(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】医療システム及び生体情報検査装置
(51)【国際特許分類】
G16H 40/60 20180101AFI20240130BHJP
A61B 5/321 20210101ALI20240130BHJP
【FI】
G16H40/60
A61B5/321
(21)【出願番号】P 2019141469
(22)【出願日】2019-07-31
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000112602
【氏名又は名称】フクダ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】嶋井 洋介
(72)【発明者】
【氏名】山田 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 健一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和晃
(72)【発明者】
【氏名】堀内 陽一
【審査官】甲斐 哲雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-157688(JP,A)
【文献】特開2018-077915(JP,A)
【文献】特開2011-186802(JP,A)
【文献】特開2006-330815(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/24- 5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーダー情報を発行する上位装置と、
前記オーダー情報に応じた設定情報を用いて計測を行う
とともに、それぞれが種類の異なる複数の検査種別の計測を行うことが可能である、複数の生体情報検査装置と、
前記複数の生体情報検査装置の前記設定情報を
、前記複数の検査種別毎に収集して格納するデータ格納装置と、
を備え、
前記生体情報検査装置は、
前記上位装置により発行された前記オーダー情報が前記複数の検査種別のうちのどの検査種別を示すかを特定し、特定した検査種別の設定情報を前記データ格納装置から取得する、
医療システム。
【請求項2】
前記生体情報検査装置は、さらに前記オーダー情報を前記検査種別内で細かく分類し、分類結果に対応する設定情報を前記データ格納装置から取得する、
請求項1に記載の医療システム。
【請求項3】
前記生体情報検査装置は、心電計であり、
前記オーダー情報は、前記検査種別の情報として、少なくとも12誘導検査、不整脈検査、リズム計測検査、マスターテスト検査、負荷後検査及び15誘導検査のいずれか1つを含み、
前記設定情報は、前記検査種別それぞれについてさらに複数の情報に分類されており、
前記心電計は、前記オーダー情報に基づいて、分類された前記複数の情報のうちのいずれか1つを前記設定情報として選択して前記データ格納装置から取得する、
請求項1に記載の医療システム。
【請求項4】
上位装置からのオーダー情報を受信する受信部と、
データ格納装置から設定情報を取得する設定情報取得部と、
種類の異なる複数の検査種別の計測を行うことが可能であり、前記設定情報取得部によって取得した前記設定情報を用いて前記オーダー情報に適合した生体情報の計測を行う計測部と、
を備え
、
前記設定情報取得部は、前記オーダー情報が前記複数の検査種別のうちのどの検査種別を示すかを特定し、特定した検査種別の設定情報を前記データ格納装置から取得する、
生体情報検査装置。
【請求項5】
前記設定情報取得部は、さらに前記オーダー情報を前記検査種別内で細かく分類し、分類結果に対応する設定情報を前記データ格納装置から取得する、
請求項4に記載の生体情報検査装置。
【請求項6】
種類の異なる複数の検査種別の計測を行うことが可能である心電計であって、
上位装置からのオーダー情報を受信する受信部と、
データ格納装置から設定情報を取得する設定情報取得部と、
前記複数の検査種別の計測を行うことが可能であり、前記設定情報取得部によって取得した前記設定情報を用いて前記オーダー情報に適合した生体情報の計測を行う計測部と、
を備え、
前記設定情報取得部は、前記オーダー情報が前記複数の検査種別のうちのどの検査種別を示すかを特定し、特定した検査種別の設定情報を前記データ格納装置から取得し、
前記オーダー情報は、前記検査種別の情報として、少なくとも12誘導検査、不整脈検査、リズム計測検査、マスターテスト検査、負荷後検査及び15誘導検査のいずれか1つを含み、
前記設定情報は、前記検査種別それぞれについてさらに複数の情報に分類されており、
前記設定情報取得部は、前記オーダー情報に基づいて、分類された前記複数の情報のうちのいずれか1つを前記設定情報として選択して前記データ格納装置から取得する、
心電計。
【請求項7】
前記受信部により受信した前記オーダー情報に適合する設定情報を自身が有しているか否かを判定する判定部
を、さらに備え、
