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特許7428518親局装置、子局装置、および、通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】親局装置、子局装置、および、通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 88/08 20090101AFI20240130BHJP
   H04W 28/18 20090101ALI20240130BHJP
【FI】
H04W88/08
H04W28/18 110
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020000863
(22)【出願日】2020-01-07
(65)【公開番号】P2021111825
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-10-12
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和元年度、総務省 「第5世代移動通信システムの更なる高度化に向けた研究開発」に関する委託事業、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関 裕太
【審査官】米倉 明日香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0208575(US,A1)
【文献】国際公開第2019/087395(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/164782(WO,A1)
【文献】Samsung,Consideration on the Fronthaul function split granularity,3GPP TSG-RAN WG3#93b R3-162130,2016年10月01日
【文献】CMCC,Transport requirement for CU&DU functional splits options,3GPP TSG-RAN WG3#93 R3-161813,2016年08月13日
【文献】ITU-T Study Group 15,LS/r Initiation of work to support IMT-2020/5G in the Transport Network (reply to 3GPP-RAN-LS8),3GPP TSG RAN #79 RP-180037,2018年03月07日
【文献】NGMN Alliance work item "RAN functional split and x-haul",,NGMN "RAN functional split and x-haul" work item,3GPP TSG RAN WG3 #99bis R3-181602,2018年04月05日
【文献】Ericsson,Analysis of the RAN1 Reply LS on LLS,3GPP TSG RAN WG3 #98 R3-174795,2017年11月18日
【文献】NTT DOCOMO, INC., NEC,TP on the required FH BW,3GPP TSG RAN WG3 #98 R3-175040,2017年12月03日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
子局装置とフロントホールによって接続された親局装置であって、
第1のサービス種別に対して、複数の基地局機能部に関する第1の機能分割構成を有する第1の基地局信号処理部と、
第2のサービス種別に対して、前記複数の基地局機能部に関する第2の機能分割構成を有する第2の基地局信号処理部と、
前記第1の機能分割構成に応じて前記第1の基地局信号処理部の前記フロントホールの伝送方式を制御し、前記第2の機能分割構成に応じて前記第2の基地局信号処理部の前記フロントホールの伝送方式を制御する制御部と、
を備え、
前記制御部は、前記第1の機能分割構成が上位物理レイヤを含み、前記第2の機能分割構成が上位物理レイヤを含まない場合に、前記子局装置へのフロントホール伝送における前記第1の基地局信号処理部の伝送方式に対して、前記第2の基地局信号処理部の伝送方式よりも冗長度の低いフロントホール伝送を適用する制御を行う、
親局装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記フロントホールの伝送品質を示す情報に基づいて、前記フロントホールの伝送方式と前記子局装置による無線伝送方式とを決定する、
請求項1に記載の親局装置。
【請求項3】
前記フロントホールの伝送品質を示す情報は、前記フロントホールを伝送した、前記親局装置と前記子局装置との間で既知の信号の品質測定の結果に基づく、
請求項2に記載の親局装置。
【請求項4】
前記既知の信号は、前記子局装置から前記フロントホールを介して前記親局装置へ送信され、前記親局装置に、前記既知の信号の品質を測定する測定部が設けられる、
請求項3に記載の親局装置。
【請求項5】
前記既知の信号は、前記親局装置から前記フロントホールを介して前記子局装置へ送信され、前記フロントホールの伝送品質を示す情報は、前記既知の信号の品質を前記子局装置が測定した結果のフィードバック情報である、
請求項3に記載の親局装置。
【請求項6】
前記フロントホールの伝送品質を示す情報は、前記フロントホールを伝送したデータの誤り判定結果に基づく、
請求項2に記載の親局装置。
【請求項7】
前記制御部は、
指定のターゲット品質に関する情報に基づいて、前記フロントホールの伝送方式と前記子局装置による無線伝送方式とを決定する、
請求項1に記載の親局装置。
【請求項8】
親局装置とフロントホールによって接続された子局装置であって、
第1のサービス種別に対して、複数の基地局機能部に関する第1の機能分割構成を有する第1の基地局信号処理部と、
第2のサービス種別に対して、前記複数の基地局機能部に関する第2の機能分割構成を有する第2の基地局信号処理部と、
前記第1の機能分割構成に応じて前記第1の基地局信号処理部の前記フロントホールの伝送方式を制御し、前記第2の機能分割構成に応じて前記第2の基地局信号処理部の前記フロントホールの伝送方式を制御する制御部と、
を備え、
前記第1の機能分割構成が上位物理レイヤを含まず、前記第2の機能分割構成が上位物理レイヤを含む場合に、前記親局装置からのフロントホール伝送における前記第1の基地局信号処理部の伝送方式に対しては、前記第2の基地局信号処理部の伝送方式よりも冗長度の低いフロントホール伝送が適用される、
子局装置。
【請求項9】
前記親局装置と前記子局装置との間で既知の信号を前記親局装置へ送信する送信部を備えた、
請求項8に記載の子局装置。
【請求項10】
前記子局装置は、前記親局装置が送信した、前記親局装置と前記子局装置との間で既知の信号の、前記子局装置での品質測定結果を前記親局装置へフィードバックする、
請求項8に記載の子局装置。
【請求項11】
子局装置とフロントホールによって接続され、
第1のサービス種別に対して、複数の基地局機能部に関する第1の機能分割構成を有する第1の基地局信号処理部と、第2のサービス種別に対して、前記複数の基地局機能部に関する第2の機能分割構成を有する第2の基地局信号処理部と、
を備えた親局装置の通信制御方法であって、
前記フロントホールの伝送品質を示す情報を取得し、
前記第1の機能分割構成に応じて前記第1の基地局信号処理部の前記フロントホールの伝送方式を制御し、前記第2の機能分割構成に応じて前記第2の基地局信号処理部の前記フロントホールの伝送方式を制御し、
前記第1の機能分割構成が上位物理レイヤを含み、前記第2の機能分割構成が上位物理レイヤを含まない場合に、前記子局装置へのフロントホール伝送における前記第1の基地局信号処理部の伝送方式に対して、前記第2の基地局信号処理部の伝送方式よりも冗長度の低いフロントホール伝送を適用する、
通信制御方法。
【請求項12】
親局装置とフロントホールによって接続され、
第1のサービス種別に対して、複数の基地局機能部に関する第1の機能分割構成を有する第1の基地局信号処理部と、第2のサービス種別に対して、前記複数の基地局機能部に関する第2の機能分割構成を有する第2の基地局信号処理部と、
を備えた子局装置の通信制御方法であって、
前記親局装置が前記フロントホールの伝送品質を測定するための信号を送信し、
前記第1の機能分割構成に応じて前記第1の基地局信号処理部の前記フロントホールの伝送方式を制御し、前記第2の機能分割構成に応じて前記第2の基地局信号処理部の前記フロントホールの伝送方式を制御し、
前記第1の機能分割構成が上位物理レイヤを含まず、前記第2の機能分割構成が上位物理レイヤを含む場合に、前記親局装置からのフロントホール伝送における前記第1の基地局信号処理部の伝送方式に対しては、前記第2の基地局信号処理部の伝送方式よりも冗長度の低いフロントホール伝送が適用される、
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、親局装置、子局装置、および、通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、ユーザ端末(user equipment, UE)との無線通信が可能な地域を柔軟に構築するために、無線基地局を親局装置と子局装置に分割し、子局装置を親局装置と異なる位置に配置する構成を採ることが可能である。
【0003】
例えば、コアネットワークと接続された親局装置は、無線基地局のベースバンド信号処理機能を具備し、親局装置に1つ以上の子局装置が接続される。子局装置は、アナログ変換などの無線処理を行い、UEと無線通信を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-170805号公報
【文献】国際公開第2016/088820号
【文献】特開2016-111637号公報
【非特許文献】
【0005】
【文献】Common Public Radio Interface (CPRI) Interface Specification V7.0 (2015-10-09)
【文献】Common Public Radio Interface: eCPRI Interface Specification V2.0 (2019-05-10)
【文献】ITU-T G-series Recommendations - Supplement 66 (2018-10)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、既存の無線通信システム(例えば、無線基地局)においては、親局装置と子局装置との間の通信トラフィック量の低減に関して検討の余地がある。
【0007】
本開示の非限定的な実施例は、親局装置と子局装置との間の通信トラフィック量を効率的に低減できる親局装置、子局装置、および、通信制御方法の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る親局装置は、子局装置とフロントホールによって接続され、第1のサービス種別に対して、複数の基地局機能部に関する第1の機能分割構成を有する第1の基地局信号処理部と、第2のサービス種別に対して、前記複数の基地局機能部に関する第2の機能分割構成を有する第2の基地局処理部と、を備える。
【0009】
本開示の一態様に係る子局装置は、親局装置とフロントホールによって接続され、第1のサービス種別に対して、複数の基地局機能部に関する第1の機能分割構成を有する第1の基地局信号処理部と、第2のサービス種別に対して、前記複数の基地局機能部に関する第2の機能分割構成を有する第2の基地局処理部と、を備える。
【0010】
本開示の一態様に係る通信制御方法は、子局装置とフロントホールによって接続された親局装置が、前記フロントホールの伝送品質を示す情報を取得し、第1のサービス種別に対して、複数の基地局機能部に関する第1の機能分割構成を有する第1の基地局信号処理部と、第2のサービス種別に対して、前記複数の基地局機能部に関する第2の機能分割構成を有する第2の基地局処理部と、の別に、前記フロントホールの伝送品質を示す情報に基づいて、前記フロントホールの伝送方式を決定する。
【0011】
本開示の一態様に係る通信制御方法は、親局装置とフロントホールによって接続された子局装置が、前記親局装置が前記フロントホールの伝送品質を測定するための信号を送信し、第1のサービス種別に対して、複数の基地局機能部に関する第1の機能分割構成を有する第1の基地局信号処理部と、第2のサービス種別に対して、前記複数の基地局機能部に関する第2の機能分割構成を有する第2の基地局処理部と、の別に、前記フロントホールの伝送品質を示す情報に基づいて、前記フロントホールの伝送方式を決定する。
【0012】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム、または、記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラムおよび記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示の一態様によれば、親局装置と子局装置との間の通信トラフィック量を効率的に低減できる。
【0014】
本開示の一態様における更なる利点および効果は、明細書および図面から明らかにされる。かかる利点および/または効果は、いくつかの実施形態並びに明細書および図面に記載された特徴によってそれぞれ提供されるが、1つまたはそれ以上の同一の特徴を得るために必ずしも全てが提供される必要はない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施の形態1に係る無線通信システムの構成の一例を示す図
図2】実施の形態1に係る親局処理装置の構成の一例を示すブロック図
図3】実施の形態1に係るフロントホール(FH)送信器の構成の一例を示すブロック図
図4】実施の形態1に係るFH受信器の構成の一例を示すブロック図
図5】実施の形態1に係る子局処理装置の構成の一例を示すブロック図
図6】実施の形態1に係る無線通信システムの動作の一例を示すシーケンス図
図7】実施の形態2に係る親局装置に備えられた親局処理装置の構成の一例を示すブロック図
図8】実施の形態2に係る親局装置に備えられたFH送信器の構成の一例を示すブロック図
図9】実施の形態2に係る無線通信システムの動作の一例を示すシーケンス図
図10】実施の形態3に係る子局装置に備えられたFH受信器の構成の一例を示すブロック図
図11】実施の形態3に係る無線通信システムの動作の一例を示すシーケンス図
図12】実施の形態4に係る無線通信システムの構成の一例を示す図
図13】実施の形態4に係る子局装置に備えられた子局処理装置の構成の一例を示すブロック図
