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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】経口組成物および経口組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/10 20160101AFI20240130BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20240130BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240130BHJP
   A61K 31/4745 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 31/661 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 33/00 20060101ALI20240130BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240130BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A23L33/10
A23L2/00 F
A23L2/52
A23L5/00 K
A61K31/4745
A61K31/661
A61K33/00
A61K47/04
A61P43/00
A61P43/00 121
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022064585
(22)【出願日】2022-04-08
(65)【公開番号】P2023154934
(43)【公開日】2023-10-20
【審査請求日】2023-05-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510107677
【氏名又は名称】株式会社ヘルスマネイジメント
(74)【代理人】
【識別番号】100114258
【弁理士】
【氏名又は名称】福地 武雄
(74)【代理人】
【識別番号】100125391
【弁理士】
【氏名又は名称】白川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】藤原 誠
【審査官】手島 理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/062814(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0179441(US,A1)
【文献】特開2021-185855(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗老化作用を有する経口組成物であって、
微粒二酸化ケイ素または水溶性ケイ素によって担持された0.1質量%以上1質量%以下の水素と、
α-グリセロホスホコリンと、
ピロロキノリンキノンとを含むことを特徴とする経口組成物。
【請求項2】
経口組成物全体を100質量%としたときに、
前記α-グリセロホスホコリンが20質量%以上50質量%以下であり、
前記ピロロキノリンキノンが0.5質量%以上4質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の経口組成物。
【請求項3】
前記微粒二酸化ケイ素および水溶性ケイ素の代わりに海洋深層水粉末によって水素を担持させた還元ミネラル水素パウダーを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の経口組成物。
【請求項4】
前記海洋深層水粉末の代わりに、サンゴ粉末、海洋深層水を含侵させたパウダー、天然生体由来または鉱物由来のハイドロキシアパタイト(Hydroxyapatite)、海藻粉末、風化貝カルシウム粉末、牡蠣殻粉末、ホタテ貝殻粉末、真珠貝粉末の少なくとも一つを含む必須・微量ミネラルを含有する粉末を用いることを特徴とする請求項3記載の経口組成物。
【請求項5】
抗老化作用を有する経口組成物の製造方法であって、
炉内の気圧を1気圧~6気圧に設定し、海洋深層水粉末を50℃~200℃で焼成する工程と、
水素による還元加工を行なった「海洋深層水または水溶性ケイ素含有水」を用いて、前記海洋深層水粉末に0.1質量%以上1質量%以下の水素担持させることで還元ミネラル水素パウダーを製造する工程と、
前記還元ミネラル水素パウダーに対してα-グリセロホスホコリンおよびピロロキノリンキノンを混合する工程と、を少なくとも含むことを特徴とする経口組成物の製造方法。
【請求項6】
