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▶ 3−5 パワー エレクトロニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】ハウジング収容型半導体デバイス
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20240130BHJP
   H01L 23/34 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H01L23/46 Z
H01L23/34 A
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022066976
(22)【出願日】2022-04-14
(65)【公開番号】P2022164619
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2022-05-11
(31)【優先権主張番号】10 2021 001 968.7
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517397497
【氏名又は名称】3-5 パワー エレクトロニクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】3-5 Power Electronics GmbH
【住所又は居所原語表記】Gostritzer Str. 61-63, 01217 Dresden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェンス コヴァルスキー
【審査官】庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-332679(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0186545(US,A1)
【文献】国際公開第2015/086184(WO,A1)
【文献】特開2006-303290(JP,A)
【文献】特開2002-270748(JP,A)
【文献】特開2009-022107(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第101345469(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/473
H01L 23/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却体(12)を有するハウジング収容型半導体デバイス(10)であって、
-前記冷却体(12)は、上面、下面、前記上面と前記下面とをつなぐ側面、および、前記冷却体(12)内に延在する冷却構造体を有し、前記冷却構造体は、冷却媒体用の供給管路(16.1)および排出管路(16.2)を備え、前記冷却体(12)は、前記上面における第1の熱膨張係数および前記下面における第2の熱膨張係数を有する導電性材料から構成されており、
-それぞれ1つのダイ(14.1,14.2)は、前記冷却体(12)の前記上面および前記下面に配置されており、かつ、前記冷却体(12)に導電接続されており、
-前記冷却体(12)の前記上面および前記下面の前記熱膨張係数は、前記上面および前記下面に配置される前記ダイ(14.1,14.2)の前記熱膨張係数にそれぞれ相当するか、または、前記上面および前記下面に配置される前記ダイ(14.1,14.2)の前記熱膨張係数から最大で10%だけまたは最大で20%だけ相違しており、
-前記冷却体(12)は、1つの前記側面が、電気絶縁性の支持体(18)に固定されており、
-前記支持体(18)には2つの接続ピン(20)が固定されており、
-前記冷却体(12)は、前記ダイ(14.1,14.2)と前記接続ピン(20)の一部と共に、注型材料(22)によって包囲されている、
ハウジング収容型半導体デバイス(10)。
【請求項2】
2つの前記ダイ(14.1,14.2)は、同じ熱膨張係数を有する、
請求項1記載のハウジング収容型半導体デバイス(10)。
【請求項3】
2つの前記ダイ(14.1,14.2)は、互いに異なる熱膨張係数を有する、
請求項1記載のハウジング収容型半導体デバイス(10)。
【請求項4】
前記冷却体(12)の熱膨張係数は、前記下面から前記上面に変化し、前記変化は、連続してまたは少なくとも1つのステップで段階的に行われる、
請求項3記載のハウジング収容型半導体デバイス(10)。
【請求項5】
前記ハウジング収容型半導体デバイス(10)は、少なくとも1つの別の冷却体(12)を有し、
-前記別の冷却体(12)は、上面、下面、前記上面と前記下面とをつなぐ側面、および、前記冷却体(12)内に延在する冷却構造体を有し、前記冷却構造体は、冷却媒体用の供給管路(16.1)および排出管路(16.2)を備え、前記別の冷却体(12)は、前記上面における第3の熱膨張係数および前記下面における第4の熱膨張係数を有する導電性材料から構成されており、
