(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】個人情報提供システムおよび個人情報提供方法並びに個人情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240130BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2022149005
(22)【出願日】2022-09-20
(62)【分割の表示】P 2019012569の分割
【原出願日】2018-05-29
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】516133412
【氏名又は名称】株式会社カウリス
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】島津 敦好
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-120624(JP,A)
【文献】特開2004-139298(JP,A)
【文献】特開2017-97533(JP,A)
【文献】特開2005-338962(JP,A)
【文献】特開2015-106952(JP,A)
【文献】特開2010-237983(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の住所およびライフラインの供給の有無情報が対応付けられて記録されたデータベースを記憶する記憶部と、
1つの住所が
前記ライフラインの契約が存在する個人情報か否かの判定要求を端末装置から受信する受付部と、
前記受け付けた前記判定要求に含まれる前記
個人情報か否かを、前記記憶部に記憶されたデータベースを参照して判定する判定部と、
前記判定部が判定した判定結果を前記端末装置に送信する送信部とを含むものであって、
前記記憶部が、最新の更新日時を持つ個人情報を記憶することを特徴とする
個人情報提供システム。
【請求項2】
前記記憶部に記憶される前記データベースは、前記ライフラインが供給されている住所のみ、または、前記ライフラインが供給されていない住所のリストのいずれかを記憶している
ことを特徴とする請求項1に記載の
個人情報提供システム。
【請求項3】
前記記憶部は、前記ライフラインの供給の履歴情報を前記データベースに更に記憶しており、
前記判定部は、直近の第1所定期間の前記ライフラインの使用状況および当該第1所定期間よりも前の第2所定期間の前記ライフラインの使用状況を比較して前記判定部が判定した判定結果の精度を判定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の
個人情報提供システム。
【請求項4】
前記判定部は、前記第1所定期間の前記ライフラインの使用状況および前記第2所定期間の前記ライフラインの使用状況を比較して、所定の度合い以上の差異が存在する場合に、前記判定部が判定した判定結果の精度が低いと判定する
ことを特徴とする請求項3に記載の
個人情報提供システム。
【請求項5】
前記判定部は、前記所定の度合いが小さければ小さいほど前記判定部が判定した判定結果の精度が高いと判定し、前記所定の度合いが大きければ大きいほど前記判定部が判定した判定結果の精度が低いと判定する
ことを特徴とする請求項4に記載の
個人情報提供システム。
【請求項6】
前記記憶部は、前記ライフラインの供給の履歴情報を前記データベースに更に記憶しており、
前記判定部は、直近の前記ライフラインの使用状況を参照して、前記判定部が判定した判定結果の妥当性を判定するものであって、
前記個人情報提供システムは、前記個人情報に含まれる住所の名寄せを行うものであることを特徴とする請求項1または2に記載の
個人情報提供システム。
【請求項7】
前記判定部は、前記受け付けた前記判定要求に含まれる前記住所が空き家であると判定した場合に、前記直近の前記ライフラインの使用量が所定量以上である場合は、前記受け付けた前記判定要求に含まれる前記住所が空き家である旨の判定が妥当ではないと判定する
ことを特徴とする請求項6に記載の
個人情報提供システム。
【請求項8】
前記判定部は、前記受け付けた前記判定要求に含まれる前記住所が空き家ではないと判定した場合に、前記直近の前記ライフラインの使用量が所定量未満である場合は、前記受け付けた前記判定要求に含まれる前記住所が空き家ではない旨の判定が妥当ではないと判定する
ことを特徴とする請求項6または7に記載の
個人情報提供システム。
【請求項9】
前記ライフラインの供給の有無情報は、前記複数の住所と前記ライフライン
の供給者との契約が存在するか否かの情報を含む
ことを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の
個人情報提供システム。
【請求項10】
複数の住所およびライフラインの供給の有無情報が対応付けられて記録されたデータベースを記憶する記憶ステップと、
1つの住所が
前記ライフラインの契約が存在する個人情報か否かの判定要求を端末装置から受信する受付ステップと、
前記受け付けた前記判定要求に含まれる前記個人情報か否かを、前記データベースを参照して判定する判定ステップと、
前記判定ステップが判定した判定結果を前記端末装置に送信する送信ステップと、
前記記憶ステップが、最新の更新日時を持つ個人情報を記憶する
ことを特徴とする
個人情報提供方法。
【請求項11】
コンピュータに、
複数の住所およびライフラインの供給の有無情報が対応付けられて記録されたデータベースを記憶する機能と、
1つの住所が
前記ライフラインの契約が存在する個人情報か否かの判定要求を端末装置から受信する機能と、
前記受け付けた前記判定要求に含まれる前記
個人情報か否かを、前記データベースを参照して判定する機能と、
前記判定機能において判定された判定結果を前記端末装置に送信する機能と、
を実現させるものであって、
前記記憶機能が、最新の更新日時を持つ個人情報を記憶する
ことを特徴とする
