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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】係留装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/122 20060101AFI20240130BHJP
   E06B 7/28 20060101ALI20240130BHJP
   E05B 1/00 20060101ALI20240130BHJP
   G08B 13/02 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A47G29/122 Z
E06B7/28 Z
E05B1/00 311M
G08B13/02 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019097995
(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公開番号】P2020191976
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-03-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000170598
【氏名又は名称】株式会社アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 壮
【審査官】伊藤 孝佑
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-336192(JP,A)
【文献】特開2019-005443(JP,A)
【文献】特開2013-036233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 29/12
E06B 7/28
E05B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅配物収容器を係留するための係留装置であって、
ドアと、
前記ドアに取り付けられ前記ドアの開閉及び施錠を行うための開閉施錠部と、
一部が前記ドア内又は前記ドアの室内側に配置されるとともに前記ドア内又は前記室内側の部材に固定され、前記開閉施錠部を前記ドアに取り付けるために前記ドアに設けられた開口を通して前記ドアの室外側に引き出されており、前記ドアの室外側において前記宅配物収容器に繋ぐことが可能な係留ワイヤと
を備え、
前記開閉施錠部は、前記ドアの室外側壁部に取り付けられる室外側ドアハンドルを有しており、
前記開閉施錠部を前記ドアに取り付けるために前記ドアに設けられた開口は、前記室外側ドアハンドルの室外側グリップから延びる電気配線のハーネスを通すための開口を含み、
前記係留ワイヤは、前記ハーネスを通すための開口を通り、前記ドアの室外側に引き出されている、
係留装置。
【請求項2】
前記開閉施錠部は、前記ドアの室内側壁部に取り付けられた室内側ドアハンドルを有しており、
前記係留ワイヤは、前記室内側ドアハンドルに固定されている、
請求項1記載の係留装置。
【請求項3】
前記ドアの室内側に配置され、前記係留ワイヤを巻き取ることが可能な巻取器
をさらに備えている、
請求項1又は請求項2に記載の係留装置。
【請求項4】
前記開閉施錠部は、前記ドアの室外側壁部に取り付けられる室外側ドアハンドルを有しており、
前記室外側ドアハンドルには、前記係留ワイヤが引き出されるワイヤ引出口が設けられており、
前記ワイヤ引出口は、下方に向かって開口している、
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の係留装置。
【請求項5】
前記室外側ドアハンドルは、室外側ドアハンドル本体と、前記室外側ドアハンドル本体に対して着脱可能に設けられたカバー部材とを有しており、
前記ワイヤ引出口は、前記カバー部材に設けられている、
請求項4記載の係留装置。
【請求項6】
前記係留ワイヤの切断を検出する切断検出部と、
前記切断検出部により前記切断が検出されたときに前記切断を報知する報知部と
をさらに備える、
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の係留装置。
【請求項7】
宅配物収容器を係留するための係留装置であって、
ドアの室外側壁部に固定され、係留ワイヤを巻き取ることが可能な巻取器、及び前記係留ワイヤを有する、係留装置本体
を備え、
前記係留ワイヤは、前記宅配物収容器を、前記巻取器を介して前記ドアの前記室外側壁部に係留可能に構成されている、
係留装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配物収容器を係留するための係留装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子商取引(EC事業)の拡大に伴う宅配物の増加に対応するため、宅配物収容器の需要が拡大している。ここで言う宅配物収容器とは、利用者が家屋の出入口の近辺に設置する箱状又は袋状の容器を指す。宅配業者が宅配物を利用者に直接引き渡すことができないとき、直接の引き渡しに代えて、宅配物を宅配物収容器に収納することが一般化しつつある。宅配物収容器が自在に持ち運び可能であると、宅配物の逸失につながってしまう。このため、係留装置により宅配物収容器を係留し、宅配物収容器の持ち運びを制限する必要がある。
