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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】人体の体形管理装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
A61B5/107 100
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020098092
(22)【出願日】2020-06-05
(65)【公開番号】P2021186575
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】396020132
【氏名又は名称】株式会社システック
(72)【発明者】
【氏名】香高 孝之
(72)【発明者】
【氏名】大城 巧
(72)【発明者】
【氏名】太田 偉喜
【審査官】▲高▼ 芳徳
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0213388(US,A1)
【文献】特開2016-123587(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2001/0030754(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0340479(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/06 - 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の人体を計測する計測手段と、メモリ手段と、体形処理手段と、前記体形処理手段が処理した結果を表示する表示手段と、前記計測、前記処理、前記表示、の条件を設定し操作するための設定/操作手段と、これらを制御する制御手段と、を備え、前記メモリ手段は、前記計測、前記処理、前記表示、前記設定・操作のためのプログラムを保持するプログラムメモリと、前記計測されたデータ、前記処理された結果データを関連付けて保持するデータメモリと、を有し、前記体形処理手段は、前記計測手段で得られる、体の高さ及び体のまわりの所望の角度における計測データから、身長方向の各高さ位置での体断面図形を算出する体断面図形算出手段と、前記体断面図形面積と前記高さ位置の区切り幅の積の合計をもって、体容積を算出する体容積算出手段と、前記角度が同じで高さが違う、前記体断面図形の周囲の点を結んで高さ方向の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、を備えることで、前記体容積又は/及び、体重計で計った値ではなく、前記体容積と人体密度の積で求めたところの重量相当値と、前記輪郭を関連付けて表示し、体形管理を行わせることを特徴とする人体の体形管理装置。
【請求項2】
前記重量相当値は、前記体容積と人体密度(約1g/立方cm)の積で与えたことを特徴とする請求項1記載の人体の体形管理装置。
【請求項3】
前記体容積の算出では、赤外線を用いた測定値をもって行うか、または、前記被検者が衣服を着用している場合には、衣服の厚みの2倍を減じた寸法で行うことを特徴とする請求項1または請求項2記載の人体の体形管理装置。
【請求項4】
前記計測において、前記被検者の前記人体に取り付けるためのものであり、前記高さ方向の計測または、前記計測の範囲の目印となる体部位表示マークを備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置。
【請求項5】
前記計測において前記被検者の前記人体に取り付けるためのものであり、前記処理において、腕や脚の分枝を明確にして処理するための、分岐位置を示す脚または腕分岐表示マークを備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置。
【請求項6】
前記表示手段には、正面と側面など設定された条件での人体の前記輪郭図、および、設定された時間間隔にたいして前記体容積又は/及び、前記重量相当値、BMI相当値、胸囲、腹囲が、現実の値、標準値、および~%増減値として、グラフ表示されることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置。
【請求項7】