-それぞれ1つのダイ(14.1,14.2)は、前記別の冷却体(12)の前記上面および前記下面には配置されており、かつ、前記別の冷却体(12)に導電接続されており、
-前記別の冷却体(12)の前記上面および前記下面の前記熱膨張係数は、前記上面および前記下面に配置される前記ダイ(14.1,14.2)の前記熱膨張係数にそれぞれ相当するか、または、前記上面および前記下面に配置される前記ダイ(14.1,14.2)の前記熱膨張係数から最大で10%だけまたは最大で20%だけ相違しており、
-前記別の冷却体(12)は、1つの前記側面が、前記冷却体(12)に対して所定の間隔で、電気絶縁性の前記支持体に(18)に固定されており、
-前記支持体(18)には、少なくとも2つの別の接続ピン(20)が固定されており、
-前記別の冷却体(12)は、前記別の冷却体(12)に配置された前記ダイ(14.1,14.2)と前記別の接続ピン(20)の一部と共に、前記注型材料(22)によって包囲されている、
請求項1記載のハウジング収容型半導体デバイス(10)。
【請求項6】
少なくとも1つのダイ(14.1,14.2)は、ダイオードである、
請求項1記載のハウジング収容型半導体デバイス(10)。
【請求項7】
少なくとも1つのダイ(14.1,14.2)は、IGBTである、
請求項1記載のハウジング収容型半導体デバイス(10)。
【請求項8】
少なくとも、2つの前記ダイ(14.1,14.2)は、それぞれダイオードとして構成されている、
請求項1記載のハウジング収容型半導体デバイス(10)。
【請求項9】
少なくとも、2つの前記ダイ(14.1,14.2)は、並列接続されている、
請求項1記載のハウジング収容型半導体デバイス(10)。
【請求項10】
前記冷却体(12)の正確に1つの前記側面は、前記支持体(18)のカバー面に素材結合されている、
請求項1記載のハウジング収容型半導体デバイス(10)。
【請求項11】
前記支持体(18)の前記カバー面は、前記冷却体(12)の前記側面よりも大きな面積を有する、
請求項10記載のハウジング収容型半導体デバイス(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却体および少なくとも1つのダイを有するハウジング収容型半導体デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、独国特許出願公開第10345419号明細書に開示されているハウジング収容型半導体デバイスは、当業者には公知である。
【0003】
また、まさにパワーエレクトロニクスの分野では半導体デバイスを冷却しなければならないことも当業者にはよく知られている。欧州特許出願公開第2061078号明細書からは、例えば、半導体素子用の冷却体装置が公知であり、ここでは冷却体は、半導体素子に適合された熱膨張係数を有する取付面を具備している。国際公開第2015086184号からも冷却体装置が公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような背景から本発明が課題とするのは、従来技術を発展させる装置を提供することである。特に、殊にコンパクトであると同時に半導体素子の機械的な負荷も低減する構造が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、特許請求の範囲の請求項1の特徴的構成を備えたハウジング収容型半導体デバイスによって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の対象である。
【0006】
本発明の対象では、冷却体を備えたハウジング収容型半導体デバイスが提供され、冷却体は、上面、下面、上面と下面とをつなぐ側面、ならびに冷却媒体用の供給管路および排出管路を備えた、冷却体内に延在する冷却構造体を有し、上面における第1の熱膨張係数および下面における第2の熱膨張係数を有する導電性材料から構成されている。
【0007】
冷却体の上面および/または下面にはそれぞれ1つのダイが、配置されておりかつ冷却体に導電接続されている。冷却体の上面および下面の熱膨張係数は、そこに配置されるダイの熱膨張係数にそれぞれ相当する。「相当する」という語により、5%よりもまたは8%よりも小さい、2つの膨張係数間の差分が含まれることに注意されたい。
【0008】
1つの発展形態では、2つの膨張係数は正確に同じである。
【0009】
1つの発展形態では、冷却体の下面もしくは上面における膨張係数は、それぞれのダイの膨張係数と正確に同じである。
【0010】
好適には、冷却体の上面および下面の熱膨張係数は、そこに配置されるダイの熱膨張係数から最大で10%だけまたは最大で20%だけ相違する。
【0011】
