(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】無線通信装置および無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04W 40/02 20090101AFI20240130BHJP
H04W 84/18 20090101ALI20240130BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20240130BHJP
【FI】
H04W40/02
H04W84/18
H04W88/04
(21)【出願番号】P 2020087887
(22)【出願日】2020-05-20
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】國立 忠秀
(72)【発明者】
【氏名】細川 元気
【審査官】谷岡 佳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-048119(JP,A)
【文献】特表2020-504579(JP,A)
【文献】特開2018-195879(JP,A)
【文献】特開2019-161371(JP,A)
【文献】特開2018-056669(JP,A)
【文献】大場 貴斗 他,電子情報通信学会2020年総合大会講演論文集 通信2,2020年03月,p.79,B-6-79
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24-7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミリ波を使用してミリ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、マイクロ波を使用してマイクロ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、ミリ波を使用して通信データの送受信が可能な無線通信装置であって、前記無線通信装置が前記通信データの送信元無線通信装置として機能する場合には、
前記通信データの宛先である宛先無線通信装置の識別情報を宛先ノード情報として格納し、前記送信元無線通信装置の識別情報を送信元ノード情報として格納し、上位中継無線通信装置の識別情報を中継ノード情報として格納したマイクロ波ルート探索パケットをマイクロ波で送信するマイクロ波送信部と、
前記上位中継無線通信装置の識別情報が送信元ノード情報として格納され、前記送信元無線通信装置の識別情報が宛先ノード情報として格納されたミリ波ルート探索パケットをミリ波で受信するミリ波受信部と、
前記ミリ波ルート探索パケットの中でミリ波ルート探索パケット情報から取得できるルート情報が最短のミリ波ルート探索パケットを抽出する最短経路抽出部と、
前記宛先無線通信装置の識別情報を宛先ノード情報として格納し、前記送信元無線通信装置の識別情報を送信元ノード情報として格納し、最短のルート情報を含む前記ミリ波ルート探索パケットを前記送信元無線通信装置に最後に送信した無線通信装置の識別情報を中継ノード情報として格納した、前記通信データを含む通信パケットを、前記最後に送信した無線通信装置にミリ波で送信するミリ波送信部と、を含み、
前記ミリ波受信部が前記ミリ波ルート探索パケットを受信した場合に前記ミリ波ルート探索パケットに対する応答パケットを送信しない無線通信装置。
【請求項2】
ミリ波を使用してミリ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、マイクロ波を使用してマイクロ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、ミリ波を使用して通信データの送受信が可能な無線通信装置であって、前記無線通信装置が上位中継無線通信装置として機能する場合には、
前記マイクロ波ルート探索パケットをマイクロ波で受信するマイクロ波受信部と、
受信した前記マイクロ波ルート探索パケットの中継ノード情報が自ノードに該当する場合には、宛先ノード情報として前記マイクロ波ルート探索パケットの送信元ノードの識別情報を格納し、送信元ノード情報として自ノードの識別情報を格納し、中継ノード情報は無しとした前記ミリ波ルート探索パケットをミリ波でブロードキャストするミリ波送信部と、
ミリ波ルート探索パケットをミリ波で受信するミリ波受信部を含み、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードである場合には、前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報、および、中継ノード情報が格納されている場合には当該中継ノード情報をルート情報として記憶部に記憶し、受信した前記ミリ波ルート探索パケットに対する応答パケットを送信せず、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報が自ノードである場合には、受信したミリ波ルート探索パケットを無視し、
前記ミリ波受信部で受信された通信データの宛先ノード情報が自ノードではない場合には、前記記憶部に記憶されているルート情報の宛先ノード情報から、前記通信データの宛先ノード情報と同一の宛先ノード情報を有するルート情報を抽出し、前記ミリ波送信部が前記ルート情報に従って、前記通信データを送信する無線通信装置。
【請求項3】
前記無線通信装置が前記通信データの宛先無線通信装置として機能する場合には、
前記マイクロ波ルート探索パケットを受信するマイクロ波受信部と、
前記マイクロ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードに該当する場合には、宛先ノード情報として上位中継無線通信装置の識別情報を格納し、送信元ノード情報として自ノードの識別情報を格納し、中継ノード情報は無しとしたミリ波ルート探索パケットをミリ波でブロードキャストするミリ波送信部と、
ミリ波受信部と、を含み、前記ミリ波受信部で受信した前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報が自ノードである場合には、受信したミリ波ルート探索パケットを無視し、前記ミリ波受信部で受信した前記通信データの宛先ノード情報が自ノードである場合には、前記通信データの受信処理を実行する請求項1に記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記無線通信装置が前記通信データの中継無線通信装置として機能する場合には、
前記ミリ波ルート探索パケットを受信するミリ波受信部を含み、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報および宛先ノード情報が同一の他のミリ波ルート探索パケットを受信している場合には、前記受信したミリ波ルート探索パケットを破棄し、
受信した前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報および宛先ノード情報が同一の他のミリ波ルート探索パケットを受信していない場合であって、受信したミリ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードではない場合には、中継ノード情報に自ノードの識別情報を格納した前記ミリ波ルート探索パケットをブロードキャストするミリ波送信部と、
前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報、および、中継ノード情報が格納されている場合には当該中継ノード情報をルート情報として記憶する記憶部と、
前記マイクロ波ルート探索パケットをマイクロ波で受信するマイクロ波受信部を含み、受信した前記マイクロ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードではない場合であって、自ノードが上位中継無線通信装置でもない場合には、マイクロ波ルート探索パケットを破棄し、前記ミリ波受信部が前記通信データをミリ波で受信した場合に、前記ミリ波送信部は、前記ルート情報に従って、前記通信データをミリ波で送信する請求項1または3に記載の無線通信装置。
【請求項5】
通信データの送信元無線通信装置として機能する請求項1に記載の無線通信装置と、
前記通信データの上位中継無線通信装置として機能する請求項2に記載の無線通信装置と、
前記通信データの宛先無線通信装置として機能する請求項3に記載の無線通信装置と、
前記通信データの中継無線通信装置として機能する請求項4に記載の無線通信装置と、を含む無線通信システム。
【請求項6】
ミリ波を使用してミリ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、マイクロ波を使用してマイクロ波ルート探索結果パケットの送受信が可能であり、ミリ波を使用して通信データの送受信が可能な無線通信装置であって、前記無線通信装置が前記通信データの送信元無線通信装置として機能する場合には、
前記通信データをミリ波で送信する前に、前記通信データの宛先無線通信装置の識別情報を宛先ノード情報として格納し、前記送信元無線通信装置の識別情報を送信元ノード情報として格納したミリ波ルート探索パケットをミリ波でブロードキャストするミリ波送信部と、
前記通信データの送信元無線通信装置から上位中継無線通信装置までの第1のルート情報を格納したマイクロ波ルート探索結果パケットを前記上位中継無線通信装置から受信するマイクロ波受信部と、
前記上位中継無線通信装置から前記第1のルート情報を格納したマイクロ波ルート探索パケットを受信した後に、前記第1のルート情報にしたがって、前記第1のルート情報を含む通信データをミリ波で送信するミリ波送信部と、を含む無線通信装置。
【請求項7】
ミリ波を使用してミリ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、マイクロ波を使用してマイクロ波ルート探索結果パケットの送受信が可能であり、ミリ波を使用して通信データの送受信が可能な無線通信装置であって、前記無線通信装置が上位中継無線通信装置として機能する場合には、
前記通信データの送信元無線通信装置から前記上位中継無線通信装置までのルートを抽出可能な第1のルート情報を含むミリ波ルート探索パケットを受信するミリ波受信部と、
前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報を宛先ノード情報とし、自ノードの識別情報を送信元ノード情報とし、前記ミリ波ルート探索パケットの前記第1のルート情報を含むマイクロ波ルート探索結果パケットを送信するマイクロ波送信部と、
前記ミリ波ルート探索パケットを受信した場合に、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの中継ノード情報に自ノードの識別情報を追加して格納した前記ミリ波ルート探索パケットをブロードキャストするミリ波送信部と、
前記送信元無線通信装置から前記通信データの宛先無線通信装置までのルートを抽出可能な第2のルート情報を含むマイクロ波ルート探索結果パケットを受信するマイクロ波受信部と、
前記第1のルート情報を含む前記通信データを受信した場合には、前記第2のルート情報にしたがって、自ノードの次のノードに前記第1のルート情報の代わりに前記第2のルート情報を含めた前記通信データをミリ波で送信するミリ波送信部と、を含む無線通信装置。
【請求項8】
前記無線通信装置が前記通信データの宛先無線通信装置として機能する場合には、
前記通信データの前記送信元無線通信装置から前記宛先無線通信装置までのルートを抽出可能な第2のルート情報を含むミリ波ルート探索パケットを受信するミリ波受信部と、
