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特許7428517電気機械のためのスプリットステータ本体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】電気機械のためのスプリットステータ本体
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/14 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
H02K1/14 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019553860
(86)(22)【出願日】2018-03-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-04-23
(86)【国際出願番号】 FR2018050766
(87)【国際公開番号】W WO2018178576
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-03-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】1752821
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(31)【優先権主張番号】1757839
(32)【優先日】2017-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】501377391
【氏名又は名称】ムービング マグネット テクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー,ガエル
(72)【発明者】
【氏名】トヌリエ,ジル
(72)【発明者】
【氏名】マーシャル,ピエール
【合議体】
【審判長】柿崎 拓
【審判官】長馬 望
【審判官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-195489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機械のためのステータであって、
前記ステータは、径方向に延在する複数のティース(12~17)を有しており、前記ティース(12~17)は、前記ティース(12~17)に対してラジアルな外側環状ヨーク(1)によって支持されており、前記ティース(12~17)の少なくとも一部はコイルを支持しており、
前記外側環状ヨーク(1)は、部分的に円筒形状を有する溝(2~7)を有しており、前記溝(2~7)は、前記ティース(12~17)に対して開口しており、
前記ティース(12~17)の少なくとも一部において、各前記ティース(12~17)は、前記ティース(12~17)の前記外側環状ヨーク(1)側の端部に、部分的に円筒形状を有する隆起部(35)を有しており、
前記ティース(12~17)に接続しており、かつ、前記ティース(12~17)に対してラジアルな少なくとも1つの内側管状クラウン(11)を含み、前記内側管状クラウン(11)は、非磁性材料または磁気的に飽和した材料によって構成されており、
前記隆起部が接触点によって前記溝内に保持されることにより、前記ティース(12~17)の少なくとも一部が、前記環状ヨーク(1)に対して回転自由度および/または並進自由度を有する相対動作を行うことを特徴とする、ステータ。
【請求項2】
前記ティース(12~17)の少なくとも一部は、前記環状ヨーク(1)に対して唯一の回転自由度を有する相対動作を行い、前記回転の軸は、前記機械の回転の軸に平行であることを特徴とする、請求項1に記載の、電気機械のためのステータ。
【請求項3】
前記ティース(12~17)の少なくとも一部は、前記環状ヨーク(1)に対して、径方向または軸方向において唯一の並進自由度を有する相対動作を行うことを特徴とする、請求項1に記載の、電気機械のためのステータ。
【請求項4】
前記ティース(12~17)の少なくとも一部は、前記環状ヨーク(1)に対して第1回転自由度および第2並進自由度を有する相対動作を行うことを特徴とする、請求項1に記載の、電気機械のためのステータ。
【請求項5】
前記接触点は、少なくとも2つの線を形成することを特徴とする、請求項1に記載の、電気機械のためのステータ。
【請求項6】
前記接触点は、少なくとも1つの接触面を形成することを特徴とする、請求項1に記載の、電気機械のためのステータ。
【請求項7】
前記内側管状クラウン(11)は、前記ヨークの高さに沿って不連続であり、複数の可飽和峡部(120)を形成することを特徴とする、請求項1に記載の、電気機械のためのステータ。