冷却体は、1つの側面が、電気絶縁性の支持体に固定されており、支持体には2つの導電性の接続ピンが固定されており、冷却体は、ダイと接続ピンの一部と共に、注型材料によって包囲されている。2つの接続ピンが互いに電気的に絶縁されていることは自明のことである。
【0012】
冷却体は、1つの発展形態では、ブロック状の構成を有することに注意されたい。好適には、上面および下面は、四角形の、好適には正方形または長方形の構成を有する。
【0013】
別の発展形態では、上面および下面における冷却体の面積は、同じであるかまたは異なる。この際に上面における面積は、下面における面積よりも大きいか、または下面における面積は、上面における面積よりも大きい。好適には、上面における面積および下面における面積はそれぞれ、全体として平坦であり、かつ/または互いに平行に構成されている。
【0014】
別の発展形態では、冷却体の側面は、四角形、好適には正方形または長方形の構成を有する。1つの発展形態では、全部で4つの側面のそれぞれ2つは、互いに対向して構成されている。1つの実施形態では、4つのすべての側面が、同じ大きさでもしくは異なる大きさで構成されており、または少なくともそれぞれ対向する2つの側面は、同じ大きさもしくは異なる大きさで構成されている。
【0015】
別の実施形態では、4つのすべての側面、または少なくとも2つまたは3つの側面がそれぞれ全体として平坦に成形されている。1つの発展形態では、側面はそれぞれペア毎に互いに平行に構成されている。
【0016】
別の発展形態では、側面の大きさはそれぞれ、上面の大きさまたは下面の大きさよりも小さく構成されている。好適には側面の大きさは、上面における面積または下面における面積の大きさの80%~10%の範囲内または50%~20%の範囲内にある。
【0017】
複数の側面の正確に1つの側面、すなわち1つだけの側面が、素材結合で電気絶縁性の支持体に結合されていることが自明のことである。好適には、冷却体のこの側面全体が、支持体に接合されている。
【0018】
1つの発展形態では、支持体に接合されているのとは反対側の、冷却体の側面に供給管路も排出管路も構成されているかもしくはフランジ固定されている。
【0019】
1つの実施形態では、支持体は、ブロック状に、好適には平行6面体状に構成されており、支持体は、2つのカバー面および4つの側面を有する。支持体の2つのカバー面は、互いに平行に配置されており、好適に同じ大きさで構成されている。支持体の2つのカバー面はそれぞれ、それぞれの側面よりも大きな面積を有する。支持体の2つのカバー面の正確に1つが、冷却体の1つの側面に接合されている。
【0020】
1つの発展形態では、冷却体の側面に接合されている、支持体のカバー面は、一次近似において同じ大きさに、または正確に同じ大きさに構成されている。別の発展形態では、冷却体に接合されているカバー面は、側面よりも大きい。好適には、カバー面は、冷却体の側面の100%~180%の面積を有する。
【0021】
ダイとは、半導体基板状のハウジング収容型でない集積回路、すなわち切り離されたウェハ部分、すなわち、集積回路を有する半導体ウェハの部分のことである。
【0022】
ダイの下面、すなわち背面端子は、同じ電位にあり、特に導電接続されているのは自明のことである。というのは、ダイ下面はそれぞれ、例えば、はんだ接合、圧着接合もしくは焼成接合または別の任意の接触接続技術により、同じ冷却体の表面に導電接続されているからである。
【0023】
ダイの接続コンタクトは、接続ピンに接続されており、ダイの接続コンタクト、すなわち特に背面コンタクト用の冷却体および前面コンタクトと接続ピンとの電気接続は、例えば、ボンディングワイヤ、圧着装置を用いて、または銅リボン(銅リボンボンディング)のようなリボン状の構造体を用いて、またはその他の接合技術を用いて行われ、接続ワイヤもしくはリボンは、支持体を越えて延在し、注型材料によって包囲される。択一的には、1つまたは複数の接続は、支持体を貫通してガイドされてもよい。
【0024】
1つの発展形態では、2つのダイの前面コンタクトは互いに電気的に接続されており、好適には2つの前面コンタクトはそれぞれ、それ自体のボンディングにより、支持体を越えて同じ接続ピンに接続されている。別の接続ピンは、特別なボンディングにより、支持体を越えて冷却体に、また冷却体を通って2つのダイの2つの背面コンタクトに接続される。これにより、2つのダイは電気的に並列接続される。
【0025】
別の実施形態では、ダイの2つの背面は、冷却構造体により、すなわち供給管路および/または排出管路により、電気的に接続されており、2つのダイのそれぞれの上面は、支持体を越えて、ボンディングにより、接続ピンにそれぞれ接続される。換言すると、2つのダイの上面は、異なる接続ピンによって電気的に接続される。
【0026】
この半導体デバイスの利点は、これがリードフレームなしで済ませられることである。換言すると、ダイは、冷却体に直接に取り付けられる。さらにこの構造により、特にダイの機械的な負荷が回避されかつ効率的に冷却が実現されるため、極めてコンパクトでありかつ性能の良い半導体デバイスの作製が可能になる。これにより、この構造体の歩留りおよび信頼性が高まり、コストが低減される。
