IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 国立大学法人秋田大学の特許一覧 ▶ 日本工機株式会社の特許一覧 ▶ 三和テッキ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-破砕材装填装置 図1
  • 特許-破砕材装填装置 図2
  • 特許-破砕材装填装置 図3
  • 特許-破砕材装填装置 図4
  • 特許-破砕材装填装置 図5
  • 特許-破砕材装填装置 図6
  • 特許-破砕材装填装置 図7
  • 特許-破砕材装填装置 図8
  • 特許-破砕材装填装置 図9
  • 特許-破砕材装填装置 図10
  • 特許-破砕材装填装置 図11
  • 特許-破砕材装填装置 図12
  • 特許-破砕材装填装置 図13
  • 特許-破砕材装填装置 図14
  • 特許-破砕材装填装置 図15
  • 特許-破砕材装填装置 図16
  • 特許-破砕材装填装置 図17
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】破砕材装填装置
(51)【国際特許分類】
   F42D 3/04 20060101AFI20240130BHJP
   F42D 1/08 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
F42D3/04
F42D1/08
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020048871
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021148367
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】504409543
【氏名又は名称】国立大学法人秋田大学
(73)【特許権者】
【識別番号】390037224
【氏名又は名称】日本工機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001890
【氏名又は名称】三和テッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺
(74)【代理人】
【識別番号】100151002
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 剛之
(74)【代理人】
【識別番号】100201673
【弁理士】
【氏名又は名称】河田 良夫
(72)【発明者】
【氏名】神谷 修
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 護
(72)【発明者】
【氏名】村田 健司
(72)【発明者】
【氏名】水間 宏行
(72)【発明者】
【氏名】岩間 祐一
(72)【発明者】
【氏名】中津 雅延
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-067956(JP,A)
【文献】実開平02-045400(JP,U)
【文献】実開昭58-148500(JP,U)
【文献】特開平11-173800(JP,A)
【文献】実開昭61-115897(JP,U)
【文献】特開昭58-153100(JP,A)
【文献】特開2018-162168(JP,A)
【文献】特開2002-086441(JP,A)
【文献】特開2005-246511(JP,A)
【文献】特開2007-283183(JP,A)
【文献】特開2005-030710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F42D 3/04
F42D 1/08
E21D 1/00
E21D 1/03
E21D 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記装置本体の姿勢を変化させることが可能な少なくとも3以上の脚と、
破砕対象となる構造物を削孔する削孔装置と、
非火薬破砕組成物である破砕材を、前記削孔装置により前記構造物に生成された穴に投入する投入装置と、
前記破砕材を保持する保持装置と、
を有し、
前記保持装置は、
複数の前記破砕材を積み重ねて収納する保持筒と、
前記保持筒の内部に入り込み、前記保持筒の内部に収納された複数の前記破砕材のうち、最下層の破砕材を支持する位置と、前記保持筒の内部から退避して、前記最下層の破砕材を前記保持筒の下端部から排出させる位置との間で移動する第1の支持部材と、
を含むことを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項2】
請求項1に記載の破砕材装填装置において、
前記少なくとも3本の脚は、伸縮可能で、且つ、前記装置本体に対する角度を変更可能とすることで、前記装置本体の姿勢を変化させるだけでなく、前記装置本体を移動させることが可能であることを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の破砕材装填装置において、
前記装置本体は、前記構造物に対する前記削孔装置の相対位置を変化させる第1の移動装置を有し、
前記第1の移動装置は、
前記削孔装置を固定する移動台と、
前記移動台を移動させる駆動部と、
前記移動台の移動方向を規制する規制部と、
を含む
ことを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の破砕材装填装置において、
前記保持装置は、
前記保持筒の内部に入り込み、前記最下層の破砕材の上方に位置する破砕材を支持する位置と、前記保持筒の内部から退避して、前記支持した破砕材を前記保持筒の内部に入り込んだ前記第1の支持部材に向けて送り出す、前記第1の支持部材の上方に配置された第2の支持部材を、さらに有することを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の破砕材装填装置において、
前記保持筒は、前記破砕材から引き出される発破母線が挿通される、前記保持筒の長手方向に沿ったスリットを有することを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の破砕材装填装置において、
前記投入装置は、
前記保持装置から排出された前記破砕材を把持する一対の挟持片と、
前記一対の挟持片を前記保持装置の下方に位置する第1位置と、前記削孔装置により前記構造物に生成された穴の上方に前記破砕材を移動させる第2位置との間で移動する移動
機構と、
を有することを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項7】
請求項に記載の破砕材装填装置において、
前記投入装置は、
前記一対の挟持片を、前記破砕材を把持する把持状態と、前記破砕材の把持を解除する解除位置との間で変化させる把持機構を、さらに有することを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項8】
請求項3に記載の破砕材装填装置において、
前記削孔装置は、
駆動時に回転するロッドと、
前記ロッドの先端に固定され、前記ロッドの回転されたときに、前記構造物に押圧されることで、前記構造物を削孔する削孔ビットと、を有し、
前記第1の移動装置は、前記構造物に生成された穴に前記破砕材が投入されたときに、前記削孔装置を前記穴に向けて移動させ、前記削孔ビットによる前記穴に前記破砕材を押し込むことを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項9】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の破砕材装填装置において、
前記構造物に生成された穴に前記破砕材を投入した後、前記穴に填塞材を注入する注入装置を有することを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項10】
装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記装置本体の姿勢を変化させることが可能な少なくとも3以上の脚と、
破砕対象となる構造物を削孔する削孔装置と、
非火薬破砕組成物である破砕材を、前記削孔装置により前記構造物に生成された穴に投入する投入装置と、
を有し、
前記投入装置は、
前記破砕材を所定角度間隔で保持する第1保持部を有する回転盤と、
前記回転盤を回転させる駆動部と、
を有し、
前記回転盤は、前記構造物に生成された穴に前記破砕材を投入した後、前記穴に投入される填塞材を保持する第2保持部を有する、
ことを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項11】
請求項10に記載の破砕材装填装置において、
前記駆動部は、前記第1保持部又は第2保持部のいずれか一方が、前記構造物に生成された穴の上方に配置されるように前記回転盤を回転させることを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項12】
