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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】樹脂封止装置及び樹脂封止方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/56 20060101AFI20240130BHJP
   B29C 43/36 20060101ALI20240130BHJP
   B29C 39/26 20060101ALI20240130BHJP
   B29C 43/34 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H01L21/56 R
B29C43/36
B29C39/26
B29C43/34
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020169116
(22)【出願日】2020-10-06
(65)【公開番号】P2022061237
(43)【公開日】2022-04-18
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000144821
【氏名又は名称】アピックヤマダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】安藤 修治
(72)【発明者】
【氏名】柳沢 誠
(72)【発明者】
【氏名】西沢 哲也
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和広
(72)【発明者】
【氏名】涌井 正明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 幸雄
【審査官】今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-233039(JP,A)
【文献】特開2018-020445(JP,A)
【文献】特開2018-094797(JP,A)
【文献】特開2013-187340(JP,A)
【文献】特開2017-139278(JP,A)
【文献】特開2011-062955(JP,A)
【文献】特開2019-166720(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0311095(US,A1)
【文献】国際公開第2008/126527(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/56
H01L 23/28
B29C 43/36
B29C 39/26
B29C 43/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顆粒樹脂を搭載した枚葉フィルムとワークが封止金型に搬送されて所定の成形温度で加熱加圧されて樹脂封止される樹脂封止装置であって、
第一貫通孔を有し当該第一貫通孔の下方を覆うように枚葉フィルムを吸着保持する外枠治具と、
第二貫通孔を有し前記外枠治具の第一貫通孔の内周面に装着される内枠治具と、
前記外枠治具に装着された前記内枠治具の第二貫通孔内で枚葉フィルム上に顆粒樹脂を供給する樹脂供給部と、
前記外枠治具の第一貫通孔内で前記内枠治具を着脱する第一移載機構と、
前記内枠治具が取り外された前記外枠治具を保持して枚葉フィルム上に供給された顆粒樹脂を前記樹脂供給部から前記封止金型へ搬送する搬送機構と、を備えることを特徴とする樹脂封止装置。
【請求項2】
前記内枠治具の下面を覆った枚葉フィルム上に供給された顆粒樹脂を加熱する加熱部を有する請求項1記載の樹脂封止装置。
【請求項3】
前記加熱部は、前記外枠治具の下方から枚葉フィルムを介して顆粒樹脂を加熱する請求項2記載の樹脂封止装置。
【請求項4】
前記加熱部は、前記成形温度より低い所定温度で顆粒樹脂を加熱する請求項2又は請求項3記載の樹脂封止装置。
【請求項5】
前記内枠治具が取り外された前記外枠治具の内側で当該前記枚葉フィルム上に板部材を供給する第二移載機構を備える請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の樹脂封止装置。
【請求項6】
前記樹脂供給部に前記内枠治具が装着された前記外枠治具を載置する樹脂供給テーブルを備え、
前記樹脂供給部は、前記樹脂供給テーブルをX-Y方向に走査しながら前記内枠治具の枠体開口内であって枚葉フィルム上に一回分の樹脂封止に必要な顆粒樹脂を供給する請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の樹脂封止装置。
【請求項7】
前記内枠治具は前記外枠治具の内周縁部に設けられた凹凸嵌合部と位置合わせして組み付けられ、枚葉フィルムを供給するフィルム供給部、樹脂供給部及び枠体クリーナー部を巡回搬送されて再利用される請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の樹脂封止装置。
【請求項8】
