(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】液晶レンズ
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20240130BHJP
C09K 19/18 20060101ALI20240130BHJP
C09K 19/20 20060101ALI20240130BHJP
C09K 19/30 20060101ALI20240130BHJP
C09K 19/34 20060101ALI20240130BHJP
C09K 19/42 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
G02F1/13 505
C09K19/18
C09K19/20
C09K19/30
C09K19/34
C09K19/42
G02F1/13 500
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019135304
(22)【出願日】2019-07-23
【審査請求日】2022-07-20
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】593033142
【氏名又は名称】メルク・パテント・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent GmbH
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250, 64293 Darmstadt
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド ジャー-ウェイ チャン
(72)【発明者】
【氏名】ロジャー チー-チエ チャン
(72)【発明者】
【氏名】レイ クアン-ティン チョウ
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/002792(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/002790(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第104650927(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0104143(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/13
C09K 19/04-19/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上の電極と液晶媒体とを含む液晶レンズにおいて、前記液晶媒体は、
-
式I-1で示される1つ以上の化合物、式I-2で示される1つ以上の化合物および式I-3で示される1つ以上の化合物と、
【化1】
[式中、
R
11およびR
12は、同一であるかまたは異なって、H、1~12個のC原子を有するアルキルもしくはアルコキシまたは2~12個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシもしくはアルコキシアルキルを指し、ここで、1つ以上のCH
2基は、
【化2】
により置き換えられていてもよく、ここで、1つ以上のH原子は、フッ素により置き換えられていてもよく、
L
11、L
12、L
13は、互いに独立して、H、またはFを指し、
Z
1は、
-CO-O-、-CH
2
CH
2
-または単結合を指す]
- 式II
【化3】
[式中、
R
2は、上記R
11の意味を有し、
X
2は、F、Cl、CF
3、OCF
3、CNまたはNCSを指し、
Z
2は、C=OまたはCF
2を指し、
L
21、L
22およびL
23は、同一であるかまたは異なって、HまたはFを指し、
L
2は、Hまたは1~6個のC原子を有するアルキルを指し、
【化4】
は、
【化5】
であり、
【化6】
は、
【化7】
であり、
【化8】
が、
【化9】
である場合、
【化10】
は、代替的に、
【化11】
を指し、
mおよびnは、互いに独立して、0または1である]
で示される1つ以上の化合物とを含有することを特徴とする、
液晶レンズ。
【請求項2】
式II中のZ
2が、C=Oを表す、請求項1記載のレンズ。
【請求項3】
前記式IIで示される1つ以上の化合物が、式IIZ
【化12】
[式中、前記基およびパラメータは、請求項1における前記式IIについて与えられた意味を有する]
で示される化合物から選択される、請求項1または2記載のレンズ。
【請求項4】
前記式Iで示される1つ以上の化合物の割合が、40
重量%以上である、請求項1から
3までのいずれか1項記載のレンズ。
【請求項5】
前記液晶媒体が、式III
【化13】
[式中、
R
31、R
32が、同一であるかまたは異なって、1~20個のC原子を有するアルキルを指し、同アルキルが、直鎖または分岐鎖であり、置換されていないかまたはF、ClもしくはCNにより一置換もしくは多置換されており、ここで、1つ以上のCH
2基が、各場合において、互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、―CH=CH-または-C≡C-により、O原子および/またはS原子が互いに直接結合していないような様式で、場合により置き換えられており、
【化14】
が、互いに独立して、
【化15】
を指し、
Z
31およびZ
32が、各出現において、同一であるかまたは異なって、-CH
2CH
2-、-CF
2CF
2-、-CF
2CH
2-、-COO-、trans--CH=CH-、trans--CF=CF-、-CH
2O-、-CF
2O-、-C≡C-または単結合を指し、
pが、0、1または2である]
で示される1つ以上の化合物を含む、請求項1から
4までのいずれか1項記載のレンズ。
【請求項6】
前記液晶媒体中の前記式IIIで示される1つ以上の化合物の割合が、30
重量%以下である、請求項
5記載のレンズ。
【請求項7】
前記液晶媒体が、式III-3
【化16】
[式中、出現する基が、請求項
5における前記式IIIについて与えられた意味を有する]
で示される1つ以上の化合物を含む、請求項1から
6までのいずれか1項記載のレンズ。
【請求項8】
前記液晶媒体が、式VI
【化17】
[式中、
【化18】
が、
【化19】
を指し、
R
6が、H、1~12個のC原子を有するアルキルもしくはアルコキシまたは2~12個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシもしくはアルコキシアルキルを指し、ここで、1つ以上のCH
2基が、
【化20】
により置き換えられていてもよく、それらの全てにおいて、1つ以上のH原子が、フッ素により置き換えられていてもよく、
X
6が、CN、F、CF
3またはOCF
3、好ましくはCNを指し、
Y
61、Y
62が、同一であるかまたは異なって、H、ClまたはFを表す]
で示される1つ以上の化合物を含む、請求項1から
7までのいずれか1項記載のレンズ。
【請求項9】
前記液晶媒体が、100℃以上の澄明点を有する、請求項1から
8までのいずれか1項記載のレンズ。
【請求項10】
前記電極がパターン形成されている、請求項1記載のレンズ。
【請求項11】
請求項1から
9までのいずれか1項記載の液晶媒体。
【請求項12】
請求項
11記載の液晶媒体の製造方法において、請求項1および
5で定義された式Iで示される1つ以上の化合物、式IIで示される1つ以上の化合物および場合により式IIIで示される1つ以上の化合物を、1つ以上のさらなる化合物および/または1種以上の添加剤と混合することを特徴とする、方法。
【請求項13】
TNディスプレイ、STNディスプレイ、PDLCディスプレイ、位相変調器、カメラ、携帯電話カメラ、3D LCDシャッターガラス、3Dディスプレイ、LCレンズ、ホログラフィック投影システム、LCoS空間光変調器またはマイクロ波範囲で動作可能な高周波技術用コンポーネントにおける、請求項
11記載の液晶媒体の使用。
【請求項14】
請求項1または
10記載の1つ以上のレンズを含む、電気光学デバイスコンポーネント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶(LC)レンズ、液晶レンズに使用するためのLC媒体および本発明によるLCレンズを含むデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
