(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20240130BHJP
E04H 6/18 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
E04H6/42 F
E04H6/18 601A
(21)【出願番号】P 2019100089
(22)【出願日】2019-05-29
【審査請求日】2022-02-16
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】坂田 優
(72)【発明者】
【氏名】横野 昌利
(72)【発明者】
【氏名】野上 達矢
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-153007(JP,A)
【文献】特開2014-080822(JP,A)
【文献】特開2014-080821(JP,A)
【文献】特開2017-179907(JP,A)
【文献】特開平01-023400(JP,A)
【文献】特開2001-254526(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00
E04H 6/42
E04H 6/18
G06Q 50/00-50/20
G06Q 50/26-99/00
G08G 1/00-9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を格納する格納部を複数有していて複数の車両を収容することが可能な本体装置と、前記本体装置の動作を制御する制御装置と、前記本体装置の近傍に設けられた入力装置と、外部装置から送信された信号を受信する通信手段を有し、前記入力装置を操作して車両の入庫及び/又は出庫の要求を行う直接入力が可能であると共に、前記入力装置及び/又は前記外部装置から入庫及び/又は出庫の予約入力を行うことが可能であり、前記予約入力に基づいて前記本体装置が入庫準備動作又は出庫準備動作を実行する駐車装置であって、車両出入り部と外部との間に物理的障壁があり、
前記予約入力がなされた状態の際に前記直接入力がなされた場合には、
予約入力をした者が前記入力装置を操作する前であって且つ入庫準備動作又は出庫準備動作が開始される前であって物理的障壁が閉じていれば、
前記予約入力に基づく順に優先して前記直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行され
、
予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫準備動作が開始された後であって当該入庫準備動作又は出庫準備動作が動作中に直接入力がなされた場合には、動作中の予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫準備動作が完了した後に、直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行されることを特徴とする駐車装置。
【請求項2】
予約入力に基づいて行われる一連の工程が開始される前、及び/又は終了後に休止時間があり、直接入力がなされた場合には、前記休止時間の後に実行される予約入力に基づく工程を中断して直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行され、その後に、予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫準備動作が再度実行されることを特徴とする請求項
1に記載の駐車装置。
【請求項3】
前記休止時間を調整可能であることを特徴とする請求項2に記載の駐車装置。
【請求項4】
車両を載置する車両載置部材を有し、当該車両載置部材は前記格納部に収容され、さらに前記本体装置には車両出入り部があり、入庫準備動作及び/又は出庫準備動作は、格納部に収容されている車両載置部材を前記車両出入り部の近傍まで移動させる動作であることを特徴とする請求項1乃至
3のいずれかに記載の駐車装置。
【請求項5】
所定の確認動作を経て前記物理的障壁が開放されるものであり、前記した所定の確認動作が行われる前に直接入力があった場合には直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行されることを特徴とする請求項
4に記載の駐車装置。
【請求項6】
入庫準備動作又は出庫準備動作が完了したことを知らせる報知手段を有し、当該報知手段は、入庫準備動作又は出庫準備動作が完了した後、一定時間が経過した後に報知を行うものであることを特徴とする請求項1乃至
5のいずれかに記載の駐車装置。
【請求項7】
車両が入庫された後、当該車両を所定の位置に移動させる車両移動動作が実行され、当該車両移動動作が完了した後、さらに続いて予約入力に基づく次の入庫準備動作又は出庫準備動作が開始されるものであり、直接入力がなされた場合には前記予約入力に基づく前記次の入庫準備動作又は出庫準備動作を中止して当該直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行され、その後に次の予約入力に基づく前記次の入庫準備動作又は出庫準備動作が実行されることを特徴とする請求項1乃至
6のいずれかに記載の駐車装置。
【請求項8】
車両を載置する複数の車両載置部材を有し、車両の出庫が完了した後、前記車両載置部材を所定の位置に移動させる空部材移動動作が実行され、当該空部材移動動作が完了した後、さらに続いて予約入力に基づく次の入庫準備動作又は出庫準備動作が開始されるものであり、直接入力がなされた場合には前記予約入力に基づく前記次の入庫準備動作又は出庫準備動作を中止して当該直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行され、その後に次の予約入力に基づく前記次の入庫準備動作又は出庫準備動作が実行されることを特徴とする請求項1乃至
7のいずれかに記載の駐車装置。
【請求項9】
車両を載置する複数の車両載置部材を有し、前記車両載置部材を移動させる移動手段が有り、
各車両載置部材と、載置される車両及び/又は使用者が関連付けられており、
入庫準備動作及び/又は出庫準備動作は、前記移動手段によって車両及び/又は使用者に関連付けられた特定の車両載置部材を所定の位置に移動させる動作であることを特徴とする請求項1乃至
8のいずれかに記載の駐車装置。