前記外枠治具は複数用いられ、前記搬送機構によって前記封止金型より枚葉フィルムを供給するフィルム供給部へ供給されて再利用される請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の樹脂封止装置。
【請求項9】
枚葉フィルムを供給するフィルム供給工程と、
前記枚葉フィルムに外枠治具の第一貫通孔の下方を覆うように重ねる工程と、
前記外枠治具の第一貫通孔の内周面に内枠治具を装着する工程と、
前記内枠治具の第二貫通孔内に顆粒樹脂を供給する工程と、
前記外枠治具より前記内枠治具を取り外した後、当該外枠治具を搬送機構によって封止金型へ搬送する工程と、
前記顆粒樹脂とキャビティ凹部を位置合わせして前記枚葉フィルムを封止金型へ受け渡して吸着保持させる工程と、
前記封止金型でワーク及び枚葉フィルムをクランプして顆粒樹脂を加熱硬化させる樹脂封止工程と、
を含むことを特徴とする樹脂封止方法。
【請求項10】
前記内枠治具の下面を覆った前記枚葉フィルム上に供給された顆粒樹脂を加熱する請求項記載の樹脂封止方法。
【請求項11】
前記外枠治具の第一貫通孔を覆う枚葉フィルムを介して顆粒樹脂を成形温度より低い第一温度に加熱する請求項10記載の樹脂封止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークと顆粒樹脂を搭載した枚葉フィルムが封止金型に搬送されて樹脂封止される樹脂封止装置及び樹脂封止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放熱板等の板状部材を有する樹脂封止電子部品を製造できる圧縮成形装置が提案されている。離型フィルムの上に放熱板及び矩形枠状のトレーカバーを載置し、離型フィルムをXYテーブル及びトレーカバーで挟むようにする。放熱板のトレーカバーで覆われていない部分の上に顆粒樹脂を載置し顆粒樹脂がトレーカバーで囲まれた状態となる。この状態で、レジンハンドラーにより、離型フィルムを放熱板、顆粒樹脂及びトレーカバーとともに保持して下型に搬送し、離型フィルムを下型に受け渡して放熱板上に顆粒樹脂が載置された状態で下型キャビティに載置する。その後、ワークを保持した上型と下型を型閉じして圧縮成形が行われる。尚、トレーカバーは、クリーニングステージに搬送され、クレーニングされて再利用される(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-187340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した特許文献1に示す圧縮成形装置においては、トレーカバーの矩形枠内で放熱板に支持されたままレジンハンドラーによって下型へ搬送され、離型フィルムと共に放熱板がキャビティ凹部に受け渡されるようになっている。
上記レジンハンドラーによって顆粒樹脂が封止金型に搬送される際に、顆粒樹脂は底部を放熱板に支持され四方をトレーカバーに囲まれた状態で下型に搬送されるため、軟化した樹脂がトレーカバーの内壁面に付着して樹脂汚れが発生し易く、一旦付着してしまうとクリーニング工程でも落ち難くなり、メンテナンス性が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされ、メンテナンス性の高い樹脂封止を実現できる樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下の構成を備える。
顆粒樹脂を搭載した枚葉フィルムとワークが封止金型に搬送されて所定の成形温度で加熱加圧されて樹脂封止される樹脂封止装置であって、第一貫通孔を有し当該第一貫通孔の下方を覆うように枚葉フィルムを吸着保持する外枠治具と、第二貫通孔を有し前記外枠治具の第一貫通孔の内周面に装着される内枠治具と、前記外枠治具に装着された前記内枠治具の第二貫通孔内で枚葉フィルム上に顆粒樹脂を供給する樹脂供給部と、前記外枠治具の第一貫通孔内で前記内枠治具を着脱する第一移載機構と、前記内枠治具が取り外された前記外枠治具を保持して枚葉フィルム上に供給された顆粒樹脂を前記樹脂供給部から前記封止金型へ搬送する搬送機構と、を備えることを特徴とする。
【0007】
これにより、内枠治具により枚葉フィルム上に供給される顆粒樹脂の供給エリアを任意に設定することができ、しかも、搬送機構は内枠治具が除去された外枠治具を保持して樹脂供給部から封止金型へ搬送するので、顆粒樹脂が外枠治具の内周面に移動して付着することはなく、外枠治具の樹脂汚れの発生を防止することができ、メンテナンス性を向上することができる。
【0008】
前記内枠治具の下面を覆った枚葉フィルム上に供給された顆粒樹脂を加熱する加熱部を有することが好ましい。これにより、枚葉フィルム上に供給された顆粒樹脂を軟化させて顆粒樹脂を連続して落下させても跳ねて拡散してしまうのを防止し、内枠治具の第二貫通孔内で顆粒樹脂を保形することができる。
【0009】
前記加熱部は、前記外枠治具の下方から枚葉フィルムを介して顆粒樹脂を加熱することが好ましい。これにより、加熱部を別途設ける装置構成に比べて設置面積を縮小でき装置構成を簡素化することができる。