図14】実施の形態4に係る子局装置に備えられたFH送信器の構成の一例を示すブロック図
図15】実施の形態4に係る親局装置に備えられたFH受信器の構成の一例を示すブロック図
図16】実施の形態4に係る親局装置に備えられた親局処理装置の構成の一例を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0016】
(本開示に至った知見)
既存技術(例えば、特許文献1)において、親局装置はBBU(baseband unit)と称され、子局装置はRRH(remote radio head)と称されることがある。親局装置と子局装置との間の接続には、例えば、同軸ケーブル、UTP(unshielded twisted pair)ケーブル、STP(Shielded twisted pair)ケーブル、あるいは、光ファイバーケーブルといった、有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)が用いられる。このような親局装置と子局装置との間の接続は、「フロントホール接続」、あるいは単に「フロントホール」と称されることがある。
【0017】
フロントホール(FH)の通信方式に関する規定(例えば、非特許文献1)において、親局装置はREC(radio equipment controllor)と称され、子局装置はRE(radio equipment)と称される。
【0018】
ここで、無線通信が高速かつ大容量化するに伴い、FHの通信量(例えば、データトラフィック量)も増大する。このとき、FHの通信帯域が逼迫し得る。
【0019】
FHの帯域逼迫に対する対策の一例として、複数の基地局機能を親局装置と子局装置とに分割(又は分離)する構成を従前の構成から変更することで、FHのトラフィック量を軽減することが検討される(例えば、特許文献1)。なお、複数の基地局機能が、親局装置と子局装置とに分割される境界を「機能分割点」(functional split point)と呼ぶことがある。
【0020】
例えば、アップコンバージョン機能及び増幅機能を子局装置に具備し、アップコンバージョン機能及び増幅機能の基地局機能を親局装置に具備する機能分割構成に代えて、例えば、以下の機能分割構成が検討される。なお、「機能分割構成」は、「機能分割アーキテクチャ」と称されてもよい。
【0021】
・子局装置
バッファ
PDCP(packet data convergence protocol)
RLC(radio link control)
MAC(medium access contol)
符号化
変調
リソースマッピング
IFFT(inverse fast Fourier transform)
アップコンバージョン
【0022】
・親局装置
ベアラ終端機能
【0023】
ここで、送信に近い処理に進むほど、データのヘッダや冗長度が増加するため、データ量は大きくなる。上述のように子局装置よりも親局装置に配置する機能を増やすことで、親局装置から子局装置への通信量、すなわちFHの通信量を軽減できる。なお、非特許文献2においても同様に、親局装置と子局装置との機能分割を変更することが検討されている。
【0024】
また、制御データとユーザーデータとを分割し、それぞれのデータに対し、異なる親局装置と子局装置の機能分割を適用することも検討される(例えば、特許文献2)。制御データよりもデータ量が多い傾向のユーザーデータに対して、親局装置に、より多くの機能を配置することにより、FHの通信量を軽減できる。
【0025】
また、FH帯域の空き具合に応じて、無線通信のユーザ割り当てやリソース割り当てを変更する方法も検討される(例えば、特許文献3)。例えば、無線通信のユーザ割り当てやリソース割り当てに関するパターンを幾つか用意しておき、FH帯域に収まるパターンを適用することで、FH帯域の逼迫を回避できる。
【0026】
しかしながら、このようにFH帯域に収まるパターンを適用することはFH帯域に制限を設けることになるため、システム性能の低減に繋がり得る。また、親局装置と子局装置との機能分割構成を変更した場合、機能分割構成によってシステム性能が異なり得る。そのため、送りたいデータのサービス種別に対してシステム性能が最適化されているとは云えない場合がある。
【0027】
例えば、MAC機能は、UEからフィードバックされるチャネル品質情報(例えば、channel quality indicator, CQI)に応じて、無線伝送における伝送方式を決定、制御する。無線伝送における伝送方式には、MCS(modulation and coding scheme)の決定、別言すると、符号化率、変調多値数といった伝送パラメータの決定が含まれてよい。また、MAC機能は、例えば、UEからフィードバックされる確認応答(Ack/Nack)情報に応じて、HARQ(hybrid automatic repeat request)と呼ばれる再送制御を行う。
【0028】
このような制御を担うMAC機能が親局装置に配置された場合、例えば、親局装置に接続された異なる複数の子局装置間の協調動作が可能である。そのため、無線通信区間のSINR(signal-to-interference plus noise power ratio)を改善できる。このような協調動作による通信は、CoMP(coordinated multiple-point)通信またはアンテナ協調などと呼ばれる。
【0029】
これに対し、MAC機能が子局装置に配置された場合、例えば、HARQの再送制御がFH(例えば、光伝送区間)を介さずに実現できるため、RTT(round trip time)をFHの往復時間分だけ短縮でき、低遅延化が可能である。
【0030】
こうした機能分割構成の相違に応じたシステム性能の相違について、これまでは考慮あるいは検討されていない。そのため、無線基地局において異なる複数の機能分割構成を採る場合に、FH伝送に、機能分割構成に応じた性能又は能力の相違が生じることも考慮あるいは検討されていない。
【0031】
例えば、親局装置と子局装置との機能分割構成の相違によって、FHに流れる信号(例えば、データ)の種類(別言すると、どの基地局機能の出力が流れるか)が異なり得る。FHに流れるデータの種類が異なれば、好適あるいは最適なFH伝送の手段も異なるため、例えば、FH伝送においてデータが過剰な冗長度を有することがあり得る。
【0032】
(本開示の概要)
以上のような知見に基づき、本開示では、例えば、以下の技術について説明する。
【0033】
(1)サービス種別に応じて基地局装置(親局装置と子局装置)の機能分割構成を異ならせる。
(2)機能分割構成に応じて親局装置と子局装置との間のフロントホール伝送における伝送方式を制御する(例えば、異ならせる)。FH伝送における伝送方式の制御には、例えば、誤り訂正符号、符号化率、及び、変調方式の少なくとも1つを決定又は制御することが含まれてよい。
(3)FH伝送における伝送品質を親局装置に通知(例えば、フィードバック)する。
(4)親局装置は、無線伝送品質に関する情報と、サービス種別及びFH伝送品質に関する情報と、に基づいて、無線伝送方式を制御する。無線伝送方式の制御には、例えば、誤り訂正符号、符号化率、及び、変調方式の少なくとも1つを決定又は制御することが含まれてよい。
(5)FH伝送において、信号品質の低下を許容する(別言すると、例えば、FH伝送においてデータロスが生じ得ることを許容する)ことで信号の冗長度を低減する。FH伝送における信号の冗長度を低減することで、FH伝送のトラッフィック量を低減できる。上記(4)の無線伝送方式の制御において、FH伝送について許容した信号歪みを考慮あるいは加味してすることで、無線通信システム(以下、単に「システム」と略称することがある)としての伝送品質を担保できる。
【0034】
以下、図面を適宜参照して、実施の形態について説明する。なお、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0035】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために、提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
【0036】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。図1に例示したように、無線通信システムは、例えば、無線基地局1と、端末装置の一例であるUE2と、を備える。無線基地局1及びUE2の数は、それぞれ、2以上であってよい。
【0037】
UE2は、無線基地局1と無線により接続して通信を行う。UE2と無線基地局1との間の無線通信には、上り(uplink, UL)通信及び下り(downlink, DL)通信の少なくとも1つが含まれる。なお、以下では、無線基地局1のDLに着目した構成及び動作の一例について説明する。ULに着目した例については、実施の形態4~6(図12図16)にて後述する。
【0038】
無線基地局1は、例えば、FH13によって相互に接続された親局装置11と子局装置12とを備える。親局装置11は、例えば、BBU、CBBU(centralized baseband unit)、REC、又は、CU(central unit)と称されてもよい。子局装置12は、例えば、RRH、RE、又は、DU(distributed unit)と称されてもよい。なお、1つの親局装置は2つ以上の子局装置と接続することも可能である。また、1つの子局装置は2つ以上のUEと接続することも可能である。
【0039】
FH13には、例示的に、UTPケーブル、STPケーブル、あるいは、光ファイバーケーブルといった有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)が適用されてよい。有線インタフェースは、例えば、CPRI(common public radio interface)、eCPRI(evolved CPRI)、OBSAI(open base station architecture initiative)、RoE(radio over Ethernet)、RoF(radio over fiber)といった規格あるいは技術に準拠したインタフェースであってよい。なお、「Ethernet」は、登録商標である。
【0040】
<親局装置11>
親局装置11は、例示的に、親局処理装置20と、FH送信器30と、を備え、子局装置12は、FH受信器40と、子局処理装置50と、を備える。図2に、親局処理装置20の構成の一例を示し、図3に、FH送信器30の構成の一例を示す。また、図4に、FH受信器40の構成の一例を示し、図5に、子局処理装置50の構成の一例を示す。
【0041】
(親局処理装置20)
図2に例示したように、親局処理装置20は、サービスクラス分離部(service class separator)201、親局信号処理部202-1、202-2、多重(multiplex)部203、及び、FH品質計算(quality calculate)部204を備える。
【0042】
なお、親局信号処理部202-1及び202-2を、それぞれ、親局信号処理部202#1及び202#2と表記することもある。また、親局信号処理部202-1及び202-2を区別しない場合、親局信号処理部202と表記することがある。親局処理装置20に備えられる親局信号処理部202の数は、2に限定されず、3以上であってもよい。例えば、2以上の整数をNとして、N個の親局信号処理部202は、親局信号処理部202#j(jは、j=1~N)と表記されてよい。なお、Nは、サービス種別の数に対応すると捉えてもよい。
【0043】
サービスクラス分離部201は、例えば、上位のコアネットワーク(例えば、EPCや5GC)から送られてくる信号(例えば、ユーザーデータ)をサービス種別ごとに分割する。「EPC」は、「evolved packet core」の略記であり、5GCは、「5th generation (5G) core network」の略記である。
【0044】
5Gは、第5世代無線アクセス技術(RAT)を表し、NR(new radio)と表記されることもある。また、5GCは、NGC(next generation core network)と表記されることもある。
【0045】
図2に例示したサービスクラス分離部201の配置位置は、図2に示される位置(SDAP部2021の前段)に限られない。例えば、後述するSDAP部2021の後段やPDCP部2022の後段にサービスクラス分離部201が配置されてもよい。
【0046】
サービス種別の非限定的な一例としては、5Gの要件に挙げられる、高速大容量eMBB(enhanced mobile broadband)、超高信頼・低遅延URLLC(ultra-reliable and low latency communications)、及び、大規模マシンタイプ通信mMTC(massive machine type communication)が挙げられる。ユーザーデータは、これらのサービス種別によって分割(又は分類)されてよい。
【0047】
追加的あるいは代替的に、ユーザーデータは、データフローごとに規定されるQoS(qualit of service)パラメータによって分類されてもよい。QoSパラメータには、例えば、ARP(allocation and retention priority)、GBR(guaranteed bit rate)、MBR(maximum bit rate)、及び、5QI(5G QoS Identfier)の何れか1つ以上が含まれてよい。
【0048】
追加的あるいは代替的に、ユーザーデータは、アプリケーションの異なるサービスによって分類されてもよい。
【0049】
図2に例示したように、サービス種別#1に対応した親局信号処理部202#1は、例えば、SDAP(service data adaptation protocol)部2021、PDCP(packet data convergence protocol)部2022、RLC(radio link control)部2023、及び、MAC部2024を備える。また、親局信号処理部202#1は、例えば、符号化(encoding)部2025、スクランブリング部2026、変調(modulation)部2027、レイヤマッピング部2028、プリコーディング部2029、及び、RE(resource element)マッピング部2030を備える。
【0050】
これらの各機能部2021~2030は、図5により後述する子局信号処理部502#1における各機能部5029及び5030と共に、無線基地局1に備えられる複数の基地局機能部の非限定的な一例である。なお、符号化部2025、スクランブリング部2026、変調部2027、レイヤマッピング部2028、プリコーディング部2029、及び、REマッピング部2030は、上位物理レイヤ(High-PHY)ブロック2001を成す。
【0051】