前記海洋深層水粉末の代わりに、サンゴ粉末、海洋深層水を含侵させたパウダー、天然生体由来または鉱物由来のハイドロキシアパタイト(Hydroxyapatite)、海藻粉末、風化貝カルシウム粉末、牡蠣殻粉末、ホタテ貝殻粉末、真珠貝粉末、微粒二酸化ケイ素または水溶性ケイ素の少なくとも一つを含む必須・微量ミネラルを含有する粉末を用いることを特徴とする請求項5記載の経口組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗老化作用を有する経口組成物および、その製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、脳の機能を向上させることで抗老化作用を発揮する経口組成物が知られている(特許文献1を参照)。神経細胞の保護や神経細胞間の情報伝達を円滑にすることで、神経系の中枢である脳自体の機能向上させる経口組成物だけでなく、脳内の活性酸素を除去し、脳を構成する細胞を保護することで間接的に脳機能を向上させる経口組成物など、脳機能を向上させる経口組成物の種類は多岐に及ぶ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-145612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、複数の経口組成物を組み合わせることで得られる抗老化作用については知見が少ない。そのため、複数の経口組成物を組み合わせることについて、まだまだ向上の余地があると考えられる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、脳機能を向上させる複数の経口組成物を組み合わせることで、優れた抗老化作用を発揮する経口組成物および経口組成物の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の経口組成物は、抗老化作用を有する経口組成物であって、水素と、α-グリセロホスホコリンと、ピロロキノリンキノンとを含むことを特徴とする。
【0007】
これにより、水素、α-グリセロホスホコリンおよびピロロキノリンキノンの相乗効果によって、優れた抗老化作用を発揮させることができる。
【0008】
(2)また、本発明の経口組成物において、経口組成物全体を100質量%としたときに、前記水素が0.1質量%以上1質量%以下であり、前記α-グリセロホスホコリンが20質量%以上50質量%以下であり、前記ピロロキノリンキノンが0.5質量%以上4質量%以下であることを特徴とする。
【0009】
水素、α-グリセロホスホコリン、ピロロキノリンキノンのそれぞれが効果を発揮するために最適な量が含有されることで、各々が有する抗老化作用が高められるだけでなく、相乗効果についても高められることで、より優れた抗老化作用が発揮される。
【0010】
(3)また、本発明の経口組成物において、前記水素として、海洋深層水粉末に対して水素を担持させた還元ミネラル水素パウダーを含むことを特徴とする。これにより、微細孔のミネラルに多くの水素を担持させることで、経口組成物により多くの水素を含ませることができる。
【0011】
(4)また、本発明の経口組成物において、前記海洋深層水粉末の代わりに、サンゴ粉末、海洋深層水を含侵させたパウダー、天然生体由来または鉱物由来のハイドロキシアパタイト(Hydroxyapatite)、海藻粉末、風化貝カルシウム粉末、牡蠣殻粉末、ホタテ貝殻粉末、真珠貝粉末、微粒二酸化ケイ素(シリカ)、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)の少なくとも一つを含む必須・微量ミネラルを含有する粉末を用いる。
【0012】
これにより、用途に合わせて水素を担持させるものを変えることができる。経口組成物にミネラルを豊富に含有することができる。
【0013】
(5)また、本発明の経口組成物の製造方法は、抗老化作用を有する経口組成物の製造方法であって、炉内の気圧を1気圧~6気圧に設定し、海洋深層水粉末を50℃~200℃で焼成する工程と、水素による還元加工を行なった「海洋深層水または水溶性ケイ素含有水」を用いて、前記海洋深層水粉末に水素担持させることで還元ミネラル水素パウダーを製造する工程と、前記還元ミネラル水素パウダーに対してα-グリセロホスホコリンおよびピロロキノリンキノンを混合する工程と、を少なくとも含む。
【0014】
これにより、水素、α-グリセロホスホコリンおよびピロロキノリンキノンの相乗効果によって、優れた抗老化作用を発揮する経口組成物を製造できる。また、海洋深層水粉末に水素を担持させることで、より多くの水素を含ませることを可能にする。
【0015】
(6)本発明の経口組成物の製造方法において、前記海洋深層水粉末の代わりに、サンゴ粉末、海洋深層水を含侵させたパウダー、天然生体由来または鉱物由来のハイドロキシアパタイト(Hydroxyapatite)、海藻粉末、風化貝カルシウム粉末、牡蠣殻粉末、ホタテ貝殻粉末、真珠貝粉末、微粒二酸化ケイ素(シリカ)、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)の少なくとも一つを含む必須・微量ミネラルを含有する粉末を用いることを特徴とする。
