(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】ゴルフボール取出し具
(51)【国際特許分類】
A63B 57/40 20150101AFI20240130BHJP
【FI】
A63B57/40
(21)【出願番号】P 2023177835
(22)【出願日】2023-10-13
【審査請求日】2023-10-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523390987
【氏名又は名称】有限会社小林設計事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100125265
【氏名又は名称】貝塚 亮平
(72)【発明者】
【氏名】小林 猛美
【審査官】上田 泰
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0354011(US,A1)
【文献】米国特許第01776161(US,A)
【文献】特開昭48-045346(JP,A)
【文献】特表2023-538430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 57/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッティンググリーンに埋設されるホールカップに立てられるピンを挿通する挿通孔を備え、前記ピンを支持する支持台上に載置されるボール受板と、
前記ボール受板の下面に該ボール受板の中心からずれた位置に固定され、前記支持台に載置したときに前記ボール受板を傾かせる傾斜用部材と、を備え、
前記ボール受板の前記傾斜用部材側の端部領域を前記ホールカップの上側から下側に向かって押圧したときに、前記ボール受板の前記傾斜用部材側とは反対側の端部領域に載っているゴルフボールを前記傾斜用部材を支点とする前記ボール受板の回動により跳ね上げる構成を有し
、
前記傾斜用部材が、前記支持台に前記ボール受板の径方向と交差する方向に間隔を有する複数箇所で当接する構成を有している
ことを特徴とするゴルフボール取出し具。
【請求項2】
前記傾斜用部材が、前記ボール受板の下面に固定される矩形状の固定片と、該固定片の両端からそれぞれ前記ホールカップの下側に向かって延び、下端部が円弧状をなす一対の当接片と、を備えていることを特徴とする請求項1に記載のゴルフボール取出し具。
【請求項3】
前記各当接片の下端部が半円形状を有していることを特徴とする請求項2に記載のゴルフボール取出し具。
【請求項4】
前記固定片の前記挿通孔側の側縁が前記挿通孔の曲率に沿う湾曲凹部を有し、前記固定片が前記挿通孔に近接配置されていることを特徴とする請求項3に記載のゴルフボール取出し具。
【請求項5】
前記ボール受板の形状が円形であることを特徴とする請求項
1に記載のゴルフボール取出し具。
【請求項6】
前記ボール受板の前記傾斜用部材側の端部領域の上面に複数の凸部ないし突起が形成されていることを特徴とする請求項
1から5のいずれかに記載のゴルフボール取出し具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッティンググリーンに埋設されるホールカップからゴルフボールを取り出すために用いられるゴルフボール取出し具に関する。
【背景技術】
【0002】
パッティンググリーン上でホールカップに入ったゴルフボールを取り出す場合、カップ内のゴルフボールを指で摘まむために腰を曲げたり屈めたりする必要があり、腰や膝などに負担が掛かっていた。ルール改正によりピン(旗竿)を抜かずにパッティングが行えるようになったため、カップ内のスペースが狭くなり、カップからのゴルフボールの取出しはさらに煩わしくなっている。
【0003】
この問題に対処すべく、特許文献1には、旗竿に円筒状のシャフト部材を摺動自在に挿通し、シャフト部材の下端部にゴルフボールが載るプレート部材を固定するとともに、上端部にフック部材を固定したボール持ち上げ具が提案されている。フック部材にクラブを引っ掛けて引き上げると、プレート部材がホールカップから出て、プレート部材の傾斜面によってゴルフボールがグリーン上に転がり出るようになっている。シャフト部材、フック部材、プレート部材は共にヘラールの存在に拘わらず旗竿に装着できるように分割の合わせ構造となっている。