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特許7428406顕微鏡検査において大面積の撮像を容易にするためのカメラと検体の整列
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】顕微鏡検査において大面積の撮像を容易にするためのカメラと検体の整列
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/26 20060101AFI20240130BHJP
   G02B 21/36 20060101ALI20240130BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G02B21/26
G02B21/36
G01B11/02 H
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022020249
(22)【出願日】2022-02-14
(62)【分割の表示】P 2019543248の分割
【原出願日】2017-05-16
(65)【公開番号】P2022062236
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】62/457,470
(32)【優先日】2017-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511289471
【氏名又は名称】ナノトロニクス イメージング インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】NANOTRONICS IMAGING,INC.
【住所又は居所原語表記】2251 FRONT STREET,SUITE 110,P.O.BOX 306,CUYAHOGA FALLS,OHIO 44223,U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】プットマン,マシュー シー
(72)【発明者】
【氏名】プットマン,ジョン ビー
(72)【発明者】
【氏名】スコット,ブランドン
(72)【発明者】
【氏名】ファシュバウ,ディラン
【審査官】堀井 康司
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-145470(JP,A)
【文献】特開2004-085833(JP,A)
【文献】特許第3620884(JP,B2)
【文献】特開平05-051001(JP,A)
【文献】特開2016-110038(JP,A)
【文献】特開平10-103924(JP,A)
【文献】特開2006-349762(JP,A)
【文献】特開2013-083743(JP,A)
【文献】特開2016-110042(JP,A)
【文献】特開2007-114547(JP,A)
【文献】特開2012-155009(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0099852(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00-21/00
G02B 21/06-21/36
G01B 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検体を撮像する顕微鏡検査方法であって、
x方向およびy方向に移動可能であるXY移動ステージ上の検体が、前記XY移動ステージの移動により、画素行および画素列を有する画像センサの視野内に入った状態で、
前記検体上の、前記検体における目的のx’方向に走っている検出可能形状を有する軸規定特徴を、1以上のコンピュータビジョン技術を用いて特定すること、
前記コンピュータビジョン技術が、画像認識、画像処理またはパターン認識を用いるものであり、
前記画像センサをその中心軸周りに回転させて、前記検出可能形状に基づいて、前記画像センサの画素行を前記x’方向と実質的に平行に方位付けすること、
前記XY移動ステージを前記x方向に移動させることによって、前記目的のx’方向に前記検体をスキャンすること、
を含み、
前記目的のx’方向は、前記XY移動ステージの平面内にあり、かつ、前記XY移動ステージの前記x方向から角度的にオフセットしている、
顕微鏡検査方法。
【請求項2】
前記画像センサを回転させる前に、前記画素行を前記XY移動ステージの前記x方向に実質的に平行となるように整列させることをさらに含む、請求項1に記載の顕微鏡検査方法。
【請求項3】
前記画素行を前記検出可能形状に実質的に平行に配列した後、その位置から前記画像センサの回転度を測定することにより、オフセットの角度を決定することをさらに含む、請求項1に記載の顕微鏡検査方法。
【請求項4】
検体を撮像する顕微鏡システムであって、
顕微鏡と;
回転する画素行および画素列を有し、その中心軸周りに回転可能であり、画像データを記録するよう構成された画像センサと;
x方向およびy方向に移動可能なXY移動ステージと;
プロセッサであり、
検体上の、目的のx’方向に走っている検出可能形状を有する軸規定特徴を、1以上のコンピュータビジョン技術を用いて特定すること、
前記コンピュータビジョン技術が、画像認識、画像処理またはパターン認識を用いるものであり、
前記画像センサをその中心軸周りに回転させて、前記検出可能形状に基づいて、前記画像センサの画素行を前記目的のx’方向と実質的に平行に方位付けすること、
前記XY移動ステージを前記x方向に移動させることによって、前記目的のx’方向に前記検体をスキャンすること、
前記目的のx’方向は、前記XY移動ステージの平面内にあり、かつ、前記XY移動ステージの前記x方向から角度的にオフセットされている、
を実行するプロセッサと;
を含む顕微鏡システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記画像センサを回転させる前に、前記画素行を前記XY移動ステージの前記x方向に実質的に平行に整列させるようにさらに構成された、請求項4に記載の顕微鏡システム。
【請求項6】
前記画素行を前記目的のx’方向と実質的に平行に方位付けする前記プロセッサは、前記画素行を前記目的のx’方向と実質的に平行となるように方位付けする前記1以上のコンピュータビジョン技術を使用することを含む、請求項4に記載の顕微鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2017年2月10日に出願された米国仮特許出願第62/457,470号の利益を主張する。
【0002】
本発明は、一般に、顕微鏡検査撮像技術に関する。詳細には、本発明は、検体全体を所望の方向に沿って正確にスキャンできるように、カメラ/画像センサを検体と整列させる装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
顕微鏡検査において、撮像される検体において興味のあるエリアは、顕微鏡を用いて単一画像を撮像することによって表示し得るエリアよりも大きい場合も多い。したがって、所望エリア全体を撮像するためのスキャン技術が用いられる。自動化スキャンにおいて、検体は、顕微鏡が所望のエリア全体をスキャンすることができるように、XY移動ステージによって顕微鏡の対物レンズ下に移動され、複数の画像が収集され、そしてまとめられまたはつなぎ合わせられて、単一のより大きな画像を形成する。このつなぎ合わせは、標準的なソフトウェア技術を用いて、または、第1の画像が撮像されると、ステージが第1の画像の幅と完全に等しい距離だけ移動し(高さ方向には移動せず)、第2の画像が撮像されて、共通の境界において結合されるといった非常に正確なステージ移動フィードバックを用いて、画像が具体的な位置で撮像されることを確保することによって、達成することができる。十分に正確であれば、第1の画像の左縁は、第2の画像の右縁に完全に一致しぴったりと合う。