【0016】
これにより、用途に合わせて水素を担持させるものを変えて経口組成物を製造することができる。また、ミネラルを豊富に含有する経口組成物を製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、脳機能を向上させる複数の経口組成物を組み合わせることで、優れた抗老化作用を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施形態に係る経口組成物の製造工程を示すフローチャートである。
図2】本発明に係る経口組成物を与えた線虫の生存率曲線を示すグラフである。
図3】還元ミネラル水素パウダーを与えた線虫の生存率曲線を示すグラフである。
図4】PQQを与えた線虫の生存率曲線を示すグラフである。
図5】α-GPCを与えた線虫の生存率曲線を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明者らは、脳の機能向上に対して異なる効果を有する成分を組み合わせることによる相乗効果によって優れた抗老化作用を発揮することを見出し、本発明をするに至った。すなわち、本発明の経口組成物は、抗老化作用を有する経口組成物であって、水素と、α-グリセロホスホコリンと、ピロロキノリンキノンとを含むことを特徴とする。これにより、水素、α-グリセロホスホコリンおよびピロロキノリンキノンの相乗効果によって、優れた抗老化作用を発揮させることができる。
【0020】
[経口組成物の構成]
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
本発明における経口組成物は、水素と、α-グリセロホスホコリンと、ピロロキノリンキノンとを含むことを特徴としている。経口組成物は、脳の機能向上に対して異なる効果を有する成分を組み合わせていることから、相乗効果によって優れた抗老化作用を発揮する。また、本発明の経口組成物は抗老化作用だけでなく、知能の成長促進や身長の成長促進、認知症の予防および改善についても期待できる。
【0021】
水素は、体内の活性酸素を除去する効果がある。活性酸素は、体内の細胞を破壊するため、活性酸素を除去することによって細胞の保護に寄与する。また、アルツハイマー型認知症を発症した脳内では、アミロイドβ(以下、「Aβ」)が蓄積し、Aβから発生した活性酸素が脳内の神経細胞を破壊すると考えられている。そのため、水素によって活性酸素を除去することで脳内の神経細胞を保護し、脳機能を向上させることで抗老化作用を発揮する。また、ミトコンドリア内の活性酸素も除去することで、ミトコンドリアのエネルギー産生を促進する。
【0022】
水素は、経口摂取可能な状態であればよく、水に溶けた状態であってもよいが、粉末状であることが好ましい。さらに、還元ミネラル水素パウダーが、水素として含まれることが好ましい。これにより、水素を長時間持続的に水中に溶存させることができる。
【0023】
還元ミネラル水素パウダーは、水素による還元加工を行なった「海洋深層水または水溶性ケイ素含有水」によって、海洋深層水粉末に水素を担持(吸着)させた水素パウダーである。海洋深層水粉末の代わりに、サンゴ粉末、海洋深層水を含侵させたパウダー、天然生体由来または鉱物由来のハイドロキシアパタイト(Hydroxyapatite)、海藻粉末、風化貝カルシウム粉末、牡蠣殻粉末、ホタテ貝殻粉末、真珠貝粉末、微粒二酸化ケイ素(シリカ)、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)の少なくとも一つを含む必須・微量ミネラルを含有する粉末を用いることも可能である。
【0024】
水素は、経口組成物全体を100質量%としたときに0.1質量%以上1質量%以下となるように配合されることが好ましい。また、1日当たりの摂取量が0.2mg~2.0mgとなることが好ましい。
【0025】
海洋深層水は、一般的に深度200m以深の海水であると理解されており、表層水に対して、清浄性、無機栄養塩類が豊富、低温安定性という特徴を有する。すなわち、海洋深層水は、人間の排水で汚染された河川水の影響を受けないため、化学物質による汚染がなく、太陽光が届かずプランクトン等が成育しないことから、有害な雑菌等も表層水の千分の一以下となっている。また、表層水に比べて、植物プランクトンの成長に必要な無機栄養塩類が豊富であり、さらに、水温や含有成分が変化し難く、水質が安定しているという特徴を有する。本実施形態に係る還元ミネラル水素パウダーは、水素によって還元処理された海洋深層水を用いることから、カルシウム・マグネシウムなどミネラルのイオン化が促進された状態での処理を施すことができると考えられる。
【0026】