前記計測手段は、カメラを備え、前記体のまわりの所望の角度で撮影する複数角度画像取得手段であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置。
【請求項8】
前記体のまわりの所望の角度で撮影する又は処理するために前記体の周りに角度位置を表す撮影駆動目印を備えたことを特徴とする請求項7に記載の人体の体形管理装置。
【請求項9】
前記体形処理手段及び前記表示手段では、人体部の輪郭が分かるが秘匿したい部分は秘匿した処理を行い、前記カメラが撮影した映像そのものではなく、前記秘匿した結果でデータ保存・表示を行うことを特徴とする請求項7または請求項8のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置。
【請求項10】
前記計測手段は、複数角度測距手段と上下位置定位手段を備えた複数位置寸法取得手段であり、前記複数角度測距手段は、リング体と前記リング体に所望の角度間隔で取付いた複
数の測距センサとを備え、前記上下位置定位手段は、前記複数角度測距手段を保持する保持体と、前記保持体を支持柱に支持しながら上下に移動する駆動手段を備えていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置。
【請求項11】
前記保持体は、前記支持柱に対して折りたためることを特徴とする請求項10記載の人体の体形管理装置。
【請求項12】
前記体形処理手段前記処理を実行させ、前記表示手段に前記表示を実行させるための、請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置に使用されることを特徴とする処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体の体形を管理する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
人体の体形を監視する装置としては、従来、図8に示す様なものが提案されていた。図8を用いて説明する。
8-1は、特許文献1に示されるものであり、体重測定部(体重計)に、脂肪の率または量を求めるための複数の電極を持つ生体インピーダンスの測定手段と、下方または上方から体形を写す体形画像取得手段(カメラ)を備えている。特徴は、体形画像取得手段が、上下方向から画像取得になっているため、立ち状態を横からみた体形が把握できず、さらに、姿勢が悪いと、姿勢そのものが画像に与える影響が大きくて、体形よりむしろ姿勢監視になってしまう欠点が大きい事である。
8-2は、特許文献2に示されるものであり、被検者の腹部の横幅と縦幅を計測する手段と、生体インピーダンスを測定して脂肪量を求める手段を備えて、腹部の断面に楕円を想定し、背中後ろの両脇に追加補正をしたことで腹部の断面を算定し、表示するものであるが、腹部の太さのみ分かるが、身体の上下方向の体形を示すことはできない。人型のシルエットも測定の位置を示すためのもので、現在の現実の体形を示すものではない。
8-3は、特許文献3に示されるものであり、8-1と類似している。予め、身長、性別、年齢の数値を入力しておく。体重および腕、足、胸、腹等を各々測定する生体インピーダンス測定手段により体重と脂肪量を求め、各部のサイズをモデルにより計算して求める。棒状態など近似のよるため、現実の体形を示せない欠点がある。
3者とも脂肪量から体形を予測しているが、脂肪がどのようにつくか個人差があり、体形を十分に表すには、困難がある。
8-4は、特許文献4に示されるものであり、管理対象者が住まう住戸Aに対して遠隔地に設置され、インタ-ネットを介したネットワーク通信機能を有するコンピュータ装置で、管理対象者の住戸A側に存在するネットワークカメラ(外観画像)、運動機器(運動量)、重量センサ(体重)、生体インピーダンス測定器(脂肪量)等のデータ、身長等の個人属性の提供を受けて、記憶部に記憶し、例えば3kg減量等の目標を目標設定部に与えると、外観予想画像作成部が、元の外観画像から腰回りや頬の輪郭を補足する等のデータ加工して外観予想画像を作成し、住戸A側に送付し、表示提供する画像加工サービス機能をもつものである。当然、サービスを受けなければ、管理対象者の機器のみでは対応できない欠点があり、さらに、元の外観画像で身体各部や身体周りの詳細な画像を提供することは困難なので、得られる外観予想画像も凡そのものとなる欠点がある。
8-5は、特許文献5に示されるものであり、体形測定装置であり、任意の高さにおいて、被測定者の横径と厚さが測定される。横径と厚さは、楕円の長軸と短軸の値として変換され、測定部位の形状が楕円または円に特定され、任意の高さの周囲長、および断面積が計算される。それ以外の機能は示されていない。
