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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】熱交換コア
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/04 20060101AFI20240130BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20240130BHJP
   F28D 9/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
F28F3/04 A
F28F3/04 B
F28F3/00 311
F28D9/00
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020031581
(22)【出願日】2020-02-27
(65)【公開番号】P2021134988
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】谷本 浩一
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
(72)【発明者】
【氏名】中拂 博之
(72)【発明者】
【氏名】上藤 陽一
(72)【発明者】
【氏名】小田 拓央
(72)【発明者】
【氏名】江口 駿作
(72)【発明者】
【氏名】畑中 雅哉
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-288492(JP,A)
【文献】特表2020-503492(JP,A)
【文献】特開平11-337276(JP,A)
【文献】特開2011-021774(JP,A)
【文献】特開2007-010166(JP,A)
【文献】特開平05-164492(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 9/00 - 9/04
F28F 3/00 - 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1流路と、
前記第1流路に沿って延在する第2流路と、を備え、
前記第1流路又は前記第2流路の少なくとも一方は、流路延在方向に直交する流路断面の面積が極小となる複数の絞り部と、前記面積が極大となる複数の拡大部と、流路断面の図心を通る最小流路幅に沿った方向に沿って、前記流路の対向壁同士を接続するリブと、を含み、
前記複数の絞り部の各々と前記複数の拡大部の各々とが、前記流路延在方向において交互に配置され
前記リブにより、前記絞り部と前記拡大部とが形成され、
前記リブは、前記対向壁の間に位置し、前記リブの長さが最小となるくびれ部を有する熱交換コア。
【請求項2】
前記第1流路と前記第2流路との間に設けられ、前記第1流路と前記第2流路とを仕切る隔壁を備え、
各々の前記絞り部、及び、各々の前記拡大部は、前記流路延在方向において、前記隔壁に直交する流路幅を変化させるような形状を有する
請求項1に記載の熱交換コア。
【請求項3】
前記第1流路又は前記第2流路の少なくとも一方の内部において、前記流路延在方向における複数位置に前記隔壁に沿ってそれぞれ設けられる障害物を備え、
各々の前記障害物は、前記隔壁と該隔壁に対向する流路壁との間に設けられ、該障害物の両側に少なくとも一組の前記絞り部及び前記拡大部が形成される、
請求項2に記載の熱交換コア。
【請求項4】
前記第1流路又は前記第2流路の少なくとも一方は、前記流路延在方向にみて前記隔壁が凹凸を有する
請求項2に記載の熱交換コア。
【請求項5】
前記リブは、前記流路延在方向に対してなす角度が60度以下である傾斜面を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【請求項6】
前記リブは、前記流路延在方向におけるリブ長さが前記対向壁から離れるにつれて減少するような、前記リブの延在方向に沿った断面形状を有する
請求項1から5のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【請求項7】
前記くびれ部における前記対向壁に沿った前記リブの断面は、前記リブの端部に向かって先細りになる
請求項1から6のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【請求項8】
前記リブは、少なくとも前記対向壁において端部が丸みを有している、
請求項1から7のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【請求項9】
第1流路と、
前記第1流路に沿って延在する第2流路と、を備え、