【0010】
前記加熱部は、前記成形温度より低い所定温度(例えばエポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂が溶融・硬化反応が進まない温度)で顆粒樹脂を加熱することが好ましい。これにより、枚葉フィルム上に供給された顆粒樹脂の熱履歴に影響を与えることなく軟化させることができ、外枠治具から内枠治具を取り外しても内枠治具の第二貫通孔内で顆粒樹脂の保形性を維持することができる。よって、搬送機構を用いて外枠治具を封止金型に搬送する際に樹脂粉が舞うおそれはなく、装置内の汚染の発生を防止できる。
【0011】
前記内枠治具が取り外された前記外枠治具の内側で当該前記枚葉フィルム上に板状部材を供給する第二移載機構を備えていてもよい。
これにより、顆粒樹脂の供給に先立って板状部材を枚葉フィルム上にセットする場合、外枠治具をガイドとして枚葉フィルム上に位置決めして供給することができる。
【0012】
前記樹脂供給部に前記内枠治具が装着された前記外枠治具を載置する樹脂供給テーブルを備え、前記樹脂供給部は、前記樹脂供給テーブルをX-Y方向に走査しながら前記内枠治具の枠体開口内であって枚葉フィルム上に一回分の樹脂封止に必要な顆粒樹脂を供給するようにしてもよい。
このように樹脂供給部に配置された樹脂供給テーブルをX-Y方向に走査しながら顆粒樹脂を供給すると、装置構成を簡素化してコンパクトに設計することが可能となり、しかも樹脂供給テーブル上で顆粒樹脂の加熱に伴う熱履歴の相違が成形品質に与えることはないので、顆粒樹脂の供給形態も自由に選択することができる。
【0013】
前記内枠治具は前記外枠治具の内周縁部に設けられた凹凸嵌合部と位置合わせして組み付けられ、枚葉フィルムを供給するフィルム供給部、樹脂供給部及びクリーナー部を巡回搬送されて再利用されることが好ましい。
内枠治具は、外枠治具の内周縁部に設けられた凹凸嵌合部と位置合わせして組み付けられるので、内枠治具の厚さを調整することで顆粒樹脂の散布エリアを自由に設定することができる。また、内枠治具は、枚葉フィルム上に供給される顆粒樹脂を堰き止める枠となるが、例えば成形温度より低い温度に加熱して顆粒樹脂を軟化させて表面を固めても内枠治具の樹脂汚れは少なく、クリーナー部においてクリーニングも容易に行える。
【0016】
前記外枠治具の第一貫通孔は前記封止金型のキャビティ凹部の形態に合わせて形成され、前記第一貫通孔の内周縁部に彫り込まれた段差部と前記内枠治具の外周縁部に設けられたフランジ部を重ね合わせて組み付けられてもよい。
これにより、内枠治具を外枠治具に着脱する際の位置合わせを確実にして重ね合わせることができる。また外枠治具の第一貫通孔はキャビティ凹部に対応しているので、顆粒樹脂を載せた枚葉フィルムをモールド金型へ受け渡し易くなる。
【0017】
樹脂封止方法にあっては、枚葉フィルムを供給するフィルム供給工程と、前記枚葉フィルムに外枠治具の第一貫通孔の下方を覆うように重ねる工程と、前記外枠治具の第一貫通孔の内周面に内枠治具を装着する工程と、前記内枠治具の第二貫通孔内に顆粒樹脂を供給する工程と、前記外枠治具より前記内枠治具を取り外した後、当該外枠治具を搬送機構によって封止金型へ搬送する工程と、前記顆粒樹脂とキャビティ凹部を位置合わせして前記枚葉フィルムを封止金型へ受け渡して吸着保持させる工程と、前記封止金型でワーク及び枚葉フィルムをクランプして顆粒樹脂を加熱硬化させる樹脂封止工程と、を含むことを特徴とする。
上記樹脂封止方法を使用すれば、搬送機構は内枠治具が除去された外枠治具を保持して樹脂供給部から封止金型へ搬送するので、顆粒樹脂が外枠治具の内周面に移動して付着することはなく、外枠治具の樹脂汚れの発生を防止することができ、メンテナンス性を向上することができる。
【0018】
前記内枠治具の下面を覆った枚葉フィルム上に供給された顆粒樹脂を加熱することが好ましい。
これにより、搬送途中に樹脂粉が舞うおそれがなくハンドリングし易く、しかも外枠治具に樹脂汚れが発生することがなくなる。また、枚葉フィルム上に供給された顆粒樹脂を軟化させて顆粒樹脂を連続して落下させても跳ねて拡散してしまうのを防止し、内枠治具の第二貫通孔内で顆粒樹脂を保形することができる。
【0019】
前記外枠治具の第一貫通孔を覆う枚葉フィルムを介して顆粒樹脂を成形温度より低い第一温度に加熱することが望ましい。
これにより、枚葉フィルム上に供給された顆粒樹脂が熱履歴の影響を受けることなく軟化され、外枠治具から内枠治具を取り外しても内枠治具の第二貫通孔内で顆粒樹脂の保形性を維持することができる。また、加熱部を別途設ける装置構成に比べて設置面積を縮小でき装置構成を簡素化することができる。
【発明の効果】
【0020】
メンテナンス性の高い樹脂封止を実現できる樹脂封止装置及び樹脂封止方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】外枠治具に顆粒樹脂を供給するまでの工程を示す説明図である。
図2】顆粒樹脂が供給された外枠治具を封止金型まで搬送して樹脂封止する工程を示す説明図である。
図3】樹脂封止装置のレイアウト構成を示す概念図である。