【請求項8】
前記内側管状クラウン(11)は、非周期的な回転形状を有することを特徴とする、請求項1に記載の、電気機械のためのステータ。
【請求項9】
補完的な前記隆起部(35)の形状は、2つの開口部(42)をもたらし、前記開口部(42)において、前記溝(2~7)と、前記ティースの側面とが、10°より小さい角度を有するエアギャップを形成することを特徴とする、請求項1に記載の、電気機械のためのステータ。
【請求項10】
6つのティースを有することを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の、電気機械のためのステータ。
【請求項11】
前記隆起部(35)は、前記ティース(12~17)と一体化した一体型形状であることを特徴とする、請求項1に記載の、電気機械のためのステータ。
【請求項12】
前記隆起部(35)は、前記ティース(12~17)と前記外側環状ヨーク(1)との間に径方向に配置される、少なくとも1つのスリーブ(34)によって完成することを特徴とする、請求項1に記載の、電気機械のためのステータ。
【請求項13】
機械的減衰特性を有する材料から作成される追加フィルムが、前記スリーブ(34)と前記ヨーク(1)との間に挿入されることを特徴とする、請求項12に記載の、電気機械のためのステータ。
【請求項14】
前記溝(2)は、前記ティース(12)の位置に対して径方向に後退し、前記ティース(12)は、前記溝(2)の内側を径方向に摺動することを特徴とする、請求項3および8に記載の、電気機械のためのステータ。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野〕
本発明は、特に高速、典型的には10,000rpmを超えるブラシレス回転電気機械の分野に関し、より詳細には、このような回転電気機械によって引き起こされる騒音および振動の低減に関する。
【0002】
騒音公害を引き起こす電磁機械の振動は、通常の使用を許容できないことがあり、信頼性の低下を招く。振動源を低減するために、通常、以下のような要因に基づいて、措置がとられる:
-電気的不均衡、
-機械的不均衡:ロータ、カップリングまたは被駆動機器、
-機械的効果:遊び、摩擦、軸受、
-外部効果:ベース、被駆動機器、不整合、
-共振、臨界速度、臨界接触。
【0003】
〔最新技術〕
William R. Finley Mark M. Hodowanec Warren G. Holterによる論文「An Analytical Approach to Solving Motor Vibration Problems」IEEE Paper No. PCIC-99-20は、様々な振動源を提示するものであり、最新技術として知られている。
【0004】
また、永久磁石ロータモータに関する米国特許出願US2013057105、より具体的には、永久磁石ロータを組み込んだモータにおける騒音およびコギングトルクを低減するための方法およびシステムも知られている。ロータとステータとの間の磁気相互作用から生じるトルクは、巻線内の電流から、または単に永久磁石とステータとの相互作用から生じる望ましくないねじれリップルを含むことがある。当該リップルは、非動力モータ内に存在し、コギングトルクとして知られている。さらに、ロータとステータとの間に径方向の力が存在し、これが迷惑な騒音を引き起こすことがある。さらに、モータシャフトにおけるティースパルスおよびトルクパルスは、他の何らかの被駆動機器に伝達され得る。この先行技術文献で提案されている解決策は、複数のスロットおよびティースを備えるオープンスロットステータコアに関する。前記オープンスロットステータコアは、ロータコア内部に強磁性材料を有しており、1つ以上の前記磁石の流れを前記強磁性材料に近いステータティースに集中させ、方向付けるように構成されている。
【0005】
欧州特許EP2182218は遠心ポンプを開示しており、その目的は、ステータ遊びのない安定した構造を確保することにより、振動、騒音または共振が生じないようにすることである。
【0006】
〔従来技術の欠点〕
従来技術の解決策では、電気機械の固有振動数に対応して特定の速度で発生する振動ピークを正確に処理することができない。
【0007】
〔本発明による解決策〕
本発明の目的は、ステータティースの結合部分(articulation)が、ヨークに対して1つまたは2つの、回転自由度(degree of rotational freedom)または並進自由度(degree of translational freedom)を有することを可能にすることにより、前記ステータによって放出される騒音の生成および空間伝播を低減することである。