前記第1流路又は前記第2流路の少なくとも一方は、流路延在方向に直交する流路断面の面積が極小となる複数の絞り部と、前記面積が極大となる複数の拡大部と、流路断面の図心を通る最小流路幅に沿った方向に沿って、前記流路の対向壁同士を接続するリブと、を含み、
前記複数の絞り部の各々と前記複数の拡大部の各々とが、前記流路延在方向において交互に配置され
前記リブにより、前記絞り部と前記拡大部とが形成され、
前記リブは、
前記流路延在方向、及び、前記対向壁の直交方向を含む平面に沿って前記対向壁同士を接続する一対の側壁と、
前記流路延在方向における前記リブの端部において前記一対の側壁にそれぞれ連なり、前記リブの先細り形状を規定する一対の第1テーパ面と、
前記一対の第1テーパ面にそれぞれ接続され、前記流路延在方向、及び、前記流路延在方向に直交する方向へと前記第1テーパ面からせり出す一対の第2テーパ面と、
を含む熱交換コア。
【請求項10】
前記リブは、前記流路延在方向に対してなす角度が60度以下である傾斜面を含む、
請求項9に記載の熱交換コア。
【請求項11】
前記リブは、前記流路延在方向におけるリブ長さが前記対向壁から離れるにつれて減少するような、前記リブの延在方向に沿った断面形状を有する
請求項9又は10に記載の熱交換コア。
【請求項12】
各々の前記第1テーパ面、及び、各々の前記第2テーパ面は、それぞれ、平面により形成される
請求項9から11のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【請求項13】
前記対向壁に沿った前記リブの断面において、前記一対の第2テーパ面間に形成される前記リブの先端角度が120度以下である
請求項9から12のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【請求項14】
前記第1テーパ面は、前記対向壁の前記直交方向を含む平面に沿って延在する
請求項9から13のいずれか一項に記載の熱交換コア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、熱交換コアに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、被加熱流体が流れる複数の第1狭隘流路が形成された層と、加熱流体が流れる複数の第2狭隘流路が形成された層とを積層して形成された熱交換器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-007657号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された熱交換器(熱交換コアでは、流路内における温度境膜の成長により、流路の下流側において熱伝達係数が低下してしまい、熱交換を効率的に行うことが難しい場合がある。特に、アスペクト比の大きな流路(流路長が流路幅(高さ)に対して遥かに大きい流路)の場合、下流側における流路断面の相当部分に温度境膜が広がってしまう。
【0005】
本開示の少なくとも一実施形態は、上述する事情に鑑みてなされたもので、熱交換を効率的に行うことができる熱交換コアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示に係る熱交換コアは、
第1流路と、
前記第1流路に沿って延在する第2流路と、を備え、
前記第1流路又は前記第2流路の少なくとも一方は、流路延在方向に直交する流路断面の面積が極小となる複数の絞り部と、前記面積が極大となる複数の拡大部と、を含み、
前記複数の絞り部の各々と前記複数の拡大部の各々とが、前記流路延在方向において交互に配置される。
【発明の効果】
【0007】
本開示に係る熱交換コアによれば、複数の絞り部の各々と複数の拡大部の各々とが交互に配置されることで、温度境膜の発達を阻害し、又は、温度境膜を絞り部によって破壊し、熱伝達係数を向上させることができる。これにより、本開示に係る熱交換コアによれば、熱交換を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る熱交換コアの斜視図である。
図2図1に示した熱交換コアのII-II線断面図である。
図3】一実施形態に係る第1流路及び第2流路を示す断面図である。
図4】一実施形態に係る第1流路及び第2流路を示す断面図である。
図5】一実施形態に係る第1流路及び第2流路を示す断面図である。
図6】一実施形態に係る第1流路及び第2流路を示す斜視図である。
図7】一実施形態に係る第1流路及び第2流路を示す断面図である。
図8】一実施形態に係る第1流路及び第2流路を示す斜視図である。
図9図8に示した第1流路及び第2流路のIX-IX線断面図である。
図10図8に示したリブを示す斜視図である。
図11図10に示したリブのXI-XI線断面図である。
