(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】部品寸法データ集計装置
(51)【国際特許分類】
G01B 11/02 20060101AFI20240130BHJP
G01D 9/00 20060101ALI20240130BHJP
B23P 19/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G01B11/02 Z
G01D9/00 A
B23P19/00 302U
(21)【出願番号】P 2023144909
(22)【出願日】2023-09-07
【審査請求日】2023-09-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523341565
【氏名又は名称】株式会社レイズテック
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】坂本 穏夫
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108491952(CN,A)
【文献】特開2006-208290(JP,A)
【文献】特開2005-302520(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104036424(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 1/00-21/32
G06Q 10/00-1/30
30/00-30/08
50/00-50/20
50/26-99/00
G16Z 99/00
G01D 9/00
B23P 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1金属加工部品及び第2金属加工部品の寸法計測データを集計する部品寸法データ集計装置であって、
一の前記第1金属加工部品について複数
箇所における複数の第1寸法計測データ、及び一の前記第2金属加工部品について複数
箇所における複数の第2寸法計測データをそれぞれ取得するデータ取得部と、
取得した
一の前記第1金属加工部品についての複数
箇所における複数の前記第1寸法計測データを予め定められた第1公差データとそれぞれ比較するとともに、取得した
一の前記第2金属加工部品についての複数
箇所における複数の前記第2寸法計測データを予め定められた第2公差データとそれぞれ比較する比較部と、
取得した
一の前記第1金属加工部品についての複数
箇所における複数の前記第1寸法計測データ、及び
一の前記第2金属加工部品についての複数
箇所における複数の前記第2寸法計測データを表示する表示部と、
取得した
一の前記第1金属加工部品についての複数
箇所における複数の前記第1寸法計測データの第1平均値、及び
一の前記第2金属加工部品についての複数
箇所における複数の前記第2寸法計測データの第2平均値を算出する平均値算出部と、
前記第1平均値と前記第2平均値に基づいて、前記第1金属加工部品と前記第2金属加工部品との組合せが可能か否かを判断する組合せ決定部と、
前記組合せ決定部が組合せ可能と判断した前記第1金属加工部品と前記第2金属加工部品における複数
箇所における複数の前記第1寸法計測データ及び複数
箇所における複数の前記第2寸法計測デー
タのバーコードを作成するバーコード作成部と、
作成した前記バーコードを紙に印刷する印刷部と、を備えたことを特徴とする部品寸法データ集計装置。
【請求項2】
前記比較部で比較した結果、いずれかの前記第1寸法計測データ、又は前記第2寸法計測データが前記公差データ外である場合に、当該公差データ外である前記第1寸法計測データ又は前記第2寸法計測データが不合格である旨の警告を発することを特徴とする請求項
1に記載の部品寸法データ集計装置。
【請求項3】
前記第1金属加工部品は、前記第2金属加工部品に圧入される部品であり、前記組合せ決定部は、最適な圧入が行える組合せの決定を行うことを特徴とする請求項
1又は2に記載の部品寸法データ集計装置。
【請求項4】
前記一の前記第1金属加工部品についての複数箇所における複数の前記第1寸法計測データは、それぞれ所定距離離れた複数位置における直径であり、一の前記第2金属加工部品についての複数箇所における複数の前記第2寸法計測データは、それぞれ所定距離離れた複数位置における内径であることを特徴とする請求項1に記載の部品寸法データ集計装置。
【請求項5】
前記最適な圧入が行える組み合わせとは、前記第1平均値と前記第2平均値の差分が予め定められた値(締め代中間点)に最も近い前記第1平均値を有する前記第1金属加工部品と前記第2平均値を有する前記第2金属加工部品の組合せであることを特徴とする請求項