前記計測部は、前記判定部によって前記オーダー情報に適合する設定情報を自身が有していない判定結果が得られた場合であっても、自身が保持している設定情報を用いて生体情報の計測を行う、
請求項6に記載の心電計。
【請求項8】
前記計測部は、前記判定部によって前記オーダー情報に適合する設定情報を自身が有していない判定結果が得られた場合、自身が有している複数の設定情報の中で、標準的な設定情報を用いて生体情報の計測を行う、
請求項
7に記載の
心電計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療システム及び生体情報検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、心臓疾患の診断指標として、心電図が広く用いられている。心電図は、心臓の電気的な活動を体表面で検出し、それを心電波形として表したものである。この心電波形(心電図)を解析することで、心臓の活動に関する様々な情報を得ることができる。
【0003】
近年では、心電図をデータ化して記録するデジタル心電計の開発により、コンピューターを用いて心電図を自動解析することが可能になり、心電図から得られる様々なパラメーターについて検討がなされている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、1つの心電計で複数の検査(例えば、12誘導検査、不整脈検査、リズム計測検査、マスターテスト検査など)を行うことができるものもある。
【0005】
また、心電計の運用形態として、例えば大病院の運用では、HIS(Hospital Information System)などの上位システム(上位装置と言ってもよい)から被検者情報やその日に行う検査の内容の指示がオーダー情報として発行される。そして、そのオーダー情報を心電計側で受信して、被検者情報を反映させ、必要な検査を実施している。
【0006】
オーダー情報には、12誘導検査を実施するのか、不整脈検査を実施するのか、或いは、リズム計測検査を実施するのか、などの検査種別を指定する情報が含まれる。また、オーダー情報には、さらに詳細な指定情報も含まれる。例えば詳細な指定情報として、心電波形の解析区間長などがある。一例として、12誘導検査に関しては、オーダー情報によって8秒~24秒の間のいずれかの解析区間長が指定される。このオーダー情報は例えば医師によって作成される。
【0007】
さらに、大病院などの運用では、心電計で得られた検査データを上位システムに送信することで、検査の実施状況を上位システム側で確認できる仕組みとなっている。なお、実際上、検査データそのものは、上位システムと心電計との間に設けられたデータ管理装置に格納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、心電計は、上述したオーダー情報に含まれる検査種別を指定する情報に基づいて、12誘導検査を実施するのか、不整脈検査を実施するのか、或いは、リズム計測検査を実施するのか、が自動的に切り替え可能である。つまり、検査種別(検査モードと言ってもよい)の切り替えは容易に行うことができる。
【0010】
これに対して、オーダー情報に含まれる詳細な指定情報に適合するように心電計を設定するためには、医療技師などのユーザーの手動による操作が必要となり容易ではない。例えば、上述したように12誘導検査に関して、オーダー情報によって8秒~24秒の間のいずれかの解析区間長が指定されていた場合、ユーザーは解析区間長を設定するための画面を表示させ、この設定画面において解析区間長を指定された長さに設定する必要がある。
【0011】
因みに、従来の心電計の中には、デフォルトの設定値での検査を実行させるボタン(デフォルトの検査ボタン)に加えて、ユーザーが設定した設定値での検査を実行させるボタンを前もって追加登録により用意できるものがある。これにより、ユーザーは、オーダー情報の内容に応じて、デフォルトの検査ボタンか、或いは、前もって追加登録した検査ボタンのいずれかを操作することにより、オーダー情報が来てから手動にて設定値を入力することなく、ボタン操作でオーダー情報に適合した検査を行わせることができる。
【0012】
しかしながら、追加登録により新たに作ることができる検査ボタンの数には限りがあり(例えば追加登録した検査ボタンの数は数個程度である)、その結果、オーダー情報の内容に十分に対応できていない。追加登録した検査ボタンの数を増やせばオーダー情報の内容に対応できると考えられるが、追加登録した検査ボタンの数を増やすと、ユーザーの選択肢が増え、ユーザーが誤った検査ボタンを操作する確率も増加する。この結果、間違った検査が実行される可能性が増加するといった新たな問題を招く。
【0013】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、ユーザーによる設定情報の入力に要する手間及び設定情報選択の誤操作を抑制しつつ、オーダー情報に応じた検査を適切に実行できる医療システム及び生体情報検査装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の医療システムの一つの態様は、