前記宛先無線通信装置の識別情報を送信元ノード情報とし、上位中継無線通信装置の識別情報を宛先ノード情報とし、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの前記第2のルート情報を含むマイクロ波ルート探索結果パケットを送信するマイクロ波送信部と、
前記ミリ波受信部で受信した前記通信データの宛先ノード情報が自ノードである場合には、前記通信データの受信処理を実行する請求項6に記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記無線通信装置が前記通信データの中継無線通信装置として機能する場合には、
前記ミリ波ルート探索パケットを受信するミリ波受信部を含み、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報および宛先ノード情報が同一の他のミリ波ルート探索パケットを受信している場合には、前記受信したミリ波ルート探索パケットを破棄し、
受信した前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報および宛先ノード情報が同一の他のミリ波ルート探索パケットを受信していない場合であって、受信したミリ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードではない場合には、中継ノード情報に自ノードの識別情報を格納し、前記ミリ波ルート探索パケットをブロードキャストするミリ波送信部と、
前記マイクロ波ルート探索結果パケットをマイクロ波で受信するマイクロ波受信部を含み、受信した前記マイクロ波ルート探索結果パケットの宛先ノード情報が自ノードではない場合には、前記マイクロ波ルート探索結果パケットを破棄し、前記ミリ波受信部が前記通信データをミリ波で受信した場合に、前記ミリ波送信部は、前記通信データに含まれる前記第1のルート情報または第2のルート情報に従って、前記通信データをミリ波で送信する請求項6または8に記載の無線通信装置。
【請求項10】
通信データの送信元無線通信装置として機能する請求項6に記載の無線通信装置と、
前記通信データの上位中継無線通信装置として機能する請求項7に記載の無線通信装置と、
前記通信データの宛先無線通信装置として機能する請求項8に記載の無線通信装置と、
前記通信データの中継無線通信装置として機能する請求項9に記載の無線通信装置と、を含む無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信装置および無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の無線通信装置を含むミリ波を用いたメッシュネットワークのルート探索手法には、従来からDSR(Dynamic Source Routing)が提案されている。また、AODV(Ad hoc On-Demand Distance Vector)、RPL(Routing protocol for Low power and Lossynetworks)等も提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1におけるDSRでは、端末に送信要求が発生した場合に、送信元端末が保持しているキャッシュに宛先端末への経路情報があるか否かを調べる。経路情報が無い場合には、自身の端末IDを経路情報に入れたRREQ(Route-Request packet)をフラッディングする。フラッディングされたRREQを受信した端末は、経路情報をキャッシュに追加後に、RREQの宛先を調べる。宛先が自分自身である場合には、キャッシュされた経路情報を反転させて経路を生成し、送信元端末へRREP(Route-Reply packet)を送信する。宛先が自分自身でない場合には、自身のキャッシュに宛先端末までの経路情報があるか否かを調べる。宛先端末までの経路情報が無い場合には、自身の端末IDを経路情報に追加したRREQをフラッディングする。宛先端末または宛先端末の経路情報を保持している端末にRREQが受信されるまでRREQの転送を繰り返す。RREQを受信した端末は、キャッシュに経路情報を追加後に、キャッシュされた経路情報を逆転させた経路情報を含むRREPを送信する。RREPを受信した送信元端末はRREPに含まれる経路情報に従って、データパケットの送信を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のようなルーティングの場合には、宛先ノードまでの通信路が長い場合には、通信ルートを決定するまでの時間が長い場合がある。
【0006】
例えば、特許文献1の構成によれば、電波環境が随時変わる環境においては、各ノードで保持するルート情報は非常に短時間の間だけ有効であるので、実質的には、データ通信を実行するごとに、ネットワーク全体に対して、ルート探索を実行する必要がある。
【0007】
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして、本発明の目的は、メッシュネットワークにおいて、宛先ノードまでの通信路が長い場合であっても、通信ルートを決定するまでの時間を短縮することが可能な無線通信装置および無線通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様に係る無線通信装置は、ミリ波を使用してミリ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、マイクロ波を使用してマイクロ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、ミリ波を使用して通信データの送受信が可能な無線通信装置であって、前記無線通信装置が前記通信データの送信元無線通信装置として機能する場合には、前記通信データの宛先である宛先無線通信装置の識別情報を宛先ノード情報として格納し、前記送信元無線通信装置の識別情報を送信元ノード情報として格納し、上位中継無線通信装置の識別情報を中継ノード情報として格納したマイクロ波ルート探索パケットをマイクロ波で送信するマイクロ波送信部と、前記上位中継無線通信装置の識別情報が送信元ノード情報として格納され、前記送信元無線通信装置の識別情報が宛先ノード情報として格納されたミリ波ルート探索パケットをミリ波で受信するミリ波受信部と、前記ミリ波ルート探索パケットの中でミリ波ルート探索パケット情報から取得できるルート情報が最短のミリ波ルート探索パケットを抽出する最短経路抽出部と、前記宛先無線通信装置の識別情報を宛先ノード情報として格納し、前記送信元無線通信装置の識別情報を送信元ノード情報として格納し、最短のルート情報を含む前記ミリ波ルート探索パケットを前記送信元無線通信装置に最後に送信した無線通信装置の識別情報を中継ノード情報として格納した、前記通信データを含む通信パケットを、前記最後に送信した無線通信装置にミリ波で送信するミリ波送信部と、を含み、前記ミリ波受信部が前記ミリ波ルート探索パケットを受信した場合に前記ミリ波ルート探索パケットに対する応答パケットを送信しないことが好ましい。
【0009】
本発明の他の態様に係る無線通信装置は、ミリ波を使用してミリ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、マイクロ波を使用してマイクロ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、ミリ波を使用して通信データの送受信が可能な無線通信装置であって、前記無線通信装置が上位中継無線通信装置として機能する場合には、前記マイクロ波ルート探索パケットをマイクロ波で受信するマイクロ波受信部と、受信した前記マイクロ波ルート探索パケットの中継ノード情報が自ノードに該当する場合には、宛先ノード情報として前記マイクロ波ルート探索パケットの送信元ノードの識別情報を格納し、送信元ノード情報として自ノードの識別情報を格納し、中継ノード情報は無しとした前記ミリ波ルート探索パケットをミリ波でブロードキャストするミリ波送信部と、ミリ波ルート探索パケットをミリ波で受信するミリ波受信部を含み、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードである場合には、前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報、および、中継ノード情報が格納されている場合には当該中継ノード情報をルート情報として記憶部に記憶し、受信した前記ミリ波ルート探索パケットに対する応答パケットを送信せず、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報が自ノードである場合には、受信したミリ波ルート探索パケットを無視し、前記ミリ波受信部で受信された通信データの宛先ノード情報が自ノードではない場合には、前記記憶部に記憶されているルート情報の宛先ノード情報から、前記通信データの宛先ノード情報と同一の宛先ノード情報を有するルート情報を抽出し、前記ミリ波送信部が前記ルート情報に従って、前記通信データを送信することが好ましい。
【0010】
前記無線通信装置が前記通信データの宛先無線通信装置として機能する場合には、前記マイクロ波ルート探索パケットを受信するマイクロ波受信部と、前記マイクロ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードに該当する場合には、宛先ノード情報として上位中継無線通信装置の識別情報を格納し、送信元ノード情報として自ノードの識別情報を格納し、中継ノード情報は無しとしたミリ波ルート探索パケットをミリ波でブロードキャストするミリ波送信部と、ミリ波受信部と、を含み、前記ミリ波受信部で受信した前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報が自ノードである場合には、受信したミリ波ルート探索パケットを無視し、前記ミリ波受信部で受信した前記通信データの宛先ノード情報が自ノードである場合には、前記通信データの受信処理を実行することが好ましい。
【0011】
前記無線通信装置が前記通信データの中継無線通信装置として機能する場合には、前記ミリ波ルート探索パケットを受信するミリ波受信部を含み、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報および宛先ノード情報が同一の他のミリ波ルート探索パケットを受信している場合には、前記受信したミリ波ルート探索パケットを破棄し、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報および宛先ノード情報が同一の他のミリ波ルート探索パケットを受信していない場合であって、受信したミリ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードではない場合には、中継ノード情報に自ノードの識別情報を格納した前記ミリ波ルート探索パケットをブロードキャストするミリ波送信部と、前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報、および、中継ノード情報が格納されている場合には当該中継ノード情報をルート情報として記憶する記憶部と、前記マイクロ波ルート探索パケットをマイクロ波で受信するマイクロ波受信部を含み、受信した前記マイクロ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードではない場合であって、自ノードが上位中継無線通信装置でもない場合には、マイクロ波ルート探索パケットを破棄し、前記ミリ波受信部が前記通信データをミリ波で受信した場合に、前記ミリ波送信部は、前記ルート情報に従って、前記通信データをミリ波で送信することが好ましい。
【0012】