【0003】
従来用いられていたこの種の係留装置としては、例えば下記の特許文献1等に示されている構成を挙げることができる。すなわち、従来の係留装置は、係留ワイヤを含んでいる。例えば室外側ドアハンドル等の家屋外側の部材に係留ワイヤの一端が括り付けられ、係留ワイヤの他端が宅配物収容器に繋がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-5443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の係留装置では、家屋外側の部材に係留ワイヤが括り付けられるので、家屋外での作業により構造物への係留ワイヤの括り付けを解除でき、係留ワイヤとともに宅配物収容器を持ち運ぶことが可能となる虞がある。すなわち、従来の係留装置では防盗性が低くなっている。
【0006】
また、上記の特許文献1では、ドアにドアポストが設けられている場合にドアポストを通して係留ワイヤの一端を室内に案内することも提案されている。しかしながら、ドアポストに係留ワイヤを通すと、ドアの本来の機能が制限される虞がある。
【0007】
また、上記のような従来の係留装置では、室外において係留ワイヤが垂れ下がり、家屋の美観を損ねる虞がある。
【0008】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的の一つは、ドアの機能が制限されることを回避しつつ、防盗性を向上できる係留装置を提供することである。また、本発明の目的の一つは、係留ワイヤが垂れ下がり家屋の美観を損ねる虞を低減できる係留装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る係留装置は、一態様において、ドアと、ドアに取り付けられドアの開閉及び施錠を行うための開閉施錠部と、一部がドア内又はドアの室内側に配置されるとともにドア内又は室内側の部材に固定され、開閉施錠部をドアに取り付けるためにドアに設けられた開口を通してドアの室外側に引き出されており、ドアの室外側において宅配物収容器に繋ぐことが可能な係留ワイヤとを備え、開閉施錠部は、ドアの室外側壁部に取り付けられる室外側ドアハンドルを有しており、開閉施錠部をドアに取り付けるためにドアに設けられた開口は、室外側ドアハンドルの室外側グリップから延びる電気配線のハーネスを通すための開口を含み、係留ワイヤは、ハーネスを通すための開口を通り、ドアの室外側に引き出されている。
【0010】
本発明に係る係留装置は、一態様において、ドアの室外側壁部に固定され、係留ワイヤを巻き取ることが可能な巻取器、及び係留ワイヤを有する、係留装置本体を備え、係留ワイヤは、宅配物収容器を、巻取器を介してドアの室外側壁部に係留可能に構成されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の係留装置によれば、一態様において、係留ワイヤの一部がドア内又はドアの室内側の部材に固定されているので、防盗性を向上できる。また、開閉施錠部をドアに取り付けるためにドアに設けられた開口を通して係留ワイヤがドアの室外側に引き出されるので、ドアの機能が制限されることを回避することができる。
【0012】
また、本発明の係留装置によれば、一態様において、巻取器が係留ワイヤを巻き取るので、ドアの室外側において係留ワイヤが垂れ下がり家屋の美観を損ねる虞を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1による係留装置を示す側面図である。
図2図1の室外側ドアハンドルを斜め下方から見たときの斜視図である。
図3図1の室外側ドアハンドルの下部を示す斜視図である。
図4図3のカバー部材が室外側ドアハンドル本体から外れた状態を示す説明図である。
図5図3のカバー部材を示す背面図である。
図6図5のカバー部材の下部の断面図である。
図7図1の下部室外側ハンドルベースの前面側を示す斜視図である。
図8図1の下部室外側ハンドルベースの背面側を示す斜視図である。
図9図1の係留装置の要部を拡大して示す側面図である。
図10図9の要部の分解斜視図である。
図11図1の係留装置に含まれる機能を示すブロック図である。
図12】本発明の実施の形態2による係留装置を示す側面図である。