電気的に調整可能な液晶レンズは、機械的ズームレンズを上回るサイズおよびコストの重要な利点を提供する可能性がある。可能性のある用途は、カメラ、センサ、双眼鏡および他の光電子デバイスである。この利点は、液晶レンズの特性、例えば、小容積(すなわち、薄い形状)、電気的に調整可能な光学ズーム、高速応答および低エネルギー消費に基づいている。
【0003】
一般的には、カメラ、携帯電話カメラまたは3D画像処理デバイスは、画像を拡大または最小化するための可変焦点レンズを備えて配置される。従来の対物レンズは、複数のレンズ群を含む。レンズ群が光軸に沿って移動することによりレンズ群間の距離が変化し、それによって焦点距離が変化する。このような種類のレンズでは、変化させる距離の関係が非線形である場合、レンズ群の移動には、より長い距離が必要となる。このため、このような構造では、設計、制御精度が困難であり、製造コストも高い。
【0004】
電気的に調整可能な可変焦点レンズへの液晶(LC)の適用は公知であり、例えば、S. Sato 1979 Jpn. J. Appl. Phys. 18, 1679;S. Sato, Optical Review, Vol. 6, No. 6 (1999) 471-485に記載されている。
【0005】
液晶レンズは、液晶媒体とレンズデバイスとを含む。液晶媒体の複屈折および粘度は、レンズの焦点距離および電気光学的調整の速度に直接影響を及ぼす。従来のディスプレイ用液晶媒体は、通常、0.2未満の複屈折を有する。このようなレンズの光学的要件を満たすためには、0.2より大きい複屈折を有する液晶媒体を使用することが望ましい。
【0006】
LCレンズは、例えば、ITOで覆われた凹型または凸型のガラスレンズ上にレンズ形状のLC層を備えることにより実現することができ、焦点距離は、電界を印加することにより、異常光線の値から常光線の値まで連続的に変化させることができる。また、可変焦点特性を有するLCレンズも、平面平行構造を使用して実現することができ、この場合、LCダイレクタは、ホールパターン形成電極構造により生成される軸対称不均一電界により再配向される。米国特許第9,746,745号明細書(US 9,746,745 B1)では、液晶材料の複屈折分布を制御するのに使用される複数の同心リング電極からなる構造化電極が同じ目的で提唱されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【文献】S. Sato 1979 Jpn. J. Appl. Phys. 18, 1679;S. Sato, Optical Review, Vol. 6, No. 6 (1999) 471-485
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の別の態様は、LCディスプレイ(LCD)である。様々なタイプのLCDは全て周知であり、広く市販されている。観察者に自然な観察体験を提供する画像を表示したいという要望から、近年では、TVセットならびにデスクトップコンピュータおよびラップトップコンピュータ用のモニタならびにまた携帯デバイス、例えば、携帯電話、タブレットコンピュータおよびポータブルPOSディスプレイ用の3次元(3D)画像を表示可能なディスプレイが導入されている。
【0010】
このようなディスプレイにおいて、3D効果をレンダリングするためのいくつかの技術が存在する。第1の分類では、効果を観察するために観察者が特殊な眼鏡を着用することが必ず必要となる種々の技術と、自動立体表示原理を使用する他の技術とを区別することができる。後者は、能動型または受動型の眼鏡に関わらず、観察者が眼鏡を着用する必要がない。
【0011】
一部の観察者にとって、特に、既に光学(眼科)眼鏡を着用している者にとっては、眼鏡を着用する必要性は、不便である。
【0012】
眼鏡を必要とする3Dレンダリング技術の別の欠点は、眼鏡なしでは全く観察できないため、同時にディスプレイを正しく見ることができる観察者の最大数が、一度に利用可能な眼鏡の数により制限されるという事実である。さらに、眼鏡の表面は劣化しやすい。さらに、画像を表示するパネルと整合したタイミングでシャッターまたは偏光調節子として眼鏡の能動的かつ同期した動作を必要とする能動型眼鏡の場合、眼鏡に同期信号を絶えず提供する必要がある。さらに、エネルギーの供給が観察者に「有線」で提供されない限り、電池を頻繁に再充電する必要があり、これは、さらに不快である場合がある。観察者が特別な眼鏡を着用することを必要とする様々なタイプの3D技術のこうした欠点ゆえ、現在、眼鏡を使用する必要なしに3D画像をレンダリング可能なディスプレイに対する強い要求がある。
【0013】
このような「眼鏡を必要としない」3D技術は、自動立体ディスプレイと呼ばれる。現在、開発中のこのようなディスプレイには、少なくとも2つの異なるタイプがある。第1のタイプは、2つの別個の情報チャネルにより提供される、右目および左目それぞれにより見られる画像を区別するために、いわゆる「視差バリア」を使用することである。前記視差バリアでは、各目に対して、他方の目に対して生成された表示画像の光路が遮断される。
【0014】
第2のタイプでは、2つのチャネルの分離のこの効果を達成するために「レンチキュラーレンズ」を使用する。この第2のタイプについては、2つの異なる実際的な実現方法が存在する。
【0015】
本明細書において「RMレンズ」と呼ばれる第1のレンズでは、レンチキュラーレンズが、異方性ポリマー液晶レンズを形成する配向反応性メソゲンまたは反応性メソゲンの混合物の重合により実現される。しかしながら、この技術では、光学画像のための情報を提供するために、追加の電気光学スイッチング素子、例えば、液晶ディスプレイを使用する必要がある。次に、これは、設計の複雑さを増大させ、製造コストを増大させる。
【0016】
RMレンズが2D画像を3D画像にまたはその逆に変換するのに使用される場合、3Dレンズを取り付けるために、典型的には、UV照射を使用して、これらの3Dレンズを、偏光を切り替えるパネルに光学的に結合させる追加のプロセスが必要となる。このため、使用されるLC媒体のUV安定性は、多くの用途において非常に重要である。偏光を切り替えるパネルは、結合されたRMレンズと共に、典型的には、画像生成パネルに直接取り付けられる。同パネルは、好ましくはLCDである。
【0017】
本明細書において「LCレンズ」と呼ばれる第2のレンズでは、レンチキュラーレンズが、電気的にアドレスされ、その光学状態を変更し、2つの観察チャネルに必要な光学情報を直接表示するのに使用される液晶媒体を使用して作製される。このようなLCレンズは、典型的には、画像生成パネルに直接結合される。
【0018】
Δnは、切り替え可能な3D LCレンズのためのLC混合物の重要なパラメータである。なぜならば、Δnは、3D画像の品質(深度)に主に影響を及ぼし、必要なセルギャップを決定するためである。Δnが大きくなるにつれて、その3D深度はより大きくなり、使用されるセルギャップは、より小さくなり得る。このように小さくなったセルギャップは、特に、数十マイクロメートルの比較的大きいセルギャップについて、駆動電圧を低下させることと、配向電力を改善することとの双方に役立つ。総じて、タイプおよび用途に応じて、0.15~0.4の範囲のΔn値が必要である。
【0019】
再度、「LCレンズ」タイプについても、2つの可能性のある実施形態が存在する。本明細書において「ポリマーモールド」タイプと呼ばれる第1のタイプでは、液晶材料は、ポリマー材料のモールドに埋め込まれる。このポリマー材料は、光学的に等方性であっても異方性であってもよく、典型的には、基板の一方側に配置される。ポリマー材料は、実現されるレンチキュラーレンズの逆形状にある液晶材料のための空間を提供するように構造化される。典型的には、ポリマー材料は、逆レンチキュラーレンズのトラフを形成する。
【0020】
第2の実施形態では、「電気的に誘起された複屈折」(略してEIB)として知られる効果が利用される。ここでは、液晶材料は、一対の基板の間に挟まれ、それらのうちの1つは、電極により覆われる。同電極は、「面内スイッチング」(IPS)ディスプレイまたは「フリンジ電界スイッチング」(FFS)のように、デバイスの平面内に電界を生成する交流電圧を提供することができる。
【0021】
3Dディスプレイを実際に実現するためには、駆動技術および製造プロセスに関する幾つかの困難を克服しなければならない。特に、要求の厳しい仕様を満たす改善された液晶材料を提供しなければならない。本明細書において、切り替え可能な3D LCレンズのための改善された性能を有する液晶媒体が提案される。
