IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 岡本株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-フットカバー 図1
  • 特許-フットカバー 図2
  • 特許-フットカバー 図3
  • 特許-フットカバー 図4
  • 特許-フットカバー 図5
  • 特許-フットカバー 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】フットカバー
(51)【国際特許分類】
   A41B 11/00 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
A41B11/00 D
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020113241
(22)【出願日】2020-06-30
(65)【公開番号】P2022011851
(43)【公開日】2022-01-17
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592154411
【氏名又は名称】岡本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】城 文希
(72)【発明者】
【氏名】正部家 恵里子
(72)【発明者】
【氏名】石井 摩耶
【審査官】須賀 仁美
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-035129(JP,A)
【文献】韓国登録実用新案第20-0474152(KR,Y1)
【文献】登録実用新案第3224370(JP,U)
【文献】登録実用新案第3211514(JP,U)
【文献】特開2018-119246(JP,A)
【文献】特開2019-035159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B11/00-11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の爪先を覆う爪先部、前記足の両側面を覆う2つの側辺部、前記足の踵を覆う踵部、および前記足の足裏を覆う足底部、を含み、
前記足底部とは反対側に前記足を出し入れする履き口が形成された本体と、
前記2つの側辺部の少なくとも一方に配置され、前記本体よりも低い伸縮性を有する低伸縮部と、を備え
前記低伸縮部は、2つの前記側辺部のそれぞれに配置され
2つの前記側辺部のそれぞれに配置された各低伸縮部は、前記足底部で繋がっている、フットカバー。
【請求項2】
前記低伸縮部の足長方向への伸び率は、前記本体の足長方向への伸び率の90%以下である、請求項1に記載のフットカバー。
【請求項3】
前記低伸縮部の足高方向の長さは、前記低伸縮部が配置される前記側辺部の足高方向の長さの10%以上である、請求項1または2に記載のフットカバー。
【請求項4】
前記履き口側に位置する前記低伸縮部の端部を第1端部、前記足底部側に位置する前記低伸縮部の端部を第2端部とした場合、
前記第1端部の足長方向の長さは、
前記第2端部の足長方向の長さ以上である、請求項1から3のいずれか1項に記載のフットカバー。
【請求項5】
前記履き口側に位置する前記低伸縮部の端部を第1端部とした場合、
前記第1端部は、前記履き口の周縁に沿って、かつ前記履き口の周縁に位置する前記側辺部の全長にわたり配置される、請求項1から4のいずれか1項に記載のフットカバー。
【請求項6】
前記踵部の少なくとも一部に配置され、前記本体よりも強い伸縮性を有する強伸縮部をさらに備える、請求項1からのいずれか1項に記載のフットカバー。
【請求項7】
前記強伸縮部は、前記踵部全体に設けられる、請求項に記載のフットカバー。
【請求項8】
前記本体は、前記足の甲を露出させるように前記履き口が形成された浅履き形状である、請求項1からのいずれか1項に記載のフットカバー。
【請求項9】
前記本体よりも前記足の肌への摩擦力が大きい滑り止め部を前記踵部の内側に有する、請求項1からのいずれか1項に記載のフットカバー。
【請求項10】
前記フットカバーの全体が靴下用丸編機によって連続的に編成されてなる、請求項1からのいずれか1項に記載のフットカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フットカバーに関し、より詳細には、ずれまたは脱げを軽減するフットカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、歩行時のずれ・脱げの発生を軽減するフットカバーが数多く市場に流通している。これらのフットカバーの多くは、履き口や踵部に滑り止めまたは生地を貼り付けることにより、摩擦抵抗を高める、またはストッパー機能を付与することでずれ・脱げを軽減している。
【0003】