図13】本発明の実施の形態3による係留装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。本発明は各実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施の形態に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態の構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0015】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による係留装置1を示す側面図である。図1に示す係留装置1は、宅配物収容器2を係留し、宅配物収容器2の持ち運びを制限するための装置である。本実施の形態の宅配物収容器2は、利用者が家屋の出入口の近辺に設置する箱状の容器である。宅配物収容器2は、箱状のものに限定されず袋状等の他の態様を採ってもよい。宅配物収容器2が設置される家屋は、人の居住に用いられる建物に限定されず、店舗、工場、倉庫その他の建物であってもよい。また、家屋は、建物に限定されず、集合住宅の住戸等の建物内の一部の区画であってもよい。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態の係留装置1は、ドア3、開閉施錠部4、係留ワイヤ5及び巻取器6を有している。
【0017】
<ドアについて>
ドア3は、家屋の出入口を開閉するための部材であり、出入口を閉じているとき家屋の室内と室外とを隔てている。図1では、右側を室内側とし、左側を室外側としている。ドア3は、開き戸であってもよいし、引き戸であってもよい。
【0018】
ドア3は、室内側壁部30、室外側壁部31及び側端部32を有している。室内側壁部30及び室外側壁部31は、ドア3が閉じられているとき、それぞれ室内側及び室外側に位置するドア3の壁である。側端部32は、ドア3の側端において室内側壁部30及び室外側壁部31を接続する部分である。側端部32は、ドア3が閉じられているとき、家屋の出入口を囲う枠体の縦枠(図示せず)に近接して対向するか又は当接される。
【0019】
<開閉施錠部について>
開閉施錠部4は、ドア3に取り付けられ、ドア3の開閉及び施錠を行うための部分である。本実施の形態の開閉施錠部4は、下部錠ユニット40、上部錠ユニット41、室内側ドアハンドル42及び室外側ドアハンドル43を有している。
【0020】
下部錠ユニット40及び上部錠ユニット41は、ドア3の施錠を行うためのユニットであり、上下方向に互いに離間してドア3に取り付けられている。図示はしないが、ドア3には、ユニット挿入空間が設けられている。このユニット挿入空間は、室内側壁部30と室外側壁部31との間に位置するとともに、側端部32において開口している。下部錠ユニット40及び上部錠ユニット41は、側端部32からユニット挿入空間に挿入されてドア3に固定されている。
【0021】
下部錠ユニット40は、下部デッドボルト400を有している。
【0022】
下部デッドボルト400は、下部錠ユニット40に設けられたシリンダ401(図3参照)の動きに連動して進退される部材である。より具体的には、下部錠ユニット40のシリンダはそのシリンダに適合した鍵により回すことができ、シリンダが回されることで下部デッドボルト400が進退される。下部デッドボルト400は、側端部32から突出する位置と、下部錠ユニット40の内部に隠れる位置との間を進退することができる。家屋の出入口を囲う枠体の縦枠には、下部デッドボルト400に対応する受部が設けられている。ドア3が閉じられているとき、下部デッドボルト400が側端部32から突出し縦枠の受部に進入することで、ドア3が施錠される。
【0023】
上部錠ユニット41は、上部デッドボルト410及びラッチボルト411を有している。
【0024】
上部デッドボルト410は、上述の下部デッドボルト400と同様である。すなわち、上部デッドボルト410は、上部錠ユニット41に設けられたシリンダ(図示せず)の動きに連動して進退される部材である。より具体的には、上部錠ユニット41のシリンダはそのシリンダに適合した鍵により回すことができ、シリンダが回されることで上部デッドボルト410が進退される。上部デッドボルト410は、側端部32から突出する位置と、上部錠ユニット41の内部に隠れる位置との間を進退することができる。家屋の出入口を囲う枠体の縦枠には、上部デッドボルト410に対応する受部が設けられている。ドア3が閉じられているとき、上部デッドボルト410が側端部32から突出し縦枠の受部に進入することで、ドア3が施錠される。
【0025】
ラッチボルト411は、家屋の出入口を囲う枠体にドア3を係合させるための部材である。ラッチボルト411は、側端部32から突出する位置と、上部錠ユニット41の内部に隠れる位置との間を進退することができる。枠体の縦枠にはラッチボルト411に対応する受部が設けられている。ドア3が閉じられるとき、枠体との接触によりラッチボルト411が上部錠ユニット41の内部に一時的に退けられる。ラッチボルト411が受部に対向する位置までドア3が閉じられると、ラッチボルト411が受部に進入し、ドア3が枠体に係合される。ラッチボルト411は、室内側ドアハンドル42及び室外側ドアハンドル43の操作に連動して上部錠ユニット41の内部に退くことが可能となる。室内側ドアハンドル42及び室外側ドアハンドル43の操作に連動して上部錠ユニット41の内部に退くようにラッチボルト411が変位してよい。また、室内側ドアハンドル42及び室外側ドアハンドル43の操作に連動してラッチボルト411の向きが反転し、枠体との接触によりラッチボルト411が上部錠ユニット41の内部に一時的に退けられてもよい。このようにラッチボルト411が反転する装置は、反転ラッチ装置と呼ばれることがある。ラッチボルト411が上部錠ユニット41の内部に退くことにより、枠体へのドア3の係合が解除され、ドア3を開くことができる。