【0008】
より詳細には、本発明は、電気機械用ステータに関する。当該電気機械用ステータは、径方向に延在する複数のティースを有する。前記ティースは、前記ティースに対してラジアルな(radial to said teeth)外側環状ヨークによって支持される。前記ティースの少なくとも一部はコイル状である。前記電気機械用ステータは、前記ティースの少なくとも一部が、前記環状ヨークに対して少なくとも1つの回転自由度および/または並進自由度を有することを特徴とする。
【0009】
第1の代替解決策において、前記ティースの少なくとも一部は、前記環状ヨークに対して唯一の回転自由度を有し、その回転軸は、前記機械の回転軸に平行である。
【0010】
第2の代替解決策において、前記ティースの少なくとも一部は、前記環状ヨークに対して軸方向に唯一の並進自由度を有する。
【0011】
第3の代替解決策において、前記ティースの少なくとも一部は、前記環状ヨークに対して径方向に唯一の並進自由度を有する。
【0012】
第4の代替解決策において、前記ティースの少なくとも一部は、前記環状ヨークに対して、第1回転自由度および第2並進自由度を有する。
【0013】
好ましくは、前記ステータは、前記ティースに対してラジアルな少なくとも1つの内側管状クラウンを有している。前記ステータは、飽和非磁性材料(saturated non-magnetic material)または飽和磁性材料(saturated magnetic material)で作られる。前記ステータは、前記ティースに接続する。
【0014】
代替的に、前記内側管状クラウンは、前記ヨークの高さに沿って不連続であり、複数の可飽和峡部(saturable isthmuses)を形成している。
【0015】
好ましくは、前記内側管状クラウンは、軸対称の回転形状(revolution geometry)を有している。しかしながら、非周期的な回転形状を有する内側管状クラウンを製造することが可能である。
【0016】
有利には、前記外側環状ヨークは、前記ティースに対して開口する円筒形状の溝を有する。前記ティースは、前記外側環状ヨーク側の端部に、前記溝の円筒形状と相補的な、部分的に円筒形状の隆起部を有する。
【0017】
好ましくは、前記溝の前記円筒形状は、半円形の断面形状であり、その曲率半径は、前記ティースの前記隆起部の前記円筒形状の曲率半径よりも大きい。
【0018】
好ましくは、前述の相補的な形状が2つの開口領域をもたらす。当該開口領域において、前記溝と、前記ティースの側面とが、10°未満の角度を有するエアギャップを形成する。
【0019】
前記ステータは、複数のティースを有することができ、本出願において、代表的に6つのティースが示されている。
【0020】
一実施形態では、前記隆起部は、前記ティースと一体化した一体型形状である。
【0021】
あるいは、前記隆起部は、前記ティースと前記外側環状ヨークとの間に径方向に配置される、少なくとも1つのスリーブによって完成する。
【0022】
一実施形態では、機械的減衰特性を有する材料で作られる追加フィルムが、前記スリーブと前記ヨークとの間に挿入される。
【0023】
前記ティースおよび前記ヨークは、前記ティースの中央部径領域(median radius)に垂直な接平面(tangential plane)において、軸方向に延在する摺動接触領域により、直接的にかまたは接続部品を用いて調節される。この接触領域は、摺動線もしくは摺動面、または一連の摺動点を構成する。当該摺動線もしくは摺動面、または一連の摺動点は、回転自由度および/または並進自由度を維持する。
【0024】
〔本発明の非限定的な実施例の詳細な説明〕
本発明は、添付の図面を参照しながら、非限定的で例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むことにより、最も良く理解されるであろう。
【0025】
図1aおよび図1bは、それぞれ電源コイルを備えている本発明に係るステータの正面図および電源コイルを備えていない本発明に係るステータの正面図を示している。
【0026】
図2a、図2bおよび図2cは、角度開口部(angular openings)を備えた溝の、第1の実施形態の代替解決策に従う、一対のステータ図を示している。これらの各図について、左側はコイルを備えていないステータ正面図であり、右側はティースとステータクラウンとの間の接合部の拡大図である。
【0027】
図3a、図3bおよび図3cは、ティースとヨークとの間に機械的減衰特性を有する材料を使用する、第2の実施形態の図であり、それぞれ正面図(図3a)および斜視図(図3bおよび図3c)である。
【0028】
図4は、前記管状接続クラウンが、非周期的形状を有する代替実施形態の図を示している。