3に記載の部品寸法データ集計装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属加工部品の寸法データを集計してデータ管理装置にバーコード出力する部品寸法データ集計装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両等に使われる金属加工部品は、高精度の寸法精度が求められるとともに、車軸に対する密封コロの圧入等においては両者の組合せの相性管理が求められている。
【0003】
従来は、加工した金属加工部品の寸法を計測しメモ用紙等に手書きして相性管理を行っていたが、ミスの発生や手間がかかる等のため、コンピュータ管理することが望まれていた。
【0004】
特許文献1には、鉄道車両において、外観検査による計測データを取得するデータ取得部と、検査の要否を判定した結果を出力する判定結果出力部と、検査票作成部と、検査票出力部とを備えた検修管理システムの構成が記載されている。
特許文献2には、センサーからの信号をサンプリング間隔で計測し取得する計測部と、メモリに記録する記録部と、計測値を上限値又は下限値と比較する監視部と、それにより通報を出力する通報部とを備えたログ端末の構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許文献1:特開2023-025835号公報
特許文献2:特開2002-190088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の検修管理システムは、完成された鉄道を外観から検査して管理するものであり、金属加工部品毎の集計や管理には適さないという問題があった。
また、特許文献2に記載のログ端末は、予め定めた対象に対して継続的に測定をするものであって、金属加工部品間の相性管理には適していないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点を解決して、金属加工部品の計測データを簡単なシステムで集計処理することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、第1金属加工部品及び第2金属加工部品の寸法計測データを集計する部品寸法データ集計装置であって、
一の前記第1金属加工部品について複数箇所の第1寸法計測データ、及び一の前記第2金属加工部品について複数箇所の第2寸法計測データをそれぞれ取得するデータ取得部と、
取得した一の前記第1金属加工部品についての複数箇所における複数の前記第1寸法計測データを予め定められた第1公差データとそれぞれ比較するとともに、取得した一の前記第2金属加工部品についての複数箇所における複数の前記第2寸法計測データを予め定められた第2公差データとそれぞれ比較する比較部と、
取得した一の前記第1金属加工部品についての複数箇所における複数の前記第1寸法計測データ、及び一の前記第2金属加工部品についての複数箇所における複数の前記第2寸法計測データを表示する表示部と、
取得した一の前記第1金属加工部品についての複数箇所における複数の前記第1寸法計測データの第1平均値、及び一の前記第2金属加工部品についての複数箇所における複数の前記第2寸法計測データの第2平均値を算出する平均値算出部と、
前記第1平均値と前記第2平均値に基づいて、前記第1金属加工部品と前記第2金属加工部品との組合せが可能か否かを判断する組合せ決定部と、
前記組合せ決定部が組合せ可能と判断した前記第1金属加工部品と前記第2金属加工部品における複数箇所における複数の前記第1寸法計測データ及び複数箇所における複数の前記第2寸法計測データのバーコードを作成するバーコード作成部と、
作成した前記バーコードを紙に印刷する印刷部と、を備えたことを特徴とする部品寸法データ集計装置を提供するものである。
【0017】
この構成により、手書きによる集計を脱し、金属加工部品の計測データを簡単なシステムで集計し、バーコード出力するとともに、金属加工部品同士の相性管理を行うことができる。
【0018】
部品寸法データ集計装置であって、前記比較部で比較した結果、いずれかの前記第1寸法計測データ、又は前記第2寸法計測データが前記公差データ外である場合に、当該公差データ外である前記第1寸法計測データ又は前記第2寸法計測データが不合格である旨の警告を発する構成としてもよい。
【0019】
この構成により、計測した第1金属加工部品又は第2金属加工部品における寸法の合否について一目で把握でき、当該金属加工部品を速やかに再加工することができる。
【0020】
部品寸法データ集計装置であって、前記第1金属加工部品は、前記第2金属加工部品に圧入される部品であり、前記組合せ決定部は、最適な圧入が行える組合せの決定を行う構成としてもよい。
【0021】
