付けられている。図4及び図5に示す押出部材78は、回転時にコインチューブ72に対して下方側でかつコイン支持部74に対して上方側のエリア73を通って最下段のコインC(C1)を装置前方側に押し出し可能になっており、本実施形態では、軸線Ax(図4参照)回りに一回転した場合にエリア73を一回通って一枚のコインC(C1)を押し出すように設定されている。なお、図5では、側断面視における押出部材78の移動方向を矢印78Pで示すと共に、押出部材78に押し出されて落下するコインCを二点鎖線で示す。
【0039】
図4に示す回転軸80は、駆動部としてのモータ82(図中では簡略化して図示)の作動によって回転するように構成されている。すなわち、モータ82は、その作動時に押出部材78を回転軸80の軸線Ax回りに回転させる。このモータ82は、払出部70の一部を構成している。
【0040】
モータ82には、駆動制御部84(図中ではブロック化して図示)が接続されている。この駆動制御部84も、払出部70の一部を構成している。駆動制御部84は、払出信号に基づいて、押出部材78によるコインCの押し出し回数が、払出信号が示すコインの払出数と同じ数となるように、モータ82の作動を制御する。本実施形態では、駆動制御部84は、遠隔操作端末18(図1参照)から送信された払出信号が示すコインの払出数だけ押出部材78を軸線Ax回りに回転させるようにモータ82の作動を制御する。
【0041】
なお、駆動制御部84は、CPU、ROM、RAM、及び通信インタフェースを含むハードウェア資源を用いて上記の機能を実現する構成部である。また、図1に示す遠隔操作端末18は、自動精米装置用アプリケーションを起動させることで、自動精米装置10のPLC14に記憶された数値データ等を画面上に表示させることが可能であると共に、コインの払出数の入力等や返金指令の操作が可能になっている。
【0042】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0043】
図2に示すコイン投入口60にコインが投入されると共に供給口32Aから玄米が供給され、更に、白度選択ボタン21~27のいずれかが押されると、自動精米装置10の精米運転が開始される。自動精米装置10は、コイン投入口60から投入されたコインの金額に応じて所定時間作動する。一例として、投入金額が300円の場合に自動精米装置10は30kg分の精米を想定した時間作動する。
【0044】
ところで、例えば自動精米装置10の汚れや供給された玄米の表面状態や結露等の影響で、投入金額に応じた量よりも少ない量しか自動精米装置10で精米できないと、一例として、利用者は、コイン投入口60にコインを追加投入して自動精米装置10の精米運転を再開させる。そして、利用者は、所望の量の精米をした後に管理者に電話等で追加料金の返金を求める場合がある。
【0045】
この場合、管理者は、図1に示す遠隔操作端末18を用いて自動精米装置10のPLC14に記憶された数値データを遠隔操作端末18の画面上に表示させることで、利用履歴(例えば運転開始時刻、投入金額、選択白度、稼働時間)を確認する。そして、管理者は、利用者の勘違い(例えば300円を投入した旨の連絡があったが実際には200円しか投入されていなかった)等がないことを確認できた場合には、遠隔操作端末18の画面においてコインの払出数を入力して返金指令の操作をし、遠隔操作端末18から返金額に応じた(言い換えればコインCの払出数を示す)払出信号を自動精米装置10に向けて送信する。
【0046】
送信された払出信号は、自動精米装置10の返金装置16における図4に示す払出部70(より具体的には駆動制御部84)に入力され、払出部70は、払出信号に対応する金額分のコインCをコイン貯留部68から払い出す。より具体的に説明すると、払出部70では、遠隔操作端末18(図1参照)から送信された払出信号に基づいて駆動制御部84がモータ82の作動を制御する。すなわち、駆動制御部84は、入力された払出信号に基づいて、押出部材78によるコインCの押し出し回数が、払出信号が示すコインCの払出数と同じ数となるように、モータ82の作動を制御する。
【0047】
このように、追加料金の返金の求めがあった場合、それに応じた払出信号が駆動制御部84に入力されると、求めに応じた枚数のコインCが払い出される。すなわち、本実施形態では、遠隔操作で追加料金の返金の求めに応じることができる。
【0048】
また、本実施形態では、返金装置16の押出部材78は、長尺板状に形成され、長手方向の一端側が軸線Axを回転中心とする回転軸80に取り付けられ、軸線Ax回りに一回転した場合にエリア73を一回通って一枚のコインC(C1)を押し出すように設定されている。そして、駆動制御部84は、払出信号が示すコインCの払出数だけ押出部材78を軸線Ax回りに回転させるようにモータ82の作動を制御する。これらにより、比較的簡単な構成で払出信号に応じた枚数のコインCを払い出すことができる。