また、シャフト部材の軸方向の長さは500mm程度となっており、その上端部に固定されて水平に突出するフック部材はパッティング時におけるボールの挙動には影響を与えないとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のボール持ち上げ具では、構成が複雑でセッティングが面倒であるととともに、シャフト部材とフック部材がホールカップの外に露出するため、本来想定されていない部材が視認されることによる外観の見劣りを否めない。また、フック部材はある程度の高さ位置にあるためパッティング時のボールの挙動には影響を与えないとしているが、例えばパッティング前のショットでは跳ねながらボールがグリーンに載ることがあるため、跳ねたボールがフック部材に当たって転がり方向が変化する可能性を否めない。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成でセッティングが容易であり、外観の見劣りを来すことなくゴルフボールの挙動にも影響を与えないゴルフボール取出し具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のゴルフボール取出し具(18)は、パッティンググリーン(2)に埋設されるホールカップ(4)に立てられるピン(6)を挿通する挿通孔(20a)を備え、ピン(6)を支持する支持台(10)上に載置されるボール受板(20)と、ボール受板(20)の下面に該ボール受板(20)の中心からずれた位置に固定され、支持台(10)に載置したときにボール受板(20)を傾かせる傾斜用部材(22)と、を備え、ボール受板(20)の傾斜用部材(22)側の端部領域(20b)をホールカップ(4)の上側から下側に向かって押圧したときに、ボール受板(20)の傾斜用部材(22)側とは反対側の端部領域(20c)に載っているゴルフボール(24)を傾斜用部材(22)を支点とするボール受板(20)の回動により跳ね上げる構成を有していることを特徴とする。
【0008】
本発明に係るゴルフボール取出し具によれば、パッティンググリーンのホールカップ内に設置するだけで使用が可能となり、セッティングが簡単でピンやホールカップ側の対応構成も不要であるので、既存のホールカップの改造などの必要がなく、設置のコストや手間を低く抑えることが可能となる。また、プレーヤーが使うクラブで立った姿勢のまま簡単に動作させることができるので、腰を曲げたり屈めたりする必要がない。
【0009】
また、上記のゴルフボール取出し具(18)では、傾斜用部材(22)が、支持台(10)にボール受板(20)の径方向(矢印X方向)と交差する方向(矢印Y方向)に間隔を有する複数箇所で当接する構成を有していてもよい。これによれば、ゴルフボールを跳ね上げる時のボール受板の回動動作を安定させることができる。
【0010】
また、上記のゴルフボール取出し具(18)では、傾斜用部材(22)が、ボール受板(20)の下面に固定される矩形状の固定片(26)と、該固定片(26)の両端からそれぞれホールカップ(4)の下側に向かって延び、下端部(28a)が円弧状をなす一対の当接片(28)と、を備えている構成としてもよい。これによれば、ゴルフボールを跳ね上げる時のボール受板の回動動作を安定且つ滑らかにすることができる。
【0011】
また、上記のゴルフボール取出し具(18)では、各当接片(28)の下端部(28a)が半円形状を有している構成としてもよい。これによれば、ゴルフボールを跳ね上げる時のボール受板の回動動作を一層滑らかにすることができる。
【0012】
また、上記のゴルフボール取出し具(18)では、固定片(26)の挿通孔(20a)側の側縁(26a)が挿通孔(20a)の曲率に沿う湾曲凹部(26b)を有し、固定片(26)が挿通孔(20a)に近接配置されている構成としてもよい。これによれば、当接片による支点からクラブで押圧する力点までの長さを大きくすることができ、押圧力を小さくすることができる。
【0013】
また、上記のゴルフボール取出し具(18)では、ボール受板(20)の形状が円形である構成としてもよい。これによれば、製造が容易となる。
【0014】
また、上記のゴルフボール取出し具(18)では、ボール受板(20)の傾斜用部材(22)側の端部領域(20b)の上面に複数の凸部(32)ないし突起が形成されている構成としてもよい。これによれば、クラブ等の押圧具で押圧するときの滑りを抑制でき、ゴルフボールの跳ね上げ動作をスムーズに行うことができる。