この構成により、第1金属加工部品の第2金属加工部品に対する圧入について最適な組合せの決定を行うことができる。
【0022】
部品寸法データ集計装置であって、前記最適な圧入が行える組み合わせとは、前記第1平均値と前記第2平均値の差分が予め定められた値(締め代中間点)に最も近い前記第1平均値を有する前記第1金属加工部品と前記第2平均値を有する前記第2金属加工部品の組合せである構成としてもよい。
【0023】
この構成により、前記第1平均値と前記第2平均値の差分が予め定められた値(締め代中間点)に最も近い前記第1平均値を有する前記第1金属加工部品と前記第2平均値を有する前記第2金属加工部品の組合せとすることで、最適な圧入が行える。
【発明の効果】
【0024】
本発明の部品寸法データ集計装置により、第1平均値と第2平均値の差分を求めることにより、第1金属加工部品と第2金属加工部品との最適な組合せを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施例1における部品寸法データ集計装置の構成を説明する図である。
【
図2】本発明の実施例1における部品寸法データ集計装置の動作を説明するフロー図である。
【
図3】本発明の実施例1における部品寸法データ集計装置の計測対象の車軸を説明する図である。
【
図4】本発明の実施例1における部品寸法データ集計装置の計測対象の密封コロを説明する図である。
【
図5】本発明の実施例1における表示部の計測データ集計表示例を説明する図である。
【
図6】本発明の実施例1における表示部に計測データが表示されていない例を説明する図である。
【
図7】本発明の実施例2における部品寸法データ集計装置の構成を説明する図である。
【
図8】本発明の実施例2における部品寸法データ集計装置の動作を説明するフロー図である。
【
図9】本発明の実施例3における部品寸法データ集計装置の構成を説明する図である。
【
図10】本発明の実施例3における部品寸法データ集計装置の動作を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0026】
本発明の実施例1における部品寸法データ集計装置について
図1―
図6を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1における部品寸法データ集計装置の構成を説明する図である。
図2は、本発明の実施例1における部品寸法データ集計装置の動作を説明するフロー図である。
図3は、本発明の実施例1における部品寸法データ集計装置の計測対象の車軸を説明する図である。
図4は、本発明の実施例1における部品寸法データ集計装置の計測対象の密封コロを説明する図である。
図5は、本発明の実施例1における表示部の計測データ集計表示例を説明する図である。
図6は、本発明の実施例1における表示部に計測データが表示されていない例を説明する図である。
【0027】
実施例1における部品寸法データ集計装置10は、データ取得部1、比較部2、表示部3、及びバーコード作成部4を備えており、データ取得部1、比較部2、及びバーコード作成部4はコンピュータで構成されソフトウエアで処理される。また、表示部3は液晶画面で構成されている。
【0028】
データ取得部1は、計測器Mで計測したデータを有線又は無線にて取得する。計測器Mは、例えば、公知の計測器を用いることができる。実施例1においては、
図3に示す車軸の直径と
図4に示す密封コロの内径とを計測する。
図3の(a)は側面図、(b)は正面図であり、
図4の(a)は正面図、(b)は側面図である。
【0029】
なお、実施例1においては、データ取得部1は計測器Mで計測したデータを有線又は無線にて取得するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、作業員の手作業により、計測器Mで計測したデータをデータ取得部1に入力するように構成してもよい。
【0030】
計測器Mは、計測対象の車軸Jを、
図3(a)、(b)に示すように、所定距離xだけ離れた3ヶ所の断面(A、B、C)においてそれぞれ120°ずつ離れた箇所の3ヶ所の直径、つまり9ヶ所の直径(A1、A2、A3、B1、B2、B3、C1、C2、C3)を計測する。
【0031】
また、計測器Mは、密封コロKの内径を所定距離xだけ離れた3ヶ所の断面(A´、B´、C´)においてそれぞれ120°ずつ離れた箇所の3ヶ所の内径、つまり9ヶ所の内径(A1´、A2´、A3´、B1´、B2´、B3´、C1´、C2´、C3´)を計測する。
【0032】