【0049】
以上説明したように、本実施形態によれば、管理者が現場に行かなくても追加料金の返金の求めに応じることができる。このため、管理者が返金のために現場に行く場合の労力、時間及び移動費用(例えばガソリン代)の削減ができると共に、返金のために利用者を待たせる時間も大幅に削減できる。
【0050】
また、図2に示す本実施形態の自動精米装置10では、コイン処理装置12は、コイン投入口60に投入されたコインのうち、コインチューブ72(図4参照)が収納するコインと同種のコインのみを受け入れる。このコイン処理装置12には、釣り銭を返却する釣り銭返却機構が設けられていないが、釣り銭の返却が必要な場合には、返金装置16(図4参照)を用いてコインを払い出すことができる。このため、コイン処理装置12に釣り銭返却機構を設ける場合に比べて構成を大幅に簡素化することができ、自動精米装置10の装置全体の製造コストを抑えることができる。
【0052】
また、上記実施形態の変形例として、自動精米装置用返金装置は、複数種類のコインをコイン貯留部において貯留するような装置であってもよい。そのような変形例に係る自動精米装置用返金装置がネットワークを介して接続される遠隔操作端末は、コインの種類毎に払出数の入力が可能となっているものでもよいし、返金すべき金額の入力が可能となっているものでもよい。また、遠隔操作端末に返金すべき金額の入力が可能となっている上記変形例の場合、入力された返金すべき金額の情報からコインの種類毎に払出数を算出する算出部を、遠隔操作端末に設けてもよいし、自動精米装置用返金装置の払出部に設けてもよい。
【0053】
また、上記実施形態の図4に示す返金装置16の押出部材78は、長尺板状に形成され、軸線Axを回転中心とする回転軸80に長手方向の一端側が取り付けられ、軸線Ax回りに一回転した場合にエリア73を一回通って一枚のコインC(C1)を押し出すように設定されているが、返金装置の押出部材の構成はこれに限定されない。すなわち、返金装置の押出部材は、例えば、上記実施形態の押出部材78よりも長手方向の長さが長い長尺板状に形成され、その長手方向中央部が回転軸(80)に取り付けられ、回転軸(80)の軸線(Ax)回りに一回転した場合にコインチューブ(72)に対して下方側でかつコイン支持部(74)に対して上方側のエリア(73)を計二回通って計二枚のコインCを押し出すように設定されてもよい。返金装置の押出部材が前記の変形例の構成とされた場合、駆動制御部は、払出信号が示すコインの払出数の1/2の回数だけ上記押出部材を前記軸線(Ax)回りに回転させるように駆動部としてのモータ(82)の作動を制御することになる。
【0054】
また、上記実施形態では、図1に示す遠隔操作端末18から送信された払出信号に基づいて図4に示す駆動制御部84が駆動部としてのモータ82の作動を制御しているが、駆動制御部84に入力される払出信号は、遠隔操作端末18から送信されたものに限定されない。すなわち、例えば、自動精米装置10の一部として利用者からの返金請求を画面入力で受け付ける返金システムを別途設け、当該返金システムの判定部が返金請求の正当性をPLC(14)に記憶された数値データで確認すると共に返金請求が正当であると判定した場合には返金額に応じた(言い換えればコインの払出数を示す)払出信号を駆動制御部(84)に出力するような構成も採り得る。
【0055】
また、上記実施形態の変形例として、図2に示すコイン処理装置12に代えて、釣り銭を返却する釣り銭返却機構が設けられたコイン処理装置が設置されてもよい。また、他の変形例として、コイン処理装置12に代えて、複数種類のコインを受け入れ可能なコインメックを設けてもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、自動精米装置10は、玄米を精米処理するための専用装置となっているが、自動精米装置は、籾摺り機能をも備えた装置であってもよい。また、籾摺り機能をも備えた自動精米装置は、利用者が供給口(22A)から供給した米粒が籾であるか玄米であるかを選択するための籾選択ボタン及び玄米選択ボタンが設けられると共に籾選択ボタン及び玄米選択ボタンのどちらのボタンが押されたかに応じて籾摺りをするか否かを切り換えるような装置であってもよい。
【0057】
なお、上記実施形態及び上述の変形例は、適宜組み合わされて実施可能である。
【0058】
以上、本発明の一例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0059】
10 自動精米装置
12 コイン処理装置
16 自動精米装置用返金装置
18 遠隔操作端末
60 コイン投入口
68 コイン貯留部
70 払出部
72 コインチューブ
72X コインチューブの中心軸
73 エリア
74 コイン支持部
78 押出部材
80 回転軸
82 モータ(駆動部)
84 駆動制御部
Ax 軸線
C コイン
C1 最下段のコイン
図1
図2
図3
図4
図5