【0004】
カメラの画素を検体に対して具体的な方位に整列させ、そしてその検体を具体的な所望方向で、かつ所望の方位を保持するようにスキャンすることは有利であることが多い。例えば、シリコンウェハ上のコンポーネント(例えば、マイクロ電子デバイスまたはフォトリソグラフィを介すなどしたパターン化されたフィルム)が、しばしば行方向(x方向)または列方向(y方向)に方位付けられ、カメラの画素行をコンポーネントの行に平行に整列させ、または、カメラの画素列をコンポーネントの列に平行に整列させて、その後、それらの間の平行関係を保持しながら所望の行または列に沿って正確なスキャンを行うことは有用である。
【0005】
当技術分野の現況では、カメラの画素方位は、目視観察によって、ステージのXY移動に対して手動で整列されることが多く、それは、通常関わるサイズスケールを鑑みると、多くの撮像のニーズに対して適切な精度レベルを提供するものではない。画素行をステージのx方向とかつ画素列をステージのy方向と正確に整列させる可能性は非常に低い。この起こり得る不正確な整列後、画像センサの画素行を、検体をスキャンする所望のx’方向と整列させ、かつ/または、画素列を、検体をスキャンする所望のy’方向と整列させようとして、検体は、ステージに対して回転される。すなわち、検体の所望のx’スキャン方向を、ステージのx方向移動に平行に位置決めしかつ/または検体の所望のy’スキャン方向を、ステージのy方向移動に平行に位置決めする(すなわち、x’方向およびx方向が同一であることが意図され、y’方向およびy方向が同一であることが意図される)ために、検体は、XY移動ステージに対して回転される。XYステージのx方向とカメラの画素の行が先に視覚的に整列されている(自明に、ステージのy方向と画素の列も同じように)と、所望のx方向または所望のy方向におけるステージの移動は、所望の整列を保持するが、ステージのXY移動に対する画像センサの画素の手動での整列が高度に正確かつ精密である範囲内に限る。
【0006】
パターン化されたシリコンウェハの例に戻ると、所望のx方向は、マイクロ回路の行であってもよく、この行は、XY移動ステージのx方向の移動に平行に、ひいてはカメラの画素の行に平行に整列されている。したがって、マイクロ回路の行は、画素の行とマイクロ回路の行の平行関係を保持しつつ、単にXY移動ステージをx方向に移動させることによってスキャンすることができ、画像センサは、y’方向にシフトされず、したがって正確な記録およびつなぎ合わせが促される。
【0007】
このように、正確な結果は、カメラ画素、ステージのXY移動、そして検体の所望のx’および/またはy’スキャン方向の高度に正確な整列に依存する。このことは、、機械加工における所与の一般公差および単なる視覚的な観察による整列に内在する誤差を考えると、達成が難しい。わずかでも整列がずれた場合、画像センサは、検体が移動ステージによって移動されるにつれて、x’方向および/またはy’方向に許容不能な程度までシフトされ、したがって、画像を分析かつ/または一体につなぎ合わせることができることの容易性を妨げる。加えて、検体は、検体を処理する量を最小として分析されることが望ましいことが多い。したがって、検体の移動に頼らずかつ画像センサと検体の正確な整列を確保する整列およびスキャンの新しい方法が、当技術分野において必要とされる。
【発明の概要】
【0008】
第1の実施形態では、本発明は、検体を検体の所望の(目的の:desired)x’方向に沿って撮像する顕微鏡検査方法を提供する。検体は、XY移動ステージ上に配置され、検体の一部が画像センサの視野内に配置されるようにXY移動ステージによって移動可能なものである。XY移動ステージは、画像センサに対して検体を移動させるようにx方向およびy方向に移動可能であり、画像センサは、画素行および画素列を規定するように配置された多数の画素を有し、検体の所望のx’方向は、XY移動ステージのx方向から、それに対する傾斜およびオフセット角を規定するように角度的にオフセットされるものであり、画像センサが一度に見るのは検体の個別区分のみである。方法は、画素行が検体の所望のx’方向と実質的に平行するように画像センサを回転させるステップと;XY移動ステージのx方向と比較しての所望のx’方向のオフセット角を判定するステップと;当該回転させるステップにおいて回転されたとき画像センサに対する検体における第1の位置を確立するステップであって、当該第1の位置は、検体の少なくとも一部を画像センサの視野内に配置する、確立するステップと;当該判定するステップおよび当該確立するステップの後で、XY移動ステージを用いて検体を所望のx’方向に沿って第2の位置に移動させるステップであって、第2の位置は、検体の少なくとも第2の一部を画像センサの視野内に配置し、第2の位置は、検体のy’方向に実質的にシフトされず、y’方向は、検体のx’方向に直交しており、当該移動させるステップは、当該判定するステップにおいて判定されたオフセット角に基づくものである、移動させるステップとを含む。
【0009】
第2の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、当該オフセット角を判定するステップが、所望のx’方向に沿って整列されひいてはそれを規定している第1の焦点特徴と第2の焦点特徴のx距離およびy距離を測定することを含み、x距離およびy距離は、移動ステージのx方向およびy方向に対して測定される、方法を提供する。
【0010】
第3の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、当該x距離およびy距離を測定するステップが、第1の焦点特徴を画像センサの1つまたは複数のターゲット画素と重なるように配置することと、その後、検体を移動させて、第2の焦点特徴を同一の1つまたは複数のターゲット画素と重なるように配置することとを含み、当該x距離およびy距離を測定するステップは、検体を移動させて、当該第2の焦点特徴を同一の1つまたは複数のターゲット画素と重なるように配置するステップを達成するのに必要な、移動ステージのxおよびy移動の大きさ(ΔX、ΔY)である、方法を提供する。
【0011】
第4の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、該ターゲット画素が、画像センサの中心を包含する、方法を提供する。
【0012】
第5の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、当該画像センサを回転させるステップが、x’方向に走っている、検体上の軸規定特徴を特定することと、コンピュータビジョン(画像認識)を用いて画素行を検体の検出可能方向に実質的に平行に整列させることとを含む、方法を提供する。
【0013】
第6の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、当該画像センサを回転させるステップが、当該x距離およびy距離を測定するステップより前に行われる、方法を提供する。
【0014】