【0022】
プラスチックモールドタイプでは、LC材料がモールド内に埋め込まれる。このタイプのLCレンズには、典型的には、0.2~0.4のオーダーの比較的高い値のΔn値が必要である。さらに、9以上または好ましくはさらに40以上の比較的高い値の誘電率(Δε)が、典型的には、各セルギャップの比較的厚い厚さにより生じる動作電圧を低下させるのに必要である。また、適切に高い回転粘度(γ1)のみが必要である。
【0023】
EIBタイプでは、LC分子の配向は、印加電圧により直接制御される。このため、極端に高い値のΔnは必要ではない。典型的には、Δnの値は、0.15~0.25の範囲にあることが望ましい。また、大きなセルギャップも必要ではない。このため、このタイプのLCレンズでは、最大5のΔεのやや高い正の値でも十分である。しかしながら、特に、複数の観察点を有する装置について、速い応答時間(τ)を達成するためには、低い値のγ1が必要である。
【0024】
本発明のさらに別の態様は、シリコン基板上の液晶(LCoS)パネルまたはLCoS空間光変調器(SLM)での使用に適した液晶媒体を提供することである。
【0025】
製造プロセスにおいて、典型的には、UV照射が適用されるため、使用されるLC媒体のUV安定性は、多くの用途において非常に重要である。
【0026】
現在知られているLC組成物は、本明細書において想定される使用について、重大な欠点を抱えている。他の欠点のほかにも、それらのほとんどは、不都合なことに、光学応答の変調性が低く、応答が遅く、またはアドレサビリティーが不十分となり、高い動作電圧が必要となるかまたは安定性が不十分となり、特にUV照射に対する安定性が不十分となる。
【0027】
このため、改善された特性を有する新規な液晶媒体が必要である。特に、光応答の変調、応答時間、動作電圧および安定性を改善する必要がある。
【0028】
加えて、液晶媒体の低温挙動の改善が求められている。本明細書において、動作特性および有効期間の双方の改善が必要である。
【0029】
このため、対応する実際的な用途に適した特性を有する液晶媒体に対する相当な需要がある。特に、本発明の目的は、改善された特性を有する用途を可能にするLCレンズに適した特性を有する新規な材料を提供することである。
【0030】
本発明は、液晶媒体を含む液晶レンズであって、前記液晶媒体は、
a)式I
【化1】
[式中、
R
11およびR
12は、同一であるかまたは異なって、H、1~12個のC原子を有するアルキルもしくはアルコキシまたは2~12個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシもしくはアルコキシアルキルを指し、ここで、1つ以上のCH
2基は、
【化2】
により置き換えられていてもよく、ここで、1つ以上のH原子は、フッ素により置き換えられていてもよく、
L
11、L
12、L
13は、互いに独立して、H、ClまたはFを指し、
【化3】
は、
【化4】
を指し、
【化5】
は、
【化6】
を指し、
Z
1は、単結合、-CH
2CH
2-、-CH=CH-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-COO-、-OCO-、-C
2F
4-、-CF=CF-、-CH=CHCH
2O-を指し、
nは、0または1である]
で示される1つ以上の化合物と、
b)式II
【化7】
[式中、
R
2は、上記R
11の意味を有し、
X
2は、F、Cl、CF
3、OCF
3、CNまたはNCSを指し、
Z
2は、C=OまたはCF
2、好ましくはC=Oを指し、
L
21、L
22およびL
23は、同一であるかまたは異なって、HまたはFを指し、
L
2は、Hまたは1~6個のC原子を有するアルキル、好ましくはHまたはメチル、特に好ましくはHを指し、
【化8】
は、
【化9】
を指し、
【化10】
は、
【化11】
を指し、
【化12】
が、
【化13】
を表す場合、
【化14】
は、代替的に、
【化15】
を指し、
mおよびnは、互いに独立して、0または1である]
で示される1つ以上の化合物とを含有する、液晶レンズに関する。
【0031】
本発明による媒体は、高い澄明点、適切に高い複屈折、適切な誘電異方性、温度およびUV負荷に対する電圧保持比の高い安定性により区別される。
【0032】
高い澄明点により、本発明による媒体は、モバイル用途に特に適している。
【0033】
本発明による媒体は、異常屈折率(ne)が驚異的に高いことにより区別される。これによって、2D画像の明瞭度が改善された、特に2D/3Dの切り替えが可能なディスプレイのための切り替え可能なレンズが可能となる。
【0034】
さらに、従来技術からの3D用途のための媒体と比較して、本発明による媒体の誘電異方性が低いことによって、驚くべきことに、複屈折を十分に高く保持しつつ、クロストークが低減された切り替え可能なレンズアレイが可能となる。
【0035】
さらに本発明は、上記および下記のLC媒体に関する。
【0036】
さらに本発明は、例えば、TNディスプレイ、STNディスプレイ、PDLCディスプレイ、位相変調器、カメラ、携帯電話カメラ、3D LCDシャッターガラス、3Dディスプレイ、LCレンズ、ホログラフィック投影システム、LCoS空間光変調器またはマイクロ波範囲で動作可能な高周波技術用コンポーネントといった高い複屈折を必要とする種々の用途における、本発明によるLCレンズの使用に関する。
【0037】
本発明によるLCレンズの好ましい実施形態は、以下に説明されるように、その中に含まれる好ましいLC媒体により特徴付けられる。
【0038】
式Iで示される化合物は、好ましくは式I-1~I-3で示される化合物の群から選択され、特に好ましくは式I-3から選択される
【化16】
[式中、
出現する基は、式Iならびに式I-1およびI-2において上記で与えられたそれぞれの意味を有し、
好ましくは
R
11は、7個までのC原子を有するn-アルキルまたはアルケニル、最も好ましくは1~5個のC原子を有するn-アルキルであり、
R
12は、1~6個のC原子を有するn-アルコキシまたはアルケニルオキシ、最も好ましくは1~4個のC原子を有するn-アルコキシであり、
式I-3において、好ましくは
R
11は、7個までのC原子を有するn-アルキルまたはアルケニル、最も好ましくは1~5個のC原子を有するn-アルキルであり、
R
12は、7個までのC原子を有するn-アルキルまたはアルケニル、最も好ましくは5個までのC原子を有するn-アルキルである]。
【0039】
本発明による液晶媒体は、好ましくは式I-1で示される1つ以上の化合物、好ましくは式I-1a~I-1d、好ましくは式I-1aおよび/またはI-1d、最も好ましくは式I-1aで示される化合物の群から選択される化合物を含む
【化17】
[式中、出現する基は、上記で与えられた意味を有する]。
【0040】
本発明による液晶媒体は、好ましくは式I-2で示される1つ以上の化合物、好ましくは式I-2a~I-2fで示される化合物、好ましくは式I-2aおよび/またはI-2dで示される化合物、最も好ましくは式I-2aで示される化合物の群から選択される化合物を含む
【化18】
[式中、出現する基は、上記で与えられたそれぞれの意味を有する]。
【0041】
本発明による液晶媒体は、好ましくは式I-3で示される1つ以上の化合物、好ましくは式I-3a~式I-3dで示される化合物、好ましくは式I-3cおよび/またはI-3cおよび/またはI-3dで示される化合物、最も好ましくは式I-3dで示される化合物の群から選択される化合物を含む
【化19】
[式中、出現する基は、上記で与えられたそれぞれの意味を有する]。
【0042】
非常に好ましくは媒体は、式I-3dで示される1つ以上の化合物を含む。
【0043】
式IIで示される化合物は、好ましくは部分式IIZおよびIIQ、好ましくはIIZ:
【化20】
[式中、
出現する基およびパラメータは、式Iにおいて上記で与えられたそれぞれの意味を有し、
好ましくは
式IIZにおいて、
X
2は、CN、NCSまたはOCF
3、最も好ましくはCNを指し、
式IIQにおいて、
X
2は、F、ClまたはOCF
3、最も好ましくはFを指し、
L
24およびL
25は、同一であるかまたは異なって、HまたはFを表す]
で示される化合物から選択される。
【0044】
本出願によるメソゲン媒体は、好ましくは式IIZ-1~IIZ-3で示される化合物の群から選択される式IIZで示される1つ以上の化合物、好ましくは式IIZ-1で示される1つ以上の化合物と、式IIZ-2およびIIZ-3で示される化合物の群から選択される1つ以上の化合物を含み、式IIZ-1、IIZ-2およびIIZ-3でそれぞれ示される1つ以上の化合物を含む