SDAP部2021は、例えば、QoSフローと無線ベアラとのマッピングを行い、上位のコアネットワークから送られてくるパケットに、SDAPヘッダを付与してPDCP部2022へ出力する。
【0052】
PDCP部2022は、SDAP部2021の出力に対して、例えば、ユーザーデータの暗号化及びヘッダ圧縮といった処理を行い、PDCP PDU(protocol data unit)をRLC部2023へ出力する。
【0053】
RLC部2023は、PDCP部2022の出力に対して、例えば、エラー検出及びARQによる再送制御といった処理を行い、RLC PDUを出力する。
【0054】
MAC部2024は、HARQによる再送制御、スケジューリングによって通信機会を割り当てるUE2の決定および無線伝送におけるMCSの決定を行い、RLC PDUからMAC PDUを生成してトランスポートブロックを出力する。
【0055】
ここで、MCSの決定には、UE2からフィードバックされるCQIが用いられてよい。本開示において、MAC部2024は、例えば、CQIと、サービス種別ごとに要求される通信品質と、FH品質計算部204から入力されるFH伝送品質情報と、に基づいて、MCSを決定する。
【0056】
FH品質計算部(又はFH品質決定部)204は、後述するように測定されるFH伝送品質に関する情報を基に、FH伝送品質情報を決定する。FH伝送品質情報は、FH伝送区間の信号品質指標の一例である。非限定的な一例として、信号対雑音電力(SN)比がFH伝送品質情報に用いられてよい。
【0057】
FH伝送品質情報は、例えば、少なくとも1つの親局信号処理部202#1におけるMAC部2024に入力される。追加的に、FH伝送品質情報は、親局信号処理部202#1とは異なる他の親局信号処理部202#j(例えば、j=2)におけるMAC部2024にも入力されてよい。
【0058】
MAC部2024は、例えば、UE2からフィードバックされるCQIが示す無線品質情報と、FH伝送品質情報と、を基に、FH伝搬路と無線伝搬路とを統合した伝搬路の伝送品質を計算する。そして、MAC部2024は、例えば、統合した伝搬路をデータが伝搬した場合の伝送品質がサービス種別に応じた要求品質を満たすようにMCSを決定する。
【0059】
非限定的な一例として、MAC部2024は、無線伝送区間のSN比と、FH伝送区間のSN比と、を合成する。MAC部2024は、合成したSN比を基に、無線伝送区間とFH伝送区間と含む統合伝搬路に適したMCSを決定する。
【0060】
ここで、FH伝送における信号品質の低下を信号断が生じない範囲で許容することで、FH伝送における信号の冗長度を低減でき、FH伝送のトラフィック量を低減できる。例えば、FH伝送のトラフィック量低減のために、FH伝送の伝送パラメータに信号品質が低下するパラメータが選ばれることを許容する。
【0061】
この場合に、上述したMCSの決定(別言すると、無線伝送方式の制御)において、FH伝送について許容した信号品質低下を補償可能なMCSを選ぶことで、無線通信システム(以下、単に「システム」と略称することがある)としての伝送品質を担保できる。
【0062】
そして、MAC部2024は、例えば、決定したMCSの情報や、無線伝送に使用するリソース(例えば、リソースエレメント(RE)の情報といった制御情報を、後段のHigh-PHYブロック2001に出力する。
【0063】
High-PHYブロック2001において、符号化部2025は、例えば、MAC部2024から入力されたトランスポートブロックにCRC(cyclic redundancy check)符号を付加してコードブロックに分割する。また、符号化部2025は、例えば、コードブロックの符号化およびMCSに対応するレートマッチングを行う。
【0064】
スクランブリング部2026は、例えば、符号化部2025の出力に対し、スクランブル処理を行う。
【0065】
変調部2027は、例えば、スクランブリング部2026の出力を、QPSK(quadrature phase shift keying)、16QAM(quadrature amplitude modulation)、64QAM、256QAMといった変調方式によって変調する。
【0066】
レイヤマッピング部2028は、例えば、変調部2027の出力を複数のレイヤにマッピングする。
【0067】
プリコーディング部2029は、例えば、レイヤマッピング部2028の出力にプリコーディングを施す。
【0068】
REマッピング部2030は、例えば、プリコーディング部2029の出力を所定の無線リソース(例えば、RE)にマッピングする。1REは、例えば、1サブキャリア及び1シンボルの無線リソース領域である。1つ又は複数のREによってリソースブロック(RB)が構成されてよい。1つ又は複数のRBは、物理リソースブロック(PRB:physical RB)、サブキャリアグループ(SCG:sub-carrier group)、REグループ(REG:resource element group)、PRBペア、RBペアといった他の用語と可換である。
【0069】
なお、レイヤマッピング部2028及びプリコーディング部2029は、MIMO(multiple-input and multiple-output)伝送のために用いられるため、MIMO伝送が適用されない場合には省略されてよい。また、UEがユーザーデータ信号を復調および復号するための制御情報が、ユーザーデータ信号と多重され無線基地局1からUE2へ送信される。(図示省略)。例えば、ユーザーデータ信号はPDSCH(physical downlink shared channel)にて送信され、制御情報はPDCCH(physical downlink control channel)にて送信される。PDSCHとPDCCHとが時分割多重されて異なるOFDMシンボルによって無線伝送される。
【0070】
次に、親局信号処理部202#2の構成の一例について説明する。図2に例示したように、親局信号処理部202#2は、SDAP部2021及びPDCP部2022を備える。SDAP部2021及びPDCP部2022の機能は、それぞれ、親局信号処理部202#1におけるものと同一若しくは同様でよい。
【0071】
別言すると、親局信号処理部202#2には、RLC部2023、MAC部2024、符号化部2025、スクランブリング部2026、変調部2027、レイヤマッピング部2028、プリコーディング部2029、及び、REマッピング部2030は配置されない。これらの各機能部2023~2030に相当する機能部は、図5により後述するように、子局処理装置50(子局信号処理部502#2)に配置される。
【0072】
そのため、親局信号処理部202#2は、親局信号処理部202#1とは機能分割構成が異なる。別言すると、親局信号処理部202#1と親局信号処理部202#2とで基地局機能に関する機能分割点が互いに異なる、あるいは、親局信号処理部202#1と親局信号処理部202#2とで複数の機能部のマッピングが異なる。
【0073】
次に、図2において、多重部203は、異なる複数の親局信号処理部202#1及び202#2の出力を多重する。多重信号は、図3に例示した構成を有するFH送信器30に出力される。多重部203での多重方式には、非限定的な一例として、時分割多重(TDM)、周波数分割多重(FDM)、符号分割多重(CDM)、あるいは、波長分割多重(WDM)が適用されてよい。
【0074】
多重部203において、親局信号処理部202#jの出力信号を識別する情報(例えば、信号ID#j)が付与されてよい。例えば、親局信号処理部202#jの出力信号のそれぞれに信号IDが付与されてもよい。また、例えば、TDMの場合にはタイムスロット情報、FDMの場合には周波数の情報、WDMの場合には波長の情報がそれぞれ信号IDの役割を果たしてもよい。
【0075】
また、多重部203は、省略されてもよい。例えば、異なる複数の親局信号処理部202#1及び#2の出力が、物理的に分けてFH送信器30へ入力されてもよい。
【0076】
また、親局信号処理部202#1と親局信号処理部202#2とは、物理的に異なる装置によって実現されてもよいし、例えば、仮想化技術を用いて同一装置内に論理的に分割されて実現されてもよい。論理的に分割された構成は、「スライス」と称されてよい。
【0077】
また、親局信号処理部202#jの数は、既述のとおり2以上であってよく、また、論理的な分割の場合には、動的あるいは適応的に変更されてもよい。例えば、無線基地局1によってサポートするサービス種別が変化するような場合、その変化に応じてスライスの数を増減することで、サービス種別に適した構成を実現できる。
【0078】
例えば、無線基地局1において、eMBB向けのスライス、URLLC向けのスライス、あるいは、mMTC向けのスライスのような、サポートするサービス種別に適したスライスを必要に応じて追加又は削除できる。したがって、サービス種別に適した基地局構成をフレキシブルに実現できる。
【0079】
あるいは、サービス種別に応じて、親局信号処理部202#1の処理の一部を省略することにより、親局信号処理部202#2の構成が実現されてもよい。別言すると、複数の親局信号処理部202は、1つの親局信号処理部202を成す複数の機能部による処理の一部が省略あるいはスキップされることによって実現されてもよい。この点は、後述する他の実施の形態2~4においても同様にあてはまる。
【0080】
図2により上述した構成の親局装置11は、MAC部2024の有無に着目した場合、親局信号処理部202#1にMAC部2024が含まれる構成であり、親局信号処理部202#2にはMAC部2024が含まれない構成である。
【0081】
MAC部2024が含まれる親局信号処理部202#1には、親局信号処理部202#2よりも冗長度の小さいFH伝送を適用(又は設定)できる。これに対し、MAC部2024が含まれない親局信号処理部202#2には、より冗長度の大きい、別言すると、よりロバストなFH伝送を適用(又は設定)できる。
【0082】
このように、実施の形態1では、親局信号処理部202#1及び202#2の機能分割構成の相違に応じた適切なFH伝送を親局信号処理部202#1及び202#2に個別的に適用できる。別言すると、実施の形態1によれば、サービス種別#jに応じたFH伝送の適正化又は最適化が可能である。したがって、例えば、FH13を伝送される信号に対して過剰な冗長度が親局信号処理部202#1及び202#2の何れかにおいて適用されることを回避できる。
【0083】
(FH送信器30)
次に、図3を参照して、FH送信器30の構成の一例について説明する。図3に例示したように、FH送信器30は、例えば、分離(demultiplex)部301、サービス種別に対応したFH送信処理部302-1、302-2、多重部(multiplex)303、送信部(Tx)304、受信部(Rx)305、測定(measure)部306、及び、制御部307を備える。
【0084】
なお、FH送信処理部302-1及び302-2を、それぞれ、FH送信処理部302#1及び302#2と表記することもある。また、FH送信処理部302-1及び302-2を区別しない場合、FH送信処理部302と表記することがある。FH送信器30に備えられるFH送信処理部302の数は、2に限定されず、3以上であってもよい。例えば、サービス種別の数Nに対応したN個のFH送信処理部302は、FH送信処理部302#j(j=1~N)と表記されてよい。
【0085】
FH送信処理部302#1とFH送信処理部302#2とは、物理的に異なる装置によって実現されてもよいし、例えば、同一装置内でソフトウェアあるいはハードウェア回路で分割されて実現されてもよい。
【0086】
分離部301は、例えば、FH13から受信した信号を異なる親局信号処理部202#jの別に分離する。FH13から受信した信号が多重信号の場合、分離部301は、例えば、既述の信号IDを基に、親局信号処理部202#jごとの受信信号を識別して分離する。
【0087】
受信部305は、例えば、子局装置12(例えば、図4にて後述するFH受信器40)から送信されてFH13を伝搬した既知信号(例えば、トレーニング信号)を受信して測定部306に出力する。
【0088】
測定部306は、受信部305から入力された既知信号の受信品質を測定し、その品質測定結果を例えば制御部307に出力する。
【0089】
制御部307は、測定部306による品質測定結果を基に、親局信号処理部202#jのそれぞれに対応するFH伝送パラメータ(例えば、符号種別、符号化率、変調多値数の何れか1つ以上)#jを決定し、FH送信処理部302#1及び302#2に出力する。
【0090】
なお、制御部307は、例えば、子局装置12宛の制御情報を符号化及び変調して多重部303へ出力してよい。制御情報には、例えば、決定したFH伝送パラメータが含められてよい。追加的あるいは代替的に、測定部306による品質測定結果が制御情報に含められてもよい。
【0091】
FH送信処理部302#1及び302#2のそれぞれは、例えば、符号化(encoding)部3021と、変調(modulation)部3022と、を備える。
【0092】
符号化部3021は、例えば、分離部301において分離、出力された、親局信号処理部202#jに対応する信号に対し、制御部307からのFH伝送パラメータ#jに従って符号化を行う。
【0093】
変調部3022は、例えば、符号化部3021の出力を、制御部307からのFH伝送パラメータ#jに従った変調方式(例えば、QPSK、16QAM、64QAM、256QAMの何れか1つ)によって変調する。
【0094】
多重部303は、例えば、異なる複数のFH送信処理部302#jの信号と、制御部307からの制御情報と、を多重して送信部304に出力する。多重部303での多重方式には、非限定的な一例として、TDM、FDM、CDM、及び、WDMの何れかが適用されてよい。
【0095】
多重部303において、親局信号処理部202#jの出力信号を識別する情報(例えば、信号ID#j)が付与されてよい。例えば、親局信号処理部202#jの出力信号のそれぞれに信号IDが付与されてもよい。また、例えば、TDMの場合にはタイムスロットの情報、FDMの場合には周波数の情報、CDMの場合はコード情報、WDMの場合には波長の情報がそれぞれ信号IDの役割を果たしてもよい。
【0096】
送信部304は、多重部303の出力に対し、例えば、UTPケーブル、STPケーブル、あるいは、光ファイバーケーブルといった有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)に応じた送信処理を施してFH13への送信を行う。
【0097】
なお、FH送信器30の測定部306に、親局処理装置20のFH品質計算部204(図2参照)の機能が包含されてもよい。その場合、親局処理装置20に、FH品質計算部204は備えられなくてよい。
【0098】