【0027】
第1の実施形態では、2つのダイは、同じ熱膨張係数を有する。例えば、これらのダイは、同じ材料もしくは類似の材料、例えばGaAsから成る構成部材である。1つの発展形態では、ダイは、同じタイプで構成されており、例えば、これら同じタイプのダイオードである。同じタイプとは、これらが実質的に同じデバイスであること、すなわち同じ材料から成りかつ同じ構造を有するデバイスであること意味し、製造に起因するまたは対応する差異は、依然として同じタイプであると称される。
【0028】
択一的な実施形態では、2つのダイは、互いに異なる熱膨張係数を有する。例えば、ダイは、異なる材料もしくは異なる材料組成から成るか、かつ/またはこれらは、異なるデバイス、例えば、一方はダイオードでありかつ他方はIGBTであるか、または半導体素子のその他の一般的な組み合わせである。
【0029】
1つの発展形態では少なくとも、2つのダイがそれぞれダイオードとして構成される。好適には2つのダイオードは、同じ典型的な電気的なデータを有する。
【0030】
1つの発展形態では、冷却体の熱膨張係数は、下面から上面に変化し、この変化は、連続してまたは少なくとも1つのステップで段階的に行われる。
【0031】
熱膨張係数の変化は、例えば、冷却体の材料組成の変化によって行われる。例えば、1つの材料成分の割合が減少されるか、かつ/または別の1つの材料成分の割合が増大される。特に化学量論比が変化される。
【0032】
別の発展形態では、半導体デバイスは、少なくとも1つの別の冷却体を有する。
【0033】
別の冷却体は、上面、下面、上面と下面とをつなぐ側面、ならびに冷却媒体用の供給管路および排出管路を備えた、冷却体内に延在する冷却構造体を有する。
【0034】
別の冷却体は、上面における第3の熱膨張係数および下面における第4の熱膨張係数を有する導電性材料を含むかまたはこのような導電性材料から構成されている。1つの発展形態では、2つの膨張係数は、正確に同じである。
【0035】
別の冷却体の上面および下面にはそれぞれ1つのダイが、配置されておりかつ別の冷却体に導電接続されている。
【0036】
上面および下面の熱膨張係数、すなわち、別の冷却体の第3の膨張係数および第4の膨張係数は、そこに配置されるダイの熱膨張係数にそれぞれ相当する。
【0037】
「相当する」という語により、5%よりまたは8%よりも小さい、2つの膨張係数間の差分が含まれることに注意されたい。
【0038】
1つの発展形態では、冷却体の下面もしくは上面における膨張係数、すなわち第3の膨張係数および第4の膨張係数は、それぞれのダイの膨張係数と正確に同じである。
【0039】
好適には、第3の膨張係数および第4の膨張係数は、それぞれそこに配置されるダイの熱膨張係数から最大で10%だけまたは最大で20%だけ相違する。
【0040】
別の冷却体は、1つの側面が、第1の冷却体に対して所定の間隔で、電気絶縁性の支持体に固定されている。
【0041】
支持体には少なくとも2つの別の接続ピンが固定されており、別の冷却体は、そこに配置されたダイと別の接続ピンの一部と共に、注型材料によって包囲されている。
【0042】
したがって半導体ボディは、2つ以上の冷却体を有し、冷却体はすべて互いに離隔されて、共通の支持体に取り付けられている。接続のための接続ピンも支持体に取り付けられている。
【0043】
接続ピンもそれぞれ互いに、また冷却体に対して離隔されて配置されていることは自明のことである。例えば、少なくとも2つの冷却体は、縦長の支持体の1つの面において間隔を置いて並べられているのに対し、接続ピンは、支持体の反対側の面において同様に間隔を置いて並べられている。
【0044】
2つの冷却体に配置された、4つのダイを有する本発明の構造により、例えば、極めてコンパクトでありかつ負荷に耐え得る、フルブリッジ整流器、またはセンサを備えた集積回路の実施が可能になる。
【0045】
整流器の場合にすべてのダイが、可能な限りに同じタイプのダイオードまたはサイリスタ、GTOとして構成され、2つの冷却体を介して直流電圧が取り出されることは自明のことである。
【0046】
注型材料は、冷却体、ダイ、ならびに接続ピンおよび支持体の少なくとも一部分を包囲する。場合によっては、注型材料により、供給管路および排出管路の一部も包囲される。好ましくは、注型材料により、特に、ダイとピンとを接続するためのすべてのボンディングワイヤ、銅リボンなども包囲される。
【0047】
別の実施形態では、少なくとも1つのダイは、ダイオードである。2つの冷却体を備えた実施形態では、好適には、すべてのダイは、ダイオードであり、これにより、ダイオードまたは接続ピンまたは冷却体の対応する接続により、フルブリッジ整流器が実現される。別の構成素子、特に集積回路もこれらの冷却体に配置できることは自明のことである。特に、別の受動素子と共にダイオードを配置することができる。
【0048】