【請求項10】
複数の予約入力に基づく予約を記憶する記憶手段を有し、直接入力が無い場合には、予約入力で入力された要求時刻の順に入庫準備動作又は出庫準備動作が実行されることを特徴とする請求項1乃至
9のいずれかに記載の駐車装置。
【請求項11】
車両を載置するパレットを有し、前記入庫準備動作及び出庫準備動作は、特定のパレットを車両出入り部に移動させる動作であり、当該特定のパレットが車両出入り部にある場合には、入庫準備動作又は出庫準備動作が行われないことを特徴とする請求項1乃至
10のいずれかに記載の駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗用車等の車両を留め置く駐車装置に関するものである。特に本発明は、マンション等の建屋に付属する駐車装置や、立体駐車装置として好適である。
【背景技術】
【0002】
限られた面積の土地を有効利用し、より多数の自動車を駐車させる装置として、機械式駐車装置が知られている。
機械式駐車装置は、自動車を立体的に駐車させる駐車装置である。代表的な機械式駐車装置は、自動車を載置するパレットと、このパレットを昇降させる昇降装置を有している。機械式駐車装置では、車両配置エリアに自動車を出し入れする車両出入り部がある。
そして車両出入り部から機械式駐車装置の車両配置エリアに自動車を導入し、パレットに自動車を載置し、パレットを昇降して所定の階に自動車を配置する。
またパズル式立体駐車装置と称されるものは、パレットを昇降させるだけでなく、パレットを横行させる機能も有している。
【0003】
機械式駐車装置は、入り口に操作盤が設けられている場合が多い。
使用者は、自己の自動車を出庫する際に操作盤を操作して、自己の自動車が搭載されたパレットを車両出入り部に呼び出す。また自己の自動車を出庫する際に操作盤を操作して、特定のパレットを車両出入り部に移動させる。
一般に機械式駐車装置の車両出入り部には、ゲートが設けられており、当該ゲートを開閉する際にも操作盤が操作される。
【0004】
特許文献1には、入庫予約を行う機能を備えた駐車システムが開示されている。特許文献1に開示された駐車システムでは、自動車が敷地外から駐車設備へ向かって近接すると、自動車からのDSRC信号を入場側認証アンテナが受信し、この受信結果を入出庫制御装置に送信する。自動車が敷地内に入場したことが検知されると、自動車の車種や駐車設備の稼働状況等から、自動車を入庫させる入庫先と、入庫先として選択された駐車設備における格納スペースの割り当て先を選択する。そして、選択結果を予約データとして、入庫準備の予約テーブルに記憶する。
【0005】
この後、自動車が駐車設備の付近に到着すると、設備前アンテナが自動車からのDSRC信号を受信し、到着した自動車の車種を確認し、入庫可能か否かを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-186169号公報
【文献】特開平7-42388号公報
【文献】特開平7-42393号公報
【文献】特開2014-139391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
市場において、出庫予約や入庫予約をより広範に行うことができる駐車装置が要求されている。
すなわち駐車装置から自動車を出庫する際には、自己の自動車が載置されたパレットを車両出入口まで呼び出す必要がある。
従来技術においては、使用者が駐車装置の車両出入口まで足を運び、操作盤を操作して自己の自動車が搭載されたパレットを車両出入り部に呼び出す必要があった。
大規模な駐車装置では、収容している自動車の台数が多いので、操作盤を操作してから実際に自己の自動車が搭載されたパレットが車両出入り部に到達するのにある程度の時間を要する。
さらに高層マンションに付属する駐車装置や、マンション群の中に独立して設置された駐車装置等では、使用者が居住する位置と、駐車装置の車両出入口との間にある程度の距離がある。そのため自室を出てから駐車装置の操作盤の位置にたどりつくにもある程度の時間がかかる。
【0008】
そのため、自室にいる内に、予め出庫の予約を行うことができれば便利である。例えばインターネット等を利用して出庫の予約を行い、使用者が駐車装置の車両出入口に到着した際に、自己の自動車が載置されたパレットが既に車両出入り部に到達していれば、操作盤への入力作業が軽減されるばかりでなく、パレット到達までの待ち時間を軽減することができる
【0009】
外出から帰って駐車装置に入庫する場合も同様であり、入庫の予約が出来、帰宅した際に自己の自動車を載置するパレットが車両出入り部に既に到達していれば便利である。
【0010】
しかしながらこの様な予約システムを採用すると、次の様な弊害が予想される。
すなわち使用者Aが入庫や出庫の予約をしたが、使用者Aが駐車装置に到着する前に、他の使用者Bが駐車装置に現れ、入庫や出庫を行なおうとする場合がある。
この場合、先に予約した使用者Aの入庫や出庫が完了しなければ、他の使用者Bの自動車を入出庫することができない。
そのため先の到達した使用者Bは、予約した使用者Aの到達や、入出庫の完了を待たなければならず、不満を持つこととなる。
【0011】
本発明は、上記した問題点に注目し、入出庫の待ち時間を低減することが可能な駐車装置を開発することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するための態様は、車両を格納する格納部を複数有していて複数の車両を収容することが可能な本体装置と、前記本体装置の動作を制御する制御装置と、前記本体装置の近傍に設けられた入力装置と、外部装置から送信された信号を受信する通信手段を有し、前記入力装置を操作して車両の入庫及び/又は出庫の要求を行う直接入力が可能であると共に、前記入力装置及び/又は前記外部装置から入庫及び/又は出庫の予約入力を行うことが可能であり、前記予約入力に基づいて前記本体装置が入庫準備動作又は出庫準備動作を実行する駐車装置であって、前記予約入力がなされた状態の際に前記直接入力がなされた場合には、前記予約入力に基づく順に優先して前記直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行されることを特徴とする駐車装置である。
【0013】
本態様の駐車装置では、本体装置の近傍に入力装置があり、当該入力装置を操作して、入庫準備動作又は出庫準備動作を行わせることができる。また本態様の駐車装置では、入庫や出庫の予約を行うこともできる。