図4】外枠治具と内枠治具の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[全体構成]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について図1を参照して説明する。図3は本発明の実施形態に係る樹脂封止装置のレイアウト構成の概念図である。樹脂封止装置は下型キャビティタイプの圧縮成形装置1を例示し、ワークWは、薄板状のキャリア(例えば樹脂基板、銅板、ガラス板、樹脂多層基板等)に半導体チップなどの電子部品が搭載されたものを想定して樹脂封止する場合について説明する。また、圧縮成形装置1においては、電子部品を移載したキャリアであるワークWは樹脂封止されるときに、放熱板(板状部材)と一体化させてもよい。
【0023】
図3において、圧縮成形装置1は、プレス部A、ワーク供給部B、フィルム供給部C、樹脂供給部D、放熱板供給部E、クリーナー部F、フィルム廃棄ボックスGを備えている。これらはユニット化されて連結されていてもよいし装置本体に各々一体に組み付けられていてもいずれでもよい。以下、各部の構成について説明する。
【0024】
[プレス部A]
プレス部Aには、図2(d)に示すように上型2a及び下型2bを有する封止金型2を備えている。本実施例では、下型2bには下型キャビティ凹部2cが形成され、上型2aにはワークWが吸着保持される。封止金型2は型閉じされて例えば170℃程度に加熱されて圧縮成形されるようになっている。下型2bが可動型で上型2aが固定型であっても、下型2bが固定型で上型2aが可動型であってもよく或いは双方が可動型であってもよい。なお、下型2bは一体的に描かれているが、実際には分割された金型構成であり、下型キャビティ凹部2cはキャビティ底部を構成するキャビティ駒とこれを囲んで設けられたキャビティ側部を構成するクランパが相対移動可能に設けられる。これにより、キャビティ駒が相対的に上昇することで樹脂に加圧することができる。
【0025】
封止金型2は、公知の型開閉機構(不図示)によって型開閉が行われる。例えば、型開閉機構は、一対のプラテンと、一対のプラテンが架設される複数の連結機構(タイバーや柱部)と、プラテンを可動(昇降)させる駆動源(例えば、電動モータ)及び駆動伝達機構(例えば、トグルリンク)等を備えて構成されている(駆動用機構についてはいずれも不図示)。
【0026】
封止金型2の下型キャビティ凹部2cを含む下型クランプ面は、後述する枚葉フィルム2dが吸着保持される。枚葉フィルム2dは、例えば厚さ50μm程度の耐熱性、剥離容易性、柔軟性、伸展性に優れた長尺状に連なるフィルム材が用いられ、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(ポリテトラフルオロエチレン重合体)、PET、FEP等が好適に用いられる。枚葉フィルム2dは、後述するフィルム供給部Cにおいて長尺状に巻き取られたフィルムロールよりフィルム先端側をワークWに対応した短冊形状の成形に必要なサイズに切断されて供給される。
【0027】
後述するように、顆粒樹脂Rを搭載された枚葉フィルム2dは、下型キャビティ凹部2cと位置合わせして下型2bへ受け渡されて吸着保持される。封止金型2はワークW及び枚葉フィルム2dをクランプして顆粒樹脂を成形温度(例えば170℃程度:第二温度)まで昇温させて加熱加圧することで硬化させる。
【0028】
[ワーク供給部B]
ワーク供給部BにはワークWを所定間隔で収納するワーク供給マガジンが設けられる。ワーク供給マガジンより送り出されたワークWは、図示しないワークローダによって、型開きした封止金型2に搬送され、上型2aの上型クランプ面2a1に吸着保持される(図2(d)参照)。
【0029】
[フィルム供給部C]
フィルム供給部Cは、下型キャビティ凹部2cを含む下型クランプ面を覆う枚葉フィルム2dを供給する。長尺状に巻き取られたフィルムロールより図示しないフィルム送り機構によってフィルムが支持台上に繰り出されて、ワークW(又はキャビティ)に対応した短冊形状の成形に必要なサイズに切断される。枚葉フィルム2dには外枠治具3が重ねて載置される。
【0030】
外枠治具3は、例えば矩形状の枠体3aに第一貫通孔3bが設けられている。枠体3aの第一貫通孔3bの外周位置には、フィルム吸着孔3c(図2(a)参照)が周方向に複数設けられている。外枠治具3は枚葉フィルム2dに載置されると、第一貫通孔3bの下方を覆うように枚葉フィルム2dをフィルム吸着孔3cより吸着保持する(図1(b)参照)。外枠治具3は例えばアルミニウム製やステンレス製の矩形枠体が用いられ、表面に顆粒樹脂Rが付着し難い被膜(例えばフッ素樹脂(PTFE:ポリテトラフロオロエチレン)被膜等)が形成されていてもよい。外枠治具3は、例えば複数用いられ、封止金型2より再度フィルム供給部Cへ巡回搬送されて再利用される。
【0031】