請求項11に記載の破砕材装填装置において、
前記投入装置は、前記構造物に生成された穴の上方に配置された、前記第1保持部に保持された破砕材又は前記第2保持部に保持された填塞材のいずれか一方を押圧する押圧装置を有することを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項13】
請求項10から請求項12のいずれか1項に記載の破砕材装填装置において、
前記投入装置は、前記回転盤を前記削孔装置の移動軌跡上に入り込む第1位置と前記削孔装置の移動軌跡上から退避する第2位置との間で移動させる第2の移動装置を有することを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項14】
装置本体と、
前記装置本体に設けられ、前記装置本体の姿勢を変化させることが可能な少なくとも3以上の脚と、
破砕対象となる構造物を削孔する削孔装置と、
非火薬破砕組成物である破砕材を、前記削孔装置により前記構造物に生成された穴に投入する投入装置と、
を有し、
前記投入装置は、
前記破砕材を所定角度間隔で保持する第1保持部を有する回転盤と、
前記回転盤を回転させる駆動部と、
を有し、
前記投入装置は、前記回転盤を前記削孔装置の移動軌跡上に入り込む第1位置と前記削孔装置の移動軌跡上から退避する第2位置との間で移動させる第2の移動装置を有する、
ことを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項15】
請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の破砕材装填装置において、
前記破砕材から引き出された発破母線と、前記破砕材を点火する着火器に接続された着火線とを結線器に接続する結線装置を有することを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項16】
請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の破砕材装填装置において、
前記破砕材装填装置の各部を制御する制御装置と、
前記制御装置に向けて、前記破砕材装填装置の動作指令を出力する入力部と、
を有することを特徴とする破砕材装填装置。
【請求項17】
請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の破砕材装填装置において、
前記少なくとも3以上の脚、前記削孔装置及び前記投入装置は、防水構造であることを特徴とする破砕材装填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大塊状の岩石やコンクリート壁などの構造物を破砕する際に用いられる破砕材装填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
大雨に伴う斜面崩壊(がけ崩れ・土砂崩れ)、地すべり、土石流の発生や地震により、近隣の家屋や建物の倒壊、交通機関の分断、人命が失われる等の災害が発生する。このような災害の発生時には、土砂にのみ込まれた人命の捜索・救助作業や、土砂の除去、崩壊した建物の撤去等の復旧作業が行われる。災害後の復旧作業では、崩壊した斜面表層部の土砂や、土砂とともに移動した木、大塊状の岩石を除去する作業、倒壊した建物の壁(コンクリート壁等)を運搬可能な大きさに破砕する作業が必要となる。
【0003】
例えば大塊状の岩石やコンクリート壁などを運搬可能な大きさに破砕する方法として、ワイヤーソーによる機械的な切断(特許文献1など参照)、岩盤掘削用のブレーカーによる(打撃)破砕(特許文献2など参照)、ウォータージェットによる切断(特許文献3など参照)の他、爆薬による爆破破砕(特許文献4など参照)等の方法が挙げられる。
【0004】
例えば特許文献1に開示されるワイヤーソーによる機械的な切断や、特許文献2に開示される岩盤掘削用のブレーカーによる破砕では、大塊状の岩石を分割する際に掘削屑や粉塵が大量に発生する他、発生する騒音や振動により周辺環境に多大なる影響を与える。また、特許文献3に開示されるウォータージェットによる切断では、切断粉を含む汚水の処理が問題となる。また、特許文献4に開示される爆薬による爆破破砕は、瞬時に岩石を破砕できることから、施工速度が速く、また、復旧作業の短縮に寄与できる方法である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-086441号公報
【文献】特開2005-246511号公報
【文献】特開2007-283183号公報
【文献】特開2005-030710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した復旧作業は、土砂災害により崩壊した箇所で行われることが多い。例えばワイヤーソーによる機械的な切断、岩盤掘削用のブレーカーによる(打撃)破砕、ウォータージェットによる切断を採用する場合には、付帯設備や大型の重機の設置箇所を確保する必要がある。したがって、これら方法では、施工開始から施工終了までに多大なる時間を必要とする。また、斜面崩壊により崩れた大塊状の岩石や崩壊した建物のコンクリート壁が安定していない場合もあることから、作業者が大塊状の岩石やコンクリート壁の近傍で作業することは危険を伴う作業となる。
【0007】
一方、爆薬による爆破破砕は、破砕対象となる岩石やコンクリート壁に穿孔した後、爆薬を埋め込む作業を必要とする。したがって、作業者がハンドドリルを用いて、又はクレーンに搭載された削岩機を用いて、破砕対象となる岩石やコンクリート壁に穿孔した後、爆薬を埋め込む作業を行うことになる。しかしながら、災害が発生した箇所において、爆薬による爆破破砕を行うことは二次災害を引き起こす可能性が高い。また、他の方法と同様に、クレーンを設置できない場合には、作業者により、破砕対象となる岩石やコンクリート壁が安定した状態にあるか否かを確認しながらの作業となり、危険を伴う作業となる。
【0008】
本発明は斯かる課題に応えるために為されたもので、地震や大雨による土砂崩れや建物崩壊などの災害時に、人員による救助活動や復旧作業が困難な箇所において、復旧作業や救護活動等を行うことを可能にする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記課題を解決するために発明されたものであり、本発明の破砕材装填装置は、装置本体と、前記装置本体に設けられ、前記装置本体の姿勢を変化させることが可能な少なくとも3以上の脚と、破砕対象となる構造物を削孔する削孔装置と、非火薬破砕組成物である破砕材を、前記削孔装置により前記構造物に生成された穴に投入する投入装置と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、前記少なくとも3本の脚は、伸縮可能で、且つ、前記装置本体に対する角度を変更可能とすることで、前記装置本体の姿勢を変化させるだけでなく、前記装置本体を移動させることが可能であることが好ましい。
【0011】
また、前記装置本体は、前記構造物に対する前記削孔装置の相対位置を変化させる第1の移動装置を有し、前記第1の移動装置は、前記削孔装置を固定する移動台と、前記移動台を移動させる駆動部と、前記移動台の移動方向を規制する規制部と、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、前記破砕材を保持する保持装置を有し、前記保持装置は、複数の前記破砕材を積み重ねて収納する保持筒と、前記保持筒の内部に入り込み、前記保持筒の内部に収納された複数の前記破砕材のうち、最下層の破砕材を支持する位置と、前記保持筒の内部から退避して、前記最下層の破砕材を前記保持筒の下端部から排出させる位置との間で移動する第1の支持部材と、を含むことを特徴とする。
【0013】
また、前記保持装置は、前記保持筒の内部に入り込み、前記最下層の破砕材の上方に位置する破砕材を支持する位置と、前記保持筒の内部から退避して、前記支持した破砕材を前記保持筒の内部に入り込んだ前記第1の支持部材に向けて送り出す、前記第1の支持部材の上方に配置された第2の支持部材を、さらに有することを特徴とする。
【0014】
これら場合、前記保持筒は、前記破砕材から引き出される発破母線が挿通される、前記保持筒の長手方向に沿ったスリットを有することが好ましい。
【0015】
また、前記投入装置は、前記保持装置から排出された前記破砕材を把持する一対の挟持片と、前記一対の挟持片を前記保持装置の下方に位置する第1位置と、前記削孔装置により前記構造物に生成された穴の上方に前記破砕材を移動させる第2位置との間で移動する移動機構と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、前記投入装置は、前記一対の挟持片を、前記破砕材を把持する把持状態と、前記破砕材の把持を解除する解除位置との間で変化させる把持機構を、さらに有することを特徴とする。
【0017】