図12図11に示したリブのXII-XII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施形態による熱交換コアについて、図面に基づいて説明する。かかる実施形態は、本開示の一態様を示すものであり、この開示を限定するものではなく、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。
【0010】
[熱交換コアの概略構成]
図1及び図2に示すように、本開示の実施形態に係る熱交換コア1は、高温流体と低温流体との間で熱交換が行われる熱交換器の主要な構成であって、高温流体と低温流体とが各々流通する流路10が設けられている。高温流体と低温流体は、それぞれ液体でも気体でもよいが、通常、両者の温度は異なっている。また、限定はしないが、熱交換コア1は直方体形状とすることができる。
【0011】
図2に示すように、熱交換コア1は、第1流路と、第1流路に沿って延びる第2流路とを備える。図1及び図2に示すように、直方体形状の熱交換コア1では、格子状に設けられた複数の流路10が熱交換コア1の長手方向に沿って延びるように設けられ、これらが第1流路と第2流路を構成する。例えば、熱交換コア1の幅方向(図2においてX方向)に隣り合う一対の流路10,10の一方が第1流路を構成すると他方が第2流路を構成する。また、例えば、熱交換コア1の奥行き方向(図2においてY方向)に隣り合う一対の流路10,10の一方が第1流路を構成すると他方が第2流路を構成する。
【0012】
複数の流路10は、熱交換コア1の幅方向が奥行き方向よりも大きな矩形の断面を有している。そして、熱交換コア1の幅方向に隣り合う流路10には高温流体又は低温流体のいずれか一方が流れ、奥行き方向に隣り合う流路10には高温流体と低温流体とが交互に流れるようになっている。よって、熱交換コア1の幅方向に隣り合う流路10,10では同一流体が同一方向に流れるが、奥行き方向に隣り合う流路10,10では高温流体と低温流体とが同一方向に流れてもよいし(並流)、互いに向かい合う方向に流れてもよい(対向流)。
【0013】
[流路の構成]
図3から図8に示すように、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1では、第1流路又は第2流路の少なくとも一方は、流路延在方向に直交する流路断面の面積が極小となる複数の絞り部13と、流路断面の面積が極大となる複数の拡大部14と、を含む。そして、複数の絞り部13の各々と複数の拡大部14の各々とが流路延在方向において交互に配置される。
【0014】
複数の絞り部13と複数の拡大部14は、図3に示すように、流路幅が変動する流路10によって構成してもよいし、図4に示すように、流路10に突出する突起33によって構成してもよい。また、図5から図8に示すように、流路10の対向壁17,17同士を接続するリブ34によって構成してもよい。
【0015】
上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1によれば、複数の絞り部13の各々と複数の拡大部14の各々とが交互に配置されることで、温度境膜の発達を阻害し、又は、温度境膜を絞り部13によって破壊し、熱伝達係数を向上させることができる。これにより、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1は熱交換を効率的に行うことができる。
【0016】
図3から図8に示すように、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1は、第1流路と第2流路との間に設けられ、第1流路と第2流路とを仕切る隔壁15を備える。そして、上述した各々の絞り部13、及び、各々の拡大部14は、流路延在方向において、隔壁15に直交する流路幅を変化させるような形状を有する。
【0017】
図4から図8に示す熱交換コア1は、熱交換コア1の奥行き方向に隣り合う一対の流路10,10の一方が第1流路を構成し、他方が第2流路を構成する。そして、第1流路と第2流路との間に設けられた隔壁15によって第1流路と第2流路とが仕切られる。そして、図4に示す熱交換コア1では流路10に突出する突起33が流路10に直交する流路幅を変化させ、図5及び図6に示す熱交換コア1では流路10の対向壁17,17同士を接続するリブ34が流路10に直交する流路幅を変化させる。
【0018】
また、図7及び図8に示す熱交換コア1は、熱交換コア1の幅方向に隣り合う一対の流路10,10の一方が第1流路を構成し、他方が第2流路を構成する。そして、第1流路と第2流路との間に設けられた隔壁15によって第1流路と第2流路とが仕切られる。そして、図7及び図8に示す熱交換コア1では流路の対向壁17,17同士を接続するリブ34が流路10に直交する流路幅を変化させる。
【0019】