例えば、特許文献1には、足の踵を覆う踵部の一部および足の側面を覆う延長編地部において高伸縮弾性糸が編目ループを形成して編成される靴下が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、足甲部、踵部、および足裏部が伸縮性生地で形成されているフットカバーが開示されている。当該フットカバーは、足裏が当接する足裏当接面が、足甲部の伸縮性生地よりも伸びにくい伸縮性生地で形成されていることにより、足に対するフィット性を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-59245号公報
【文献】特開2019-143268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら特許文献1に記載の靴下は、歩行時に高伸縮部が過剰に伸展する可能性がある。この場合、靴下は踵に密着せず、ずれが生じる。
【0007】
また、特許文献2に記載のフットカバーは、歩行時に足底部側から踵部および足甲部等が引張されるため、足底部側に生地が巻き込まれ、ずれ・脱げが生じる可能性がある。また、引用文献2に記載の発明は、足の甲全体を露出する浅履きタイプのフットカバーに適用することができない。
【0008】
本発明の一態様は、フットカバーのずれ・脱げを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフットカバーは、足の爪先を覆う爪先部、前記足の両側面を覆う2つの側辺部、前記足の踵を覆う踵部、および前記足の足裏を覆う足底部を含み、前記足底部とは反対側に前記足を出し入れする履き口が形成された本体と、前記2つの側辺部の少なくとも一方に配置され、前記本体よりも低い伸縮性を有する低伸縮部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、フットカバーのずれ・脱げを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係るフットカバーを示す概略図である。
図2】フットカバーの変形例である、5枚はぎのフットカバーを示す図である。
図3】フットカバーの変形例である、爪先部を低伸縮部としたフットカバーを示す図である。
図4】実施形態1において例示した形状とは異なる低伸縮部の形状を示す図である。
図5図4に示す例とはさらに異なる低伸縮部の形状を示す図である。
図6】実施形態2に係るフットカバーを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
<フットカバー100の構成>
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態1に係るフットカバー100を示す概略図である。図1の符号101は、着用状態の2枚はぎの縫製タイプのフットカバー100を足底部4の小指側から見た状態を示し、図1の符号102は、着用状態のニットタイプのフットカバー100を親指側から見た状態を示す図である。
【0013】
フットカバー100は、着用者の足Fの足裏および側周面の少なくとも一部を被覆するフットカバーである。図1に示すように、フットカバー100は、足Fの爪先を覆う爪先部2、足Fの踵を覆う踵部3、足Fの足裏を覆う足底部4、足Fの両側面を覆う2つの側辺部5・6、を含む本体1を備える。2つの側辺部5・6とは、親指側の側面を覆う内側側辺部(側辺部)5、および足Fの小指側の側面を覆う外側側辺部(側辺部)6である。本体1には、フットカバー100の着脱時に足Fを出し入れするための開口である履き口7が、足底部4とは反対側に形成される。また、本体1の2つの側辺部(内側側辺部5および外側側辺部6)の少なくとも一部には、本体1の生地よりも伸縮性が低い低伸縮部9が配置される。低伸縮部9の詳細については後述する。フットカバー100では、低伸縮部9が踵部3を爪先部2側へ引張することにより、ずれ・脱げが低減される。
【0014】
フットカバー100は、足Fを覆い、足Fの甲の少なくとも一部を露出するものであればよく、その形状は特に限定されない。例えば、フットカバー100は、足Fの甲全体を露出させるように履き口7が形成された浅履きタイプのフットカバーであってもよいし、足Fの甲が比較的少なく露出する深履きタイプのフットカバーであってもよい。また、例えば、フットカバー100は、5本指タイプ、足袋タイプ、または着用者の爪先の一部を露出するタイプのフットカバーであってもよい。また、フットカバー100は、左右対称の形状であってもよいし、左右の足Fの形状に合わせた左右非対称形状のフットカバーであってもよい。
【0015】
歩行時において、足底が接地して着用者の体重が足Fのアーチにのると、アーチが沈み込む。反対に、踵および足底が浮き始めると、アーチはもとの高さに戻る(ウィンドラスメカニズム)。ここで、踵が浮いてアーチが上がる際に、フットカバー100の側辺部5・6が足Fの側面から離れると密着性が悪くなり脱げやすくなる。そのため、側辺部5・6の足高方向の長さは、着用時かつ足底接地時に舟状骨高さの半分以上であることが好ましい。この場合、フットカバー100が、歩行中も常に足Fの側面に密着するようになり、着用感を向上させることができる。