また、前記削孔装置は、駆動時に回転するロッドと、前記ロッドの先端に固定され、前記ロッドの回転されたときに、前記構造物に押圧されることで、前記構造物を削孔する削孔ビットと、を有し、前記第1の移動装置は、前記構造物に生成された穴に前記破砕材が投入されたときに、前記削孔装置を前記穴に向けて移動させ、前記削孔ビットによる前記穴に前記破砕材を押し込むことを特徴とする。
【0018】
また、前記構造物に生成された穴に前記破砕材を投入した後、前記穴に填塞材を注入する注入装置を有することが好ましい。
【0019】
また、前記投入装置は、前記破砕材を所定角度間隔で保持する第1保持部を有する回転盤と、前記回転盤を回転させる駆動部と、を有することを特徴とする。
【0020】
この場合、前記回転盤は、前記構造物に生成された穴に前記破砕材を投入した後、前記穴に投入される填塞材を保持する第2保持部を有することが好ましい。
【0021】
また、前記駆動部は、前記第1保持部又は第2保持部のいずれか一方が、前記構造物に生成された穴の上方に配置されるように前記回転盤を回転させることが好ましい。
【0022】
さらに、前記投入装置は、前記構造物に生成された穴の上方に配置された、前記第1保持部に保持された破砕材又は前記第2保持部に保持された填塞材のいずれか一方を押圧する押圧装置を有することを特徴とする。
【0023】
また、前記投入装置は、前記回転盤を前記削孔装置の移動軌跡上に入り込む第1位置と前記削孔装置の移動軌跡上から退避する第2位置との間で移動させる第2の移動装置を有することを特徴とする。
【0024】
なお、前記破砕材から引き出された発破母線と、前記破砕材を点火する着火器に接続された着火線とを結線器に接続する結線装置を有することが好ましい。
【0025】
また、前記破砕材装填装置の各部を制御する制御装置と、前記制御装置に向けて、前記破砕材装填装置の動作指令を出力する入力部と、を有することを特徴とする。
【0026】
また、前記少なくとも3以上の脚、前記削孔装置及び前記投入装置は、防水構造であることを特徴とする。なお、防水構造とすることで、降雨下での作業や、水深数m程度の河川や海岸に浸水する構造物に対しての作業が可能となる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、地震や大雨による土砂崩れや建物崩壊などの災害時に、人員による救助活動や復旧作業が困難な箇所において、復旧作業や救護活動等を行うことを可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本実施形態の破砕材装填装置の前面側の構成の一例を示す斜視図である。
図2図1に示す破砕材装填装置の後面側の構成の一例を示す斜視図である。
図3】削孔装置近傍の構成を示す斜視図である。
図4】破砕材装填装置を下方から視認したときの削孔装置及びスライド装置の構成の一例を示す図である。
図5】削孔装置及びスライド装置の構成の一例を示す側面図である。
図6】スライド装置により削孔装置が下降した状態を示す側面図である。
図7】カートリッジ及び投入装置の構成の一例を示す斜視図である。
図8】投入装置の状態を示す上面図である。
図9】本実施形態の破砕材装填装置の制御システムの一例を示す機能ブロック図である。
図10】破砕材装填装置を用いて削孔及び破砕材の装填に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】本実施形態の破砕材装填装置を用いて構造物に削孔処理を行ったときのカートリッジ及び投入装置の近傍を示す図である。
図12】構造物に対して削孔した穴に破砕材を落下させた状態を示す図である。
図13】穴に落下した破砕材を削孔装置にて押し込む状態を示す図である。
図14】填塞材を内包したケースを固定した破砕材を用いて、破砕材を閉塞する流れの一例を示す図である。
図15】別の実施形態における投入装置の一例を示す説明図である。
図16】回転盤の構成の一例を示す図である。
図17】(a)第1保持部における破砕材の保持状態を示す断面図、(b)破砕材がロッドに押圧されたときの状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本実施形態の破砕材装填装置について、図面を用いて説明する。本発明の破砕材装填装置は、例えば斜面崩壊により露呈された大塊状の岩石、倒壊した建物のコンクリート壁、或いは、撤去する建造物の床面などを破砕する際に用いられ、これら構造物の穿孔、穿孔箇所への破砕材の投入を行う装置である。なお、本実施形態に示す破砕材装填装置10の主要部の材質は、一般的な鋼材も使用可能であるが、例えば作業場所における電磁場の影響を受けない、アルミニウムやチタンなどの金属、又はFRP(Fiber Reinforced Plastics)やCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)などの繊維強化プラスチックの複合素材である。
【0030】
また、本実施形態に示す破砕材装填装置10は、後述する3本の脚16、削孔装置17及び投入装置20は、少なくとも防水構造である。これら装置を防水構造とすることで、降雨下での作業や、水深数m程度の河川や海岸、地下構造物に対しての作業が可能となる。また、この他に、破砕材装填装置10を用いた作業後に、破砕材装填装置10に付着した岩粉、コンクリート粉などを例えば流水により洗浄や、高圧洗浄を行うことができる。
【0031】
図1は、破砕材装填装置の前面側の構成を示す斜視図、図2は、破砕材装填装置の後面側の構成を示す斜視図である。なお、本実施形態において、破砕材装填装置が有する削孔装置が視認される向きを前面側とし、該削孔装置が視認できない向きを後面側として説明する。なお、図1及び図2においては、図の煩雑さを防止するために、装置の主要構成のみを開示し、ケーブル、エアホース等は省略している。
【0032】
破砕材装填装置10は、装置本体15、3本の脚16、削孔装置17、スライド装置(図4参照)18、カートリッジ(請求項に記載の保持装置に相当)19、投入装置20等を含む。
【0033】
装置本体15は、上部プレート25、下部プレート26、6本の連結部材27、保持部材28等を含む。
【0034】
上部プレート25は、略六角形状の板部材である。上部プレート25は、上面の外周縁部にリングボルト30及び軸支部材31を有する。リングボルト30は、破砕材装填装置10を吊り下げる際のフック(図示省略)を取り付ける部材である。このリングボルト30は、例えば120°間隔で上部プレート25の上面に配置される。軸支部材31は、脚の上端部を軸支する部材である。軸支部材31は、例えば120°間隔で上部プレート25の上面に配置される。なお、リングボルト30の設置数は、3に限定される必要はなく、4以上であってもよい。また、軸支部材31の設置数は、脚16の本数に合わせて設置されるものであり、脚16の本数が4以上であれば、脚16の本数に合わせた数、上部プレート25に設置される。
【0035】
下部プレート26は、中心が開口された略八角形状の板部材である。以下、開口部分に符号26aを付して説明する。下部プレート26は、下面側に、スライド装置18を保持するベース部材54を有する。
【0036】
連結部材27は、例えば円柱形状の部材である。連結部材27は、軸方向における一端部を上部プレート25に、他端部を下部プレート26に各々固定する。なお、本実施形態では、6本の連結部材27を用いて上部プレート25と下部プレート26とを連結する場合を説明する。なお、上部プレート25と下部プレート26とを連結する連結部材27の本数は、6本に限定される必要はない。
【0037】
6本の連結部材27のうち隣り合う2本の連結部材27に跨って、軸支部材32が設けられる。軸支部材32は、連結部材27の軸方向における中央近傍に配置される。軸支部材32は、後述する伸縮アーム38の一端部を軸支する。なお、本実施形態では、6本の連結部材27を用いているので、軸支部材32は、隣り合う2本の連結部材27に跨って3箇所に設けられる。
【0038】
保持部材28は、上部プレート25の下面側に、下部プレート26に向けて延出した状態で設けられる。保持部材28は、スライド装置18の駆動源となるエアシリンダ50を保持する。
【0039】
脚16は、上脚部33、エアシリンダ34、下脚部35を有する。上脚部33は、上端部を上部プレート25の軸支部材31に軸支する。また、上脚部33は、軸方向における中心よりも下方側に軸支部33aを有する。軸支部33aは、伸縮アーム38の他端部を軸支する。
【0040】
エアシリンダ34は、上脚部33の下端部に固定されるシリンダ本体36と、下脚部35の上端部を固定するロッド37とを有する。上脚部33と下脚部35との間にエアシリンダ34を配置することで、エアシリンダ34のロッド37の伸縮により下脚部35が脚16の長手方向に移動する。その結果、脚16の全体長が変化する。
【0041】
伸縮アーム38は、例えば内部に設けられたモータ145(図9参照)の回転によりスクリューが回転することで、伸縮アーム38の全体長が変化する。上述したように、伸縮アーム38は、一端部を上部プレート25に設けた軸支部材32に、他端部を脚16の上脚部33の軸支部33aに、各々軸支する。したがって、伸縮アーム38の伸縮により、脚16は、その長手方向と、装置本体15の連結部材27の長手方向とのなす角度が変化する。
