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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】建設車両用映像表示システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 1/20 20220101AFI20240130BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240130BHJP
   B62D 55/06 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B60R1/20 100
B60R11/02 C
B62D55/06
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020089411
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021183448
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000216025
【氏名又は名称】鉄建建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121603
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 元昭
(74)【代理人】
【識別番号】100141656
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 英司
(74)【代理人】
【識別番号】100067747
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 良昭
(72)【発明者】
【氏名】布施 尚行
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-151142(JP,A)
【文献】特開2016-219864(JP,A)
【文献】特開2005-138751(JP,A)
【文献】登録実用新案第3203587(JP,U)
【文献】特開2013-121056(JP,A)
【文献】特開2017-066860(JP,A)
【文献】国際公開第2016/148309(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/093097(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 1/00 ; 1/20
B60R 11/00 - 11/06
E02F 9/00 - 9/18
E02F 9/24 - 9/28
H04N 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建設車両の周囲状況を撮影する複数の撮影装置と、
それぞれの前記撮影装置が撮影した映像情報を合成して全周囲映像情報を生成する制御装置と、
前記全周囲映像情報に基づいて作成された様々な映像を表示する表示装置とを備えた建設車両用映像表示システムであって、
前記建設車両における運転操作具の操作について無効及び有効のいずれかに切り替える切替装置と連動し、
前記運転操作具の操作を無効としている場合においては、前記全周囲映像情報に基づいて作成された待機モード映像を前記表示装置に表示し、
前記運転操作具の操作を有効としている場合においては、前記全周囲映像情報に基づいて作成された作業モード映像を前記表示装置に表示する
建設車両用映像表示システム。
【請求項2】
前記撮影装置を支持するブラケットを備え、
前記撮影装置が前記建設車両に固定された前記ブラケットに対して脱着自在又は前記撮影装置が前記ブラケットとともに前記建設車両に対して脱着自在に取り付けられる
請求項1に記載の建設車両用映像表示システム。
【請求項3】
前記ブラケットに対して独立し、前記撮影装置と前記建設車両の構造部品とを直接的に連結する落下防止具を備える
請求項2に記載の建設車両用映像表示システム。
【請求項4】
前記待機モード映像は、前記建設車両の自車画像を中心とする立体投影面に対して前記全周囲映像情報に基づく全周囲映像を投影した状態で、前記自車画像を斜め上方から見下ろすとともに当該自車画像から上方へ延びる仮想直線を中心として旋回する移動視点映像を含む
請求項1乃至請求項3のうちいずれかに記載の建設車両用映像表示システム。
【請求項5】
前記作業モード映像は、前記建設車両の自車画像を中心とする立体投影面に対して前記全周囲映像情報に基づく全周囲映像を投影した状態で、前記自車画像を後方斜め上方から見下ろす固定視点映像を含む
請求項1乃至請求項4のうちいずれかに記載の建設車両用映像表示システム。
【請求項6】
前記作業モード映像は、前記建設車両の自車画像を中心とする立体投影面に対して前記全周囲映像情報に基づく全周囲映像を投影した状態で、前記自車画像を真上から見下ろす固定視点映像を含む