全ての例で、本願が目指す人体画像から逆に重量相当の値を見出して、管理目標化することは見いだせない。この考えは、重量から人体画像を求めることは、断面のモデルや、脂肪の付き方の違い等の理由で一意的に定まらないので、正確な人体画像を得られないが、逆に、正確な人体画像から重量相当値を求めることは、一意的に定まるため、正確な重量相当値が求めやすいことと、重量相当値と人体画像とで管理者にとって重要なのは、輪郭などの人体画像であるためである。このため、人体画像が正確なことが好ましいためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-148375
【文献】特開2010-207339
【文献】特開2014-18444
【文献】特開2009-87016
【文献】特開H11-76207
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願の課題は、人体画像または人体寸法をもとにした人体の輪郭データから人体の容積または重量相当値を求め、これらの値と輪郭データを関連付けて体形管理をする装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下請求項に沿い記述する。
請求項1記載の発明は、人体の体形管理装置であって、
被検者の人体を計測する計測手段と、メモリ手段と、体形処理手段と、前記体形処理手段が処理した結果を表示する表示手段と、前記計測、前記処理、前記表示、の条件を設定し操作するための設定/操作手段と、これらを制御する制御手段と、を備え、前記メモリ手段は、前記計測、前記処理、前記表示、前記設定・操作のためのプログラムを保持するプログラムメモリと、前記計測されたデータ、前記処理された結果データを関連付けて保持するデータメモリと、を有し、前記体形処理手段は、前記計測手段で得られる、体の高さ及び体のまわりの所望の角度における計測データから、身長方向の各高さ位置での体断面図形を算出する体断面図形算出手段と、前記体断面図形面積と前記高さ位置の区切り幅の積の合計をもって、体容積を算出する体容積算出手段と、前記角度が同じで高さが違う、前記体断面図形の周囲の点を結んで高さ方向の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、を備えることで、前記体容積又は/及び、体重計で計った値ではなく、前記体容積と人体密度の積で求めたところの重量相当値と、前記輪郭を関連付けて表示し、体形管理を行わせることを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の人体の体形管理装置において、
前記重量相当値は、前記体容積と人体密度(約1g/立方cm)の積で与えたことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の人体の体形管理装置において、
前記体容積の算出では、赤外線を用いた測定値をもって行うか、または、前記被検者が衣服を着用している場合には、衣服の厚みの2倍を減じた寸法で行うことを特徴とする。
【0008】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置において、
前記計測において、前記被検者の前記人体に取り付けるためのものであり、前記高さ方向の計測または、前記計測の範囲の目印となる体部位表示マークを備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置において、
前記計測において前記被検者の前記人体に取り付けるためのものであり、前記処理において、腕や脚の分枝を明確にして処理するための、分岐位置を示す脚または腕分岐表示マークを備えたことを特徴とする。
【0010】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置において、
前記表示手段には、正面と側面など設定された条件での人体の前記輪郭図、および、設定された時間間隔にたいして前記体容積又は/及び、前記重量相当値、BMI相当値、胸囲、腹囲が、現実の値、標準値、および~%増減値として、グラフ表示されることを特徴とする。
【0011】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置において、
前記計測手段は、カメラを備え、前記体のまわりの所望の角度で撮影する複数角度画像取得手段であることを特徴とする。