加えて本態様の駐車装置は、予約に対して割り込みを行う機能を備えている。すなわち本態様の駐車装置では、予約入力がなされた状態の際に直接入力がなされた場合には、予約入力に基づく順に優先して入力装置から直接入力された要求を優先し、直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行される。
そのため本態様の駐車装置によると、予約した使用者よりも先に到着した使用者の待ち時間を短縮することができる。
【0014】
上記した態様において、予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫準備動作が開始された後に直接入力がなされた場合には、動作中の予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫準備動作が完了した後に、直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行されることが望ましい。
【0015】
本態様の駐車装置では、既に予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫準備動作が行われている場合であっても、直接入力に対応する入庫準備動作等を行わせることができる。
【0016】
上記した態様において、予約入力に基づいて行われる一連の工程が開始される前、及び/又は終了後に休止時間があり、直接入力がなされた場合には、前記休止時間の後に実行される予約入力に基づく工程を中断して直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行され、その後に、予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫準備動作が再度実行されることが望ましい。
【0017】
予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫準備動作の再実行は、直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行された直後であっても、一定の時間が経過した後であってもよい。
また何らかの操作を挟んだ後に、予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫準備動作の再実行を行ってもよい。
本態様によると、直接入力による入庫準備動作又は出庫準備動作を円滑に割り込ませることができる。
【0018】
上記した態様において、前記休止時間を調整可能であることが望ましい。
【0019】
休止時間の調整は、例えば入力装置によって行う。あるいは駐車装置の施工時やメンテナンス時に、別途用意の装置を使用して休止時間の調整を行う。
【0020】
上記した態様において、車両を載置する車両載置部材を有し、当該車両載置部材は前記格納部に収容され、さらに前記本体装置には車両出入り部があり、入庫準備動作及び/又は出庫準備動作は、格納部に収容されている車両載置部材を前記車両出入り部の近傍まで移動させる動作であることが望ましい。
【0021】
本態様によると、車両の入出庫を円滑に行うことができる。
【0022】
上記した態様において、車両出入り部と外部との間に物理的障壁があり、所定の確認動作を経て前記物理的障壁が開放されるものであり、前記した所定の確認動作が行われる前に直接入力があった場合には直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行されることが望ましい。
【0023】
本態様の駐車装置では、使用者の安全を確保するために車両配置領域と外部との間に、ゲート等の物理的障壁が設けられている。
そして使用者の安全を確保するために、例えば認証等の所定の確認動作を経ることを条件として物理的障壁が開放される。
本態様の駐車装置では、既に予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫準備動作が完了した状態であっても、物理的障壁を開放するための確認動作が開始される前に直接入力がなされた場合には、直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行される。
本態様によって直接入力に対応する入庫準備動作等が実行される条件は、物理的障壁を開放するための確認動作が開始される前に直接入力がなされた場合であり、多くの場合、予約者が入力装置の前に到着していない。
そのため、直接入力による動作を割り込ませても、弊害は起きない。
またその後に、予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫準備動作が再度実行されることが望ましい。
予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫準備動作の再実行は、直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行された直後であっても、一定の時間が経過した後であってもよい。
また何らかの操作を挟んだ後に、予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫準備動作の再実行を行ってもよい。
本態様によると、直接入力による場合を割り込ませた後で、予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫が再度実行されるので、遅れて到着した予約者の待ち時間が不当に長くなることはない。
【0024】
上記した態様において、入庫準備動作又は出庫準備動作が完了したことを知らせる報知手段を有し、当該報知手段は、入庫準備動作又は出庫準備動作が完了した後、一定時間が経過した後に報知を行うものであることが望ましい。
【0025】
本態様によると、入庫準備動作又は出庫準備動作が完了したことを知らせる報知手段を有している。多くの場合、使用者は、報知手段によって所望のパレットが到着したことを知り、その後で物理的障壁を開放するための確認動作を行う。
本態様の駐車装置では、入庫準備動作又は出庫準備動作が完了した後、一定時間が経過した後に報知が行われる。そのため直接入力を行う時間的余裕を確保することができる。
【0026】