なお、上記の括弧内の符号は、後述する実施形態の対応する構成要素の符号を本発明の一例として示したものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡単な構成でセッティングが容易であり、外観の見劣りを来すことなくゴルフボールの挙動にも影響を与えずに済むゴルフボール取出し具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るゴルフボール取出し具をホールカップ内にセットした状態を示す図で、
図2のV-V線方向での断面図である。
【
図2】
図1で示したゴルフボール取出し具の分解斜視図である。
【
図3】
図1で示したゴルフボール取出し具を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図4】
図1に示す状態からクラブでゴルフボール取出し具を押圧してゴルフボールを跳ね上げた状態を示す断面図である。
【
図5】第2実施形態に係るゴルフボール取出し具の
図1相当図である。
【
図6】
図5で示したゴルフボール取出し具を示す図で、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図7】傾斜用部材の変形例を示す斜視図で、(a)は分離構成の傾斜用部材を示す図、(b)は一体物構成の傾斜用部材を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
[第1実施形態]
図1乃至
図4を参照して第1実施形態を説明する。
図1に示すように、パッティンググリーン2にはホールカップ4が埋設されており、ホールカップ4にはピン(旗竿)6が立てられている。ホールカップ4は、円筒状のカップ本体8と、カップ本体8の底面8aに固定された支持台10と、を備えている。支持台10は、支持台本体12と、支持台本体12の上部に固定され、ゴルフボールがカップインした際の音を発生するドーナツ状の金属製の発音体14と、を備えている。
【0019】
発音体14の中心孔14aの上半部は上方に向かって径が漸増するテーパ状に形成されている。ピン6の下端に固定されたフェルール16は下方に向かって径が漸減するテーパ状(円錐面状)に形成されており、ピン6はフェルール16を介して発音体14に楔作用で固定されている。発音体14の上面、すなわち支持台10の平坦な上面14bには、ピン6を固定する前にフェルール16側から挿通されたゴルフボール取出し具18が載置されている。なお、ピン6はフェルール16を含む全体を意味する。
【0020】
図2に示すように、ゴルフボール取出し具18は、パッティンググリーン2に埋設されるホールカップ4に立てられるピン6をその下端側(フェルール16側)から挿通する挿通孔20aを備え、ピン6を支持する支持台10上に載置される円形のボール受板20と、ボール受板20の下面に該ボール受板20の中心からずれた位置に固定され、支持台10に載置したときにボール受板20を傾かせる傾斜用部材22と、を備え、ボール受板20の傾斜用部材22側の第1端部領域20bをホールカップ4の上側から下側に向かって押圧したときに、ボール受板20の傾斜用部材22側とは反対側の第2端部領域20cに載っているゴルフボール24(
図1参照)を傾斜用部材22を支点とするボール受板20の回動により跳ね上げる構成を有している。すなわち、傾斜用部材22はボール受板20の下面における径方向の一方側のみに偏って設けられており、ボール受板20を平面上に載置した場合ボール受板20が傾くようになっている。
【0021】
傾斜用部材22は、支持台10にボール受板20の径方向(矢印X方向)と交差(ここでは直交)する方向(矢印Y方向)に間隔を有する複数箇所(ここでは2箇所)で支持台10に当接する構成を有している。すなわち、傾斜用部材22は、矢印Y方向に延びる長さを有し、ボール受板20の下面に固定される矩形状の固定片26と、該固定片26の両端からそれぞれホールカップ4の下側に向かって延び、下端部28aが円弧状をなす一対の当接片28、28と、を備えている。各当接片28の下端部28aは半円形状を有している。本実施形態では傾斜用部材22は金属製の板材を折り曲げて形成されている。樹脂による一体成形やダイキャスト成形で形成してもよい。
【0022】
固定片26の挿通孔20a側の側縁26aは挿通孔20aの曲率に沿う湾曲凹部26bを有し、固定片26は挿通孔20aに近接配置されている(
図3(a)参照)。固定片26には矢印Y方向に間隔をおいて2つのネジ孔26cが形成され、これに対応してボール受板20にはネジ挿通孔20dが形成されており、傾斜用部材22はボール受板20の下面に2つのネジ30で固定されている。ボール受板20に対する傾斜用部材22の固定は、溶接や接着材(接着剤や両面テープ等を含む)による固定でもよい。ボール受板20の第1端部領域20bの上面には、クラブ34のグリップ34a(