第7の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、当該画像センサを回転させるステップが、第1の焦点特徴と第2の焦点特徴の間の参照線を計算するのに適した画像のモザイクを取得することと、コンピュータビジョンを用いて画像センサの画素行を参照線と整列させることとを含む、方法を提供する。
【0015】
第8の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、当該画像のモザイクを取得するステップが、当該x距離およびy距離を測定するステップを実行しながら実行される、方法を提供する。
【0016】
第9の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、当該画像センサを回転させるステップの前に、画素行をXY移動ステージのx方向に実質的に平行に整列させるステップを含む、方法を提供する。
【0017】
第10の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、当該画像センサを回転させるステップが、検体上の軸規定特徴を特定することとであって、軸規定特徴は、所望のx’方向に走っている検出可能形状を有する、特定することと;コンピュータビジョンを用いて画素行を検出可能形状に実質的に平行に整列させることとを含み、当該オフセット角を判定するステップが、画像センサの、当該画素行をXY移動ステージのx方向に実質的に平行に整列させるステップ後のその位置から、当該画像センサを回転させるステップ後のその位置までの回転度を測定することを含む、方法を提供する。
【0018】
第11の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、当該XY移動ステージが、検体を保持する検体チャックを提供するものであり、検体チャックまたはその上に配置された検体のいずれかが参照マークを含み、当該画素行をXY移動ステージのx方向に実質的に平行に整列させるステップが、参照マークを画像センサの視野内の第1の位置に配置し、画像データを取得して画素行に対して参照マークの位置における第1の画素の行番号を判定することと、検体チャックをXY移動ステージのx方向のみに沿って移動させて、参照マークを画像センサの視野内の第2の位置に配置し、画像データを取得して画素行に対して参照マークの位置における第2の画素の行番号を判定することと、当該配置するステップおよび当該移動させるステップの後で、参照マークを、当該第1の画素の行番号と当該第2の画素の行番号の間にある第3の画素の行番号を有する第3の位置に配置するように、画像センサを回転させることとを含む、方法を提供する。
【0019】
第12の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、当該参照マークを第3の位置に配置するように画像センサを回転させるステップ後、(i)当該参照マークを第1の位置に配置するステップ、(ii)当該検体チャックをx方向のみに沿って移動させるステップ、および(iii)当該マークを第3の位置に配置するように画像センサを回転させるステップが、画素行がXY移動ステージのx方向と実質的に平行するまで繰り返される、方法を提供する。
【0020】
第13の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、当該判定するステップが、当該画素行をXY移動ステージのx方向と実質的に平行に整列させるステップ後に実行される、方法を提供する。
【0021】
第14の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、当該画像センサを回転させるステップが、検体上の軸規定特徴を特定することであって、軸規定特徴は所望のx’方向に走っている検出可能形状を有する、特定することと;コンピュータビジョンを用いて、画素行を検出可能形状に実質的に平行に整列させることとを含み、当該オフセット角を判定するステップが、画像センサの、当該画素行をXY移動ステージのx方向に実質的に平行に整列させるステップ後のその位置から当該画像センサを回転させるステップ後のその位置までの回転度を測定することを含む、方法を提供する。
【0022】
第15の実施形態では、本発明は、上記の実施形態のいずれかのような顕微鏡検査方法であって、当該画像センサの回転度を測定するステップが、画像センサを回転させる機器から出力された信号を取得することを含む、方法を提供する。
【0023】
第16の実施形態では、本発明は、
顕微鏡と;
画素行および画素列を含む、画像データを記録する画像センサと;
XY移動ステージと;
当該XY移動ステージ上のかつ当該画像センサによって見られる検体であって、XY移動ステージは、画像センサに対して検体を移動させるようにx方向およびy方向に移動可能であり、画像センサは、画素行および画素列を規定するように配置された多数の画素を有するものであり、検体は、XY移動ステージのx方向から、それに対するオフセット角を規定するように角度的にオフセットされているx’方向に沿う特徴を提示し、検体は、第1の焦点特徴および第2の焦点特徴をさらに含む、検体と;
画素行が検体のx’方向と平行するように、画像センサを検体に対して回転させ、XY移動ステージを移動させ、XY移動ステージのx方向と比較してのx’方向のオフセット角を判定し、かつ、画像行がx’方向と平行するときの画像センサに対する検体における第1の位置を確立することであって、第1の位置は、検体の少なくとも一部を画像センサの視野内に配置する、確立すること;およびXY移動ステージを用いて検体を、所望のx’方向に沿って第2の位置に移動させることによって、検体全体を所望のx’方向にスキャンするように機能するプロセッサであって、第2の位置は、検体の少なくとも第2の一部を画像センサの視野内に配置するものであり、第2の位置は、検体のy’方向に実質的にシフトされず、y’方向は検体のx’方向に直交するものであり、移動は、プロセッサによって判定されたオフセット角に基づくものである、プロセッサとを備える顕微鏡システムを提供する。
【0024】
第17の実施形態では、本発明は、画像センサの画素行をXY移動ステージのx方向と整列させる方法であって、当該XY移動ステージは、検体を保持する検体チャックを提供し、検体チャックは、XY移動ステージによってx方向およびy方向に移動されるものであり、検体チャック上にまたは検体チャック上に配置された検体上に参照マークを提供するステップと;参照マークを画像センサの視野内の第1の位置に配置し、画像データを取得して画像センサの画素行に対して参照マークの位置における第1の画素の行番号を判定するステップと;検体チャックをXY移動ステージのx方向のみに沿って移動させて、参照マークを画像センサの視野内の第2の位置に配置し、画像データを取得して画素行に対して参照マークの位置における第2の画素の行番号を判定するステップと;当該配置するステップおよび当該移動させるステップの後で、参照マークを、当該第1の画素の行番号と当該第2の画素の行番号の間にある第3の画素の行番号を有する第3の位置に配置するように、画像センサを回転させるステップとを含み、当該参照マークを第3の位置に配置するように画像センサを回転させるステップの後で、(i)当該参照マークを第1の位置に配置するステップ;(ii)当該検体チャックをx方向のみに沿って移動させるステップ;および(iii)当該マークを第3の位置に配置するように画像センサを回転させるステップが、画素行がXY移動ステージのx方向と実質的に平行するまで繰り返される、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】この発明による顕微鏡システムの概略側面図である。