オーダー情報を発行する上位装置と、
前記オーダー情報に応じた設定情報を用いて計測を行う複数の生体情報検査装置と、
前記複数の生体情報検査装置の前記設定情報を収集して格納するデータ格納装置と、
を備え、
前記生体情報検査装置は、前記データ格納装置に格納された前記複数の生体情報検査装置の前記設定情報を前記データ格納装置から取得する。
【0015】
本発明の生体情報検査装置の一つの態様は、
上位装置からのオーダー情報を受信する受信部と、
データ格納装置から設定情報を取得する設定情報取得部と、
前記設定情報取得部によって取得した前記設定情報を用いて、前記オーダー情報に適合した生体情報の計測を行う計測部と、
を備える。
【0016】
本発明の生体情報検査装置の一つの態様は、
設定情報に基づいて生体情報の計測を行う計測部と、
上位装置からのオーダー情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信した前記オーダー情報に適合する設定情報を自身が有しているか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記計測部は、前記判定部によって前記オーダー情報に適合する設定情報を自身が有していない判定結果が得られた場合であっても、自身が保持している設定情報を用いて生体情報の計測を行う。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザーによる設定情報の入力に要する手間及び設定情報選択の誤操作を抑制しつつ、オーダー情報に応じた検査を適切に実行できる医療システム及び生体情報検査装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】病院における、心電計を含むシステム構成とデータの流れを示す模式図
【
図2】心電計に検査選択ボタンを表示させた様子を示す図
【
図3】オーダー情報を受信したときの実施の形態1の心電計の動作を示すフローチャート
【
図4】実施の形態2における心電計とデータ管理装置との関係を示した図
【
図5】オーダー情報を受信したときの実施の形態2の心電計の動作を示すフローチャート
【
図6】実施の形態2の心電計の要部の構成例を示すブロック図
【
図7】実施の形態3の心電計の動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0019】
<1>実施の形態1
図1は、心電計1を含む病院内システムの構成とデータの流れを示す模式図である。
図1の病院内システムは、心電計1と、データ管理装置2と、上位システム3と、を有する。
【0020】
心電計1は、12誘導検査、不整脈検査、リズム計測検査、マスターテスト検査などの複数の検査を実行可能な構成を有する。データ管理装置2は、生理検査室に設けられた心電計1を含む医療計測器の計測データを格納する機能、及び、上位システム3と各医療計測器との間のデータを変換する機能を有する。上位システム3は、例えばHISである。
【0021】
上位システム3がオーダー情報を発行すると、データ管理装置2が当該オーダー情報を心電計用のオーダー情報に変換して心電計1に送る。心電計1は、オーダー情報に従って心電図検査を実行する。心電計1は、心電図検査によって得た検査データ及びオーダー完了通知をデータ管理装置2に送る。データ管理装置2は、検査データを格納するとともに、オーダー完了通知を上位システム3に送る。
【0022】
図2は、心電計1において検査選択ボタンを表示させた様子を示す図である。デフォルトのボタンとして、「12誘導検査」ボタン、「不整脈検査」ボタン、「リズム計測検査」ボタン、「マスターテスト検査」ボタン、「負荷後検査」ボタン、「15誘導検査」ボタンなどが表示されている。一方、ユーザーが追加登録したボタンとして、「追加登録した12誘導」ボタン、「追加登録した不整脈」ボタンが表示されている。ユーザーがデフォルトのボタンを操作すると、デフォルトの設定値での検査が実行される。これに対して、ユーザーが追加登録したボタンを操作すると、ユーザーが予め設定した設定値での検査が実行される。
【0023】
図3は、オーダー情報を受信したときの心電計1の動作を示すフローチャートである。本実施の形態の心電計1は、オーダー情報で指定された検査を判定し、判定結果に応じて心電計1の設定値を自動的に切り替え、切り替えた設定値を用いて検査を実施する。つまり、従来は、ユーザーがオーダー情報を見ながら、
図2に示した検査選択ボタンのいずれかを選択操作する構成とされていたのに対して、本実施の形態の心電計1では、ユーザーによる検査選択ボタンの操作が不要とされている。
【0024】
本実施の形態の心電計1は、ステップS11でオーダー情報を受信すると、ステップS12に移る。ステップS12において、心電計1は、オーダー情報によって指定された検査が何の検査であるかを判定する。心電計1は、デフォルトの12誘導検査である判定結果を得た場合にはステップS13aに移り、追加登録した12誘導検査である判定結果を得た場合にはステップS14aに移り、不整脈検査である判定結果を得た場合にはステップS15aに移り、リズム計測検査である判定結果を得た場合にはステップS16aに移る。