個人情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空き家判定システム、空き家判定方法、および空き家判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、インターネットやスマートフォンなどの端末機器の普及に伴い、インターネット上の店舗(オンラインショップ)における取り引きが急増している。インターネット上でのこのような取り引きの場合、購入者によって指定された配送先の住所に商品を配送するとともに請求書などが併せて当該配送先に送付される。
【0003】
しかしながら、このようなインターネット上の店舗での取り引きにおいて、購入者が実際に入居者が存在しない空き家を配送先の住所として利用し、届けられた商品を入手したにも関わらず、請求書などに対して支払いを行わない不正が多発している。
【0004】
このような空き家の住所の不正利用は、インターネット上での店舗での商品購入の他にインターネット上のオークション、銀行口座の開設、各種ローンや融資の申し込み、および保有ポイントとの商品交換などにおいても行われている。商品の受け渡しが存在しない場合であっても、金融機関やクレジットカードなどの本人認証を行うための住所に空き家を指定することでも不正が行われているのが実情である。
【0005】
このような不正による被害を未然に回避すべく、特許文献1に開示された技術では、広告に掲載されている不動産物件の住所が商品の配送先に指定された住所と一致した場合に、配送先に指定された住所が不正利用であると判定する。また、特許文献1に記載の技術では、広告に掲載されている期間および配送先として利用される期間を比較して、それらの期間が重複した場合に、配送先に指定された住所が不正利用であると判定する。
【0006】
また、特許文献2は、電力サービス利用者の住宅における時系列の電力の使用状況を示す電力使用状況情報を記憶部に蓄積しておき、現在の電力の使用状況と過去の電力の使用状況との比較に基づいて利用者が在宅であるか不在であるかを判断する技術を開示している。この在宅または不在の情報を用いて、宅配業者などが効率的に宅配業務を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2015-60255号公報
【文献】特開2016-126713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に開示された技術では、広告に掲載されている不動産物件の住所を元に不正を判定しているため、広告に掲載されている不動産物件の情報のリアルタイム性が求められる。しかし、通常不動産物件の広告情報(掲載情報)は、賃貸または売買情報に紐付いてリアルタイムに掲載が制御されるものではない。通常であれば、1週間から2週間くらいのタイムラグが発生する。よって、このタイムラグの期間中であれば、不正をはたらくクライアントによって、空き家の住所が不正利用される可能性がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の技術は、利用者によって入力されている住所が空き家であるか否かを判断することを目的としていない。仮に特許文献2に記載の技術を空き家判定に使用したとしても、特許文献2に記載の技術は、現在および過去の電力使用状況を比較して利用者が在宅であるか不在であるかを判断しているため、空き家であった場合でも現在の電力使用状況および過去の電力使用状況とが類似していれば、利用者が在宅状態である(すなわち、空き家ではない)と判断されてしまう。また、引っ越し直後などの場合は、電力使用量が少ないことがあるため、空き家でもないにも関わらず、利用者が不在状態である(すなわち、空き家である)と判断されてしまう可能性もある。
【0010】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、入力された住所が空き家か否かを精度よくリアルタイム性を持たせて判定できる空き家判定システム、空き家判定方法、および空き家判定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の第1態様は、複数の住所およびライフラインの供給の有無情報が対応付けられて記録されたデータベースを記憶する記憶部と、1つの住所が空き家か否かの判定要求を端末装置から受信する受付部と、受け付けた判定要求に含まれる住所が空き家か否かを、記憶部に記憶されたデータベースを参照して判定する判定部と、判定部が判定した判定結果を端末装置に送信する送信部と、を含む空き家判定システムに関する。
【0012】
(2)上記(1)において、記憶部に記憶されるデータベースは、ライフラインが供給されている住所のみ、または、ライフラインが供給されていない住所のリストのいずれかを記憶していてもよい。
【0013】
(3)上記(1)または(2)において、記憶部は、ライフラインの供給の履歴情報をデータベースに更に記憶していてもよく、判定部は、直近の第1所定期間のライフラインの使用状況および当該第1所定期間よりも前の第2所定期間のライフラインの使用状況を比較して判定部が判定した判定結果の精度を判定してもよい。
【0014】
(4)上記(3)において、判定部は、第1所定期間のライフラインの使用状況および第2所定期間のライフラインの使用状況を比較して、所定の度合い以上の差異が存在する場合に、判定部が判定した判定結果の精度が低いと判定してもよい。
【0015】
(5)上記(4)において、判定部は、所定の度合いが小さければ小さいほど判定部が判定した判定結果の精度が高いと判定し、所定の度合いが大きければ大きいほど判定部が判定した判定結果の精度が低いと判定してもよい。
【0016】
(6)上記(1)または(2)において、記憶部は、ライフラインの供給の履歴情報をデータベースに更に記憶していてもよく、判定部は、直近のライフラインの使用状況を参照して、判定部が判定した判定結果の妥当性を判定してもよい。
【0017】
(7)上記(6)において、判定部は、受け付けた判定要求に含まれる住所が空き家であると判定した場合に、直近のライフラインの使用量が所定量以上である場合は、受け付けた判定要求に含まれる住所が空き家である旨の判定が妥当ではないと判定してもよい。
【0018】
(8)上記(6)または(7)において、判定部は、受け付けた判定要求に含まれる住所が空き家ではないと判定した場合に、直近のライフラインの使用量が所定量未満である場合は、受け付けた判定要求に含まれる住所が空き家ではない旨の判定が妥当ではないと判定してもよい。