ここで、車軸Jの直径(A1、A2、A3)と密封コロKの内径(A1´、A2´、A3´)とは、車軸Jが密封コロKに圧入されたときに対応する部分の寸法である。また、車軸Jの直径(B1、B2、B3)と密封コロKの内径(B1´、B2´、B3´)とは、車軸Jが密封コロKに圧入されたときに対応する部分の寸法であり、車軸Jの直径(C1、C2、C3)と密封コロKの内径(C1´、C2´、C3´)とは、車軸Jが密封コロKに圧入されたときに対応する部分の寸法である。
【0033】
なお、実施例1においては、計測する車軸Jの直径と密封コロKの内径とは、車軸Jが密封コロKに圧入されたときに対応する部分の寸法としたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、対応する部分から若干ずれていても構わない。
【0034】
また、実施例1においては、車軸Jと密封コロKについて3ヶ所の直径又は内径を120°ずつ離れた箇所で計測するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、2ヶ所の直径又は内径を180°ずつ離れた箇所で計測するようにしてもよいし、4ヶ所の直径又は内径を60°ずつ離れた箇所で計測するようにしてもよい。
【0035】
計測器Mが計測した車軸J及び密封コロKの寸法計測データは、計測の都度、データ取得部1により順次取得して保存する(データ取得工程11)。そして、取得された寸法計測データは、都度、予め定められた公差データと比較部2で比較される(比較工程12)。ここで、公差データは車軸J及び密封コロKともφ120.00を基点にして、例えば、-0.037~-0.005というように定められている。
【0036】
比較部2で公差データと比較された寸法計測データは、表示部3に
図5に示すように表示される(表示工程)。計測データ集計表示9には、上述のように計測した9ヶ所の直径データ又は内径データが表示される。
図5の計測データ集計表示9における最下段の表示である「-0.004」は、公差データ外であり、赤色Rで表示されて不合格である旨の警告を発する。それ以外の計測データは公差内であり合格として緑色Gで表示される。
【0037】
なお、実施例1においては、公差データ外である場合は赤色Rで表示され、公差データ内である場合は緑色Gで表示されるようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、公差データ外である場合は赤色Rで点滅表示され、公差データ内である場合は緑色Gで表示されるようにしてもよいし、公差データ外である場合は警告音を発生してもよい。少なくとも公差データ外の場合に不合格である旨の警告を発することができればよい。
【0038】
作業員は、計測データ集計表示9に表示の内容を確認し、OKボタン7を押す。
図5の事例では、不合格の計測データがあるので、OKボタン7が押されると集計処理は終了し、後述のようなバーコードの作成は行わない。作業員は不合格となった金属加工部品に代わる別の金属加工部品の寸法計測へと移る。
なお、クリアボタン8を押すと、表示されている全ての計測データがクリアされて、計測データ集計表示9は
図6のように表示される。
【0039】
実施例1においては、不合格の寸法計測データがある場合、OKボタン7が押されると集計処理が終了するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、不合格の寸法計測データがある場合、OKボタン7が押されなくても集計処理が終了するように構成してもよい。
【0040】
計測データ集計表示9のうち、いずれかの表示欄に数字が表示されていない場合は未計測であり、作業員は未計測の箇所の計測を行って、部品計測データを取得する。これにより、未計測の箇所があれば即座に知ることができ、作業効率を向上することができる。
【0041】
計測データ集計表示9の内容が全て合格であれば、OKボタン7を押すとバーコード作成工程15を開始して、9ヶ所の計測データの数字の9つのバーコードを作成する。作成されたバーコードは図示しない印刷機により紙に印刷することができ、作業員は印刷されたバーコードをバーコードリーダで読み込み、データ管理装置Rに入力する。データ管理装置Rでは、車両に使われる金属加工部品の寸法データを管理し、事故や点検時に履歴のトレースを行うことができる。従来は、手入力でデータ管理装置Rに入力していために入力ミスがあり履歴のトレースができない等の不具合の恐れがあったが、これらを防止できるとともに処理の効率が向上する。
【0042】
なお、実施例1においては、バーコードを作成することとしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、2次元バーコードを作成するようにしてもよい。
【0043】
このように、実施例1においては、金属加工部品の寸法計測データを集計する部品寸法データ集計装置であって、
前記金属加工部品の寸法計測データを取得するデータ取得部と、