上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1によれば、各々の絞り部13、及び各々の拡大部14は、流路10の延びる方向において、隔壁15に直交する流路幅が変化させるような形状を有するので、熱交換を阻害する隔壁近傍の温度境膜を破壊できる。
【0020】
図4から図8に示すように、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1は、第1流路又は第2流路の少なくとも一方の内部において、流路延在方向における複数位置に隔壁15に沿ってそれぞれ設けられる障害物32を備える。そして、各々の障害物32は、隔壁15と隔壁15に対向する流路壁との間に設けられ、障害物32の両側に少なくとも一組の絞り部13,13及び拡大部14、14が形成される。
【0021】
障害物32は、第1流路又は第2流路の少なくとも一方の内部において、流路10の延びる方向における複数位置に隔壁15に沿ってそれぞれ設けられるものであれば、隔壁15から延びた支柱に支持され、隔壁15から浮いたように見えるものも含まれる。また、障害物32は、図4に示すように、流路10内に突出する突起33であってもよいし、図5から図8に示すように、流路10の対向壁17,17同士を接続するリブ34であってもよい。よって、障害物32は、流路幅方向の中央に隔壁から離れた位置に設けられたものであれば各種のものが含まれる。
【0022】
上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1によれば、障害物32の両側における温度境膜を破壊できる。
【0023】
図7に示すように、一実施形態に係る熱交換コア1は、熱交換コア1の奥行き方向に隣り合う一対の流路10の一方が第1流路を構成し、他方が第2流路を構成する。そして、第1流路と第2流路との間に設けられた隔壁15によって第1流路と第2流路とが仕切られる。そして、隔壁15と該隔壁15と対向する流路壁16とを接続するリブ34が設けられている。リブ34の流路延在方向断面(縦断面)は線対称の流線形である。
【0024】
上述した一実施形態に係る熱交換コア1によれば、リブ34の両側における温度境膜を破壊できる。また、リブ34の流路延在方向断面を流線形とすることで、流路抵抗を抑制することができ、また、淀み領域の発生を抑制できる。また、流線形のリブ34の全面が伝熱面として利用できるので、伝熱促進できる。
【0025】
図3及び図4に示すように、幾つかの実施形態に係る熱交換コア1は、第1流路又は第2流路の少なくとも一方は、流路延在方向にみて隔壁15が凹凸36,37を有する。
【0026】
図3及び図4に示す熱交換コア1では、熱交換コア1の奥行き方向に隣り合う一対の流路10,10の一方が第1流路を構成し、他方が第2流路を構成する。そして、第1流路と第2流路との間に設けられた隔壁15によって第1流路と第2流路とが仕切られる。そして、図3に示す熱交換コア1では、流路延在方向にみて隔壁15が凹凸36,37を有する。一方、図4に示す熱交換コア1では、隔壁15に設けられ、流路10に突出する突起33が凹凸36,37を構成する。
【0027】
上述した幾つかの実施形態に係る熱交換コア1によれば、第1流路又は第2流路の少なくとも一方は、流路10の延びる方向にみて隔壁15が凹凸36,37を有するので、熱交換を阻害する隔壁近傍の温度境膜を破壊できる。
【0028】
図5図6及び図8に示すように幾つかの実施形態では、第1流路又は第2流路の少なくとも一方は、流路断面の図心を通る最小流路幅に沿って、流路10の対向壁同士を接続するリブ34を含む。そして、このリブ34により上述した絞り部13と拡大部14とが形成されている。
【0029】
図5に示すリブ34は、流路延在方向に対して直交する方向からみると台形状であって、リブ34の両側に一組の絞り部13と拡大部14とが形成される。また、図6に示すリブ34は、流路延在方向に対して直交する方向からみると矩形状であって、リブ34の両側に一組の絞り部13と拡大部14とが形成される。
【0030】
上述した実施形態に係る熱交換コア1によれば、温度境膜破壊できるだけでなく、流路構造をリブ34により補強できる。例えば、流路隔壁の差圧、熱交換コア1に作用する熱応力等による損傷を防止できる。
【0031】
図5に示すように、一実施形態に係る熱交換コア1では、リブ34は、流路延在方向に対してなす角度θが60度以下、好ましくは45度以下である傾斜面を含む。図5に示すリブ34は、流路延在方向両側に流路延在方向に対してなす角度θが60度以下、好ましくは45度以下である傾斜面を含む。これにより、図5に示すリブ34は、流路延在方向と直交する方向からみて台形状である。
【0032】