図4参照)等の押圧具で押すときの滑りを抑制するための複数(ここでは3つ)の凸部32が形成されている。なお、ここでは、傾斜用部材22をボール受板20の下面に2つのネジ30で固定する場合を示したが、これ以外にも、傾斜用部材22はボール受板20の下面にスポット溶接など他の手段で固定することも可能である。
【0023】
本実施形態におけるゴルフボール取出し具18の具体的寸法の一例を、
図3を参照して説明する。ボール受板20の直径D1は100mm、挿通孔20aの径D2は26mm、厚みt1は2mmである。挿通孔20aの径D2はフェルール16の最大径よりも若干大きく設定されており、これによりフェルール16が固定されたピン6にその下端側からゴルフボール取出し具18を挿通することができるようになっている。傾斜用部材22の固定片26及び当接片28の厚みt2はボール受板20と同じ2mm、幅W1は46mm、W2は20mm、湾曲凹部26bの曲率半径R1は15mm、当接片28の下端部28aの曲率半径R2は10mmである。ボール受板20の挿通孔20aの中心からネジ挿通孔20dの中心までの距離d1は18mm、ネジ挿通孔20dの中心から凸部32の中心までの距離d2は25mm、凸部32の中心間距離d3は10mmである。
【0024】
図1に示すように、ピン6をホールカップ4に立てる際に、フェルール16をゴルフボール取出し具18のボール受板20の挿通孔20aに挿通して発音体14に圧入・固定することによりピン6の固定が完了する。これにより、ゴルフボール取出し具18はピン6にその軸方向に移動自在に係合される。傾斜用部材22の当接片28の下端部28aが発音体14の上面14bに点接触状態に当接するとともに、第2端部領域20cの下面が発音体14の角部に当接し、ゴルフボール取出し具18はボール受板20が傾いた状態に支持台10上に載置される。これでゴルフボール取出し具18のセッティングが完了する。すなわち、ピン6の下端側を挿通孔20aに通し、ピン6を固定した後に支持台10上に載置するだけの極めて簡単な操作でセッティングが完了する。
【0025】
発音体14の上面14bに傾斜用部材22の一対の当接片28と、第2端部領域20cの下面とが当接するため、発音体14への音の伝達経路が構成され、発音体14の発音機能が維持される。ホールカップ4にカップインしたゴルフボール24は、ボール受板20のどの位置に落ちたとしても最終的にはボール受板20の第2端部領域20cとカップ本体8の内周面とに接触した状態で止まる。
【0026】
図4に示すように、
図1に示す状態からクラブ34のグリップ34aを下に向けてホールカップ4に挿入し、ボール受板20の第1端部領域20bを押圧すると、傾斜用部材22の一対の当接片28が支点となってテコの原理でボール受板20が回動し、反対側の第2端部領域20cに載っているゴルフボール24が跳ね上げられる。跳ね上げられたゴルフボール24はホールカップ4から飛び出して近傍のパッティンググリーン2上に落ちる。プレーヤーは立ったままの姿勢でホールカップ4を見下ろし、押圧箇所(第1端部領域20b)に見当をつけてクラブ34を押し下げるだけでよい。すなわち、ゴルフボール24をホールカップ4から取り出すために腰を曲げたり屈めたりする必要がないので、腰や膝などに負担が掛からない。
【0027】
上記の通り、本実施形態のゴルフボール取出し具18は、簡単な構成でセッティングが容易である。ゴルフボール取出し具18の全構成がホールカップ4内に存在して外部から見えないので外観の見劣りを来すこともなく、パッティンググリーン2上におけるゴルフボールの挙動にも影響を与えない。また、ピン6や支持台10側に跳ね上げ機能を補助するための部材等を必要としないので、組み立て及び製造が容易で低コスト化にも寄与する。ホールカップ4から取り外す必要がある場合も、支持台10から抜いたピン6の下端側から抜き取るだけで済み、取り外し時の操作性もよい。
【0028】
ボール受板20の挿通孔20aは、ピン6の外径との関係で上記跳ね上げ動作、すなわち一対の当接片28を支点としたボール受板20の回動動作ができる大きさに設定されている。ボール受板20の回動時、支点である一対の当接片28はボール受板20の中心に近付くように発音体14の上面14a上を滑りながらボール受板20の回動を支持する。当接片28の下端部28aは半円形状であるので、クラb34による押圧初期から押圧終了までの全体に亘ってボール受板20の回動が滑らかとなる。当接片28は1つでもよいが、本実施形態のように間隔をおいて2つ設けた2点接触とすることによりボール受板20の回動が安定する。