【0019】
(9)上記(1)から(8)のいずれかにおいて、ライフラインの供給の有無情報は、複数の住所とライフライン供給者との契約が存在するか否かの情報を含んでもよい。
【0020】
(10)本発明の第2態様は、複数の住所およびライフラインの供給の有無情報が対応付けられて記録されたデータベースを記憶する記憶ステップと、1つの住所が空き家か否かの判定要求を端末装置から受信する受付ステップと、受け付けた判定要求に含まれる住所が空き家か否かを、データベースを参照して判定する判定ステップと、判定ステップが判定した判定結果を端末装置に送信する送信ステップと、を含む空き家判定方法に関する。
【0021】
(11)本発明の第3態様は、コンピュータに、複数の住所およびライフラインの供給の有無情報が対応付けられて記録されたデータベースを記憶する機能と、1つの住所が空き家か否かの判定要求を端末装置から受信する機能と、受け付けた判定要求に含まれる住所が空き家か否かを、データベースを参照して判定する機能と、判定機能において判定された判定結果を端末装置に送信する機能と、を実現させる空き家判定プログラムに関する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によると、電力などのライフラインの供給の有無によって、入力された住所が空き家か否かを判定できるため、高い精度で住所が空き家か否かを判定することができる。すなわち、本発明は、ライフラインの申し込みや契約の有無に基づいて空き家か否かを判定しているため、ライフラインの使用状況によらずリアルタイム性を持たせて住所が空き家か否かを判定することができる空き家判定システム、空き家判定方法、および空き家判定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】空き家判定システムによる処理の一例を説明するための模式図である。
【
図2】空き家判定システムの概略構成の一例を示す図である。
【
図3】クライアントの端末装置の概略構成の一例を示す図である。
【
図5】個人情報テーブルの構造の一例を示す図である。
【
図6】個々の住所ごとのライフラインの使用履歴情報の一例を示すテーブルである。
【
図7】本実施形態にかかる空き家判定システムによるクライアントの端末装置2から特定の住所の判定要求に応じて、当該住所が空き家か否かを判定し、判定結果をクライアントの端末装置に送信するまでの一連の流れの動作シーケンスの一例を示す図である。
【
図8】本実施形態の変形例1にかかる空き家判定システムによるクライアントの端末装置から特定の住所の判定要求に応じて、当該住所が空き家か否かを判定し、判定結果をクライアントの端末装置に送信するまでの一連の流れの動作シーケンスの一例を示す図である。
【
図9】本実施形態の変形例2にかかる空き家判定システムによるクライアントの端末装置から特定の住所の判定要求に応じて、当該住所が空き家か否かを判定し、判定結果をクライアントの端末装置に送信するまでの一連の流れの動作シーケンスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本開示の一側面に係る空き家判定システム、空き家判定方法、および空き家判定プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本開示の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0025】
(空き家判定システム1による処理の概要)
図1は、空き家判定システム1による処理の一例を説明するための模式図である。
【0026】
空き家判定システム1は、複数のクライアントの端末装置2および個人情報提供装置3、これらの複数のクライアントの端末装置2および個人情報提供装置3と相互に通信されるサーバ4を有する。サーバ4は、個人情報提供装置3から受信した個人情報を記憶する個人情報テーブル411を有する。サーバ4は、複数のクライアントの端末装置2、2、2・・・から受信した住所を個人情報テーブル411に記憶されている個人情報と比較して、住所が空き家に該当するか否かを判定する。
【0027】
複数のクライアントは、住所が空き家であるか否かの判定を希望(要求)するクライアントであり、インターネット上で物販を行うEC事業者やインターネットオークション開催する事業者を含むインターネットサービス事業者、および銀行などの口座やクレジットカードの本人認証を必要とする金融機関が含まれる。すなわち、住所が空き家か否かを判定したい個人や法人は、全てこのクライアントとなりうる。
【0028】
また、サーバ4がインターネットサービス事業者や金融機関のサーバである場合は、複数のクライアントがサーバ4にアクセスするユーザとなる。そして、ユーザが認証情報を得たい場合に、インターネットサービス事業者や金融機関のサーバにユーザの住所を送信して、インターネットサービス事業者や金融機関のサーバが入力されたユーザの住所が空き家であるか否かを判定する。
【0029】
個人情報提供装置3は、ライフラインを提供する事業者である。例えば、電力会社、水道局、ガス会社、電話会社、インターネット接続会社、テレビ放送提供会社、新聞事業者、牛乳などの飲料の定期宅配業者、石油の定期訪問販売事業者、などが含まれる。空き家判定システム1は、少なくとも1つの個人情報提供装置3は、少なくとも1つのライフライン提供事業者から個人情報を受け取ればよく、複数の個人情報提供装置3から個人情報を受け取ってもよい。この場合、複数の個人情報を受け取ったサーバ4は、複数の個人情報をマージして個人情報テーブル411を生成すればよい。なお、個人情報提供装置3は、実際に特定の住所地の戸内に立ち入った上で契約や申し込みが完了する電力会社や水道局やガス会社などのライフライン提供事業者が好ましい。
【0030】
サーバ4は、個人情報提供装置3から個人情報を受信して、個人情報テーブル411を作成して個人情報を記憶する。サーバ4は、複数の個人情報提供装置3から個人情報を受信する構成としてもよい。その場合、サーバ4は、受信した個人情報を同一のフォーマットに合わせて1つの個人情報テーブル411を作成してもよく、複数の個人情報テーブル411を作成してもよい。サーバ4は、複数のクライアントの端末装置2、2、2・・・から住所を受信して、個人情報テーブル411に記憶されている個人情報と比較して、住所が空き家に該当するか否かを判定し、その判定結果を複数のクライアントの端末装置2、2、2・・・に送信する。