別の実施形態では、少なくとも1つのダイは、IGBTである。好ましくは、例えば、上面に配置されるダイは、ダイオードとして、また下面に配置されるダイは、IGBTとして構成される。別の構成素子、特に集積回路もこれらの冷却体に配置できることは自明のことである。
【0049】
以下では図面を参照し、本発明を詳しく説明する。ここでは同種の部分には、同じ参照符号が付されている。図示された実施形態は、大きく概略化されており、すなわち、間隔ならびに横方向および垂直方向の長さは、縮尺通りでなく、特に断らない限り、導出可能な幾何学的関係も互いに有しない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
図1】ハウジング収容型半導体デバイスの実施形態の側面図である。
図2】ハウジング収容型半導体デバイスの別の実施形態の平面図である。
図3】別の実施形態における2つの冷却体の図である。
図4】別の実施形態におけるさらに別の冷却体の図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図1の図には、導電性材料から構成される冷却体12および2つのダイ14.1および14.2を有するハウジング収容型半導体デバイス10の側面図が示されている。第1のダイ14.1は、冷却体12の上面に直接に配置されているのに対し、第2のダイ14.2は、上面とは反対側の、冷却体12の下面に直接に配置されている。
【0052】
2つのダイ14はそれぞれ、下面が、導電性材料から構成される冷却体12に導電接続されている。したがってダイの下面は、同じ電位、例えばアース電位にある。
【0053】
冷却体12はさらに上面および下面に、それぞれ、隣接するダイの熱膨張係数に相当するか、または等しいか、または10%よりもまたは20%よりも小さな差分を有する熱膨張係数を有する。
【0054】
冷却体12内の冷却構造体は、冷媒用の少なくとも1つの供給管路および少なくとも1つの排出管路16に接続されている。
【0055】
冷却体12は、1つの側面が、電気絶縁性材料から成る支持体18に配置されている。冷却体12とは反対側を向いた、支持体18の側面には2つの接続ピン20が配置されており、冷却体12は、一方の接続ピン20に接続されているのに対し、それぞれのダイ14.1および14.2の上面接続コンタクトは、例えば、ボンディングワイヤまたは金属リボンによって他方の接続ピン20にそれぞれ接続されている。図1の図では、見やすくするために、例示的にダイ14.1の上面接続コンタクトについて、接続ワイヤ24だけ示されている。ダイ14.2の上面接続コンタクトも、導電接続によって接続ピンに接続されることは自明のことである。
【0056】
注型材料22は、冷却体12と、ダイ14.1,14.2と、支持体18と、供給管路および排出管路16のそれぞれ1つの部分と、それぞれの接続ピン20の、支持体に隣接する部分と、を包囲している。
【0057】
図2の図では別の実施形態が示されている。以下では、図1の図との相違だけを説明する。
【0058】
半導体デバイス10には、互いに離隔されて支持体18に配置されている2つの冷却体12.1および12.2が含まれており、それぞれ冷却体上面およびそれぞれ冷却体下面にはダイが配置されており、冷却体12.1もしくは12.2のそれぞれ面もしくは表面は、それらに配置されているダイと同じ熱膨張係数を有する。さらに支持体18には、4つの接続ピン20が配置されている。
【0059】
冷却体もしくはダイの下面コンタクトならびにダイの上面コンタクトと、接続ピン20と、の銅リボン24による接続の第1実施形態は、図2の図に示されている。この接続構造および方法が、ダイおよび応用に向けられていることは自明のことである。
【0060】
それぞれの冷却体は、専用の供給管路および排出管路を有しており、これにより、冷媒流はほとんど並列になる。
【0061】
図3の図では、冷媒ガイドの別の実施形態が概略的に示されている。
【0062】
択一的に1つの冷却体12.1は、供給管路16.1を、また別の冷却体12.2は、排出管路16.2を有しており、冷媒は、少なくとも1つの接続管路16.3を介して、冷却体12.1から別の冷却体12.2に達する。好ましい実施形態では、接続管路16.3は、電気絶縁性材料から構成される。
【0063】
図4の図には、冷却体12の別の実施形態が示されており、以下では図1の実施形態との相違だけを説明する。
【0064】
冷却体12の上面には、第1の熱膨張係数を有する第1のダイ14.1、例えばダイオードが配置されている。冷却体12の下面には、第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数を有する第2のダイ14.2が配置されている。
【0065】
冷却体12の下面における第2の熱膨張係数から、冷却体12の上面における第1の熱膨張係数への移行は、冷却体の高さHに沿って段階的に行われ、これにより、冷却体は、それぞれ異なる熱膨張係数を有する複数の層を有する。
図1
図2
図3
図4