また、親局処理装置20のFH品質計算部204と、FH送信器30の制御部307とは、1つの制御部として一体的に構成されてもよい。例えば、FH品質計算部204及び制御部307の一方の機能が、FH品質計算部204及び制御部307の他方に包含されてもよい。また、FH送信器30の測定部306は、制御部307に包含されてもよい。
【0099】
別言すると、FH品質計算部204、測定部306、及び、制御部307の機能は、親局装置11に備えられていればよい。
【0100】
また、FH送信器30は、親局処理装置20と物理的に同じ装置20内において実現されてもよい。この場合、例えば、多重部203及び分離部301は不要でよい。例えば、サービス種別に対応した異なる親局信号処理部202#jの信号が1つの装置20内において並列に処理されてよい。
【0101】
<子局装置12>
次に、子局装置12の構成の一例について説明する。
【0102】
(FH受信器40)
図4は、FH受信器40の構成の一例を示すブロック図である。
図4に例示したように、FH受信器40は、例えば、受信部401、分離部402、親局信号処理部202#1及び#2(別言すると、複数のサービス種別#1及び#2)に対応したFH受信処理部403-1、403-2、多重部404、制御部405、トレーニングデータ部406、及び、送信部407を備える。
【0103】
なお、FH受信処理部403-1及び403-2を、それぞれ、FH受信処理部403#1及び403#2と表記することもある。また、FH受信処理部403-1及び403-2を区別しない場合、FH受信処理部403と表記することがある。FH受信器40に備えられるFH受信処理部403の数は、2に限定されず、3以上であってもよい。例えば、サービス種別の数Nに対応したN個のFH受信処理部403は、FH受信処理部403#j(jは、j=1~N)と表記されてよい。
【0104】
FH受信処理部403#1とFH受信処理部403#2とは、物理的に異なる装置によって実現されてもよいし、例えば、同一装置内でソフトウェアあるいはハードウェア回路で分割されて実現されてもよい。
【0105】
受信部401は、例えば、FH13から受信される信号に対し、UTPケーブル、STPケーブル、光ファイバーケーブルといった有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)に応じた受信処理を施して分離部402へ出力する。
【0106】
分離部402は、受信部401の出力から、例えば、既述の信号IDを基に、異なる複数の親局信号処理部202#jに対応する信号を分離してFH受信処理部403#jへ出力する。また、分離部402は、例えば、受信部401の出力から、FH送信器30において多重された制御情報を分離して制御部405へ出力する。
【0107】
制御部405は、分離部402から入力された制御情報(例えば、親局信号処理部202#jのそれぞれに対応したFH伝送パラメータ#j)を復号して、FH受信処理部403#jへ出力する。
【0108】
FH受信処理部403#jのそれぞれは、復調(demodulation)部4031と、復号(decode)部4032と、を備える。
【0109】
復調部4031は、例えば、制御部405からの制御情報(例えば、FH伝送パラメータ#j)に従って、分離部402の出力を復調する。
【0110】
復号部4032は、例えば、制御部405からの制御情報(例えば、FH伝送パラメータ#j)に従って、復調部4031の出力を復号する。
【0111】
多重部404は、例えば、異なる複数のFH受信処理部403#jの出力を多重して子局処理装置50へ出力する。多重部404において多重される信号は、子局処理装置50における異なる複数の子局信号処理部(例えば図5にて後述する子局信号処理部502#1及び502#2)宛の信号に相当する、と捉えてもよい。
【0112】
なお、多重部404での多重方式には、非限定的な一例として、TDM、FDM、CDM、あるいはWDMが適用されてよい。多重部404において、FH受信処理部403#jの出力信号を識別する情報(例えば、信号ID#j)が付与されてよい。例えば、FH受信処理部403#jの出力信号のそれぞれに信号IDが付与されてもよい。また、例えば、TDMの場合にはタイムスロット情報、FDMの場合には周波数の情報、WDMの場合には波長の情報がそれぞれ信号IDの役割を果たしてもよい。
【0113】
また、多重部404は、省略されてもよい。例えば、異なる複数のFH受信処理部403#1及び403#2の出力が、物理的に分けて子局処理装置50へ入力されてもよい。
【0114】
トレーニングデータ部406は、例えば、FH13の伝送品質を測定するための既知信号を生成して送信部407に出力する。「既知信号」とは、例えば、送信器と受信器との間で予め所定の系列を指定して使用するトレーニング信号(又はデータ)である。トレーニング信号は、パイロット信号、参照信号といった他の呼称に読み替えられてもよい。
【0115】
送信部407は、例えば、トレーニング信号を、親局装置11(例えば、FH送信器30)に接続されたFH13へ送信する。FH13へ送信されたトレーニング信号は、例えば、親局装置11において、FH送信器30の受信部305(図3参照)によって受信される。
【0116】
なお、既知信号を用いたFH13の伝送品質測定は、FH送信器30からFH受信器40に既知信号を送信し、FH受信器40においてFH13の伝送品質を測定し、その測定結果をFH送信器30にフィードバックすることで行ってもよい。
【0117】
なお、制御部405、トレーニングデータ部406、及び、送信部407の一部又は全部は、FH受信器40の内部に備えられなくてもよく、子局装置12の内部に備えられていればよい。
【0118】
(子局処理装置50)
次に、図5を参照して、子局処理装置50の構成の一例について説明する。
図5に例示したように、子局処理装置50は、例えば、分離部501、子局信号処理部502-1、502-2、D/A(digital to analog)変換部503、及び、RF(radio frequency)部504を備える。
【0119】
なお、子局信号処理部502-1及び502-2を、それぞれ、子局信号処理部502#1及び502#2と表記することもある。また、子局信号処理部502-1及び502-2を区別しない場合、子局信号処理部502と表記することがある。子局処理装置50に備えられる子局信号処理部502の数は、2に限定されず、3以上であってもよい。例えば、サービス種別の数Nに対応したN個の子局信号処理部502は、子局信号処理部502#j(j=1~N)と表記されてよい。
【0120】
子局信号処理部502#1と子局信号処理部502#2とは、物理的に異なる装置によって実現されてもよいし、例えば、論理的なスライスに分割されて実現されてもよい。
【0121】
分離部501は、例えば、既述の信号IDを基に、異なる複数の子局信号処理部502#j宛の信号を分離し、分離した信号を対応する子局信号処理部502#jへ出力する。
【0122】
子局信号処理部502-1及び502-2は、図2にて説明したとおり親局信号処理部202-1及び202-2が互いに異なる機能分割構成を有する(別言すると、機能分割点が異なる)ことに伴って、互いに異なる機能分割構成を有する。
【0123】
例えば、子局信号処理部502-1は、サービス種別#1に対応した親局信号処理部202-1での機能分割点によって、ビームフォーミング部5029と、IFFT+CP(cyclic prefix)部5030と、を備える。
【0124】
これに対し、子局信号処理部502-2は、サービス種別#2に対応した親局信号処理部202-2での機能分割点によって、例えば、RLC部5021、MAC部5022、符号化部5023、スクランブリング部5024、変調部5025、レイヤマッピング部5026、プリコーディング部5027、REマッピング部5028、ビームフォーミング部5029、及び、IFFT+CP部5030を備える。
【0125】
子局信号処理部502-1において、ビームフォーミング部5029及びIFFT+CP部5030は、例えば、下位物理レイヤ(Low-PHY)ブロック5002を成す。
【0126】
子局信号処理部502-1のビームフォーミング部5029は、例えば、分離部501の出力に対し、ビーム形成処理を行う。
【0127】
子局信号処理部502-1のIFFT+CP部5030は、例えば、ビームフォーミング部5029の出力に対し、IFFTとCPの挿入とを行う。
【0128】
一方、子局信号処理部502-2において、各機能部5021~5028は、例えば、High-PHYブロック5001を成す。また、子局信号処理部502-2において、ビームフォーミング部5029及びIFFT+CP部5030は、例えば、Low-PHYブロック5002を成す。
【0129】
子局信号処理部502-2の各機能部5021~5028は、それぞれ、親局信号処理部202-1における各機能部2023~2030(図2参照)と同様と捉えてよい。
【0130】
子局信号処理部502-2のビームフォーミング部5029は、例えば、REマッピング部5028の出力に対し、ビーム形成処理を行う。
【0131】
子局信号処理部502-2のIFFT+CP部5030は、例えば、子局信号処理部502-2のビームフォーミング部5029の出力に対し、IFFTとCPの挿入とを行う。
【0132】
D/A変換部503は、例えば、子局信号処理部502#1及び502#2の各出力(2つのIFFT+CP部5030の出力)をデジタル信号からアナログ信号へ変換する。
【0133】
RF部504は、例えば、D/A変換部503の出力に対し、無線周波数へのアップコンバート処理や、増幅処理といった送信RF処理を施す。送信RF処理によって生成された無線信号は、例えば、RF部504に備えられたアンテナ(図示省略)を介して空間へ放射される(例えば、UE2宛に送信される)。
【0134】
なお、Low-PHYブロック5002は、子局信号処理部502#1及び502#2に個別でもよいし共用でもよい。共用の場合、異なる複数の子局信号処理部502の処理は、1つのLow-PHYブロック5002において並列的に実行されてもよい。
【0135】
また、図4にて既述のFH受信器40は、子局処理装置50と物理的に同じ装置50内において実現されてもよい。この場合、例えば、多重部404及び分離部501は備えられなくてよい。例えば、サービス種別#jに対応した異なる子局信号処理部502#jの信号が1つの装置内において並列に処理されてよい。
【0136】
また、子局信号処理部502#1と子局信号処理部502#2とは、物理的に異なる装置によって実現されてもよいし、例えば、仮想化技術を用いて同一装置内に論理的に分割されて実現されてもよい。
【0137】
また、子局信号処理部502#jの数は、2以上であってよく、また、論理的な分割の場合には、動的あるいは適応的に変更されてもよい。例えば、既述のように、無線基地局1によってサポートするサービス種別が変化する場合に、親局信号処理部202#jに相当するスライス#jの増減に応じて子局信号処理部502#jに相当するスライス#jの数も増減されてよい。
【0138】
また、図5に例示したD/A変換部503及びRF部504の一方又は双方は、異なる複数の子局信号処理部502#jに対して個別に設けられてもよい。
【0139】
また、親局処理装置20、及び、子局処理装置50の少なくとも1つは、論理的なスライスによって構成されてもよい。また、親局装置11及び子局装置12の少なくとも1つが、論理的なスライスによって構成されてもよい。
【0140】
また、サービス種別に応じて、子局信号処理部502#1の処理の一部を省略することにより、子局信号処理部502#2の構成が実現されてもよい。別言すると、複数の子局信号処理部502は、1つの子局信号処理部502を成す複数の機能部による処理の一部が省略あるいはスキップされることによって実現されてもよい。この点は、後述する他の実施の形態2~4においても同様にあてはまる。
【0141】
(動作例)
次に、図6のシーケンス図を参照して、実施の形態1に係る無線通信システムの動作の一例について説明する。
【0142】
図6に例示したように、無線基地局1において、子局装置12におけるFH受信器40の送信部407(図4参照)からFH送信器30に向けて既知信号が送信される(S601)。既知信号は、例えば、無線通信システムの起動時や、起動後の所定タイミングにて送信されてよい。所定タイミングは、例えば、FH帯域の逼迫を低減することを鑑みて、FH13のトラフィック量が相対的に低い時間帯(例えば、早朝や深夜など)に設定されてよい。
【0143】
既知信号は、例えば、FH送信器30の受信部305(図3参照)において受信され、測定部306に入力される。測定部306は、入力された既知信号の受信品質を測定する(S602)。
【0144】
その測定結果を示す情報(測定情報)は、例えば、FH送信器30の制御部307(図3参照)と、親局処理装置20のFH品質計算部204(図2参照)とに、入力される(S603a及びS603b)。
【0145】
親局処理装置20において、FH品質計算部204は、入力された測定情報を基にFH伝送品質情報を決定し、例えば、親局信号処理部202#1のMAC部2024に出力する。
【0146】
MAC部2024は、例えば、UEからフィードバックされるCQI(図示省略)と、サービス種別ごとに要求される通信品質と、FH伝送品質情報と、に基づいて、無線伝搬路とFH伝搬路とを統合した伝搬路の伝送品質を計算、決定する(S604)。
【0147】
そして、MAC部2024は、例えば、無線伝送区間のMCSを、統合した伝搬路をデータが伝搬した場合の信号品質がサービス種別に応じた要求品質を満たすMCSに決定する。
【0148】
非限定的な一例として、MAC部2024は、無線伝送区間のSN比と、FH伝送区間のSN比と、を合成し、合成したSN比を基に、無線伝送区間とFH伝送区間と含む統合伝搬路に適したMCSを決定する(S606)。
【0149】
一方、FH送信器30において、測定情報が入力された制御部307は、測定情報を基に、FH伝送の伝送方式、別言すると、FH伝送に用いるFH伝送パラメータ(例えば、符号種別、符号化率、変調多値数の何れか1つ以上)を決定する(S605)。なお、S605及びS606の決定処理は、互いに同じタイミングで実行されてもよいし、互いに異なる(又は、ずれた)タイミングで実行されてもよい。
【0150】
親局信号処理部202#1は、S606において決定したMCSに従って、サービス種別#1のDL信号(例えば、SDAP部2021及びPDCP部2022による処理後のユーザーデータ)を符号化及び変調してFH送信器30へ出力する(S607)。これに対し、親局信号処理部202#2は、サービス種別#2に対応するDL信号(例えば、SDAP部2021及びPDCP部2022による処理後のユーザーデータ)をFH送信器30へ出力する(S607)。
【0151】