請求項1乃至請求項5のうちいずれかに記載の建設車両用映像表示システム。
【請求項7】
前記作業モード映像における前記自車画像を真上から見下ろす固定視点映像に対し、前記自車画像を中心に当該自車画像から所定の離間距離を表す等距離線を明示する
請求項6に記載の建設車両用映像表示システム。
【請求項8】
前記制御装置に前記運転操作具の無操作時間を計測する時間計測部を備え、
前記制御装置は、前記運転操作具の操作を有効としている状態であっても前記時間計測部によって計測された無操作時間が所定時間を超えた場合に、前記作業モード映像から前記待機モード映像に切り替える
請求項1乃至請求項7のうちいずれかに記載の建設車両用映像表示システム。
【請求項9】
前記制御装置に前記撮影装置の接続を検出する接続検出部を備え、
前記制御装置は、前記接続検出部によって前記撮影装置の接続を検出した場合に、前記全周囲映像情報の生成に必須である校正を実行するための校正実行画像を前記表示装置に表示する
請求項1乃至請求項8のうちいずれかに記載の建設車両用映像表示システム。
【請求項10】
前記制御装置に前記撮影装置の接続を検出する接続検出部と前記自車画像の車種及び車体色の組み合わせを記憶する画像記憶部を備え、
前記制御装置は、前記接続検出部によって前記撮影装置の接続を検出した場合に、前記自車画像の車種及び車体色を選択するための自車選択画像を前記表示装置に表示する
請求項乃至請求項のうちいずれかに記載の建設車両用映像表示システム。
【請求項11】
それぞれの前記撮影装置に撮影方向を検出する方向検出部を備え、
前記制御装置は、前記方向検出部によって前記撮影装置の撮影方向が変化したことを検出した場合に、撮影方向に変化が生じた旨の警告音を発報及び/又は撮影警告画像を前記表示装置に表示する
請求項1乃至請求項10のうちいずれかに記載の建設車両用映像表示システム。
【請求項12】
人や物の近接を検出する近接検出装置を備え、
前記制御装置は、前記近接検出装置によって人や物が近接していることを検出した場合に、人や物が近接している旨の警告音を発報及び/又は近接警告画像を前記表示装置に表示する
請求項1乃至請求項11のうちいずれかに記載の建設車両用映像表示システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、建設車両用映像表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、走行車両の安全性を向上できる映像表示システムが知られている。特許文献1には、走行車両の周囲状況を複数の撮影装置で撮影し、それぞれの撮影装置が撮影した映像情報を合成することによって全周囲映像情報を生成し、全周囲映像情報に基づいて作成された俯瞰映像(真上から見下ろす固定視点映像)を表示装置に表示する映像表示システムが開示されている。
【0003】
ところで、バックホーやブルドーザ、クローラクレーン等の建設車両は、比較的に大きな車体であることに加えて作業装具を有するため、運転者の死角となる領域が広くならざるを得ない。また、このような建設車両は、前後進や走行旋回、信地旋回等を繰り返し行い、例えばバックホーにあってはバケット等で構成される作業装具の作動や作業装具を備える旋回体の首振旋回を繰り返し行うため、一般的な走行車両とは稼働態様が異なる。そのため、走行車両用の映像表示システムをそのまま建設車両に取り付けても、死角の広さや稼働態様が異なるため、安全性の向上につながりにくいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-224610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この発明は、建設車両の安全性を向上できる建設車両用映像表示システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、建設車両の周囲状況を撮影する複数の撮影装置と、それぞれの前記撮影装置が撮影した映像情報を合成して全周囲映像情報を生成する制御装置と、前記全周囲映像情報に基づいて作成された様々な映像を表示する表示装置とを備えた建設車両用映像表示システムであって、前記建設車両における運転操作具の操作について無効及び有効のいずれかに切り替える切替装置と連動し、前記運転操作具の操作を無効としている場合においては、前記全周囲映像情報に基づいて作成された待機モード映像を前記表示装置に表示し、前記運転操作具の操作を有効としている場合においては、前記全周囲映像情報に基づいて作成された作業モード映像を前記表示装置に表示することを特徴としている。この発明により、建設車両の安全性を向上できる。
【0007】
詳述すると、切替装置によって運転操作具の操作を無効としている場合は、建設車両が待機状態にあると判断できる。そのため、制御装置が全周囲映像情報に基づいて待機モード映像を作成し、これを表示装置に表示する。待機モード映像とは、待機状態にある建設車両の運転者が安全を確認するために適した映像態様であり、具体的には運転者の死角に人や物が入り込んでいないことを確認できる映像態様である。したがって、運転者の死角となる領域が広い建設車両において、安全性を向上できる。なお、上述の作成とは、全周囲映像情報に基づく編集、加工、抽出等の待機モード映像の完成に要する全ての作業を含む概念である。