本発明のその他の態様に係る無線通信システムは、通信データの送信元無線通信装置として機能する無線通信装置と、前記通信データの上位中継無線通信装置として機能する無線通信装置と、前記通信データの宛先無線通信装置として機能する無線通信装置と、前記通信データの中継無線通信装置として機能する無線通信装置と、を含むことが好ましい。
【0013】
本発明のさらなるその他の態様に係る無線通信装置は、ミリ波を使用してミリ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、マイクロ波を使用してマイクロ波ルート探索結果パケットの送受信が可能であり、ミリ波を使用して通信データの送受信が可能な無線通信装置であって、前記無線通信装置が前記通信データの送信元無線通信装置として機能する場合には、前記通信データをミリ波で送信する前に、前記通信データの宛先無線通信装置の識別情報を宛先ノード情報として格納し、前記送信元無線通信装置の識別情報を送信元ノード情報として格納したミリ波ルート探索パケットをミリ波でブロードキャストするミリ波送信部と、前記通信データの送信元無線通信装置から上位中継無線通信装置までの第1のルート情報を格納したマイクロ波ルート探索結果パケットを前記上位中継無線通信装置から受信するマイクロ波受信部と、前記上位中継無線通信装置から前記第1のルート情報を格納したマイクロ波ルート探索パケットを受信した後に、前記第1のルート情報にしたがって、前記第1のルート情報を含む通信データをミリ波で送信するミリ波送信部と、を含むことが好ましい。
【0014】
本発明のさらなるその他の態様に係る無線通信装置は、ミリ波を使用してミリ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、マイクロ波を使用してマイクロ波ルート探索結果パケットの送受信が可能であり、ミリ波を使用して通信データの送受信が可能な無線通信装置であって、前記無線通信装置が上位中継無線通信装置として機能する場合には、前記通信データの送信元無線通信装置から前記上位中継無線通信装置までのルートを抽出可能な第1のルート情報を含むミリ波ルート探索パケットを受信するミリ波受信部と、前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報を宛先ノード情報とし、自ノードの識別情報を送信元ノード情報とし、前記ミリ波ルート探索パケットの前記第1のルート情報を含むマイクロ波ルート探索結果パケットを送信するマイクロ波送信部と、前記ミリ波ルート探索パケットを受信した場合に、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの中継ノード情報に自ノードの識別情報を追加して格納した前記ミリ波ルート探索パケットをブロードキャストするミリ波送信部と、前記送信元無線通信装置から前記通信データの宛先無線通信装置までのルートを抽出可能な第2のルート情報を含むマイクロ波ルート探索結果パケットを受信するマイクロ波受信部と、前記第1のルート情報を含む前記通信データを受信した場合には、前記第2のルート情報にしたがって、自ノードの次のノードに前記第1のルート情報の代わりに前記第2のルート情報を含めた前記通信データをミリ波で送信するミリ波送信部と、を含むことが好ましい。
【0015】
前記無線通信装置が前記通信データの宛先無線通信装置として機能する場合には、前記通信データの前記送信元無線通信装置から前記宛先無線通信装置までのルートを抽出可能な第2のルート情報を含むミリ波ルート探索パケットを受信するミリ波受信部と、前記宛先無線通信装置の識別情報を送信元ノード情報とし、上位中継無線通信装置の識別情報を宛先ノード情報とし、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの前記第2のルート情報を含むマイクロ波ルート探索結果パケットを送信するマイクロ波送信部と、前記ミリ波受信部で受信した前記通信データの宛先ノード情報が自ノードである場合には、前記通信データの受信処理を実行することが好ましい。
【0016】
前記無線通信装置が前記通信データの中継無線通信装置として機能する場合には、前記ミリ波ルート探索パケットを受信するミリ波受信部を含み、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報および宛先ノード情報が同一の他のミリ波ルート探索パケットを受信している場合には、前記受信したミリ波ルート探索パケットを破棄し、受信した前記ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報および宛先ノード情報が同一の他のミリ波ルート探索パケットを受信していない場合であって、受信したミリ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードではない場合には、中継ノード情報に自ノードの識別情報を格納し、前記ミリ波ルート探索パケットをブロードキャストするミリ波送信部と、前記マイクロ波ルート探索結果パケットをマイクロ波で受信するマイクロ波受信部を含み、受信した前記マイクロ波ルート探索結果パケットの宛先ノード情報が自ノードではない場合には、前記マイクロ波ルート探索結果パケットを破棄し、前記ミリ波受信部が前記通信データをミリ波で受信した場合に、前記ミリ波送信部は、前記通信データに含まれる前記第1のルート情報または第2のルート情報に従って、前記通信データをミリ波で送信することが好ましい。
【0017】
本発明のさらなるその他の態様に係る無線通信システムは、通信データの送信元無線通信装置として機能する無線通信装置と、前記通信データの上位中継無線通信装置として機能する無線通信装置と、前記通信データの宛先無線通信装置として機能する無線通信装置と、前記通信データの中継無線通信装置として機能する無線通信装置と、を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、メッシュネットワークにおいて、宛先ノードまでの通信路が長い場合であっても、通信ルートを決定するまでの時間を短縮することが可能な無線通信装置および無線通信システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る無線通信システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図2】本実施形態に係る無線通信システムに含まれる無線通信装置がソースノードとして動作する場合の一例を示すフローチャートである。
【
図3】本実施形態に係る無線通信システムに含まれる無線通信装置がセントラルノードとして動作する場合の一例を示すフローチャートである。
【
図4】本実施形態に係る無線通信システムに含まれる無線通信装置が中継ノード、ディスティネーションノードとして動作する場合の一例を示すフローチャートである。
【
図5】本実施形態に係る無線通信システムに使用されるRREQフレームの一例を示す模式図である。
【
図6】本実施形態に係る無線通信システムに含まれる無線通信装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】本実施形態に係る無線通信システムに含まれるセントラルノードの構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】本実施形態に係る無線通信システムに含まれるセントラルノードの構成のその他の一例を示すブロック図である。
【
図9】従来のDSRを説明するための無線通信システムの構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(無線通信システムの概要)
本実施形態の無線通信システムは複数の無線通信装置を含み、各無線通信装置は送信端末、中継端末、受信端末として機能することができる無線通信ネットワークを構成する。また、無線通信ネットワークには、上位中継無線通信装置が存在し、上記無線通信装置が上位中継無線通信装置として機能することができるが、上位中継無線通信装置は通信データの送信要求が発生しない場合もある。無線通信ネットワークは、データの発生頻度が高く、ノード数が多い場合があるので、データ通信は高速通信を実現できるミリ波を使用する。また、無線通信ネットワークは、ルート探索にはマイクロ波およびミリ波を利用する。なお、本明細書では、無線通信装置をノードと称する場合がある。
【0021】
すなわち、無線通信システム内の各ノードは、高速通信を実行するためのミリ波無線通信モジュールと、自動車等の車両内全体をカバーする比較的長距離通信、すなわち広域通信できるマイクロ波無線通信モジュールを備える。
【0022】
無線通信ネットワークが自動車内に構築される場合には、上位中継無線通信装置は車両内全体を見通しやすい位置に設置される。一例として、上位中継無線通信装置は、天井部分、ルームミラー部分、床面等で車両内全体を見通しやすい位置に設置される。上位中継無線通信装置は、本明細書ではセントラルノードとも称する。
【0023】
ミリ波は減衰が激しく、車両内全体に届かないために、データ送信要求があるノードは、通信の開始時に、マイクロ波およびミリ波を併用し、データ通信を実行する通信ルートを確定するためのルート探索を実行する。ミリ波だけを用いてのルート探索には時間が掛かるので、マイクロ波を利用し、セントラルノードを起点に複数のネットワークに分割し、ルート探索であるルーティングを実行する。
【0024】
以上の説明による本実施形態に係わる無線通信システムは車両等の移動体に搭載されることができる。この場合には、送信端末が送信する通信データは、移動体の状況を検知するセンサーの情報、移動体を制御する情報、移動体に搭載された電子機器の情報等の情報である場合がある。
【0025】
なお、本実施形態に係わる無線通信システムには、各無線通信装置の送受信タイミングを制御するコントローラは存在する場合と存在しない場合がある。例えば、コントローラが存在しない場合には、無線通信システムはCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)等のプロトコルを採用する。
【0026】
(無線通信システムの動作例)
図1~
図5を参照して本実施形態に係る無線通信システム1000の動作例について説明する。
【0027】
図1は、本実施形態に係る無線通信システム1000がネットワークを構成した一例を示す模式図である。
図1の無線通信システム1000は自動車内の機器を接続するために各ノードがネットワークを形成する。
【0028】
図1のネットワークでは、通信データを送信するノード100sから、当該通信データを受信するノード100dまでの通信を実行する手順について説明する。
図1の無線通信ネットワークでは、セントラルノードはノード100bであり、無線通信ネットワーク1はノード100a、100e、100s、100bで構成される無線通信ネットワークである。また、無線通信ネットワーク2はノード100b、100c、100d、100fで構成される無線通信ネットワークである。
【0029】
ルート探索は、ノード100sからセントラルノードであるノード100bまでのルート作成と、セントラルノードであるノード100bからノード100dまでのルート作成に分割して、以下に説明する。
【0030】
1)最初に、データ送信要求が発生したノード100sは、宛先ノードであるノード100dの識別情報を格納したルート探索パケットであるRREQを車両内全体に電波が届くマイクロ波でブロードキャストする。
【0031】
2)マイクロ波によるRREQを受信したセントラルノードであるノード100bは、データ通信を実行するミリ波を用いて、ノード100sへのルート探索を開始する。この時の手順の一例にはDSRに準拠した手順がある。
【0032】
3)セントラルノードであるノード100bは、送信元ノードをノード100b、宛先ノードをノード100s、中継ノード情報には情報を格納せずに、RREQをミリ波でブロードキャストする。