【0026】
なお、下部デッドボルト400及び上部デッドボルト410は、後述のサムターン420a,421aによっても進退させることができる。さらに、図示はしないが、本実施の形態の下部錠ユニット40及び上部錠ユニット41は、下部デッドボルト400及び上部デッドボルト410に接続された駆動部を有している。駆動部は、例えばモータ等のアクチュエータを含み、電力を動力源として下部デッドボルト400及び上部デッドボルト410を進退させることができる。駆動部は、利用者による開錠/施錠操作を検出した際に下部デッドボルト400及び上部デッドボルト410を進退させることができる。開錠/施錠操作は、例えばICカード等の認証媒体を用いた認証操作、例えば暗証番号等の認証情報の入力操作及び例えばリモコン等の端末からの開錠/施錠信号の送信を含む。
【0027】
室内側ドアハンドル42は、ドア3の室内側壁部30に取り付けられており、利用者がドア3を開閉する際に室内側から操作される。
【0028】
室内側ドアハンドル42は、下部室内側ハンドルベース420、上部室内側ハンドルベース421及び室内側グリップ422を有している。
【0029】
下部及び上部室内側ハンドルベース420,421は、上下方向に互いに離間して室内側壁部30に取り付けられている。下部及び上部室内側ハンドルベース420,421には、上述の下部デッドボルト400及び上部デッドボルト410を進退させるためのサムターン420a,421aが取り付けられている。
【0030】
室内側グリップ422は、下部及び上部室内側ハンドルベース420,421に接続されている。本実施の形態の室内側グリップ422は、上下方向に延在する軸部を中心に揺動可能に設けられている。室内側グリップ422を揺動させることにより、上述のラッチボルト411を上部錠ユニット41の内部に退くことを可能とし、枠体へのドア3の係合を解除することができる。
【0031】
室外側ドアハンドル43は、ドア3の室外側壁部31に取り付けられており、利用者がドア3を開閉する際に室外側から操作される。
【0032】
室外側ドアハンドル43は、下部室外側ハンドルベース430、上部室外側ハンドルベース431及び室外側グリップ432を有している。
【0033】
下部及び上部室外側ハンドルベース430,431は、上下方向に互いに離間して室外側壁部31に取り付けられている。
【0034】
室外側グリップ432は、下部及び上部室外側ハンドルベース430,431に接続されている。本実施の形態の室外側グリップ432は、前後方向に進退可能に設けられている。室外側の利用者が室外側グリップ432を手前に引くことにより、上述のラッチボルト411を上部錠ユニット41の内部に退くことを可能とし、枠体へのドア3の係合を解除することができる。
【0035】
なお、図1では、室内側ドアハンドル42等のドア3の開閉を行うための開閉部と、下部錠ユニット40等のドア3の施錠を行うための施錠部とが一体に設けられているように示している。しかしながら、これら開閉施錠部に含まれる開閉部及び施錠部は機械的に分離して設けられていてもよい。
【0036】
<係留ワイヤについて>
係留ワイヤ5は、ドア3の室外側において宅配物収容器2に繋ぐことが可能な線状体である。本実施の形態の係留ワイヤ5は、ドア3の室外側に配置された折返部50を有している。本実施の形態の係留ワイヤ5は、折返部50及び宅配物収容器2に南京錠7が掛けられることにより宅配物収容器2に繋がれている。ただし、宅配物収容器2への係留ワイヤ5の繋ぎ方は他の方法を採ってもよい。南京錠7は、ダイヤル錠であり得る。
【0037】
本実施の形態の係留ワイヤ5は、一部がドア3の室内側に配置されている。ドア3の室内側に配置された係留ワイヤ5の一部は、ドア3の室内側の部材に固定されている。ドア3の室内側において室内側の部材に係留ワイヤ5を固定することにより、室内側で作業しなければ係留ワイヤ5の固定を解除できず、防盗性を向上できる。
【0038】
本実施の形態の係留ワイヤ5は、両端がドア3の室内側に配置されている。しかしながら、係留ワイヤ5の一端がドア3の室内側に配置され、係留ワイヤ5の他端がドア3の室外側に配置されてもよい。また、係留ワイヤ5の一部がドア3の室内側に配置されていれば、係留ワイヤ5の両端がドア3の室外側に配置されていてもよい。
【0039】
また、本実施の形態の係留ワイヤ5は、ドア3の室内側の部材である室内側ドアハンドル42(下部室内側ハンドルベース420)に巻取器6を介して固定されている。しかしながら、係留ワイヤ5は、巻取器6を介さずに室内側ドアハンドル42に固定されてもよい(巻取器6が省略されていてもよい)。また、係留ワイヤ5は、例えばドア3の室内側壁部30等のドア3の室内側の他の構成に固定されてもよい。
【0040】