【0008】
さらに、切替装置によって運転操作具の操作を有効としている場合は、建設車両が作業状態にあると判断できる。そのため、制御装置が全周囲映像情報に基づいて作業モード映像を作成し、これを表示装置に表示する。作業モード映像とは、作業状態にある建設車両の運転者が安全を確認するために適した映像態様であり、具体的には稼働中の建設車両に対して人や物が近接していないことを確認できる映像態様である。したがって、前後進や走行旋回、信地旋回等を繰り返し行う建設車両はもちろん、例えばバケット等で構成される作業装具の作動や作業装具を備える旋回体の首振旋回を繰り返し行う建設車両において、安全性を向上できる。なお、上述の作成とは、全周囲映像情報に基づく編集、加工、抽出等の作業モード映像の完成に要する全ての作業を含む概念である。
【0009】
この発明の態様として、前記撮影装置を支持するブラケットを備え、前記撮影装置が前記建設車両に固定された前記ブラケットに対して脱着自在又は前記撮影装置が前記ブラケットとともに前記建設車両に対して脱着自在に取り付けられてもよい。
【0010】
この発明により、建設車両の新車組立時に撮影装置を取り付けるだけでなく、供用中の建設車両に対しても撮影装置を取り付けることができる。したがって、保有しているあらゆる建設車両に建設車両用映像表示システムを後付けすることができる。このため、建設車両用映像表示システムの汎用性が向上する。また、建設車両のリース事業やレンタル事業において、建設車両用映像表示システムをオプション機器として取り扱うことができる。このため、契約内容に応じて建設車両用映像表示システムを取り付けたり取外したりすることができる。
【0011】
またこの発明の態様として、前記ブラケットに対して独立し、前記撮影装置と前記建設車両の構造部品とを直接的に連結する落下防止具を備えてもよい。
上述の落下防止具は、可塑性を有する金属ワイヤー等で構成され、撮影装置と建設車両の構造部品とを離別不能につなぎ留めるものであってもよいし、可塑性を有しない金属フレーム等で構成され、撮影装置と建設車両の構造部品とを互いに係止あるいは固定するものであってもよい。
【0012】
この発明により、撮影装置がブラケットから外れたり撮影装置がブラケットとともに建設車両から外れたりしても、落下防止具が撮影装置と建設車両の構造部品とを直接的に連結しているため、撮影装置が地面に落下してしまうことを防止できる。また、落下防止具を破壊困難な構造とした場合は、撮影装置の盗難防止機能も獲得することができる。
【0013】
またこの発明の態様として、前記待機モード映像は、前記建設車両の自車画像を中心とする立体投影面に対して前記全周囲映像情報に基づく全周囲映像を投影した状態で、前記自車画像を斜め上方から見下ろすとともに当該自車画像から上方へ延びる仮想直線を中心として旋回する移動視点映像を含んでもよい。
【0014】
この発明により、待機状態にある建設車両を斜め上方から見下ろしながら、建設車両を中心に全周旋回する客観的な映像が表示装置に表示される。そのため、運転者は、表示装置を介して死角における安全を全周囲にわたって確認できる。つまり、運転者の死角に人や物が入り込んでいないことを全周囲にわたって確認することができる。
【0015】
またこの発明の態様として、前記作業モード映像は、前記建設車両の自車画像を中心とする立体投影面に対して前記全周囲映像情報に基づく全周囲映像を投影した状態で、前記自車画像を後方斜め上方から見下ろす固定視点映像を含んでもよい。
【0016】
この発明により、作業状態にある建設車両を後方斜め上方から見下ろす客観的な映像が表示装置に表示される。そのため、運転者は、表示装置を介して建設車両の前方の状況を自車画像ごしに見ることができるだけでなく、同時に建設車両の後方及び側方における安全を確認できる。つまり、運転者が建設車両の前方の状況を見ることができるだけでなく、運転者の死角となる後方及び側方、すなわち振り向かなければ見ることができない後方及び側方に人や物が近接していないことを確認することができる。
【0017】
またこの発明の態様として、前記作業モード映像は、前記建設車両の自車画像を中心とする立体投影面に対して前記全周囲映像情報に基づく全周囲映像を投影した状態で、前記自車画像を真上から見下ろす固定視点映像を含んでもよい。
【0018】
この発明により、作業状態にある建設車両を真上から見下ろす客観的な映像が表示装置に表示される。そのため、運転者は、表示装置を介して稼働中の建設車両の全周囲状況を広く見渡して安全を確認できる。つまり、運転者が建設車両の全周囲状況を広く見渡して人や物が近接していないこと、ならびに人や物が近接したときにその方向や位置を確認することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、前記作業モード映像における前記自車画像を真上から見下ろす固定視点映像に対し、前記自車画像を中心に当該自車画像から所定の離間距離を表す等距離線を明示してもよい。