図1B図1の概略正面図である。
図2A】単軸の移動ステージの概略側面図である。
図2B図2Aの移動ステージの概略上面図である。
図2C】2つの単軸の移動ステージから形成されるXY移動ステージの概略上面図である。
図3A】この発明の実施形態で有用なカメラローテータの概略上面図である。
図3B図3Aのカメラローテータの概略側面図である。
図4】画像センサの画素の概図である。
図5】XY移動ステージのx方向と比較しての、検体全体をスキャンする所望のx’方向のオフセット角を判定するための、本発明の実施形態の適用に対する一般条件を示す、画像センサ56に対するXY移動ステージ(18a、18b)上の検体Sの概略図である。
図6A図5の一般開始条件からのオフセット角判定における第1のステップの概略図である。
図6B】オフセット角を判定するための第2のステップの概略図である。
図7A】x’方向の傾斜(ΔXおよびΔY)ひいてはそのオフセット角を判定する機能をもってもたらされる、オフセット角を判定するための第3のステップの概略図である。
図7B】画像センサの画素の行がx’方向に実質的に平行するようになされる、回転ステップの概略図である。
図8】検体を画像センサに対して所望のx’方向に沿って所望のd’の距離移動させる方法の概略図である。
図9A】画像センサの画素行をXY移動ステージのx方向と整列させるための、本発明の実施形態の適用に対する一般条件を示す、画像センサ56と、XY移動ステージ(18a、18b)上の検体チャック30上の参照マーク64の概略図である。
図9B図5の一般開始条件からの画素行整列における第1のステップの概略図である。
図9C図5の一般開始条件からの画素行整列における第2のステップの概略図である。
図10A】画像センサを反復的に回転させて、その画素行をXY移動ステージのx方向と整列させる方法の概略図を、図10Bとともに提供する図である。
図10B】画像センサを反復的に回転させて、その画素行をXY移動ステージのx方向と整列させる方法の概略図を、図10Aとともに提供する図である。
図11A】画素行を軸規定特徴と実質的に平行させるように画像センサを回転させる方法の概略図を、図11Bおよび図11Cとともに提供する図である。
図11B】画素行を軸規定特徴と実質的に平行させるように画像センサを回転させる方法の概略図を、図11Aおよび図11Cとともに提供する図である。
図11C】画素行を軸規定特徴と実質的に平行させるように画像センサを回転させる方法の概略図を、図11Aおよび図11Bとともに提供する図である。
図12】この発明による画像のつなぎ合わせの技術の概略図である。
図13】画像(画像データ)のモザイクを利用する回転技術の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
従来技術に対して、本発明は、所望のx’方向をXYステージのx方向と整列させることは求めないが、代わりに、検体全体をスキャンする所望のx’方向が、XY移動ステージの移動のx方向と整列がずれることを許容する。本発明は、所望の整列を達成するように画像センサを回転させ、それによって、移動ステージのXY方向と画像センサの画素行および列の間にオフセットを生成する。本発明はまた、XY移動ステージのx方向に対する所望のx’方向のオフセット角または傾斜を判定する。オフセット角/傾斜が把握されかつ画素行が所望のスキャン方向、すなわちx’方向と整列されている状態で、XY移動ステージを制御して、y’方向における検体に対する画像センサの実質的なシフトなしで、画像センサに対して検体を所望のx’方向に沿う異なる位置に移動させることができる。y’方向は、検体のx’方向に直交している。
【0027】
本発明はまた、画像センサの画素行をXY移動ステージのx方向と正確かつ精密に整列させる方法を提供する。そして、この整列は、XY移動ステージのx方向に対する検体の所望のx’方向のオフセット角/傾斜を判定する方法に通じる。
【0028】
本発明の一般プロセスは、本明細書中において様々な実施形態に開示され、プロセスの一般物理条件が確立されると、プロセスは、コンピュータビジョン、モーションコントロールおよび測定などといった適切に構成された顕微鏡検査システムおよび関連するコンピュータ処理および顕微鏡検査技術を用いて、自動化されて実行することができる。本明細書中で用いられる「コンピュータビジョン」は、画像処理、パターン認識、コンピュータビジョン、または画像分析の他の既知の技術に関するアルゴリズムをカバーするものとして理解されよう。まず、一般の顕微鏡装置の態様が開示され、本発明の方法がその後に開示される。
【0029】
図1Aおよび1Bは、反射光型顕微鏡システム2の実施形態を、本発明の例として示すものであり、発明は、透過光型顕微鏡、倒立顕微鏡、電子顕微鏡などといった他のタイプの顕微鏡に同等に適用可能であることを示す。典型的な顕微鏡システム2の標準部品には、スタンド4、垂直照明器6、カメラ8、レンズチューブ10、ノーズピース12、対物レンズ14、z軸フォーカスアーム16、およびXY移動ステージ18が含まれる。これらのコンポーネントは、当業者によく知られている。カメラローテータ20は、XY移動ステージ18と一体となって機能して、この発明によるスキャンおよび/または撮像の特有な方法を達成する。
【0030】
XY移動ステージは、当技術分野でよく知られている。それらは、中でも、ステッパ、サーボ、またはリニアモータによって駆動され得る。XY移動ステージの構成は、通常、1つの単軸ステージをz軸フォーカスアーム16に固定しかつ第2の単軸ステージを第1のステージに、移動軸を互いと90度として固定するものであるが、実施に際して、XおよびYステージの直交整列においてわずかな誤差は経験される。直交整列は、一般に知られている用語であり、2つのステージがxおよびy軸に沿って正確に移動するために、y軸に対する移動の線がx軸の移動の線に直交していなければならないということを述べる。2つの移動線が直交していない場合、x軸の移動は、y方向において位置誤差を生成する。直交誤差は、y方向において生じる位置誤差に照らして、理論上のx軸方向と経験的なx軸移動の方向の間のオフセット度として表すことができる。それはまた、x方向移動の長さに対するy位置のオフセットとして表すこともできる(例えば、400mmのx方向移動に対して10ミクロンのy位置のシフト)。
【0031】
図2A、2B、および2Cは、XY移動ステージの典型的な構成の例を提供する。図2Aは、駆動モータ23、駆動スクリュー24、ならびにクッションブロック26aおよび26bを有するスタンド26を備える単軸ステージ18aの正面図を表す。クッションブロック26aおよび26bは、駆動モータ23に結合(示さず)によって取り付けられている駆動スクリュー24を支持するベアリングおよびリテイナ(示さず)を含む。図2Bは、単軸ステージ18aの上からの図である。この実施形態では、案内ロッド28aおよび28bは、検体チャック30の移動に安定性および案内を提供するために存在する。検体チャック30は、案内ロッドがそれを通って移動するリニアベアリング(示さず)、および駆動スクリュー24の回転の方向次第で、チャック30を駆動スクリュー24に沿って推進するボールナット32を含む。スタンド26には、z軸フォーカスアームに結合するための取付け穴34aおよび34bが設けられる。第1の単軸ステージ18aおよび第2の単軸ステージ18bは結合されて、当技術分野で一般に知られるようなかつ図2Cに示されるXY移動ステージを生成し得、ステージ18bは、ステージ18aを保持し、ステージ18aは、検体チャック30を保持する。