後に図を用いて説明するように、本実施の形態の係留ワイヤ5は、上述の開閉施錠部4をドア3に取り付けるためにドア3に設けられた開口を通してドア3の室外側に引き出されている。仮にドアポストを通して係留ワイヤ5をドア3の室外側に引き出した場合、係留ワイヤ5によりドアポストが半開きの状態となり、ドア3の機能が制限されてしまう。本実施の形態の構成のように、開閉施錠部4をドア3に取り付けるためにドア3に設けられた開口を通してドア3の室外側に係留ワイヤ5が引き出されていることで、ドア3の機能が制限されることを回避することができる。また、係留ワイヤ5を通すための専用の開口をドア3に設けた場合、コスト増大の要因になるとともに、ドア3の美観を損ねる虞がある。本実施の形態のように、開閉施錠部4のための開口が係留ワイヤ5を通すための開口を兼ねることで、このような問題の発生を回避できる。
【0041】
<巻取器について>
巻取器6は、係留ワイヤ5を巻き取ることが可能な器具である。巻取器6が係留ワイヤ5を巻き取ることにより、室外側において係留ワイヤ5が垂れ下がり家屋の美観を損ねる虞を低減できる。
【0042】
巻取器6は、ぜんまいバネの付勢により係留ワイヤ5をリールに巻き取ることができるように構成されていることが好ましい。例えば、巻取器6は、リールと、リールの外周に係留ワイヤ5を巻き付ける方向にリールを付勢するとともに、係留ワイヤ5を送り出す方向にリールが回転された際に回転エネルギーを蓄積するぜんまいバネとを有し、ぜんまいバネの付勢によりリールが回転されてリールの外周に係留ワイヤ5が巻き付けられるように構成することができる。しかしながら、巻取器6は、手動の回転操作により係留ワイヤ5をリールに巻き取るように構成されていてもよく、電動のアクチュエータにより係留ワイヤ5をリールに巻き取るように構成されていてもよい。
【0043】
巻取器6が電動のアクチュエータを含む場合、巻取器6のアクチュエータは下部デッドボルト400及び上部デッドボルト410を進退させる下部錠ユニット40及び上部錠ユニット41の駆動部(電気錠)と連動してもよい。例えば、巻取器6のアクチュエータは、駆動部の開錠動作(下部錠ユニット40及び上部錠ユニット41内に下部デッドボルト400及び上部デッドボルト410を退かせる動作)を検出した際に、係留ワイヤ5をリールに巻き取ってもよい。このように構成することで、利用者が帰宅して宅配物収容器2内の荷物を回収した後、玄関錠を解錠するだけで係留ワイヤ5を巻き取ることができ、係留ワイヤ5を巻き取るだけの操作を不要とすることができる。
【0044】
本実施の形態の巻取器6は、室内側ドアハンドル42(下部室内側ハンドルベース420)に内蔵されている。しかしながら、巻取器6は、例えばドア3の室内側壁部30等のドア3の室内側の他の部材に固定されてもよい。
【0045】
次に、図2は、図1の室外側ドアハンドル43を斜め下方から見たときの斜視図である。図2に示すように、室外側ドアハンドル43には、係留ワイヤ5が引き出されるワイヤ引出口433が設けられている。本実施の形態のワイヤ引出口433は、下方に向かって開口している。換言すると、ワイヤ引出口433は、下方に向かって係留ワイヤ5が引き出されるように配設されている。宅配物収容器2は、室外側ドアハンドル43よりも下方に配置されることが多い。ワイヤ引出口433が下方に向かって開口していることにより、係留ワイヤ5を宅配物収容器2に向けて引き出す時に係留ワイヤ5が室外側ドアハンドル43と干渉する虞を低減できる。
【0046】
ワイヤ引出口433は、室外側ドアハンドル43の下部に配置されていることが好ましい。これにより、係留ワイヤ5が室外側ドアハンドル43と干渉する虞をさらに低減できるとともに、係留ワイヤ5を目立ちにくくすることができる。なお、室外側ドアハンドル43の下部は、高さ方向に係る室外側ドアハンドル43の中央位置よりも下方の部分と理解することができる。ワイヤ引出口433は、室外側グリップ432の下端432aよりも下方に配置されていることが好ましい。後に詳しく説明するように、本実施の形態のワイヤ引出口433は、室外側ドアハンドル本体434の下部のカバー部材435(下部カバー部材)に設けられている。
【0047】
本実施の形態のワイヤ引出口433は、互いに離間して配置された一対の開口433a,433bと、それら開口433a,433bの間に設けられた板部433cとを有している。係留ワイヤ5は、折返部50が板部433cをまたぐように開口433a,433bに通されている。これにより、係留ワイヤ5が巻取器6に巻き取られるとき、折返部50が板部433cに掛かり、係留ワイヤ5が室外側ドアハンドル43内に引き込まれることを回避することができる。しかしながら、ワイヤ引出口433を構成する開口の数は任意であり、ワイヤ引出口433は1つの開口により構成されてもよい。ワイヤ引出口433が1つの開口により構成されるとき、ワイヤ引出口433よりも大きな部材を係留ワイヤ5に取り付けて、その部材により係留ワイヤ5が室外側ドアハンドル43内に引き込まれることを回避してもよい。
【0048】