本実施形態に係る「水素による還元加工を行なった海洋深層水」は、アルコールおよびアセトアルデヒドを消去させる機能を発揮する。アセトアルデヒドは、二日酔いや悪酔いの原因となり、「身体の酸化や糖化」に関わる悪玉物質であることが知られている。本実施形態に係る「水素による還元加工を行なった海洋深層水(還元加工ミネラル濃縮溶液)」は、高いアセトアルデヒドを消去させる活性を有するため、身体の酸化や糖化を抑制することが期待される。
【0027】
次に、ケイ素およびその関連物質について説明する。ここで、国際原子量表(2010)に基づいて、原子量を「Si 28.0855」、「H 1.00794」、「O 15.9994」として、小数第3位を四捨五入する。ケイ素は、「Si」で表され、原子量は28.09である。人体に必要とされる1日あたりのケイ素量は、「10~40mg」であり、ケイ素として摂取目安量が用いられている。次に、シリカは二酸化ケイ素とも呼ばれ、「SiO」で表され、分子量は60.09(28.09+16.00×2=60.09)である。無水であり、水溶性ケイ素ではないものの、「シリカ」という言葉の響きの良さから、水溶性ケイ素の別名として「シリカ」と呼称される事がある。ただし、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)とシリカ(二酸化ケイ素)は下記分子式・分子量の通り、異なる物質である。シリカ(二酸化ケイ素)が水和してHOが1つ追加されてメタケイ酸に、更に水和しHOが1つ追加されてオルトケイ酸に変化し、生体に取り込まれ有効活用され易くなる。水溶性ケイ素とは含水シリカ(含水ケイ酸)であり、メタケイ酸またはオルトケイ酸の形をとる物質を指す。山や岩石を構成する非水溶性シリカ(二酸化ケイ素)が水HOと結び付いて溶け出し、メタケイ酸に変化する。更に水和が進み(HO追加)、より生体に吸収されやすいオルトケイ酸に変化し海洋へと達し、食物連鎖の底辺である「植物プランクトン ケイ藻」に取り込まれ連鎖し、生体内への活用が進んで行く。繰り返しになるものの、ミネラルウォーターとして販売されている「温泉や湧き水由来の飲むシリカ(ケイ素)」とは、岩石(シリカ・二酸化ケイ素・ケイ酸・無水ケイ酸) より溶け出し、美肌の湯成分として飲泉に長年愛用されている「水溶性ケイ素」(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・ 含水ケイ酸)を含む事を指している。ところで、「ケイ素/シリカ」=「28.09/60.09」=「0.47」倍となる。また、「シリカ/ケイ素」=「60.09/28.09」=「2.14」倍であり、これらのことから、シリカ(二酸化ケイ素、SiO)=ケイ素(Si)×1/0.47=ケイ素(Si)×2.14となる(日本食品分析センター使用の換算値に基づく)。
【0028】
また、水素担持体として、微粒二酸化ケイ素SiOは、ケイ素Siに酸素原子Oが2つ結びついた構造を有しており、その吸着特性ゆえに水素を抱え込み溶存水素時間を延ばす効果を期待できる。また、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)はオルトケイ酸Si(OH)の場合、ケイ素Siに水酸基OHが4つ結びついた構造を有しており、より強く溶存水素を抱え込む作用を期待できる。
【0029】
次に、メタケイ酸は、「HSiO」で表され、分子量は78.1(1×2+28.09+16.00×3=30.09+48.0=78.09)である。このことから、メタケイ酸は、シリカ(ケイ酸、二酸化ケイ素)が水和して、「HO+SiO=HSiO」に変化したものであるといえる。
【0030】
また、以下の関係が見出される。
「ケイ素/メタケイ酸」=「28.09/78.09」=「0.36」倍
「メタケイ酸/ケイ素」=「78.09/28.09」=「2.78」倍
「シリカ/メタケイ酸」=「60.09/78.09」=「0.77」倍
「メタケイ酸/シリカ」=「78.09/60.09」=「1.30」倍
【0031】
次に、オルトケイ酸は、「HSiO」で表され、分子量は、78.1(1×4+28.09+16.00×4=32.09+64.0=96.09)である。上記メタケイ酸の分子式と比べて更に「HO」が付いて水和化した形を採る。水溶性ケイ素は、最終的に「オルトケイ酸(H)」の形で存在し、その生物地球化学的循環は珪藻によって制御されている。この「オルトケイ酸(HSiO)」は、「Si(OH)」であり、Siを中心として、「OH基が4つ手を握る綺麗な形の分子構造」を取っており、吸収性により優れている。
【0032】
また、以下の関係が見出される。
「ケイ素/オルトケイ酸」=「28.09/96.09」=「0.29」倍
「オルトケイ酸/ケイ素」=「96.09/28.09」=「3.42」倍
「シリカ/オルトケイ酸」=「60.09/96.09」=「0.63」倍
「オルトケイ酸/シリカ」=「96.09/60.09」=「1.60」倍
【0033】