【化21】
[式中、
パラメータは、式IIZにおいて上記で与えられた意味を有し、
好ましくは
R
1は、n-アルキルまたはアルケニルであり、
式IIZ-1およびIIZ-3において、最も好ましくはn-アルキルであり、
式IIZ-2において、最も好ましくはアルケニルであり、
X
1は、CN、ClまたはCF
3、最も好ましくはCNである]。
【0045】
好ましい実施形態では、本発明によるメソゲン媒体は、式IIで示される1つ以上の化合物、好ましくは式IIQ-1~IIQ-3で示される化合物の群から選択され、好ましくは式IIQ-1およびIIQ-2から選択され、より好ましくは式IIQ-1および式IIQ-2それぞれで示される1つ以上の化合物から選択される化合物を含む
【化22】
[式中、
出現する基は、式IIQにおいて上記で与えられたそれぞれの意味を有し、
好ましくは
R
2は、n-アルキルまたはアルケニル、最も好ましくはn-アルキルであり、
X
1は、F、ClまたはCF
3、最も好ましくはFである]。
【0046】
好ましくは本発明による媒体は、式IIIおよびIV
【化23】
[式中、
R
31、R
32、R
41およびR
42は、互いに独立して、アルキル(同アルキルは、直鎖または分岐鎖であり、好ましくは1~20個のC原子を有し、置換されていないか、F、ClまたはCN、好ましくはFにより一置換または多置換されており、ここで、1つ以上のCH
2基は、各出現において、互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、―CH=CH-または-C≡C-により、O原子および/またはS原子が互いに直接結合していないような様式で、場合により置き換えられている)、好ましくは1~9個のC原子、より好ましくは2~5個のC原子を有するn-アルキルもしくはn-アルコキシ;または2~9個のC原子、より好ましくは2~5個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシもしくはアルコキシアルキルまたは好ましくは9個までのC原子を有するハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニルもしくはハロゲン化アルコキシ、好ましくは(好ましくは9個までのC原子を有する)一フッ化、二フッ化もしくはオリゴフッ化アルキル、アルケニルもしくはアルコキシ、
最も好ましくは(好ましくは9個までのC原子を有する)n-アルキル、n-アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキルであり、
【化24】
は、互いに独立して、
【化25】
を指し、
Z
31およびZ
32は、各出現において、同一であるかまたは異なって、-CH
2CH
2-、-CF
2CF
2-、-CF
2CH
2-、-COO-、trans--CH=CH-、trans--CF=CF-、-CH
2O-、-CF
2O-、-C≡C-または単結合を指し、好ましくは少なくとも一方は、単結合を指し、
pは、0または1である]
の群から選択される1つ以上の化合物を含む。
【0047】
好ましくは本発明による液晶媒体は、式IIIで示される1つ以上の化合物、好ましくは式III-1~III-3
【化26】
[式中、
出現する基は、上記で与えられたそれぞれの意味を有し、
好ましくは
Z
31、Z
32は、同一であるかまたは異なって、-CH
2O-、-C(O)O-または単結合を指し、
R
31は、それぞれ1~9個のC原子を有する非フッ化アルキルもしくは非フッ化アルコキシまたはそれぞれ2~9個のC原子を有する非フッ化アルケニル、非フッ化アルケニルオキシもしくは非フッ化アルコキシアルキル、好ましくは1~5個のC原子を有するアルキル、特に好ましくはn-アルキルを指し、
R
32は、H、それぞれ1~5個、好ましくは1~3個、特に好ましくは3個のC原子を有する非フッ化アルキルまたは非フッ化アルコキシを指し、
pは、0または1であり、
より好ましくは
R
31は、C
nH
2n+1またはCH
2=CH-(CH
2)
Zを指し、かつ
R
32は、C
mH
2m+1またはO-C
mH
2m+1または(CH
2)
Z-CH=CH
2を指し、
式中、nおよびmは、互いに独立して、0~20の範囲、好ましくは1~9の範囲、特に好ましくは1~5の整数を指し、zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を表す]
の式で示される化合物の群から選択される化合物を含む。
【0048】
本明細書において、(R31およびR32)の好ましい組み合わせは、特に、(CnH2n+1およびCmH2m+1)および(CnH2n+1およびO-CmH2m+1)である。
【0049】
好ましくは本発明による液晶媒体は、式III-1で示される1つ以上の化合物、好ましくは式III-1a~III-1c、好ましくは式III-1aおよび/またはIII-1c、最も好ましくは式III-1aの式で示される化合物の群から選択される化合物を含む
【化27】
[式中、出現する基は、上記で与えられたそれぞれの意味を有する]。
【0050】
好ましくは本発明による液晶媒体は、式III-2で示される1つ以上の化合物、好ましくは式III-2a~III-2dの式で示される化合物の群から選択され、好ましくは式III-2a、III-2bおよびIII-2dから選択され、最も好ましくは式III-2aで示される化合物を含む
【化28】
[式中、
出現する基は、上記で与えられたそれぞれの意味を有し、
好ましくは
R
31は、それぞれ1~15個のC原子を有する非フッ化アルキルもしくは非フッ化アルコキシまたはそれぞれ2~15個のC原子を有する非フッ化アルケニル、非フッ化アルケニルオキシもしくは非フッ化アルコキシアルキル、好ましくはアルキル、特に好ましくはn-アルキルを指し、
R
32は、H、それぞれ1~5個、好ましくは1~3個、特に好ましくは3個のC原子を有する非フッ化アルキルまたは非フッ化アルコキシを指し、
より好ましくは
R
31は、C
nH
2n+1またはCH
2=CH-(CH
2)
Zを指し、
R
32は、C
mH
2m+1またはO-C
mH
2m+1または(CH
2)
Z-CH=CH
2を指し、
式中、nおよびmは、互いに独立して、0~15の範囲、好ましくは1~7の範囲、特に好ましくは1~5の整数を指し、zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を表す]。
【0051】
本明細書において、(R31およびR32)の好ましい組み合わせは、特に、(CnH2n+1およびCmH2m+1)および(CnH2n+1およびO-CmH2m+1)である。
【0052】
好ましくは本発明による液晶媒体は、式III-3で示される1つ以上の化合物、好ましくは式III-3a~III-3d、特に好ましくは式III-2aの式で示される化合物の群から選択される化合物を含む
【化29】
[式中、
L
3は、HまたはF、好ましくはFを指し、R
31およびR
32は、上記で与えられた意味を有し、
好ましくは
R
31は、それぞれ1~15個のC原子を有する非フッ化アルキルもしくは非フッ化アルコキシまたはそれぞれ2~15個のC原子を有する非フッ化アルケニル、非フッ化アルケニルオキシもしくは非フッ化アルコキシアルキル、好ましくはアルキル、特に好ましくはn-アルキルを指し、
R
32は、H、それぞれ1~5個、好ましくは1~3個、特に好ましくは3個のC原子を有する非フッ化アルキルまたは非フッ化アルコキシを指し、
より好ましくは
R
31は、C
nH
2n+1またはCH
2=CH-(CH
2)
Zを指し、
R
32は、C
mH
2m+1またはO-C
mH
2m+1または(CH
2)
Z-CH=CH
2を指し、
式中、nおよびmは、互いに独立して、0~15の範囲、好ましくは1~7の範囲、特に好ましくは1~5の整数を指し、zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を表す]。
【0053】
本発明の好ましい実施形態では、液晶媒体は、式IVで示される1つ以上の化合物、好ましくはR41がn-アルキルまたはアルケニル、より好ましくはn-アルキル、最も好ましくはCnH2n+1であり、R42がアルケニル、より好ましくはCH2=CH-[CH2-]Z、CH3-CH2=CH-[CH2-]Z、[-CH2]2-CH=CH2または[-CH2]2-CH=C-CH3(式中、nが0~15の範囲、好ましくは1~7の範囲、特に好ましくは1~5の整数であり、zが0、1、2、3または4、好ましくは0または2である)である、式IVで示される化合物を含む。