【0033】
4)セントラルノードであるノード100bからミリ波でブロードキャストされたRREQを受信したノード100aは、宛先ノードが自ノードではないために、受信したRREQの中継ノード情報を格納するフィールドにノード100aの識別情報を格納する。そして、ノード100aは中継ノード情報を格納するフィールドにノード100aの識別情報が格納されたRREQをミリ波でブロードキャストする。ノード100aがミリ波でブロードキャストしたRREQはノード100b、ノード100s、ノード100eが受信する。
【0034】
5)ノード100sは、宛先ノードが自ノードであるので、RREQに格納された情報から、ルート情報としてノード100s→ノード100a→ノード100bを取得する。DSRでは、ルート情報を受信した返信にRREPを送信するが、本実施形態においてはRREPを送信せずに、ノード100sからセントラルノードであるノード100bまでのルート探索を終了する。したがって、無線通信システム1000内でのトラフィックの増加を抑制することが可能になる。
【0035】
ノード100aからミリ波でブロードキャストされたRREQを受信したノード100eは、宛先ノードが自ノードではないために、受信したRREQの中継ノード情報を格納するフィールドにノード100eの識別情報を格納する。そして、ノード100eは中継ノード情報を格納するフィールドにノード100eの識別情報が格納されたRREQをミリ波でブロードキャストする。ノード100sは、ノード100eからミリ波でブロードキャストされたRREQを受信するが、ルート情報として、より短いルート情報をノード100aから受信しているので、ノード100eからミリ波でブロードキャストされたRREQを破棄する。また、ノード100bは、送信元ノードであるので、ノード100eからミリ波でブロードキャストされたRREQを無視する。
【0036】
以上の手順がノード100sからセントラルノードであるノード100bまでのルートを作成する手順である。次に、セントラルノードであるノード100bからノード100dまでのルートを作成する手順について説明する。
【0037】
6)ノード100sからマイクロ波でブロードキャストされたRREQを受信したノード100dは、宛先ノードが自ノードであるので、ミリ波を用いてRREQをブロードキャストする。すなわち、ノード100dがミリ波でブロードキャストするRREQの送信元ノードをノード100d、宛先ノードをセントラルノードであるノード100b、中継ノード情報には情報を格納せずに、RREQをミリ波でブロードキャストする。
【0038】
7)ノード100cは、ノード100dからミリ波でブロードキャストされたRREQを受信する。ノード100dからミリ波でブロードキャストされたRREQの宛先ノードが自ノードではないので、ノード100cはRREQの中継ノード情報に、ノード100cの識別情報を格納し、ミリ波を用いてRREQをブロードキャストする。
【0039】
8)セントラルノードであるノード100bは、ノード100cがミリ波でブロードキャストしたRREQを受信する。セントラルノードであるノード100bは、ノード100cがミリ波でブロードキャストしたRREQの宛先ノードが自ノードであるので、RREQに格納された情報から、ルート情報としてノード100d→ノード100c→ノード100bを取得する。したがって、セントラルノードであるノード100bは、宛先ノードがノード100dであるデータ通信パケットを受信した場合に、当該ルート情報から、データ通信パケットを送信する送信先のノードがノード100cであることを決定することが可能になる。DSRでは、ルート情報を受信した返信にRREPを送信するが、本実施形態においてはRREPを送信せずに、ノード100dからセントラルノードであるノード100bまでのルート探索を終了する。したがって、無線通信システム1000内でのトラフィックの増加を抑制することが可能になる。また、ノード100dは、送信元ノードであるので、ノード100cからミリ波でブロードキャストされたRREQを無視する。さらに、ノード100cからブロードキャストされたRREQを受信したノード100fは、宛先ノードが自ノードではないために、受信したRREQの中継ノード情報を格納するフィールドにノード100fの識別情報を格納する。そして、ノード100fは中継ノード情報を格納するフィールドにノード100fの識別情報が格納されたRREQをミリ波でブロードキャストする。
【0040】
以上の手順が宛先ノードであるノード100dからセントラルノードであるノード100bまでのルートを作成する手順である。次に、ノード100sからノード100dにデータ通信パケットを送信する手順について説明する。
【0041】
ノード100sは、送信元ノードにセントラルノードであるノード100bが格納されたRREQをミリ波で受信すると、上述したようにルート情報としてノード100s→ノード100a→ノード100bを取得する。ノード100sは、送信元ノード情報にノード100sの識別情報、宛先ノード情報にノード100dの識別情報、中継ノード情報にノード100aの識別情報を格納したデータ通信パケットをルート情報にしたがって、ノード100aへミリ波で送信する。
【0042】
ノード100aは、ノード100sからデータ通信パケットを受信する。ノード100sから受信したデータ通信パケットの送信元ノードがノード100sであり、中継ノード情報の最初の領域がノード100aであるので、ルート情報からノード100aは当該データ通信パケットをセントラルノードであるノード100bに転送する。
【0043】
セントラルノードであるノード100bは、ノード100aからデータ通信パケットを受信する。セントラルノードであるノード100bは、ルート情報から、当該通信パケットをノード100cに転送する。
【0044】
ノード100cはセントラルノードであるノード100bからデータ通信パケットを受信する。ノード100cは、ルート情報から、当該通信パケットをノード100dに転送する。
【0045】
以上のように、ルート探索の領域を小さくし、ルート探索の一方向にマイクロ波を用い、ルート探索の他方向にミリ波を用いて、それぞれのルート探索送信に対して、応答送信を実行しないことで、ルート探索のためのパケット数を少なくしている。その結果、ルート探索のためのトラフィック量を抑え、ルート探索のための探索時間を短くすることが可能になる。
【0046】
(通信データを送信する送信元ノードの動作例)
図2は、通信データを送信する送信元ノードの動作例を示すフローチャートである。
【0047】
ステップS201において、通信データの送信要求が発生した送信元ノードは、送信元ノードの識別情報、宛先ノードの識別情報を格納したRREQをマイクロ波でブロードキャストする。次に、送信元ノードはステップS202に進む。
【0048】
ステップS202において、送信元ノードは、ミリ波でセントラルノードからRREQを受信したか否かを判定する。送信元ノードがミリ波でセントラルノードからRREQを受信した場合(ステップS202:YES)には、送信元ノードはステップS204に進む。送信元ノードがミリ波でセントラルノードからRREQを受信していない場合(ステップS202:NO)には、送信元ノードはステップS203に進む。
【0049】
ステップS203において、送信元ノードは、あらかじめ定められた時間である一定時間が経過したか否かを判定する。一定時間が経過した場合(ステップS203:YES)には、マイクロ波によるRREQの送信に失敗している可能性が高いため、送信元ノードはステップS201に戻り、もう一度、RREQをマイクロ波でブロードキャストする。一定時間が経過していない場合(ステップS203:NO)には、送信元ノードはステップS202に戻る。あらかじめ定められた時間である一定時間は、送信元ノードまたは無線通信システムが任意の時間に設定することが可能である。
【0050】
ステップS204において、送信元ノードは、セントラルノードからミリ波で受信したRREQの送信元ノード情報および中継ノード情報を参照して、ルート情報を取得する。次に、送信元ノードはステップS205に進む。
【0051】
ステップS205において、送信元ノードは、ルート情報から、送信元ノードの識別情報、宛先ノードの識別情報、中継ノード情報の識別情報を格納したデータ通信パケットをルート情報に従って、中継ノード情報のノードへミリ波で送信する。
【0052】
(セントラルノードの動作例)
図3は、セントラルノードの動作例を示すフローチャートである。セントラルノードは、通常は通信データの受信待ち状態である。
【0053】
ステップS301において、セントラルノードはミリ波で通信データを受信したか否かを判定する。ミリ波で通信データを受信した場合(ステップS301:YES)には、セントラルノードはステップS302に進む。ミリ波で通信データを受信していない場合(ステップS301:NO)には、セントラルノードはステップS305に進む。
【0054】
ステップS302において、セントラルノードはミリ波で受信した通信データの宛先ノードが自ノードであるか否かを判定する。通信データの宛先ノードが自ノードである場合(ステップS302:YES)には、セントラルノードはステップS303に進む。通信データの宛先ノードが自ノードではない場合(ステップS302:NO)には、セントラルノードはステップS304に進む。
【0055】
ステップS303において、セントラルノードはミリ波で送信された通信データの受信処理を実行する。
【0056】
ステップS304において、セントラルノードはミリ波で送信された通信データの宛先ノード識別情報から宛先ノードを識別し、事前に取得しているルート情報から、通信データを転送する次ノードを決定し、通信データを次ノードにミリ波で転送する。
【0057】
ステップS305において、セントラルノードはマイクロ波でRREQを受信したか否かを判定する。セントラルノードがマイクロ波でRREQを受信した場合(ステップS305:YES)には、セントラルノードはステップS306に進む。セントラルノードがマイクロ波でRREQを受信していない場合(ステップS305:NO)には、セントラルノードはステップS307に進む。
【0058】
ステップS306において、セントラルノードはマイクロ波で受信したRREQの送信元ノード識別情報を抽出し、マイクロ波で受信したRREQの送信元ノード識別情報を宛先ノード識別情報としたRREQをミリ波でブロードキャストする。なお、ミリ波でブロードキャストされるRREQの送信元ノード識別情報にはセントラルノードの識別情報が格納される。
【0059】
ステップS307において、セントラルノードはミリ波でRREQを受信したか否かを判定する。セントラルノードがミリ波でRREQを受信した場合(ステップS307:YES)には、セントラルノードはステップS308に進む。セントラルノードがミリ波でRREQを受信していない場合(ステップS307:NO)には、セントラルノードは処理を終了する。
【0060】
ステップS308において、セントラルノードはミリ波で受信したRREQの送信元ノード識別情報、中継ノード識別情報からルート情報を取得し、処理を終了する。
【0061】
(宛先ノードおよび中継ノードの動作例)
図4は、宛先ノードおよび中継ノードの動作例を示すフローチャートである。宛先ノードおよび中継ノードは、通常は通信データの受信待ち状態である。
【0062】
ステップS401において、ノードはミリ波で通信データを受信したか否かを判定する。ミリ波で通信データを受信した場合(ステップS401:YES)には、ノードはステップS402に進む。ミリ波で通信データを受信していない場合(ステップS401:NO)には、ノードはステップS405に進む。
【0063】