【0016】
フットカバー100は、図1の符号101の図に示すように、複数の生地が縫製されて形成される縫製タイプのフットカバーである。図1の符号101の図の例では、2枚の生地が縫製されてなる、所謂2枚はぎのフットカバー100を示す。当該図に示すフットカバー100では、足底部4を形成する生地と、爪先部2、踵部3、および2つの側辺部5・6を形成する生地と、が縫製されることで、フットカバー100の本体1が形成される。また、フットカバー100は、図1の符号102の図に示すように、靴下用丸編機によって連続的に編成されるニットタイプのフットカバーであってもよい。フットカバー100がニットタイプである場合、全体が一体的に編成されるため、当該図に示すように、フットカバー100には、各部位を分割する縫製線が存在しない。フットカバー100が縫製タイプのフットカバーである場合、フットカバー100の生地として、例えば裁断面がほつれない切りっぱなし生地(フリーカット生地)が用いられる。
【0017】
フットカバー100において、低伸縮部9を除く本体1はノーマル生地で形成されている。フットカバー100がニットタイプである場合は、例えばノーマル生地は、表糸に32/-ポリエステル綿糸を1本取りしたものを用い、裏糸に30/75FTY(Filament twisted yarn)を用いて編成される。なお、ノーマル生地の表糸には、ウール、レーヨン、麻、絹、テンセル、リヨセル、綿、ポリエステル、ナイロン、アクリル、アセテート、またはCSY(Core spun yarn)等が用いられてもよい。また、ノーマル生地の裏糸には、SCY(Single covered yarn)、DCY(Double covered yarn)、CSY、ウーリーナイロン、またはPTT(Polytrimethyleneterephtalate)等が用いられてもよい。
【0018】
フットカバー100が、縫製タイプである場合、ノーマル生地は、例えばベア天竺(ポリウレタン糸を軸にして他の素材の糸(綿、ウール等)を巻きつけた糸(カバード・ヤーン等)を用いて編んだ平編みの生地)、またはトリコット(経編み機の一種であるトリコット機で編んだ経編みの生地)であってもよい。また、ノーマル生地を形成する糸は、ウール、レーヨン、麻、絹、テンセル、リヨセル、綿、ポリエステル、ナイロン、またはアクリル等であってもよい。
【0019】
ノーマル生地は、一般的なフットカバーの生地として用いられるものであればよく、具体的な構成は特に限定されない。一例として、ノーマル生地は、足長方向(図1の符号101の図において、矢印10で示す方向)の引張試験において、荷重0Nのときのノーマル生地の伸び率を0%とした場合、荷重20Nに達したときの伸び率が50%以上200%以下程度となる生地である。
【0020】
フットカバー100の内側側辺部5および外側側辺部6には、ノーマル生地よりも伸縮性が低い低伸縮部9が設けられている。ただし、内側側辺部5および外側側辺部6のどちらか一方に低伸縮部9が設けられていてもよい。荷重が20Nに達したときの低伸縮部9の足長方向への伸び率は、同条件でのノーマル生地(本体1)の足長方向への伸び率の90%以下であることが好ましい。
【0021】
低伸縮部9の伸び率がノーマル生地の伸び率の90%以上である場合、低伸縮部9とノーマル生地との伸び率の差が小さくなり、フットカバー100の踵部3への密着性が高まらず、ずれ・脱げを抑制する効果が小さくなる。なお、ノーマル生地が一般的なフットカバーの編地よりも高伸縮性を有する生地によって作製される場合は、低伸縮部9の伸び率は、高伸縮性を有するノーマル生地の95%以下であってもよい。
【0022】
低伸縮部9とノーマル生地との伸び率の差が大きいほど、踵部3への密着性を高めることができるが、差が大きくなることによる色むら、色の濃淡の違い、形状・バランスの崩れ、またはシワの発生などが懸念される。そのため、これらの外観を考慮すると、低伸縮部9の伸び率は、ノーマル生地の伸び率の30%以上90%以下であることが好ましい。さらに、フットカバー100の着用時における快適性を向上させることを考慮すると、低伸縮部9の伸び率は、ノーマル生地の40%以上60%以下であることが好ましい。ここで、「快適性の向上」とは、足Fとフットカバー100の生地との一体感の向上、適度なフィット感の提供、あるいは爪先の窮屈感の低減等を意味する。
【0023】