【0031】
(空き家判定システム1の概略構成)
図2は、空き家判定システム1の概略構成の一例を示す図である。
【0032】
空き家判定システム1は、複数のクライアントの端末装置2、2、2・・・と、個人情報提供装置3と、サーバ4とを有する。以下では、複数のクライアントの端末装置を単にクライアントの端末装置2と称する場合がある。クライアントの端末装置2、2、2・・・およびサーバ4は、例えば、インターネット5などの通信ネットワークを介してそれぞれ相互に接続される。更に、個人情報提供装置3およびサーバ4は、例えば、インターネット5などの通信ネットワークを介してそれぞれ相互に接続される。また、ここではインターネット5が1つ例示されているが、インターネット5が複数のネットワークからなる場合は、それぞれのネットワーク間にゲートウェイ(図示しない)を適宜設けてもよい。クライアントの端末装置2で実行されるプログラム(例えば、閲覧プログラム)と、サーバ4で実行されるプログラム(例えば、管理プログラム)とは、ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)などの通信プロトコルを用いて通信を行う。
【0033】
更に、クライアントの端末装置2とサーバ4のと間の接続、および個人情報提供装置3とサーバ4との間の接続は、扱う情報が機密情報となるため、インターネット5の通信環境がセキュリティーの面で優れている必要がある。また、クライアントの端末装置2とサーバ4のと間の接続、および個人情報提供装置3とサーバ4との間の接続は、専用の回線を用意することでセキュリティーを強化することができる。
【0034】
(クライアントの端末装置2の概略構成)
図3は、クライアントの端末装置2の概略構成の一例を示す図である。
【0035】
クライアントの端末装置2は、無線通信ネットワークへの接続、Webアクセスなどを実行する。そのために、クライアントの端末装置2は、端末通信部211と、端末記憶部212と、端末操作部213と、端末表示部214と、端末処理部215とを備える。
【0036】
なお、クライアントの端末装置2としては、タブレットPCやノートPCを想定するが、本発明はこれに限定されない。クライアントの端末装置2は、本発明が適用可能であればよく、例えば、多機能携帯電話(所謂「スマートフォン」)、携帯電話(所謂「フィーチャーフォン」)、携帯情報端末(PDA)、携帯ゲーム機、携帯音楽プレイヤ、タブレット端末、などでもよい。
【0037】
端末通信部211は、通信インターフェース回路を備え、クライアントの端末装置2をインターネット5に接続する。端末通信部211は、ネットワークを介して端末処理部215から供給されたデータをサーバ4などに送信する。また、端末通信部211は、ネットワークを介してサーバ4などから受信したデータを端末処理部215に供給する。
【0038】
端末記憶部212は、例えば、半導体メモリ装置を備える。端末記憶部212は、端末処理部215での処理に用いられるオペレーティングシステムプログラム、ドライバプログラム、アプリケーションプログラム、データなどを記憶する。例えば、端末記憶部212は、ドライバプログラムとして、端末操作部213を制御する入力デバイスドライバプログラム、端末表示部214を制御する出力デバイスドライバプログラムなどを記憶する。また、端末記憶部212は、アプリケーションプログラムとして、店舗関係者が端末操作部213を操作することによって入力された検索条件、特徴情報および特徴画像などをサーバ4に登録するための登録画面を表示する閲覧プログラムなどを記憶する。各種プログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラムなどを用いて端末記憶部212にインストールされてもよい。また、端末記憶部212は、所定の処理に係る一時的なデータを一時的に記憶してもよい。
【0039】
端末操作部213は、クライアントの端末装置2の操作が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、マウス、タッチパネル、またはキーボタンなどである。ユーザは、端末操作部213を用いて、情報の選択や解除、文字や数字などを入力することができる。端末操作部213は、ユーザにより操作されると、その操作に対応する信号を発生する。そして、発生した信号は、端末処理部215に送信される。
【0040】
端末表示部214も、映像や画像などの表示が可能であればどのようなデバイスでもよく、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどである。端末表示部214は、端末処理部215から供給された映像データに応じた映像や、画像データに応じた画像などを表示する。
【0041】
端末処理部215は、一または複数個のプロセッサおよびその周辺回路を備える。端末処理部215は、クライアントの端末装置2の全体的な動作を統括的に制御するものであり、例えば、CPUである。端末処理部215は、クライアントの端末装置2の各種処理が端末記憶部212に記憶されているプログラムや端末操作部213の操作などに基づいて適切な手順で実行されるように、端末通信部211や端末表示部214などの動作を制御する。端末処理部215は、端末記憶部212に記憶されているプログラム(オペレーティングシステムプログラムやドライバプログラム、アプリケーションプログラムなど)に基づいて処理を実行する。また、端末処理部215は、複数のプログラム(アプリケーションプログラムなど)を並列に実行することができる。
【0042】
端末処理部215は、クライアントの端末装置2の外部から受信した画面表示情報をユーザに閲覧可能な画面表示として処理をする機能や、ユーザからの端末操作部213の操作内容に基づく処理をクライアントの端末装置2の外部に送信可能な信号に変換して端末送信部211に送る機能を備える。これらの機能は、端末処理部215が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、またはファームウェアとしてクライアントの端末装置2に実装されてもよい。