【0032】
この特定のXY移動ステージは、単なる例として提供され、既存のまたは今後作成されるXY移動ステージの他の構成が本発明において有用であることが見つけられ得ると理解されよう。本明細書中の開示から理解されるように、本発明で用いられる移動ステージは、XYステージの精密な制御を可能にすることならびにXおよびYステージの正確な位置情報を提供することが可能でさえあればよい。例えば、スクリュードライブを利用する移動ステージにおいて、フィードバックは、移動した距離と正比例する信号を提供する回転エンコーダの形をとり得る。他の移動ステージでは、ステージの位置の直接フィードバックを提供するのに、リニアエンコーダを用い得る。
【0033】
図3Aおよび3Bは、図1Aに示すもののようなカメラローテータ20のさらなる詳細を提供する。この構成は単なる例として示されること、および、XYステージに対してカメラの回転をもたらす他の構成が可能であることに留意すべきである。ここで、ローテータハウジング36には、レンズチューブ10に取り付けられかつ係止スクリュー40aおよび40bによって適所に保持され得るように、フランジ38が設けられる。回転式カメラマウント42は、ハウジング36に保持され、ベアリング55内で回転自在である。コネクタ46は、カメラ8をカメラマウント42に取り付ける役割をする。プーリ50と共に駆動モータ48、駆動ベルト52およびカメラローテータのプーリ54は、カメラ8を回転させる手段を提供する。回転エンコーダ、電位差計、ステッパモータコントロール、または他の同様のデバイスを、角回転αが分かるように用いることができる。これらは、回転度に比例する信号出力を(例えばプロセッサ22に)提供し、その信号から高度に正確なオフセット角が判定される。いくつかの実施形態では、回転エンコーダがモータ組立体内に設けられて、カメラの正確な回転度を提供する。
【0034】
顕微鏡の調節可能な全部品は、追加の適切なハードウェアおよび1つまたは複数のプロセッサによって制御され得ることを理解すべきである。プロセッサ22はここで、カメラローテータ20、カメラ8、およびXY移動ステージ18(およびz軸フォーカスアーム16)を制御するとして示され、適切なハードウェアおよびソフトウェアが関与し、プロセッサ22によって一般に示される。複数のプロセッサが用いられ得、図ではプロセッサ22の単純な使用によってそれらが包含されると理解されよう。顕微鏡システム2の他の態様も、そのように制御され得る。ソフトウェアは、XY移動ステージ18のX、YおよびZの移動、ならびにカメラ8の回転、そして画像データを画像センサ56を介して記録するためのカメラのアクティブ化を制御するようにプログラム化されている。フォーカス合わせは、同様に既知の方法によって自動化することができる。当技術分野で知られているように、ステージ移動は、回転またはリニアエンコーダを用いて正確に把握かつ制御され得る。カメラ回転は、回転エンコーダ、電位差計、ステッパモータコントロールなどによって正確に把握され得る。これらの正確な位置決めデバイスは、発明の実施を助けるように入力をソフトウェアに提供するのに用いられる。コンピュータ、プログラマブルコントローラ、またはプロセッサ22などの他のプロセッサは、入力を分析しかつ制御出力をステージおよびローテータに提供するために用いられる。
【0035】
カメラ8は、検体Sの画像(または画像データ)をキャプチャするのに用いられる画像センサ56(CCDまたはCMOSセンサなど)を含み得る。本明細書中で用いる「画像」は、観察者が見ることができる画像の実際の生成を必要とせず、単に、所望の画像を作成するのに用いられ得るデジタルデータの取得を必要とする。かくして、「画像」および「画像データ」は、本明細書中で、顕著な区別なしで用いられる。画像センサは、画素から構成される。典型的なセンサは、0.6~10メガピクセル以上を有し得る。画素のサイズは変わるものであり、通常3~10マイクロメータ(um)であり、典型的なセンサのサイズは、25平方mm未満~800平方mmより大きくあり得る。画像センサ56の表現が、図4に示される。画像センサの視野は顕微鏡の対物レンズ14の倍率の関数であることを理解するのが重要である。10x12mmである画像センサは、100x倍率において0.10x0.12mmである視野を有するだろう。拡大された視野は、調べられる検体よりもかなり小さいことが理解され得る。
【0036】
述べたように、実行されるプロセスは、2つの主要ステップ、すなわち、画像センサを、画像センサの画素行が検体の所望のx’方向(すなわち所望のスキャン方向)と実質的に平行するように回転させるステップと、XY移動ステージのx方向と比較しての所望のx’方向のオフセット角を判定するステップとを含む。本明細書中の異なる実施形態では、これらのステップは別々で異なることもあり、それらは重なることもある。一実施形態によれば、画像センサを回転させて画素行を検体のx’方向と整列させる前に、画像センサの画素行をXY移動ステージのX方向と整列させるプロセスがまず実施されて、画像センサの正確な参照位置を提供する。
【0037】
画素行がx’方向に実質的に平行な状態で、かつ、オフセット角が把握されている状態で、検体全体の有利なスキャンは、画像センサに対する検体における第1の位置を確立することであって、第1の位置は、検体の少なくとも一部を画像センサの視野内に配置する、確立すること、および、XY移動ステージを用いて検体を所望のx’方向に沿って第2の位置に移動させることによって達成することができ、第2の位置は、検体の少なくとも第2の一部を画像センサの視野内に配置し、第2の位置は、検体のy’方向に実質的にシフトされず、y’方向は、検体のx’方向に直交する。移動させるステップにおいて、移動は、当該判定するステップにおいて判定されたオフセット角に基づくものである。
【0038】
いくつかの実施形態では、オフセット角が用いられると述べるのが正確であるが、XY移動ステージのx’方向と比較しての所望のx’方向の傾斜が代わりに用いられ得ることが理解されよう。本明細書中の目的のために、「オフセット角」は、傾斜(m)または角度(度)のいずれかとして表されまたは概念化され得、基線に対する傾斜mの線の角度は、tan-1(m)である。すなわち、傾斜が分かれば、角度を計算することができ、逆もしかりである。
【0039】
発明の第1の実施形態が図5~8を参照して記載される。これらの図には、顕微鏡システム2の関連部分が示され、本実施形態によって対処されている一般スキャン条件を説明するのに役立つ。検体Sは、カメラ8の画像センサ56の近傍に位置する検体チャック30上に配置される。画像センサ56は、その中心軸周りを回転可能な固定位置にあり、そして案内ロッドおよび検体Sによって表されるXY移動ステージ18は、検体Sを画像センサ56の下に配置するように移動可能である。いくつかの実施形態では、カメラ8および画像センサ56は、顕微鏡の一部であり、画像センサ56は、対物レンズ14および他のよく知られている顕微鏡のコンポーネントを通して画像センサ56に到達する画像データを記録するのに用いられ得ることが理解されよう。当業者は、顕微鏡の使用がどのように関与しているかを理解するために、ここに提示されている概略を超えるこれ以上の開示を必要としない。
【0040】