ステップS402において、ノードはミリ波で受信した通信データの宛先ノードが自ノードであるか否かを判定する。通信データの宛先ノードが自ノードである場合(ステップS402:YES)には、ノードはステップS403に進む。通信データの宛先ノードが自ノードではない場合(ステップS402:NO)には、ノードはステップS404に進む。
【0064】
ステップS403において、ノードは宛先ノードであるのでミリ波で送信された通信データの受信処理を実行する。
【0065】
ステップS404において、ノードは中継ノードであるのでミリ波で送信された通信データを、ルート情報に従って、次ノードにミリ波で転送する。
【0066】
ステップS405において、ノードはマイクロ波でRREQを受信したか否かを判定する。ノードがマイクロ波でRREQを受信した場合(ステップS405:YES)には、ノードはステップS406に進む。ノードがマイクロ波でRREQを受信していない場合(ステップS405:NO)には、ノードはステップS408に進む。
【0067】
ステップS406において、ノードはマイクロ波で受信したRREQの宛先ノードが自ノードであるか否かを判定する。マイクロ波で受信したRREQの宛先ノードが自ノードである場合(ステップS406:YES)には、ノードはステップS407に進む。マイクロ波で受信したRREQの宛先ノードが自ノードではない場合(ステップS406:NO)には、ノードは処理を終了する。
【0068】
ステップS407において、ノードは宛先ノードであるので、セントラルノードまでのルートを作成する必要があるので、データ通信を実行するミリ波を用いてRREQをブロードキャストする。すなわち送信元ノードに自ノードの識別情報を格納し、宛先ノードにセントラルノードの識別情報を格納し、中継ノードフィールドに情報を格納しないRREQを、ミリ波を用いてブロードキャストする。
【0069】
ステップS408において、ノードはミリ波でRREQを受信したか否かを判定する。ノードがミリ波でRREQを受信した場合(ステップS408:YES)には、ノードはステップS409に進む。ノードがミリ波でRREQを受信していない場合(ステップS408:NO)には、ノードは処理を終了する。
【0070】
ステップS409において、ノードは中継ノードとして機能し、ミリ波で受信したRREQの中継ノード情報に自ノード識別情報を追加して、当該RREQを、ミリ波を用いてブロードキャストする。
【0071】
(RREQの一例)
図5は、RREQ500の一例を示す模式図である。RREQ500には、RREQを送信する送信元ノードの識別情報を格納する送信元ノード情報501、および、RREQの最終的な宛先である宛先ノードの識別情報を格納する宛先ノード情報502が含まれる。さらに、RREQ500がミリ波で送受信される場合には、RREQ500には、RREQ500を中継した中継ノードの識別情報を格納する中継ノード情報503、504、505が含まれる。また、RREQ500がマイクロ波で送受信される場合には、中継ノード情報にセントラルノードの識別情報が格納される。
【0072】
通信データの送信要求が発生した送信元ノードをソースノードと称して以下に説明する。ソースノードがルート探索のためにRREQをマイクロ波でブロードキャストする時には、送信元ノード情報501にはソースノードのアドレスが記録され、宛先ノード情報502には、通信データの宛先となる宛先ノードのアドレスが記録される。また、マイクロ波によってブロードキャストされたRREQを受信したセントラルノードが、ソースノードまでのルートを作成する場合には、セントラルノードはRREQをミリ波でブロードキャストする。当該RREQの送信元ノード情報501にはセントラルノードのアドレスが記録され、宛先ノード情報502には、ソースノードのアドレスが記録される。さらに、マイクロ波によってブロードキャストされたRREQを受信した宛先ノードが、セントラルノードまでのルートを作成する場合には、宛先ノードはRREQをミリ波でブロードキャストする。当該RREQの送信元ノード情報501には宛先ノードのアドレスが記録され、宛先ノード情報502には、セントラルノードのアドレスが記録される。
【0073】
RREQがミリ波でノードに受信され、当該ノードが中継ノードとして機能する場合には、中継ノードは中継ノード情報503、504、505に自ノードのアドレスを順番に追加記録し、当該RREQをミリ波でブロードキャストする。中継ノード情報503、504、505に記録される中継ノードのアドレスは、無線通信システムで記録順番方法が決定され、降順、昇順等の任意の順番で中継ノードのアドレスが追加記録される。
【0074】
また、各ノードは、ミリ波で受信したRREQの中継ノード情報503、504、505に記録されたノードアドレス等のノード識別情報、および、送信元ノード情報501に記録されたノードアドレス等のノード識別情報をルート情報として保持する。なお、
図5に示されるRREQ500の形態は一例であって、
図5の順序および形式に限定されるものではない。
【0075】
(変形例1)
以上の実施形態の説明では、通信データを送受信する前にマイクロ波によるRREQを送受信しているが、通信データを送受信する前にミリ波によるRREQを送受信し、ミリ波によるルート探索の返信に、マイクロ波によるRREPを送受信することも可能である。上記構成による無線通信システムの動作例を、
図1を参照して以下に説明する。
【0076】
H1)通信データの送信要求が発生した送信元ノードであるノード100sがミリ波でRREQをブロードキャストする。当該RREQの送信元ノード情報501にはノード100sの識別情報が記録され、通信データの宛先ノードを示す宛先ノード情報502にはノード100dの識別情報が記録される。
【0077】
H2)ノード100sがミリ波でブロードキャストしたRREQを受信したノード100aは、中継ノード情報503に自ノードの識別情報を記録し、当該RREQをミリ波でブロードキャストする。
【0078】
H3)ノード100aがミリ波でブロードキャストしたRREQを受信したセントラルノードであるノード100bはマイクロ波でRREPをノード100sに送信する。当該RREPの送信元ノード情報501にはノード100bの識別情報が記録され、宛先ノード情報502にはノード100sの識別情報が記録され、中継ノード情報503には記録されたノード100aの識別情報がそのまま残っている。なお、本変形例はこの記録形式のRREQに限定されるわけではなく、ノード100b→ノード100a→ノード100sの経路情報がRREPのその他のフィールドに記録されることも可能である。
【0079】
H4)セントラルノードであるノード100bからマイクロ波でRREPを受信したノード100sは、中継ノード情報503に記録された中継ノード識別情報、および、送信元情報に記録されたセントラルノードの識別情報から経路情報を決定する。また、マイクロ波で受信したRREPに経路情報が含まれていれば当該経路情報を抽出することも可能である。通信データの送信要求が発生した送信元ノードであるノード100sは、当該通信データを、経路情報を参照して、ノード100sの次のノードであるノード100aにミリ波で送信する。
【0080】
H5)セントラルノードであるノード100bはマイクロ波でRREQをノード100sに送信した後に、ミリ波でRREQをブロードキャストする。ミリ波でブロードキャストされるRREQの送信元ノード情報501にはノード100bの識別情報が記録され、宛先ノード情報502にはノード100dの識別情報が記録され、中継ノード情報503には情報が記録されていない。
【0081】
H6)ノード100bがミリ波でブロードキャストしたRREQを受信したノード100cは、中継ノード情報503に自ノードの識別情報を記録し、当該RREQをミリ波でブロードキャストする。
【0082】
H7)ノード100cがミリ波でブロードキャストしたRREQを受信した宛先ノードであるノード100dはマイクロ波でRREPをノード100bに送信する。当該RREPの送信元ノード情報501にはノード100dの識別情報が記録され、宛先ノード情報502にはノード100bの識別情報が記録され、中継ノード情報503には記録されたノード100cの識別情報がそのまま残っている。なお、本変形例はこの記録形式のRREPに限定されるわけではなく、ノード100d→ノード100c→ノード100bの経路情報がRREPのその他のフィールドに記録されることも可能である。
【0083】
H8)ノード100dからマイクロ波でRREPを受信したセントラルノードであるノード100bは、中継ノード情報503に記録された中継ノード識別情報、および、送信元情報に記録されたノード100dの識別情報から経路情報を決定する。また、マイクロ波で受信したRREPに経路情報が含まれていれば当該経路情報を抽出することも可能である。セントラルノードであるノード100bは、ノード100sからノード100aを介してミリ波で通信データを受信すると、当該通信データを、経路情報を参照して、ノード100bの次のノードであるノード100cにミリ波で転送する。
【0084】
H9)セントラルノードであるノード100bから転送された通信データは、各ノードが保持する経路情報に基づいてミリ波で転送され、
図1では、ノード100cを介して、ノード100dに転送される。
【0085】
(変形例2)
以上の変形例1の説明では、セントラルノードであるノード100bがソースノードであるノード100sにRREQをマイクロ波で送信した後に、ノード100dまでのルート探索を実行している。しかし、セントラルノードであるノード100bがノード100dまでのルート探索を完了した後に、以下の処理を実行することも可能である。すなわち、ノード100bがルート探索を完了した後に、ソースノードであるノード100sからノード100dまでの経路情報に関する情報を含むRREPをノード100bがノード100sにマイクロ波で送信する構成とすることも可能である。
【0086】
(変形例3)
上記実施形態における説明では、各ノードがミリ波で実行するルート探索において、アンテナの指向性を指定していないが、上記実施形態のいずれにおいても、アンテナが無指向性であっても、アンテナが指向性であってもよい。すなわち、ノードのアンテナが無指向性である場合には、RREQをミリ波でブロードキャストしたノードの周辺のノードが当該RREQを受信する。ノードのアンテナが指向性である場合には、アンテナの指向性を少なくとも2方向以上に切り替えて、同一のRREQを各方向にミリ波でブロードキャストする。
【0087】
(変形例4)
上記実施形態における説明では、自動車内の設置された無線通信システム1000によって構築されるネットワークを一例として説明している。しかし、実施形態は自動車内に限定されるものではなく、列車、飛行機、船舶等の移動体の内部、家屋、工場等の構造物の内部などに構築されたメッシュネットワーク全般に適用することが可能である。
【0088】
(変形例5)
以上の実施形態の説明では、通信データとして特定のデータについて説明していないが、アプリケーションについては限定されるわけではない。例えば、通信データは移動体の状況を検知するセンサーの情報、移動体を制御する情報、移動体に搭載された電子機器の情報等の情報である場合がある。センサーには、ドアの開閉検知センサー、シートベルトのセンサー、エンジンの回転センサー、車両の速度センサー、ブレーキやアクセルのセンサー等の各種のセンサーが一例として挙げられる。また、電子機器には、ナビゲーション機器、ラジオやテレビ等のエンタテイメント機器が一例として挙げられる。
【0089】
(変形例6)
以上の実施形態の説明では、
図1に示すように無線通信ネットワーク1および無線通信ネットワーク2の二つの無線通信ネットワークで説明しているが、分割される無線通信ネットワークの数は二つに限定されるわけではない。例えば、無線通信システム1000に存在する無線通信装置100の数以下の無線通信ネットワークが形成されてもよい。