【0043】
(クライアントの端末装置2の処理)
クライアントの端末装置2は、クライアントに操作される。クライアントは、端末操作部213を操作して空き家か否かの判定を求める住所をクライアントの端末装置2に入力する。必要に応じて端末処理部215が住所の加工や変換などを行って、端末通信部211は、住所をサーバ4に送信する。この際に、端末記憶部212が、サーバ4に送信される住所を履歴情報として記憶してもよい。
【0044】
また、クライアントの端末装置2は、クライアントの独自のシステムを兼ねていてもよい。この場合、住所のサーバ4への送信は、当該クライアントの独自のシステムが自動的に行うこともできる。すなわち、クライアントの独自のシステムが入手した住所を端末処理部215が加工や変換などを行って、端末通信部212がサーバ4に送信してもよい。または、クライアントの端末装置2が他のサーバである場合もある。その場合は、他のサーバが当該サーバ内部で処理した情報から住所をサーバ4に送信すればよい。更に、クライアントの端末装置2は、他の情報と共に住所をサーバ4に送信してもよい。前述の通り、クライアントがインターネット事業者や金融機関のサーバに認証情報を求めるユーザである場合、ユーザの保有する端末装置がクライアントの端末装置2となる。
【0045】
(個人情報提供装置3の処理)
個人情報提供装置3は、サーバ4の要求に応じて個人情報をサーバ4に提供する。個人情報提供装置3は、サーバ4からの要求がある度に個人情報をサーバ4に送信してもよく、定期的に個人情報提供装置3が個人情報をサーバ4に送信してもよい。更に、個人情報提供装置3がサーバ4を兼ねている場合、個人情報提供装置3は、個人情報をサーバ4に送信せずにクライアントの端末装置2から住所を受信して、当該住所が空き家か否かを判定する。また、図示は、しないが個人情報提供装置3は、通信部や記憶部などのサーバとしての構成要素を備えているとよい。
【0046】
個人情報提供装置3は、クライアントの端末装置2から受け付けた住所が個人情報提供装置3からサーバ4が受信した個人情報に含まれない場合や、後述する通り、個人情報テーブル411に含まれるライフラインの使用履歴情報に基づいて判定部414の判定結果の精度が低い場合などに最新の個人情報をサーバ4に提供する構成としてもよい。このような構成とすることで、個人情報提供装置3の個人情報のアップデートの頻度を下げることができるため、サーバ4の通信量を制限することができる。
【0047】
個人情報提供装置3がサーバ4に提供する個人情報は、住所およびライフラインの契約の有無を少なくとも含む。また、個人情報提供装置3は、個人情報にライフラインの契約有無情報を含まず、ライフラインの契約が存在する個人情報のみを個人情報としてサーバ4に提供してもよくライフラインの契約が存在しない個人情報のみを個人情報としてサーバ4に提供してもよい。なお、個人情報提供装置3が提供する個人情報は、個人情報提供装置3を提供するライフライン提供者が過去に契約をしたことがない住所を含む個人情報については、個人情報に含まず、契約実績のある住所を含む個人情報のみをサーバ4に提供することで、クライアントの端末装置2から受信した住所が判定不可能な場合にその判定結果をクライアントの端末装置2に送信することができる。
【0048】
(サーバ4の概略構成)
図4は、サーバ4の概略構成の一例を示す図である。
【0049】
サーバ4は、個人情報を記憶する個人情報テーブル411を記憶するサーバ記憶部412を備える。そして、サーバ4は、複数のクライアントの端末装置2からの要求に応じて個人情報テーブル411を参照して複数のクライアントの端末装置2から受信した住所が個人情報テーブル411に存在するかを判定する。以上のような機能を実現するために、サーバ4は、サーバ記憶部412の他に、受付部413、判定部414、および生成部415を含むサーバ処理部416、およびサーバ通信部417を更に備える。
【0050】
個人情報テーブル411は、サーバ通信部417が受信した個人情報を各個人情報ごとに個人情報識別情報に付与し、更に個人情報テーブル411は、個人情報識別情報ごとライフラインの契約の有無情報を対応付けて記憶している。なお、個人情報は、少なくとも住所を含んでいればよい。また、個人情報テーブル411がライフラインの契約の有無情報を記憶しない場合は、サーバ通信部417が受信した個人情報がライフラインの契約が有る住所のリストであったり、ライフラインの契約が無い住所のリストであったりする。更に、個人情報テーブル411が記憶する情報としてライフラインの契約の替わりに、ライフラインの申し込みの有無を記憶していてもよい。なお、本発明において、ライフラインの契約の有無またはライフラインの申し込みの有無がライフラインの供給に相当することができる。
【0051】
また、詳細は後述するが、個人情報テーブル411は、個人情報識別情報(個々の住所)ごとのライフラインの使用履歴情報を更に記憶している。このライフラインの使用履歴情報は、サーバ記憶部412の個人情報テーブル411とは別に記憶していてもよい。ライフラインの使用履歴情報は、例えば直近の数ヶ月などの所定期間分のみを記憶していればよく、所定期間が経過した使用履歴情報は削除される構成としてもよい。
【0052】
サーバ記憶部412は、例えば、半導体メモリ、磁気ディスク装置および光ディスク装置の内の少なくとも一つを有し、バスを介してサーバ4と接続される。サーバ記憶部412は、サーバ処理部416による処理に用いられるドライバプログラム、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム、データなどを記憶する。例えば、サーバ記憶部412は、ドライバプログラムとして、サーバ通信部417を制御する通信デバイスドライバプログラムなどを記憶する。コンピュータプログラムは、例えばCD-ROM、DVD-ROMなどのコンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラムなどを用いてサーバ記憶部412にインストールされてもよい。また、サーバ記憶部412は、個人情報テーブル411などを記憶する。なお、サーバ記憶部412は、本発明の記憶部に相当することができる。
【0053】