取得した前記寸法計測データを予め定められた公差データと比較する比較部と、
取得した前記寸法計測データを表示する表示部と、
前記寸法計測データのバーコードを作成するバーコード作成部と、
を備えたことを特徴とする部品寸法データ集計装置により、金属加工部品の計測データを簡単なシステムで集計することができる。
【実施例2】
【0044】
本発明の実施例2は、寸法計測データの平均値を算出する点で、実施例1と異なっている。実施例2は、寸法計測データの平均値を算出することで、圧入部品に適しているか否かを判断することができる。実施例2について、
図7、
図8を参照して説明する。
図7は、本発明の実施例2における部品寸法データ集計装置の構成を説明する図である。
図8は、本発明の実施例2における部品寸法データ集計装置の動作を説明するフロー図である。
【0045】
実施例2における部品寸法データ集計装置20は、データ取得部1、比較部2、表示部3、平均値算出部5、及びバーコード作成部4を備えており、データ取得部1、比較部2、平均値算出部5、及びバーコード作成部4はコンピュータで構成されソフトウエアで処理される。また、表示部3は液晶画面で構成されている。
【0046】
実施例1と同様に、計測器Mが計測した車軸Jの9ヶ所の寸法計測データ及び9ヶ所の密封コロKの寸法計測データは、計測の都度、データ取得部1により順次取得して保存する(データ取得工程11)。そして、取得された寸法計測データは、都度、予め定められた公差データと比較部2で比較される(比較工程12)。
【0047】
また、実施例2においては、車軸Jと密封コロKについて3ヶ所の直径又は内径を120°ずつ離れた箇所で計測するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、2ヶ所の直径又は内径を180°ずつ離れた箇所で計測するようにしてもよいし、4ヶ所の直径又は内径を60°ずつ離れた箇所で計測するようにしてもよい。
【0048】
比較部2において公差データと比較された計測データは、表示部3に
図5に示すように表示される(表示工程)。計測データ集計表示9には、計測した9ヶ所の直径データ又は内径データが表示される。
図5の計測データ集計表示9における最下段の表示である「-0.004」は、公差データ外であり、赤色Rで表示されて不合格である旨の警告を発する。それ以外の計測データは公差内であり合格として緑色Gで表示される。また、後述の平均値を表示するようにしてもよい。
【0049】
作業員は、計測データ集計表示9に表示の内容を確認し、OKボタン7を押す。
図5の事例では、不合格の計測データがあるので、集計処理は終了し、後述の平均値は算出しない。作業員は不合格となった金属加工部品に代わる別の金属加工部品の寸法計測へと移る。
なお、クリアボタン8を押すと、表示されている全ての計測データがクリアされて、計測データ集計表示9は
図6のように表示される。
【0050】
実施例2においては、不合格の寸法計測データがある場合、OKボタン7が押されると集計処理が終了するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、不合格の寸法計測データがある場合、OKボタン7が押されなくても集計処理が終了するように構成してもよい。
【0051】
計測データ集計表示9のうち、いずれかの表示欄に数字が表示されていない場合は未計測であり、作業員は未計測の箇所の計測を行って、部品計測データを取得する。これにより、未計測の箇所があれば即座に知ることができ、作業効率を向上することができる。
【0052】
計測データ集計表示9の内容が全て合格であれば、OKボタン7を押すと平均値算出部5で平均値算出工程24を開始して、9ヶ所の計測データの平均値を算出する。そして、算出された平均値はバーコード作成部4にてバーコード作成工程25を実施する。作成されたバーコードは図示しない印刷機により紙に印刷することができ、作業員は印刷されたバーコードをバーコードリーダでデータ管理装置Rに読み込む。データ管理装置Rでは、車両に使われる金属加工部品の寸法データを管理し履歴のトレースを行うことができる。従来は、手入力でデータ管理装置Rに入力していたが、これにより、入力ミスを防止できるとともに処理の効率が向上する。
【0053】
なお、実施例2においては、直径又は内径の平均値を算出するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、真円度や円筒度を算出するように構成してもよい。
【0054】
また、実施例2においては、計測データの平均値のバーコードを作成するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、複数の計測データのバーコードを作成するように構成してもよいし、複数の計測データ及び平均値のバーコードを作成するようにしてもよい。また、真円度や円筒度のバーコードを作成するようにしてもよい。