平置き時において、低伸縮部9の足高方向(図1の符号101の図において、矢印11で示す方向)の長さは、低伸縮部9が配置される側辺部5または側辺部6のフットカバー100の足高方向の長さ(フットカバー100の履き口7から足底部4までの長さ)の20%以上であることが好ましい。低伸縮部9の足高方向の高さがフットカバー100の側辺部5または6の20%以上である場合、フットカバー100におけるずれ・脱げを好適に抑制することができる。ただし、低伸縮部9の足高方向の高さは、側辺部5または側辺部6のフットカバー100の足高方向の長さの10%以上であってもずれ・脱げを抑制することができる。また、低伸縮部9は、足底部4にも設けられていてもよい。なお、爪先部2付近に低伸縮部9が形成されると、足趾の動きを制限するため、快適性を阻害する可能性がある。そのため、低伸縮部9は、爪先部2には形成されないことが好ましい。
【0024】
低伸縮部9は、ノーマル生地よりも伸縮性が低ければよく、その構成は特に限定されない。例えば、フットカバー100がニットタイプである場合、編成時に使用する糸の構成を変更することで、低伸縮部9を形成することができる。
【0025】
例えば、フットカバー100では、糸を一般的な1本取りから2本取りに変更する、またはノーマル生地の糸よりも太い番手の糸を使用することで、低伸縮部9を形成することができる。具体的には、ノーマル生地の編成糸として、表糸に32/-ポリエステル綿糸を1本取りしたものを用い、裏糸に30/75FTYを用いる場合、例えば、使用する糸を以下のように変更することで、ノーマル生地よりも伸縮性の低い低伸縮部9を編成することができる。以下のような糸を用いて編成された低伸縮部9の伸び率は、ノーマル生地の伸び率の約40%となり、フットカバー100は、足Fに好適に密着する。
・表糸に32/-ポリエステル綿糸を2本取り、裏糸に30/75FTY
・表糸に20/-ポリエステル綿糸を1本取り、裏糸に30/75FTY
以下、低伸縮部9の他の形成方法の例を挙げる。フットカバー100がニットタイプであり、全体にゴム糸を挿入して編成される場合、編成時に低伸縮部9となる部分でゴムの送り量を減らし、当該部分に含まれるゴムの量を減らすことで伸縮性を低減させ、低伸縮部9を形成してもよい。また、低伸縮部9は、編成方法をノーマル生地から変更することで形成されてもよい。具体的には、フットカバー100の編成時、低伸縮部9となる部分にタック編みを入れる、カットボスを入れる、または、編成時、低伸縮部9となる部分の度目を小さくすることによって、低伸縮部9が形成される。また、低伸縮部9となる部分を、熱融着糸などの糸を用いて編成することによって低伸縮部9が形成される。また、全体をノーマル糸で編成したフットカバー100の低伸縮部9となる部分に熱融着シート等を貼付することで低伸縮部9を形成してもよい。
【0026】
また、フットカバー100が縫製タイプである場合、低伸縮部9となる部分に、ノーマル生地よりも伸縮性の低い生地を用いることで低伸縮部9を形成してもよい。例えば、伸縮性の低い生地として、熱融着糸を使用した生地を用いることができる。また、フットカバー100を作製した後、低伸縮部9となる部分に熱融着樹脂シート等低伸縮性の素材を貼り付けることによって低伸縮部9を形成してもよい。熱融着樹脂シートの素材としては、例えば、シリコン、EVA樹脂(Ethylene vinyl acetate copolymer)、TPU樹脂(Thermoplastic polyurethane)、ナイロン、またはPP(Polypropylene)等を用いることができる。また、フットカバー100の全体をノーマル生地で作製し、ノーマル生地と同じ生地(共生地)を低伸縮部9となる部分に接着することによって低伸縮部9を形成してもよい。その際、接着に伸び止めテープや伸縮性の低い接着テープ等を用いてもよい。
【0027】
また、フットカバー100がニットタイプおよび縫製タイプの両方の場合において、低伸縮部9となる部分にミシンでステッチを入れる、刺繍を施す、またはプリント加工する等の方法によって低伸縮部9を形成することができる。
【0028】
低伸縮部9は、フットカバー100の内側側辺部5および外側側辺部6のそれぞれに配置されていてもよいし、内側側辺部5または外側側辺部6のうちどちらか一方のみに設けられていてもよい。すなわち、低伸縮部9は、2つの側辺部5・6の少なくとも一方に配置される。また、内側側辺部5の低伸縮部9と外側側辺部6の低伸縮部9とは、伸び率が一致していてもよいし、異なっていてもよい。歩行時に動く量は足Fの親指側小指側で異なるため、フットカバーに対してかかる力も親指側と小指側とで異なる。従って、フットカバーにかかる力に合わせて内側側辺部5の低伸縮部9および外側側辺部6の低伸縮部9の伸び率を適宜選択してもよい。
【0029】
また、低伸縮部9は、図1に示すような矩形領域であってもよいし、他の形状の領域であってもよい。フットカバー100では、内側側辺部5および/または外側側辺部6全体が低伸縮部9であることが好ましい。低伸縮部9のサイズを大きくすることで、踵部3に対する引張力を高めることができる。また、履き口7側に位置する低伸縮部9の端部を第1端部L、足底部4側に位置する低伸縮部9の端部を第2端部Oとした場合、低伸縮部9の第1端部L側の足長方向の長さは、第2端部Oの足長方向の長さ以上であることが好ましい。足長方向における低伸縮部9の側辺部5・6側の長さよりも足底側の長さを短くすることで、歩行時の着用者の足Fの動きが阻害されにくくなる。