上記した態様において、車両が入庫された後、当該車両を所定の位置に移動させる車両移動動作が実行され、当該車両移動動作が完了した後、さらに続いて予約入力に基づく次の入庫準備動作又は出庫準備動作が開始されるものであり、直接入力がなされた場合には前記予約入力に基づく前記次の入庫準備動作又は出庫準備動作を中止して当該直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行され、その後に次の予約入力に基づく前記次の入庫準備動作又は出庫準備動作が実行されることが望ましい。
【0027】
本態様によると、車両が入庫された後、当該車両を所定の位置に移動させる車両移動動作が実行され、当該車両移動動作が完了した後さらに続いて予約入力に基づく次の入庫準備動作又は出庫準備動作が開始される。
本態様の駐車装置では、直接入力がなされた場合には予約入力に基づく次の入庫準備動作又は出庫準備動作を中止して当該直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行される。
本態様によると、直接入力による場合を割り込ませた後で、中止していた予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫が再度実行されるので、遅れて到着した予約者の待ち時間が不当に長くなることはない。
【0028】
上記した態様において、車両を載置する複数の車両載置部材を有し、車両の出庫が完了した後、前記車両載置部材を所定の位置に移動させる空部材移動動作が実行され、当該空部材移動動作が完了した後、さらに続いて予約入力に基づく次の入庫準備動作又は出庫準備動作が開始されるものであり、直接入力がなされた場合には前記予約入力に基づく前記次の入庫準備動作又は出庫準備動作を中止して当該直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行され、その後に次の予約入力に基づく前記次の入庫準備動作又は出庫準備動作が実行されることが望ましい。
【0029】
本態様によると、車両の出庫が完了した後、前記車両載置部材を所定の位置に移動させる空部材移動動作が実行され、さらに続いて予約入力に基づく次の入庫準備動作又は出庫準備動作が開始される。
本態様の駐車装置では、直接入力がなされた場合には予約入力に基づく次の入庫準備動作又は出庫準備動作を中止して当該直接入力に対応する入庫準備動作又は出庫準備動作が実行される。
本態様によると、直接入力による場合を割り込ませた後で、中止していた予約入力に基づく入庫準備動作又は出庫が再度実行されるので、遅れて到着した予約者の待ち時間が不当に長くなることはない。
【0030】
上記した態様において、車両を載置する複数の車両載置部材を有し、前記車両載置部材を移動させる移動手段が有り、各車両載置部材と、載置される車両及び/又は使用者が関連付けられており、入庫準備動作及び/又は出庫準備動作は、前記移動手段によって車両及び/又は使用者に関連付けられた特定の車両載置部材を所定の位置に移動させる動作であることが望ましい。
【0031】
本態様によると、必要な車両載置部材を移動させて入庫準備動等を行うことができる。
【0032】
上記した態様において、複数の予約入力に基づく予約を記憶する記憶手段を有し、直接入力が無い場合には、予約入力で入力された要求時刻の順に入庫準備動作又は出庫準備動作が実行されることが望ましい。
【0033】
本態様によると、使用者の要求に沿って、円滑に入庫準備動作等を行うことができる。
【0034】
上記した態様において、所定の要件を具備する場合には、入庫準備動作又は出庫準備動作が行われないことが望ましい。
【0035】
例えば本体装置に複数の車両出入り部があり、車両を載置したパレットが既に車両出入り部にある場合は、新たに入庫準備動作や出庫準備動作を行う必要はない。
【発明の効果】
【0036】
本発明の駐車装置によると、入出庫の待ち時間を低減することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の実施形態の駐車装置及びその周囲の様子を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態の駐車装置の斜視図である。
【
図3】
図2の駐車装置に操作盤(入力装置)の斜視図である。
【
図5】
図4の制御装置内の予約テーブルに記憶されたデータを模式的に説明する説明図である。
【
図6】予約に基づく一連の動作を説明するフローチャートである。
【
図7】直接入力による割り込みを行う際のフローチャートである。
【
図8】直接入力による割り込み後における一連の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態に係る駐車装置1について、図面を参照しつつ詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0039】
本実施形態の駐車装置1は、
図1、
図2で示されるように、本体装置2と、操作盤(入力装置)3とを有している。また周辺機器として第1アンテナ4と、第2アンテナ5とを備えている。
【0040】
本体装置2は、駐車装置1の機械構造部である。本体装置2は、機械式駐車装置の一形態であり、パズル式機械駐車場、或いは昇降横行式機械駐車場と称される形式の駐車装置である。
図2で示されるように、本体装置2は、4階建ての建造物であり、複数台の自動車(車両)を駐車可能に形成されている。
すなわち、本体装置2は、複数階(4階)の階層を有する車両配置エリア10を有しており、この車両配置エリア10にパレット(車両載置部材)11が複数設けられている。それぞれのパレット11は、車両搭載用の台部材であり、図示しない駆動機構によって左右方向と上下方向にパズル式に移動が可能となっている。すなわち本実施形態では、駆動機構として昇降装置と横行装置を備えている。
パレット11は、常時、所定の格納部16に留め置かれている。本実施形態では、
図2の様に、各階に4枡の格納部16がある。
また最上階を除く各階には、一枡だけパレット11が配置されていない格納部16がある。
なお、作図の都合上、パレット11は、一部にのみ符号を付し、他への符号を省略する。
【0041】
本実施形態の本体装置2では、各パレット11は、各使用者が専用に使用するものである。例えばAパレット11は、藤田隆が専用に使用するパレット11であり、藤田隆が所有する自動車が載置される。例えばBパレット11は、法人たる極東開発工業株式会社が専用に使用するパレットであり、当該法人が所有する自動車が載置される。