【0055】
このように、実施例2においては、金属加工部品の寸法計測データを集計する部品寸法データ集計装置であって、
一の前記金属加工部品について複数の寸法計測データを取得するデータ取得部と、
取得した複数の前記寸法計測データを予め定められた公差データとそれぞれ比較する比較部と、
取得した複数の前記寸法計測データを表示する表示部と、
取得した複数の前記寸法計測データの平均値を算出する平均値算出部と、
複数の前記寸法計測データ又は前記平均値のバーコードを作成するバーコード作成部と、
を備えたことを特徴とする部品寸法データ集計装置により、金属加工部品が圧入部品である場合に計測データの平均値を簡単なシステムで集計することができる。
【実施例3】
【0056】
本発明の実施例3は、部品同士の組合せが可能かどうかを判断して組合せを決定する点で実施例1、実施例2と異なっている。実施例3について、
図9、
図10を参照して説明する。
図9は、本発明の実施例3における部品寸法データ集計装置の構成を説明する図である。
図10は、本発明の実施例3における部品寸法データ集計装置の動作を説明するフロー図である。
【0057】
実施例3における部品寸法データ集計装置30は、データ取得部1、比較部2、表示部3、平均値算出部5、組合せ決定部6、及びバーコード作成部4を備えており、データ取得部1、比較部2、平均値算出部5、組合せ決定部6、及びバーコード作成部4はコンピュータで構成されソフトウエアで処理される。また、表示部3は液晶画面で構成されている。
【0058】
実施例1及び実施例2と同様に、計測器Mが複数の第1金属加工部品(例えば車軸J)における複数(9ヶ所)の第1寸法計測データを計測し、複数の第2金属加工部品(例えば密封コロ)における複数(9ヶ所)の第2寸法計測データを計測し、当該第1寸法計測データ及び第2寸法計測データは、計測の都度、データ取得部1により順次取得して保存される(データ取得工程31)。そして、取得された第1寸法計測データは、都度、予め定められた第1公差データと比較部2でそれぞれ比較され、第2寸法計測データは、都度、予め定められた第2公差データと比較部2でそれぞれ比較される(比較工程32)。
【0059】
比較部2にて第1公差データと比較された第1寸法計測データ、及び第2公差データと比較された第2寸法計測データは、表示部3に
図5に示すように表示される(表示工程33)。計測データ集計表示9には、計測した9ヶ所の直径データ又は内径データが表示される。
図5の計測データ集計表示9における最下段の表示である「-0.004」は、公差データ外であり、赤色Rで表示されて不合格である旨の警告を発する。それ以外の計測データは公差内であり合格として緑色Gで表示される。
【0060】
作業員は、計測データ集計表示9に表示の内容を確認し、OKボタン7を押す。
図5の事例では、不合格の計測データがあるので、集計処理は終了し、後述のような平均値の算出は行わない。作業員は不合格となった金属加工部品に代わる別の金属加工部品の寸法計測へと移る。
なお、クリアボタン8を押すと、表示されている全ての計測データがクリアされて、計測データ集計表示9は
図6のように表示される。
【0061】
実施例3においては、不合格の寸法計測データがある場合、OKボタン7が押されると集計処理が終了するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、不合格の寸法計測データがある場合、OKボタン7が押されなくても集計処理が終了するように構成してもよい。
【0062】
計測データ集計表示9のうち、いずれかの表示欄に数字が表示されていない場合は未計測であり、作業員は未計測の箇所の計測を行って、部品計測データを取得する。これにより、未計測の箇所があれば即座に知ることができ、作業効率を向上することができる。
【0063】
計測データ集計表示9の内容が全て合格であれば、OKボタン7を押すと平均値算出部5で平均値算出工程34を開始して、9ヶ所の第1寸法計測データの第1平均値を算出するとともに、9ヶ所の第2寸法計測データの第2平均値を算出する。第1平均値及び第2平均値は、複数の第1金属加工部品及び複数の第2金属加工部品についてそれぞれ算出する。
【0064】
次に、算出された複数の第1平均値と複数の第2平均値に基づいて、複数の第1金属加工部品と複数の第2金属加工部品とのうち、圧入に最適な第1金属加工部品と第2金属加工部品の組合せを組合せ決定部で決定する組合せ決定工程36を実施する。ここで、圧入に最適な組み合わせとは、第1平均値と第2平均値の差分が予め定められた値(締め代中間点)に最も近い第1平均値を有する第1金属加工部品と第2平均値を有する第2金属加工部品の組合せをいう。最適な組合せは、1組ではなく、複数の組合せが決定されてもよい。