【0030】
また、フットカバー100は、ずれを抑制するための滑り止め部8を有する。滑り止め部8は、本体1よりも足Fの肌への摩擦力が高いもので形成されればよく、素材および形状は特に限定されない。例えば、滑り止め部8は、シリコンで形成された帯状の部材である。また、滑り止め部8が設けられる位置も、フットカバーのずれを低減することができる位置であればよく、特に限定されない。例えば、滑り止め部8は、図1に示すように、踵部3に設けられていてもよい。なお、図1に示す滑り止め部8は、踵部3の内側に設けられている。
【0031】
<フットカバー100の効果>
ユーザがフットカバー100を着用して歩行する際、低伸縮部9では生地が伸長する程度が低いため内側側辺部5および/または外側側辺部6から踵部3を足長方向爪先部2側に引張する力が加わる。これにより、踵部3が着用者の足Fの踵に張り付く。従って、フットカバー100においてずれ・脱げが発生する可能性が低減される。一般的に、足Fが大きく動くほど、フットカバーにおいてずれ・脱げが発生する可能性が高まる。これに対してフットカバー100では、足Fが大きく動くほど低伸縮部9と本体1との間の伸長の程度が離れるため、低伸縮部9による踵部3に対する引張力が高まり、踵部3の生地が足Fの踵に密着する。これにより、フットカバー100では、足Fが大きく動いたとしても、踵部3が引張され、足Fに生地が密着するため、ずれ・脱げが発生する可能性を低減することができる。
【0032】
一般的に、フットカバーにおいて、編地は、足長方向に引っ張られると、足高方向に縮む。特に、フットカバーの足長方向における中央に相当する側辺部5・6の足高方向への縮みが大きいため、側辺部5・6の足高方向の長さ(高さ)が短く(低く)なる。側辺部5・6の高さが低くなることで踵部3の上辺も低くなり、フットカバーが脱げやすくなる。以上のことから、側辺部5・6の足長方向および足高方向の長さの変動は小さいことが好ましい。
【0033】
フットカバー100では、側辺部5・6に低伸縮部9が設けられている。これにより、側辺部5・6の足長方向の伸びが制限されるため足高方向への縮みも軽減される。従って、フットカバー100では、側辺部5・6の高さを保つことができ、脱げを抑制することができる。
【0034】
また、低伸縮部9が土踏まず周辺部にある場合、低伸縮部9が適度に足Fの土踏まずに対して圧力をかける。これにより、フットカバー100では、土踏まずサポート効果が期待できるため、足Fの疲労を軽減し、歩行しやすくなる。
【0035】
足Fの甲および足首等までを覆う靴下は、足Fの足首等に対して圧力をかけることで、ずれ・脱げの発生を低減している。これに対して、足首を覆う部位を持たないフットカバーは、同様の方法でずれ・脱げの発生を低減することができない。ここで、フットカバー100における、踵部3に対して引張する力を加えることで足Fに密着させる構成は、足首に対する圧力を必要とせず効果的にずれ・脱げを低減させることができるため、足首を覆う部分を持たないフットカバーに対して特に好適である。また、フットカバー100は、踵部3の面によって足Fに密着しているので、足Fに圧迫による跡ができる可能性を低減することができる。
【0036】
また、従来のフットカバーは締め付けの強い口ゴムを用いることでずれ・脱げを抑制していた。ここでフットカバー100では、編地全体で踵部3を足Fに密着させているため、締め付けの弱い口ゴムでもずれや脱げを抑制できる。そのため、口ゴムによって局所的に足Fにかかる圧力を軽減でき、快適性が向上する。
【0037】
また、一般的に浅履きタイプのフットカバーは、履き口7が広く、ずれ・脱げが生じやすい。ここで、フットカバー100では、低伸縮部9を広くすることで、着用者の踵に対する密着性を、低伸縮部9が狭い場合よりも増すことができるため、フットカバー100が浅履きタイプであったとしても、ずれ・脱げの発生を低減することができる。
【0038】
また、フットカバー100は、フットカバー100全体の生地または編地によって足Fに密着する。そのため、従来のフットカバーよりも滑り止め部8のサイズを小さくすることができる。これにより、滑り止め部8によって皮膚への負担を軽減し、皮膚のかゆみまたはかぶれなどの発生を低減することができる。また、フットカバー100は、従来のフットカバーよりも滑り止め部8を形成するための材料を減らすことができるため、製造コストを下げることができる。
【0039】
<変形例>