【0090】
(比較例)
DSR、AODV、RPL等において使用される、従来の一般的なダイナミックルーティングの典型的な手順を比較例として
図9を参照して以下に説明する。以下の説明では、ノード200sからノード200dへデータ通信を実行する場合について説明する。
図9においては、無線通信ネットワークは無線通信ネットワーク3の一つによって構成されている。
【0091】
C1)ノード200sからノード200dに通信データを送信する場合に、最初に、RREQをミリ波でブロードキャストする。当該RREQの送信元ノードはノード200sであり、宛先ノードはノード200dであり、中継ノード情報は記録されていない。ミリ波でブロードキャストされたRREQは、ノード200aおよびノード200eが受信し、他のノードは通信距離等の影響で受信することができない。
【0092】
C2)ノード200aおよびノード200eでは、受信したRREQの宛先ノードが自ノードではないので、RREQの中継ノード情報に自ノードの識別情報を記録し、記録後のRREQをミリ波でブロードキャストする。ノード200aがミリ波でブロードキャストしたRREQは、ノード200sおよびノード200bが受信する。ノード200eがミリ波でブロードキャストしたRREQは、ノード200sが受信する。ノード200sは、ノード200aがミリ波でブロードキャストしたRREQを受信するが、送信元ノードが自ノードであるために、当該RREQを無視する。同様に、ノード200sは、ノード200eがミリ波でブロードキャストしたRREQを受信するが、送信元ノードが自ノードであるために、当該RREQを無視する。
【0093】
C3)ノード200bでは、ミリ波で受信したRREQの宛先ノードが自ノードではないので、RREQの中継ノード情報に自ノードの識別情報を記録し、記録後のRREQをミリ波でブロードキャストする。ノード200bがミリ波でブロードキャストしたRREQは、ノード200cおよびノード200aが受信する。ノード200aは、ノード200bがミリ波でブロードキャストしたRREQを受信するが、送信元ノードが同一であり、宛先ノードも同一のRREQをノード200sから受信しているので、ノード200bがミリ波でブロードキャストしたRREQを無視する。
【0094】
C4)ノード200cでは、ミリ波で受信したRREQの宛先ノードが自ノードではないので、RREQの中継ノード情報に自ノードの識別情報を記録し、記録後のRREQをミリ波でブロードキャストする。ノード200cがミリ波でブロードキャストしたRREQは、ノード200dおよびノード200fが受信する。
【0095】
C5)ノード200fでは、ミリ波で受信したRREQの宛先ノードが自ノードではないので、RREQの中継ノード情報に自ノードの識別情報を記録し、記録後のRREQをミリ波でブロードキャストする。ノード200fがミリ波でブロードキャストしたRREQは、ノード200cが受信する。ノード200cは、ノード200fがミリ波でブロードキャストしたRREQを受信するが、送信元ノードが同一であり、宛先ノードも同一のRREQをノード200bから受信しているので、ノード200fがミリ波でブロードキャストしたRREQを無視する。
【0096】
C6)ノード200dでは、ミリ波で受信したRREQの宛先ノードが自ノードであるので、送信元ノード情報と中継ノード情報に記録されたノード識別情報から、経路情報を抽出する。当該経路情報は、ノード200s→ノード200a→ノード200b→ノード200c→ノード200dで示される通信経路情報である。ノード200dは、ミリ波で受信したRREQから抽出した経路情報を基に、ノード200dの一つ手前のノード200cに経路情報を含むRREPをミリ波で送信する。
【0097】
C7)ノード200cでは、ノード200dからのRREPをミリ波で受信し、RREPに含まれる経路情報に従って、ノード200bに当該RREPをミリ波で送信する。ノード200cは、ノード200dへの経路情報を保持する。
【0098】
C8)ノード200bでは、ノード200cからRREPをミリ波で受信し、RREPに含まれる経路情報に従って、ノード200aに当該RREPをミリ波で送信する。ノード200bは、ノード200dへの経路情報を保持する。
【0099】
C9)ノード200aでは、ノード200bからRREPをミリ波で受信し、RREPに含まれる経路情報に従って、ノード200sに当該RREPをミリ波で送信する。ノード200aは、ノード200dへの経路情報を保持する。
【0100】
C10)ノード200sでは、ノード200aからRREPをミリ波で受信し、RREPに含まれる経路情報を取得する。つまり、ノード200sは、ノード200sから通信データの宛先ノードであるノード200dまでの経路情報を取得する。(ルート探索の終了)
ノード200sは、経路情報を基に、送信元情報にノード200sの識別情報、宛先ノード情報にノード200dの識別情報、中継ノード情報にノード200aの識別情報を記録し、通信データを含む通信データパケットを生成する。ノード200sは、経路情報を基に、当該通信データパケットをノード200aにミリ波で送信する。
【0101】
C11)ノード200aは、ノード200sからの通信データパケットをミリ波で受信し、ノード200aが保持する経路情報にしたがって、当該通信データパケットをノード200bにミリ波で送信する。
【0102】
C12)ノード200bは、ノード200aから通信データパケットをミリ波で受信し、ノード200bが保持する経路情報にしたがって、当該通信データパケットをノード200cにミリ波で送信する。
【0103】
C13)ノード200cは、ノード200bから通信データパケットをミリ波で受信し、ノード200cが保持する経路情報にしたがって、当該通信データパケットをノード200dにミリ波で送信する。
【0104】
C14)ノード200dは、ノード200cから通信データパケットをミリ波で受信し、宛先ノードが自ノードであるので、通信データの受信処理を実行する。
【0105】
以上の説明のように、通信データを送受信する前に、各ノードがRREQとRREPの送受信をミリ波で繰り返し、無線通信ネットワーク3内でルートを構築し、構築したルートにしたがって、通信データの送受信を実行する。
【0106】
なお、中継ノード情報の取得時間を短縮するために、各ノードはRREQおよびRREPの情報をあらかじめ定められた一定時間保持する。あらかじめ定められた一定時間は、無線通信システムまたは各ノードが任意の時間に設定することが可能である。RREQを受信したノードが、自ノードが保持している当該情報を利用できる場合は、当該情報を利用してRREPをミリ波で返信する場合もある。
【0107】
また、複数の経路情報が送信元ノードで受信された場合は、一例として各ノード間のRSSI(Receive Signal Strength Indicator)を指標したメトリック(重み付けなどの評価値)を用いて経路情報を選択することができる。RSSI以外には、過去の通信成功率、ノード間距離、回線速度等を利用することも可能である。
【0108】
(無線通信ノードの構成例)
上述の機能を実現するための無線通信装置100(上述したように単にノードと称する場合がある)の主な機能の一例について
図6のブロック図を参照して説明する。無線通信装置100は、通信データの送信元無線通信装置、通信データの宛先無線通信装置、通信データの中継無線通信装置、通信データの上位中継無線通信装置として機能する場合もある。
通信データの送信元無線通信装置をソースノード、通信データの宛先無線通信装置をディスティネーションノードまたは宛先ノードと称する場合もある。
【0109】
無線通信装置100は、マイクロ波を送受信するためのマイクロ波アンテナANTa、マイクロ波送受信部110、ミリ波を送受信するためのミリ波アンテナANTb、ミリ波送受信部120を含む。また、無線通信装置100は、マイクロ波制御部130、ミリ波制御部140、記憶部150、外部制御部160を含んで構成される。
【0110】
マイクロ波送受信部110は、マイクロ波受信部111およびマイクロ波送信部112を含む。
【0111】
マイクロ波受信部111は、他のノードからマイクロ波で送信されるRREQを受信処理する機能を有する。マイクロ波で送受信されるRREQは、マイクロ波ルート探索パケットと称する場合もある。
【0112】
マイクロ波送信部112は、RREQ生成部で生成されたRREQを他のノードにマイクロ波で送信する機能を有する。
【0113】
マイクロ波制御部130は、RREQ判定部131、マイクロ波宛先判定部132、RREQ生成部133、計時部134を含む。
【0114】
RREQ判定部131は、マイクロ波受信部111で受信されたマイクロ波が、無線通信システム1000で使用されるRREQであるか否かを判定する機能を有する。
【0115】
マイクロ波宛先判定部132は、RREQ判定部131でRREQであると判定されたRREQの宛先を判定する機能を有する。RREQの宛先は、一例として、宛先ノード情報502または中継ノード情報からマイクロ波宛先判定部132が判定することが可能である。宛先ノード情報502または中継ノード情報に自ノードの識別情報が記録されている場合には、マイクロ波で受信されたRREQをマイクロ波RREQと称すると、マイクロ波RREQをミリ波RREQ生成部149に出力する。
【0116】
RREQ生成部133は、マイクロ波で送信するためのRREQを生成する機能を有する。一例として、ソースノードがマイクロ波で送信するためのRREQを生成する場合には、宛先ノード情報502にディスティネーションノードの識別情報を格納または記録し、中継ノード情報にセントラルノードの識別情報を格納または記録する。
【0117】
計時部134は、RREQ生成部133で生成されたRREQがマイクロ波で送信されてから、ミリ波で受信されるべきRREQがあらかじめ定められた時間である一定時間の間に受信されない場合に、RREQをマイクロ波で再送信するためのタイマーを含む。図示しないタイマーは、あらかじめ定められた時間である一定時間を計時する機能を有する。なお、一定時間はソースノードまたは無線通信システム1000が任意の時間に設定することが可能である。
【0118】
ミリ波制御部140は、RREQ/データ判定部141、ミリ波宛先判定部142、ルート情報取得部143、最短経路抽出部144、送信データ生成部145、受信データ処理部146、転送データ生成部147、中継ノード情報追加部148を含む。さらに、ミリ波制御部140は、ミリ波RREQ生成部149を含む。
【0119】
RREQ/データ判定部141は、ミリ波受信部121で受信したミリ波が、RREQであるか通信データであるかを判定する機能を有する。受信したミリ波が、RREQまたは通信データである場合には、受信したミリ波をミリ波宛先判定部142に出力する。
【0120】
ミリ波宛先判定部142は、ミリ波で受信したRREQまたは通信データの宛先を判定する機能を有する。ミリ波RREQの宛先ノード情報が自ノードである場合には、ミリ波RREQをルート情報取得部143に出力する。ミリ波RREQの宛先ノード情報が自ノードではない場合には、ミリ波RREQの中継ノード情報に自ノードの識別情報を追加するために、ミリ波RREQを中継ノード情報追加部148に出力する。通信データの宛先ノード情報が自ノードである場合には、通信データを受信データ処理部146に出力する。通信データの宛先ノード情報が自ノードはない場合には、通信データを転送データ生成部147に出力する。
【0121】
ルート情報取得部143は、ミリ波RREQの送信元ノード情報、および、中継ノード情報が記憶されている場合には当該中継ノード情報から、ルート情報を生成し、ルート情報を取得する機能を有する。ルート情報は記憶部150に出力され、記憶部150は当該ルート情報を記憶する。