【0012】
請求項8記載の発明は、請求項7に記載の人体の体形管理装置において、
前記体のまわりの所望の角度で撮影する又は処理するために前記体の周りに角度位置を表す撮影駆動目印を備えたことを特徴とする。
【0013】
請求項9記載の発明は、請求項7または請求項8のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置において、
前記体形処理手段及び前記表示手段では、人体部の輪郭が分かるが秘匿したい部分は秘匿した処理を行い、前記カメラが撮影した映像そのものではなく、前記秘匿した結果でデータ保存・表示を行うことを特徴とする。
【0014】
請求項10記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置において、
前記計測手段は、複数角度測距手段と上下位置定位手段を備えた複数位置寸法取得手段であり、前記複数角度測距手段は、リング体と前記リング体に所望の角度間隔で取付いた複
数の測距センサとを備え、前記上下位置定位手段は、前記複数角度測距手段を保持する保持体と、前記保持体を支持柱に支持しながら上下に移動する駆動手段を備えていることを特徴とする。
【0015】
請求項11記載の発明は、請求項10記載の人体の体形管理装置において、
前記保持体は、前記支持柱に対して折りたためることを特徴とする。
【0016】
請求項12記載の発明は、処理プログラムであって、
前記体形処理手段に前記処理を実行させ、前記表示手段に前記表示を実行させるための、請求項1から請求項11のいずれか1つに記載の人体の体形管理装置に使用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上の様に構成されているので、本発明による人体の体形管理装置では、重量と生体インピーダンスをもとにせず、カメラの人体画像から重量相当値を計算、提供でき、簡単な構成でありながら、いろいろの体形管理の機能を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明にかかる人体の体形管理装置の一実施態様を示す図である。
図2】本発明にかかる人体の体形管理装置の構成の一実施態様を示す図である。
図3】本発明にかかる人体の体形管理装置の処理フローの一実施態様を示す図である。
図4】本発明にかかる人体の体形管理装置の他の実施態様を示す図である。
図5】本発明にかかる人体の体形管理装置の構成の他の実施態様を示す図である。
図6】本発明にかかる人体の体形管理装置の処理フローの他の実施態様を示す図である。
図7】本発明にかかる人体の体形管理装置の体形管理画面と条件設定画面の一実施態様を示す図である。
図8】従来の人体の体形管理装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明にかかる人体の体形管理装置の一実施態様を示す図である。
人体の体形管理装置は、1-1の例では、人体の画像を取得する複数角度画像取得手段100と取得した画像を処理し、管理する体形処理手段200を有する。図示された例では、人体の高さ(身長)方向の所望の位置での画像を得るため、支持柱110に取付いたカメラ120が設置され、この例では、腰部付近、胸部付近、膝部付近と3個のカメラが設置されている。互いのカメラの撮影範囲は重複するようにすると、3者の画像を重ね合わせて補正する場合に、精度を高くすることができる。精度を高くするには、カメラが1個より、複数個で個数が多いほど高精度を確保できる。人体の高さ方向の画像取と同じように、画像取で、人体の中心軸(身長方向)の周りの画像取が必要である。例えば、正面、背中面、左右側面では、4面の画像となるが、精度を上げるには、人体の中心軸の周りに例えば10度単位で画像を取ることになる。
【0020】
人体の中心軸の周りに画像取を行うための手段として、図示するように、被検者が立ち、所望の回転を行わせる回転台130でもよい。又は、被検者自信が自ら回転してもよい。いずれの場合も、必要なことは、回転速度が一定であるか、または、そうでない場合は、回転した角度が分かるための角度表示手段を備え、検知したタイミングでの画像を必要画像とすることができる。たとえば、回転台130の基台132上の回転部131には、複数の例えば縦線(これにこだわらない)による撮影駆動目印140を示しているが、これが所望の角度間隔で刻まれている。縦線以外にも、嵌め込まれた複数のLEDなどでも撮影駆動目印140となる。1-5には、被検者の腹周りに撮影駆動目印140を付けた例である。この場合には、回転台130は必須ではない。回転の緩急の揺らぎがあっても、撮影駆動目印140により所望の角度位置で撮影されるからである。なお、首と腰などの位置を明確に示す体部位表示マーク150を付けると、部位が明確になり処理をするときに便利である。