図2は、フットカバー100の変形例である、5枚はぎの縫製タイプのフットカバー100Aを示す図である。低伸縮部9は、サイズが大きいほど足Fへの密着効果が高くなるため、フットカバー100Aにおいて、第1端部Lは、履き口7の周縁に沿って、かつ履き口7の周縁に位置する側辺部5・6の全長にわたり配置されることが好ましい。一例として、図2に示すように、フットカバー100Aが爪先部2、踵部3、足底部4、内側側辺部5、および外側側辺部6の生地からなる5枚はぎのフットカバーである場合、内側側辺部5、および外側側辺部6の生地に低伸縮性の生地を用いる。この場合、内側側辺部5および外側側辺部6の全体を低伸縮部9とすることができる。ここで、第1端部Lは、履き口7の周縁に沿い、かつ内側側辺部5および外側側辺部6の全長にわたって配置される。これにより、踵部3に対する引張力を高めることができるため、フットカバー100Aにおけるずれ・脱げの発生を低減することができる。
【0040】
また、上述した実施形態では、フットカバー100のノーマル生地は、各部において同一の生地が用いられていたが、フットカバー100の部位によってノーマル生地の種類を適宜変更してもよい。例えば、フットカバー100は足底部4が綿ベア天竺で形成され、踵部3がナイロンで形成されていてもよい。これにより、足Fに対する密着度、および着用感等を向上させることができる。
【0041】
図3は、フットカバー100の変形例である、爪先部2を低伸縮部9としたフットカバー100Bを示す図である。フットカバー100Bでは、爪先部2にも低伸縮部9が配置されている。この場合、爪先部2からも踵部3に対する引張力がかかるようになり、足に対する密着度を向上させることができる。例えば、図3に示すように、フットカバー100Bが、3枚はぎの縫製タイプのフットカバーであり、足底部4、側面を含む爪先部2、および踵部3を形成する3枚の生地を縫製してなる場合について考える。この場合、内側側辺部5および外側側辺部6を含む爪先部2として用いられる生地に低伸縮性の素材を用いてもよい。
【0042】
図4は、実施形態1において例示した形状とは異なる低伸縮部9A~9Lの形状を示す図である。フットカバー100では、低伸縮部9の足高方向の長さが、フットカバー100の足高方向の長さの1/5以上であればよく、その形状は特に限定されない。例えば、図4の符号401に示すように、低伸縮部9Cは、足長方向を長手方向とし、足高方向を短手方向とする矩形形状であってもよい。また、図4の符号402に示すように、低伸縮部9Dは、1つの辺が履き口7に沿い、1つの頂点が足高方向足底部4側に位置する逆三角形状であってもよい。また、図4の符号403に示すように、低伸縮部9Eは、直線部分が履き口7に沿う半円形状であってもよい。また、図4の符号404に示すように、低伸縮部9Fは、矩形形状の長手方向の一辺と三角形の一辺とが一致してなる逆五角形状であってもよい。また、図4の符号405および406に示すように、低伸縮部9Gまたは低伸縮部9Hは、一辺が履き口7に接する逆三角形を足長方向に複数並べた形状(符号405および406の例では2または3個)であってもよい。また、図4の符号407および408に示すように、低伸縮部9Iまたは低伸縮部9Jは、直線部分が履き口7に沿う半円形を足長方向に複数並べた形状(符号407および408の例では2または3個)であってもよい。また、図4の符号409に示すように、低伸縮部9Kは、一辺が履き口7に接し、最も長い対角線が履き口7に接さず、履き口7に対して平行に位置する逆五角形状であってもよい。また、図4の符号410に示すように、低伸縮部9Lは、楕円形状であってもよい。
【0043】
図5は、図4に示す例とはさらに異なる低伸縮部9M~Wの形状を示す図である。図5に示すように、低伸縮部9は、図4に示す例からさらに異なる形状であってもよい。例えば、図5の符号501に示すように、低伸縮部9Mは、直角部分が踵部3側に形成された直角三角形の形状であってもよく、図5の符号502に示す低伸縮部9Nのように、直角部分が爪先部2側に形成された直角三角形の形状であってもよい。また、図5の符号503に示すように、低伸縮部9Oは、低伸縮部9Mおよび低伸縮部9Nを組み合わせた形状であってもよい。
【0044】
図5の符号504に示すように、低伸縮部9Pは、低伸縮部9Pとノーマル生地とからなる市松模様状の形状であってもよい。なお、市松模様形状をなす低伸縮部9Pは、足底部4まで延伸していてもよい。また、図5の符号505に示すように、低伸縮部9Qは、爪先部2および踵部3側から側辺部5・6の中央にかけて、側辺部5・6側から足底部4側に向けて傾斜する縞模様をなす形状であってもよい。ただし、図5の符号506に示すように、低伸縮部9Rは、低伸縮部9Qの低伸縮部分とノーマル生地部分を反転させた形状であってもよい。
【0045】
図5の符号507に示すように、低伸縮部9Sは、低伸縮部9Mに加えて、足底部4側かつ踵部3側方向に、低伸縮部9Mと同形状の低伸縮部を設けた形状であってもよい。さらに、図5の符号508に示すように、低伸縮部9Tは、低伸縮部9Sに加えて足底部4側に矩形形状の低伸縮部をさらに設けた形状であってもよい。
【0046】
図5の符号509に示すように、低伸縮部9Uは、2つの矩形形状が、側辺部5・6に接する位置および側辺部5・6に接しない位置にそれぞれ設けられる形状であってもよい。また、図5の符号510に示すように、低伸縮部9Vは、低伸縮部9Uを足長方向に延伸させ、側辺部5・6の全長にわたって設けた形状であってもよい。