上述した実施形態に係る熱交換コア1によれば、リブ34は流路延在方向に対してなす角度θが60度、好ましくは45度以下である傾斜面を含むから、積層造形によって熱交換コア1を造形する場合において流路延在方向を優先して造形していく場合であっても、積層方向に対して下向きの面を有するオーバハング形状が崩れて造形不良が発生する、造形時に生じる残留応力に起因した造形品の反りが発生し精度が低下する、等の課題(以下「オーバハングの課題」という)を回避しながらリブ34も含めて積層造形できる。
【0033】
図8及び図9に示すように、一実施形態に係る熱交換コア1では、リブ34は、流路10の延びる方向におけるリブ34の長さは対向壁17,17から離れるにつれて減少するような、リブ34の延在方向に沿った断面形状を有する。
【0034】
上述した実施形態に係る熱交換コア1によれば、流路延在方向におけるリブ長さが一定となるような、リブの延在方向に沿った断面形状を有するリブよりも流路抵抗を小さくすることができ、圧力損失を減少させることができる。
【0035】
図10に示すように、一実施形態に係る熱交換コア1では、リブ34は、対向壁17,17の間に位置し、流路10の延びる方向におけるリブ34の長さが最小となるくびれ部341を有する。
【0036】
上述した実施形態に係る熱交換コア1によれば、くびれ部341に向けて流路抵抗が小さくなるので、リブ34における圧力損失をくびれ部を有しないリブよりも減少させることができる。
【0037】
図11に示すように、一実施形態に係る熱交換コア1では、くびれ部341における対向壁に沿ったリブ34の断面は、リブ34の流路延在方向端部に向かって先細りになる。
【0038】
上述した実施形態に係る熱交換コア1によれば、流路10を流れ、リブ34の流路延在方向端部において分岐する流体の流れを安定させることができる。
【0039】
図11に示すように、一実施形態に係る熱交換コア1では、リブ34は、対向壁17,17及びくびれ部341においてリブ34の流路延在方向端部に向けて先細りとなり、リブ34は、対向壁17,17及びくびれ部341において流路延在方向端部が尖っているが、少なくとも対向壁17,17において流路延在方向端部が丸みを有していてもよい。
【0040】
上述した実施形態に係る熱交換コア1によれば、リブ34が少なくとも対向壁17,17において流路延在方向端部が丸みを有しているので、流路10を流れる流体の圧力損失を低減できる。
【0041】
図10に示すように、一実施形態に係る熱交換コア1では、リブ34は、一対の側壁342,342と、一対の第1テーパ面343,343と、一対の第2テーパ面344,344とを含む。一対の側壁342,342は、流路10の延びる方向、及び、対向壁の直交方向を含む平面に沿って対向壁17,17同士を接続している。一対の第1テーパ面343,343は、流路10の延びる方向におけるリブ34の端部において一対の側壁342,342にそれぞれ連なり、リブ34の先細り形状を規定する。一対の第2テーパ面344,344は、一対の第1テーパ面343、343にそれぞれ接続され、流路10の延びる方向、及び、流路10の延びる方向に直交する方向へと第1テーパ面343からせり出している。
【0042】
上述した一実施形態に係る熱交換コア1では、流路10を流れる流体が一対の第2テーパ面344,344を区切る稜線によってくびれ部341に到るまでに分岐する。そして、分岐した流体は、第2テーパ面344、第1テーパ面343、側壁342の順に第2テーパ面344、第1テーパ面343、側壁342に沿って流れる。
【0043】
上述した実施形態に係る熱交換コア1によれば、流路10を流れる流体が一対の第2テーパ面を区切る稜線によってくびれ部341に到るまでに分岐するので、分岐する流体の流れを安定させることができる。また、分岐した流体は、第2テーパ面344、第1テーパ面343、側壁342の順に第2テーパ面344、第1テーパ面343、側壁342に沿って流れるので、分岐した後の流体の流れも安定させることができる。
【0044】
また、図10に示すように、一実施形態に係る熱交換コア1では、各々の第1テーパ面343、及び、各々の第2テーパ面344は、それぞれ、平面により形成される。
【0045】
上述した実施形態に係る熱交換コア1によれば、第1テーパ面343と第2テーパ面344の境界は稜線によって区切られるので、第1テーパ面343と第2テーパ面344との境界が明確となり、流体の流れを安定させることができる。また、各々の第1テーパ面343、及び、各々の第2テーパ面344を平面とすることで、積層造形によって熱交換コア1を造形する場合の製造データを各々の第1テーパ面343、及び各々の第2テーパ面344を流線形(湾曲面)とする場合よりも少なくできる。これにより、熱交換コア1の造形が容易になり、製造コストも下げることができる。
【0046】
また、図12に示すように、一実施形態に係る熱交換コア1では、対向壁17に沿ったリブ34の断面において、一対の第2テーパ面344,344間に形成されるリブ34の先端角度θが120度以下であり、好ましくは90度以下である。