次に、図3図1の室外側ドアハンドル43の下部を示す斜視図であり、図4図3のカバー部材435が室外側ドアハンドル本体434から外れた状態を示す説明図である。図3に示すように、本実施の形態の室外側ドアハンドル43は、室外側ドアハンドル本体434及びカバー部材435を有している。室外側ドアハンドル本体434は、カバー部材435を説明するために用いる用語であり、室外側ドアハンドル43のカバー部材435以外の部分を指す。カバー部材435は、室外側ドアハンドル本体434に着脱可能に設けられた部材である。
【0049】
カバー部材435(下部カバー部材)は、室外側ドアハンドル本体434の下部に取り付けられることで、下部錠ユニット40のシリンダ401を覆い隠す。図3には示さないが、室外側ドアハンドル本体434の上部には、上部錠ユニット41のシリンダを覆い隠すためのカバー部材435(上部カバー部材)が設けられている。
【0050】
図2及び図3に示すように、本実施の形態のワイヤ引出口433は、室外側ドアハンドル本体434の下部のカバー部材435(下部カバー部材)に設けられている。より具体的には、ワイヤ引出口433は、カバー部材435の底壁435aに設けられている。ワイヤ引出口433がカバー部材435に設けられることで、図4に示すように係留ワイヤ5がカバー部材435のストラップを兼ね、カバー部材435の紛失の虞を低減できる。
【0051】
次に、図5図3のカバー部材435を示す背面図であり、図6図5のカバー部材435の下部の断面図である。カバー部材435の内部には、底壁435aから立設された舌片435bが設けられている。舌片435bには、案内孔435cが設けられている。係留ワイヤ5は、案内孔435cを通してワイヤ引出口433に向かうとともに、ワイヤ引出口433から案内孔435cを通してドア3側に向かっている。図5に特に表れているように、案内孔435cは、底壁435aの幅方向(図5における左右方向)に関して底壁435aの中央位置に配置されている。また、図6に特に表れているように、舌片435bは、底壁435aの奥行方向(図6における左右方向)に関して底壁435aの中央位置よりもワイヤ引出口433に近い位置に配置されている。ワイヤ引出口433は、底壁435aの奥行方向に関して舌片435bよりも底壁435aの前端側に配置されている。但し、ワイヤ引出口433の位置は任意である。ワイヤ引出口433は、底壁435aの奥行方向に関して舌片435bよりも底壁435aの後端側に配置されていてもよい。
【0052】
次に、図7は、図1の下部室外側ハンドルベース430の前面側を示す斜視図である。図7に示すように、下部室外側ハンドルベース430には、シリンダ開口430a及び切欠430bが設けられている。シリンダ開口430aは、下部錠ユニット40のシリンダ401(図3参照)を露出させるための開口であり、正面から見たときに円形の外形を有している。切欠430bは、シリンダ開口430aに連通して下部室外側ハンドルベース430に設けられている。本実施の形態の切欠430bは、上下方向に関してシリンダ開口430aの中央位置よりも低い位置に設けられている。また、切欠430bは、シリンダ開口430aの径方向に沿って延在されている。本実施の形態の係留ワイヤ5は、切欠430bを通されている。これにより、鍵をシリンダ401に挿入する際に係留ワイヤ5が鍵の挿入を阻害する虞を低減できる。
【0053】
次に、図8は、図1の下部室外側ハンドルベース430の背面側を示す斜視図である。図8に示すように、下部室外側ハンドルベース430の背面側には、シリンダ開口430aを囲う周囲壁430cが設けられている。周囲壁430cには、シリンダ開口430aの周方向に関して切欠430bに対応する位置に隙間430dが設けられている。係留ワイヤ5は、隙間430dを通り切欠430bに向かうことができる。
【0054】
本実施の形態の下部室外側ハンドルベース430の背面側の上部及び下部には、スピンドル436が取り付けられている。スピンドル436は、長手状の部材である。下部室外側ハンドルベース430がドア3の室外側壁部31に取り付けられたとき、スピンドル436はドア3の室内側に突出する。スピンドル436は、下部室外側ハンドルベース430と下部室内側ハンドルベース420との接合に用いることができる。
【0055】
次に、図9は、図1の係留装置1の要部を拡大して示す側面図である。図9に示すように、本実施の形態の係留ワイヤ5は、巻取器6を出た後に、室内側壁部30からドア3の内部に進入し、スピンドル436とともに下部錠ユニット40の下方の空間を通り抜け、室外側壁部31からドア3を抜け出る。また、係留ワイヤ5は、ドア3を抜け出た後、下部室外側ハンドルベース430の切欠430bを通り下部室外側ハンドルベース430の表側に現れる。さらに、係留ワイヤ5は、カバー部材435の舌片435bに設けられた案内孔435cを通過した後に、ワイヤ引出口433からカバー部材435の外部へと引き出されている。カバー部材435の外部へと引き出された係留ワイヤ5の一端は、同じ経路を通って室内側に戻される。室内側に戻された係留ワイヤ5の一端は、室内側ドアハンドル42に固定することができる。係留ワイヤ5の一端を固定するための専用の固定部が室内側ドアハンドル42内に設けられていてもよいし、巻取器6を介して係留ワイヤ5の一端が室内側ドアハンドル42に固定されてもよい。
【0056】