FH送信器30では、サービス種別#1及び#2のそれぞれに対応するユーザーデータ(以下「DLデータ」とも称する)が、対応するFH送信処理部302#1及び302#2において、S605で決定したFH伝送パラメータに従って、符号化及び変調されてFH13へ送信される(S608)。
【0152】
親局装置11においてFH13へ送信されたDLデータは、子局装置12におけるFH受信器40の受信部401にて受信され、FH受信処理部403において、サービス種別#1及び#2の別に復調及び復号される。
【0153】
FH受信器40において復調及び復号されたDLデータは、子局処理装置50へ送信される(S609)。子局処理装置50では、FH受信器40から受信したDLデータを、子局信号処理部502#1及び502#2において、サービス種別#1及び#2の別に処理する。
【0154】
例えば、子局信号処理部502#1は、サービス種別#1に対応する受信DLデータに、ビームフォーミング処理及びIFFT(+CP)処理を施す。各処理が施されたDLデータは、無線信号にてUE2宛にアンテナから送信される(S610)。
【0155】
一方、子局信号処理部502#2は、サービス種別#2に対応するDLデータに、RLC、MAC、符号化、スクランブリング、変調、レイヤマッピング、プリコーディング、REマッピング、ビームフォーミング、及び、IFFT(+CP)の各処理を施す。各処理を施されたDLデータは、無線信号にてUE2宛にアンテナから送信される(S610)。
【0156】
実施の形態1によれば、親局装置11と子局装置12との機能分割構成がサービス種別に応じて異なるので、効率的にFH13のトラフィック量を低減できる。また、親局装置11と子局装置12との機能分割構成の相違に応じて、FH伝送の伝送方式を使い分けることができる(別言すると、サービス種別ごとにFH伝送方式を適正化できる)。したがって、例えば、FH伝送におけるデータの冗長度を低減でき、FH13のトラフィック量を低減できる。
【0157】
また、FH伝送のトラフィック量制御のために、FH伝送パラメータに冗長度の低い(信号品質が低下する)パラメータが選ばれることを許容した場合に、許容した信号品質低下を無線伝送方式(例えば、MCSのような無線伝送のパラメータ)の制御によって補償できる。したがって、無線通信システムとしての伝送品質を担保できる。
【0158】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。図7は、実施の形態2に係る親局装置11に備えられた親局処理装置20の構成の一例を示すブロック図である。図8は、実施の形態2に係る親局装置11に備えられたFH送信器30の構成の一例を示すブロック図である。
【0159】
なお、実施の形態2に係る子局装置12におけるFH受信器40及び子局処理装置50の構成の一例は、それぞれ、実施の形態1において図4及び図5に例示した構成と同一若しくは同様でよい。
【0160】
図7に例示した親局処理装置20は、図2に例示した親局処理装置20に比して、FH品質計算部204に代えてターゲット品質設定(target quality set)部205を備える点が相違する。
【0161】
また、図8に例示したFH送信器30は、図3に例示したFH送信器30に比して、ターゲット品質設定部205の出力(例えば、ターゲット品質に関する設定情報(又は、要求情報))が、制御部307に入力される点が相違する。ターゲット品質に関する設定情報(又は、要求情報)は、便宜的に「ターゲット品質情報」と略称されてよい。
【0162】
以下、上述の各相違点(あるいは各差分)に着目して実施の形態2の説明を行う。
【0163】
図7に例示したターゲット品質設定部205は、例えば、FH13に対するターゲット品質情報を生成する。ターゲット品質情報は、例えば、サービス種別ごとの品質要求に応じてFH13に設定又は要求する品質を示す情報として予め指定されてよく、またはコアネットワーク11から通知されてもよい。
い。
【0164】
ターゲット品質情報は、例えば、図7に例示した少なくとも1つの親局信号処理部202#1におけるMAC部2024と、図8に例示したFH送信器30と、に送信される。FH送信器30へ送信されるターゲット品質情報は、多重部203にて、FH送信器30へ送信されるDLデータと多重されてもよいし、FH送信器30へ送信されるDLデータとは多重されなくてもよい。DLデータとは多重されない場合、ターゲット品質情報は、多重部203をバイパスしてFH送信器30へ送信されてよい。
【0165】
ターゲット品質情報が入力されたMAC部2024は、例えば、CQIとターゲット品質情報とを基に、サービス種別#1のDLデータに適用するMCSを決定する。
【0166】
一方、図8に例示したFH送信器30では、ターゲット品質情報が制御部307にて受信される。ターゲット品質情報がDLデータと多重されている場合、分離部301においてターゲット品質情報が分離されて制御部307に入力される。一方、ターゲット品質情報がDLデータと多重されていない場合、ターゲット品質情報は、分離部301を介さずに制御部307に入力される。
【0167】
図8に例示した制御部307は、例えば、ターゲット品質情報と、測定部306によるFH13の伝送品質に関する測定情報と、を基に、親局信号処理部202#jのそれぞれに対応するFH伝送パラメータ(例えば、符号種別、符号化率、変調多値数の何れか1つ以上)#jを決定する。決定したFH伝送パラメータ#jは、対応するFH送信処理部302#1及び302#2に出力される。
【0168】
なお、制御部307は、例えば、子局装置12宛の制御情報を符号化及び変調して多重部303へ出力してよい。制御情報には、例えば、決定したFH伝送パラメータが含められてよい。追加的あるいは代替的に、ターゲット品質情報と、測定部306による品質測定結果と、の少なくとも1つが、制御情報に含められてもよい。
【0169】
FH送信処理部302(#j)は、例えば、ターゲット品質情報に基づいて決定したFH伝送パラメータ#jに従って、DLデータの符号化及び変調をそれぞれ符号化部3021及び変調部3022において行う。これにより、サービス種別#jの別に、FH伝送に適した符号化及び変調がDLデータに対して施される。
【0170】
別言すると、ターゲット品質情報に基づいて、サービス種別#jごとのFH伝送品質がFH送信器30において制御される。そのため、ターゲット品質情報は、FH13の伝送品質を制御する制御情報の一例と捉えてもよい。
【0171】
(動作例)
次に、図9のシーケンス図を参照して、実施の形態2に係る無線通信システムの動作の一例について説明する。
【0172】
図9に例示したように、親局装置11の親局処理装置20において、ターゲット品質設定部205においてターゲット品質情報が決定される(S901)。
【0173】
決定したターゲット品質情報は、図7に例示したMAC部2024と、図8に例示したFH送信器30における制御部307と、に送信される(S902a及びS902b)。
【0174】
また、FH送信器30は、子局装置12におけるFH受信器40からFH13へ送信されてFH13を伝搬した既知信号を受信する(S903)。FH送信器30は、FH13を伝搬した既知信号の受信品質を測定し、その測定結果を制御部307に出力する(S904a)。
【0175】
制御部307は、S902bにおいて受信したターゲット品質情報と、測定部306による測定結果と、を基に、親局信号処理部202#jのそれぞれに対応するFH伝送パラメータ#jを決定する(S905)。決定したFH伝送パラメータ#jは、対応するFH送信処理部302#jに入力される。
【0176】
一方、親局処理装置20では、親局信号処理部202#1のMAC部2024において、例えば、UE2からフィードバックされたCQIと、S902aで入力されたターゲット品質情報と、を基に、無線伝搬路とFH伝搬路とを統合した伝搬路の伝送品質を決定する。そして、MAC部2024は、例えば、無線伝送区間のMCSを、統合した伝搬路をデータが伝搬した場合の信号品質がサービス種別に応じた要求品質を満たすMCSに決定する(S906)。
【0177】
なお、FH送信器30における既知信号の受信タイミング(S903)及び測定タイミング(S904)は、ターゲット品質情報の受信タイミング(S902b)よりも後のタイミングでもよいし、ターゲット品質情報の受信タイミング(S902b)以前のタイミングでもよい。
【0178】
また、S905及びS906の決定処理は、互いに同じタイミングで実行されてもよいし、互いに異なる(又は、ずれた)タイミングで実行されてもよい。
【0179】
親局信号処理部202#1は、S906において決定したMCSに従って、サービス種別#1のDL信号(例えば、SDAP部2021及びPDCP部2022による処理後のユーザーデータ)を符号化及び変調してFH送信器30へ出力する(S907)。これに対し、親局信号処理部202#2は、サービス種別#2に対応するDL信号(例えば、SDAP部2021及びPDCP部2022による処理後のユーザーデータ)をFH送信器30へ出力する(S907)。
【0180】
FH送信器30では、サービス種別#1及び#2のそれぞれに対応するユーザーデータ(以下「DLデータ」とも称する)が、対応するFH送信処理部302#1及び#2において、S905で決定したFH伝送パラメータに従って、符号化及び変調されてFH13へ送信される(S908)。
【0181】
以降の子局装置12(FH受信器40及び子局処理装置50)によるDLデータの送信処理S909及びS910は、それぞれ、実施の形態1の図6にて説明した処理S609及びS610と同等でよい。
【0182】
以上のように、実施の形態2によれば、実施の形態1と同等の作用効果が得られることに加えて、実施の形態1において説明した、FH伝送品質に関する測定結果のFH送信器30から親局処理装置20に対するフィードバックを不要にできる。したがって、FH帯域の利用効率を向上できる。
【0183】
なお、実施の形態2において、FH伝送品質に関する測定結果のフィードバックが併用されてもよい。当該フィードバックの実施によって、例えば、FH伝送品質のターゲット品質からのずれや揺らぎを親局処理装置20において補償することが可能である。
【0184】
また、親局処理装置20のターゲット品質設定部205と、FH送信器30の制御部307とは、1つの制御部として一体的に構成されてもよい。例えば、ターゲット品質設定部205及び制御部307の一方の機能が、ターゲット品質設定部205及び制御部307の他方に包含されてもよい。また、FH送信器30の測定部306が、制御部307に包含されてもよい。
【0185】
別言すると、実施の形態2において、ターゲット品質設定部205、測定部306、及び、制御部307の機能は、親局装置11に備えられていればよい。
【0186】
(実施の形態3)
次に、実施の形態3について説明する。実施の形態3においては、FH伝送品質の測定に、トレーニング信号のような既知信号に代えて、例えば、DLデータのCRC結果、あるいはCRC結果に基づく確認応答(Ack/Nack)情報を用いる。
【0187】
図10は、実施の形態3に係る子局装置12に備えられたFH受信器40の構成の一例を示すブロック図である。図10に例示したFH受信器40は、図4に例示した構成に比して、トレーニングデータ部406に代えて、Ack/Nack計算(calculate)部408を備える点が相違する。
【0188】
なお、実施の形態3において、親局装置11(親局処理装置20及びFH送信器30)の構成は、実施の形態1の図2及び図3に例示した構成と同一若しくは同様でよい。また、実施の形態3において、子局装置12に備えられた子局処理装置50の構成は、実施の形態1の図5に例示した構成と同一若しくは同様でよい。
【0189】
以下、実施の形態1との相違点(あるいは差分)に着目して実施の形態3の説明を行う。
【0190】
図10に例示したAck/Nack計算部408には、子局信号処理部502#1及び502#2の復号部4032のそれぞれから肯定応答(Ack)又は否定応答(Nack)を示す情報(Ack/Nack情報)が入力される。Ack/Nack情報は、例えば、子局信号処理部502#1及び502#2の復号部4032のそれぞれにおいて、CRC結果の判定に基づいて生成される。
【0191】
Ack/Nack計算部408は、例えば、特定の時間に亘ってAck/Nack情報の統計量(例えば、Ack率及びNack率の少なくとも1つ)を計算する。計算結果であるAck/Nack統計情報は、例えば、送信部407から親局装置11のFH送信器30に送信(フィードバック)される。
【0192】
なお、Ack/Nack統計情報は、例えば、Ack率が高い(あるいはNack率が低い)ほどFH伝送品質が高いことを示し、Nack率が高い(あるいはAck率が低い)ほどFH伝送品質が低いことを示す。そのため、Ack/Nack統計情報は、FH伝送品質情報の一例と捉えられてもよい。
【0193】
親局装置11へフィードバックされたAck/Nack統計情報は、例えば図3に例示したFH送信器30の受信部305において受信される。受信部305は、受信したAck/Nack統計情報を測定部306に出力する。
【0194】
測定部306は、Ack/Nack統計情報を基に、FH13の伝送品質を判定又は決定する。なお、FH13の伝送品質の判定又は決定は、Ack/Nack計算部408において行われてもよい。この場合、Ack/Nack統計情報に代えて、FH伝送品質の判定又は決定の結果が、FH伝送品質情報の一例として、送信部407から親局装置11のFH送信器30に送信(フィードバック)されてよい。
【0195】
(動作例)
次に、図11のシーケンス図を参照して、実施の形態3に係る無線通信システムの動作の一例について説明する。
【0196】
図11に例示したように、或るタイミングにおいて、無線基地局1の親局処理装置20は、例えば、上位のコアネットワークから受信したユーザデータ(DLデータ)をFH送信器30へ送信する(S1101)。FH送信器30は、受信したDLデータを子局装置12へFH13を介して送信する(S1102)。
【0197】
子局装置12では、FH13を伝搬したDLデータがFH受信器40において受信される。FH受信器40において、DLデータは、分離部402にてサービス種別#jの別に分離されて対応する復号部4032において復号される。
【0198】
その際、復号部4032は、DLデータのCRC判定を行い(S1103)、CRC判定結果を基にAck/Nack情報を生成する。なお、復号されたDLデータは、FH受信器40から子局処理装置50へ送信され(S1104)、子局処理装置50は、受信したDLデータを無線信号によってUE2宛に送信する(S1105)。
【0199】
復号部4032において生成されたAck/Nack情報は、Ack/Nack計算部408に入力される。Ack/Nack計算部408は、入力されたAck/Nack情報の統計量を計算する(S1106)。
【0200】