ここで、1日の推奨摂取目安量について説明する。上述したように、「シリカ/ケイ素」=「60.09/28.09」=「2.14」倍、「メタケイ酸/ケイ素」=「78.09/28.09」=「2.78」倍、「オルトケイ酸/ケイ素」=「96.09/28.09」=「3.42」倍、である。ケイ素単体での1日推奨摂取目安量は、「10~40mg」であることから、シリカ、メタケイ酸、オルトケイ酸に換算した場合の1日推奨摂取目安量は、ケイ素量からの各換算値範囲内と考えられる。すなわち、水溶性ケイ素を構成する「ケイ素」として「10~40mg」、水溶性ケイ素を構成する「シリカ」として「21.4~85.6mg(10~40mg×2.14倍)」、水溶性ケイ素であるメタケイ酸として「27.8~111.2mg(10~40mg×2.78倍)」、水溶性ケイ素であるオルトケイ酸として「34.2~136.8mg(10~40mg×3.42倍)」となる。
【0034】
「Gerd Bendz」編集の文献「Biochemistry of Silicon and Related Problems (Nobel Foundation Symposia)」によれば、「人の大動脈中のケイ素含有量は、年齢と共に変化する」とされている。図3に示すように、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)は、誕生時に体内にあった数値を100とすると、個人差を無視すると、40歳までに約半分に減ってしまう。人間は、必要な水溶性ケイ素を自分の身体でつくることができないため、美容と健康を維持するためには、積極的に水溶性ケイ素を摂取することが重要である。
【0035】
水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)は、人体にも含まれ、毛髪・爪・血管・骨・歯・関節や細胞壁などに存在しており、生体内の水溶性ケイ素はコラーゲンを束ねる作用を持ち、骨・歯・毛髪・爪・コラーゲンの再生や補強、維持に役立つ他、肌の保湿などにも影響を及ぼす。また、水溶性ケイ素は皮膚(真皮層)・毛髪・爪等に含まれ、コラーゲン・セラミド、エラスチン・ヒアルロン酸・コンドロイチンなどを結び付け、肌のハリや弾力を維持し、組織を束ね丈夫にする機能を有する。さらに、セラミドまたはヒアルロン酸、乳酸菌、水溶性ケイ素を組み合わせることによって、優れた美容健康効果が得られることが知られている。すなわち、セラミドは、皮膚のバリア機能(特に保湿効果)を高めて、表皮の水分の蒸発を抑える機能を有し、ヒアルロン酸は、皮膚の保水機能を高めて乾燥を防ぎ、乳酸菌は、整腸作用と共に免疫力増加機能や抗アレルギー機能を有し、更に水溶性ケイ素は、肌(皮膚)におけるコラーゲンの合成を促進させ、コラーゲン層間の接着および上質化を担う機能を有することから、これらを組み合わせることによって美容健康効果が発揮されることが期待される。更に、水溶性ケイ素は腸壁から吸収され、血管を通る際、血管内部の付着物を可溶化する作用があり、動脈硬化の予防にも効果がある。さらに、植物の成長の促進、あるいは茎の強化を図る機能を有している。
【0036】
米国の「フラミンガム子孫研究」では、ケイ素(水溶性ケイ素に含有)の摂取量と骨密度(BMD)に密接な関係があるとされた。この研究では、30代から80代までの研究対象者の男女2846人の食生活において、「ケイ素摂取量」の測定結果に応じて4グループに分けて比較した。その結果、男性や閉経前の女性では、ケイ素摂取量が多いほど、大腿骨頚部の骨密度が高いことが判明した。これにより、ケイ素の骨粗鬆症予防に対する効果が期待されている。このように、ケイ素の重要性が明らかになったことから、欧米では、身体に吸収されやすい水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)の健康補助食品・サプリメントはかなり以前より注目されており、欧米のケイ素商品の市場はすでに非常に莫大な規模となっている。
【0037】
植物由来のケイ酸も鉱物由来のケイ酸も同一条件下にて温度・圧力をかけて海洋深層水を用いた加工を施すことで水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)を得ることはできるが、それぞれケイ素以外に含まれるミネラルバランスは異なるため、大地の恵み・植物の恵みを共に満喫するのであれば、植物性水溶性ケイ素・鉱物性水溶性ケイ素の各濃縮液をミックスすることで、相乗効果を期待することもできる。なお、竹の他に、稲(稲わら・もみ殻)・ササ・キビ・ススキ・サトウキビ・ムギ等のイネ科植物、スギナ、トクサなどケイ素高含有植物を用いても良い。また、水晶・石英などの鉱物由来ケイ酸を用いても良い。霧島(霧島連山)や箱根の天然水や温泉水由来のケイ酸を配合しても良い。また、富士山溶岩マリモ・パウダーより溶出するケイ酸を活用したり、富士山の湧き水や温泉水に豊富に含まれるケイ酸を掛け合わせたりする事により、ケイ酸以外に含まれるミネラルの更なる相乗効果を期待できる。「富士山のミネラルの恵み」と、「海洋深層水ミネラルの恵み」は、まさに高低ミネラルの恵みであり、陰陽のミネラルバランスの恵みであると言うことができる。なお、富士山の湧き水、温泉水、溶岩などには「バナジウム」が含まれており、「バナジウム」は、糖尿病への効果が期待できることが知られている。本実施形態においても、「バナジウム」を含有することによって、糖尿病への効果が期待できるようになる。