【0054】
本発明による媒体は、好ましくは式V
【化30】
[式中、
【化31】
は、
【化32】
、好ましくは
【化33】
であり、
R
5は、互いに独立して、アルキル(同アルキルは、直鎖または分岐鎖であり、好ましくは1~20個のC原子を有し、置換されていないか、F、ClまたはCN、好ましくはFにより一置換または多置換されており、ここで、1つ以上のCH
2基は、各場合において、互いに独立して、-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-OCO-O-、-S-CO-、-CO-S-、―CH=CH-または-C≡C-により、O原子および/またはS原子が互いに直接結合していないような様式で、場合により置き換えられている)、好ましくは1~9個のC原子、より好ましくは2~5個のC原子を有するn-アルキルもしくはn-アルコキシ、2~9個のC原子、より好ましくは2~5個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシもしくはアルコキシアルキル、または好ましくは9個までのC原子を有するハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニルもしくはハロゲン化アルコキシ、好ましくは(好ましくは9個までのC原子を有する)一フッ化、二フッ化もしくはオリゴフッ化アルキル、アルケニルもしくはアルコキシ、
最も好ましくは(好ましくは9個までのC原子を有する)n-アルキル、n-アルコキシ、アルケニル、アルケニルオキシまたはアルコキシアルキルであり、
X
5は、ハロゲン、CN、NCS、CF
3またはOCF
3、好ましくはFまたはOCF
3であり、
Y
01、Y
02、R
01およびR
02は、上記式Iにおいて与えられたそれぞれの意味を有し、
iは、0または1である]
で示される1つ以上の化合物を含む。
【0055】
本発明による液晶媒体は、好ましくは式Iで示される1つ以上の化合物、好ましくは式I-1~I-3で示される化合物の群から選択され、好ましくは式I-1およびI-2から選択される化合物、より好ましくは式I-1および式I-2それぞれの1つ以上の化合物を含む。
【0056】
本発明による液晶媒体は、式Vで示される1つ以上の化合物、好ましくは式V-1~V-3で示される化合物の群から選択され、好ましくは式V-1およびI-3から選択される化合物、より好ましくは式V-1で示される1つ以上の化合物を含む
【化34】
[式中、
出現する基は、上記で与えられたそれぞれの意味を有し、
好ましくは
R
5は、それぞれ1~15個のC原子を有する非フッ化アルキルもしくは非フッ化アルコキシまたはそれぞれ2~15個のC原子を有する非フッ化アルケニル、非フッ化アルケニルオキシもしくは非フッ化アルコキシアルキル、好ましくはアルキル、特に好ましくはn-アルキルを指し、
X
5は、F、CF
3またはOCF
3、H、好ましくはOCF
3を表す]。
【0057】
本発明の好ましい実施形態では、媒体は、式VI
【化35】
[式中、
【化36】
は、
【化37】
を指し、
R
6は、H、1~12個のC原子を有するアルキルもしくはアルコキシまたは2~12個のC原子を有するアルケニル、アルケニルオキシもしくはアルコキシアルキルを指し、ここで、1つ以上のCH
2基は、
【化38】
により置き換えられていてもよく、それらの全てにおいて、1つ以上のH原子は、フッ素により置き換えられていてもよく、
X
6は、CN、F、CF
3またはOCF
3、好ましくはCNを指し、
Y
61、Y
62は、H、ClまたはFを表す]
で示される1つ以上の化合物を含む。
【0058】
式VIで示される好ましい化合物は、下記化合物VI-1~VI-8、特に好ましくは式VI-3である。
【0059】
【0060】
【0061】
好ましい実施形態では、本発明による媒体は、式VII、VIIIおよびIX
【化40】
[式中、
R
7は、H、1~17個、好ましくは3~10個のC原子を有する非フッ化アルキルもしくは非フッ化アルコキシまたは2~15個、好ましくは3~10個のC原子を有する非フッ化アルケニル、非フッ化アルケニルオキシもしくは非フッ化アルコキシアルキル(ここで、1つ以上のCH
2基は、
【化41】
により置き換えられていてもよい)、好ましくは非フッ化アルキルまたは非フッ化アルケニルを指し、
nは、0、1または2であり、
【化42】
は、各出現において、互いに独立して、
【化43】
(式中、R
Lは、各出現において、同一であるかまたは異なって、Hまたは1~6個のC原子を有するアルキル、好ましくはH、メチルまたはエチル、特に好ましくはHを表す)
を指し、
ここで、
【化44】
は、代替的に、
【化45】
好ましくは
【化46】
を指し、
n=2の場合、
【化47】
のうちの一方は、好ましくは
【化48】
を指し、他方は、好ましくは
【化49】
を指し、
好ましくは
【化50】
は、互いに独立して、
【化51】
を指し、
より好ましくは
【化52】
は、
【化53】
を指し、
【化54】
は、
【化55】
を指し、
【化56】
は、
【化57】
を指し、
R
8は、H、1~17個、好ましくは3~10個のC原子を有する非フッ化アルキルもしくは非フッ化アルコキシまたは2~15個、好ましくは3~10個のC原子を有する非フッ化アルケニル、非フッ化アルケニルオキシもしくは非フッ化アルコキシアルキル(ここで、1つ以上のCH
2基は、
【化58】
により置き換えられていてもよい)、好ましくは非フッ化アルキルまたは非フッ化アルケニルを指し、
Z
81は、trans-CH=CH-、trans-CF=CF-または-C≡C-、好ましくは-C≡C-またはtrans-CH=CH-を指し、
【化59】
は、互いに独立して、
【化60】
(式中、R
Lは、各出現において、同一であるかまたは異なって、Hまたは1~6個のC原子を有するアルキル、好ましくはH、メチルまたはエチル、特に好ましくはHを表す)
を指し、
ここで、好ましくは
【化61】
は、互いに独立して、
【化62】
を指し、
【化63】
は、好ましくは
【化64】
を指し、
【化65】
は、好ましくは
【化66】
、より好ましくは
【化67】
を指し、
R
9は、H、1~17個、好ましくは3~10個のC原子を有する非フッ化アルキルもしくは非フッ化アルコキシまたは2~15個、好ましくは3~10個のC原子を有する非フッ化アルケニル、非フッ化アルケニルオキシもしくは非フッ化アルコキシアルキル(ここで、1つ以上のCH
2基は、
【化68】
により置き換えられていてもよい)、好ましくは非フッ化アルキルまたは非フッ化アルケニルを指し、
Z
91およびZ
92のうちの一方、好ましくはZ
92は、trans-CH=CH-、trans-CF=CF-または-C≡C-を指し、それとは独立して、他方は、-C≡C-、trans-CH=CH-、trans-CF=CF-または単結合を指し、好ましくはそれらのうちの一方、好ましくはZ
32は、-C≡C-またはtrans-CH=CH-を指し、他方は、単結合を指し、
【化69】
は、互いに独立して、
【化70】
(式中、R
Lは、各出現において、同一であるかまたは異なって、Hまたは1~6個のC原子を有するアルキル、好ましくはH、メチルまたはエチル、特に好ましくはHを表す)
を指し、
ここで、
【化71】
は、代替的に、
【化72】
を指し、
好ましくは
【化73】
は、互いに独立して、
【化74】
を指し、
より好ましくは
【化75】
は、
【化76】
を指し、
【化77】
は、
【化78】
、より好ましくは
【化79】
を指し、
【化80】
は、
【化81】
、より好ましくは
【化82】
を表す]
で示される化合物の群から選択される1つ以上の化合物を含む。
【0062】
式VII、VIIIおよびIXで示される化合物において、RLは、好ましくはHを表す。
【0063】
別の好ましい実施形態では、式VII、VIIIおよびIXで示される化合物において、1つまたは2つの基RL、好ましくは1つの基RLは、Hとは異なる。
【0064】
本発明の好ましい実施形態では、式VIIで示される化合物は、式VII-1~VII-5
【化83】
[式中、
L
71、L
72およびL
73は、各出現において、同一であるかまたは異なって、HまたはFを指し、
他の基は、式Iについて上記で示されたそれぞれの意味を有し、
好ましくは
R
7は、1~7個のC原子を有する非フッ化アルキルまたは2~7個のC原子を有する非フッ化アルケニルを表す]