【0021】
また、被検者が自分で回転する場合には、回転中心がぶれる恐れがあるので、画像取データをなめらかに繋ぐ補正を体形処理手段において行う。
なお、画像取では、カメラと被検者との間の距離を一定にするよう、立ち位置を示す印があると好都合である。また、寸法が分かるスケール(目盛片や寸法が既知の参照体)を被検者が持つこともよい。
又、この例では、カメラ三台を用いたが、カメラ1台で上下移動するものでもよいし、ラインセンサと呼ばれる線状に並んだカメラを使い、横に走査してもよい。
【0022】
次に、図2を用いて、体形処理手段200について述べる。図2は、本発明にかかる人体の体形管理装置の構成の一実施態様を示す図である。複数角度画像取得手段100内のカメラは、支持柱110に取付いたカメラ120に対応し、角度変更手段は、回転台130、回転部131、基台132、撮影駆動動目印140に相当し、上述した。その他の部分が、体形処理手段200となっている。
体形処理手段200は、プログラムメモリ211とデータメモリ212を備えたメモリ210、処理手段220と、設定/操作手段230、表示手段240、これらすべてと複数角度画像取得手段100を制御する制御手段250を備えている。
さらに、処理手段220は、体断面図形算出手段221、体容積算出手段222、重量相当値算出手段223、輪郭抽出手段224と、を備えている。プログラムメモリ211には、これらの処理プログラムが搭載されていて、必要時に制御部(コンピュータ等)において処理に使用される。
データメモリ212の画像メモリ212aには、カメラ120からの写真画像データや画像に関する計算された結果データが蓄えられ、データメモリ212の位置・角度メモリ212bには、カメラからの位置(高さ身長方向)と回転に伴う体周りの角度データが蓄えられ、データメモリ212内のデータは、関連付がなされている。
【0023】
体断面図形算出手段221は、身体の画像から、図1の1-2で示すように各高さ毎に、断面を割りだす。撮影の各角度ごとに得た画像の横幅を回転の中心を合わせて描くと、
例えば、腹部の例では1-3に示したものとなる。両方向の矢印の長さが各角度での横幅を示し、端の丸印を繋いだ線が求められた体断面図形を示している。
角度は、5度、10度など設定により可変できる。
また、各高さは、身長方向で1cm単位、5cm単位など所望の値が設定可能である。
体断面図形算出手段221で各高さでの断面図形が求まると、二つのことができる。
1つは、体容積算出手段222での体容積の算出と輪郭抽出手段224による高さ方向の輪郭の算出である。体容積算出手段222での体容積の算出では、各断面図形の面積を求める。図1の1-4に示すように、断面図形を表す線の各点は、例えば図示の方眼紙に示すようにデータとして座標があるので、左端から右端との差をとる操作を上端から下端に渡りおこなえば、これを合算すると、断面図形の面積が容易に得られる。各高さ(例えば身長方向で1cm単位で区切った各高さ)毎に、各断面図形の面積と区切り幅の積を取り、積を身長方向ですべて合算すれば、全体容積が算出される。例えば、首から腰位置まで合算すれば、その部分の体容積が算出される。
【0024】
次に、重量相当値算出手段223において、求まった体容積と人体密度(約1g/立方cm:体脂肪0.9g/立方cm、その他1.1g/立方cmといわれていて、両者を混然として計算する場合は、約1g/立方cmが使用できる)の積を取ると、重量相当値が算出される。相当値と表記したのは、体重計で計った値ではないことを表すためである。
輪郭抽出手段224は、各高さ毎の体断面図の同じ角度での点を高さ方向につなぐことで上下にわたる体の輪郭が求まる。勿論、画像処理技術としても輪郭処理(エッジ強調)も使えるが、途中の線も強調されるので、必ずしも適切ではない。
【0025】
尚、体の輪郭を求める場合に、衣服等の皺の影響を人工知能(AI)を用い、多くの判断例を参照して判断させることで、精度のよい輪郭処理ができる。
設定/操作手段230と表示手段240は、まとめて機能を図7において後述する。