【0029】
図5は、本発明に記載の原理を用いた機械の騒音発振性能の改善のグラフである。
【0030】
図6は、本発明に係るステータの斜視図であり、分解図で示している。
【0031】
図7は、本発明に係るステータの正面図であり、代替実施形態を示している。
【0032】
図8は、一実施形態に係る2つのステータ図である。当該実施形態は、ステータティースの並進自由度を可能にしている。
【0033】
図9は、本発明によって許容される自由度を示す2つの図である。図9の左側は並進自由度を示しており、右側は並進自由度を示している。
【0034】
図10は、本発明に係るステータの2つの図であり、ティース付きアセンブリのために2つの自由度(回転自由度および並進自由度)を組み合わせることを可能にする、特定の様式を示している。
【0035】
図11は、本発明に係るティース付きアセンブリの特定の実施形態についての、異なる視点からの2つの図を示している。
【0036】
図12は、ティースの回転の振幅を示す、断面図である。
【0037】
図13a、図13b、および図13cは、ティースの回転の異なるモーメントを示している。
【0038】
図14は、代替実施形態に係る、断面図を示している。
【0039】
図15は、別の代替実施形態に係る断面図を示している。
【0040】
〔第1の実施形態の詳細な説明〕
図1aは、好ましい態様での、本発明に係るコイル式ステータ(coiled stator)の例示的な実施形態の正面図を示す。図1bは、コイルがなく、異なるヨークを備えている図である。
【0041】
前記ステータは、ヨーク1を備えている。管状の形状を有するヨーク1は、強磁性材料で作られており、その内壁に、中央軸に平行に延在する溝2~7を有している。孔30は、本発明において重要ではない。孔30は、この図において、孔30によってこのステータがアプリケーションに取り付けられ得る手段を現実的に表すためにのみ使用される。
【0042】
これらの溝2~7の断面は半円形であり、ティース12~17の端部の旋回埋め込みを可能にする。径方向に延在するティース12~17は、通常、巻線銅ワイヤまたはアルミニウムブレード(aluminum blade)で作られる電気コイル24~29で取り囲まれている。
【0043】
これらのティース12~17は、強磁性材料で作られる、固体部品またはシートメタルの積層体で構成される。ティース12~17は、丸みを帯びた隆起部35の後部に延在する矩形部分と、溝2~7の部分に相補的な、丸みを帯びた部分とを有している。これにより、径中心方向(radial median orientation)に対して数十分の1°から数°、例えば±1°の振幅を有する旋回を可能にする。
【0044】
ティース12~17の反対側の端部、すなわち内側の端部は、非磁性材料または磁気的に飽和した材料で作られる、管状の接続クラウン11に接続される。このクラウン11は、前記ステータの機械的構造を補強するために使用されるが、代替的な解決策に過ぎない。前記ティースを機械的に保持するという理由において好ましいが、本発明の実施形態を限定するものではない。
【0045】
この管状接続クラウン11は、ティース2~7間の共振を回避するために、例えば、一定でない厚さの壁または剛性が変化し得る壁を有する、非対称構成を有していてもよい。これを図4に示す。
【0046】
図2a~図2cは、溝の開口部が異なる場合における、ティース12と管状ヨーク1との間の旋回接続の詳細図を示す。図2a、図2bおよび図2cの3つの例は、それぞれ1°、5°および10°の開口部を示している。当該開口部は、以下で定義される。ティース12の後方隆起部35は、約180°にわたって延在する、一定の曲率半径を有する半円筒形状を有する。当該隆起部35は、ティース12の曲率半径と相補的な一定の曲率半径を有する底部32を有する溝に、約180°にわたって係合される。この半円筒状部分は、図示される3つの例示的な場合によれば、ラジアル平面(radial plane)に対して開口角度を形成する部分42において開口している。これにより、負荷の内容および観察された振動レベルに伴い、ティース12が旋回することが可能である。
【0047】
つまり、ティース12は、回転自由度を有している。図2aに描かれており、円筒状隆起部35の中心を中心とする参照記号(R、θ、Z)を参照すると、ティース12は、溝2の底部でZ軸の周りを自由に摺動する。
【0048】
ティース12の後方隆起部35と溝2の底部との間の隙間は、典型的には0.01mmであるが、この値は限定的ではない。潤滑剤のフィルムをティース12の後方隆起部35と溝2の底部との間に設けてもよいが、当該フィルムは必須ではない。同様に、機械的減衰特性を有する粘性材料から作られるフィルムを挿入してもよい。