で示される化合物の群から選択される。
【0065】
媒体は、好ましくは式VII-1で示される1つ以上の化合物、好ましくは式VII-1a~VII-1fで示される化合物の群から選択される化合物、好ましくは式VII-1bまたはVII-1fで示される化合物を含む
【化84-1】
【0066】
【化84-2】
[式中、R
7は、式VIIについて上記で示された意味を有し、好ましくは1~7個のC原子を有する非フッ化アルキルまたは2~7個のC原子を有する非フッ化アルケニルを表す]。
【0067】
媒体は、好ましくは式VII-2で示される1つ以上の化合物、好ましくは式VII-2a~VII-2eで示される化合物の群から選択される化合物、好ましくは式VII-2cで示される化合物を含む
【化85-1】
【0068】
【化85-2】
[式中、R
7は、式VIIについて上記で示された意味を有し、好ましくは1~7個のC原子を有する非フッ化アルキルまたは2~7個のC原子を有する非フッ化アルケニルを表す]。
【0069】
媒体は、好ましくは式VII-3で示される1つ以上の化合物、好ましくは式VII-3a~VII-3dで示される化合物の群から選択される化合物、特に好ましくは式VII-3bで示される化合物を含む
【化86】
[式中、R
7は、式VIIについて上記で示された意味を有し、好ましくは1~7個のC原子を有する非フッ化アルキルまたは2~7個のC原子を有する非フッ化アルケニルを表す]。
【0070】
媒体は、好ましくは式VII-4で示される1つ以上の化合物、好ましくは式VII-4a~VII-4dで示される化合物の群から選択される化合物、特に好ましくは式VII-4bで示される化合物を含む
【化87】
[式中、R
7は、式VIIについて上記で示された意味を有し、好ましくは1~7個のC原子を有する非フッ化アルキルまたは2~7個のC原子を有する非フッ化アルケニルを表す]。
【0071】
媒体は、好ましくは式VII-5で示される1つ以上の化合物、好ましくは式VII-5a~VII-5dで示される化合物の群から選択される化合物、特に好ましくは式VII-5bで示される化合物を含む
【化88】
[式中、R
7は、式VIIについて上記で示された意味を有し、好ましくは1~7個のC原子を有する非フッ化アルキルまたは2~7個のC原子を有する非フッ化アルケニルを表す]。
【0072】
媒体は、好ましくは式VIIIで示される1つ以上の化合物、好ましくは式VIII-1~VIII-3で示される化合物の群から選択される化合物、好ましくは式VIII-1およびVIII-2で示される化合物の群から選択される化合物を含む
【化89】
[式中、
パラメータは、上記式VIIIにおいて与えられた意味を有し、
好ましくは
R
8は、H、1~7個のC原子を有する非フッ化アルキルもしくはアルコキシまたは2~7個のC原子を有する非フッ化アルケニルを指し、
【化90】
のうちの一方は、
【化91】
を指し、
他方は、独立して、
【化92】
、好ましくは
【化93】
、最も好ましくは
【化94】
を指し、
好ましくは
R
8は、C
nH
2n+1またはCH
2=CH-(CH
2)
Zを指し、
nは、0~15の範囲、好ましくは1~7の範囲、特に好ましくは1~5の整数を指し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を表す]。
【0073】
式VIII-1で示される化合物は、好ましくは式VIII-1a~VIII-1e
【化95】
[式中、
R
8は、上記で示された意味を有し、好ましくはC
nH
2n+1またはCH
2=CH-(CH
2)
Zを指し、
nは、互いに独立して、0~15の範囲、好ましくは1~7の範囲、特に好ましくは1~5の整数を指し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を表す]
で示される化合物の群から選択される。
【0074】
式VIII-2で示される化合物は、好ましくは式VIII-2aおよびVIII-2b:
【化96】
[式中、
R
8は、上記で示された意味を有し、好ましくはC
nH
2n+1またはCH
2=CH-(CH
2)
Zを指し、
nは、0~15の範囲、好ましくは1~7の範囲、特に好ましくは1~5の整数を指し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を表す]
で示される化合物の群から選択される。
【0075】
式VIII-3で示される化合物は、好ましくは式VIII-3a~VIII-3d:
【化97】
[式中、
R
8は、上記で示された意味を有し、好ましくはC
nH
2n+1またはCH
2=CH-(CH
2)
Zを指し、
nは、0~15の範囲、好ましくは1~7の範囲、特に好ましくは1~5の整数を指し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を表す]
で示される化合物の群から選択される。
【0076】
式IXで示される化合物は、好ましくは式IX-1~XI-6で示される化合物の群から選択され、より好ましくは式IX-1、IX-2、IX-3およびIX-4、特に好ましくは式IX-1で示される化合物の群から選択される式の群から選択される
【化98】
[式中、
Z
91およびZ
92は、互いに独立して、trans-CH=CH-またはtrans-CF=CF-、好ましくはtrans-CH=CH-を指し、式IX-6において、代替的に、Z
31およびZ
32のうちの一方は、-C≡C-を指してもよく、他のパラメータは、式IXにおいて上記で与えられた意味を有し、
好ましくは
R
9は、H、1~7個のC原子を有する非フッ化アルキルもしくはアルコキシまたは2~7個のC原子を有する非フッ化アルケニルを指し、
【化99】
のうちの1つ、好ましくは
【化100】
は、
【化101】
、好ましくは
【化102】
を指し、
他のものは、互いに独立して、
【化103】
、好ましくは
【化104】
、より好ましくは
【化105】
を指し、
好ましくは
R
9は、C
nH
2n+1またはCH
2=CH-(CH
2)
Zを指し、
nは、0~15の範囲、好ましくは1~7の範囲、特に好ましくは1~5の整数を指し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を表す]。
【0077】
式IX-1で示される化合物は、好ましくは式IX-1a~IX-1eで示される化合物の群から選択され、より好ましくは式IX-1aおよびIX-1bで示される化合物の群から選択され、特に好ましくは式IX-1bで示される化合物である
【化106】
[式中、
R
9は、上記で示された意味を有し、好ましくはC
nH
2n+1またはCH
2=CH-(CH
2)
Zを指し、
nは、0~15の範囲、好ましくは1~7の範囲、特に好ましくは1~5の整数を指し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を表す]。
【0078】
式IX-2で示される化合物は、好ましくは式IX-2a:
【化107】
[式中、
R
9は、上記で示された意味を有し、好ましくはC
nH
2n+1またはCH
2=CH-(CH
2)
Zを指し、
nは、0~15の範囲、好ましくは1~7の範囲、特に好ましくは1~5の整数を指し、
zは、0、1、2、3または4、好ましくは0または2を表す]
で示される化合物である。
【0079】
式IX-5で示される化合物は、好ましくは式IX-5a:
【化108】
[R
9は、式IX-5について上記で示された意味を有し、好ましくはC
nH
2n+1を指し、式中、nは、0~7の範囲、好ましくは1~5の範囲の整数を表す]
で示される化合物から選択される。
【0080】
好ましくは本発明による媒体は、式ST-1~ST-18
【化109-1】
【0081】
【0082】
【0083】
【化109-4】
[式中、
R
STは、H、1~15個のC原子を有するアルキルまたはアルコキシ基であり、この場合、さらに、これらの基における1つ以上のCH
2基は、互いに独立して、-C≡C-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH=CH-、
【化110】
-O-、-CO-O-、-O-CO-により、O原子が互いに直接結合していないような様式で、置き換えられていてもよく、ここで、さらに、1つ以上のH原子は、ハロゲンにより置き換えられていてもよく、
【化111】
は、
【化112-1】
【0084】
【0085】
【化112-3】
を指し、
Z
STは、互いに独立して、-CO-O-、-O-CO-、-CF
2O-、-OCF
2-、-CH
