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  • 特許-ガラス繊維巻取り用ボビン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】ガラス繊維巻取り用ボビン
(51)【国際特許分類】
   B65H 75/18 20060101AFI20240130BHJP
   B65H 75/10 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B65H75/18 Z
B65H75/10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2019228521
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021095265
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000200666
【氏名又は名称】泉株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 海
【審査官】羽鳥 公一
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-086380(JP,U)
【文献】登録実用新案第3028733(JP,U)
【文献】特開2008-120539(JP,A)
【文献】実開昭53-154216(JP,U)
【文献】実開昭52-115721(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 75/00-75/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するシート材を筒状に形成した筒体からなるガラス繊維巻取り用ボビンであって、
前記筒体が合成繊維製の不織布からなり、含浸されたフッ素樹脂とアクリル樹脂を表面と内部に有する1枚のシート材で形成され、
前記筒体の継ぎ目部分に、前記シート材の接合端どうしを突き合せる突き合せ部と、内周面に重合されたフッ素樹脂・アクリル樹脂非含有の当て布と、前記当て布を前記シート材に対して縫い付ける縫着部が設けられ、
前記筒体の表面における開口側の両端部に、前記シート材を構成する繊維を加熱圧縮で寝かせた滑面が形成され
前記滑面を有する端部のうちガラス繊維の巻き付けがなされる範囲外の部分に、前記シート材の色と異なる色の色材が浸み込んだ、他のガラス繊維巻取り用ボビンと識別するための識別部が形成された
ガラス繊維巻取り用ボビン。
【請求項2】
前記縫着部が前記筒体の周方向にのびるジクザグ縫いで構成された
請求項1に記載のガラス繊維巻取り用ボビン。
【請求項3】
前記筒体の少なくとも表面に多数の微細な凹凸からなるエンボス面が形成された
請求項1または請求項2に記載のガラス繊維巻取り用ボビン。
【請求項4】
前記アクリル樹脂の含有量が前記フッ素樹脂の含有量よりも多い
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載のガラス繊維巻取り用ボビン。
【請求項5】
前記不織布が長繊維不織布である
請求項1から請求項4のうちいずれか一項に記載のガラス繊維巻取り用ボビン。
【請求項6】
前記シート材の内層に織布が備えられた
請求項1から請求項5のうちいずれか一項に記載のガラス繊維巻取り用ボビン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ガラス繊維の製造に際して、紡出されるガラス繊維の巻取りに用いられるボビンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス繊維巻取り用ボビンは、巻取機の高速回転する回転軸筒に嵌装されて使用される。ガラス繊維を巻き取ったボビンは、ガラス繊維の塊(ケーキ)ごと回転軸筒から外されて、そのまま乾燥工程に移される。ケーキの内側にあるボビンは乾燥後に抜き取られて、前述のようにして繰り返し使用される。
【0003】
このようなガラス繊維巻取り用ボビンは、古くから紙製であった。これはガラス繊維の巻束を外す際にボビンを径方向内側に押しつぶせるようにするためである。
【0004】
しかし、紙製のガラス繊維巻取り用ボビンの表面には撥水加工がなされているものの、撥水性が持続しにくく、ボビンに異物が付着することを長期にわたって防止することはできなかった。また、ボビンの開口側の端面は撥水加工が効いていないので、この端面から水分が吸収されてしまう。つまり、繰り返しの使用に伴って汚れが付着するうえに、必要な剛性が得られなくなってしまい、紙製ボビンの耐久性は良くなかった。現実には、紙製ボビンは通常2~3回使用して廃棄されていた。
【0005】
紙製のほかには、下記特許文献1に開示されているようにポリアミド系やポリエステル系の不織布からなるものが提案されている。耐久性の良いボビンは複数枚の不織布を重ね合わせて超音波溶着加工して製造される。