【0049】
図6は、2つのステータアセンブリを示している。一方は、ラジアル状(radial)環状ヨーク1であり、当該ヨーク1は、強磁性シートの集合体または中実材によって形成される。他方は、ティース付きアセンブリ100であり、当該ティース付きアセンブリ100は、管状接続クラウン11に接続される、ティース2~7によって形成される。このティース付きセット100もまた、強磁性シートの集合体または中実材によって形成される。
【0050】
〔代替実施形態〕
図3a、図3bおよび図3cは、代替の解決策を示している。当該解決策において、ティース12は、追加のスリーブ34により、溝2に係合される。溝2は、約230°の角度で閉じている。当該角度の値は限定的ではなく、溝2は、ティース12の側面に当接する縁部33を有する径方向正中面(radial median plane)の両側で終端している。ティース12とヨーク1との間の異なる形態の接触は、所望の機械的強度に応じて考慮することができる。
【0051】
ティース12の半管状隆起部または延長部35は、スリーブ34を含む。スリーブ(34)とティース底部(32)との間の空間(36)には、機械的減衰特性を有する粘性材料が挿入される。
【0052】
残留エアギャップを最小限に抑えることによって磁気性能の損失を最小限に抑えるために、このフィルムを強磁性粒子で帯電させること、またはこのフィルムを可撓性の強磁性材料から作製することが考えられ得る。
【0053】
図3bは、この実施形態を用いるステータの例示的な構造を示している。ここで、スリーブ34の数は、ティースあたり2つであり、取付け中、半管状隆起部35の両側で摺動される。したがって、前記減衰フィルムは、スリーブを配置した後に挿入され得る。第2のスリーブ34は、ピストン効果によって当該減衰フィルムを分布させるために使用される。スリーブ34を取り付けた後(図3c参照)、前記減衰フィルムは、所定位置にある。
【0054】
図5は、典型的には、回転速度を線形増加させ、本発明の特徴を有さない類似の機械(同一のサイズ、厚さおよび機械的特性)(符号A)と比較したときの、本発明に係る電気機械(符号B)の、騒音放射(デシベル)に関して得られた改善を示している。複数の孤立した速度について、複数のピークが騒音放射の悪化を示しているが、平均レベルは、作成された図全体にわたり大幅に低減している。80,000rpm(RPM)を超える速度では、5dBを超える改善が見られる。
【0055】
図7は、管状接続クラウン11を有さない別の変形例を示す。前記ステータティースを旋回する能力を有する本発明の主な目的を達成することはより困難である。しかしながら、各ティース12~17によって形成される一体的な物体により、本出願に従ってこのバージョンが想定され、提案されることが可能である。
【0056】
図8は、溝2内におけるティース12の並進自由度が、ティース12の前記位置から径方向に後退することを可能にする、一実施形態を示している。このようにして、ティース12の隆起部35は、溝2の内側を径方向に摺動する。特に、図8に描かれており、円筒状隆起部35の中心を中心とする参照記号(R、θ、Z)を参照すると、ティース12は、溝2の底部に向かい、R軸に沿って自由に摺動することができる。
【0057】
本発明によれば、図9の左図に示されるような並進自由度、もしくは図9の右図に示されるような自由度を有すること、または図10に示されるようにこれらの自由度を組み合わせることが可能である。
【0058】
後者の場合、外側環状ヨーク1は、ティース底部32と、開口部42とを有している。ティース底部32は、ティース隆起部35から径方向に後退することにより、ティース12の並進を可能にする。開口部42は、ラジアル平面と開口角度を形成することにより、ティース12の旋回を可能にする。この場合、ティース12は、開口部42とティース底部32との間の接合部において、環状ヨーク1の支持部110を使用して旋回および並進し得る。特に、図10に描かれており、円筒状隆起部35の中心を中心とする参照記号(R、θ、Z)を参照すると、ティース12は、支持部110のZ軸の周りを自由に摺動し、R軸に沿って溝2の底部に向かって並進する。
【0059】
図11は、ティース付きアセンブリ100の代替的な解決策を示している。この解決策において、内側管状クラウン11は連続しておらず、ティース付きアセンブリ100の高さ方向に沿って磁気的に飽和可能な峡部120を形成している。この解決策は、例えば、このティース付きアセンブリ100がシートのパッケージで作られる場合、異なる外形(profile)を有するシートを交互に配置することにより、可能である。この実施形態の利点は、このティース付きアセンブリの各ティース間における磁気短絡を低減する可能性を有していることである。峡部120の数は、固定されていない。