尚、画像取においては、可視光のみならず、赤外線を使った赤外線カメラ画像を使用すれば、衣服で少し誤差になることを補うことができる。また、衣服の厚み(3mmから5mm)による影響を考慮して、体断面図形算出手段、体容積算出手段、輪郭抽出手段のいずれかでの算出に衣服による厚みを考慮した補正をして算出することもできる。体の寸法の両側に衣服の影響がでるので、衣服の厚みの2倍の値を減算する。又、特に1-6に示すように、スカート着用の場合は、股部の分岐点を示すように、脚又は腕分岐表示マーク151を股部の分岐点に貼付することもよい。画像を処理する場合に、貼付点と両脚の見える点を二つの線分で結び、左右の脚を分けることができる。尚、測定の日にちが近い場合は、それほどデータが変わらないので、脚部のデータを少し前の日のスカートでない日のデータで、置き換える等の処理を設定で行わせることも可能である。
【0026】
図3は、本発明にかかる人体の体形管理装置の処理フローの一実施態様を示す図である。
処理順に、1)画像取 2)求積範囲確認:これは、全か、例えば首から腰までかなど、設定された条件を装置内で確認される。3)体断面図形算出 4)体容積算出
5)重量相当値算出 6)輪郭抽出 7)表示 の工程がある。6)輪郭抽出は、3)体断面図形算出の後ですぐやってもよい。
【0027】
図4は、本発明にかかる人体の体形管理装置の他の実施態様を示す図である。
図1の例との違いは、カメラによる画像を取ることをしないで、人体の体形管理装置は、図4の例では、4-3に示すように、人体の横寸法を取得する複数位置寸法取得手段410と取得した寸法を位置座標に置き換え処理し、管理する体形処理手段420を有する。複数位置寸法取得手段410は、複数角度測距手段411と上下位置定位手段412を備え、複数角度測距手段411は、リング体411aとこれに取付いた複数の測距センサ411bを備えている。
上下位置定位手段412は、複数角度測距手段411を保持する保持体412aと、保持体412aを支持柱110に支持しながら上下に移動(上下矢印で示す)させる駆動手段412b(図示されていない)を備えている。
4-1、4-2に示すように、保持体412aは、支持柱110に対して折りたためるので、使用時以外は邪魔にならないで収容できるようにすれば便利である。使用時には、保持体412a、従って複数角度測距手段411を開いて、4-3のようにリング体411aの中に被検者が入り、測定を開始すると、複数角度測距手段411が上下に移動しながら、所望の間隔で身体の横寸法を測定し、体形処理手段420でデータをメモリ保存し、処理し、管理する。
【0028】
図5は、本発明にかかる人体の体形管理装置の構成の他の実施態様を示す図である。
図2との違いは、画像取と寸法取の違いから、各々に対応して、複数角度画像取得手段→複数位置寸法取得手段、カメラ→複数角度測距手段、角度変更手段→上下位置定位手段、画像メモリ→測距寸法メモリ、位置・角度メモリ→上下位置メモリに置き換わっている。
図1図2で説明した体断面図形算出から輪郭抽出や重量相当値算出までの処理は全く同じであるので、重複説明を省略する。
尚、画像取と違い、カメラがない場合は、脚又は腕分岐表示マーク151や体部位表示マーク150は、LEDなどの発光素子をマークにし、リング体411a側に受光センサを設けて検知する等の手段もある。勿論、カメラで見ることも可能であり、そのときは、図1で示したマークでよい。又、図4の場合は、撮影駆動目印140は必要ではない。
【0029】
図6は、本発明にかかる人体の体形管理装置の処理フローの他の実施態様を示す図である。
図3と比較して違いを見ると、画像取がなく、代わりに、2)各上下位置で複数角度で測距(寸法取得)が入っていることと、 求積範囲確認がその前にある事である。求積範囲確認がその前にある事は、画像と違って、必要な部分だけ測定すればよいので、その条件を先に確認するためである。
【0030】
図7は、本発明にかかる人体の体形管理装置の体形管理画面と条件設定画面の一実施態様を示す図である。7-1には、体形管理画面の例を示し、7-2には、計測や管理の条件設定画面を示す。体形管理画面には、条件設定のボタン(切り替えスイッチ)があり、
押せば、条件設定画面に移り、逆に、条件設定画面には、管理画面へのボタンがあり、押せば、体形管理画面に移る。7-2の条件設定画面では、測定や算出の条件として、「全身」「胴体」他を選ぶことができる。表示条件では、表示の時間範囲として、「直近」、「直近+前3回」、「直近+月毎前3回」他を選ぶことができる。数値履歴条件の表示時間では、「日」、「週」、「月」、「年」、これらの「混合」を選ぶことができる。数値履歴条件の表示項目では、