【0047】
上述した実施形態に係る熱交換コア1によれば、対向壁17に沿ったリブ34の断面において、一対の第2テーパ面344,344間に形成されるリブ34の先端角度θが120度以下であるから、積層造形によって熱交換コア1を造形する場合において対向壁17を優先して造形していく場合であってもオーバハングの課題を回避しながらリブ34を含めて積層造形できる。
【0048】
また、図10に示すように、一実施形態に係る熱交換コア1では、第1テーパ面343,343は、対向壁17,17の直交方向を含む平面に沿って延在する。
【0049】
上述した実施形態に係る熱交換コア1によれば、流路10を流れる流体は対向壁17,17に対して均等に流れるので、流体の流れを安定させることができる。
【0050】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0051】
上記各実施形態に記載の内容は、例えば、以下のように把握される。
【0052】
(1)一の態様に係る熱交換コア1は、
第1流路と、
前記第1流路に沿って延在する第2流路と、を備え、
前記第1流路又は前記第2流路の少なくとも一方は、流路延在方向に直交する流路断面の面積が極小となる複数の絞り部13と、前記面積が極大となる複数の拡大部14と、を含み、
前記複数の絞り部13の各々と前記複数の拡大部14の各々とが、前記流路延在方向において交互に配置される。
【0053】
本開示に係る熱交換コア1によれば、複数の絞り部13の各々と複数の拡大部14の各々とが交互に配置されることで、温度境膜の発達を阻害し、又は、温度境膜を絞り部13によって破壊し、熱伝達係数を向上させることができる。これにより、本開示に係る熱交換コア1は熱交換を効率的に行うことができる。
【0054】
(2)別の態様に係る熱交換コア1は、(1)に記載の熱交換コア1であって、
前記第1流路と前記第2流路との間に設けられ、前記第1流路と前記第2流路とを仕切る隔壁15を備え、
各々の前記絞り部13、及び、各々の前記拡大部14は、前記流路延在方向において、前記隔壁15に直交する流路幅を変化させるような形状を有する。
【0055】
このような構成によれば、各々の絞り部13、及び各々の拡大部14は、流路延在方向において、隔壁15に直交する流路幅が変化させるような形状を有するので、熱交換を阻害する隔壁近傍の温度境膜を破壊できる。
【0056】
(3)さらに別の態様に係る熱交換コア1は、(2)に記載の熱交換コア1であって、
前記第1流路又は前記第2流路の少なくとも一方の内部において、前記流路延在方向における複数位置に前記隔壁に沿ってそれぞれ設けられる障害物32を備え、
各々の前記障害物32は、前記隔壁15と該隔壁15に対向する流路壁との間に設けられ、該障害物32の両側に少なくとも一組の前記絞り部13及び前記拡大部14が形成される。
【0057】
このような構成によれば、障害物32の両側における温度境膜を破壊できる。
【0058】
(4)さらに別の態様に係る熱交換コア1は、(2)に記載の熱交換コア1であって、
前記第1流路又は前記第2流路の少なくとも一方は、前記流路延在方向にみて前記隔壁15が凹凸36,37を有する。
【0059】
このような構成によれば、第1流路又は第2流路の少なくとも一方は、流路延在方向にみて隔壁15が凹凸36,37を有するので、熱交換を阻害する隔壁15近傍の温度境膜を破壊できる。
【0060】
(5)また別の態様に係る熱交換コア1は、(1)から(3)のいずれか一つに記載の熱交換コア1であって、
前記第1流路または前記第2流路の少なくとも一方は、流路断面の図心を通る最小流路幅に沿った方向に沿って、前記流路の対向壁17,17同士を接続するリブ34を含み、
前記リブ34により、前記絞り部13と前記拡大部14とが形成されている。
【0061】
このような構成によれば、温度境膜破壊できるだけでなく、流路構造をリブ34により補強できる。例えば、隔壁15の差圧、熱交換コア1に作用する熱応力等による損傷を防止できる。
【0062】
(6)また別の態様に係る熱交換コア1は、(5)に記載の熱交換コアであって、前記リブは、前記流路延在方向に対してなす角度θが60度以下である傾斜面を含む。
【0063】
このような構成によれば、リブは、流路延在方向に対してなす角度θが60度以下である傾斜面を含むから、積層造形によって熱交換コア1を造形する場合において流路延在方向を優先して造形して行く場合であっても、オーバハングの課題を回避しながらリブ34も含めて積層造形できる。
【0064】
(7)また別の態様に係る熱交換コア1は、(5)に記載の熱交換コア1であって、
前記リブ34は、前記流路延在方向におけるリブ長さが前記対向壁17,17から離れるにつれて減少するような、前記リブ34の延在方向に沿った断面形状を有する。