図5~8のこの特定の例では、検体Sを、検体の所望のx’方向に沿ってスキャンすることが望まれる。特に、検体の所望のx’方向は、検体チャック30のxおよびy移動方向(xおよびyの矢印によって表されるような)から角度的にオフセットされ、したがって、所望のx’方向は、ステージ18のxおよびy方向に対する傾斜を規定する。この例では、x’移動の方向は、整列マーク60と整列マーク62の間に描写された線によって示される。開示の目的で、オフセット角は、極めて大きなものとして示され、かつ、そうであり得るが、1度のほんの一部分でさえもオフセット角は、高倍率での画像のスキャンおよび/またはつなぎ合わせに重大な問題を生じさせ得るので、オフセット角が非常に小さい場合に本発明が頻繁に用いられるだろうことも理解すべきである。
【0041】
図4に見られるようにかつ当技術分野で一般に知られるように、画像センサ56は、画素行P(1,1)~P(j,1)および画素列P(1,1)~P(1,i)として概略的に表される画素行および画素列を含む。背景において述べたように、カメラ8およびその画像センサ56は、通常、画素行を移動ステージ18/検体チャック30のx方向に平行に配置させ、ひいては、画素列も移動ステージ18および検体チャック30のy方向に平行に配置させるよう取り付けられる。しかしながら、自動化法を介そうが、より通常には視覚法を介そうが完璧な整列を達成するにおける機械加工の公差および限界によって、画像センサ56の行および列は、通常、移動ステージ18のxおよびy方向と整列がずれる。かくして、この実施形態では、センサの行および列は、スキャンのx’またはy’の所望の方向に平行ではない。
【0042】
従来技術と対照的に、本発明は、カメラ8を、ひいてはカメラ8内に含まれる画像センサ56を、画素行を検体の所望のx’の方向と平行する位置に配置するように、回転させる。いくつかの実施形態では、相対的な回転は、画像センサ、画像センサを保持しているカメラ、あるいはカメラを保持している顕微鏡を回転させることによって、または、システムのコンポーネントの任意の他の適切な操作を通して達成することができる。
【0043】
図5の実施形態では、オフセット角は、検体S上の、本明細書中では整列マークである2つの参照マーク間の傾斜を評価することにより判定される。画素行を所望のx’方向に実質的に平行に配置するための画像センサの回転は、傾斜を評価する前にまたは後に実施することができ、そうした回転のための様々な方法を実施することができる。
【0044】
図5において、検体Sは、内接する2つの整列マーク60および62を有することが見られる。マーク60および62を通る線の方向は、所望のスキャン方向x’を規定する。参考のために、直交中心線が、画像センサ56を通って示され、それらの交点は、画像センサの中心Cとマークする。図6Aは、検体チャック30を、整列マーク60が画像センサ56の中心に位置付けられるような位置に移動させることを例示する。この移動および位置付けは、コンピュータビジョンおよび標準的な移動ステージのモーションコントロールを用いて判定される。XY移動ステージ18の座標が記録され、未来の移動のために起点として設定される。例えば、プロセッサ22は、本明細書中の教示にしたがって、位置および移動データを記録かつ分析し得る。コンピュータビジョンおよびモーションコントロールを用いて(例えば、プロセッサ22を介して)、XYステージ18は、図6Bに示すように、整列マーク62が画像センサ56の中心にくるように再配置される。ステージをx方向およびy方向に移動させる距離は、本明細書中の教示にしたがって、判定され、かつ、未来の処理のために記録またはそれ以外の方法で保持される。図7Aは、この移動を例示し、x方向の変化はΔXとしてy方向の変化はΔXとしてマークされる。
【0045】
ΔXおよびΔYを評価するために整列マーク60、62は画像センサ56の中心C上で焦点を合わせられるが、整列マークを配置しかつΔXおよびΔYを評価するためのターゲット画素(複数可)として任意の画素または画素セットを指定することが可能であることが理解されよう。かくして、整列マーク60を、画像センサ56の1つまたは複数のターゲット画素と重なるように配置し、その後検体を移動させて、整列マーク62を同一の1つまたは複数のターゲット画素と重なるように配置すれば十分であり、その後、xおよびy移動を評価してΔXおよびΔYを取得する。
【0046】
いくつかの実施形態では、整列マークは、画素よりも小さく、かくして、ΔXおよびΔYを評価するために単一画素上を標的とする。他の実施形態では、整列マークは、複数の画素を包含する。いくつかの実施形態では、整列マークは複数の画素を包含するものであり、整列マークの中心が計算され、ターゲット画素(例で用いられる中心Cなど)における位置付けに用いられる。中心は、コンピュータビジョンを介して計算することができる。
【0047】
検体上に意図的に配置された整列マークを用いる代わりに、いくつかの実施形態では、所望のx’方向に延在する超小型回路コンポーネント(いくつかの実施形態において)またはフォトリソグラフィ特徴(他の、非限定的な実施形態において)などの、検体S上のコンポーネント特徴を用いることが可能である。識別可能なコンポーネント特徴は、整列マークと同じように用いられる。
【0048】
ΔXおよびΔYを把握すると、ΔY/ΔXである傾斜(m)がもたらされる。傾斜を用いて、所望の移動方向x’は、XY移動ステージのx方向およびy方向と比較して規定される。傾斜ΔY/ΔXによって規定されかつ整列マーク60、62を通る線は、x方向に延在しかつ整列マーク60を通って延在する線に対して角度αを形成する。図8を参照すると、角度αは、tan-1(m)として計算することができる。角度αを把握すると、任意の起点(例えば、整列マーク60によって包含される点)からのx’方向の任意の移動を計算することができる。例えば、図8において、整列マーク60における起点からx’方向にd’の距離を移動するために、検体チャックは、ΔX=d’(cos(α))、ΔY=d’(sin(α))移動し得る。起点は、移動ステージ18のx方向およびy方向における最大移動によって画定される平面内の任意の位置で設定することができる。y’方向における移動を計算するのに同一の手続きを用い得ることが理解され得る。x’およびy’方向における移動を計算するのに他の数学的技術を用い得ることも理解され得る。
【0049】
y’方向の実質的なシフトなしにx’方向に沿って異なる位置に正確に移動可能であることによって、特に画像センサの画素行がx’方向に実質的に平行であるとき、x’方向における正確なスキャンが可能になり、画像センサによって記録された複数の画像または画像データの正確なつなぎ合わせが容易になる。かくして、本実施形態では、上述のように傾斜/オフセット角を判定する前または後のいずれかで、画像センサは、画素行をx’方向に実質的に平行に方位付けるように回転される。そのようなことを行ういくつかの方法が次に開示される。
【0050】
図面、特に図7Bに表される特定の方法では、センサは、画素行を所望のスキャン方向x’に整列させるように、回転Ra回転される。この実施形態では、回転は、ΔXおよびΔYの判定後に起こるが、他の実施形態では、まず画像センサが整列されそれからΔXおよびΔYが上記の移動を通して判定され得ることが理解されよう。回転技術は、本明細書中以下に開示される。
【0051】
いくつかの実施形態では、図11A、11B、および11Cに一般に表されるように、画像センサを回転させることは、検体S上の軸規定特徴66を特定することを含み、軸規定特徴66は、所望のx’方向に走っている検出可能形状を有する。軸規定特徴66は、所望のスキャン方向x’を規定するように設けられるものなので、そのように称される。コンピュータビジョンを用いて、軸規定特徴66の検出可能形状に基づいて、画素行を検体のx’方向と平行に方位付ける。軸規定特徴66として矩形が示される。