【0042】
本実施形態では、脚16の全体長、及び脚16の長手方向と装置本体15の連結部材27の長手方向とのなす角度を、脚毎に変化させることで、破砕材装填装置10の姿勢を変化させるだけでなく、破砕材装填装置10を所定方向に移動させることが可能となる。
【0043】
図3に示すように、削孔装置17は、圧縮空気の供給によりロッド17a及びロッド17aの先端に固定した削孔ビット17bを回転させて、対象箇所となる岩石、又はコンクリート壁を削孔する装置である。削孔装置17は、移動台39に固定される。なお、削孔装置17は、ロッド17aの軸方向とスライド装置18における移動台39の移動方向とが一致するように、移動台39に固定される。
【0044】
削孔装置17は、移動台39の台座40に立設した突部41,42と、該突部41,42の下方に立設した突部43との間にハンドル17cを挿入した状態で、各突部41,42,43に跨って保持プレート44を固定することで、削孔装置17が移動台39から脱落することを防止している。また、削孔装置17は、ハンドル17cとは反対側の端部を、移動台39に設けた支持部材45と、支持部材45に固定される固定部材46とによって支持される。これにより、削孔装置17は、ロッド17aの軸方向が上下方向となるように位置決め保持される。なお、支持部材45は、移動台39に一体でもよいし、移動台39に固定されるものであってもよい。
【0045】
図3から図5に示すように、スライド装置(請求項に記載の第1の移動装置に相当)18は、上記移動台39の他に、エアシリンダ(請求項に記載の駆動部に相当)50、ガイドプレート(請求項に記載の規制部に相当)51及びガイドブラケット(請求項に記載の規制部に相当)52,53を含む。エアシリンダ50は、シリンダ本体50aと、ロッド50bとを有する。シリンダ本体50aは、上部プレート25の下面に設けられた保持部材28に吊設される。シリンダ本体50aが保持部材28に吊設された状態では、シリンダ本体50aの下端部が下部プレート26の開口26aに挿通された状態となる。ロッド50bは、台座40に固定されたブラケット55を先端に固定する。したがって、図5及び図6に示すように、ロッド50bがシリンダ本体50aから伸張する場合には、ロッド50bが台座40を下方に押圧し、移動台39を下方にスライドさせる。一方、ロッド50bがシリンダ本体50aに縮退する場合には、ロッド50bが台座40を上方に引き上げ、移動台39を上方にスライドさせる。
【0046】
ガイドプレート51は、ベース部材54に設けられる。ガイドプレート51は、幅方向における両端部に円筒形状のガイドポール部51a,51bを有する。ガイドプレート51は、ガイドポール部51a,51bの軸方向が、エアシリンダ50のロッド50bの伸縮方向と一致するようにベース部材54に配置される。
【0047】
ガイドブラケット52は、移動台39の裏面側に、上下2箇所に配置される。ガイドブラケット52は、ガイドプレート51が有するガイドポール部51aが挿通される凹部52aを有する。同様にして、ガイドブラケット53は、移動台39の裏面側に、上下2箇所に配置される。ガイドブラケット53は、ガイドプレート51が有するガイドポール部51bが挿通される凹部53aを有する。
【0048】
ガイドブラケット52の凹部52aにガイドプレート51のガイドポール部51aを、ガイドブラケット52の凹部53aにガイドプレート51のガイドポール部51bを各々挿通させることで、移動台39の移動方向が、ガイドポール部51a,51bの軸方向に規制される。
【0049】
カートリッジ19は、ブラケット55(図1又は図2参照)を介して、ベース部材54の側方に配置される装置である。図7に示すように、カートリッジ19は、保持筒60、支持片61,62,63、連結シャフト64,65、連結片66、ガイドシャフト67、ベース部材68を有する。保持筒60は、軸方向に沿ったスリット60aが前面に形成された円筒形状の部材である。保持筒60は、例えば破砕材80(図8参照)を保持筒60の軸方向(上下方向)に沿って積み重ねた状態で保持する。本実施形態では、保持筒60は、4本の破砕材80を保持する場合を説明する。なお、保持筒60の内部に積み上げて保持する破砕材80の収納数を4本としているが、1~3本でもよいし、5本以上であってもよい。スリット60aは、破砕材80から引き回される発破母線(着火線)が挿通される。
【0050】
保持筒60は、保持筒60の下部に、且つスリット60aが設けられる位置から90°回転した位置に、保持筒60の軸方向に所定の間隔を空けて2箇所に開口60b,60cを有する。開口60b及び開口60cの間隔は、例えば、破砕材80の全長よりも長い間隔に設定される。なお、開口60bは、支持片62の下部に固定されるエアシリンダ71のロッド71a(図11参照)が出入りする。また、開口60cは、支持片63の下部に固定されるエアシリンダ72のロッド72(図11参照)が出入りする。
【0051】
支持片61,62,63は、ベース部材68の上下方向に沿って設けられ、保持筒60及び連結シャフト64,65を保持する。これら支持片61,62,63において、保持筒60のスリット60aに重畳される箇所には、切欠き部61a,62a,63aが各々設けられる。支持片61,62,63が、スリット60aを露呈する切欠き部61a,62a,63aを各々有することで、破砕材が下方に移動したときに破砕材から引き回される発破母線が、支持片61,62,63の各々に引っ掛かることなく、スリット60aに沿って下方に移動することが可能となる。
【0052】
これら支持片61,62,63のうち、支持片62はエアシリンダ(請求項に記載の第2の支持部材に相当)71を固定する。また、支持片63はエアシリンダ(請求項に記載の第1の支持部材に相当)72を固定する。エアシリンダ71は、ロッド71aを開口60bに対して出し入れすることで、ロッド71aにより落下を規制された1本の破砕材を下方に落下させた後、該破砕材の上方に積み重ねた破砕材が連続して落下することを防止する。
【0053】
同様にして、エアシリンダ72は、ロッド72aを開口60cに対して出し入れすることで、ロッド72aにより落下を規制された1本の破砕材を保持筒60の下端部から外部に(下方に)落下させた後、ロッド71aの縮退により落下する1本の破砕材が連続して外部に落下することを防止する。
【0054】
連結片66は、L字形状の部材である。L字形状を構成する連結片66の一片66aは、連結シャフト64,65の上端部を固定する。また、連結片66の他片66bは、ガイドシャフト67の上端部を固定支持する。図示は省略するが、ガイドシャフト67は、例えば保持筒60のスリット60aから引き回される発破母線を螺旋状に巻回する。これにより、保持筒60の内部に積み重ねて収納される破砕材の各々から引き回される発破母線が他の発破母線に絡まることを防止できる。
【0055】
図7及び図8に示すように、投入装置20は、カートリッジ19が有するベース部材68の下部に設けられる。投入装置20は、機構本体75、回転台76、及び挟持片77,78を有する。機構本体75は、ベース部材68に固定される保持板79に固定される。図示は省略するが、機構本体75の内部には、回転台76を回転させる機構(以下、回転機構)が収納される。なお、回転台76の回転機構81(図9参照)は、供給される圧縮空気により回転台76を回転させる機構が挙げられる。
【0056】
回転台76は、機構本体75の内部に収納される回転機構(請求項に記載の移動機構に相当)81により、挟持片77の挟持部77a及び挟持片78の挟持部78aが保持筒60の下方に位置する第1位置(図8(a)参照)と、これら挟持部77a,78aが、削孔装置17の削孔ビット17bの下方(又は削孔した穴155の上方)に位置する第2位置(図8(b)参照)との間で180°回転する。
【0057】
図示は省略するが、回転台76の内部には、挟持片77,78の相対位置を変化させることが可能な機構(以下、把持機構)が収納される。挟持片77,78の把持機構82(図9参照)としては、例えば供給される圧縮空気により挟持片の相対位置を変化させる機構が挙げられる。
【0058】
挟持片77,78は、把持機構82により、破砕材80を挟持することで破砕材を把持する把持状態と、破砕材80の把持を解除する解除状態との間で変化する。挟持片77,78は、他方の挟持片に対して凹形状となるように湾曲した挟持部77a,78aを各々有する。挟持片77,78は、各々の挟持片を他方の挟持片に近づける方向にスライドさせることで、各挟持片77,78の挟持部77a,78aを破砕材80の外周面に当接させた状態で挟持する。
【0059】
次に、本実施形態に用いられる破砕材80について説明する。破砕材80は、例えば低振動・低騒音破砕薬剤ガンサイザー(登録商標、日本工機株式会社製商品名)を用いている。破砕材80は、装填されたガス発生剤を燃焼させることで、高圧ガスを発生させる。ガス発生剤は、火薬類を用いた破砕方法と同じ手順で消費許可を必要とせずに岩盤などを破砕する非火薬破砕組成物である。破砕材80は、以下に示す構成のガス発生剤が用いられる。
【0060】