【0047】
図5の符号511に示すように、低伸縮部9Wは、側辺部5・6側を長辺とし、足底部4側を短辺とした逆台形形状であってもよい。図5の符号512は、展開した状態の低伸縮部9Wを示す図である。図5の符号512に示すように、低伸縮部9Wは、2つの側辺部5・6にそれぞれ同様の逆台形形状を設け、足底部4の中央で繋がっている砂時計型の形状であってもよい。その他、低伸縮部9は、図4の符号404に示す低伸縮部9Fの逆三角形部分を、足底部4側の辺を短辺とする台形とした六角形の形状であってもよい。なお、低伸縮部9の形状は、上述した形状に限られず、さらに異なる形状であってもよい。
【0048】
上述した低伸縮部9の形状の中でも、特に逆三角形(低伸縮部9D)、または逆五角形(低伸縮部9F)、または逆台形(低伸縮部9W)の形状であることが特に好ましい。低伸縮部9がこれらの形状(低伸縮部9D、9F、9W)である場合、足底部4に近くなるにつれて低伸縮部9の面積が小さくなる。そのため、低伸縮部9が足底の動きを阻害する程度が低減される。従って、低伸縮部9がこれらの形状である場合、フットカバー100が足Fの動きを阻害する程度およびフットカバー100による締め付け感を低減しつつ、脱げを抑制することができる。
【0049】
特に、低伸縮部9が上記形状であり、かつ側辺部5・6の足高方向の長さが足底接地時に舟状骨高さの半分以上であることがさらに好ましい。この場合、フットカバー100着用時、低伸縮部9が足Fの舟状骨に沿った形状となり、フットカバー100が足Fの動きに追随しやすくなるため、フットカバー100のずれ・脱げをより効果的に抑制する。
【0050】
砂時計型の低伸縮部9Wは、足底部4において足Fの土踏まずに対して圧力を与えることにより、足Fの土踏まずをサポートし、足Fの疲れを低減する効果を奏するため、特に好ましい。ただし、低伸縮部9が足Fの内側に接する部分、すなわち内側側辺部5および足底部4にのみ形成される場合であっても、低伸縮部9が土踏まずを押圧するため、土踏まずをサポートする効果を得ることができる。
【0051】
また、低伸縮部9は履き口7に接していてもよいし、接しなくともよい。例えば、低伸縮部9として、低伸縮性の素材を内側側辺部5および/または外側側辺部6に貼り付ける場合、履き口7から離れた位置に当該素材が貼り付けられていてもよい。
【0052】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0053】
図6は、本発明の実施形態2に係るフットカバー100Cを示す概略図である。図6の符号601は、フットカバー100Cを足底部4の小指側から見た状態を示し、符号602は、フットカバー100Cを親指側側面から見た状態を示す。図6に示すように、フットカバー100Cは、側辺部5・6全体および足底部4の一部にわたって設けられる低伸縮部9Xと、踵部3の少なくとも一部に配置され、本体1よりも強い伸縮性を有する強伸縮部12と、を備える。
【0054】
本明細書において、「強伸縮」とは、力をかけたとき、足幅方向(図5の符号501の図において矢印13で示す方向)において、ノーマル生地よりも伸長し、伸長した状態における収縮力がノーマル生地よりも強いことを意味する。一例として、荷重20Nに達したときのノーマル生地の足幅方向の伸び率を100%とした場合、強伸縮部12として用いられる編地の同条件での伸び率は100%よりも高いことが好ましい。強伸縮部12のノーマル生地に対する伸び率を100%よりも高くすることで、フットカバー100Cの足Fへの密着度を好適に向上させることができる。
【0055】
フットカバー100Cがニットタイプである場合、一例として、表糸に32/-ポリエステル綿糸を1本取りしたものを用い、裏糸に40/75FTYを用いることで、強伸縮部12の編地を編成することができる。このとき、一例として、ノーマル生地は実施形態1において例示した糸を用いて編成される。この場合、ノーマル生地に対する強伸縮部12の伸び率は、158%となり、フットカバー100Cは、足Fに適度に密着することができる。
【0056】
図6の符号601の図に示すように、低伸縮部9Xは、足底部4において、内側側辺部5の爪先側端部Pと内側側辺部5の踵側端部Rとを結ぶ線から外側側辺部6の爪先側端部Qと外側側辺部6の踵側端部Sとを結ぶ線まで(領域T)延伸している。すなわち、フットカバー100Cでは、側辺部5・6のそれぞれに配置された各低伸縮部9が、足底部4で繋がっている。
【0057】
低伸縮部9Xを上述のような形状とすることで、内側側辺部5および外側側辺部6のみに低伸縮部9Xを形成するよりも、踵部3に対する引張力を大きくすることができる。
【0058】