【0052】
別の回転技術が図13に示され、第1の整列マーク60および第2の整列マーク62の両方を包含する、重なり画像(m1、m2、m3、m4)のモザイクを形成することと、コンピュータビジョンを用いて2つの整列マークの間の参照線70(この線はまた所望のx’方向である)を計算し画像センサの画素行を参照線70と整列させることとを含む。図13では、検体は、複数の画像(m1、m2、m3、m4)を撮像するために画像センサ56に対して移動されており、これらの画像(すなわち画像データ)は、整列マーク60と整列マーク62の間の参照線70を規定するようにコンピュータによって処理されることが可能である。この画像データの合成を用いて、コンピュータビジョンを利用して、画像センサの画素行を、コンピュータ(例えばプロセッサ22)によって計算されたような参照線70と整列させる。
【0053】
例えば、画像m1の位置から、整列マーク60の位置を考慮に入れて、検体は、画像センサの視野幅より小さい増分距離でx方向に移動される。ここで、単に図面において概念を描写しやすくするために、距離は、幅の75%である(すなわち、計4画素のうちの3画素移動される)。しかしながら、いくつかの実施形態では、これらの増分(以下に記載するyの増分移動を含む)は、視野(の幅または高さ寸法)の5~50%であり得る。他の実施形態では、増分は、視野の10~30%であり、他の実施形態では、視野の10~20%である。検体は、画像センサ56を整列マーク62の下に整列させるのに適した距離移動されるまで、x方向にそのような増分で移動される。各増分移動において、画像が撮像される(例えば、m1、m2、m3、m4)。次いで、検体は、整列マーク62がセンサの視野内に入るまで、y方向に移動される。各増分において、画像が撮像される(例えば、m5、m6)。標準的な画像のつなぎ合わせの技術を用いて、合成画像が取得され、合成画像には整列マーク60および62が示される。さらに、この画像データの合成を用いて、コンピュータビジョンを利用して画像センサの画素行を参照線70と整列させる。
【0054】
画素行が整列された状態で(それを行うために利用された方法を問わず)、図8に関して述べたように傾斜/オフセット角を利用して、x’方向に沿って正確に移動/スキャンを行うことができる。
【0055】
画素行を所望のx’方向に平行に方位付けることに関して、特に高倍率で機能する可能性(小さい角度オフセットのほうが理解されやすい場合)を考慮すると、完全に平行な関係は、理論上のみであり得ることが理解されよう。本発明は、検体のx’方向と画素行が延在する方向の間のオフセット度が極度に低いまたは存在しないとなるように、画素行を所望のx’方向と整列させることを求める。このことは、XY移動ステージに関して上述された「直交誤差」に関する懸念と同様である。いくつかの実施形態では、画素行の、所望のx’方向とのずれは0.002度より小ければ、本明細書中において十分である。いくつかの実施形態では、画素行は、所望のx’方向と0.0015度より小さく、他の実施形態では、0.001度より小さく、他の実施形態では、0.0005度より小さく、他の実施形態では、0.00025度より小さく、他の実施形態では、0.0002度より小さく、他の実施形態では、0.00015度より小さく、他の実施形態では、0.0001度より小さく、他の実施形態では、0.00005度より小さくずれがある。要するに、整列に関する本明細書中の記述は、絶対的に完全な整列を必要とするのではなく、どちらかと言うと、本発明の提供目的に適した実質的な整列(すなわち、実質的に平行な関係)を必要とする。いくつかの実施形態では、発明は、高倍率、100xより高い程度の倍率において明らかな直交誤差を実質的に低減させる助けをする。特に、本発明は、高い倍率レベルでも、y’方向に顕著なシフトなしで所望のx’方向に沿ってスキャンするのに適する、高度に正確な整列を提供する。
【0056】
発明の第2の実施形態が、図9~11に示され、まず、画素行がx方向に実質的に平行になるように、画像センサ56を移動ステージ18と整列させる方法に関する。かくして、この実施形態の第1のステップは、センサ56が、移動ステージ18の移動と整列されること(すなわち、画素行および列が、x方向移動およびy方向移動に平行であること)を必要とする。図9Aは、検体チャック30が画像センサ56の左の位置にある移動ステージを示す。いくつかの実施形態では、検体チャック30aは、コンピュータビジョンによって見られかつ配置されるように提供されたその上に刻み込まれた参照マーク64を有する。他の実施形態では、この方法において参照マークは検体チャックまたはその上に配置された検体のいずれかに含まれることが想定されるように、検体チャック30a上に配置された検体Sが、その上に参照マークを有するが、方法は、検体チャック30a上の参照マーク64を示す画像に対して具体的に開示される。参照マークが、検体チャック上に配置された検体上に存在する状態でこの方法を実装する場合、チャックと検体の相対的な位置が検体チャックの移動中に変化することは可能とされるべきでない。
【0057】
図9Bで、検体チャック30は、参照マーク64が画像センサ56の視野に入るまで、x方向に移動される。先に記述したように、各画素は、P(j,i)によって指定される固有位置を有する。図9Bにおいて、そのマーク64は、撮像されており、例示の目的で、P(13,4)に位置する。図9Cに見られるように、検体チャック30は、参照マーク64が画像センサ56に対して横方向(x方向)に移動されるが依然画像センサの視野に入るように、XY移動ステージ18によってx方向に移動される。参照マーク64は、ここで、画素P(9,17)の位置にある。示される例は実際の縮尺ではないことに留意すべきである。画像センサは、1000台の画素行および1000台の画素列を有し得る。
【0058】
この第1の横方向移動および撮像の後で、目的は、画像センサ56が検体チャック30の視野全体をスキャンする際、参照マーク64が、それがセンサを通過するときに同一の画素行または行(複数)において撮像されるように、すなわちy方向において相対的な位置の変化が実質的にないように、カメラを回転させることである。図10Aは、画像センサ56ならびに参照マーク64の図9Bの画像(P(13,4)におけるマーク)および図9Cの画像(P(9,17)におけるマーク)における相対的な位置を示す。中心線は、検体チャック30の移動のxおよびy方向(移動ステージ18によって画定されるような)を示す。画像センサ56が図9A~9Cのように方位付けられた場合、画像センサ56および検体チャック30の相対的な移動中に、非常に大きなy方向のシフトが存在し、このシフトは、2つの位置における参照マーク64の行番号を平均化することを含む方法によって低減かつ効率的に除去することができる。この例では、参照マーク64は、図9Bの画像において行13にあり、図9Cの画像において行9にある。平均(すなわち(9+13)÷2=11)を表す線が、図10aおよび10bにおいて行11を横切って示される。検体チャック30が図9Cで示すような第2の位置に依然存在すると仮定して、カメラ8および画像センサ56は、参照マーク64が行11に存在するように、カメラローテータ8によって、回転Rb(図10Aを参照)回転される。図10Bに見られるように、このステップは、画像センサ56の画素行を、検体チャック30のx方向と平行により近くなるように配置する。これらのステップ、すなわち2つの位置において、画像センサにわたってマークを撮像するステップおよびそれからカメラを回転させるステップは、画像センサの画素行と移動ステージのx方向の間の所望の実質的な整列に到達するまで繰り返される。いくつかの実施形態では、画像センサ56の全幅にわたってスキャンされるときに参照マーク64の中心(コンピュータビジョンによって判定されるような)が単一の画素行にとどまるまで、ステップは繰り返される。特に、2つの位置における参照マーク64の行番号を平均化することは、高度に正確な整列に繰り返し達するためのたった1つの方法である。他の実施形態では、Rbによって表される回転は、2つの位置の間での画像センサの移動に際して、参照マーク64を、参照マークに対する2つの行番号の間の行番号に単に配置すれば足りる。