サーバ処理部416は、受付部413、判定部414、および生成部415を含む。 サーバ処理部416による機能は、サーバ処理部416が備えるプロセッサで実行されるプログラムにより実現される機能モジュールである。あるいは、これらの各部は、独立した集積回路、マイクロプロセッサ、またはファームウェアとしてサーバ4に実装されてもよい。なお、サーバ処理部416の処理内容は後述する。また、サーバ処理部416の構成要素の切り分けは、一例であって、どの構成要素がどの処理を行うかは、本実施形態の記載に限定されない。
【0054】
受付部413は、後述するサーバ通信部417を介して複数のクライアントの端末装置2から受信した住所を一括に受け付ける。具体的に受付部413は、クライアントから空き家か否かの判定要求として住所を受け付ける。本発明において、受付部413は、受付部に相当することができる。なお、サーバ記憶部412は、受付部413が受け付けた住所を記憶する構成としてもよいが、個人情報保護の観点から受け付けた住所は記憶せずに、受け付けた住所を一時的な保存領域(メモリ)に記憶してサーバ処理部416が空き家か否かの判定を行うだけの処理を行う構成とする方が好ましい。この一時的な保存領域もサーバ記憶部412が司ってもよい。
【0055】
判定部414は、複数のクライアントの端末装置2から受付部413が受け付けた住所が空き家か否かを判定する。すなわち、個人情報テーブル411を参照して、受け付けた住所にライフラインの契約が存在するか否かを判定する。判定部414は、ライフラインの契約が存在する場合、受付部413が受け付けた住所が空き家ではないと判定する。一方、判定部414は、ライフラインの契約が存在しない場合、受付部413が受け付けた住所が空き家であると判定する。
【0056】
判定部414は、サーバ記憶部412が記憶しているライフラインの使用履歴情報を元に更に精度の高い判定を行うことができる。例えば、ライフラインの契約が残っているにも関わらず、引っ越しの都合上既に空き家となっている場合は、実際には住居が空き家状態になっているにも関わらず空き家ではないと判定されることになる。一方、ライフラインの契約があるにも関わらず、引っ越しの都合上入居が完了していない場合は、実際には住居が空き家状態になっているにも関わらず空き家ではないと判定されることになる。また、個人情報提供装置3からの個人情報の提供がタイムリーに行われない場合は、ライフラインの契約無いと判定されていても、実際には入居が済んでいる場合もある。逆に、ライフラインの契約が終了しているにも関わらず、ライフラインの契約の有無がタイムリーに行われていない場合は、空き家ではないと判定されてしまう。
【0057】
そこで判定部414は、サーバ記憶部412が記憶しているライフラインの使用履歴情報を元に空き家か否かの判定を行う。まず判定部414は、直近の第1所定期間のライフラインの使用状況をサーバ記憶部412から取得して、当該直近の所定期間よりも前の第2所定期間のライフラインの使用状況をサーバ記憶部412から取得する。そして判定部414は、それらの第1所定期間におけるライフラインの使用状況および第2所定期間におけるライフラインの使用状況を比較して、所定の度合い以上の差異が存在する場合に、ライフラインの契約の有無を用いて判定した空き家か否かの情報が誤っている可能性があると判定する。
【0058】
生成部415は、クライアントの端末装置2に送信される様々な表示画面を生成する。特に、判定部414が判定した空き家か否かの判定結果を含む画面を生成して、サーバ通信部417を介してクライアントの端末装置2に送信する。
【0059】
生成部415が生成した空き家か否かの判定結果は、サーバ記憶部412に記憶されてもよい。しかしながら、個人情報保護の観点から空き家か否かの判定結果もサーバ記憶部412に記憶せずに、生成部415の生成結果を一時的な保存領域(メモリ)に記憶して、クライアントの端末装置2に送信する構成とする方が好ましい。この一時的な保存領域もサーバ記憶部412が司ってもよい。
【0060】
サーバ通信部417は、サーバ4をインターネット5に接続するための通信インターフェース回路を有する。サーバ通信部417は、クライアントの端末装置2から空き家か否かの判定を求める住所を受信し、判定部414による判定結果をクライアントの端末装置2に送信する。また、サーバ通信部417は、個人情報提供装置3から個人情報の提供を受ける際に、情報を受信する。サーバ通信部417は、必要に応じてクライアントの端末装置2と様々な通信を行い、サーバ通信部417は、必要に応じて個人情報提供端末3と様々な通信を行う。
【0061】
(個人情報テーブルのデータ構造)
図5は、個人情報テーブル411の構造の一例を示す図である。また、
図6は、個々の住所ごとのライフラインの使用履歴情報の一例を示すテーブルである。
【0062】
なお、サーバ記憶部412が個人情報テーブル411を記憶するのではなく、個人情報提供装置3やその他の外部の記憶装置(サーバ)が個人情報テーブル411を記憶してもよい。この場合、サーバ4は、個人情報テーブルに記憶された情報を使用する際に、個人情報テーブル411を記憶する他の装置にアクセスして、当該テーブルに記憶された情報を取得する。また、個人情報テーブル411に含まれる各情報は、テーブル以外の形式で記憶されてもよく、例えばそれぞれ独立して記憶されてもよい。
【0063】
図5は、個人情報テーブル411の構造の一例を説明する表である。個人情報テーブル411は、個人情報識別情報(個人情報識別ID)、住所、およびライフラインの契約有無情報を含む。個人情報識別情報は、サーバ4が個々の住所ごとに付与してもよく、個人情報提供装置3が付与してもよい。なお、ライフラインの契約有無情報を含まず、ライフラインの契約が存在するリストや存在しないリストを個人情報テーブル411が記憶する場合、個人情報テーブル411は、ライフラインの契約有無情報を記憶する必要がない。複数の個人情報提供装置3から個人情報を受け付ける場合、個人情報テーブル411は、複数の異なるフォーマットで作成された個人情報のリストを
図5に示すようなフォーマットに変換して記憶する必要がある。この際、複数の個人情報提供装置3が同一の個人情報を保持している可能性がある。よって、個人情報テーブル411は、これらの重複した個人情報については、適宜マージするとよい。また、複数の個人情報提供装置3に含まれるライフラインの契約の有無情報が同一ではない場合には、最新の更新日時を持つ個人情報提供装置から得られた個人情報のデータを優先して個人情報テーブル411に記憶すればよい。