ガス発生剤の組成及び配合率は、例えばカリウム明礬又はアンモニウム明礬44~55%、酸化第二銅33~44%、アルミニウム9~17%、ステアリン酸カルシウム2.4~2.6%、塩化ビニル1.2~1.8%である。なお、ガス発生剤の粒度は、24タイラーメッシュ通過42タイラーメッシュ止まりの篩分け品、すなわち、粒径が0.35mm~0.71mmの範囲である。上述したガス発生剤は、10cc圧力タンク内で燃焼したときの最大圧力が25MPa程度である。なお、火薬取締法の制限がない使用場所、又は破砕対象の状況によって、ガス発生剤の代わりに、爆薬類、火工品が使用される。
【0061】
図9は、本実施形態における破砕材装填装置を動作させる制御システム100の一例を示す機能ブロック図である。なお、図9においては、制御装置103から、各エアホースに設けた制御弁への制御信号を示す信号線については省略している。また、図9においては、電気信号を示す信号線については点線にて示している。なお、本実施形態の破砕材装填装置は、空気圧による制御により作動する場合を一例として挙げている。しかしながら、破砕材装填装置は、周囲環境に応じて、水圧、油圧などによる制御により作動させることも可能である。
【0062】
制御システム100は、上述した破砕材装填装置10、エアコンプレッサ101,102、制御装置103、操作部104及び表示部105を有する。以下、破砕材装填装置10が有する3本の脚16においては、例えば記号「a」,「b」,「c」を付して説明する。
【0063】
3本の脚16のうち、脚16aのエアシリンダ34aは、エアコンプレッサ101に接続されたエアホース110に接続される。エアホース110は、制御弁111a及び電磁弁112aを有する。制御弁111aは、制御装置103によって開閉制御され、エアコンプレッサ101からの圧縮空気の供給、供給停止を切り替える。電磁弁112aは、エアコンプレッサ101から供給される圧縮空気の流れを切り替える。電磁弁112aによる圧縮空気の流れを切り替えることで、エアシリンダ34aのロッド37aが伸縮する。
【0064】
また、脚16bのエアシリンダ34bは、エアホース110から分岐するエアホース113に接続される。エアホース113は、制御弁111b及び電磁弁112bを有する。制御弁111bは、制御装置103によって開閉制御され、エアコンプレッサ101からの圧縮空気の供給、供給停止を切り替える。電磁弁112bは、エアコンプレッサ101から供給される圧縮空気の流れを切り替える。電磁弁112bによる圧縮空気の流れを切り替えることで、エアシリンダ34bのロッド37bが伸縮する。
【0065】
同様にして、脚16cのエアシリンダ34cは、エアホース110から分岐するエアホース114に接続される。エアホース114は、制御弁111c及び電磁弁112cを有する。制御弁111cは、制御装置103によって開閉制御され、エアコンプレッサ101からの圧縮空気の供給、供給停止を切り替える。電磁弁112cは、エアコンプレッサ101から供給される圧縮空気の流れを切り替える。電磁弁112cによる圧縮空気の流れを切り替えることで、エアシリンダ34cのロッド37cが伸縮する。
【0066】
削孔装置17は、エアコンプレッサ102に接続されるエアホース115に接続される。エアホース115は、制御弁116を有する。制御弁116は、制御装置103によって開閉制御される。したがって、制御弁116が開くことでエアコンプレッサ102からの圧縮空気が削孔装置17に供給され、削孔装置17のロッド17aが一定方向に回転するとともに、ロッド17a及び削孔ビット17bが上下動する(打撃を行う)。ここで、エアコンプレッサ102から削孔装置17に供給される圧縮空気の圧力、流量は、穿孔対象物の材質により適宜調整される。例えば、穿孔対象物が軟質の材質のとき、圧力減少された圧縮空気が削孔装置17に供給される。一方、穿孔対象物が軟質の材質のとき、圧力増加された圧縮空気が削孔装置17に供給される。また、例えば穿孔対象物が河川や海岸、地下などで水没している場合、削孔装置17による削孔作業は、水圧を受けた状態での作業となる。このような場合、供給される圧縮空気の圧力や流量は、穿孔対象物の水圧を勘案して、水没していない場合に比べて増加された圧縮空気が削孔装置17に供給される。
【0067】
スライド装置18は、エアシリンダ50を有する。エアシリンダ50は、エアホース115から分岐するエアホース117に接続される。エアホース117は、制御弁118及び電磁弁119を有する。制御弁118は、制御装置103によって開閉制御され、エアコンプレッサ102からの圧縮空気の供給、供給停止を切り替える。電磁弁119は、エアコンプレッサ102から供給される圧縮空気の流れを切り替える。電磁弁119による圧縮空気の流れを切り替えることで、エアシリンダ50のロッド50bが伸縮する。
【0068】
ここで、エアシリンダ50は、位置センサ120,121を有する。位置センサ120は、ロッド50bがシリンダ本体50aの内部に縮退した位置を検出するセンサである。また、位置センサ121は、ロッド50bがシリンダ本体50aから突出した位置を検出するセンサである。なお、これら位置センサ121から出力される信号は、制御装置103に入力される。
【0069】
カートリッジ19は、エアシリンダ71,72を有する。エアシリンダ71は、エアホース115から分岐するエアホース123に接続される。エアホース123は、制御弁124及び電磁弁125を有する。制御弁124は、制御装置103によって開閉制御され、エアコンプレッサ102からの圧縮空気の供給、供給停止を切り替える。電磁弁125は、エアコンプレッサ102から供給される圧縮空気の流れを切り替える。電磁弁125による圧縮空気の流れを切り替えることで、エアシリンダ71のロッド71aが伸縮する。
【0070】
また、エアシリンダ72は、エアホース115から分岐するエアホース127に接続される。エアホース127は、制御弁128及び電磁弁129を有する。制御弁128は、制御装置103によって開閉制御され、エアコンプレッサ102からの圧縮空気の供給、供給停止を切り替える。電磁弁129は、エアコンプレッサ102から供給される圧縮空気の流れを切り替える。電磁弁129による圧縮空気の流れを切り替えることで、エアシリンダ72のロッド72aが伸縮する。
【0071】
投入装置20は、回転機構81及び把持機構82を有する。回転機構81は、エアホース115から分岐するエアホース131に接続される。エアホース131は、制御弁132及び電磁弁133を有する。制御弁132は、制御装置103によって開閉制御され、エアコンプレッサ102からの圧縮空気の供給、供給停止を切り替える。電磁弁133は、エアコンプレッサ102から供給される圧縮空気の流れを切り替える。電磁弁133による圧縮空気の流れを切り替えることで、回転機構81における回転台76の正逆回転が制御される。
【0072】
ここで、回転機構81は、位置センサ134,135を有する。位置センサ134は、回転台76が第1位置にあることを検出するセンサである。また、位置センサ135は、回転台76が第2位置にあることを検出するセンサである。なお、これら位置センサ134,135から出力される信号は、制御装置103に入力される。
【0073】
把持機構82は、エアホース115から分岐するエアホース137に接続される。エアホース137は、制御弁138及び電磁弁139を有する。制御弁138は、制御装置103によって開閉制御され、エアコンプレッサ102からの圧縮空気の供給、供給停止を切り替える。電磁弁139は、エアコンプレッサ102から供給される圧縮空気の流れを切り替える。電磁弁139による圧縮空気の流れを切り替えることで、把持機構82が有する挟持片77,78が把持状態と解除状態との間で切り替えられる。ここで、把持機構82は、位置センサ140,141を有する。位置センサ140は、挟持片77,78が把持状態にあることを検出するセンサである。また、位置センサ141は、挟持片77,78が解除状態にあることを検出するセンサである。なお、これら位置センサ140,141から出力される信号は、制御装置103に入力される。
【0074】
上述したように、装置本体15と脚16とに両端部が各々軸支される伸縮アーム38は、内部にモータ145を有する。モータ145は、制御装置103により駆動制御される。
【0075】
制御装置103は、3本の脚16とエアコンプレッサ101との間のエアホースに設けた制御弁及び電磁弁の開閉制御、伸縮アーム38に設けたモータ145の回転制御を行う。また、制御装置103は、削孔装置17、スライド装置18、カートリッジ、投入装置とエアコンプレッサ102との間のエアホース115に設けた制御弁116の開閉制御を行う。なお、図示は省略するが、制御装置は、破砕材装填装置10の各部を制御する制御プログラムを記憶する記憶部を有している。制御装置は、該制御プログラムに基づいて、各部を制御する。
【0076】
操作部104は、作業者による入力操作を受けて、破砕材装填装置10の動作指令を制御装置103に向けて出力する。操作部104と制御装置103との間の信号の通信は、有線による通信であってもよいし、無線による通信であってもよい。
【0077】