なお、FH受信器40から子局処理装置50へのDLデータ送信は、Ack/Nack情報の統計量計算(S1106)以後に行われてもよい。また、Ack/Nack統計情報は、DLデータのCRC判定(S1103)とAck/Nack統計計算(S1106)とが逐次的に繰り返されることで更新されてよい。
【0201】
Ack/Nack計算部408によって得られたAck/Nack統計情報は、FH受信器40の送信部407から親局装置11へFH13を介して送信(フィードバック)される(S1107)。
【0202】
親局装置11へフィードバックされたAck/Nack統計情報は、FH送信器30の受信部305(例えば図3参照)において受信される。受信部305において受信されたAck/Nack統計情報は、測定部306に入力される。
【0203】
測定部306は、Ack/Nack統計情報を基に、FH伝送品質を判定又は決定し、その結果(FH伝送品質情報)をFH送信器30の制御部307に出力する。また、FH伝送品質情報は、測定部306から親局処理装置20に送信される(S1108)。
【0204】
制御部307では、FH伝送品質情報を基に、FH伝送の伝送方式、別言すると、FH伝送に用いる伝送パラメータ(例えば、符号種別、符号化率、変調多値数の何れか1つ以上)を決定する(S1109)。
【0205】
親局処理装置20では、親局信号処理部202#1のMAC部2024において、例えば、UE2からフィードバックされたCQIと、サービス種別ごとの要求品質と、FH伝送品質情報と、を基に、無線伝搬路とFH伝搬路とを統合した伝搬路の伝送品質を決定する。そして、MAC部2024は、例えば、無線伝送区間のMCSを、統合した伝搬路をデータが伝搬した場合の信号品質がサービス種別に応じた要求品質を満たすMCSに決定する(S1110)。
【0206】
なお、S1109及びS1110の決定処理は、互いに同じタイミングで実行されてもよいし、互いに異なる(又は、ずれた)タイミングで実行されてもよい。
【0207】
親局信号処理部202#1は、S1110において決定したMCSに従って、サービス種別#1のDL信号(例えば、SDAP部2021及びPDCP部2022による処理後のDLデータを符号化及び変調してFH送信器30へ出力する(S1111)。これに対し、親局信号処理部202#2は、サービス種別#2に対応するDL信号(例えば、SDAP部2021及びPDCP部2022による処理後のDLデータ)をFH送信器30へ出力する(S1111)。
【0208】
FH送信器30では、サービス種別#1及び#2のそれぞれに対応するDLデータが、対応するFH送信処理部302#1及び302#2において、S1109で決定したFH伝送パラメータに従って、符号化及び変調されてFH13へ送信される(S1112)。
【0209】
以降の子局装置12(FH受信器40及び子局処理装置50)によるDLデータの送信処理S1113及びS1114は、それぞれ、実施の形態1の図6にて説明した処理S609及びS610と同等でよい。
【0210】
以上のように、実施の形態3によれば、実施の形態1と同等の作用効果が得られることに加えて、実施の形態1における、FH伝送品質測定のための既知信号の送信及び受信を不要にできる。したがって、FH帯域の利用効率を向上できる。
【0211】
なお、実施の形態3において、実施の形態1における既知信号を用いたFH伝送品質測定が併用されてもよい。例えば、既知信号を用いたFH伝送品質測定を予め実施しておき、測定結果に生じ得る揺ぎを、Ack/Nack統計情報を用いて補正してもよい。また、前記Ack/Nack統計情報を親局装置に20に通知して、親局装置20は、Ack/Nack統計情報に基づき無線伝送方式を補正して更新してもよい。
【0212】
ここで、FH伝送品質測定を予め実施するとは、例えば、システム起動時といった、CRC判定(図11のS1103参照)よりも前のタイミングにおいてFH伝送品質測定が実施されることを意味してよい。
【0213】
なお、FH受信器40のAck/Nack計算部408の機能は、制御部405に包含されてもよい。また、Ack/Nack計算部408は、FH受信器40の外部に備えられてもよく、子局装置12に備えられていればよい。
【0214】
(実施の形態4)
次に、実施の形態4について説明する。実施の形態4では、実施の形態1における無線基地局1のULに着目した構成の一例について、図12図16を用いて説明する。
【0215】
図12は、実施の形態4に係る無線通信システムの構成の一例を示す図である。図1に例示した無線基地局1は、子局装置12に、子局処理装置60とFH送信器70とを備え、親局装置11に、FH受信器80と親局処理装置90とを備える。
【0216】
なお、実施の形態1~3と同様に、無線基地局1及びUE2の数は、それぞれ、2以上であってよい。また、親局装置11において、DLの親局処理装置20とULの親局処理装置90とは、物理的に異なる装置として構成されてもよいし、物理的に同じ装置内において実現されてもよい。
【0217】
同様に、DLのFH送信器30とULのFH受信器80とは、物理的に異なる装置として構成されてもよいし、物理的に同じ装置内において実現されてもよい。また、FH送信器30とFH受信器80とは、例えば、DL及びULに共用のFH送受信装置又はFH通信装置として一体化されてもよい。
【0218】
子局装置12についても、同様に、DLのFH受信器40とULのFH送信器70とは、物理的に異なる装置として構成されてもよいし、物理的に同じ装置内において実現されてもよい。また、FH受信器40とFH送信器70とは、例えば、DLとULとに共用のFH送受信装置又はFH通信装置として一体化されてもよい。
【0219】
また、DLの子局処理装置50とULの子局処理装置60とは、物理的に異なる装置として構成されてもよいし、物理的に同じ装置内において実現されてもよい。
【0220】
また、親局装置11において、DLの親局処理装置20、及び、ULの親局処理装置90の少なくとも1つは、論理的なスライスによって構成されてもよい。
【0221】
同様に、子局装置12において、DLの子局処理装置50、及び、ULの子局処理装置60の少なくとも1つは、論理的なスライスによって構成されてもよい。
【0222】
親局装置11及び子局装置12の少なくとも1つが、論理的なスライスによって構成されてもよい。
【0223】
<子局装置12>
図13は、子局装置12に備えられた子局処理装置60の構成の一例を示すブロック図であり、図14は、子局装置12に備えられたFH送信器70の構成の一例を示すブロック図である。
【0224】
(子局処理装置60)
図13に例示したように、子局処理装置60は、例えば、RF部601、A/D(analog to digital)変換部602、子局信号処理部603-1、603-2、及び、多重部604を備える。
【0225】
なお、子局信号処理部603-1及び603-2を、それぞれ、子局信号処理部603#1及び603#2と表記することもある。また、子局信号処理部603-1及び603-2を区別しない場合、子局信号処理部603と表記することがある。子局処理装置60に備えられる子局信号処理部603の数は、2に限定されず、3以上であってもよい。例えば、サービス種別の数Nに対応したN個の子局信号処理部603は、子局信号処理部603#j(j=1~N)と表記されてよい。
【0226】
子局信号処理部603#1と子局信号処理部603#2とは、物理的に異なる装置によって実現されてもよいし、例えば、論理的なスライスに分割されて実現されてもよい。
【0227】
RF部601は、例えば、アンテナを有し、UE2から送信されたULの無線信号をアンテナにて受信し、受信した無線信号に対し、ダウンコンバート処理や、低雑音増幅処理といった受信RF処理を施す。
【0228】
A/D変換部602は、例えば、RF部601の出力(アナログ信号)をデジタル信号に変換する。
【0229】
子局信号処理部603-1及び603-2は、互いに異なる機能分割構成を有する。例えば、子局信号処理部603-1は、サービス種別#1に対応した親局信号処理部902-1(図16参照)での機能分割点によって、CP除去(removal)+FFT部6031と、ビームフォーミング部6032と、を備える。
【0230】
これに対し、子局信号処理部603-2は、サービス種別#2に対応した親局信号処理部902-2での機能分割点によって、例えば、CP除去+FFT部6031、ビームフォーミング部6032、RE(resource element)デマッピング部6033、レイヤデマッピング部6034、復調部6035、デスクランブリング部6036、復号部6037、MAC部6038、及び、RLC部6039を備える。
【0231】
子局信号処理部603-1において、CP除去+FFT部6031及びビームフォーミング部6032は、例えば、下位物理レイヤ(Low-PHY)ブロック6002を成す。
【0232】
子局信号処理部603-1のCP除去+FFT部6031は、例えば、A/D変換部602の出力に対し、FFTとCPの除去とを行う。
【0233】
子局信号処理部603-1のビームフォーミング部6032は、例えば、CP除去+FFT部6031の出力に対し、受信ビームの形成処理を行う。
【0234】
一方、子局信号処理部603-2において、各機能部6031~6039は、例えば、High-PHYブロック6001を成す。また、子局信号処理部603-2において、FFT+CP部6031及びビームフォーミング部6032は、例えば、Low-PHYブロック6002を成す。
【0235】
なお、Low-PHYブロック6002は、子局信号処理部603-1及び603-2に個別でもよいし共用でもよい。共用の場合、異なる複数の子局信号処理部603の処理は、1つのLow-PHYブロック6002において並列的に実行されてもよい。また、無線基地局にてユーザーデータ信号を復調および復号するためのUE送信に関わる制御情報が、無線基地局1からUE2へ送信される(図示省略)。例えば、無線基地局1は、制御情報をPDCCHによってUE2へ通知する。UE2は、PDCCHにて受信した制御情報に基づき、PUSCH(physical uplink shared channel)にてユーザーデータ信号を無線基地局1へ送信する。
【0236】
子局信号処理部603-2において、CP除去+FFT部6031は、例えば、A/D変換部602の出力に対し、FFTとCPの除去とを行い、ビームフォーミング部6032は、例えば、CP除去+FFT部6031の出力に対し、受信ビームの形成処理を行う。
【0237】
また、子局信号処理部603-2において、REデマッピング部6033は、無線リソース(例えば、RE)にマッピングされたUL信号をデマッピングする。
【0238】
レイヤデマッピング部6034は、例えば、REデマッピング部6033の出力においてレイヤごとにマッピングされたUL信号をデマッピングする。なお、レイヤデマッピング部6034は、MIMO伝送のために用いられるため、MIMO伝送を適用しない場合には省略されてよい。
【0239】
復調部6035は、例えば、レイヤデマッピング部6034の出力を、QPSK、16QAM、64QAM、256QAMといった変調方式に対応した復調方式によって復調する。
【0240】
デスクランブリング部6036は、例えば、復調部6035の出力に対し、スクランブリングを解くためのデスクランブル処理を行う。
【0241】
復号部6037は、例えば、デスクランブリング部6036の出力を復号する。
【0242】
MAC部6038は、例えば、UL信号のMAC PDUからRLC PDUを生成してRLC部6039へ出力する。
【0243】
多重部604は、例えば、異なる複数の子局信号処理部603-1及び603-2の出力を多重し、多重信号をFH送信器70(図14参照)へ送信する。多重部604での多重方式には、非限定的な一例として、TDM、FDM、CDM、あるいは、WDMが適用されてよい。
【0244】
多重部604において、子局信号処理部603#jの出力信号を識別する情報(例えば、信号ID#j)が付与されてよい。例えば、子局信号処理部603#jの出力信号のそれぞれに信号IDが付与されてもよい。また、例えば、TDMの場合にはタイムスロット情報、FDMの場合には周波数の情報、CDMの場合はコード情報、WDMの場合には波長の情報がそれぞれ信号IDの役割を果たしてもよい。
【0245】
また、多重部604は、省略されてもよい。例えば、異なる複数の子局信号処理部603#1及び603#2の出力が、物理的に分けてFH送信器70へ入力されてもよい。
【0246】
また、子局信号処理部603#1と子局信号処理部603#2とは、物理的に異なる装置によって実現されてもよいし、例えば、仮想化技術を用いて同一装置内に論理的に分割されて実現されてもよい。
【0247】
また、子局信号処理部603#jの数は、2以上であってよく、また、論理的な分割の場合には、動的あるいは適応的に変更されてもよい。例えば、既述のように、無線基地局1によってサポートするサービス種別が変化する場合に、子局信号処理部603#jに相当するスライス#jの増減に応じて子局信号処理部603#jに相当するスライス#jの数も増減されてよい。
【0248】
また、図13に例示したRF部601及びA/D変換部602の一方又は双方は、異なる複数の子局信号処理部603#jに対して個別に設けられてもよい。
【0249】
(FH送信器70)
次に、図14を参照して、実施の形態4に係るFH送信器70の構成の一例について説明する。
【0250】
図14に例示したように、FH送信器70は、例えば、分離部701、FH送信処理部702-1、702-2、多重部703、送信部704、制御部705、トレーニングデータ部706、及び、送信部707を備える。
【0251】
なお、FH送信処理部702-1及び702-2を、それぞれ、FH送信処理部702#1及び702#2と表記することもある。また、FH送信処理部702-1及び702-2を区別しない場合、FH送信処理部702と表記することがある。FH送信器70に備えられるFH送信処理部702の数は、2に限定されず、3以上であってもよい。例えば、サービス種別の数Nに対応したN個のFH送信処理部702は、FH送信処理部702#j(jは、j=1~N)と表記されてよい。
【0252】
FH送信処理部702#1とFH送信処理部702#2とは、物理的に異なる装置によって実現されてもよいし、例えば、同一装置内でソフトウェアあるいはハードウェア回路で分割されて実現されてもよい。
【0253】
分離部701は、例えば、既述の信号IDを基に、子局処理装置60から受信されるULの多重信号をサービス種別#jの別に分離し、対応するFH送信処理部702#jへ出力する。また、分離部701は、例えば、FH13から受信したUL信号に多重されている制御情報を分離して制御部705へ出力する。制御情報には、例えば、MAC部6038において使用されているMCSの情報が含まれてよい。
【0254】