【0006】
このような不織布製ボビンは、必要な剛性が得られて耐久性が高く、何度も使用できるのでよい。また、紙製ボビンと異なり、巻き取ったガラス繊維(ケーキ)が紙の中の接着剤やその他の含有物の溶出で汚染されたり損傷したりすることがない。
【0007】
しかしながら、複数枚の不織布を重ね合わせて溶着により結合する必要があるので、不織布製ボビンは紙製のものと比較して製造コストが高くなってしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】登録実用新案第3031953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで、この発明は、紙製ボビンと不織布製ボビンの双方の利点が得られるようにすることを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そのための手段は、可撓性を有するシート材を筒状に形成した筒体からなるガラス繊維巻取り用ボビンであって、前記筒体が合成繊維製の不織布からなり、含浸されたフッ素樹脂とアクリル樹脂を表面と内部に有する1枚のシート材で形成され、前記筒体の継ぎ目部分に、前記シート材の接合端どうしを突き合せる突き合せ部と、内周面に重合されたフッ素樹脂・アクリル樹脂非含有の当て布と、前記当て布を前記シート材に対して縫い付ける縫着部が設けられ、前記筒体の表面における開口側の両端部に、前記シート材を構成する繊維を加熱圧縮で寝かせた滑面が形成され、前記滑面を有する端部のうちガラス繊維の巻き付けがなされる範囲外の部分に、前記シート材の色と異なる色の色材が浸み込んだ、他のガラス繊維巻取り用ボビンと識別するための識別部が形成されたガラス繊維巻取り用ボビンである。
【0011】
この構成では、筒体を構成するシート材のフッ素樹脂が防汚性を発揮する。この防汚性は、フッ素樹脂がシート材の表面だけではなく内部にまで存在するので、持続性がある。また筒体を構成する合成繊維製の不織布は、主にその性状とフッ素樹脂を適用する際の添加樹脂とによってガラス繊維巻取り用ボビンに必要な剛性を持たせ得る。
【0012】
筒体の表面における両端部に形成された滑面は、不織布を構成する繊維が毛羽立っていない面であり、不織布を構成する繊維が寝て安定しており、全体として滑らかな面である。このため、繊維が毛羽立った状態とは異なり、高速回転を受けて繊維に遠心力が作用しても、繊維が立ち上がって脱落に至るようなことが抑えられる。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、合成繊維製の不織布とこれに一体のフッ素樹脂を備えたので、長期にわたる防汚性、必要な剛性、及び滑らかさ・非毛羽立ち性を得ることができ、製造コストを抑えながらも耐久性の良いガラス繊維巻取り用ボビンを得られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ガラス繊維巻取り用ボビンの斜視図。
図2】シート材の構造を示す断面図。
図3】シート材の継ぎ合わせ部分の構造を示す平面図と正面図。
図4】ガラス繊維巻取り用ボビンの滑面を有する部分の側面を拡大して示す写真。
図5】識別部を備えたガラス繊維巻取り用ボビンの斜視図。
図6】ガラス繊維巻取り用ボビンのエンボス面を示す断面図。
図7】使用状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
この発明を実施するための一形態を、以下図面を用いて説明する。
【0016】
図1にガラス繊維巻取り用ボビン11(以下、「ボビン」という)の斜視図を示す。ボビン11は、可撓性を有するシート材12を筒状に形成した筒体13で構成されている。
【0017】
筒体13は、四角形のシート材12の相反する位置の2辺同士を結合して形成される。
【0018】
図2は、シート材12の断面構造を示しており、シート材12は、合成繊維製の不織布21を用いて形成されており、シート材12の表面と内部に、含浸された樹脂部22を有している。
【0019】
シート材12を構成する不織布21は、例えばポリエステルなどの適宜の合成繊維製のスパンボンド不織布であり、なかでも長繊維不織布であるとよい。剛性を得られるうえに、摩耗や裁断によって糸屑が出ないからである。シート材12の厚さと剛性は、所望に応じて適宜設定される。必要であれば、不織布21の内層に織布(図示せず)を備えることもできる。
【0020】
樹脂部22は、防汚性を持たせるためのフッ素樹脂と、シート材12を構成する繊維に対してフッ素樹脂を付着させる補助となる添加樹脂を有している。添加樹脂には適宜のものを使用できるが、例えばアクリル樹脂を使用するのが好ましい。フッ素樹脂との相溶性が良いうえに、筒体13に剛性を付与するのに好適だからである。
【0021】