【0042】
また車両配置エリア10の地上階(1階)部分には、車両配置エリア10に自動車を出入りさせる車両出入り部12が設けられている。車両出入り部12は、自動車の入出庫口となる部分であり、車両配置エリア10と外部の境界となる部分である。
【0043】
車両出入り部12には、ゲート(物理的障壁)15が設けられている。
ゲート15は、図示しない昇降機構によって昇降可能に形成され、ゲート15が上がった開状態と、ゲート15が下がった閉状態とを切り替え可能となっている。
【0044】
駐車装置1では、自動車の入庫時に所定の階の格納部16に置かれていた特定のパレット11が地上階へと移動し、いずれかの車両出入り部12の奥側に待機した状態となる。すなわち自動車の入庫する際に、自己が使用するパレット11を車両出入り部12の近傍に呼び出す。
そしてパレット11の手前側に位置する車両出入り部12のゲート15を開状態とした状態で、自動車をパレット11の上に載置させる。続いて、ゲート15を閉状態とすることで、入庫が完了する。
なお、ゲート15を閉状態としたとき、必要に応じてパレット11が所定位置まで自動で移動する。本実施形態の駐車装置1では、元の格納部16に戻す車両移動動作が実行される。
【0045】
これに対して自動車の出庫時には、自動車が載置されたパレット11が地上階に位置していない場合、所定階の格納部16にあったパレット11を地上階まで移動する。すなわち自動車を出庫する際にも、自己が使用するパレット11を車両出入り部12の近傍に呼び出す。
そしてパレット11の手前側に位置する車両出入り部12のゲート15を開状態とし、自動車をパレット11の上から車両配置エリア10の外部へ移動させる。続いて、ゲート15を閉状態とすることで、出庫が完了する。
なお、ゲート15を閉状態としたとき、必要に応じてパレット11が所定位置まで自動で移動する。本実施形態の駐車装置1では、空パレット11を元の格納部16に戻す空部材移動動作が実行される。
【0046】
つまり、車両配置エリア10では、自動車を載置する各パレット11の上側に、各自動車を収容する収容スペースが形成される。また、地上階の車両出入り部12の奥側部分が、入出庫時に自動車が待機する車両待機部となり、自動車の乗降場となる。
【0047】
操作盤3は、
図2で示されるように、車両配置エリア10のエリア外に設置された略直方体状の箱型構造物であり、制御基板等の各種機器を収容して形成されている。操作盤3は、
図2の様に本体装置2の近傍に設けられており、入力装置として機能する。
この操作盤3は、内部に制御装置45を備えている。また操作盤3は、液晶パネル等の表示手段や、テンキー、操作スイッチ等の入力手段を備えており、使用者が操作することで、本体装置2に入出庫に係る動作を実行させる。すなわち、上記したパレット11を地上階へ移動させる動作や、ゲート15を開閉させる動作を実施する。
【0048】
具体的には、操作盤3には、
図3の様に操作面がある。
操作盤3の操作面には、自己の自動車を取り出す際に、パレットの番号を入力したり、使用者を識別する使用者IDやパスワード等を入力する入力手段33がある。入力手段33は、例えばテンキー、操作スイッチ等である。
また入力手段33の上には、入力した番号や使用者ID等を表示する表示画面22がある。表示画面22には、駐車装置1の現在の運転状況も表示される。例えば、パレット11が載置階から車両出入り部12に移動中であること、車両出入り部12に到達したこと(到着報知)等が表示される。またゲート開スイッチ36の操作を促す表示もなされる。
【0049】
操作面には、操作スイッチとして、ゲート開スイッチ36、ゲート閉スイッチ37、パレット呼び出しスイッチ38がある。なお、表示画面22をタッチパネルとし、入力手段33や操作スイッチ36~38を兼用するようにしてもよい。
【0050】
操作盤3には、制御装置45が内蔵されている。制御装置45は、
図4に示す様に本体装置2の各動作を制御する制御部30を有している。制御部30は、
図4で示されるように、CPU等の演算部31と、記憶部32と、通信部33を備えたものとなっている。
【0051】
演算部31は、各種入力に基づいて、記憶部32に記憶されたプログラムを読み取りつつ実行することで各種演算や制御信号の生成を行う部分である。
【0052】
記憶部32は、各種プログラムやデータを記憶するROM、各種プログラムを一時的に記憶したり各種データを書き換え自在に記憶したりするRAMからなる主記憶装置を備えており、必要に応じて補助記憶装置がさらに設けられて形成される。なお、補助記憶装置としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等が採用できる。
【0053】
通信部(通信手段)33は、外部装置の機器や基板に対し、有線又は無線による双方向通信を可能とするインターフェースを有する。また、この通信部33は、バス等の伝送路を介して演算部31と接続されている。また本実施形態では、インターネットを介して外部の装置と通信することができる。例えば外部の通信端末と通信することができる。外部の通信端末には、パソコンの他、携帯電話やタブレット等の携帯端末46が含まれる。本実施形態では、
図2の様に予約者たる使用者Aが持つ携帯端末46が外部装置として機能する。
さらに本実施形態では、この通信部33により、操作盤3が本体装置2に設けられた各種機器や基板と信号の送受信が可能となっている。また、第1アンテナ4、第2アンテナ5から送信された信号を受信可能となっている。
【0054】
ここで記憶部32には、データベースが記憶されており、各テーブルに情報を記憶することが可能となっている。具体的には、登録用テーブル40と、予約テーブル43のそれぞれに規定された情報を記憶することができる。
【0055】
登録用テーブル40には、それぞれのパレット11に個別に割り当てられた番号であるパレット番号と、使用者を識別する使用者IDが関連付けて記憶されている。
【0056】
具体的に説明すると、本実施形態の駐車装置1は、本体装置2の使用者を識別するための情報として、各使用者に使用者IDが付与されている。
そして本実施形態の駐車装置1では、運用開始前に、本体装置2の使用権限を有する者の使用者IDと、特定のパレット11のパレット番号を関連付けて記憶させておく。パレット番号は、実質的には、当該使用者が使用権を有する格納位置に関する情報である。
【0057】