表示部105は、破砕材装填装置10の動作状態を示す画面や、破砕材装填装置10が有する各部が正常に駆動しているか否かを示す画面を表示する。なお、表示部105は、操作部104と一体としてもよい。
【0078】
本実施形態では、作業者による操作部104の入力操作により破砕材装填装置10を動作させる制御システムとしているが、破砕材装填装置10を自動で動作させる制御システムであってもよい。
【0079】
本実施形態では、3本の脚16に圧縮空気を供給するエアコンプレッサ101と、削孔装置17、スライド装置18、カートリッジ19、投入装置20に圧縮空気を供給するエアコンプレッサ102との2台のエアコンプレッサを設けた場合を説明しているが、破砕材装填装置10が有する各装置に向けて圧縮空気を供給するコンプレッサの数は、1台でもよいし、破砕材装填装置10が有する装置の各々に対応した数設けることも可能である。
【0080】
次に、破砕材装填装置10を用いて、対象となる構造物150に破砕材80を装填する動作について、図10のフローチャートを用いて説明する。なお、図10においては、破砕材装填装置10を破砕対象となる構造物150の上部まで移動させた後の、削孔処理、及び破砕材80の装填処理の流れを示している。
【0081】
なお、詳細は省略するが、破砕材装填装置10は、操作部104の操作により、3本の脚のいずれかの脚の伸縮及び脚の回動を組み合わせることで構造物150の上部まで移動させてもよいし、リングボルト30にワイヤを引っ掛け、該ワイヤをクレーンにより吊り上げ、構造物150の上部に降ろしてもよい。なお、構造物150に対する破砕材装填装置10の姿勢や位置を変更する場合には、操作部104の操作により、3本の脚16のいずれかの脚の伸縮、又は脚の回動を行えばよい。
【0082】
削孔処理は、図10に示すフローチャートのステップS101からステップS107である。
【0083】
ステップS101は、削孔装置を駆動させる処理である。制御装置103は、エアホース115に設けた制御弁116を開き、エアコンプレッサ102からの圧縮空気を削孔装置17に供給する。これにより、削孔装置17のロッド17aが一定方向に回転するとともに、ロッド17a及び削孔ビット17bが上下動する(打撃を行う)。
【0084】
ステップS102は、スライド装置により移動台を下降させる処理である。制御装置103は、エアホース117に設けた制御弁118を開き、同時に、必要に応じて電磁弁119における切替制御を行う。例えば位置センサ120から信号が出力されていれば、制御装置103は、供給される圧縮空気によりロッド50bがシリンダ本体50aから突出されるように、電磁弁119における圧縮空気の流れとなるように制御する。したがって、制御弁118が開くことで、供給される圧縮空気により、ロッド50bがシリンダ本体50aから突出する方向に移動する。これにより、移動台39が下降する(図5及び図6参照)。
【0085】
移動台39の下降の際に、回転する削孔装置17のロッド17a先端に固定された削孔ビット17bが構造物150を押圧し、この押圧の過程で、削孔ビット17bが構造物150を削る(図11参照)。したがって、構造物150に穴155が生成される。
【0086】
ステップS103は、ロッドの位置が検出されたか否かを判定する処理である。制御装置103は、位置センサ121からの信号を取得していない場合には、ステップS103の判定処理の結果をNoとする。この場合、ステップS103の判定処理の結果がYesとなるまで、制御装置103は、ステップS103の判定処理を繰り返し実行する。
【0087】
一方、位置センサ121からの信号を取得した場合、制御装置103は、ステップS103の判定処理の結果をYesとする。この場合、ステップS104に進む。
【0088】
ステップS104は、スライド装置により移動台を上昇させる処理である。制御装置103は、エアホース117に設けた電磁弁119における圧縮空気の切替制御を行う。つまり、制御装置103は、圧縮空気をエアシリンダ50に供給することにより、ロッド50bがシリンダ本体50aの内部に縮退するように、電磁弁119における圧縮空気の流れを切り替える。その結果、ロッド50bがシリンダ本体50aの内部に縮退する。つまり、移動台39が上昇する。
【0089】
ステップS105は、ロッドの位置が検出されたか否かを判定する処理である。制御装置103は、位置センサ120からの信号を取得していない場合には、制御装置103は、ステップS105の判定処理の結果をNoとする。この場合、制御装置103は、ステップS105の判定処理の結果がYesとなるまで、ステップS105の判定処理を繰り返し実行する。
【0090】
一方、位置センサ120からの信号を取得したとき、制御装置103は、ステップS105の判定処理の結果をYesとする。この場合、ステップS106に進む。
【0091】
ステップS106は、移動台を停止する処理である。制御装置103は、エアホース117に設けた制御弁118を閉じる。これにより、スライド装置18への圧縮空気の供給が停止される。これにより、移動台39が停止する。
【0092】
ステップS107は、削孔装置の駆動を停止する処理である。制御装置103は、エアホース115に設けた制御弁116を閉じる。これにより、削孔装置17への圧縮空気の供給が停止される。つまり、削孔装置17の駆動が停止する。
【0093】
上述したステップS101からステップS107による削孔処理の後、破砕材80を装填する処理が行われる。以下、ステップS108からステップS119が破砕材80を装填する処理となる。
【0094】
例えば、破砕材装填装置10のカートリッジ19において、保持筒60の内部には、4本の破砕材80が上下方向に積み上げられた状態で収納されている。4本の破砕材80のうち、最下層の破砕材80は、保持筒60の開口60cから内部に入り込んだエアシリンダ72のロッド72aにより支持されている。また、4本の破砕材80のうち、最下層の破砕材80の上方に位置する破砕材80は、保持筒60の開口60bから内部に入り込んだエアシリンダ71のロッド71aにより支持されている。なお、4本の破砕材80のうち、上部2本の破砕材80は、エアシリンダ71のロッド71aにより支持される破砕材80に積み重ねられた状態で収納されている。このとき、図8(a)に示すように、投入装置20の回転台76は、第1位置に保持され、投入装置20の挟持片77,78は、解除状態に保持されている。
【0095】
ステップS108は、投入装置への破砕材を供給する処理である。制御装置103は、エアホース127に設けた制御弁128を開き、また、電磁弁129による圧縮空気の流れの切替制御を行う。これにより、エアシリンダ72のロッド72aが縮退して保持筒60の内部から退避する。その結果、ロッド72aにより支持された最下層の破砕材80が保持筒60の下端部から落下する。保持筒60の下端部から落下した破砕材80は、解除位置にある挟持片77の挟持部77a及び挟持片78の挟持部78aの間に入り込む(図8(a)参照)。
【0096】
制御装置103は、一定時間経過後、電磁弁129による圧縮空気の流れを切り替える。その結果、エアシリンダ72のロッド72aが伸長して保持筒60の内部へと入り込む。次に、制御装置103は、エアホース123に設けた制御弁124を開き、また、電磁弁125による圧縮空気の流れの切替制御を行う。これにより、エアシリンダ71のロッド71aが縮退し、保持筒60の内部から退避する。その結果、ロッド71aにより支持された破砕材80が落下する。なお、落下する破砕材80は、エアシリンダ72のロッド72aに支持される。制御装置103は、一定時間経過後、電磁弁125による圧縮空気の流れを切り替える。エアシリンダ71のロッド71aが伸長し、保持筒60の内部へと入り込む。その結果、積み重ねた3本の破砕材80のうち、真ん中に位置する破砕材80が、落下する過程で、エアシリンダ71のロッド71aに支持される。
【0097】
ステップS109は、把持片による破砕材を把持する処理である。制御装置103は、エアホース137に設けた制御弁138を開き、また、電磁弁139による圧縮空気の流れの切替制御を行う。これにより、把持機構82が駆動して、挟持片77,78が解除状態から把持状態に変化する。したがって、挟持部77a,78aの間に落下した破砕材80は、挟持片77,78により把持される(図8(b)参照)。
【0098】
ステップS110は、回転台を回転する処理である。制御装置103は、エアホース131に設けた制御弁132を開き、また、電磁弁133による圧縮空気の流れの切替制御を行う。これにより、回転機構81が駆動し、回転台76を第1位置から第2位置に向けて回転させる(図8(c)参照)。
【0099】
ステップS111は、回転台が第2位置まで回転したか否かを判定する処理である。回転台76が第2位置まで回転すると、位置センサ135が回転台76の位置を検出する。検出信号は、制御装置103に出力される。制御装置103は、位置センサ135からの信号を取得していない場合には、制御装置103は、ステップS111の判定処理の結果をNoとする。この場合、制御装置103は、ステップS111の判定処理の結果がYesとなるまで、ステップS111の判定処理を繰り返し実行する。
【0100】