具体例をあげると、シート材12の不織布21には、前述のポリエステル製の長繊維不織布として、東レ株式会社の「アクスター」(登録商標)からなるものが好適に用いられる。また、樹脂部22の形成は、アクリル樹脂と水とフッ素樹脂を混合した液体にディッピングして行う。ディッピングによるので、繊維が複雑に絡み合っている不織布21の内部にも樹脂部22は確実に形成される。
【0022】
含浸させる液体の組成は、撥水性と剛性と製造コストを考慮して設定され、シート材12の厚さや密度等の諸条件にもよるが、例えばアクリル樹脂50%、水45%、フッ素樹脂5%などとするとよい。
【0023】
製造に際しては、シート材12となる材料の原シート(図示せず)に対してアクリル樹脂とフッ素樹脂の含浸処理をしたのち、原シートを必要な大きさに裁断し、裁断して得たシート材12を筒状に形成すると効率が良い。シート材12は、長方形であるほか、平行四辺形であってもよい。
【0024】
シート材12を筒状にするには適宜の手段を利用できるが、好ましくはシート材12の相反する位置の2辺同士の縫着により接合する。具体的には、図3の(a)に示したように、シート材12の相反する位置の2辺である接合端12aを互いに突き合わせて、当て布31を介して縫着して接合する。
【0025】
当て布31は、筒体13の内周面に相当する位置に備えられる。当て布31における筒体13の軸方向に対応する長さは、筒体13の軸方向の長さと同一に設定し、これと直交する方向の長さは、必要な結合強度を得られる適宜の長さに設定されている。
【0026】
縫着は、当て布31を有する部分に行うが、結合強度を高めるためには、図3の(b)に示したように、筒体13の周方向にのびる一連のジクザグ縫いの縫着部32を形成するのが好ましい。縫い糸は筒体13の表面に露出するものの、広い面積を占有することはないので、縫い糸に防汚性を持たせる必要はない。
【0027】
当て布31には、適宜のシートを使用できるが、強度が高いためスパンボンド不織布が好適に用いられる。この当て布31には防汚性を持たせる必要はないので、樹脂の含浸は不要である。
【0028】
また、図1に示したように、筒体13の表面における開口側の両端部には滑面14が形成されている。
【0029】
滑面14は、全体として滑らかな面であり、シート材12を構成する不織布21の繊維が毛羽立っていない状態である面である。不織布を構成する繊維は押し付けられた状態になって寝ており、この状態が保持されている。
【0030】
このような滑面14は、不織布の繊維を押さえつける平坦化加工により形成される。平坦化加工は、シート材12を加熱しながらシート材12の厚み方向に圧力をかけて行う。図4に滑面14とそうでない部分との写真を示す。
【0031】
図4の写真における右側の部分が平坦化加工を行った部分である。この加工を行った部分は、未処理部分である左側の部分と比べて、繊維が無秩序に浮き上がった状態ではなく、厚みが薄くなって、表面がほぼ平らで滑らかになっていることがわかる。
【0032】
このような構成のボビン11は、必要に応じて、他のボビン11と識別するための識別部15が形成される。この例の識別部15は周囲との色の違いで表現する着色部15aで構成した例を示している。
【0033】
着色部15aは、図5に示したように、筒体13における開口側の端部に設けられる。ボビン11を構成するシート材12は前述のようにフッ素樹脂を含む樹脂部22が表面に形成されており、表面に色材を塗布しても着色できない。このため着色部15aは、筒体13を構成するシート材12の内部に色材を浸み込ませて形成する。
【0034】
前述のようにシート材12の樹脂部22はディッピングで形成するので、樹脂部22は不織布21を構成する繊維に沿って含浸されて、内部には空間を有する。このような空間に色材を浸み込ませる。
【0035】
つまり着色部15aは、筒体13の開口側の端部であってガラス繊維の巻取りがなされる範囲外の部分を色材に浸けて、毛細管現象を利用して形成される。
【0036】
色材は、シート材12に対して浸み込む際に、縫着部32の縫い糸と当て布31に対しても浸み込む。当て布31と縫い糸はフッ素樹脂を含んでいないので、色材がシート材12に対してよりも良好に浸み込んで、周囲と異なる色をあらわす。
【0037】
なお、滑面14を示した図4の写真中、右端の色が異なる部分が、前述した着色部15aである。
【0038】
さらにボビン11は、必要に応じて、図6に示したように筒体13の表面にエンボス面16を形成することもできる。エンボス面16は、図6の(a)に示したように筒体13の表面のみに、または図6の(b)に示したように表面と裏面に形成され、適宜形状の微細な凹凸で構成されている。エンボス面16を形成することにより、不織布を構成する繊維は押圧されて、前述した滑面14と同様に毛羽立ちのない滑らかな表面になる。エンボス面16はより滑らかな鏡面エンボス加工で形成してもよい。
【0039】
エンボス面16の形成部位は、前述の滑面14を含む筒体13の表面全体であるが、部分的に形成してもよい。
【0040】