【0025】
心電計1は、ステップS13aにおいて、検査のための設定値をデフォルトの12誘導検査に対応したものに切り替え、続くステップS13bにおいて、デフォルトの12誘導検査を実施する。同様に、心電計1は、ステップS14aにおいて、検査のための設定値を追加登録した12誘導検査に対応したものに切り替え、続くステップS14bにおいて、追加登録した12誘導検査を実施する。心電計1は、ステップS15aにおいて、検査のための設定値を不整脈検査に対応したものに切り替え、続くステップS15bにおいて、不整脈検査を実施する。心電計1は、ステップS16aにおいて、検査のための設定値をリズム計測検査に対応したものに切り替え、続くステップS16bにおいて、リズム計測検査を実施する。
【0026】
なお、ステップS12の判定処理において、オーダー情報によって指定された検査が何の検査であるかを判定できるようにするために、本実施の形態では、オーダー情報を複数のパターンに分類しておく。例えば、12誘導検査のオーダー情報はパターン1、不整脈検査のオーダー情報はパターン2、リズム検査のオーダー情報はパターン3と分類しておく。さらに、デフォルトの12誘導検査はパターン1-1、追加登録した12誘導検査はパターン1-2と分類しておく。このようにすることで、心電計1は、オーダー情報として、例えばパターン1-2を示す情報を受信した場合には、ステップS12からステップS14aへと移ることができる。
【0027】
以上説明したように、本実施の形態によれば、オーダー情報で指定された検査を判定し、判定結果に応じて心電計1の設定値を自動的に切り替え、切り替えた設定値を用いて検査を実施するようにしたことにより、ユーザーによる検査選択ボタンの操作が不要となり、ユーザーによる手間及び誤操作を抑制しつつ、オーダー情報に応じた心電図検査を適切に実行できるようになる。
【0028】
なお、
図3に示したように、自動的な検査の切り替えに加えて、強制的に手動切替えができるようにしてもよい。つまり、
図3の例で示されているように、ステップS12においてオーダー情報で指定された検査がデフォルトの12誘導検査であると判定された場合でも、手動により(つまりユーザーによるボタン操作により)追加登録した12誘導検査に切替えてもよい。
【0029】
<2>実施の形態2
実施の形態1では、オーダー情報で指定された検査を判定し、判定結果に応じて心電計1の設定値を自動的に切り替える場合について説明した。しかし、心電計1に、オーダー情報で指定された検査に適合する設定値が予め登録されているとは限らない。つまり、デフォルトの12誘導検査の設定値、及び、追加登録した12誘導検査の設定値、以外の設定値での検査を指定するオーダー情報が受信された場合には、検査を実施できないか、或いは、ユーザーがオーダー情報に含まれる設定値を新たに入力する必要がある。
【0030】
本実施の形態の構成は、これを考慮したものである。
【0031】
図4は、本実施の形態における、心電計1とデータ管理装置2との関係を示したものである。
【0032】
複数の心電計1と、データ管理装置2とが、例えばLAN(Local Area Network)によって接続されている。データ管理装置2は、サーバーによって具現化されており、データ格納部21を有する。データ格納部21は、共有フォルダー21a及び被検者データベース(DB)21bを有する。共有フォルダー21aには、心電計1の設定情報からなる心電計設定ファイルが記憶され、被検者データベース21bには、被検者の所属コードに関連付けて医師名、技師名などが記憶される。
【0033】
本実施の形態のデータ管理装置2は、共有フォルダー21aに、配下の複数の心電計1の設定情報を収集して格納する。
【0034】
具体的に説明する。各心電計1には、ユーザーによって追加登録された設定値が保持されている。各心電計1は、この追加登録された設定値を例えばLANを介してデータ管理装置2に送る。この結果、データ管理装置2の共有フォルダー21aには、配下の複数の心電計1の設定情報が収集されて格納される。
【0035】
本実施の形態の心電計1は、共有フォルダー21aに格納された複数の心電計1の設定情報をデータ管理装置2から取得する。この取得は、例えばユーザーによって専用のボタンが操作されたときに行われるようにしてもよく、心電計1の起動時に行われるようにしてもよく、オーダー情報により指示された検査の設定情報を自身が保持していないと判断した場合にその設定情報のみを取得してもよい。つまり、心電計1は、必ずしもデータ管理装置2の共有フォルダー21aに格納された全ての設定情報を取得する必要はなく、必要な設定情報のみを取得するようにしてもよい。
【0036】
また、
図4の例では、心電計1は、SDカード30を挿入するためのスロットルを有し、SDカード30に自身の設定情報を記憶できるとともに、SDカード30に記憶された他の心電計1の設定情報を読み取ることができるようになっている。つまり、SDカード30を介して他の心電計1との間で設定情報を共有化できるようになっている。