【0122】
最短経路抽出部144は、記憶部150に記憶されている送信元ノード情報と宛先ノード情報が同一のルート情報の中から最短経路となるルート情報を抽出する機能を有する。抽出された最短経路となるルート情報は、記憶部150の特定の領域に記憶されてもよい。最短経路は、RSSI、過去の通信成功率、ノード間距離、回線速度、ホップ数等を利用して、最短経路抽出部144が抽出することも可能である。
【0123】
送信データ生成部145は、外部の電子機器等からデータ情報をI/F(Inter/Face)部161を介して送信要求判定部162が受信し、送信要求判定部162で送信要求があると判定すると、当該データ情報を入力する機能を有する。そして、送信データ生成部145は、当該データ情報から通信データとしての送信データを生成する機能を有する。通信データとしての送信データの中継ノード情報には、最短経路となるルート情報から、次に通信データを送信すべきノードの識別情報が記録される。
【0124】
受信データ処理部146は、ミリ波宛先判定部142で判定された自ノード宛ての通信データを復調等の受信処理をする機能を有する。受信処理された通信データを受信データと称する場合には、受信データはI/F部161から外部の電子機器等に出力される。
【0125】
転送データ生成部147は、通信データを中継するために、記憶部150に記憶された最短経路となるルート情報にしたがって、次に転送すべきノードの識別情報を中継ノード情報に記録した通信データをミリ波送信部122に出力する機能を有する。
【0126】
中継ノード情報追加部148は、ミリ波RREQの中継ノード情報に自ノードの識別情報を追加する機能を有する。中継ノード情報に自ノードの識別情報を追加されたミリ波RREQはミリ波RREQ生成部149に出力される。
【0127】
ミリ波RREQ生成部149は、中継ノード情報に自ノードの識別情報を追加されたミリ波RREQを生成する機能を有する。また、マイクロ波宛先判定部132からマイクロ波RREQを入力すると、マイクロ波RREQの宛先ノード情報または中継ノード情報を送信元ノード情報に記録し、マイクロ波RREQの送信元ノード情報に宛先ノード情報を記録したミリ波RREQを生成する。
【0128】
記憶部150は、自ノードの識別情報、上位中継無線通信装置の識別情報、最短経路となるルート情報等の情報が記録される機能を有する。また、記憶部150は、自ノードの識別情報、上位中継無線通信装置の識別情報、最短経路となるルート情報等の情報を、マイクロ波制御部130およびミリ波制御部140と入力および/または出力することが可能である。
【0129】
外部制御部160は、I/F部161および送信要求判定部162を含む。
【0130】
I/F部161は、自ノードに接続された車載機器などの電子機器から出力されるデータ情報を入力し、送信要求判定部162に出力し、または、受信データ処理部146で処理された通信データを入力する機能を有する。車載機器には、例えばスイッチ、センサー、ナビゲーション機器、ラジオやテレビ等のエンタテイメント機器が一例として挙げられる。なお、電子機器は車両に搭載された電子機器に限定されるわけではない。
【0131】
送信要求判定部162は、電子機器から出力されるデータ情報を入力した場合に、送信要求を発生し、データ情報を送信データ生成部145に出力する機能を有する。
【0132】
また、マイクロ波を送受信するためのマイクロ波アンテナANTa、マイクロ波送受信部110、ミリ波を送受信するためのミリ波アンテナANTbは無線通信装置100の内部または外部に配置することが可能である。
【0133】
(セントラルノードとしての上位中継無線通信装置の構成)
上述したように、セントラルノードは、
図6に示される無線通信装置100によって実現することも可能である。しかし、セントラルノードは、無線通信システム1000内の見通しのよい、通信環境が良好な位置に配置される必要があることから、無線通信装置100以外の外部機器からのデータ情報を出力する必要がない場合がある。そのような場合のセントラルノードの構成の一例を
図7に示す。
図7のセントラルノードのブロック図は、
図6の無線通信装置100がソースノードとして機能する場合に特徴がある機能ブロックを削除した構成を示すものである。
【0134】
すなわち、
図7のセントラルノードのブロック図は、
図6の無線通信装置100のブロック図から、計時部134、送信データ生成部145、中継ノード情報追加部148、送信要求判定部162を削除した構成である。なお、
図7のセントラルノードのブロック図から、受信データ処理部146およびI/F部161を含む外部制御部160を削除した構成をセントラルノードとすることも可能である。
【0135】
また、
図8のセントラルノードのブロック図は、
図6の無線通信装置100のブロック図から、送信データ生成部145、中継ノード情報追加部148、送信要求判定部162を削除した構成である。なお、
図8のセントラルノードのブロック図から、受信データ処理部146およびI/F部161を含む外部制御部160を削除した構成をセントラルノードとすることも可能である。
【0136】
以上説明したように、本実施形態の無線通信装置100および無線通信システム1000によれば、メッシュネットワークにおいて、宛先ノードまでの通信路が長い場合であっても、通信ルートを決定するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0137】
以下に、本実施形態の無線通信装置100および無線通信システム1000の特徴について記載する。
【0138】
本発明の第1の態様に係る無線通信装置100は、ミリ波を使用してミリ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、マイクロ波を使用してマイクロ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、ミリ波を使用して通信データの送受信が可能であることが好ましい。無線通信装置100が通信データの送信元無線通信装置として機能する場合には、以下の機能を有するマイクロ波送信部112を含むことが好ましい。マイクロ波送信部112は、通信データの宛先である宛先無線通信装置の識別情報を宛先ノード情報として格納し、送信元無線通信装置の識別情報を送信元ノード情報として格納することが好ましい。また、マイクロ波送信部112は、上位中継無線通信装置の識別情報を中継ノード情報として格納したマイクロ波ルート探索パケットをマイクロ波で送信することが好ましい。また、無線通信装置100は、上位中継無線通信装置の識別情報が送信元ノード情報として格納され、送信元無線通信装置の識別情報が宛先ノード情報として格納されたミリ波ルート探索パケットをミリ波で受信するミリ波受信部121を含むことが好ましい。また、無線通信装置100は、ミリ波ルート探索パケットの中でミリ波ルート探索パケット情報から取得できるルート情報が最短のミリ波ルート探索パケットを抽出する最短経路抽出部144を含むことが好ましい。さらに、無線通信装置100は、以下の機能を有するミリ波送信部122を含むことが好ましい。ミリ波送信部122は、宛先無線通信装置の識別情報を宛先ノード情報として格納し、送信元無線通信装置の識別情報を送信元ノード情報として格納することが好ましい。さらに、ミリ波送信部122は、最短のルート情報を含むミリ波ルート探索パケットを送信元無線通信装置に最後に送信した無線通信装置の識別情報を中継ノード情報として格納した、通信データを含む通信パケットを生成することが好ましい。さらに、ミリ波送信部122は、生成された通信パケットを最後に送信した無線通信装置にミリ波で送信することが好ましい。ミリ波受信部121がミリ波ルート探索パケットを受信した場合にミリ波ルート探索パケットに対する応答パケットを送信しないことが好ましい。
【0139】
上記構成によれば、メッシュネットワークにおいて、宛先ノードまでの通信路が長い場合であっても、通信データの送信元無線通信装置として機能する無線通信装置によって、通信ルートを決定するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0140】
本発明の第2の態様に係る無線通信装置100は、ミリ波を使用してミリ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、マイクロ波を使用してマイクロ波ルート探索パケットの送受信が可能であり、ミリ波を使用して通信データの送受信が可能であることが好ましい。無線通信装置100が上位中継無線通信装置として機能する場合には、マイクロ波ルート探索パケットをマイクロ波で受信するマイクロ波受信部を含むことが好ましい。無線通信装置100は、以下の機能を有するミリ波送信部122を含むことが好ましい。ミリ波送信部122は、受信したマイクロ波ルート探索パケットの中継ノード情報が自ノードに該当する場合には、宛先ノード情報としてマイクロ波ルート探索パケットの送信元ノードの識別情報を格納することが好ましい。また、ミリ波送信部122は、送信元ノード情報として自ノードの識別情報を格納し、中継ノード情報は無しとしたミリ波ルート探索パケットをミリ波でブロードキャストすることが好ましい。また、無線通信装置100は、ミリ波ルート探索パケットをミリ波で受信するミリ波受信部を含むことが好ましい。さらに、無線通信装置100は、以下の機能を有する記憶部150を含むことが好ましい。記憶部150は、受信したミリ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードである場合には、ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報、および、中継ノード情報が格納されている場合には当該中継ノード情報をルート情報として記憶することが好ましい。さらに、無線通信装置100は、受信したミリ波ルート探索パケットに対する応答パケットを送信せず、受信したミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報が自ノードである場合には、受信したミリ波ルート探索パケットを無視することが好ましい。ミリ波受信部121で受信された通信データの宛先ノード情報が自ノードではない場合には、記憶部150に記憶されているルート情報の宛先ノード情報から、通信データの宛先ノード情報と同一の宛先ノード情報を有するルート情報を抽出することが好ましい。ミリ波送信部122はルート情報に従って、通信データを送信することが好ましい。
【0141】
上記構成によれば、メッシュネットワークにおいて、宛先ノードまでの通信路が長い場合であっても、上位中継無線通信装置として機能する無線通信装置によって、通信ルートを決定するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0142】
本発明の第3の態様に係る無線通信装置100は、無線通信装置100が通信データの宛先無線通信装置として機能する場合には、マイクロ波ルート探索パケットを受信するマイクロ波受信部を含むことが好ましい。また、無線通信装置100は、以下の機能を有するミリ波送信部122を含むことが好ましい。ミリ波送信部122は、マイクロ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードに該当する場合に、宛先ノード情報として上位中継無線通信装置の識別情報を格納し、送信元ノード情報として自ノードの識別情報を格納するミリ波ルート探索パケットを生成する。また、ミリ波送信部122は、当該ミリ波ルート探索パケットの中継ノード情報は無しとし、当該ミリ波ルート探索パケットをミリ波でブロードキャストすることが好ましい。さらに無線通信装置100は、ミリ波受信部121を含み、ミリ波受信部121で受信したミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報が自ノードである場合には、受信したミリ波ルート探索パケットを無視することが好ましい。また、ミリ波受信部121で受信した通信データの宛先ノード情報が自ノードである場合には、通信データの受信処理を実行することが好ましい。