【0060】
図12は、2つの基準軸19、20によって規定される中心に対して、中央位置の両側へのティース12の回転振幅18(破線で示されている)を示す。この場合、ティース12の後方隆起部35および前記f溝の底部32は、約180°の角度で摺動面を構成する同様の旋回半径を有する。これらの半径の中心は、軸19、20の交点で示される。
【0061】
このティースの回転は、図13a、図13bおよび図13cにより、時間的に詳述される。図13aは、ティース12が時計回りに回転し、限定的ではないが、開口部42の近くに来ている様子を示している。図13bは、ティース12が反時計回りに回転し、限定的ではないが、開口部42の近くに来ている様子を示している。図13bは前記ティースが中央位置にある様子を示している。この位置では、前記ティースは、励磁(excite)されていない、またはある位置から別の位置に移動していない。
【0062】
図14は、ティース12の後方隆起部35が溝2と同様の半径を有しているが、ティースが当該溝と接触しておらず、ティース12とヨーク1との間にエアギャップ21が生成されている代替実施形態を示している。この実施形態では、ヨーク1とティース12との間の機械的接触は、管状クラウン11および、1つのティースとヨーク1との接触接続、またはより多くの他のティースとヨーク1との接触接続により、達成される。
【0063】
図15は、ティース12の中央軸20の両側に2つの最小摺動面を有するために、ティース12の後方隆起部35が一定でない半径を有している、代替実施形態を示す。この実施形態は、摺動面を最小限に抑え、これにより、摩擦および機械的損失を最小限に抑える。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1a】電源コイルを備えている、本発明に係るステータの正面図を示している。
図1b】電源コイルを備えていない、本発明によるステータの正面図を示している。
図2a】角度開口部を備えた溝の、第1の実施形態の代替解決策に従う、一対のステータ図を示している。これらの各図について、左側はコイルを備えていないステータ正面図であり、右側はティースとステータクラウンとの間の接合部の拡大図である。
図2b】角度開口部を備えた溝の、第1の実施形態の代替解決策に従う、一対のステータ図を示している。これらの各図について、左側はコイルを備えていないステータ正面図であり、右側はティースとステータクラウンとの間の接合部の拡大図である。
図2c】角度開口部を備えた溝の、第1の実施形態の代替解決策に従う、一対のステータ図を示している。これらの各図について、左側はコイルを備えていないステータ正面図であり、右側はティースとステータクラウンとの間の接合部の拡大図である。
図3a】ティースとヨークとの間に機械的減衰特性を有する材料を使用する、第2の実施形態の正面図である。
図3b】ティースとヨークとの間に機械的減衰特性を有する材料を使用する、第2の実施形態の斜視図である。
図3c】ティースとヨークとの間に機械的減衰特性を有する材料を使用する、第2の実施形態の斜視図である。
図4】前記管状接続クラウンが、非周期的形状を有する代替実施形態の図を示している。
図5】本発明に記載の原理を用いた機械の騒音発振性能の改善のグラフである。
図6】本発明に係るステータの斜視図であり、分解図で示している。
図7】本発明に係るステータの正面図であり、代替実施形態を示している。
図8】一実施形態に係る2つのステータ図である。当該実施形態は、ステータティースの並進自由度を可能にしている。
図9】本発明によって許容される自由度を示す2つの図である。図9の左側は並進自由度を示しており、右側は並進自由度を示している。
図10】本発明に係るステータの2つの図であり、ティース付きアセンブリのために2つの自由度(回転自由度および並進自由度)を組み合わせることを可能にする、特定の様式を示している。
図11】本発明に係るティース付きアセンブリの特定の実施形態についての、異なる視点からの2つの図を示している。
図12】ティースの回転の振幅を示す、断面図である。
図13a】ティースの回転の異なるモーメントを示している。
図13b】ティースの回転の異なるモーメントを示している。
図13c】ティースの回転の異なるモーメントを示している。
図14】代替実施形態に係る、断面図を示している。
図15】別の代替実施形態に係る断面図を示している。
図1a
図1b
図2a
図2b
図2c
図3a
図3b
図3c
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図13c
図14
図15