【0064】
図6は、個々の住所ごとのライフラインの使用履歴情報の一例を示すテーブルである。使用履歴情報の記憶は、サーバ記憶部412が行う想定としているが、個人情報の保護の観点から個人情報提供装置3が記憶しており、サーバ4は、個人情報提供装置3に毎度アクセスする構成としてもよい。
図6に示される通り、ライフラインの使用履歴情報は、個々の住所ごとの使用履歴であることから、個々の住所または、個人情報識別情報に使用履歴情報が対応付けられて記憶されている。具体的には、使用期間と使用量が個人情報識別情報に対応付けられて記憶されている。
【0065】
(空き家判定システム1による処理)
図7は、本実施形態にかかる空き家判定システム1によるクライアントの端末装置2から特定の住所の判定要求に応じて、当該住所が空き家か否かを判定し、判定結果をクライアントの端末装置に送信するまでの一連の流れの動作シーケンスの一例を示す図である。
【0066】
以下に説明する動作シーケンスは、予めサーバ記憶部412に記憶されているプログラムに基づいて、主にサーバ処理部416により、サーバ4の各要素と協働して実行される。また、以下に説明する動作シーケンスにおいて、サーバ4は、サーバ通信部417を介してクライアントの端末装置2と各種の情報を送受信する。
【0067】
最初にサーバ4の受付部413は、クライアントの端末装置2から特定の住所が空き家か否かの判定を求める判定要求を受信する(S101)。判定要求に含まれる情報は、少なくとも住所であり、その他の情報を同時に受け付ける構成としてもよい。また、住所は、必ず1つの住居の戸を特定可能である必要があるため、都道府県および市町村以外に番地や号の情報までを含む必要がある。よって、受付部413は、受信した住所が完全なものかを判定する処理を行う処理を行い、判定部414が、受信した住所が完全なものかの判定する(S102)。
【0068】
受付部413が受信した住所が完全なものではない場合(S102がNO)、エラー情報がクライアントの端末装置2にサーバ通信部417から送信され、処理が終了される。一方、受付部413が受信した住所が完全なものである場合(S102がYES)、判定部414は、受付部413が受信した住所が個人情報提供装置3から受け付けた個人情報に含まれるか否かを判定する(S103)。すなわち、受付部413が受信した住所が個人情報テーブル411に含まれない住所である場合(S103がNO)、判定部414が空き家か否かの判定を行えないため、エラー情報がクライアントの端末装置2にサーバ通信部417から送信される。この場合も、処理は終了される。
【0069】
受付部413が受信した住所が個人情報テーブル411に存在する場合(S103がYES)、判定部414は、受付部413が受信した住所と一致する住所を個人情報提供装置3から受け付けた個人情報から検索して、受付部413が受信した住所にライフラインの契約が存在するか否かを判定する(S104)。
【0070】
図5に示す個人情報テーブル411の例では、個人情報IDが0003に対応付けられた住所についてライフラインの契約が存在しないことがわかる。
【0071】
なお、個人情報テーブル411が個人情報ごとにライフラインの契約有無情報を含まず、ライフラインの契約が存在する個人情報のみを個人情報としてサーバ4に提供している場合、判定部414は、空き家ではないことを判定するのみを実施できる。一方、個人情報テーブル411がライフラインの契約が存在しない個人情報のみを個人情報としてサーバ4に提供している場合、判定部414は、空き家であることのみを判定できる。
【0072】
次に、判定部414は、直近の第1所定期間のライフラインの使用状況および当該直近の所定期間よりも前の第2所定期間のライフラインの使用状況を比較して、所定の度合い以上の差異が存在する場合に、ライフラインの契約の有無を用いて判定した空き家か否かの情報が誤っている可能性があると判定する(S105)。すなわち、判定部414は、前のS103で判定した結果に対して、どの程度の精度で判定結果が正しいかの精度判定を更に行うことができる。判定部414は、所定の度合いの差異が小さければ小さいほどS104の判定結果の精度が高いと判定し、所定の度合いの差異が大きければ大きいほどS104の判定結果の判定結果の精度が低いと判定する。
【0073】
図6の例では、直近の第1所定期間のライフラインの使用状況(電力使用量)が、それまでの第2所定期間ライフラインの使用情報(電力使用量)と比較して大幅に減少しているため、ライフラインの契約の有無に関わらず直近の第1所定期間において、特定の住所を含む住居に退去した可能性があると判定できる(S104の判定結果の精度が低い)。一方、
図6の例とは異なる例として、直近の第1所定期間のライフラインの使用状況(電力使用量)が、それまでの第2所定期間ライフラインの使用情報(電力使用量)と比較して大幅に増大している場合には、ライフラインの契約の有無に関わらず直近の第1所定期間において、特定の住所を含む住居に入居した可能性があると判定できる(S104の判定結果の精度が低い)。また、
図6の例では、半年間の使用履歴情報が個人情報識別情報ごとに個人情報テーブル411に記憶されており、所定期間が1ヶ月に設定されている。この所定期間を短くすることで、更に精度判定を正確に行うことが可能である。しかしながら、所定期間を1日から1週間程度としてしまうと、長期不在にしている場合を、空き家である可能性が高いと判定してしまうため、所定期間は、半月程度が好ましい。
【0074】
続いて、サーバ通信部417は、S104で得られた判定結果およびS105で得られた判定結果の精度判定結果を元に、クライアントの端末装置2に送信する判定結果を生成して、クライアントの端末装置2に送信する(S106)。なお、サーバ通信部417は、S105の精度判定を行わず、S104のライフラインの契約の有無のみに基づいて得られた判定結果をクライアントの端末装置2に送信する構成としてもよい。
【0075】