また、外枠治具3の第一貫通孔3bの開口から内枠治具4が内周面に例えば同心状に重ねて装着される(図1(b)参照)。図4において、外枠治具3は、矩形枠体であり、枠体3aには封止金型2の下型キャビティ凹部2cの形態に合わせて一対の第一貫通孔3b(矩形孔)が形成されている。一対の第一貫通孔3bの内周縁部には、その下側が上側よりも大きくなる段差部3dが設けられている。また、第一貫通孔3bの内周縁部では、複数個所(例えば4か所)に段差部3dの外形の位置よりも外側に向けて凹んだ形状となる凹部3eが外周側に向けて彫り込まれるように形成されている。外枠治具3は、専ら後述する搬送機構7(図2(a)参照)により搬送される。
【0032】
また、内枠治具4は、例えば矩形状の枠体4aに第二貫通孔4bが設けられている(図1(c)参照)。図4において、内枠治具4は、外枠治具3に設けられた一対の第一貫通孔3bの内周面に枠体4aが装着され、ここでは2個一対で用いられる。内枠治具4の枠体4aの外周縁部には、フランジ部4cが突設されている。第二貫通孔4bは、下型キャビティ凹部2cの形状よりも小さい矩形状に形成される。一対の内枠治具4は、枠体4aが第一貫通孔3bに各々嵌め込まれ、段差部3dにフランジ部4cを重ね合わせて組み付けられる。これにより、フランジ部4cの外形と段差部3dの内形とが嵌め合わされることで、内枠治具4が外枠治具3に位置合わせされて組み付けられる。内枠治具4は、専ら図1(c)に示す枠体ピックアンドプレース(第一移載機構)9により搬送(移載)される。具体的には、段差部3dにフランジ部4cが重ねられた状態で、外枠治具3の凹部3eと内枠治具4との外周の間に構成される複数の隙間からそれぞれ枠体ピックアンドプレース9のフック(図1(c)参照)を差し込んで、内枠治具4のフランジ部4cをこのフックで保持することで搬送することができる。なお、内枠治具4の搬送方法は、この方法に限らず、吸着や他の構成を用いて搬送(移載)してもよい。
【0033】
このように外枠治具3の第一貫通孔3bに枠体4aが各々位置合わせして嵌め込まれて顆粒樹脂が供給される。これにより、後述する顆粒樹脂を散布するエリアは第一貫通孔3bの内周面より内側のエリアとなり、内枠治具4の枠体4aの第二貫通孔4bの形状や配置を変更することで顆粒樹脂Rを散布するエリアの設定を容易に行うことができる。例えば、貫通孔4bを外枠治具3の第一貫通孔3bと同心状とせず、中心がずれた位置となるようにすることもできる。また、貫通孔4bは上述したように1つでもよいし、2つや3つに分けて複数としてもよい。このような場合にも貫通孔4bの形状を異ならせた内枠治具4を用いることで顆粒樹脂Rを散布するエリアを任意に設定することができる。内枠治具4も外枠治具3と同様にアルミニウム製やステンレス製の矩形枠体が用いられ、表面に顆粒樹脂が付着し難い被膜(例えばフッ素樹脂(PTFE:ポリテトラフロオロエチレン)被膜等)が形成されていてもよい。
【0034】
[樹脂供給部D]
樹脂供給部Dは、樹脂ディスペンサ8を備えており、顆粒樹脂Rを計量しながら一回分の樹脂封止に必要な樹脂量を供給ノズル8a(図1(f)参照)を通じて枚葉フィルム2dに供給する。樹脂供給部Dには、樹脂供給テーブル5が設けられている。樹脂供給テーブル5には、内枠治具4が装着された外枠治具3が載置される。内枠治具4の第二貫通孔4bより一回分の樹脂封止に必要な顆粒樹脂Rが枚葉フィルム2d上に供給される。なお、ここでいう顆粒樹脂Rとは、一粒が1mmから数mm程度のような粒状の樹脂を想定しているが、それよりも粒が小さい粉状樹脂であってもよい。
【0035】
また、樹脂供給テーブル5には加熱部(ヒータ5a)が設けられている。本実施例では、樹脂供給テーブル5にヒータ5aが内蔵されている。ヒータ5aは、外枠治具3の下方から枚葉フィルム2dを介してエポキシ系の顆粒樹脂Rを成形温度(例えば170℃程度)より低い所定温度(例えば60℃から80℃程度:第一温度)に加熱する。具体的には、枚葉フィルム2d、放熱板6を介してテーブル下方から顆粒樹脂Rを加熱して表面を軟化させる。これにより、供給ノズル8a(図1(f)参照)から顆粒樹脂Rを順次枚葉フィルム2dに落下させても樹脂粒が跳ねて拡散してしまうのを防止することができる。また、放熱板6上において顆粒樹脂Rが加熱により軟化していることで樹脂粒同士を密着させて内枠治具4の第二貫通孔4b内で顆粒樹脂Rを保形することができる。また、樹脂供給テーブル5がヒータ5aを内蔵することで、別途の加熱工程を不要とすることができ、生産性を高めることもできる。また、放熱板6を予熱することで封止金型2での加熱を短縮でき、生産性を向上することもできる。また、加熱部を別途設ける装置構成に比べて設置面積を縮小でき装置構成を簡素化することができる。尚、加熱部(ヒータ5a)はオプションであり、省略することも可能である。
【0036】
上記実施形態は、樹脂供給テーブル5に加熱用のヒータ5a(例えば、赤外線ヒータ、シーズヒータ、カートリッジヒータ等)を内蔵しているが、樹脂供給テーブル5の上部或いは周囲に加熱用のヒータを設けて、樹脂供給テーブル5がX-Y方向に移動する際に顆粒樹脂Rを加熱するようにしてもよい。
【0037】