次に、図10は、図9の要部の分解斜視図である。図10では、下部錠ユニット40よりも室外側の構成を示し、例えば室内側壁部30、下部室内側ハンドルベース420及び巻取器6等の室内側の構成の図示を省略している。
【0057】
図10に示すように、室外側壁部31には、シリンダ開口310、下部開口311及び上部開口312が設けられている。シリンダ開口310は、下部錠ユニット40のシリンダ401を露出させるための開口である。下部開口311及び上部開口312は、下部室外側ハンドルベース430のスピンドル436を通すための開口である。下部開口311は、室外側グリップ432から延びるハーネス432bを通すための開口を兼ねる。係留ワイヤ5は、室外側壁部31の下部開口311を通り室外側壁部31を通り抜けることができる。
【0058】
図示はしないが、上述のシリンダ開口310、下部開口311及び上部開口312に対応する開口が室内側壁部30に設けられている。係留ワイヤ5は、下部開口311に対応する室内側壁部30の開口を通り室内側壁部30を通り抜けることができる。
【0059】
なお、図10に示すように、本実施の形態の下部室外側ハンドルベース430と室外側壁部31との間にはパッキンプレート437が介在される。パッキンプレート437は、板状の弾性体を含む。図示はしないが、下部室内側ハンドルベース420と室内側壁部30との間にも同様のパッキンプレート437が介在される。
【0060】
パッキンプレート437には、シリンダ開口437a、下部スピンドル開口437b、上部スピンドル開口437c及びワイヤ挿通部437dが設けられている。シリンダ開口437aは、下部錠ユニット40のシリンダ401を露出させるための開口であり、上述の室外側壁部31のシリンダ開口310と同じ内径を有している。下部及び上部スピンドル開口437b,437cは、スピンドル436が挿通される開口であり、スピンドル436の外径と実質的に等しい内径を有している。ワイヤ挿通部437dは、係留ワイヤ5を挿通するための部分である。本実施の形態のワイヤ挿通部437dは、パッキンプレート437の幅方向に延在された横長の切れ目とされている。切れ目は、係留ワイヤ5が挿通されていないとき開口していない。また、切れ目は、係留ワイヤ5が挿通されているとき係留ワイヤ5に接触している部分が弾性変形し係留ワイヤ5に密着した状態を維持する。
【0061】
次に、図11は、図1の係留装置1に含まれる機能を示すブロック図である。図11に示すように、係留装置1は、切断検出部10及び報知部11を有している。切断検出部10は、係留ワイヤ5の切断を検出する。切断検出部10が係留ワイヤ5の切断を検出する方法は任意である。例えば、本実施の形態の係留装置1のように、係留ワイヤ5の折返部50が板部433cをまたぐように設けられているとき(図2参照)、係留ワイヤ5が切断されていなければ巻取器6における係留ワイヤ5の巻き取り量は所定量を超えない。切断検出部10は、巻取器6における係留ワイヤ5の巻き取り量が所定量を超えるとき、係留ワイヤ5の切断を検出してよい。
【0062】
巻取器6に電動アクチュエータが含まれているとき、切断検出部10は、電動アクチュエータの出力から係留ワイヤ5の切断を検出してよい。例えば、係留ワイヤ5を巻き取る際、係留ワイヤ5が切断されていなければ係留ワイヤ5の折返部50が板部433cに掛かる。折返部50が板部433cに掛かるとき巻取器6の電動アクチュエータの出力トルクが上昇する。切断検出部10は、巻取器6の電動アクチュエータの出力トルクが上昇するか否かに基づき係留ワイヤ5の切断を検出してよい。
【0063】
切断検出部10は、係留ワイヤ5を含む電気回路に電流を流し、その電気回路に電流が流れるか否か又は電気回路の抵抗値に基づいて係留ワイヤ5の切断を検出してよい。係留ワイヤ5が切断されているとき、係留ワイヤ5を含む電気回路に電流が流れないか又はその電気回路の抵抗値が非常に大きくなる。切断検出部10は、ドア3の開閉状態及び/又は施錠状体に基づき係留ワイヤ5に電流を流すか否かを判定することができる。例えば、切断検出部10は、ドア3が施錠されていることを検出しているときにのみ、係留ワイヤ5に電流を流すことができる。これにより、電力消費量を低減できる。切断検出部10は、下部デッドボルト400及び上部デッドボルト410の少なくとも一方が側端部32から突出しているとき、ドア3が施錠されていると判定することができる。
【0064】
報知部11は、切断検出部10により係留ワイヤ5の切断が検出されたときに係留ワイヤ5の切断を報知する。報知部11は、音及び/又は表示により係留ワイヤ5の切断を報知してよい。報知部11は、利用者による開錠/施錠操作を検出したことを報知するスピーカ又は表示部を兼ねてもよい。
【0065】
次に、本実施の形態の係留装置1の使用方法について説明する。利用者は、利用者の外出中に宅配物の配送が予想される場合、ドア3の室外側近辺に宅配物収容器2を配置する。この時、利用者は、室外側ドアハンドル43の下部から係留ワイヤ5を引き出し、宅配物収容器2に係留ワイヤ5を引掛けてよい(仮止めしてよい)。
【0066】