以上説明したように、本実施形態にかかる空き家判定システム1は、複数のクライアントの端末装置2からの要求に含まれる住所が空き家か否かをライフラインの契約の有無情報に応じて判定し、更にその判定結果の精度をライフラインの使用履歴情報に基づいて判定することができる。近年では、ライフラインの種別によっては、スマートメータを採用しているケースが多く、ライフラインの契約の有無情報のみからでも高い精度で空き家か否かの判定を行うことができる。また、ライフラインの使用履歴情報を用いることによって、空き家か否かの判定結果の精度判定を更に行うことで、空き家か否かの判定の精度を更に上げることができる。
【0076】
当業者は、本発明の精神および範囲から外れることなく、様々な変更、置換および修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。以下に説明する変形例においては、それぞれの変形例同士が組み合わせれて本発明を実施可能であることも理解されたい。
【0077】
(変形例1)
図5の個人情報テーブル411に示される通り、住所表記とは、表記ゆれが多く発生するものである。表記ゆれが存在する場合、個人情報提供装置3が保有する住所の住所表記およびクライアントの端末装置2から受信した住所の住所表記が異なる場合に、判定部414は、正常は判定が行えない。よって、本実施形態において、サーバ4は、個人情報提供装置3から個人情報を受信した際に、個人情報提供装置3から受信した個人情報に含まれる住所の住所表記を名寄せして、統一のフォーマットに変更して個人情報テーブル411に記憶してもよい。また、クライアントの端末装置2から受信した住所の住所表記の名寄せの処理を、S102の前後のどちらかに入れることで、個人情報テーブル411のフォーマットにクライアントの端末装置2から受信した住所の住所表記を合わせることができるため、判定部414は、正常に空き家か否かの判定を行うことができる。
【0078】
図8は、本実施形態の変形例1にかかる空き家判定システム1によるクライアントの端末装置2から特定の住所の判定要求に応じて、当該住所が空き家か否かを判定し、判定結果をクライアントの端末装置に送信するまでの一連の流れの動作シーケンスの一例を示す図である。
【0079】
例えば、
図8のように、受付部413が受信した住所が完全なものである場合(S102がYES)に、受付部413が受信した住所の表示を名寄せする処理を行うことが可能である(S107)。住所表記の名寄せが完了すると、判定部414は、受付部413が受信した住所が個人情報提供装置3から受け付けた個人情報に含まれるか否かを判定する(S103)。
【0080】
(変形例2)
本実施形態において、判定部414は、S104の判定結果の判定結果の精度を直近の第1所定期間のライフラインの使用状況および当該直近の所定期間よりも前の第2所定期間のライフラインの使用状況を比較して、所定の度合い以上の差異が存在するか否かによって判定した。しかしながら、判定部414は、ライフラインの直近の使用状況だけを用いて、S104の判定結果の妥当性を判定することができる。
【0081】
図9は、本実施形態の変形例2にかかる空き家判定システム1によるクライアントの端末装置2から特定の住所の判定要求に応じて、当該住所が空き家か否かを判定し、判定結果をクライアントの端末装置に送信するまでの一連の流れの動作シーケンスの一例を示す図である。
【0082】
例えば、
図9に示す通りS104にて、受付部413が受信した住所にライフラインの契約の有無を判定した後で、当該住所の直近のライフラインの使用履歴を参照してS104の判定結果の妥当性を判定する(S108)。具体的には、受付部413が受信した住所が空き家ではないと判定部414が判定した場合に、直近のライフラインの使用量が著しく少ない(略ゼロ)場合、判定部414は、受付部413が受信した住所が空き家ではないという判定が妥当ではないと判定する。一方、受付部413が受信した住所が空き家であると判定部414が判定した場合に、直近のライフラインの使用量が所定量より多い(ゼロではない)場合、判定部414は、受付部413が受信した住所が空き家であるという判定が妥当ではないと判定する。
【0083】
(変形例3)
本実施形態では、サーバ4がS101からS106の処理を実行することとして記載しているが、S101からS106の処理の少なくとも一部を複数のクライアントの端末装置2などが実施することでも本発明を実施することができる。この場合、サーバ4は、サーバ通信部417を通じて、クライアントの端末装置2にAPI(Application Programming Interface)などを提供することで、サーバ4およびクライアントの端末装置2の端末処理部215と共同して本発明を実施することができる。個人情報テーブル411は、個人情報の保護の観点からサーバ4の外部に出すことが困難であるため、S103、S104、およびS105の処理は、クライアントの端末装置2で実行することは好ましくない。よって、S103、S104、およびS105以外の少なくとも一部をAPIなどとして配布することができる。また、個人情報テーブル411を外部に出せる場合には、クライアントの端末装置2内でS101からS106の処理を全て実行することとしてもよい。
【0084】
(変形例4)
本実施形態では、サーバ4がS101からS106の処理を実行することとして記載しているが、個人情報提供装置3から個人情報の提供が困難な場合が考えられる。その場合、個人情報テーブル411が個人情報提供装置3内に存在することとなるため、S103、S104、およびS105の処理をサーバ4内で完結できない。よって、S103、S104、およびS105の処理を個人情報提供装置3が実施する必要がある。また、変形例3同様に、S101からS106の少なくとも一部を個人情報提供装置3が実施できるようなAPIとして、サーバ通信部417が個人情報提供装置3に提供することができる。更には、S101からS106の処理を全て個人情報提供装置3が実施する構成とすることもできる。
【符号の説明】
【0085】
1 空き家判定システム
2 クライアントの端末装置
211 端末通信部
212 端末記憶部
213 端末操作部
214 端末表示部
215 端末処理部
3 個人情報提供装置
4 サーバ
411 個人情報テーブル
412 サーバ記憶部
413 受付部
414 判定部
415 生成部
416 サーバ処理部
417 サーバ通信部
5 インターネット