本実施例では、樹脂ディスペンサ8の供給ノズル8aは固定で、枚葉フィルム2dを吸着保持した外枠治具3を樹脂供給テーブル5に載置したまま、当該樹脂供給テーブル5をX-Y方向に走査しながら顆粒樹脂Rを供給するようになっている。樹脂供給テーブル5をX-Y方向に走査しながら内枠治具4の内側に顆粒樹脂Rが供給される。内枠治具4は、枚葉フィルム2d上に顆粒樹脂Rが供給された際に当該顆粒樹脂Rを堰き止める顆粒樹脂Rの供給領域の外形を規定している。
このように樹脂供給部Dに配置された樹脂供給テーブル5をX-Y方向に走査しながら顆粒樹脂Rを供給すると装置構成を小型にすることができる。また、顆粒樹脂Rの成形温度より十分に低い所定温度で加熱しているため、顆粒樹脂Rの表面を軟化させているものの、顆粒樹脂Rが溶融してしまうようなことはなく、一筆書き状に顆粒樹脂Rを供給しても樹脂供給テーブル5上で顆粒樹脂Rの加熱に伴う熱履歴の相違が成形品質に与えることはないので、顆粒樹脂Rの供給と加熱を並行することで生産性を高めることができる。尚、樹脂供給テーブル5を固定で、樹脂ディスペンサ8の供給ノズル8aをX-Y方向に走査するようにしてもよい。
【0038】
[放熱板供給部E]
フィルム供給部Cの近傍には、放熱板供給部(板状部材供給部)Eが設けられている。放熱板は図示しないマガジンに収納されており、マガジンより送り出された放熱板6を放熱板ピックアンドプレース機構(第二移載機構)10によりフィルム供給部Cにおいて内枠治具4が取り外された外枠治具3の第一貫通孔3bより枚葉フィルム2d上に供給される。放熱板ピックアンドプレース機構10には、放熱板6の外形を案内するガイドピンと、放熱板6の下面を支持するL字状のハンドが外枠治具3の第一貫通孔3b内に配置されるように複数設けられている。これにより、放熱板ピックアンドプレース機構10は、外枠治具3の第一貫通孔3b内において、L字状のハンドで放熱板6を保持した状態で、放熱板6を枚葉フィルム2dの近傍まで搬入する。そのうえで、ハンドを放熱板6の下から外側に退避させて、ガイドピンで案内することで放熱板6を枚葉フィルム2dの所定の位置にセットする。なお、外枠治具3に凹部3eが設けられていることで、これらのガイドピンとL字状のハンドが、凹部3e内で動作することができる構成となっている。放熱板6は枚葉フィルム2dに積層したまま樹脂供給部Dに搬送される。尚、放熱板供給部Eはオプションであり、省略することも可能である。尚、枠体ピックアンドプレース(第一移載機構)9と放熱板ピックアンドプレース機構(第二移載機構)10を一体化してもよい。即ち、枠体ピックアンドプレース9により、放熱板6を放熱板供給部(板状部材供給部)Eより供給するようにしてもよい。
【0039】
[クリーナー部F]
クリーナー部Fは、再度利用できるように内枠治具4をクリーニングする。内枠治具4は、フィルム供給部C、樹脂供給部D及びクリーナー部Fを巡回搬送されて再利用される。内枠治具4は枠体ピックアンドプレース9により、外枠治具3に対して着脱され、使用後はクリーナー部Fへ移送される。クリーナー部Fには、駆動源により回転駆動されるクリーニングブラシやエアーブロー、集塵機機構等が設けられており、内枠治具4又は外枠治具3に付着した樹脂粉塵等を除去するようになっている。外枠治具3は、封止金型2より再度フィルム供給部Cへ巡回搬送されるが、クリーナー部Fを経てクリーニングしてからフィルム供給部Cへ搬送されてもよい。外枠治具3は、図2(a)に示す搬送機構7により把持され各工程間を周回して搬送される。搬送機構7は、外枠治具3の枚葉フィルム2dが吸着保持された枠体3aの反対側開口端部を吸着保持して搬送する。
【0040】
このように、複数の外枠治具3を使用すれば、顆粒樹脂Rの封止金型2への供給と顆粒樹脂Rの内枠治具4内への供給を並行して行うことができ、作業効率を高めることができる。また、内枠治具4を外枠治具3に使用して顆粒樹脂Rを供給し、内枠治具4を外枠治具3から取り外して封止金型2へ顆粒樹脂Rを供給するので、外枠治具3に樹脂汚れが発生することがなく、クリーナー部Fで簡易にクリーニングして再利用することができる。顆粒樹脂Rを成形温度より低い所定温度に加熱して顆粒樹脂Rを軟化させて保形するので、内枠治具4の樹脂汚れは少なく、クリーナー部Fでクリーニングも容易に行える。
【0041】
プレス部Aとクリーナー部Fとの間には、フィルム廃棄ボックスGを備えている。フィルム廃棄ボックスGは、使用済の枚葉フィルム2dを成形品より取り外して廃棄するものである。例えば、樹脂封止成形後に下型2bに残された使用済の枚葉フィルム2dを搬送機構7に設けた使用済の枚葉フィルム2dを保持する機構(図示せず)により搬送しフィルム廃棄ボックスGに投下することにより廃棄をすることができる。
【0042】
次に、樹脂封止工程の一例について、図1及び図2を参照して説明する。以下の説明は、ワークWと共に放熱板6を樹脂封止する場合を例示するものとする。図1(a)において、フィルム供給部Cにおいて、一回のモールドに使用する枚葉フィルム2dを用意する。長尺フィルムが切断されて得られた枚葉フィルム2dは図示しない支持台(テーブル)に吸着保持されている。図1(b)において、枚葉フィルム2d上に搬送機構7を用いて外枠治具3を載置し、枠体ピックアンドプレース9を用いて内枠治具4を載置する。内枠治具4は第一貫通孔3bから枠体3aの内周面に重ねて装着される。外枠治具3はフィルム吸着孔3cより枚葉フィルム2dを吸着保持して第一貫通孔3bの下方側を覆った状態とする。尚、外枠治具3と内枠治具4は予めセットされて搬送機構7により枚葉フィルム2d上に供給するようにしてもよい。