一方、位置センサ135からの信号を取得したとき、制御装置103は、ステップS111の判定処理の結果をYesとする。この場合、ステップS112に進む。
【0101】
ステップS112は、回転台の回転を停止する処理である。制御装置103は、制御弁132を閉じる。その結果、回転機構81への圧縮空気の供給が停止される。したがって、回転台76の回転が停止され、回転台76が第2位置で保持される。
【0102】
ステップS113は、挟持片により破砕材の把持を解除する処理である。制御装置103は、エアホース137に設けた制御弁138を開き、また、電磁弁139による圧縮空気の流れの切替制御を行う。これにより、把持機構82が駆動して、挟持片77,78が把持状態から解除状態に変化する。その後、制御装置103は、制御弁138を閉じる。その結果、挟持片77,78が解除状態で保持される(図8(d)参照)。例えば第2位置は、挟持片77,78によって挟持される破砕材80の中心位置と、構造物150に生成される穴155の中心位置とが一致している。したがって、挟持片77,78が把持状態から解除状態に変化すると、把持された破砕材80が穴155に向けて落下する(図12参照)。
【0103】
ステップS114は、回転台を回転させる処理である。制御装置103は、エアホース131に設けた制御弁132を開き、また、電磁弁133による圧縮空気の流れの切替制御を行う。これにより、回転機構81が駆動して、回転台76が第2位置から第1位置に向けて回転する。
【0104】
ステップS115は、回転台が第1位置まで回転したか否かを判定する処理である。回転台76が第1位置まで回転すると、位置センサ134が回転台76の位置を検出し、その信号が制御装置103に出力される。位置センサからの信号を取得していない場合には、制御装置103は、ステップS115の判定処理の結果をNoとする。この場合、制御装置103は、ステップS115の判定処理の結果がYesとなるまで、ステップS115の判定処理を繰り返し実行する。一方、位置センサからの信号を取得した場合、制御装置103は、ステップS115の判定処理の結果をYesとする。この場合、ステップS116に進む。
【0105】
ステップS116は、回転台の回転を停止する処理である。制御装置103は、制御弁132を閉じる。その結果、回転機構81への圧縮空気の供給が停止される。したがって、回転台76の回転が停止され、回転台76が第1位置で保持される。
【0106】
ステップS117は、スライド装置により移動台を下降させる処理である。制御装置103は、エアホース117の制御弁118を開放し、電磁弁119における切替制御を行う。これにより、スライド装置18のエアシリンダ50に圧縮空気が供給される。その結果、エアシリンダ50のロッド50bが伸張し、移動台39が下降する。この下降の際に、削孔装置17のロッド17aの先端に固定される削孔ビット17bが、破砕材80を押圧して、破砕材80を穴155の内部に押し込む(図13参照)。
【0107】
ステップS118は、所定時間経過したか否かを判定する処理である。制御装置103は、スライド装置18により移動台39を下降させてからの経過時間を計測している。例えば破砕材装填装置10の姿勢が一定であれば、移動台39が下降する移動量は一定である。また、構造物150に生成した穴155に装填される破砕材80の長さは一定である。したがって、削孔装置17の削孔ビット17bにて破砕材80を穴155に押し込む場合には、移動台39に設置される削孔装置17は、破砕材80の長さ分下降しない。したがって、エアシリンダ50が有する位置センサ121では、ロッド50bの位置を検出することが不可能である。したがって、制御装置103では、移動台39を下降させてからの経過時間を計測し、その経過時間が、破砕材80を穴155に押し込んだと想定される所定時間を経過したか否かを判定する。経過時間が所定時間経過していない場合には、制御装置103は、ステップS118の判定処理の結果をNoとする。この場合、制御装置103は、ステップS118の判定処理の結果がYesとなるまで、ステップS118の判定処理を繰り返し実行する。
【0108】
一方、経過時間が所定時間経過していない場合には、制御装置103は、ステップS118の判定処理の結果をYesとする。この場合、ステップS119に進む。
【0109】
ステップS119は、スライド装置により移動台を上昇させる処理である。制御装置103は、エアホース117に設けた制御弁118を開放し、必要に応じて電磁弁119における切替制御を行う。制御装置103は、制御弁118を開くことで供給される圧縮空気によりロッド50bがシリンダ本体50aに縮退する際の圧縮空気の流れとなるように、電磁弁119を切替制御する。これにより、ロッド50bがシリンダ本体50aに縮退する方向に移動する。これにより、移動台39が上昇する。
【0110】
ステップS120は、ロッドの位置が検出されたか否かを判定する処理である。制御装置103は、位置センサ120からの信号を取得していない場合には、ステップS120の判定処理の結果をNoとする。この場合、制御装置103はステップS120の判定処理の結果がYesとなるまで、ステップS120の判定処理を繰り返し実行する。
【0111】
一方、位置センサ120からの信号を取得した場合、制御装置130は、ステップS120の判定処理の結果をYesとする。この場合、ステップS121に進む。
【0112】
ステップS121は、スライド装置を停止する処理である。制御装置103は、制御弁118を閉じる。これにより、スライド装置18への圧縮空気の供給が停止される。これにより、スライド装置18が停止する。
【0113】
このステップS108からステップS121の処理を行うことで、破砕材80が構造物150に生成した穴155に投入される。
【0114】
なお、破砕材80を投入した後に、破砕材80が投入された穴155に、エポキシ樹脂やコンクリート、或いはコンクリートモルタルなどの填塞材が注入される。填塞材が注入されることで、破砕材80が投入された穴155が閉塞される。填塞材の注入の後、破砕材装填装置10を回収、又は他の位置へと移動させて、構造物150の穴155に投入した破砕材80を点火する。これにより、構造物150が破砕される。
【0115】
なお、填塞材の注入は、破砕材装填装置10に設けた注入装置によって行ってもよいし、破砕材装填装置10とは異なる装置により行ってもよい。
【0116】
また、破砕材80が投入された穴155を閉塞する方法として、以下の方法が挙げられる。図14(a)に示すように、構造物150の穴155に投入する破砕材200は、破砕材本体201と、填塞材203を内包したケース202とを含む。破砕材本体201は、本実施形態の破砕材80と同一である。ケース202は、破砕材本体201の上端部に固定される。ケース202は、例えばラプチャーディスク202aを上端部に有する。ケース202は、蛇腹構造を有するなど、削孔装置に押し潰されたときに、填塞材203が容易に外部に流れ出る構造であることが好ましい。ラプチャーディスク202aは、例えば破裂板に加わる圧力値が所定の圧力値に到達した場合に破裂するものである。なお、填塞材203は、空気や水に触れると硬化を開始する反応性樹脂、2つの成分の混合により硬化を開始する反応性樹脂などが好ましい。また、填塞材203は、ケース202から構造物150の孔155と破砕材本体201との間に流れ込んだ後で硬化されるような軟質な材料であることが好ましい。
【0117】
上述した破砕材200は、本実施形態の破砕材80と同様に、破砕材装填装置10のカートリッジ19に装填され、投入装置20により構造物150の穴155に投入される(図14(a)参照)。その後、削孔装置17が下降する。このとき、削孔装置17は駆動している。したがって、図14(b),図14(c)に示すように、削孔装置17は、自装置の下降とともに、ケース202のラプチャーディスク202aを破壊し、さらに、ケース202を下方に押しつぶす。ケース202が押し潰されることで、填塞材203が、ケース202の上端部の開口(図示省略)から外部に流れ出す。填塞材203は、破砕材201と構造物150の穴155との間の隙間に流れ込み、硬化する。つまり、填塞材203は、破砕材201を覆うように硬化する(図14(c)参照)。なお、押し潰されたケース202は、硬化した填塞材203に内包される。
【0118】
また、異なる方法として、破砕材及び填塞材は、破砕材、填塞材の順で構造物の穴に投入することも可能である。この場合、填塞材は、一例としてARケミカルセッター(登録商標、旭化成株式会社製)である。填塞材は、例えば主材となる合成樹脂材(一例としてエポキシアクリレート樹脂)を内包した管部と、管部の外周部分に所定間隔を開けて全集に亘って巻き付けられた硬化剤とを有する。この填塞材は、管部を破壊すると、管部内の主材と管部外部の硬化剤とが混合され、硬化を開始する。この填塞材を用いた場合も、削孔装置による管部の破壊が必要となる。なお、破砕材及び填塞材を破砕材、填塞材の順で投入する場合、破砕材及び填塞材は、下方から、破砕材、填塞材の順となるように、交互に1つのカートリッジに装填される。また、破砕材を収納するカートリッジと、填塞材を収納するカートリッジとの2つのカートリッジを設けてもよい。