宅配業者は、利用者の不在時に宅配物収容器2に宅配物を収容するとともに、宅配物収容器2を閉塞した後に、南京錠7を用いて係留ワイヤ5を宅配物収容器2に繋ぐ。南京錠7がダイヤル錠であるとき、配達票に暗証番号を記載して、その配達票をポストに投函することができる。
【0067】
帰宅した利用者は、配達票に記載された暗証番号に基づき南京錠7を開錠し、宅配物収容器2から宅配物を回収する。その後、利用者は、巻取器6により係留ワイヤ5を巻き取ることができる。巻取器6がぜんまいバネを含む場合、利用者が係留ワイヤ5を離すことによりぜんまいバネの付勢により係留ワイヤ5がリールに自動的に巻き取られる。手動の回転操作又は電動アクチュエータを操作することによって、巻取器6により係留ワイヤ5を巻き取ってもよい。
【0068】
このような係留装置1では、係留ワイヤ5の一部がドア3の室内側の部材に固定されているので、防盗性を向上できる。また、開閉施錠部4をドア3に取り付けるためにドア3に設けられた開口を通して係留ワイヤ5がドア3の室外側に引き出されるので、ドア3の機能が制限されることを回避することができる。
【0069】
また、係留ワイヤ5が室内側ドアハンドル42に固定されているので、係留ワイヤ5を固定するための専用の構成を不要とでき、室内側の美観を損ねる虞を低減できる。
【0070】
また、ドア3の室内側に配置された巻取器6により係留ワイヤ5を巻き取ることが可能であるので、ドア3の室外側において係留ワイヤ5が垂れ下がり家屋の美観を損ねる虞を低減できる。
【0071】
また、室外側ドアハンドル43から係留ワイヤ5を引き出すためのワイヤ引出口433が下方に向かって開口しているので、係留ワイヤ5を宅配物収容器2に向けて引き出す時に係留ワイヤ5が室外側ドアハンドル43と干渉する虞を低減できる。
【0072】
また、ワイヤ引出口433がカバー部材435に設けられているので、係留ワイヤ5がカバー部材435のストラップを兼ねることができ、カバー部材435の紛失の虞を低減できる。
【0073】
また、切断検出部10により係留ワイヤ5の切断が検出されたときに報知部11が係留ワイヤ5の切断を報知するので、利便性を向上させることができる。
【0074】
実施の形態2.
図12は、本発明の実施の形態2による係留装置1を示す側面図である。実施の形態1では巻取器6が室内側ドアハンドル42(下部室内側ハンドルベース420)に内蔵され、巻取器6を介して係留ワイヤ5が室内側ドアハンドル42に固定されるように説明した。しかしながら、図12に示すように、係留ワイヤ5の一部がドア3内の部材に固定されてもよい。係留ワイヤ5がドア3の室内側に配置されていなくてもよい。図12に示す態様では、巻取器6が下部錠ユニット40に内蔵されており、係留ワイヤ5が巻取器6を介して下部錠ユニット40に固定されている。巻取器6が下部錠ユニット40に内蔵されずにドア3の内部で固定されていてもよい。巻取器6が省略されて、係留ワイヤ5が下部錠ユニット40又はドア3内の突起等のドア3内部の部材に固定されてもよい。その他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0075】
このような係留装置1では、係留ワイヤ5の一部がドア3内の部材に固定されているので、室外の作業だけで係留ワイヤ5の固定を解除できる状況を避けることができ、防盗性を向上できる。
【0076】
実施の形態3.
図13は、本発明の実施の形態3による係留装置1を示す側面図である。実施の形態1では巻取器6が室内側ドアハンドル42(下部室内側ハンドルベース420)に内蔵され、開閉施錠部4をドア3に取り付けるためにドア3に設けられた開口を通して係留ワイヤ5がドア3の室外側に引き出されるように説明した。しかしながら、図13に示すように、巻取器6がドア3の室外側に配置されてよい。この場合、係留ワイヤ5は、開閉施錠部4をドア3に取り付けるためにドア3に設けられた開口を通されなくてよい。
【0077】
巻取器6は、ドア3の室外側壁部31に固定されている。室外側壁部31への巻取器6の固定方法は任意であるが、例えば磁力又は両面テープ等により室外側壁部31に固定してよい。巻取器6は、例えば家屋の外壁等の室外側壁部31以外の室外の部材に固定されてもよい。
【0078】
巻取器6は、下方に向けて係留ワイヤ5を引き出すことができるように配設されていることが好ましい。巻取器6は、高さ方向に係る室外側ドアハンドル43の中央位置よりも下方に配置されていることが好ましい。図12では、巻取器6が室外側ドアハンドル43の下端よりも下方に配置されている態様を示している。その他の構成は実施の形態1,2と同様である。
【0079】
このような係留装置1では、巻取器6により係留ワイヤ5を巻き取ることが可能であるので、ドア3の室外側において係留ワイヤ5が垂れ下がり家屋の美観を損ねる虞を低減できる。
【符号の説明】
【0080】
1 係留装置
2 宅配物収容器
3 ドア
30 室内側壁部
31 室外側壁部
4 開閉施錠部
42 室内側ドアハンドル
43 室外側ドアハンドル
433 ワイヤ引出口
434 室外側ドアハンドル本体
435 カバー部材
5 係留ワイヤ
6 巻取器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13