【0059】
いくつかの実施形態では、参照マーク64は、画素よりも小さく、かくして、この整列プロセスを行うために単一画素上を標的とする。他の実施形態では、参照マーク64は、複数の画素を包含する。いくつかの実施形態では、参照マーク64は複数の画素を包含するものであり、参照マーク64の中心が計算され、ターゲット画素(例で用いられる中心Cなど)における位置付けに用いられる。中心は、コンピュータビジョンを介して計算することができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、参照マーク64は、各配置において、視野の縁部に近接して位置付けされるが、依然画像センサの視野内にある。このことは、y方向のシフトをそれによって評価するためのより長いx方向移動が用いられるので、より正確な評価を提供する。例えば、図では、参照マーク64は以下のように位置付けされる。図9Bに示される画像において、マークは、視野の縁部に近接して中心左寄りに位置付けされるが依然視野内にあり、一方、参照マーク64は、その後再位置付けされ、図9Cにおいて、参照マーク64は、視野の縁部に近接して中心右寄りに位置付けされるが依然視野内にある。
【0061】
画像センサ56を検体チャック30のx移動に対して整列させた後で、画像センサ56は回転されて、画像センサ56を、検体全体をスキャンする所望のx’方向と整列させる。この実施形態では、検体S1は、検体S1全体をスキャンする所望のx’および/またはy’方向を規定する明確な軸規定特性を有する、その上に刻み込まれた軸規定特徴66を有する検体を表す。図11Aは、スキャンの前に検体チャック30上に配置された検体S1を示し、線72は、画像センサ56が検体チャック30のxおよびy移動と整列されていることを視覚的に表すために提供される。図11Bに見られるように、検体チャック30は、特徴66がセンサ56の視野内に入るように移動される。図11Cでは、画像センサ56は、画像センサの画素行を特徴66によって規定されたx’方向と整列させるように、αでもある、測定された度数Rc回転される。既に記述したように、画像センサの回転は、角回転αが分かるように、回転エンコーダ、電位差計、ステッパモータコントロールなどによって正確に把握することができる。
【0062】
代替として、画像センサ56を検体チャック30のx移動に対して整列させた後で、整列マークおよびモザイクを用いて、所望のx’方向を特定し画像センサを回転させ得る(図13のように)。
【0063】
特に、参照マーク64はXY移動ステージと関連するので、画像センサの画素行の、XY移動ステージのx方向との整列は、一度行われればよく、整列された位置は、未来の使用のために記録され得る。かくして、異なる検体が、異なる方位および異なる軸規定特徴を有してチャック上に配置され得、画像センサは、画素行がx方向に対して整列された状態で位置付けされ得(上記のプロセスで)、そして、軸規定特徴まで回転されて、新しい検体の所望のx’方向のオフセット角を見つけ得る。
【0064】
画像センサの画素行がXYステージのx方向と整列されている状態に始まり、後続のカメラの角回転Rc(画素行を所望のx’方向に配置するための)は、図8に関して記載されたαと等しく、所望のx’方向における任意の移動d’は、ここで、ΔX=d’(cos(α))、ΔY=d’(sin(α))によって判定され得る。
【0065】
画素行を所望のx’方向と整列させるためにかつXY移動ステージのx方向に対するそのx’方向の傾斜/オフセット角を判定するために本明細書中で利用される方法を問わず、画素がそのように整列され、傾斜/角度が判定されると、検体Sは、第1の画像の左の境界を第2の画像の右の境界に正確につなぎ合わせることができるように移動され得る。「左」および「右」は、x’方向において規定される。例えば、図12において、第1の撮像位置は、p1において画像センサ14の位置決めによって示され、第2の撮像位置は、p2において画像センサ14の位置決めによって示される。やはりy’方向における顕著なシフトはなく、p1における撮像センサ14の左の境界は、p2における画像センサ14の右境界と整列される。画像p1およびp2を領域が重なった状態で、すなわち、p1における画像の左側の画素列がp2における画像の右側の画素列と重なるように撮像することが許容可能であることも理解すべきである。重なっている部分は、知られるように、正確なつなぎ合わせを助け得る。本発明は、しかしながら、画素行を所望のx’方向と整列させることによって、画像の正確な境界-境界のつなぎ合わせを容易にし、そのことは、必要となる画像および計算をより少なくすることによって、全体の撮像プロセスを低減し得る。
【0066】
本明細書中の様々なステップは、顕微鏡システム10によって自動的に行うことができ、好ましくは行うことを理解すべきである。移動可能コンポーネントおよび回転可能コンポーネントの移動は、適切なソフトウェアおよびハードウェアによって対処され、コンピュータビジョンを用いて、画像センサ56の検体に対する方位付けを制御する整列マーク60、62、参照マーク64、および軸規定特徴66などの検出可能な特徴を特定することができる。画像データの焦点合わせおよび撮像もまた自動化することができる。これら全ては、図にプロセッサ22によって表される。かくして、本発明は、検体とXY移動ステージが、整列からずれる(すなわち、検体の所望のx’およびy’方向が、移動ステージのxおよびy方向との整列からずれる)ことを許容し、この整列の欠如を修復するために検体を操作することを必要としない。システムは、自己較正するものであり、画像センサの幅を把握すると、検体を徐々にスキャンし、別々の画像を境界が整列された状態で撮像して、その後一体につなぎ合わせて、検体の完成した所望の画像を形成することができる。
【0067】
本発明の一般概念は、本明細書中の図および明細書によって、当業者に対して適切に開示される。詳細な開示は、それらの一般概念を広範に開示するように提供されているが、当業者が本発明の概念を完全に実装するのに必須ではない。図面が概略的であるとしても同じことが言える。
【0068】
結論付ける前に、xおよびy方向は単に方位に基づくものであるという点で、この開示におけるx方向上での焦点合わせは決して限定的ではないことに留意すべきであり、本発明は、所望のy’方向におけるスキャンに対応するのに、同じ様に用いられる。したがって、xおよびyへの言及は、単に方向の言及を行うという目的のためである。
【0069】
発明の特定の実施形態を本明細書中に詳細に開示してきたが、発明はそれに限定されないことが理解されるべきであり、または、それによって、本明細書中の発明に対する変形の程度は当業者によって容易に理解されよう。発明の範囲は、以下の特許請求の範囲から理解される。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11A
図11B
図11C
図12
図13