【0119】
このように、本実施形態では、破砕材装填装置10の要部の材質として、例えば作業箇所における電磁場などの影響を受けない、例えばアルミニウムやチタンなどの金属を用い、また、破砕材装填装置10が有する各装置を圧縮空気を用いて駆動させるようにしているので、例えば電磁場が発生している作業現場において構造物を破砕する準備を容易に、また、迅速に行うことができ、また、爆薬を用いなくとも、構造物の破砕を行うことが可能となる。したがって、災害現場において二次災害を防止することが可能となる。さらに、本実施形態の破砕材装填装置では、脚の伸縮及び装置本体に対して回動させることで、装置の姿勢を変化させることも可能であるので、足場が悪い作業箇所の作業も可能となる。
【0120】
また、本実施形態の破砕材装填装置10では、構造物150に生成される穴155に装填された破砕材80からの発破母線の処理については詳細には記載していない。例えば破砕材80から引き回される発破母線が長い場合、破砕材80からの発破母線は、着火器(図示省略)に直接接続することができる。一方、破砕材80から引き回される発破母線が短い場合には、破砕材からの発破母線は、着火器(発破器)からの母線に、例えば防水コネクターなどの結合器を用いて接続される。また、複数箇所に破砕材を装填した場合には、複数の破砕材は、直列に接続してもよいし、並列に接続してもよい。なお、防水コネクターなどの結合器を用いる場合、破砕材からの発破母線と着火器からの母線とを結合器にて結合するためのコネクター接続機構が破砕材装填装置に必要となる。
【0121】
なお、防水コネクターなどの結合器は、電磁波(ベータ線、ガンマ線)や漏洩電流が影響する、又はその虞がある領域内での使用には適していない。したがって、例えば実開昭61-115897号公報に開示される電磁誘導発破用の電磁結合器を用いることも可能である。この公報に開示される電磁結合装置は、複数の破砕材からの発破母線をまとめて着火器からの母線に結合できるので便利である。
【0122】
本実施形態では、1つの削孔装置17を有する破砕材装填装置10を一例として取り上げているが、削孔装置17の数は、2以上でもよい。なお、図示は省略するが、2以上の削孔装置を破砕材装填装置に設ける場合には、各削孔装置に対応して、スライド装置を設ける必要がある。この場合、投入装置やカートリッジの数は、各削孔装置に対応して設けてもよいし、1つの投入装置やカートリッジを用いて、各削孔装置により生成した構造物の穴に対して破砕材を投入するようにしてもよい。
【0123】
本実施形態では、カートリッジ19の保持筒60の内部に積み重ねて収納した複数の破砕材80のうち、最下層の破砕材80を投入装置20の把持機構82によって把持した状態で、構造物150に生成された穴155の上方に移動させて、該穴155に破砕材80を落下させる構成としている。しかしながら、投入装置の構成は、本実施形態に限定されるものではなく、以下に示す構成としてもよい。
【0124】
図15に示すように、投入装置160は、回転盤161、押圧装置162、スライド装置(請求項に記載の第2の移動装置に相当)163を有する。図16に示すように、回転盤161は、破砕材165を保持する第1保持部161aと、填塞材166を保持する第2保持部161bを有する。なお、図16においては、回転盤161は、第1保持部161aを90°間隔で配置し、第2保持部161bを隣り合う第1保持部161aの間に配置している。回転盤161は、第1保持部161aから回転盤161の外周縁に向けてスリット161cを有する。スリット161cは、第1保持部161aに保持した破砕材165から引き回される発破母線を挿通するものである。
【0125】
図17(a)に示すように、第1保持部161aの内周面には、第1保持部161aの中心に向けて付勢する板ばね167が少なくとも2箇所に設けられる。この板ばね167は、破砕材165を第1保持部161aに装着したときに、破砕材165の外周面を押圧するとともに、破砕材165の外周面に設けられた溝部165aに入り込むことで、破砕材165を第1保持部161aに保持することを可能とする。なお、図17(b)に示すように、板ばね167は、後述する押圧装置162のロッド173の伸長により、破砕材165が押圧されたときに、自身の付勢力に抗して変形して、破砕材165の溝部165aから退避する。したがって、破砕材165が第1保持部161aから落下する。なお、図示は省略するが、第2保持部161bにも、第1保持部161aと同様に、破砕材を保持する板ばねが設けられる。
【0126】
図15に戻って、回転盤161は、駆動モータ167により回転する。なお、駆動モータとしては、例えばサーボモータが挙げられる。駆動モータ167は回転盤を回転させることで、第1保持部161a又は第2保持部161bを、構造物に生成される穴の上方(又は削孔装置17における削孔ビット17bの下方)に移動させる。
【0127】
押圧装置162は、例えばエアシリンダである。押圧装置162は、エアコンプレッサ170とエアホース171を介して接続される。押圧装置162は、電磁弁172により圧縮空気の流れを切り替えることで、ロッド173を伸縮させる。例えばロッド173が伸長したときには、第1保持部161aに保持された破砕材165、又は第2保持部161bに保持された填塞材166を下方に押圧する。なお、押圧装置162は、回転盤161が削孔装置17の移動軌跡上にあるときには、ロッド173と、削孔装置17のロッド17a及び削孔ビット17bとが同軸となる位置に配置される。図15中、符号174は、制御弁である。なお、上述した回転盤161、押圧装置162及び駆動モータ167はユニット化されており、スライド装置によって、ユニット全体がスライドできるようになっている。
【0128】
スライド装置163は、エアコンプレッサ170とエアホース176を介して接続される。スライド装置163は、電磁弁177により圧縮空気の流れを切り替えることで、上述した回転盤161、押圧装置162及び駆動モータ167を、削孔装置17の移動軌跡上に入り込む位置(図15中二点鎖線にて示す位置)と、削孔装置17の移動軌跡から退避する位置(図15中一点鎖線にて示す位置)との間で移動させる。
【0129】
スライド装置は、位置センサ178,179を有する。位置センサ178は、回転盤161、押圧装置162及び駆動モータ167が、削孔装置17の移動軌跡上に入り込む位置に移動したことを検知するセンサである。位置センサ179は、削孔装置17の移動軌跡から退避する位置に移動したことを検知するセンサである。これら位置センサ178,179からの信号は、制御装置180に出力される。これを受けて、制御装置180は、制御弁174の開閉制御や電磁弁177の切替制御を行う。
【0130】
なお、このような装置を用いた場合には、回転盤161、押圧装置162及び駆動モータ167を、削孔装置17の移動軌跡から退避させて、削孔装置17による構造物の削孔処理を実行し、削孔処理が終了したことを受けて、回転盤161、押圧装置162及び駆動モータ167を、削孔装置17の移動軌跡上に移動させればよい。そして、必要に応じて、回転盤161を回転させて、破砕材165の投入及び填塞材166の投入を行うことができる。なお、填塞材166を穴に投入した後、回転盤161、押圧装置162及び駆動モータ167を退避させて、削孔装置17を下降させて、填塞材166を穴に押し込む処理を行えばよい。
【0131】
この場合、破砕材165からの発破母線の処理については、例えば破砕材165から引き回される発破母線が長い場合には、例えば作業者が手作業により、着火器(図示省略)に直接、或いは、着火器からの母線と破砕材から引き回される発破母線とを結線器に接続すればよい。また、発破母線が短い場合には、例えば、着火器からの母線と、破砕材165から引き回される発破母線とを自動的に結線する結線器を破砕材装填装置に設け、着火器からの母線と、破砕材165から引き回される発破母線とを自動的に結線すればよい。
【0132】
なお、この実施形態では、回転盤、駆動モータ及び押圧装置をスライドさせているが、これら装置を削孔装置の移動軌跡から退避させればよいので、回転盤、駆動モータ及び押圧装置をスライドさせるのではなく、これら装置を回動させる、又はこれら装置を反転させることも可能である。
【0133】
また、本実施形態における破砕材装填装置は、破砕材装填装置の一部(脚、削孔装置など)が水中に没した状態での作業を行うことも可能である。このような作業を行う場合には、破砕材装填装置全体に働く浮力を打ち消すウエイト(錘)を脚の先端部等に取り付けることが好ましい。破砕材装填装置にウエイトを取り付けることで、破砕材装填装置の重心を下げることができ、その結果、安定した作業を行うことも可能である。
【符号の説明】
【0134】
10…破砕材装填装置、15…装置本体、16…脚、17…削孔装置、17b…削孔ビット、18,163…スライド装置、19…カートリッジ、20,160…投入装置、77,78…挟持片、80,165…破砕材、81…回転機構、82…把持機構、161…回転盤、162…押圧装置、166…填塞材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17