【0143】
上記構成によれば、メッシュネットワークにおいて、宛先ノードまでの通信路が長い場合であっても、通信データの宛先無線通信装置として機能する無線通信装置によって、通信ルートを決定するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0144】
本発明の第4の態様に係る無線通信装置100は、無線通信装置が通信データの中継無線通信装置として機能する場合には、ミリ波ルート探索パケットを受信するミリ波受信部121を含むことが好ましい。また、無線通信装置100は、受信したミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報および宛先ノード情報が同一の他のミリ波ルート探索パケットを受信している場合には、受信したミリ波ルート探索パケットを破棄することが好ましい。また、無線通信装置100は、以下の機能を有するミリ波送信部122を含むことが好ましい。ミリ波送信部122は、受信したミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報および宛先ノード情報が同一の他のミリ波ルート探索パケットを受信せずに、受信したミリ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードではない場合に以下の処理を実行する。すなわち、ミリ波送信部122は、中継ノード情報に自ノードの識別情報を格納したミリ波ルート探索パケットをブロードキャストする。さらに、無線通信装置100は、ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報、および、中継ノード情報が格納されている場合には当該中継ノード情報をルート情報として記憶する記憶部を含むことが好ましい。さらに、無線通信装置100は、マイクロ波ルート探索パケットをマイクロ波で受信するマイクロ波受信部を含むことが好ましい。無線通信装置100は、受信したマイクロ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードではない場合であって、自ノードが上位中継無線通信装置でもない場合には、マイクロ波ルート探索パケットを破棄することが好ましい。ミリ波受信部121が通信データをミリ波で受信した場合に、ミリ波送信部122は、ルート情報に従って、通信データをミリ波で送信することが好ましい。
【0145】
上記構成によれば、メッシュネットワークにおいて、宛先ノードまでの通信路が長い場合であっても、中継無線通信装置として機能する無線通信装置によって、通信ルートを決定するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0146】
本発明の第5の態様に係る無線通信システム1000は、通信データの送信元無線通信装置として機能する第1の態様に係る無線通信装置と、通信データの上位中継無線通信装置として機能する第2の態様に係る無線通信装置と、を含むことが好ましい。さらに、無線通信システム1000は、通信データの宛先無線通信装置として機能する第3の態様に係る無線通信装置と、通信データの中継無線通信装置として機能する第4の態様に係る無線通信装置と、を含むことが好ましい。
【0147】
上記構成によれば、メッシュネットワークにおいて、宛先ノードまでの通信路が長い場合であっても、通信ルートを決定するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0148】
本発明の第6の態様に係る無線通信装置100は、ミリ波を使用してミリ波ルート探索パケットの送受信が可能で、マイクロ波を使用してマイクロ波ルート探索結果パケットの送受信が可能で、ミリ波を使用して通信データの送受信が可能であることが好ましい。無線通信装置100が通信データの送信元無線通信装置として機能する場合には、以下の機能を有するミリ波送信部122を含むことが好ましい。ミリ波送信部122は、通信データをミリ波で送信する前に、通信データの宛先無線通信装置の識別情報を宛先ノード情報として格納し、送信元無線通信装置の識別情報を送信元ノード情報として格納したミリ波ルート探索パケットをミリ波でブロードキャストする。また、無線通信装置100は、通信データの送信元無線通信装置から上位中継無線通信装置までの第1のルート情報を格納したマイクロ波ルート探索結果パケットを上位中継無線通信装置から受信するマイクロ波受信部を含むことが好ましい。さらに、無線通信装置100は、上位中継無線通信装置から第1のルート情報を格納したマイクロ波ルート探索パケットを受信した後に、第1のルート情報にしたがって、第1のルート情報を含む通信データをミリ波で送信するミリ波送信部を含むことが好ましい。
【0149】
上記構成によれば、メッシュネットワークにおいて、宛先ノードまでの通信路が長い場合であっても、通信データの送信元無線通信装置として機能する無線通信装置によって、通信ルートを決定するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0150】
本発明の第7の態様に係る無線通信装置100は、ミリ波を使用してミリ波ルート探索パケットの送受信が可能で、マイクロ波を使用してマイクロ波ルート探索結果パケットの送受信が可能で、ミリ波を使用して通信データの送受信が可能であることが好ましい。無線通信装置100が上位中継無線通信装置として機能する場合には、通信データの送信元無線通信装置から上位中継無線通信装置までのルートを抽出可能な第1のルート情報を含むミリ波ルート探索パケットを受信するミリ波受信部を含むことが好ましい。また、無線通信装置100は、ミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報を宛先ノード情報とし、自ノードの識別情報を送信元ノード情報とし、第1のルート情報を含むマイクロ波ルート探索結果パケットを送信するマイクロ波送信部を含むことが好ましい。さらに、無線通信装置100は、ミリ波ルート探索パケットを受信した場合に、受信したミリ波ルート探索パケットの中継ノード情報に自ノードの識別情報を追加して格納したミリ波ルート探索パケットをブロードキャストするミリ波送信部を含むことが好ましい。さらに、無線通信装置100は、送信元無線通信装置から通信データの宛先無線通信装置までのルートを抽出可能な第2のルート情報を含むマイクロ波ルート探索結果パケットを受信するマイクロ波受信部を含むことが好ましい。さらに、無線通信装置100は、第1のルート情報を含む通信データを受信した場合に、第2のルート情報に従って、自ノードの次のノードに第1のルート情報の代わりに第2のルート情報を含めた通信データをミリ波で送信するミリ波送信部を含むことが好ましい。
【0151】
上記構成によれば、メッシュネットワークにおいて、宛先ノードまでの通信路が長い場合であっても、上位中継無線通信装置として機能する無線通信装置によって、通信ルートを決定するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0152】
本発明の第8の態様に係る無線通信装置100は、無線通信装置が通信データの宛先無線通信装置として機能する場合には、以下の機能を有するミリ波受信部121を含むことが好ましい。ミリ波受信部121は、通信データの送信元無線通信装置から宛先無線通信装置までのルートを抽出可能な第2のルート情報を含むミリ波ルート探索パケットを受信することが好ましい。また、無線通信装置100は、以下の機能を有するマイクロ波送信部112を含むことが好ましい。マイクロ波送信部112は、宛先無線通信装置の識別情報を送信元ノード情報に、上位中継無線通信装置の識別情報を宛先ノード情報にし、受信したミリ波ルート探索パケットの第2のルート情報を含むマイクロ波ルート探索結果パケットを送信することが好ましい。さらに、無線通信装置100は、ミリ波受信部121で受信した通信データの宛先ノード情報が自ノードである場合には、通信データの受信処理を実行することが好ましい。
【0153】
上記構成によれば、メッシュネットワークにおいて、宛先ノードまでの通信路が長い場合であっても、通信データの宛先無線通信装置として機能する無線通信装置によって、通信ルートを決定するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0154】
本発明の第9の態様に係る無線通信装置100は、無線通信装置が通信データの中継無線通信装置として機能する場合には、ミリ波ルート探索パケットを受信するミリ波受信部121を含むことが好ましい。無線通信装置100は、受信したミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報および宛先ノード情報が同一の他のミリ波ルート探索パケットを受信している場合には、受信したミリ波ルート探索パケットを破棄することが好ましい。また、無線通信装置100は、以下の機能を有するミリ波送信部122を含むことが好ましい。ミリ波送信部122は、受信したミリ波ルート探索パケットの送信元ノード情報および宛先ノード情報が同一の他のミリ波ルート探索パケットを受信せず、受信したミリ波ルート探索パケットの宛先ノード情報が自ノードではない場合に以下の処理を実行する。ミリ波送信部122は、受信したミリ波ルート探索パケットの中継ノード情報に自ノードの識別情報を格納し、ミリ波ルート探索パケットをブロードキャストする。さらに、無線通信装置100は、マイクロ波ルート探索結果パケットをマイクロ波で受信するマイクロ波受信部を含むことが好ましい。無線通信装置100は、受信したマイクロ波ルート探索結果パケットの宛先ノード情報が自ノードではない場合には、マイクロ波ルート探索結果パケットを破棄することが好ましい。ミリ波受信部121が通信データをミリ波で受信した場合に、ミリ波送信部122は、通信データに含まれる第1のルート情報または第2のルート情報に従って、通信データをミリ波で送信することが好ましい。
【0155】
上記構成によれば、メッシュネットワークにおいて、宛先ノードまでの通信路が長い場合であっても、中継無線通信装置として機能する無線通信装置によって、通信ルートを決定するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0156】
本発明の第10の態様に係る無線通信システム1000は、通信データの送信元無線通信装置として機能する第6の態様に係る無線通信装置100と、通信データの上位中継無線通信装置として機能する第7の態様に係る無線通信装置を含むことが好ましい。さらに、無線通信システム1000は、通信データの宛先無線通信装置として機能する第8の態様に係る無線通信装置と、通信データの中継無線通信装置として機能する第9の態様に係る無線通信装置と、を含むことが好ましい。
【0157】
上記構成によれば、メッシュネットワークにおいて、宛先ノードまでの通信路が長い場合であっても、通信ルートを決定するまでの時間を短縮することが可能となる。
【0158】
実施形態につき、図面を参照しつつ詳細に説明したが、以上の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0159】
100 無線通信装置
111 マイクロ波受信部
112 マイクロ波送信部
121 ミリ波受信部
122 ミリ波送信部
144 最短経路抽出部
150 記憶部
1000 無線通信システム