【0043】
図1(c)に示すように、枠体ピックアンドプレース9が外枠治具3及び内枠治具4を枚葉フィルム2d上に置いて退避する際に、内枠治具4のみを保持して持ち上げて外枠治具3から退避させる。この状態で、図1(d)に示すように、放熱板供給部Eから放熱板6を放熱板ピックアンドプレース機構10により外枠治具3の第一貫通孔3bより枚葉フィルム2d上にセットする。L字状のハンドで放熱板6を保持した状態で、放熱板6を枚葉フィルム2dの近傍まで搬入し、ハンドを放熱板6の下から外側に退避させて、ガイドピンで案内することで放熱板6を枚葉フィルム2dの所定の位置にセットする。放熱板6がセットされると、図1(e)に示すように、枠体ピックアンドプレース9により持ち上げられていた内枠治具4を外枠治具3の内周面に重ねて装着する。このとき、内枠治具4は、放熱板6に当接していても当接していなくてもいずれでもよいが、この後に顆粒樹脂Rが内枠治具4の第二貫通孔4b内に供給されるため、内枠治具4と放熱板6との隙間に顆粒樹脂Rが入り込んでしまうことのないよう十分にこの隙間を小さくすることが好ましい。放熱板6がセットされると、外枠治具3は、搬送機構7により内枠治具4とともに樹脂供給部Dに搬送され、樹脂供給テーブル5上に載置される。
【0044】
次に、図1(f)示すように樹脂ディスペンサ8により顆粒樹脂Rを計量しながら供給ノズル8aから樹脂供給テーブル5上の外枠治具3内に、1回分の樹脂封止に必要な顆粒樹脂Rを供給する。具体的には、樹脂供給テーブル5をX-Y駆動機構によりX-Y方向に移動させながら、内枠治具4の第二貫通孔4b内であって枚葉フィルム2d上に例えば一筆書き状に供給ノズル8aから顆粒樹脂Rを供給する。
【0045】
このとき、図1(g)に示すように、樹脂供給テーブル5は、内蔵する加熱部(ヒータ)により成形温度(例えば170℃程度:第二温度)より低い所定温度(例えば60℃から80℃程度:第一温度)に加熱されており、枚葉フィルム2d、放熱板6を介して顆粒樹脂Rを加熱して軟化させる。このとき、供給ノズル8aから顆粒樹脂Rを順次枚葉フィルム2dに落下させても粒子が跳ねて拡散してしまうのを防止し、内枠治具4の第二貫通孔4b内で顆粒樹脂Rを保形することができる。よって、内枠治具4を外して外枠治具3を搬送機構7で封止金型2に搬送する際に樹脂粉が舞うおそれはなく、装置内の汚染の発生を防止できる。また、ここでの顆粒樹脂Rの加熱による軟化は、顆粒樹脂Rを供給が終わった後にも行うこともできる。また、樹脂供給テーブル5は、内蔵する加熱部により枚葉フィルム2dを介して放熱板6を加熱することにより、封止金型2における加熱時間を短縮することもできる。
【0046】
次いで、図1(h)に示すように、枠体ピックアンドプレース9により内枠治具4を外枠治具3の内周面から持ち上げて取り外す。このとき顆粒樹脂Rは加熱により軟化して微粉や樹脂粒同士が密着した状態となることで、内枠治具4に顆粒樹脂Rへの貼り付きを防止しながら取り外すことができる。この結果、外枠治具3の内周面より例えば1mm~5mm程度内側領域に軟化した顆粒樹脂Rを表面が固まった状態で放熱板6上に供給することができる。尚、枠体ピックアンドプレース9は、内枠治具4を保持したままクリーナー部Fに搬送し、内枠治具4はクリーニングされて外枠治具3と共に再度フィルム供給部Cに搬送されて再利用される。
【0047】
次に、図2(a)に示すように、搬送機構7は内枠治具4が除去された外枠治具3を保持して樹脂供給テーブル5から型開きした封止金型2へ搬送する。ここで、搬送機構7は、図示しないフック等により外枠治具3を保持するとともに、図示しない真空ポンプ等により枚葉フィルム2dを吸着保持して、顆粒樹脂Rを搬送する。このとき、顆粒樹脂Rは加熱により軟化して保形性を維持しているので、外枠治具3の内壁面に移動して付着することはなく搬送途中に樹脂粉が舞うおそれもなく、外枠治具3の樹脂汚れの発生を防止することができる。
【0048】
次いで図2(b)に示すように、搬送機構7は顆粒樹脂Rと下型キャビティ凹部2cを位置合わせして枚葉フィルム2dを下型2bへ受け渡して吸着保持させる。下型2bの下型キャビティ凹部2cの周縁部であるクランプ面には図示しないフィルム吸着孔が設けられている。図2(c)に示すように。外枠治具3による枚葉フィルム2dの吸着を解除し、下型2bによる枚葉フィルム2dの吸着を開始することで、放熱板6及び顆粒樹脂Rは枚葉フィルム2dと共に下型キャビティ凹部2c内に収容され、枚葉フィルム2dが下型2bに吸着保持される。放熱板6及び顆粒樹脂Rは、枚葉フィルム2dともに下型キャビティ凹部2c内に収容される。
【0049】
図2(d)に示すように、図示しないワークローダにより薄板状のキャリアに半導体チップなどの電子部品が搭載されたワークWが型開きした上型クランプ面2a1に電子部品搭載面を下にしてキャリアを吸着保持させる。次いで、封止金型2を型締めする。図2(e)に示すように、上型2aと下型2bとでワークW及び枚葉フィルム2dをクランプして顆粒樹脂Rを成形温度(第二温度)で加熱加圧して硬化させる。