【0038】
また、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)を多く含むミネラルウォーターの産地は、おもに富士・箱根地域や九州地方に分布している。九州地方は、阿蘇・雲仙・霧島・久住・桜島・別府といった世界有数の火山・温泉群を有しており、このエリアの地層にはケイ酸が多く含まれ、長い時間をかけて水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)に変わり、水の中に溶け出している事が知られている。また、水溶性ケイ素を豊富に含む霧島の温泉水については、「はるか昔、イザナギノミコトとイザナミノミコトが、足腰の立たないヒルコノミコトを船にのせ、たどり着いた「なげきの杜」で温泉治療をさせた」という神話が知られている。本実施形態においても、霧島や桜島の湧き水や天然水由来のケイ酸を活用しても良い。
【0039】
α-グリセロホスホコリン(以下「α-GPC」)は、コリンの前駆体であり、大豆などに由来するホスファチジルコリンの分解生成物である。α-GPCは、グリセロールホスホリルコリンジエステラーゼ(glycerolphosphorylcholine diesterase)によってグリセロリン酸塩とコリンに代謝される。コリンは、副交感神経に作用するアセチルコリンの前駆体である。α-GPCは、神経伝達物質であるアセチルコリンの生成や成長ホルモンの分泌を促進することで、抗老化作用を発揮する。また、記憶力や学習能力を向上させる効果を持つ。さらに、α-GPCの摂取によってコリンを補給することで、肝機能障害が改善される。
【0040】
α-GPCは、経口組成物全体を100質量%としたときに20質量%以上50質量%以下となるように配合されることが好ましい。また、1日当たりの摂取量が20mg~150mgとなることが好ましい。
【0041】
また、α-GPCは結晶化した高純度の精製品や、ホスファチジルコリンとの混合物など各種グレードの製品が市販されている。本発明においては、日油株式会社(商品名:ダブウェルコートGPC30:27~33質量%含有油脂コーティング品)等が使用できる。
【0042】
ピロロキノリンキノン(以下「PQQ」)は、水溶性のキノン化合物であり、微生物由来の酸化還元補酵素である。PQQは、エネルギー産生の促進や、細胞やミトコンドリアの酸化障害からの保護といったキノン部位の酸化還元能に起因する効果が多く報告されている。また、神経成長因子(NGF)の増加等といった脳機能および神経系関連への効果や、認知機能やワーキングメモリー(短期記憶能力)の改善等といった脳へ及ぼす効果が多く報告されている。そのため、PQQの摂取により、脳機能を向上させることで抗老化作用を発揮する。
【0043】
また、PQQは、細胞内のNAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の濃度を高めることによりミトコンドリア新生を誘導する。また、乳酸からピルビン酸への代謝を促すことによって、エネルギー産生のロスを減らし、より効率的にエネルギーを産生させる。それだけでなく、PQQの抗酸化作用によって、ミトコンドリアのエネルギー産生により発生する活性酸素が除去され、神経細胞が保護される。
【0044】
PQQは、経口組成物全体を100質量%としたときに0.5質量%以上4質量%以下となるように配合されることが好ましい。また、1日当たりの摂取量が0.5mg~12mgとなることが好ましい。
【0045】
[経口組成物の製造方法]
次に、本発明に係る経口組成物の製造方法について説明する。図1は、本実施形態に係る経口組成物の製造工程を示すフローチャートである。この経口組成物は、高濃度かつ長時間水素発生が可能である。
【0046】
まず、炉内に海洋深層水粉末を供給し(ステップS1)、海洋深層水粉末を窯で焼成処理する(ステップS2)。これら海洋深層水粉末の焼成処理であり、処理の条件は、炉内の気圧が1気圧~6気圧であり、温度が50℃~200℃とする。次に、水素による還元加工を行なった「海洋深層水または水溶性ケイ素含有水」を用いて水素担持を生じさせる(ステップS3)。このように、焼成した海洋深層水粉末とミネラル含有水(水素による還元加工を行なった「海洋深層水または水溶性ケイ素含有水」)を1気圧から6気圧、50℃~200℃の温度で反応させると、海洋深層水粉末とミネラルとの部分反応によって微細孔(直径10~200A)が生成される。これにより、微細孔のミネラルに多くの水素を担持(吸着)させることができる。このように製造された還元ミネラル水素パウダーに対して、α-GPCおよびPQQを混合する(ステップS4)ことで経口組成物が製造される。なお、ステップS1または3において、海洋深層水粉末に二酸化ケイ素を添加してもよい。
【0047】