以上のように構成されたボビン11の使用の仕方はこれまでと同じである。図7に示したように巻き取られたガラス繊維の塊(ケーキ51)を乾燥したあと、ボビン11の一部を径方向内側に変形させて(図7の仮想線参照)、ボビン11をケーキ51から抜き取る。
【0041】
ボビン11をケーキ51から抜くためのボビン11の変形は周方向のどの部に行ってもよいが、例えば図7に仮想線で示したように当て布31を有する部分に行うとよい。これは、軸方向に沿って延びるシート材12の接合端12aが変形を容易にするとともに、重ね合わされた当て布31が復元を補助するので、変形と復元の両立がはかれるからである。
【0042】
ボビン11は表面にフッ素樹脂を有し非粘着性・防汚性を有しており、ボビン11の表面に異物が付着することを抑制できる。一方、ケーキ51についても、ボビン11の上記特性によって、異物による汚染や損傷がない状態が得られる。
【0043】
そのうえフッ素樹脂を有する樹脂部22は、ボビン11の表面だけではなく内部にも存在するので、上述の機能は摩擦を受けても劣化せず、耐久性がある。
【0044】
また、径方向で圧縮する変形を受けたボビン11は、その可撓性と剛性によって元の円筒形状に戻る。この形状の復元性は、主に長繊維不織布を有する筒体13と筒体13を構成するシート材12の樹脂部22のアクリル樹脂によってもたらされる。
【0045】
しかも、当て布31と縫着部32で構成されたシート材12の継ぎ合わせ部分の強度は高い。
【0046】
さらに、筒体13の表面における開口側の両端部に滑面14が形成されているので、ボビン11の防汚機能を高めることができる。
【0047】
つまり、シート材12を構成する不織布21の繊維が立った状態であると、繰り返しの使用によって巻き付けるガラス繊維中のエポキシ樹脂や酢酸ビニルが染み出して不織布の繊維に付着することがある。この場合に、ボビン11の高速回転に伴う遠心力によって不織布の繊維が樹脂と共に引っ張られて千切れて、巻き付けたガラス繊維の束に付着して、ガラス繊維の塊が汚染されることになる。
【0048】
しかし、滑面14を有する場合には、不織布の繊維が押さえつけられた状態で安定しているので、繊維が毛羽立った状態とは異なり、高速回転を受けて繊維に遠心力が作用しても、繊維が立ち上がって脱落に至るようなことは避けられる。このため、滑面14の滑らかさ・非毛羽立ち性によって、防汚機能が向上する。
【0049】
このような作用は、前述したエンボス面16を形成した場合も得られる。つまり、エンボス面16の滑らかな面とその微細な凹凸によって巻き取るガラス繊維等との接触面積が小さくなり、巻き取るガラス繊維や異物との密着が抑えられる。
【0050】
このため、繰り返しての使用に耐える耐久性を有したボビン11が得られ、紙製のボビンを使用する場合のように頻繁に廃棄する必要がない。また、合成繊維製の不織布21と樹脂部22によって必要な可撓性と剛性を得ているので、コストを抑えることもできる。
【0051】
また、樹脂部22はフッ素樹脂と共にアクリル樹脂を有するので、前述のように必要な剛性を付与できるとともに、フッ素樹脂の使用量の低減も可能である。
【0052】
筒体13の周方向におけるシート材12の接合端12a同士は互いに突き合わされているので、ボビン11におけるケーキが形成される面に段差がなく、内周面に段差がないケーキが得られる。そのうえ複雑な加工が不要であるので、筒体13の製造が容易である。
【0053】
しかも、筒体13の内周面に備えられた当て布31は、ボビン11の表裏を識別する機能も果たす。このため、間違った使用を防止できる。
【0054】
当て布31をシート材12に対して縫い付ける縫着部32は、周方向にのびるジクザグ縫いで構成されるので、周方向における縫い目の数が多く取れ、荷重を良好に分散できるので、前述のように高い結合強度が得られる。
【0055】
筒体13における開口側の端部に形成された識別部15は着色部15aで構成されているので、付与するための作業が容易で、しかも前述のように樹脂部22を有したシート材12の構造を利用して容易に形成できる。また着色部15aはシート材12の端部のほかに、縫着部32の縫い糸と当て布31にも得られる。しかも、これらの部分に現れる着色部15aの色は鮮明であるので、識別しやすい。
【0056】
以上の構成はこの発明を実施するための一形態であって、この発明は前述の構成のみに限定されるものではなく、その他の構成を採用することができる。
【0057】
例えば樹脂部22を形成する樹脂には、前述したフッ素樹脂とアクリル樹脂に加えて他の樹脂を付加してもよい。
【0058】
必要であれば、当て布31と縫着部32の縫い糸に対してフッ素樹脂を含侵させて防汚処理することも可能である。
【符号の説明】
【0059】
11…ガラス繊維巻取り用ボビン
12…シート材
12a…接合端
13…筒体
14…滑面
15…識別部
16…エンボス面
21…不織布
22…樹脂部
31…当て布
32…縫着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7