【0050】
放熱板6及び顆粒樹脂Rを載せた枚葉フィルム2dを下型2bに受け渡した外枠治具3は、搬送機構7に把持されたままクリーナー部F(図3参照)に搬送されてクリーニングされ、内枠治具4と共に再度フィルム供給部Cに搬送されて再利用される。
【0051】
上記樹脂封止方法を使用すれば、顆粒樹脂Rの枚葉フィルム2dに対する散布エリアを任意に設定でき、搬送途中に樹脂粉が舞うおそれがなくハンドリングし易く、しかも外枠治具3に樹脂汚れが発生することがなくなる。
尚、フィルム供給部Cにおいて、放熱板6を供給する構成は、省略することも可能である。
【0052】
上述した実施例では、外枠治具3及び内枠治具4は、矩形状の枠体であったが、これに限定されるものではなく、ワークWが円形等であれば円形等であってもよい。また、外枠治具3の第一貫通孔3bは2か所でなく例えば1か所であってもよく、内枠治具4も2個一対で用いられる必要はなく例えば1個ずつ用いられてもよい。
【0053】
また、封止金型2は下型2bに下型キャビティ凹部2cを有する圧縮成形装置について説明したが、上型2aに上型キャビティ凹部を設けた圧縮成形装置であってもよい。この場合には、ワーク供給部Bより樹脂供給部DにワークWが供給され、搬送機構7がワークローダ及び樹脂ローダを兼用する。ワークW及び外枠治具3を樹脂供給部Dに搬送し、内枠治具4の第二貫通孔4b内のワークW上に樹脂ディスペンサ8から一回分の樹脂封止に必要な顆粒樹脂Rが供給される。このとき、顆粒樹脂Rが第一温度で加熱されて軟化した状態で保形される。搬送機構7は内枠治具4が取り外された外枠治具3をワークW共に封止金型2へ搬送し、下型2bに受け渡す。ワークWを上型2aと下型2bでクランプして成形温度まで加熱加圧して圧縮成形される。
【0054】
以上説明したように、外枠治具3に内枠治具4が装着された第二貫通孔4bより一回分の樹脂封止に必要な顆粒樹脂Rを枚葉フィルム2d上に供給しながら、成形温度より低い所定温度に加熱して顆粒樹脂Rを軟化させるので、顆粒樹脂Rが落下しても跳ねて拡散してしまうのを防止することができ、内枠治具4の第二貫通孔4b内で顆粒樹脂Rを保形することができる。よって、内枠治具4を外した外枠治具3を搬送機構7で封止金型2に搬送する際に樹脂粉が舞うおそれはなく、装置内の汚染の発生を防止できる。
【0055】
また、内枠治具4が除去された外枠治具3を搬送機構7が保持して樹脂供給テーブル5から封止金型2へ搬送する際に、顆粒樹脂Rが外枠治具3の内周面に移動して付着することはなく、外枠治具3の樹脂汚れの発生を防止することができる。
更には、第二貫通孔4bのレイアウトが異なる内枠治具4を選択することで、顆粒樹脂散布エリアを任意に設定することができ、1つの外枠治具3を用いて成形エリアの大きさを容易に変更することができるため、多種成形可能な製造設備を安価に供給することができる。
【0056】
また、更には顆粒樹脂Rの供給に先立って放熱板6を枚葉フィルム2d上にセットする場合、上述したL字状のハンドとガイドピンを用いる方法に替えて、外枠治具3をガイドとして枚葉フィルム2d上に位置決めして供給することもできる。
また、樹脂供給テーブル5に内蔵された加熱部(ヒータ)で加熱しながら顆粒樹脂Rを供給する構成について説明したが、顆粒樹脂Rを樹脂供給時に加熱しない構成についても採用することができる。例えば、例えば成形厚みが非常に薄いようなときには、顆粒樹脂Rが積み重なるように供給する必要がない状態、すなわち、短冊フィルム2d上で顆粒樹脂Rをまばらに供給するような状態とする場合もある。このような場合には、顆粒樹脂Rを加熱することなく内枠治具4を取り外しても問題なく、外枠治具3で顆粒樹脂Rと短冊フィルム2dを搬送することもできる。
【0057】
また、放熱板供給部Eに替えて、放熱板ではなくシールド板のような他の板状部材を供給する板状部材供給部を備えていてもよい。具体的には、この板状部材供給部は、半導体パッケージにおいて外部との電磁波の影響を軽減するシールド板や、回路基板やアンテナの設けられたアンテナ板を供給することができる。これらの機能性を有する板状部材をワークWと組み合わせてモールド樹脂を挟み込むような構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0058】
A プレス部 B ワーク供給部 C フィルム供給部 D 樹脂供給部 E 放熱板供給部 F クリーナー部 G フィルム廃棄ボックス W ワーク 1 圧縮成形装置 2 封止金型 2a 上型 2a1 上型クランプ面 2b 下型 2c 下型キャビティ凹部 2d 枚葉フィルム 3 外枠治具 3a,4a 枠体 3b 第一貫通孔 3c フィルム吸着孔 3d 段差部 3e 位置決め凹部 4 内枠治具 4b 第二貫通孔 4c フランジ部 5 樹脂供給テーブル 5a ヒータ 6 放熱板 7 搬送機構 8 樹脂ディスペンサ 8a 供給ノズル 9 枠体ピックアンドプレース 10 放熱板ピックアンドプレース
図1
図2
図3
図4