2O-、-OCH
2-、-CH
2-、-CH
2CH
2-、-(CH
2)
4-、-CH=CH-CH
2O-、-C
2F
4-、-CH
2CF
2-、-CF
2CH
2-、-CF=CF-、-CH=CF-、-CF=CH-、-CH=CH-、-C≡C-または単結合を指し、
L
1およびL
2は、互いに独立して、F、Cl、CF
3またはCHF
2を指し、
pは、1または2を指し、
qは、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10を表す]
で示される化合物の群から選択される安定剤を含む。
【0086】
式STで示される化合物のうち、下記式で示される化合物が特に好ましい。
【0087】
【0088】
【0089】
【0090】
式ST-3aおよびST-3bで示される化合物において、nは、好ましくは3を表す。
【0091】
式ST-2aで示される化合物において、nは、好ましくは7を表す。
【0092】
本発明による特に非常に好ましい混合物は、式ST-2a-1、ST-3a-1、ST-3b-1、ST-8-1、ST-9-1およびST-12
【化114-1】
【0093】
【化114-2】
で示される化合物の群からの1つ以上の安定剤を含む。
【0094】
式ST-1~ST-18で示される化合物はそれぞれ、好ましくは本発明による液晶混合物中に、該混合物に対して0.005~0.5%の量で存在する。
【0095】
本発明による混合物が式ST-1~ST-18で示される化合物の群からの2つ以上の化合物を含む場合、濃度は、それに対応して、化合物が2つである場合には、該混合物に対して0.01~1%に増加する。
【0096】
ただし、式ST-1~ST-18で示される化合物の総割合は、本発明による混合物に対して2%を超えるべきではない。
【0097】
上記で明示的に言及されていない他のメソゲン化合物も、任意選択的かつ有利に、本発明による媒体に使用することができる。このような化合物は、当業者に公知である。
【0098】
本発明の好ましい実施形態では、液晶媒体は、式I-1およびII-3で示される1つ以上の化合物を含む。
【0099】
本発明による液晶媒体は、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上、特に好ましくは100℃以上の澄明点を有する。
【0100】
本発明による媒体のネマチック相は、好ましくは0℃以下まで、より好ましくは-10℃以下まで、さらにより好ましくは-20℃以下まで、最も好ましくは-30℃以下までの下限温度まで達する。同時に、このネマチック相は、好ましくは90℃以上まで、好ましくは95℃以上まで、より好ましくは100℃以上まで、特に、110℃以上までの上限温度まで達する。
【0101】
好ましくは本発明による液晶媒体の誘電異方性(Δε)は、1kHzおよび20℃において、3~20、好ましくは5~15、特に好ましくは6~12の範囲にある。
【0102】
本発明による液晶媒体のΔnは、589.3nm(NaD)および20℃において、好ましくは0.200以上、より好ましくは0.240以上である。
【0103】
589.3nm(NaD)および20℃における本発明による液晶媒体のΔnは、好ましくは0.200~0.400、より好ましくは0.230~0.300、特に好ましくは0.240~0.280の範囲にある。
【0104】
好ましくは本発明による液晶媒体は、
- 式Iで示される1つ以上の化合物を、20%~80%、好ましくは30%~70%、特に好ましくは40%~60%の範囲の全濃度で、
- 式I-1で示される1つ以上の化合物を、5%~25%、好ましくは10%~20%、特に好ましくは12%~18%の範囲の全濃度で、
- 式I-2で示される1つ以上の化合物を、1%~10%、好ましくは2%~15%、特に好ましくは3%~7%の範囲の全濃度で、
- 式I-3で示される1つ以上の化合物を、15%~60%、好ましくは20%~50%、特に好ましくは25%~45%の範囲の全濃度で、
- 式Iで示される1つ以上の化合物を、40%以上、好ましくは44%以上、特に好ましくは55%以上の全濃度で、
- 式I-1およびI-2およびI-3で示される1つ以上の化合物、
- 式III-3で示される1つ以上の化合物を、1%~10%、好ましくは2%~8%の範囲の全濃度で、
- 式VIで示される1つ以上の化合物を、1%~10%、好ましくは2%~7%の範囲の全濃度で、
- 式VIで示される1つ以上の化合物を、20%以下、好ましくは10%以下の全濃度で、
- 式II、好ましくはIIZで示される1つ以上の化合物を、5%~50%、好ましくは10%~40%の範囲の全濃度で、
- 式II、好ましくはIIZで示される1つ以上の化合物および式VIで示される1つ以上の化合物を、10%~30%、好ましくは12%~20%の範囲の全濃度で、
含む。
【0105】
上記で使用された頭字語は、表A~Cに従って作成され、表Dに説明されている。
【0106】
本明細書において、誘電的に正であるという表現は、Δε>3.0の化合物または成分を示し、誘電的に中性であることは、-1.5≦Δε≦3.0の化合物または成分を示し、誘電的に負であることは、Δε<-1.5の化合物または成分を示す。Δεは、周波数1kHzおよび20℃において決定される。各化合物の誘電異方性は、ネマチックホスト混合物中の各個々の化合物の10%溶液の結果から決定される。ホスト混合物中の各化合物の溶解度が10%未満である場合、濃度を5%に下げる。試験混合物の静電容量は、ホメオトロピック配向を有するセルおよび均一配向を有するセルの双方において決定される。両タイプのセルのセル厚は、約20μmである。印加される電圧は、周波数1kHzおよび典型的には、0.5V~1.0Vの実効値を有する矩形波であるが、常に、各試験混合物の容量閾値を下回るように選択される。
【0107】
本明細書において、下記定義が適用される
Δε≡(ε||-ε⊥)および
ε平均≡(ε||+2ε⊥)/3。
【0108】
誘電的に正の化合物に使用されるホスト混合物は、混合物ZLI-4792であり、誘電的に中性の化合物および誘電的に負の化合物に使用されるホスト混合物は、混合物ZLI-3086であり、両混合物は、Merck KGaA(独国)製である。化合物の誘電率の絶対値は、目的の化合物の添加時のホスト混合物の各値の変化から決定される。値は、目的の化合物の100%濃度に外挿される。
【0109】
20℃の測定温度でネマチック相を有する成分は、そのまま測定される。他は全て、化合物と同様に処理される。
【0110】
本明細書において、「閾値電圧」という表現は、光学閾値を指し、10%相対コントラスト(V10)について示され、「中間グレー電圧」は、50%相対コントラスト(V50)についての電圧であり、「飽和電圧」という表現は、光学飽和を指し、全ての場合において特に断らない限り、90%相対コントラスト(V90)について示される。全ての特性電圧は、垂直観察について決定される。フリードリッヒ閾値(VFr)とも呼ばれる容量閾値電圧(V0)は、明示的に言及された場合にのみ使用される。
【0111】
本明細書において、特に断らない限り、下記条件および定義が適用される。全ての濃度は、重量%で示され、各混合物全体に関連する。全ての温度は、摂氏で示される。全ての温度差は、微分度で示される。全ての物理的特性は、「Merck liquid Crystals, Physical Properties of liquid Crystals」,Status Nov. 1997, Merck KGaA, Germanyに従って決定され、特に断らない限り、20℃の温度について示される。光学異方性(Δn)は、波長589.3nmで決定される。誘電異方性(Δε)は、周波数1kHzで決定される。閾値電圧および他の全ての電気光学特性は、Merck KGaA(独国)製の試験セルを使用して決定される。Δεを決定するための試験セルは、約20μmのセル厚を有する。電極は、面積1.13cm2を有する円形ITO電極とガードリングである。配向層は、ホメオトロピック配向(ε||)については、日産化学(株)(日本国)製のSE-1211であり、均一配向(ε⊥)については、日本合成ゴム(株)(日本国)製のポリイミドAL-1054である。静電容量は、0.3Vrmsの電圧を有する正弦波を使用するSolatron 1260周波数応答分析器を使用して決定される。
【0112】
電気光学測定に使用される光は、白色光である。本明細書では、Autronic-Melchers(独国)から市販されているDMS機器を使用するセットアップが使用される。特性電圧が、垂直観察下で決定された。閾値(V10)、中間グレー(V50)および飽和(V90)電圧はそれぞれ、10%、50%および90%の相対コントラストについて決定された。