【0065】
そして、最適な組合せとされた第1金属加工部品と第2金属加工部品における複数の第1寸法計測データ、及び複数の第2寸法計測データはバーコード作成部4にてバーコードが作成される(バーコード作成工程35)。作成されたバーコードは紙に印刷することができ、作業員は印刷されたバーコードをデータ管理装置Rに附属のバーコードリーダでデータ管理装置Rに読み込む。データ管理装置Rでは、車両に使われる金属加工部品の寸法データを管理し履歴のトレースを行うことができる。従来は、手入力でデータ管理装置Rに入力していたが、これにより、入力ミスを防止できるとともに処理の効率が向上する。
【0066】
なお、実施例3においては、複数の第1金属加工部品について複数の第1平均値を算出し、複数の第2金属加工部品について複数の第2平均値を算出するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、一つの第1金属加工部品について第1平均値を算出し、一つの第2金属加工部品について第2平均値を算出して組合せが可能か否かの判断を行うように構成してもよい。
【0067】
また、実施例3においては、複数の第1寸法計測データ及び複数の第2寸法計測データのバーコードを作成するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、第1平均値及び第2平均値のバーコードを作成するように構成してもよいし、複数の第1寸法計測データ及び複数の第2寸法計測データと、第1平均値及び第2平均値と両方のバーコードを作成するようにしてもよい。また、真円度や円筒度のバーコードを作成するようにしてもよい。
【0068】
このように、実施例3においては、第1金属加工部品及び第2金属加工部品の寸法計測データを集計する部品寸法データ集計装置であって、
一の前記第1金属加工部品について複数の第1寸法計測データ、及び一の前記第2金属加工部品について複数の第2寸法計測データをそれぞれ取得するデータ取得部と、
取得した複数の前記第1寸法計測データを予め定められた第1公差データとそれぞれ比較するとともに、取得した複数の前記第2寸法計測データを予め定められた第2公差データとそれぞれ比較する比較部と、
取得した複数の前記第1寸法計測データ、及び複数の前記第2寸法計測データを表示する表示部と、
取得した複数の前記第1寸法計測データの第1平均値、及び複数の前記第2寸法計測データの第2平均値を算出する平均値算出部と、
前記第1平均値と前記第2平均値に基づいて、前記第1金属加工部品と前記第2金属加工部品との組合せが可能か否かを判断する組合せ決定部と、
前記組合せ決定部が組合せ可能と判断した前記第1金属加工部品と前記第2金属加工部品における複数の前記第1寸法計測データ及び複数の前記第2寸法計測データ、又は前記第1平均値と前記第2平均値のバーコードを作成するバーコード作成部と、を備えたことを特徴とする部品寸法データ集計装置により、金属加工部品の計測データを簡単なシステムで管理することができるとともに、金属加工部品同士の相性管理を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明の部品寸法データ集計装置は、金属加工部品の寸法データを集計する分野に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0070】
1:データ取得部 2:比較部 3:表示部 4:バーコード作成部 5:平均値算出部 6:組合せ決定部 7:OKボタン 8:クリアボタン 9:計測データ集計表示 10:部品寸法データ集計装置 11:データ取得工程 12:公差データ比較工程 13:表示工程 15:バーコード作成工程 20:部品寸法データ集計装置 24:平均値算出工程 25:バーコード作成工程 30:部品寸法データ集計装置 31:データ取得工程 32:公差データ比較工程 33:表示工程 34:平均値算出工程 35:バーコード作成工程 36:組合せ決定工程 J:車軸 K:密封コロ M:計測器 R:データ管理装置
【要約】 (修正有)
【課題】金属加工部品の計測データを簡単なシステムで集計処理することを課題とする。
【解決手段】金属加工部品の寸法計測データを集計する部品寸法データ集計装置10であって、前記金属加工部品の寸法計測データを計測器Mから取得するデータ取得部1と、取得した前記寸法計測データを予め定められた公差データと比較する比較部2と、取得した前記寸法計測データを表示する表示部3と、前記寸法計測データのバーコードを作成するバーコード作成部4と、を備えたことを特徴とする部品寸法データ集計装置とした。
【選択図】
図1