「腹囲径」、「胸囲径」、「重量相当値」、「BMI相当値」他を選ぶことができる。BMI相当値は、重量相当値(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められる。計算精度条件では、計測(または算出)角度単位として、「標準10度単位」、「5度単位(90度まで)自由設定」を選ぶことができる。身長方向計測(または算出)単位では、「標準1cm」、「1mm単位(40mmまで自由設定」を選ぶことができる。以上の例にこだわらない。
【0031】
このように条件設定がなされた後、管理画面へのボタンにより、7-1の体形管理画面に移る。体形管理画面では、計測開始ボタンにより、画像取または寸法取が行わる。表示ボタンにより表示が行われる。表示では、代表として、正面と側面など設定された条件での人体の輪郭図(画像がある場合は画像、または、両者)、右には、月や日など設定された時間間隔にたいして重量相当値、BMI相当値、胸囲、腹囲などが、現実の値、標準値、~%増減値として、グラフ表示される。又、左下のように現在数値を表示することも可能である。身長については、上記の画像や寸法測定に関連して求めるか、もともと既知なこととして別に与えてもよい。以上の設定や操作は、設定/操作手段230において行い、表示は、表示手段240において行う。LCDとか表示手段は通常の手段であるので、詳述は省略する。尚、画像の表示では、カメラ画像そのものではなく、人体部全体を一色表示など輪郭が分かるが、秘匿したい部分は秘匿処理した表示が望ましい。又、保存するデータも秘匿処理してあることが望ましい。
【0032】
身長、重量相当値、BMI相当値、胸囲、腹囲等の現実の値は、輪郭や画像と関連づけが着けて保存される。
尚、~%増減値においては、重量相当値、BMI相当値、胸囲、腹囲等の現実の値を基準にして与えることが出来るので、そこから輪郭に反映して表示することができる。
人体の体形管理装置は、ここに示していない開始スイッチを押すことで起動し、体形管理画面、または、条件設定画面が表示される。体形管理画面、または、条件設定画面には、「個人認証(顔または指紋)」ボタンがあるので、先ず、本人認証が行われる。
個人認証ボタンをこれを押すと、顔または指紋を取りにより、初めてでは、登録され、2度目以降は、既登録者と照合され、登録者の条件設定画面に移り、設定に修正がなければ体形管理画面に移動して、新規の計測や処理、表示が行われる。設定に修正があれば、修正して体形管理画面に移動する。尚、個人認証は、文字キー入力を備えればパスワードでも可能であるが、文字キー入力がない場合は、顔または指紋の方が便利となる。
尚、電源ボタンと個人認証ボタンは、体形管理画面と条件設定画面のいずれにあってもよいし、勿論、両者にあってもよい。尚、上記の記述において、言うまでもなく、複数角度画像取得手段100、複数位置寸法取得手段410、体形処理手段200、420の各々が、無線通信手段を有し、無線により接続している場合も含まれるものとする。また、体形処理手段として、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等も利用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように本発明にかかる人体の体形管理装置では、体重計や人体インピーダンス測定器を介さずに、人体の画像または、寸法から体容積、重量相当値などをもとめるので、人体の画像または、寸法等からの輪郭画像が実態を比較的正確に表すことでき、しかも、構成が簡単となるので、産業上利用して極めて好都合である。
【0034】
100 複数角度画像取得手段
110 支持柱
120 カメラ
130 回転台
131 回転部
132 基台
140 撮影駆動目印
150 体部位表示マーク
151 脚又は腕分岐表示マーク
200 体形処理手段
210 メモリ
211 プログラムメモリ
212 データメモリ
212a 画像メモリ
212b 位置・角度メモリ
213a 測距寸法メモリ
213b 上下位置メモリ
220 処理手段
221 体断面図形算出手段
222 体容積算出手段
223 重量相当値算出手段
224 輪郭抽出手段
230 設定/操作手段
240 表示手段
250 制御手段
410 複数位置寸法取得手段
411 複数角度測距手段
411a リング体
411b 測距センサ
412 上下位置定位手段
412a 保持体
420 体形処理手段

図1
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図8