【0113】
本明細書において、「化合物」という用語は、特に断らない限り、1つの化合物および複数の化合物の双方を意味するものとする。
【0114】
本発明による液晶媒体は、好ましくは各場合において、少なくとも-20℃~80℃、好ましくは-30℃~100℃、特に非常に好ましくは-40℃~130℃のネマチック相を有する。本明細書において、この表現は、ネマチック相が、一方では、スメクチック相および結晶化が対応する温度での低温において観察されず、他方では、ネマチック相からの加熱で澄明化が起こらないことを意味する。低温での調査を、対応する温度での流動粘度計において行い、層厚5μmを有する試験セル中で少なくとも100時間保存することによりチェックする。高温では、澄明点を従来の方法により毛管において測定する。
【0115】
液晶媒体の澄明点(T(N,I))は、好ましくは90℃以上、より好ましくは95℃以上、特に好ましくは100℃以上である。
【0116】
また、本発明による液晶媒体は、適切な回転粘度(γ1)も特徴とする。回転粘度は、好ましくは350mPa・s以下、より好ましくは300mPa・s以下、さらにより好ましくは280mPa・s以下、最も好ましくは250mPa・s以下である。好ましくは媒体の回転粘度は、可能な限り低い。ただし、可能性のある実際的な下限は、100mPa・s以上またはさらには、150mPa・s以上であることができる。
【0117】
「アルキル」という用語は、好ましくは直鎖および分岐鎖アルキル基ならびにシクロアルキル基(それぞれ1~15個の炭素原子を有する)、特に、直鎖基であるメチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルならびにシクロプロピルおよびシクロヘキシルを包含する。一般的には、2~10個の炭素原子を有する基が好ましい。
【0118】
「アルケニル」という用語は、好ましくは2~15個の炭素原子を有する直鎖および分岐鎖アルケニル基、特に、直鎖基を包含する。特に好ましいアルケニル基は、C2~C7-1E-アルケニル、C4~C7-3E-アルケニル、C5~C7-4-アルケニル、C6~C7-5-アルケニルおよびC7-6-アルケニル、特に、C2~C7-1E-アルケニル、C4~C7-3E-アルケニルおよびC5~C7-4-アルケニルである。さらに好ましいアルケニル基の例は、ビニル、1E-プロペニル、1E-ブテニル、1E-ペンテニル、1E-ヘキセニル、1E-ヘプテニル、3-ブテニル、3E-ペンテニル、3E-ヘキセニル、3E-ヘプテニル、4-ペンテニル、4Z-ヘキセニル、4E-ヘキセニル、4Z-ヘプテニル、5-ヘキセニル、6-ヘプテニル等である。総じて、5個までの炭素原子を有する基が好ましい。
【0119】
「フルオロアルキル」という用語は、好ましくは末端フッ素を有する直鎖基、すなわち、フルオロメチル、2-フルオロエチル、3-フルオロプロピル、4-フルオロブチル、5-フルオロペンチル、6-フルオロヘキシルおよび7-フルオロヘプチルを包含する。ただし、他の位置のフッ素は除外されない。
【0120】
「オキサアルキル」または「アルコキシアルキル」という用語は、好ましくは式CnH2n+1-O-(CH2)m(式中、nおよびmは、互いに独立して、1~10の整数を示す。好ましくは本明細書において、nは、1であり、mは、1~6である)で示される直鎖基を包含する。
【0121】
ビニル末端基を含有する化合物およびメチル末端基を含有する化合物は、低い回転粘度を有する。
【0122】
本発明による液晶媒体は、さらなる添加剤およびキラルドーパントを、通常濃度で含んでもよい。これらのさらなる成分の全濃度は、混合物全体に対して、0%~10%、好ましくは0.1%~6%の範囲にある。使用される個々の化合物の濃度はそれぞれ、好ましくは0.1%~3%の範囲にある。本発明による液晶媒体の液晶成分および液晶化合物の値および濃度範囲を示す場合、これらおよび同様の添加剤の濃度は考慮されない。
【0123】
本発明による液晶媒体は、複数の化合物、好ましくは3~30種類、より好ましくは4~20種類、非常に好ましくは4~15種類の化合物からなる。これらの化合物は、従来の様式で混合される。一般的には、より少ない量で使用される所望量の化合物が、より多い量で使用される化合物に溶解される。温度が、より高い濃度で使用される化合物の澄明点を上回る場合、溶解プロセスの完了を観察することは特に容易である。ただし、他の従来の方法で、例えば、いわゆる、プレミックス(例えば、化合物の均一または共晶混合物であり得る)またはいわゆる、「マルチボトル」システムを使用して、媒体を製造することも可能であり、その成分自体は、すぐに使用できる混合物である。
【0124】
全ての温度、例えば、融点T(C,N)またはT(C,S)、スメクチック(S)からネマチック(N)相への転移T(S,N)および液晶の澄明点T(N,I)は、摂氏で示される。全ての温度差は、示差度で示される。
【0125】
本発明、特に、下記実施例において、メソゲン化合物の構造を、頭字語とも呼ばれる略語により示す。これらの頭字語において、化学式を、以下の表A~Cを使用して、以下のように省略する。全ての基CnH2n+1、CmH2m+1およびClH2l+1またはCnH2n-1、CmH2m-1およびClH2l-1は、n、mおよびl個のC原子をそれぞれ有する直鎖アルキルまたはアルケニル、好ましくは1E-アルケニルを示す。式中、n、mおよびlは、互いに独立して、1~9、好ましくは1~7または2~9、好ましくは2~7の整数を示す。CoH2o+1は、1~7個、好ましくは1~4個のC原子を有する直鎖アルキルまたは1~7個、好ましくは1~4個のC原子を有する分岐鎖アルキルを示す。
【0126】
表Aに、化合物のコア構造の環要素に使用されるコードを列挙し、一方、表Cに、連結基を示す。表Cには、左手側または右手側末端基についてのコードの意味を示す。表Dに、それらの各略語を有する化合物の例示的な構造を示す。
【0127】
【0128】
【0129】
【0130】
【0131】
ここで、nおよびmはそれぞれ、整数を示し、3つのドット「...」は、この表からの他の略語のためのプレースホルダである。
【0132】
下記表に、各略語と共に例示的な構造を示す。これらは、略語の規則の意味を説明するために示したものである。それらはさらに、好ましく使用される化合物を表す。
【0133】
表D:例示的な構造
例示的な構造は、特に好ましく利用される化合物を示す。
【0134】
【0135】
【0136】
【0137】
【0138】
【0139】
【0140】
ここで、n∋{1;2;3;4;5;6;7}、m∋{1;2;3;4;5;6;7}およびk∋{1;2;3;4}、好ましくは2または4、最も好ましくは2であり、l∋{1;2;3}、好ましくは1である。
【0141】
下記表、表Eに、本発明による液晶媒体に安定剤として使用することができる例示的な化合物を示す。媒体中のこれらおよび同様の化合物の全濃度は、好ましくは5%以下である。
【0142】
【0143】
【0144】
【0145】
【0146】
本発明の好ましい実施形態では、液晶媒体は、表Eからの化合物の群から選択される1つ以上の化合物を含む。
【0147】
本発明による液晶媒体は、好ましくは上記表からの化合物からなる群から選択される2種以上、好ましくは4種以上の化合物を含む。
【0148】
本発明による液晶媒体は、好ましくは
- 表Dからの化合物の群から選択される、7種以上、好ましくは8種以上の化合物、好ましくは3種以上、好ましくは4種以上の異なる式を有する化合物
を含む。
【実施例】
【0149】
下記実施例は、本発明を何ら限定することなく本発明を例示するものである。ただし、物理的性質から、どのような性質を達成することができ、どのような範囲でそれらを改変することができるかは、当業者に明らかとなる。このため、特に、好ましく達成することができる種々の特性の組み合わせは、当業者に十分に定義される。
【0150】
ネマチック液晶混合物C1、C2およびN1~N12を下記のように製造する。
【0151】
【0152】
【0153】
【0154】
【0155】
ST-16、ST-3a-1、ST-3b-1およびST-8-1から選択される安定剤を以下の表に与えられる量で添加することにより、媒体N2から媒体N3~N6を製造する。
【0156】
【0157】
【0158】
媒体N1~N12のいずれかを備えたLCズームレンズは、媒体C1またはC2を備えたズームレンズより、最短焦点距離が短く、駆動電圧が低い。