【0065】
このような構成によれば、流路延在方向におけるリブ長さが一定となるような、リブの延在方向に沿った断面形状を有するリブよりも流路抵抗を小さくすることができ、圧力損失を減少させることができる。
【0066】
(8)また別の態様に係る熱交換コア1は、(5)又は(7)に記載の熱交換コア1であって、
前記リブ34は、前記対向壁17,17の間に位置し、前記リブ長さが最小となるくびれ部341を有する。
【0067】
このような構成によれば、くびれ部341に向けて流路抵抗が小さくなるので、リブ34における圧力損失をくびれ部を有しないリブよりも減少させることができる。
【0068】
(9)また別の態様に係る熱交換コア1は、(8)に記載の熱交換コア1であって、
前記くびれ部341における前記対向壁に沿った前記リブ34の断面は、前記リブ34の端部に向かって先細りになる。
【0069】
このような構成によれば、流路10を流れ、リブ34の端部において分岐する流体の流れを安定させることができる。
【0070】
(10)また別の態様に係る熱交換コア1は、(8)又は(9)に記載の熱交換コアであって、
前記リブは、少なくとも前記対向壁において端部が丸みを有している。
【0071】
このような構成によれば、流路10を流れる流体の圧力損失を低減できる。
【0072】
(11)また別の態様に係る熱交換コア1は、(5)から(10)のいずれか一つに記載の熱交換コア1であって、
前記リブ34は、
前記流路延在方向、及び、前記対向壁17,17の直交方向を含む平面に沿って前記対向壁17,17同士を接続する一対の側壁342,342と、
前記流路延在方向における前記リブ34の端部において前記一対の側壁342,342にそれぞれ連なり、前記リブ34の先細り形状を規定する一対の第1テーパ面343,343と、
前記一対の第1テーパ面343,343にそれぞれ接続され、前記流路延在方向、及び、前記流路延在方向に直交する方向へと前記第1テーパ面343,343からせり出す一対の第2テーパ面344,344と、
を含む。
【0073】
このような構成によれば、流路10を流れる流体が一対の第2テーパ面344,344を区切る稜線によってくびれ部341に到るまでに分岐するので、分岐する流体の流れを安定させることができる。また、分岐した流体は、第2テーパ面344、第1テーパ面343、側壁342の順に第2テーパ面344、第1テーパ面343、側壁342に沿って流れるので、分岐した後の流れも安定させることができる。
【0074】
(12)また別の態様に係る熱交換コア1は、(11)に記載の熱交換コア1であって、
各々の前記第1テーパ面343,343、及び、各々の前記第2テーパ面344,344は、それぞれ、平面により形成される。
【0075】
このような構成によれば、第1テーパ面343と第2テーパ面344の境界は稜線によって区切られるので、第1テーパ面343と第2テーパ面344との境界が明確となり、流体の流れを安定させることがきる。また、各々の第1テーパ面343、及び、各々の第2テーパ面344を平面とすることで、積層造形によって熱交換コア1を造形する場合の製造データを各々の第1テーパ面343、及び各々の第2テーパ面344を流線形(湾曲面)とする場合よりも少なくできる。これにより、熱交換コア1の造形が容易になり、製造コストも下げることができる。
【0076】
(13)また別の態様に係る熱交換コア1は、(11)又は(12)に記載の熱交換コア1であって、
前記対向壁に沿った前記リブ34の断面において、前記一対の第2テーパ面344,344間に形成される前記リブの先端角度θが120度以下である。
【0077】
このような構成によれば、対向壁17に沿ったリブ34の断面において、一対の第2テーパ面344,344間に形成されるリブ34の先端角度θが120度以下であるから、積層造形によって熱交換コア1を造形する場合において対向壁17を優先して造形していく場合であってもオーバハングの課題を回避しながらリブ34を含めて積層造形できる。
【0078】
(14)また別の態様に係る熱交換コア1は、(11)から(13)のいずれか一つに記載の熱交換コア1であって、
前記第1テーパ面343は、前記対向壁の前記直交方向を含む平面に沿って延在する。
【0079】
このような構成によれば、流路10を流れる流体は対向壁17,17に対して均等に流れるので、流体の流れを安定させることができる。
【符号の説明】
【0080】
1 熱交換コア
10 流路
13 絞り部
14 拡大部
15 隔壁
16 流路壁
17 対向壁
32 障害物
33 突起
34 リブ
341 くびれ部
342 側壁
343 第1テーパ面
344 第2テーパ面
36 凹
37 凸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12