なお、子局処理装置60において多重部604が省略された場合、分離部701も省略されてよい。例えば、異なる複数の子局信号処理部603#1及び603#2の出力が、それぞれ、物理的に分けてFH送信処理部702#1及び702#2に入力されてよい。
【0255】
制御部705は、分離部701から入力された制御情報を復号して、FH送信処理部702#jへ出力する。
【0256】
FH送信処理部702#jのそれぞれは、例えば、符号化部7021と、変調部7022と、を備える。
【0257】
符号化部7021は、例えば、制御部705からの制御情報に従って、復調部4031の出力を復号する。
【0258】
変調部7022は、例えば、制御部705からの制御情報に従って、符号化部7021の出力を変調する。
【0259】
多重部703は、例えば、異なる複数のFH送信処理部702#jの出力を多重して送信部704へ出力する。多重部703において多重される信号は、親局処理装置90における異なる複数の親局信号処理部(例えば図16にて後述する親局信号処理部902#1及び902#2)宛の信号に相当する、と捉えてもよい。
【0260】
なお、多重部703での多重方式には、非限定的な一例として、TDM、FDM、CDM、あるいはWDMが適用されてよい。多重部703において、FH送信処理部702#jの出力信号を識別する情報(例えば、信号ID#j)が付与されてよい。例えば、FH送信処理部702#jの出力信号のそれぞれに信号IDが付与されてもよい。また、例えば、TDMの場合にはタイムスロット情報、FDMの場合には周波数の情報、CDMの場合はコード情報、WDMの場合には波長の情報がそれぞれ信号IDの役割を果たしてもよい。
【0261】
送信部704は、多重部703の出力に対し、UTPケーブル、STPケーブル、光ファイバーケーブルといった有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)に応じた送信処理を施してFH13へ送信する。
【0262】
トレーニングデータ部706は、既述のトレーニングデータ部406と同様に、例えば、FH13の伝送品質を測定するための既知信号(例えば、トレーニング信号)を生成して送信部707に出力する。
【0263】
送信部707は、例えば、既知信号を、親局装置11(例えば、FH受信器80)に接続されたFH13へ送信する。FH13へ送信された既知信号は、例えば、親局装置11において、FH受信器80の受信部801(図15参照)によって受信される。
【0264】
なお、既知信号を用いたFH13の伝送品質測定は、FH受信器80からFH送信器70に既知信号を送信し、FH送信器70においてFH13の伝送品質を測定し、その測定結果をFH受信器80にフィードバックすることで行ってもよい。
【0265】
また、制御部705、トレーニングデータ部706、及び、送信部707は、それぞれ、図4に例示した制御部405、トレーニングデータ部406、及び、送信部407と共通化されてもよい。別言すると、既知信号の送信系及びFH伝送品質の制御系は、DLとULとで共用されてもよい。
【0266】
また、トレーニングデータ部706及び送信部707の一方又は双方の機能は、制御部705に包含されてもよい。制御部705、トレーニングデータ部706、及び、送信部707の一部又は全部は、FH送信器70の外部に備えられてもよく、子局装置12に備えられていればよい。
【0267】
<親局装置11>
次に、図15及び図16を参照して、親局装置11のULに着目した構成の一例について説明する。
【0268】
(FH受信器80)
図15は、親局装置11に備えられたFH受信器80の構成の一例を示すブロック図である。図15に例示したように、FH受信器80は、例えば、受信部801、分離部802、FH受信処理部803-1、803-2、多重部804、受信部805、測定部806、及び、制御部807を備える。
【0269】
なお、FH受信処理部803-1及び803-2を、それぞれ、FH受信処理部803#1及び803#2と表記することもある。また、FH受信処理部803-1及び803-2を区別しない場合、FH受信処理部803と表記することがある。FH受信器80に備えられるFH受信処理部803の数は、2に限定されず、3以上であってもよい。例えば、サービス種別の数Nに対応したN個のFH受信処理部803は、FH受信処理部803#j(j=1~N)と表記されてよい。
【0270】
FH受信処理部803#1とFH受信処理部803#2とは、物理的に異なる装置によって実現されてもよいし、例えば、同一装置内でソフトウェアあるいはハードウェア回路で分割されて実現されてもよい。
【0271】
受信部801は、FH13を介して子局装置12から受信したUL信号を受信し、UTPケーブル、STPケーブル、光ファイバーケーブルといった有線伝送手段(あるいは、有線インタフェース)に応じた受信処理を施して分離部802へ出力する。
【0272】
分離部802は、受信部801の出力から、例えば、既述の信号IDを基に、異なる複数の子局信号処理部603#jに対応する信号を分離してFH受信処理部803#jへ出力する。
【0273】
受信部805は、例えば、子局装置12のFH送信器70から送信されてFH13を伝搬した既知信号(例えば、トレーニング信号)を受信して測定部806に出力する。
【0274】
測定部806は、受信部805から入力された既知信号の受信品質を測定し、その品質測定結果を例えば制御部807に出力する。
【0275】
制御部807は、測定部806による品質測定結果を基に、子局信号処理部603#jのそれぞれに対応するFH伝送パラメータ(例えば、符号種別、符号化率、変調多値数の何れか1つ以上)#jを決定し、FH受信処理部803#1及び803#2に出力する。
【0276】
なお、制御部807は、例えば、子局装置12宛の制御情報を符号化及び変調してFH送信器70の制御部705へ送信してよい。制御情報には、例えば、決定したFH伝送パラメータが含められてよい。追加的あるいは代替的に、測定部806による品質測定結果が制御情報に含められてもよい。
【0277】
FH受信処理部803#jのそれぞれは、復調部8031と、復号部8032と、を備える。
【0278】
復調部8031は、例えば、制御部807からの制御情報(例えば、FH伝送パラメータ#j)に従って、分離部802の出力を復調する。
【0279】
復号部8032は、例えば、制御部807からの制御情報(例えば、FH伝送パラメータ#j)に従って、復調部8031の出力を復号する。
【0280】
多重部804は、例えば、異なる複数のFH受信処理部803#jの出力を多重して親局処理装置90へ出力する。多重部804において多重される信号は、親局処理装置90における異なる複数の子局信号処理部(例えば図16の親局信号処理部902#1及び902#2)宛の信号に相当する、と捉えてもよい。
【0281】
なお、多重部804での多重方式には、非限定的な一例として、TDM、FDM、CDM、あるいはWDMが適用されてよい。多重部804において、FH受信処理部803#jの出力信号を識別する情報(例えば、信号ID#j)が付与されてよい。例えば、FH送信部#jの出力信号のそれぞれに信号IDが付与されてもよい。また、例えば、TDMの場合にはタイムスロット情報、FDMの場合には周波数の情報、WDMの場合には波長の情報がそれぞれ信号IDの役割を果たしてもよい。
【0282】
また、多重部804は、省略されてもよい。例えば、異なる複数のFH受信処理部803#1及び803#2の出力が、物理的に分けて親局処理装置90へ入力されてもよい。
【0283】
また、受信部805、測定部806、及び、制御部807は、それぞれ、図3に例示した受信部305、測定部306、及び、制御部307と共通化されてもよい。別言すると、既知信号を用いた測定系及びFH伝送品質の制御系は、DLとULとで共用されてもよい。
【0284】
(親局処理装置90)
次に、図16を参照して、親局処理装置90の構成の一例について説明する。図16に例示したように、親局処理装置90は、例えば、分離部901、親局信号処理部902-1、902-2、サービスクラス多重(service class multiplex)部903、及び、FH品質計算部904を備える。
【0285】
なお、親局信号処理部902-1及び902-2を、それぞれ、親局信号処理部902#1及び902#2と表記することもある。また、親局信号処理部902-1及び902-2を区別しない場合、親局信号処理部902と表記することがある。親局処理装置90に備えられる親局信号処理部902の数は、2に限定されず、3以上であってもよい。例えば、サービス種別の数をN(Nは2以上の整数)として、N個の親局信号処理部902は、親局信号処理部902#j(j=1~N)と表記されてよい。
【0286】
図16に例示したように、親局信号処理部902#1は、例えば、RE(resource element)デマッピング部9021、レイヤデマッピング部9022、復調部9023、デスクランブリング部9024、及び、復号部9025を備える。これらの機能部9021~9024は、High-PHYブロック9001を成す。
【0287】
また、親局信号処理部902#1は、例えば、MAC部9026、RLC部9027、PDCP部9028、及び、SDAP部9029を備える。
【0288】
以上の各機能部9021~9029は、子局信号処理部603#1における各機能部6031及び6032と共に、無線基地局1に備えられる複数の(ULに関する)基地局機能部の非限定的な一例である。
【0289】
REデマッピング部9021は、例えば、分離部901において分離されたサービス種別#1に対応するUL信号を所定の無線リソース(例えば、RE)からデマッピングする。
【0290】
レイヤデマッピング部9022は、例えば、REデマッピング部9021の出力においてレイヤごとにマッピングされたUL信号をデマッピングする。なお、レイヤデマッピング部9022は、MIMO伝送のために用いられるため、MIMO伝送が適用されない場合には省略されてよい。
【0291】
復調部9023は、例えば、レイヤデマッピング部9022の出力を、QPSK、16QAM、64QAM、256QAMといった変調方式に対応した復調方式によって復調する。
【0292】
デスクランブリング部9024は、例えば、復調部9023の出力に対し、スクランブリングを解くためのデスクランブル処理を行う。
【0293】
復号部9025は、例えば、デスクランブリング部9024の出力を復号する。
【0294】
MAC部9026は、MAC PDUからRLC PDUを生成してトランスポートブロックを出力する。また、MAC部9026は、例えば、HARQによる再送制御、スケジューリングによってULの通信機会を割り当てるUE2の決定およびULの無線伝送におけるMCSの決定を行い、制御情報をPDCCH(physical downlink control channel)にてUE2宛に送信する。
【0295】
ここで、MCSは、例えば、UE2からフィードバックされたCQIと、サービス種別ごとに要求される通信品質と、FH品質計算部904から入力されるFH伝送品質情報と、に基づいて決定されてよい。
【0296】
RLC部9027は、例えば、MAC部9026の出力に対して、例えば、エラー検出及びARQによる再送制御といった処理を行い、PDCP PDUを出力する。
【0297】
PDCP部9028は、RLC部9027の出力に対して、例えば、暗号化されているユーザーデータの復号化及びヘッダ解凍といった処理を行い、SDAP PDUをSDAP部9029へ出力する。
【0298】
SDAP部9029は、例えば、QoSフローと無線ベアラとのマッピングを行い、PDCP部9028の出力からSDAPヘッダを除去して上位のコアネットワークへ送信する。
【0299】
FH品質計算部(又はFH品質決定部)904は、FH受信器80の測定部806において測定されて親局処理装置90にフィードバックされるFH伝送品質に関する情報を基に、FH伝送品質情報を決定する。
【0300】
FH伝送品質情報は、例えば、少なくとも1つの親局信号処理部902#1におけるMAC部9026に入力される。追加的に、FH伝送品質情報は、親局信号処理部902#1とは異なる他の親局信号処理部902#j(例えば、j=2)におけるMAC部9026にも入力されてよい。
【0301】
MAC部9026は、例えば、UE2からフィードバックされたCQIが示す無線品質情報と、FH伝送品質情報と、を基に、FH伝搬路と無線伝搬路とを統合したULの伝搬路の伝送品質を計算する。そして、MAC部9026は、例えば、統合した伝搬路をデータが伝搬した場合の伝送品質がサービス種別に応じた要求品質を満たすようにMCSを決定する。
【0302】
非限定的な一例として、MAC部9026は、ULの無線伝送区間のSN比と、ULのFH伝送区間のSN比と、を合成する。MAC部9026は、合成したSN比を基に、無線伝送区間とFH伝送区間とを含むULの統合伝搬路に適したMCSを決定する。
【0303】
実施の形態4においても、FH伝送の品質低下が許容される場合、MCSの決定(別言すると、無線伝送方式の制御)において、FH伝送について許容した信号品質低下を補償可能なMCSが選ばれてよい。
【0304】
そして、MAC部9026は、例えば、決定したMCSの情報や、ULの無線伝送に使用されるリソース(例えば、リソースエレメント(RE))あるいはレイヤの情報といった制御情報を、High-PHYブロック9001に出力する。
【0305】
一方、図16に例示したように、親局信号処理部902#2は、例えば、PDCP部9028とSDAP部9029とを備える。PDCP部9028及びSDAP部9029の機能は、それぞれ、親局信号処理部902#1におけるものと同一若しくは同様でよい。
【0306】
別言すると、親局信号処理部902#2には、REデマッピング部9021、レイヤデマッピング部9022、復調部9023、デスクランブリング部9024、復号部9025、MAC部9026、及び、RLC部9027は配置されない。これらの各機能部9021~9027に相当する機能部は、図13に例示したように、子局処理装置60(子局信号処理部603#2)に配置される。
【0307】
そのため、ULに関して、親局信号処理部902#2は、親局信号処理部902#1とは機能分割構成が異なる。別言すると、ULに関して親局信号処理部902#1と親局信号処理部902#2とで基地局機能に関する機能分割点が互いに異なる。
【0308】
次に、図16において、サービスクラス多重部903は、例えば、親局信号処理部902#1及び902#2の出力である、サービス種別ごとのUL信号を多重して、上位のコアネットワーク(例えば、EPCや5GC)へ送信する。なお、サービスクラス多重部903の配置位置は、図16に示される位置に限られない。例えば、後述するPDCP部9028の前段やSDAP部9029の前段に配置されてもよい。
【0309】