【0037】
図5は、オーダー情報を受信したときの本実施の形態の心電計1の動作を示すフローチャートである。
【0038】
本実施の形態の心電計1は、ステップS21でオーダー情報を受信すると、ステップS22に移る。ステップS22において、心電計1は、オーダー情報によって指示された検査の設定情報を自身が保持しているか否か判断する。心電計1は、ステップS22で否定結果を得ると、ステップS23に移り、データ管理装置2から設定情報を読み込んで取得する。心電計1は、ステップS22で肯定結果が得られるまでのステップS22-S23-S22の処理を繰り返す。
【0039】
心電計1は、ステップS22で肯定結果が得られると、ステップS24に移る。心電計1は、ステップS24において、オーダー情報によって指定された検査が何の検査であるかを判定する。心電計1は、デフォルトの12誘導検査である判定結果を得た場合にはステップS25aに移り、追加登録した12誘導検査である判定結果を得た場合にはステップS26aに移り、データ管理装置2から取得した12誘導検査である判定結果を得た場合にはステップS27aに移る。因みに、
図5では、説明を簡単化するために、不整脈検査やリズム計測検査は示していないが、勿論、
図3に示したように不整脈検査やリズム計測検査も含めることができる。
【0040】
心電計1は、ステップS25aにおいて、検査のための設定値をデフォルトの12誘導検査に対応したものに切り替え、続くステップS25bにおいて、デフォルトの12誘導検査を実施する。同様に、心電計1は、ステップS26aにおいて、検査のための設定値を追加登録した12誘導検査に対応したものに切り替え、続くステップS26bにおいて、追加登録した12誘導検査を実施する。心電計1は、ステップS27aにおいて、検査のための設定値をデータ管理装置2から取得した12誘導検査に対応したものに切り替え、続くステップS27bにおいて、データ管理装置2から取得した12誘導検査を実施する。
【0041】
これにより、オーダー情報によって指定された12誘導検査が、デフォルトの12誘導検査又は自装置で追加登録した12誘導検査のどちらでもない場合であっても、データ管理装置2から取得した12誘導検査の設定値を用いることで、オーダー情報によって指定された12誘導検査を行うことができる可能性を高めることができる。
【0042】
つまり、N個の心電計1がそれぞれ、追加登録した12誘導検査の設定値のパターンを1個ずつ保持しており、それらが異なるものであった場合には、データ管理装置2には12誘導検査のための設定値がNパターン分格納されることになる。よって、オーダー情報によって指定された12誘導検査のパターンが、このNパターンのうちのいずれかであれば、ユーザーが新たな設定値を入力しなくても指定された12誘導検査を行うことができるようになる。
【0043】
因みに、オーダー情報によって指定された12誘導検査のパターンが、上記Nパターンのうちのいずでもない場合には、ユーザーに新たな設定値の入力を指令する表示を行うようにしてもよい。
【0044】
図6は、本実施の形態の心電計1の要部の構成例を示すブロック図である。
【0045】
本実施の形態の心電計1は、上位装置(データ管理装置2)からのオーダー情報を受信する受信部11と、データ管理装置2から設定情報を取得する設定情報取得部12と、設定情報取得部12によって取得した設定情報を用いて、オーダー情報に適合した心電波形の解析を行う解析部13と、を有する。
【0046】
以上説明したように、本実施の形態のシステムによれば、データ管理装置2が、配下の複数の心電計1の設定情報を収集して格納し、心電計1が、データ管理装置2に格納された複数の心電計1の設定情報をデータ管理装置から取得するようにしたことにより、ユーザーによる設定情報に入力に要する手間及び誤操作を抑制しつつ、オーダー情報に応じた心電図検査を適切に実行できるシステムを実現できる。
【0047】
また、本実施の形態の構成によれば、全てのオーダーに対応する全ての設定情報を心電計が保持する場合と比較して、心電計1は必要な設定情報のみデータ管理装置2から取得することもできるので、不必要な設定情報を保持しておく必要がない。
【0048】
<3>実施の形態3
図3との対応部分に同一符号を付して示す
図7は、本実施の形態の心電計1の動作を示すフローチャートである。先ず前提として、本実施の形態の心電計1は、実施の形態2の心電計1のようにデータ管理装置2から他の複数の心電計1の設定情報を取得する構成であってもよいし、実施の形態1のようにデフォルトの設定情報と自装置で追加登録した設定情報のみを保持している構成であってもよい。
【0049】
本実施の形態の心電計1は、ステップS31でオーダー情報を受信すると、ステップS32に移る。ステップS32において、心電計1は、オーダー情報によって指定された検査が何の検査であるかを判定する。心電計1は、デフォルトの12誘導検査である判定結果を得た場合にはステップS13aに移り、デフォルト以外の12誘導検査である判定結果を得た場合にはステップS33に移り、不整脈検査である判定結果を得た場合にはステップS15aに移り、リズム計測検査である判定結果を得た場合にはステップS16aに移る。