予約テーブル43には、入庫及び出庫の予約と予約した使用権者の使用者IDと、予約した者が使用権を有するパレット11のパレット番号が関連付けて記憶されている。
【0058】
次に、駐車装置1の機能について説明する。
本実施形態の駐車装置1では、
図2の使用者Bの様に、使用者が前記した操作盤3を直接操作して、自動車の入庫及び出庫を行うことができる。また本実施形態の駐車装置1では、使用者Aの様に操作盤3から離れた位置から携帯端末46等の外部装置を利用して、入庫及び出庫の予約を行うことができる。
【0059】
最初に、使用者が操作盤3を直接操作して、自動車の入庫や出庫を行う場合の動作について説明する。
例えば使用者Cの自動車がCパレット11に載置され、当該Cパレット11が駐車装置1の所定の格納部16に収容されている状態であり、使用者Cが自動車を出庫する場合について説明する。
使用者Cが出庫を希望する際には、操作盤3の前に立ち、操作盤3の入力手段を操作して、Cパレット11を呼び出す。具体的には、入力手段に自己の使用者IDや暗証番号等を入力し、パレット呼び出しスイッチ38を操作する。
【0060】
その結果、制御装置45からの指令により、駐車装置1が出庫準備動作を実行する。
出庫準備動作は、特定階の特定の格納部16にあるCパレット11を地上階に降下させ、いずれかの車両出入り部12のゲート(物理的障壁)15の前に到達させる動作である。
本実施形態の駐車装置1は、前記した様にパズル式機械駐車場、或いは昇降横行式機械駐車場と称される形式の駐車装置であり、駆動機構として昇降装置と横行装置を備えている。また最上階を除く各階には、一枡だけパレット11が配置されていない格納部16がある。
例えば最上階に目的のCパレット11がある場合には、その下の3階、2階、1階にあるパレット11を横行装置で脇に寄せ、Cパレット11の下部の降下通路を空ける。そして昇降装置で、最上階のCパレット11を地上階に降下させる。
目的のCパレット11が、3階や2階の様な中間階にある場合も同様であり、その下のパレット11を横行装置で脇に寄せ、Cパレット11の下部の降下通路を空け、昇降装置で、最上階のCパレット11を地上階に降下させる。
目的のCパレット11が、地上階にあり、すでに車両出入り部12のゲート(物理的障壁)15の前にある場合には、出庫準備動作は省略される。
【0061】
出庫準備動作が完了し、目的のCパレット11が車両出入り部12に到達すると、その旨が操作盤3の表示画面22に表示される。その後、暗証番号の入力と、ゲート開スイッチ36の操作を促す表示がなされる。
使用者がゲート開スイッチ36を操作すると、ゲート(物理的障壁)15が上昇し、物理的障壁が解消する。
使用者は、車両出入り部12に入って自動車に乗車し、自動車を発進させて自動車を出庫させる。
その後、確認のために、暗証番号等を再入力し、ゲート閉スイッチ37を操作すると、ゲート15が降下して、車両出入り部12の入り口を閉じる。
その後、空のCパレット11を元の格納部16に戻す空部材移動動作が自動的に実行される。
【0062】
使用者が操作盤3を直接操作して、自動車を入庫する場合も同様であり、操作盤3の前に立ち、操作盤3の入力手段を操作して、空のCパレット11を呼び出す。呼び出し方法は、出庫する場合と同様であり、入力手段に自己の使用者ID等を入力し、パレット呼び出しスイッチ38を操作する。
【0063】
その結果、制御装置からの指令により、駐車装置1が入庫準備動作を実行する。
入庫準備動作は、特定階の特定の格納部16にある空のCパレット11を地上階に降下させ、いずれかの車両出入り部12のゲート(物理的障壁)15の前に到達させる動作である。
目的のCパレット11が、地上階にあり、すでに車両出入り部12のゲート(物理的障壁)15の前にある場合には、入庫準備動作は省略される。
【0064】
入庫準備動作が完了し、空Cパレット11が車両出入り部12に到達すると、その旨が操作盤3の表示画面22に表示される。その後、ゲート開スイッチ36の操作を促す表示がなされる。
使用者がゲート開スイッチ36を操作すると、ゲート(物理的障壁)15が上昇し、物理的障壁が解消する。
使用者は、車両出入り部12の外部に停車中の自動車に乗車し、自動車を発進させて自動車を入庫させる。
その後、確認のために、暗証番号等を再入力し、ゲート閉スイッチ37を操作すると、ゲート15が降下して、車両出入り部12の入り口を閉じる。
ゲート15が閉じると、車両移動動作が実行される。車両移動動作は、自動車が載置されたCパレット11を元の階の所定の格納部16に戻す動作である。
具体的には、昇降装置で、地上階のCパレット11を本来の収容階に上昇させる。
【0065】
また本実施形態の駐車装置1では、入庫及び出庫の予約を行うことができる。
本実施形態では、使用者の自宅のパソコンや、携帯端末46等の外部装置を利用して予約を行う。なお本実施形態では、操作盤3を利用して入庫及び出庫の予約を行うこともできる。
携帯端末46等の外部装置を利用して行う予約は、例えばインターネット等を介して行われる。本実施形態では、インターネットを利用して携帯端末46と制御装置45を接続し、携帯端末46から制御装置45の入庫や出庫の予約を行う。あるいは、インターネット等を介して管理会社の制御装置と携帯端末46と接続し、管理会社の制御装置に予約にしてもよい。この場合には、管理会社の制御装置から駐車装置1の制御装置45に予約データが転送される。
【0066】
携帯端末46等を利用して予約を行う場合には、最初に駐車装置1を特定する入力を行う。例えば、駐車装置1を特定する識別番号や記号がある場合にはそれらを入力する。住所等から駐車装置1を特定することも考えられる。
次に、使用者IDと暗証番号等を入力する。
続いて、予約の内容を入力する。
すなわち、入庫、出庫の別、入庫時刻又は出庫時刻等を入力する。日付が変わる場合には、入庫日、出庫日も入力する。
入庫時刻等に代わって、現在時刻から入庫時刻等までの希望時間を入力してもよい。例えば、5分後、10分後、いますぐという様な入力が可能であることが望ましい。
【0067】
所定の項目の入力が完了すると、予約テーブル43にその情報が記憶される。
前記した予約テーブル43には、例えば
図5の様に、入出庫の別、使用者名、使用者ID、入出庫時刻が記憶される。
【0068】
そして予定時刻の順に入庫準備動作又は出庫準備動作が実行される。
以下、
図6のフローチャートを参照しつつ、予約に基づく通常動作について説明する。フローチャートに従うと、ステップ1で先に行われた入庫及び出庫が既に完了していることが確認される。