なお、分離部901は、図15に例示したFH受信器80において多重部804が省略される場合、省略されてもよい。例えば、異なる複数のFH受信処理部803-1及び803-2の出力が、それぞれ、物理的に分けて親局信号処理部902-1及び902-2に入力されてもよい。
【0310】
また、親局信号処理部902-1と親局信号処理部902-2とは、物理的に異なる装置によって実現されてもよいし、例えば、仮想化技術を用いて同一装置内において論理的に分割されたスライスによって実現されてもよい。
【0311】
また、ULの親局信号処理部902の数は、既述のとおり2以上であってよく、また、論理的な分割の場合には、動的あるいは適応的に変更されてもよい。例えば、無線基地局1によってサポートするサービス種別が変化するような場合、その変化に応じてスライスの数を増減することで、サービス種別に適した構成を実現できる。
【0312】
例えば、無線基地局1において、eMBB向けのスライス、URLLC向けのスライス、あるいは、mMTC向けのスライスのような、ULにおいてサポートするサービス種別に適したスライスを必要に応じて追加又は削除できる。したがって、サービス種別に適したULの基地局構成をフレキシブルに実現できる。
【0313】
また、ULに関して、親局処理装置90、及び、子局処理装置60の少なくとも1つは、論理的なスライスによって構成されてもよい。
【0314】
(動作例)
実施の形態4に係るULに着目した動作例は、例えば、実施の形態1の図6に例示したシーケンス図において、「ユーザーデータ」の流れが逆方向であり、かつ、親局処理装置20、FH送信器30、FH受信器40、及び、子局処理装置50を、それぞれ、親局処理装置90、FH受信器80、FH送信器70、及び、子局処理装置60に読み替えた動作に相当する。
【0315】
以上のように、実施の形態4によれば、ULについて実施の形態1と同等の作用効果を得ることができる。
【0316】
なお、FH受信器80の測定部806に、親局処理装置90のFH品質計算部904(図16参照)の機能が包含されてもよい。その場合、親局処理装置90に、FH品質計算部904は備えられなくてよい。
【0317】
また、親局処理装置90のFH品質計算部904と、FH受信器80の制御部807とは、1つの制御部として一体的に構成されてもよい。例えば、FH品質計算部904及び制御部807の一方の機能が、FH品質計算部904及び制御部807の他方に包含されてもよい。また、FH受信器80の測定部806は、制御部807に包含されてもよい。
【0318】
別言すると、FH品質計算部904、測定部806、及び、制御部807の機能は、親局装置11に備えられていればよい。
【0319】
(実施の形態5)
実施の形態2に対応するUL構成は、図16に例示した親局処理装置90において、FH品質計算部904を、実施の形態2の図7に例示したターゲット品質設定部205と同等の機能部に置き換えた構成に相当する。また、図15に例示したFH受信器80において、測定部806は、FH品質計算部904に、既知信号の測定結果であるFH伝送品質情報をフィードバックしなくてよい。
【0320】
実施の形態5において、子局装置12における子局処理装置60及びFH送信器70のUL構成は、それぞれ、図13及び図14に例示した構成と同一若しくは同様でよい。
【0321】
また、実施の形態5において、ULに着目した動作例は、例えば、実施の形態2の図9に例示したシーケンス図において、「ユーザーデータ」の流れが逆方向であり、かつ、親局処理装置20、FH送信器30、FH受信器40、及び、子局処理装置50を、それぞれ、親局処理装置90、FH受信器80、FH送信器70、及び、子局処理装置60に読み替えた動作に相当する。
【0322】
実施の形態5によれば、ULについて実施の形態2と同等の作用効果を得ることができる。
【0323】
(実施の形態6)
実施の形態3に対応するUL構成は、図15に例示した親局装置11のFH受信器80において、実施の形態3の図10に例示したAck/Nack計算部408及び送信部407とそれぞれ同等の機能部を追加した構成に相当する。
【0324】
なお、実施の形態6において、親局装置11の親局処理装置90、子局装置12の子局処理装置60及びFH送信器70のUL構成は、それぞれ、図16図13及び図14に例示した構成と同一若しくは同様でよい。
【0325】
実施の形態6においては、例えば、UL信号についてのAck/Nack統計情報が、FH受信器80において得られる。当該Ack/Nack統計情報は、例えば、FH受信器80の制御部807と、親局処理装置90のFH品質計算部904と、に送信される。これにより、Ack/Nack統計情報を基に、ULの無線区間及びFH伝送区間の伝送パラメータが制御される。
【0326】
実施の形態6によれば、ULについて実施の形態3と同等の作用効果を得ることができる。
【0327】
(その他)
上述した実施の形態1~6では、親局装置11と子局装置12との1対1の接続関係に着目して説明を行ったが、親局装置11と子局装置12との接続関係は、1対多の関係であってよい。
【0328】
FH送信器30(又は70)及びFH受信器40(又は80)において異なるサービス種別の信号が多重される場合、FH伝送品質測定のための既知信号のパターンも多重数(サービス種別の数)だけ用意されてよい。この場合、サービス種別ごとのFH伝送品質測定の精度向上が見込める。
【0329】
上述した実施の形態1~6において使用した「・・・部」という表記は、物理的なエレメントを意味する場合、「・・・回路(circuitry)」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されてもよい。これに対し、論理的なエレメントを意味する場合、「・・・部」という表記は、例えば、既述のとおり「スライス」に置換されてよい。
【0330】
上述した実施の形態1~6において使用した「機能分割点」という用語は、「スプリット」、「オプション」、あるいは「スプリットオプション」と称されることもある。
【0331】
例えば、非特許文献2では、スプリットA~Eが規定される。また、「分割オプション」の一例としては、例えば非特許文献3に記載されるように、以下の分割オプション1~8が挙げられる。
【0332】
(1)分割オプション1:RRC(radio resource control)とPDCPとの間
(2)分割オプション2:PDCPとRLC(High-RLC)との間
(3)分割オプション3:High-RLCとLow-RLCとの間
(4)分割オプション4:RLC(Low-RLC)とMAC(High-MAC)との間
(5)分割オプション5:High-MACとLow-MACとの間
(6)分割オプション6:MAC(Low-MAC)とPHY(High-PHY)との間
(7)分割オプション7:High-PHYとLow-PHYとの間
(8)分割オプション8:PHY(Low-PHY)とRFとの間
【0333】
なお、上記の分割オプション1~8に示されるとおり、実施の形態1~6において、RLC部及びMAC部のそれぞれは、上位(High)と下位(Low)とに機能的に分割(又は分類)されることがある。
【0334】
実施の形態1~6に例示した、DLに関する親局信号処理部202#1と子局信号処理部502#1との機能分割構成、及び、ULに関する親局信号処理部902#1と子局信号処理部603#1との機能分割構成、は、「スプリットD」又は「分割オプション7」に相当する。
【0335】
これに対し、実施の形態1~6に例示した、DLに関する親局信号処理部202#2と子局信号処理部502#2との機能分割構成、及び、ULに関する親局信号処理部902#2と子局信号処理部603#2との機能分割構成は、「スプリットB」又は「分割オプション2」に相当する。
【0336】
親局信号処理部(202/902)#jと子局信号処理部(502/603)#jとの機能分割構成は、スプリットA~E(又は分割オプション1~8)のうち、異なるスプリット(又は分割オプション)の組み合わせであれば、何れのスプリット(又は分割オプション)が採用されてもよい。
【0337】
なお、スプリットA~E(又は、分割オプション1~8)のうちの何れか1つは、例えば、「サブスプリット」(又は「サブオプション」)として更に分割(又は分類)されてもよい。「サブスプリット」(又は「サブオプション」)が、異なる機能分割構成の組み合わせ候補に含まれてもよい。
【0338】
実施の形態1~6では、機能分割点が1つ(機能分割構成が親局装置11と子局装置12との2つ)のケースについて説明したが、機能分割点は2つ以上であってもよい。例えば、複数の基地局機能部が、2つの機能分割点によってCU、DU及びRU(radio unit)の3つに分割配置されてもよい。
【0339】
この場合、例えば、CUとDUとの間の接続がFH13に相当する。例えば、CUとDUとの間のFH13の伝送品質を示す情報を基に、CU-DU-RUの統合伝搬路の伝送品質が要求品質を満たすように、CU-DU間およびDU-RU間の伝送品質(例えば、伝送パラメータ)が個別的に制御されてよい。
【0340】
本開示はソフトウェア、ハードウェア、又は、ハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。上記実施の形態の説明に用いた各機能ブロックは、部分的に又は全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上記実施の形態で説明した各プロセスは、部分的に又は全体的に、一つのLSI又はLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように一つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力を備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0341】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。本開示は、デジタル処理又はアナログ処理として実現されてもよい。
【0342】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてあり得る。
【0343】
<本開示のまとめ>
本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置は、子局装置とフロントホールによって接続され、第1のサービス種別に対して、複数の基地局機能部に関する第1の機能分割構成を有する第1の基地局信号処理部と、第2のサービス種別に対して、前記複数の基地局機能部に関する第2の機能分割構成を有する第2の基地局処理部と、を備える。
【0344】
ここで、本開示の非限定的な一実施例に係る親局装置は、前記第1の基地局信号処理部及び前記第2の基地局処理部の別に、前記フロントホールの伝送方式を決定する制御部を備えてもよい。
【0345】
また、本開示の非限定的な一実施例において、前記制御部は、前記フロントホールの伝送品質を示す情報に基づいて、前記フロントホールの伝送方式と前記子局装置による無線伝送方式とを決定してよい。
【0346】
本開示の非限定的な一実施例において、前記フロントホールの伝送品質を示す情報は、前記フロントホールを伝送した、前記親局装置と前記子局装置との間で既知の信号の品質測定の結果に基づいてよい。
【0347】
本開示の非限定的な一実施例において、前記既知の信号は、前記子局装置から前記フロントホールを介して前記親局装置へ送信されてよく、前記親局装置に、前記既知の信号の品質を測定する測定部が設けられてよい。
【0348】
本開示の非限定的な一実施例において、前記既知の信号は、前記親局装置から前記フロントホールを介して前記子局装置へ送信されてよく、前記フロントホールの伝送品質を示す情報は、前記既知の信号の品質を前記子局装置が測定した結果のフィードバック情報であってよい。
【0349】
本開示の非限定的な一実施例において、前記フロントホールの伝送品質を示す情報は、前記フロントホールを伝送したデータの誤り判定結果に基づいてよい。
【0350】
本開示の非限定的な一実施例において、前記制御部は、指定のターゲット品質に関する情報に基づいて、前記フロントホールの伝送方式と前記子局装置による無線伝送方式とを決定してよい。
【0351】
本開示の非限定的な一実施例に係る子局装置は、親局装置とフロントホールによって接続され、第1のサービス種別に対して、複数の基地局機能部に関する第1の機能分割構成を有する第1の基地局信号処理部と、第2のサービス種別に対して、前記複数の基地局機能部に関する第2の機能分割構成を有する第2の基地局処理部と、を備える。
【0352】
本開示の非限定的な一実施例に係る子局装置は、前記親局装置と前記子局装置との間で既知の信号を前記親局装置へ送信する送信部を備えてよい。
【0353】
本開示の非限定的な一実施例において、前記子局装置は、前記親局装置が送信した、前記親局装置と前記子局装置との間で既知の信号の、前記子局装置での品質測定結果を前記親局装置へフィードバックしてよい。
【0354】
本開示の非限定的な一実施例に係る通信制御方法は、子局装置とフロントホールによって接続された親局装置が、前記フロントホールの伝送品質を示す情報を取得し、第1のサービス種別に対して、複数の基地局機能部に関する第1の機能分割構成を有する第1の基地局信号処理部と、第2のサービス種別に対して、前記複数の基地局機能部に関する第2の機能分割構成を有する第2の基地局処理部と、の別に、前記フロントホールの伝送品質を示す情報に基づいて、前記フロントホールの伝送方式を決定する。
【0355】
本開示の非限定的な一実施例に係る通信制御方法は、親局装置とフロントホールによって接続された子局装置が、前記親局装置が前記フロントホールの伝送品質を測定するための信号を送信し、第1のサービス種別に対して、複数の基地局機能部に関する第1の機能分割構成を有する第1の基地局信号処理部と、第2のサービス種別に対して、前記複数の基地局機能部に関する第2の機能分割構成を有する第2の基地局処理部と、の別に、前記フロントホールの伝送品質を示す情報に基づいて、前記フロントホールの伝送方式を決定する。
【産業上の利用可能性】
【0356】
本開示は、例えば、無線通信の基地局に好適である。
【符号の説明】
【0357】
1 無線基地局
2 UE
11 親局装置
12 子局装置
13 FH
20,90 親局処理装置
202-1,202-2,902-1,902-2 親局信号処理部
204,904 FH品質計算部
30,70 FH送信器
306,806 測定部
40,80 FH受信器
406,706 トレーニングデータ部
407,707 送信部
50,60 子局処理装置
502-1,502-2,603-1,603-2 子局信号処理部
図1
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