また、海洋深層水粉末の代わりに、サンゴ粉末、海洋深層水を含侵させたパウダー、天然生体由来または鉱物由来のハイドロキシアパタイト(Hydroxyapatite)、海藻粉末、風化貝カルシウム粉末、牡蠣殻粉末、ホタテ貝殻粉末、真珠貝粉末、微粒二酸化ケイ素(シリカ)、水溶性ケイ素(メタケイ酸、またはオルトケイ酸などの含水シリカ・含水ケイ酸)の少なくとも一つを含む必須・微量ミネラルを含有する粉末を用いることも可能である。これにより、ミネラルを豊富に含有する還元ミネラル水素パウダーを製造することが可能となる。海洋深層水を含浸させることにより、コラーゲンや乳酸菌原料など多種多様な粉末原料に対して低温高圧加工により水素担持(吸着)が可能となる。
【0048】
また、α-GPCおよびPQQを混合する(ステップS4)工程において、クエン酸やデキストリンを添加してもよい。クエン酸を添加することにより、水素ガスの発生を促進させることが期待できる。デキストリンを添加することにより、還元ミネラル水素パウダーを経口組成物全体に馴染ませることができ、水素を満遍なく担持できる。
【0049】
[検証例1]
本発明者らは、本発明に係る経口組成物において、溶存水素量と、酸化還元電位を測定した。経口組成物は、上記製造方法に沿って作製した。水素担持については、3気圧、150℃で反応させた。また、混合工程については、以下の配合比率となるように作製した。なお、デキストリンとクエン酸は、タブウェルコートGPC30およびPQQと同時に混合した(ステップS4)が、微粒二酸化ケイ素については炉内へ供給される(ステップS1)前に海洋深層水粉末と混合され、海洋深層水粉末とともに窯で加熱処理された。
(配合比率)
デキストリン 44%
タブウェルコートGPC30(日油株式会社製) 34%
PQQ(含量99%以上) 2%
クエン酸 12%
濃縮海洋深層水粉末 5%未満
微粒二酸化ケイ素 2%
水素 1%
【0050】
試験方法は、溶存水素計として「株式会社トラストレックス製 ENH-2000」を用い、酸化還元電位計として「株式会社佐藤商事製 YK-23RP-ADV」を用い、横浜市水道水50mLに対し、経口組成物を0.5g投入し攪拌して10分後に測定した。
【0051】
測定した結果、溶存水素量は1511ppbであり、酸化還元電位は-696mVであった。このことから、本発明に係る経口組成物は、活性酸素を有効に除去し、高い抗酸化機能を有することが分かった。
【0052】
[検証例2]
次に、本発明に係る経口組成物から発生する水素の定量を行なった。本発明に係る経口組成物としては、検証例1と同様に作製した。水素の定量は、ガスクロマトグラフィーにより、経口組成物から生じる水素の量を測定した。具体的には、経口組成物を乳鉢で粉砕した後、0.1gおよび0.075g採取し、125mLバイアルに加えた。そこに精製水25mLを加え、すばやく蓋をし、30分間超音波抽出した。室温で48時間以上静置した後、バイアルの中のヘッドスペースガス0.5mLをガスクロマトグラフに注入し、水素を測定した。結果は、以下の通りである。
【表1】
【0053】
市販されているアルミニウム缶に充填された水素水には、出荷時には、410mlあたり0.16mg~0.32mg(0.4ppm~0.8ppm)の水素が含まれていると言われている。最近の技術の進化により、この水素の量は、かなり多い方であると考えられている。これに対し、経口組成物からは、89(mL/g)の水素が検出された。これは、圧力を1.013×10Paとし、温度を25℃とし、気体定数を8.3×10とした場合、7.3mgに相当するため、市販の水素水に対して22倍~45倍の水素が含まれていることとなる。これにより、本発明に係る経口組成物には、従来には見られなかった量の水素が担持されていることが分かる。
【0054】
このように、本発明に係る経口組成物は、水素含有量が高いため、水素による抗酸化作用、抗炎症作用、抗アレルギー作用、抗癌作用、ミトコンドリア内でのエネルギー産生促進作用、脂質代謝改善作用、耐糖能改善作用、動脈硬化発症抑制作用、パーキンソン病の症状改善作用などが期待される。
【0055】
[検証例3]
本発明者らは、本実施形態に係る経口組成物が線虫の平均寿命に与える影響について着目し、第三者による試験結果に基づいて、検討を行なった。試験方法は、次の通りである。まず、表2に示すS-mediumに餌となる大腸菌OP-50株を懸濁させ、線虫(N2株)の培養液とした。この培養液を用いて線虫が成虫になるまで培養(20℃、100rpm)を行なった。その後、表3に示すS-bufferにて線虫を回収、洗浄後、NaOH溶液およびハイター(登録商標)を用いて線虫の体を溶解させ、体内から卵を回収した。回収した卵は、20℃で1晩培養し、孵化させた。孵化させたL1幼虫は、加熱処理した大腸菌OP-50株(死菌体)を餌として、24穴マイクロプレートを用いて26.5℃で同調培養を行なった。このとき、マイクロプレートの1穴あたり線虫が約20匹となるように調整した。なお、S- mediumに含まれるTrace metals solutionについては以下の表4に示す。