そしてステップ2に移行し、予約テーブル43を参照し、予約テーブル43に記録された予約データから、予定時刻が最も早いものを抽出する。
図5の予約テーブルに従うと、村松の入庫予定が8時20分であり、最も早い。
本実施形態では、予約テーブル43から予定時刻が最も早いものを抽出した後、予定時刻になったら(予定時刻から所定時間さかのぼった時刻、例えば5分前とし、入庫準備動作を実行するための時間を確保してもよい)、一定の休止時間が置かれる。休止時間は数秒程度である。この休止時間は、操作盤3からの直接入力による割り込みを円滑に行わせるために設定されたものである。
休止時間は、操作盤(入力装置)3を操作することによって調整することができる。多くの場合、施工時あるいはメンテナンス時にメンテナンス要員等が、操作盤(入力装置)3を操作して休止時間を調節する。
【0069】
そしてステップ3で休止時間が終了したことが確認されると、ステップ4に移行し、パレット(番号3)11の呼び出し動作が開始される。今回の呼び出しは、空パレット(番号3)11を呼び出すものであり、ステップ4で入庫準備動作が行われる。
【0070】
例えばステップ4では、所定の階に置かれた村松が使用権を有するパレット(番号3)11が空状態で降下する。そして車両出入り部12に到達する。パレット(番号3)11が、車両出入り部12に到達したことがステップ5で確認されると、一定の休止時間が置かれる。休止時間は数秒程度である。この休止時間についても、操作盤3からの直接入力による割り込みを円滑に行わせるために設定されたものである。
そしてステップ6で休止時間が終了したことが確認されると、ステップ7に移行し、表示画面22に車両出入り部12に到達したこと(到着報知)が表示される。また暗証番号の入力を促す表示や、それに続いてゲート開スイッチ36の操作を促す表示もなされる。
【0071】
実際には、駐車装置1は、ステップ7の表示画面22に車両出入り部12に到達したこと(到着報知)が表示された状態でしばらくの間停止し続けることとなる。
すなわち上記した一連の動作は、予約に基づいて自動的に実行される動作であり、多くの場合、予約した使用者(村松)は駐車装置1に到着していない。
そのため所定のパレット(番号3)11が降下し、車両出入り部12に到達した状態で、予約した使用者(村松)の到着を待つこととなる。
【0072】
使用者(村松)が駐車装置1に到着すると、使用者は表示画面22の表示に従い、暗証番号を入力し、ゲート開スイッチ36を操作することとなる。暗証番号(村松が登録したもの)の入力と、ゲート開スイッチ36を操作したことがステップ8、ステップ9で確認されると、ステップ10に移行し、暗証番号等が合致しているか否かが確認される。
暗証番号が正しければステップ11に移行し、ゲート(物理的障壁)15が駆動し、ゲート15が開く。ゲート15が開いたことはステップ12で確認される。
暗証番号等が誤っていればステップ7に戻り、再度、暗証番号の入力を促す表示や、それに続いてゲート開スイッチ36の操作を促す表示が表示画面22に表れる。
使用者(村松)は、停車中の自動車に乗車し、自動車を発進させて自動車を車両出入り部12に入庫する。
【0073】
入庫が終わると、使用者(村松)によってゲート15が閉じられる。
すなわちステップ12でゲート15が開いたことが確認されると、ステップ13に移行する。ステップ13では、暗証番号(村松が登録したもの)の入力を促す表示や、それに続いてゲート閉スイッチ37の操作を促す表示が表示画面に表れる。
【0074】
使用者が行う作業として指示に従い、暗証番号を入力し、ゲート閉スイッチ37を操作する。暗証番号の入力と、ゲート閉スイッチ37を操作したことがステップ14、ステップ15で確認されると、ステップ16に移行し、暗証番号等が合致しているか否かが確認される。
暗証番号等が誤っていればステップ13に戻り、再度、暗証番号の入力を促す表示や、ゲート閉スイッチ37の操作を促す表示がなされる。
暗証番号が正しければステップ17に移行し、ゲート(物理的障壁)15が駆動し、ゲート15が閉じられる。ゲート15が閉じたことがステップ18で確認されると、ステップ19に移行し、パレット(番号3)11を所定の位置に戻す。パレット(番号3)11が所定の位置に戻ったことが確認されると、ステップ20に移行し、入庫・出庫が完了したことを示す信号が出され、ステップ1に戻る。
【0075】
ステップ1では、先に行われた入庫及び出庫が既に完了していることが確認される。
そしてステップ2に移行し、予約テーブル43を参照し、予約テーブル43に記録された予約データから、予定時刻が最も早いものを抽出する。
図5の予約テーブルに従うと、江戸川のパレット(番号11)11に載置された自動車の出庫予定が9時10分であり、現在のところでは最も早い。
そのため、時刻が9時10分となると江戸川のパレット(番号11)11に対して出庫準備動作が行われる。
江戸川のパレット(番号11)11に対する出庫が完了すると、次の井出のパレット(番号8)11に対して出庫準備動作が行われる。
【0076】
また本実施形態の駐車装置1では、入庫及び出庫の予約に対して、割り込みを行うことができる。
すなわち使用者が前記した操作盤3を直接操作した場合には、予約に優先して直接操作によって要求された動作が行われる。
割り込みが実行される時期は、本体装置2の駆動機構が停止しており、且つゲート15が閉じている場合である。予約した使用者が操作盤3を操作した後は、一連の入出庫が完了するまで割り込みは実行されない。
すなわち本体装置2の駆動機構が動いている際は、動作が中途となり、パレット11の位置を確定しにくいので、割り込みを実行しないほうが望ましい。ゲート15が開いている際には、安全を確保するために割り込みを実行しないほうが望ましい。
【0077】
図7のフローチャートに従うと、前記した
図6のフローと平行して、常時、操作盤3からの直接入力の有無を監視している。
ステップ30で、操作盤3から直接入力が確認されると、ステップ31、ステップ32で、現状の駐車装置1の動作段階が、予約パレット11の呼び出し動作が実施されている最中であるか否か、或いは予約した使用者が操作盤3を操作した後であるか否かが判断される。
【0078】
予約パレット11の呼び出し動作が実施されている状態の様な駆動機構が動いている場合や、予約した使用者が操作盤3を操作した後である場合には、前記した様に割り込みを実行するべきではない。そのため、ステップ31で、予約パレット11の呼び出し動作が実施されている最中であると判断された場合や、ステップ32で、予約した使用者が操作盤3を操作した後である場合には、割り込み動作を行わず、割り込みが可能となる時期を待つ。