【0050】
本実施の形態の心電計1は、ステップS33において、自身が有しているデフォルト以外の12誘導検査の設定情報の中に、指示された12誘導検査に適合する12誘導検査の設定情報が有るか否か判断する。
【0051】
本実施の形態の心電計1は、ステップS33で肯定結果を得た場合、ステップS34aに移り、検査のための設定値を指示された検査に適合した12誘導検査に対応したものに切り替え、続くステップS34bにおいて、指示された検査に適合した12誘導検査を実施する。
【0052】
これに対して、本実施の形態の心電計1は、ステップS33で否定結果を得た場合、ステップS13aに移り、検査のための設定値をデフォルトの12誘導検査に対応したものに切り替え、続くステップS13bにおいて、デフォルトの12誘導検査を実施する。
【0053】
このように、本実施の形態の心電計1においては、オーダー情報に適合する設定情報を自身が有していない場合であっても、自身が保持しているデフォルトの設定情報を用いて心電波形の解析を行う。これにより、オーダー情報に適合する設定情報を自身が有していない場合に、解析動作が停止したり、ユーザーに新たな設定情報を入力させることなく、デフォルトの設定情報を用いた標準的な解析処理を行うことができる。
【0054】
なお、心電計1は、このような処理によって解析結果を得た場合に、得られた解析結果はオーダー情報によって指定された設定情報を用いて得られたものではなく、標準的なデフォルトの設定値を用いて得られたものであることを通知するようにしてもよい。
【0055】
実際上、本実施の形態の心電計は、設定情報に基づいて心電波形の解析を行う解析部と、上位装置からのオーダー情報を受信する受信部と、当該受信部により受信したオーダー情報に適合する設定情報を自身が有しているか否かを判定する判定部と、を有する。そして、解析部は、判定部によってオーダー情報に適合する設定情報を自身が有していない判定結果が得られた場合であっても、自身が保持している標準的な設定情報を用いて心電波形の解析を行う。
【0056】
上述の実施の形態は、本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することの無い範囲で、様々な形で実施することができる。
【0057】
上述の実施の形態1、2では、本発明を複数の心電計1を有する医療システムに適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、オーダー情報に応じた設定情報を用いて計測を行う複数の生体情報検査装置を有する医療システムに広く適用可能である。例えば、心電計1に代えて超音波検査装置、肺機能検査装置などを有する医療システムにも本発明を適用できる。この場合、
図6の解析部13に代えて、設定情報取得部12によって取得した設定情報を用いて、オーダー情報に適合した生体情報の計測を行う計測部を設ければよい。
【0058】
つまり、本発明の生体情報検査装置の一つの態様は、
上位装置からのオーダー情報を受信する受信部と、
データ格納装置から設定情報を取得する設定情報取得部と、
前記設定情報取得部によって取得した前記設定情報を用いて、前記オーダー情報に適合した生体情報の計測を行う計測部と、
を備えるものである。
【0059】
また、本発明の生体情報検査装置の一つの態様は、
設定情報に基づいて生体情報の計測を行う計測部と、
上位装置からのオーダー情報を受信する受信部と、
前記受信部により受信した前記オーダー情報に適合する設定情報を自身が有しているか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記計測部は、前記判定部によって前記オーダー情報に適合する設定情報を自身が有していない判定結果が得られた場合であっても、自身が保持している設定情報を用いて生体情報の計測を行うものである。
【0060】
上述の実施の形態では、データ管理装置2が複数の心電計1の設定情報を収集して格納する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要は、複数の生体情報検査装置(例えば心電計1)の設定情報を収集して格納するデータ格納装置を有すればよい。つまり、上述の実施の形態は、データ格納装置としてデータ管理装置2を用いた例である。実施の形態ようにデータ管理装置2を用いれば、別途データ格納装置を設ける必要がないので有効である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、オーダー情報に基づいて検査を実行するようになされた、医療システム及び生体情報検査装置に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 心電計
2 データ管理装置
3 上位システム
11 受信部
12 設定情報取得部
13 解析部
21 データ格納部
21a 共有フォルダー
21b 被検者データベース