強伸縮部12は、踵部3の一部に設けられていてもよいし踵部3全体に強伸縮部12が設けられていてもよい。また、強伸縮部12は、足底部4まで至っていてもよい。強伸縮部12の領域が大きい方が、踵に対して密着する面が大きくなるため好適である。例えば、強伸縮部12は、踵部3の足高方向において、足底部4側から半分程度の高さまでの領域に設けられていてもよい。
【0059】
上述したように、フットカバー100Cは、踵部3の少なくとも一部に、強伸縮部12を備えている。着用者がフットカバー100Cを着用し、歩行する際、低伸縮部9Xによって強伸縮部12に対して引張力が加わることで、強伸縮部12は伸展する。このとき、強伸縮部12には、収縮力が生じるため、着用者の踵に張り付く。これにより、フットカバー100Cでは、低伸縮部9Xのみを備える構成よりも好適にずれ・脱げを抑制することができる。
【0060】
踵部3は歩行時に特に強い衝撃を受ける場所であり、靴によるこすれも受けやすい。そのため踵部3は足Fおよび足Fの皮膚の動きに追随させるため、低伸縮性を有する生地よりも、強伸縮性を有する生地によって形成されることが好ましい。
【0061】
また、強伸縮部12は、爪先部2の一部または全体にも設けられていてもよい。この場合、低伸縮部9Xによって爪先部2および踵部3の両方が引張され、足Fに密着するため、フットカバー100Cのずれ・脱げの発生をより効果的に抑制することができる。
【0062】
<変形例>
上述した実施形態では、低伸縮部9Xおよび踵部3の強伸縮部12以外の部分はノーマル生地で形成されていたが、フットカバー100Cにおいて、低伸縮部9X以外の部分全て(本体1)が強伸縮性を有する強伸縮部12であってもよい。一例として、表糸に20/-ポリエステル綿糸を1本取りしたものを用い、裏糸に30/75FTYを用いて低伸縮部9を形成し、表糸に30/-CSYを1本取りしたものを用い、裏糸に30/75FTYを用いて低伸縮部9X以外の部分を形成してもよい。または、表糸に32/-ポリエステル綿糸を2本取りしたものまたは20/-ポリエステル綿糸を1本取りしたものを用い、裏糸に40/75FTYを用いて低伸縮部9Xを形成し、表糸に32/-ポリエステル綿糸を1本取りしたものを用い、裏糸に40/75FTYを用いて低伸縮部9X以外の部分を形成してもよい。これにより、低伸縮部9X以外の部分が強伸縮性を有する生地によって形成されたフットカバー100Cを作製することができる。
【0063】
また、このとき、低伸縮部9Xが側辺部5および側辺部6の両側に形成され、かつ足底部4で繋がっていることが好ましい。これにより、フットカバー100Cにおいて、足長方向中央付近の広い領域から爪先部2および踵部3の両方を引張することができるため、フットカバー100Cの足Fへの密着性を向上させることができる。
【0064】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【実施例
【0065】
以下、本発明の一実施例について以下に説明する。本実施例では、本発明に係るフットカバー100を作製し、歩行時にフットカバー100がずれを抑制する程度を測定した。
【0066】
測定には、ニットタイプのフットカバーが用いられた。従来のフットカバーとして、低伸縮部9を備えず、全体がノーマル生地で形成されたフットカバー(比較例)を作製した。また、本発明に係るフットカバー100として、低伸縮部9の足高方向の長さがフットカバー100の足高方向の長さの1/3であるフットカバー100(実施例1)、および低伸縮部9の足高方向の長さがフットカバー100の足高方向の長さの1/5であるフットカバー100(実施例2)が用いられた。低伸縮部9は、低伸縮性の生地を張り付けることで形成された。
【0067】
ノーマル生地は、表糸に32/-ポリエステル綿糸を1本取りしたものを用い、裏糸に30/75FTYを用いて編成された。また、低伸縮部9は、表糸として32/-ポリエステル綿糸を2本取りし、裏糸として30/75FTYを用いて編成された。
【0068】
測定は、着用者が各フットカバー上にスニーカーを着用した状態で行われた。着用者は、トレッドミルを4km/hの速度で5分間行った。また、同様の測定を計3回行い、各測定結果および平均値を取得した。
【0069】
【表1】
【0070】
表1は、上述の測定で用いられた各フットカバーの形状および測定結果を示している。表1の図の斜線部は、低伸縮部9を示している。表1に示すように、実施例1および実施例2のフットカバー100は、比較例のフットカバーよりも効果的にずれを抑制した。また、低伸縮部9がより大きい実施例1のフットカバー100は、実施例1のフットカバー100よりも効果的にずれを抑制した。
【符号の説明】
【0071】
1 本体
2 爪先部
3 踵部
4 足底部
5 内側側辺部(側辺部)
6 外側側辺部(側辺部)
7 履き口
8 滑り止め部
9、9A~9X 低伸縮部
12 強伸縮部
100、100A~100C フットカバー
F 足
L 第1端部
O 第2端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6