【0079】
本実施形態では、ステップ33で一連の入庫・出庫動作が完了したか否かを判断する。またステップ34で、休止時間(ステップ3、ステップ6)に入ったか否かを判断する。ステップ33、ステップ34のいずれかがYESとなれば、ステップ35に移行して割り込み動作が開始される。
【0080】
またステップ31、ステップ32がいずれもNOであり、予約パレットの呼び出し動作が実施されている状態でなく、且つ予約した使用者が操作盤3を操作した後ではない場合には、ステップ35に移行して割り込み動作が開始される。
【0081】
割り込み動作は、
図8のフローチャートの通りである。割り込み動作が開始されると、ステップ36に移行し、割り込みのパレット11を移動させる車両出入り部12が空いている否かが判断される。
仮に割り込みのパレット11の移動先が空いていれば、割り込みパレット11が呼び出される。割り込みパレット11を呼び出す動作は、実質的に
図6のフローチャートのステップ4以下と同じである。
【0082】
一方、先の予約が実行され、予約されたパレット11が、割り込みパレット11が降下すべき車両出入り部12に止まっている場合がある。すなわち、入庫準備動作又は出庫準備動作が完了し、呼び出されたパレット11が、車両出入り部12に到達しているが、予約者が未だ駐車装置1に到着しておらず、入庫や出庫が行われていない場合がある。この場合は、割り込みのパレット11を呼び出すよりも先に、車両出入り部12に止まっている、予約されたパレット11を一旦、元に位置に戻す必要がある。
そのためステップ36で、割り込みのパレット11の移動先が詰まっている場合には、ステップ37に移行して、予約されたパレット11を一旦、元の格納部16に戻す。予約されたパレット11が所定の位置に戻ったことが確認されると、ステップ36がYESとなり、割り込みパレット11を呼び出す動作が開始される。
【0083】
また割り込み動作が完了すると、
図6のステップ1に戻る。そのため予約動作によって車両出入り部12に一旦移動し、割り込みのために、元の位置に戻された予約されたパレット11に対して、再度、呼び出し動作が実行され、予約されたパレット11は再度車両出入り部12に移動する。
【0084】
以上説明した実施形態では、ステップ2の予約テーブル43に記録された予約データから、予定時刻が最も早いものを抽出した後の休止時間中にも直接入力に基づく割り込みが実行される。このタイミングは、一連の工程(入庫準備動作又は出庫準備動作)が実際に開始される前の時期である。
またステップ5のパレット11が、車両出入り部12に到達した後の休止時間中にも直接入力に基づく割り込みが実行される。このタイミングは、一連の工程の終了後の時期である。
【0085】
以上説明した実施形態では、前記した様に休止時間を設定した。この理由は、複数の予約入力の予定時間の間隔が短かったり、予約時刻が重複している様な場合に、本体装置2の駆動機構が連続的に休みなく起動することが想定され、実質的に割り込みができなくなってしまうことがあるからである。
本実施形態では、一つの工程と次の工程との間に、故意に休止時間を設定し、その間に直接入力の割り込みを行わせることにより、割り込みを行うことができるタイミングを確実に確保することができる。
【0086】
また以上説明した実施形態では、入庫や出庫が終わると、直ちに次の予約を実行する構成を採用したが、例えば、一回の入庫や出庫が終わった後、次の予定時刻の間に長い時間がある場合には、予定時刻が近づいた時点で予約に基づく入庫準備動作や出庫準備動作を実行してもよい。例えば予定時刻に対して一定時間前に、入庫準備動作や出庫準備動作を開始してもよい。
この構成を採用する場合には、予定時刻に近づくまでの間、自由に直接入力による割り込みを行うことができる。
【0087】
また一定の期間は、直接入力を受け付けない構成も推奨される。
例えば、入庫準備動作や出庫準備動作が実行されている最中や、パレット11を戻す動作中、あるいはゲート15が開いている間は、直接入力を受け付けない。
【0088】
携帯端末46等からに予約に加えて、第1アンテナ4及び第2アンテナ5から送信された信号に基づいて自動予約を行ってもよい。
例えば、第1アンテナ4及び第2アンテナ5を通過した際に、ETC車載器の管理番号(ETC車載器番号)を認識させ、この情報を制御部30に送信する。
第1アンテナ4及び第2アンテナ5を通過した自動車であって、登録用テーブル40に等録されている自動車は、駐車装置1に入庫される可能性が高い。そのため第1アンテナ4及び第2アンテナ5を通過した車両の管理番号(ETC車載器番号)から、パレット11を特定し、予約テーブル43に登録する。
この場合の予約時刻は、第2アンテナ5から駐車装置1に到達するのに要する時間を現在時刻に加えたものとすることが望ましい。
【0089】
また予約時刻がある程度の時間過ぎても予約した使用者が操作盤3の操作を行っていない場合には、予約を強制的にキャンセルして次の予約入力に対応する動作をさせてもよい。
【0090】
また、制御装置45は2以上の制御装置を組み合わせてもよい。この場合、駐車装置1の入出庫を実行するための制御装置と、予約のための制御装置(第1アンテナ4、第2アンテナ5やインターネットと接続)とに分割することにより既存の駐車装置1から安価に製造できたり、設置済みの駐車装置1に予約機能を容易に付加することができる。
【0091】
上記した実施形態では、本体装置として、所謂多段式(垂直横行式)の本体装置2を採用した例について説明したが、本発明で採用する本体装置はこれに限るものではない。例えば、本発明の本体装置は、単純昇降式の立体駐車場や、所謂タワー式の立体駐車場、すなわち、所謂エレベータ式の立体駐車場や、所謂垂直循環式の立体駐車場であってもよい。また、この他、車両配置エリアの一部が地下に設けられた立体駐車場であってもよい。さらに、立体構造を有さない平面循環式の駐車場であってもよい。
すなわち、上記した入庫準備動作は、入庫のために必要な各動作の少なくとも一部を自動で実行する動作であればよい。
【符号の説明】
【0092】
1 駐車装置
2 本体装置
3 操作盤(入力装置)
11 パレット(車両載置部材)
12 車両出入り部
15 ゲート(物理的障壁)
16 格納部
33 通信部(通信手段)
45 制御装置
46 携帯端末(外部装置)