【表2】
【表3】
【表4】
【0056】
経口組成物を純水に溶解したものを原液とし、卵回収後、5日目に原液を0.22μmのフィルターでろ過減菌を行ない、培養液中の終濃度が300μg/ml、30μg/ml、3μg/mlとなるように純水で希釈し、マイクロプレートの各穴に加えた。このとき、経口組成物は検証例1と同じ条件で作製したものを使用した。サンプルを加えないコントロールとして、サンプルの代わりに純水を加えた。また次世代の発生を抑制するため、5-フルオロデオキシウリジ(FUdR)を終濃度40μMとなるようにマイクロプレートの各穴に加えた。その後、数日ごとに顕微鏡下で線虫の生存数を調べ、5日目の生存数を100%としてKaplan Meier法により、生存率曲線を描き、ログランク検定によりp値を算出した。p値について、p<0.05を統計学的有意水準、p<0.10を統計学的有意傾向とした。また、生存日数より平均寿命を算出した。
【0057】
実験結果として、図2に線虫の寿命曲線を示し、表5に線虫の平均寿命を示す。経口組成物の終濃度が30μg/mlおよび300μg/mlの処理区では、コントロールに対して、p<0.05であり、有意に寿命が延長していた。これに対し、経口組成物の終濃度が3μg/mlの処理区においては、p値が0.440であり、有意な効果が得られなかった。
【表5】
【0058】
[検証例4]
次に、本発明者らは、経口組成物の代わりに還元ミネラル水素パウダーを添加し、還元ミネラル水素パウダーが線虫の平均寿命に与える影響について検討を行なった。還元ミネラル水素パウダーは、水素による還元加工を行なった「海洋深層水または水溶性ケイ素含有水」を用いて水素担持を生じさせた(ステップS3)ものであり、α-GPCおよびPQQの混合(ステップS4)を行なっていないことを除いて検証例1の経口組成物と同様に作製した。
【0059】
また、経口組成物の代わりに還元ミネラル水素パウダーを純水に溶解したものを原液とし、培養液中の終濃度が300μg/ml、30μg/ml、3μg/mlとなるように純水で希釈したことを除いて、検証例3と同様に実験を行なった。
【0060】
実験結果として、図3に線虫の寿命曲線を示し、表6に線虫の平均寿命を示す。還元ミネラル水素パウダーの終濃度が300μg/mlの処理区では、コントロールに対して、p<0.1であり、有意に寿命が延長する傾向が見受けられた。これに対し、経口組成物の終濃度が3μg/mlの処理区ではp値が0.723であり、終濃度が30μg/mlの処理区ではp値が0.577であったことから、有意な効果が得られなかった。
【表6】
【0061】
[検証例5]
次に、本発明者らは、経口組成物の代わりにPQQを添加し、PQQが線虫の平均寿命に与える影響について検討を行なった。PQQは、検証例1において経口組成物を構成するPQQと同じものを使用した。
【0062】
また、経口組成物の代わりにPQQを純水に溶解したものを原液とし、培養液中の終濃度が300μg/ml、30μg/ml、3μg/mlとなるように純水で希釈したことを除いて、検証例3と同様に実験を行なった。
【0063】
実験結果として、図4に線虫の寿命曲線を示し、表7に線虫の平均寿命を示す。PQQの終濃度が3μg/mlの処理区ではp値が0.322であり、終濃度が30μg/mlの処理区ではp値が0.329であり、終濃度が300μg/mlの処理区ではp値が0.140であったことから、すべての処理区において有意な効果が得られなかった。
【表7】
【0064】
[検証例6]
次に、本発明者らは、経口組成物の代わりにα-GPCを添加し、α-GPCが線虫の平均寿命に与える影響について検討を行なった。α-GPCは、検証例1において経口組成物を構成するα-GPCと同じものを使用した。すなわち、タブウェルコートGPC30(日油株式会社製)を使用した。
【0065】
また、経口組成物の代わりにα-GPCを純水に溶解したものを原液とし、培養液中の終濃度が300μg/ml、30μg/ml、3μg/mlとなるように純水で希釈したことを除いて、検証例3と同様に実験を行なった。
【0066】
実験結果として、図5に線虫の寿命曲線を示し、表8に線虫の平均寿命を示す。α-GPCの終濃度が3μg/mlの処理区ではp値が0.330であり、終濃度が30μg/mlの処理区ではp値が0.368であり、終濃度が300μg/mlの処理区ではp値が0.424であったことから、すべての処理区において有意な効果が得られなかった。
【表8】
【0067】
[考察]
検証例3~6の結果から、水素、PQQおよびα-GPCを個々に与えた場合と比べて、水素、PQQおよびα-GPCが混合された経口組成物の方が、優れた抗老化作用を発揮したことが分かった。このことから、経口組成物に含まれた水素、PQQおよびα-GPCにおいて、相乗効果が働いており、その結果、優れた抗老化作用を発揮するといえる。
図1
図2
図3
図4
図5