【0029】
ゴルフボール取出し具18は、上記のように重心が片側に偏った構成であるので、ゴルフボール24の取出し後、すなわちクラブ34の引き上げ後は、
図1に示すように、支持台10上に傾いて載置された状態に戻る。
【0030】
[第2実施形態]
図5及び
図6を参照して第2実施形態を説明する。第1実施形態と同一部分又は同一と見做せる部分は同一符号で示し、既にした構成上及び機能上の説明は適宜省略する。
【0031】
図5に示すように、本実施形態におけるゴルフボール取出し具36は、ボール受板20と、該ボール受板20の下面に固定される傾斜用部材38と、を備えている。
図6に示すように、傾斜用部材38は、矢印Y方向に延びる長さを有し、ボール受板20の下面に第1実施形態と同様に固定される矩形状の固定片40と、該固定片40の両端からそれぞれホールカップ4の下側に向かって延び、下端部42aが円弧状をなす一対の当接片42、42と、を備えている。第1実施形態と異なる点は、固定片40が湾曲凹部26bに相当する構成を有しない点、各当接片42が三角形状を有して下端部42aの曲率半径R3が第1実施形態の当接片28の下端部28aの曲率半径R2よりも小さい点、ボール受板20の第1端部領域20bに凸部32が設けられていない点である。
【0032】
第1実施形態と比較すると、第1実施形態では湾曲凹部26bの存在によって固定片26を挿通孔20aに近接配置できるので、
図1に示す力点から支点までの距離L1を第2実施形態の同距離L2よりも大きくできる。このため、クラブ34による押圧力(モーメント)を第2実施形態の場合よりも小さくできる利点を有している。また、クラブ34の等の押圧具の作用範囲を広くとることができるので押圧時の安定性を得ることができる。また、第1実施形態の場合には当接片28の下端部28aが半円形状で曲率が小さいため、ボール受板20の跳ね上げ時の回動動作が第2実施形態の場合よりも滑らかとなる。また、第1実施形態の場合にはボール受板20の傾斜用部材38側の第1端部領域20bに凸部32が設けられているので、押圧具を当てたときの滑りによる押圧位置ずれを防止でき、ゴルフボール取出し具18の跳ね上げ動作をスムーズに行うことができる。
【0033】
上記各実施形態では、傾斜用部材22が2つの当接片28を一体に有する構成としたが(傾斜用部材38においても同様)、
図7(a)に示すように、分離構成の傾斜用部材44を個別に固定する構成としてもよい。
図7(a)において、符号46は固定片を、46aはネジ孔を示している。また、
図7(b)に示すように、下端部に第1実施形態と同様の曲率の当接面48cを有する一体物構成の傾斜用部材48としてもよい。
図7(b)において、符号48aは湾曲凹部を、48bはネジ孔を示している。
【0034】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変更が可能である。例えば上記実施形態では各部材の寸法や形状を特定して例示したが、これに限定されない。また、ボール受板20の形状は円形に限定されず、ゴルフボール24の下方への抜けを防止でき、且つ跳ね上げができる形状であればよい。
【符号の説明】
【0035】
2 パッティンググリーン
4 ホールカップ
6 ピン
10 支持台
14 発音体
14a 上面
18、36 ゴルフボール取出し具
20 ボール受板
20a 挿通孔
20b 第1端部領域
20c 第2端部領域
22、38、44、48 傾斜用部材
24 ゴルフボール
26 固定片
26a 側縁
26b 湾曲凹部
28、42 当接片
28a、42a 下端部
32 凸部
【要約】
【課題】簡単な構成でセッティングが容易であり、外観の見劣りを来すことなくゴルフボールの挙動にも影響を与えないゴルフボール取出し具を提供する。
【解決手段】パッティンググリーン2に埋設されたホールカップ4にセットされたゴルフボール取出し具18は、ピン6の下端に固定されたフェルール16を挿通可能な挿通孔20aを有するボール受板20と、該ボール受板20の下面における径方向の一方側に固定された傾斜用部材22とを備えている。傾斜用部材22は矩形の固定片26と該固定片26の両端に形成された一対の当接片28とを備え、当接片28の下端は半円状に形成されている。クラブのグリップをホールカップ4に挿入し、ボール受板20の傾斜用部材22側の端部を押圧すると、当接片28を支点としてボール受板20が回動し、ボール受板20の傾斜用部材22側と反対側に載っているゴルフボール24が跳ね上げられてホールカップ4の外に出される。
【選択図】
図1