【0020】
この発明により、建設車両を真上から見下ろす客観的な映像に円形の等距離線が明示される。そのため、運転者は、表示装置を介して建設車両に近接している人や物の離間距離を容易に把握できる。つまり、建設車両に近接している人や物の位置を等距離線と見比べることで、その離間距離を容易に把握することができる。
【0021】
またこの発明の態様として、前記制御装置に前記運転操作具の無操作時間を計測する時間計測部を備え、前記制御装置は、前記運転操作具の操作を有効としている状態であっても前記時間計測部によって計測された無操作時間が所定時間を超えた場合に、前記作業モード映像から前記待機モード映像に切り替えてもよい。
上述の時間計測部は、運転操作具の操作を行わなかった期間における開始時刻と終了時刻から差分を求め、この差分を無操作時間とするものであってもよいし、開始時刻から単位時間ごとに数え上げ、終了時間までの合算を無操作時間とするものであってもよい。
【0022】
この発明により、運転操作具の操作が行われずに一時的な待機状態にある場合において、建設車両を斜め上方から見下ろしながら、建設車両を中心に全周旋回する客観的な映像が表示装置に表示される。そのため、一時的な待機状態にある建設車両に人や物が不用意に近接することがあったとしても、運転者は、表示装置を介して死角における安全を全周囲にわたって確認できる。つまり、運転者の死角に人や物が入り込んでいないことを全周囲にわたって確認することができる。
【0023】
またこの発明の態様として、前記制御装置に前記撮影装置の接続を検出する接続検出部を備え、前記制御装置は、前記接続検出部によって前記撮影装置の接続を検出した場合に、前記全周囲映像情報の生成に必須である校正を実行するための校正実行画像を前記表示装置に表示してもよい。
【0024】
この発明により、建設車両用映像表示システムの移設等によって撮影装置の取付位置が変わったとしても、建設車両の全周囲を取り囲む、切れ目のない全周囲映像情報の生成を担保できる。したがって、車種を問わず建設車両用映像表示システムの機能を発揮することができる。また、同じ車種においても、撮影装置の取付位置を問わず建設車両用映像表示システムの機能を発揮することができる。
【0025】
またこの発明の態様として、前記制御装置に前記撮影装置の接続を検出する接続検出部と前記自車画像の車種及び車体色の組み合わせを記憶する画像記憶部を備え、前記制御装置は、前記接続検出部によって前記撮影装置の接続を検出した場合に、前記自車画像の車種及び車体色を選択するための自車選択画像を前記表示装置に表示してもよい。
【0026】
この発明により、建設車両用映像表示システムの移設等によって建設車両の車種及び車体色が変わったとしても、新たな建設車両の車種及び車体色に各モード映像に表れる自車画像を合わせることができる。したがって、運転者が各モード映像に表れる自車画像とその周囲状況を現実の建設車両とその周囲状況として理解することができる。また、運転者が建設車両の車長感覚や車幅感覚、近接している人や物までの距離感覚を得ることができる。さらに、各モード映像に表れる自車画像と現実の建設車両とが異なる場合は、運転者に生じた違和感によって運転者が自車画像の選択等について未実施であることを認識できる。
【0027】
またこの発明の態様として、それぞれの前記撮影装置に撮影方向を検出する方向検出部を備え、前記制御装置は、前記方向検出部によって前記撮影装置の撮影方向が変化したことを検出した場合に、撮影方向に変化が生じた旨の警告音を発報及び/又は撮影警告画像を前記表示装置に表示してもよい。
【0028】
この発明により、運転者は、撮影装置の取付状態にガタが生じたり撮影装置が外れて落下したりしたことを直ちに把握できる。さらに、制御装置に撮影装置を接続したままの状態で建設車両用映像表示システムの移設を行った場合は、撮影方向に変化が生じた旨の警告音等によって運転者が校正や自車画像の選択等について未実施であることを認識できる。
【0029】
またこの発明の態様として、人や物の近接を検出する近接検出装置を備え、前記制御装置は、前記近接検出装置によって人や物が近接していることを検出した場合に、人や物が近接している旨の警告音を発報及び/又は近接警告画像を前記表示装置に表示してもよい。
【0030】
この発明により、運転者は、建設車両に対して人や物が近接していることを直ちに把握できる。さらに、車体に近接検出装置を備えない建設車両であったとしても、この建設車両用映像表示システムを介して近接検出装置を後付けすることができ、人や物の近接について警告を発する機能を容易に獲得することができる。
【発明の効果】
【0031】
この発明により、建設車両の安全性を向上できる建設車両用映像表示システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】バックホーの斜視図。
図2】バックホーの運転座席とその周辺の斜視図。
図3】建設車両用映像表示システムの構成図。
図4】撮影装置の撮影範囲を表す平面図。
図5】自車画像を中心に定義される立体投影面を表す斜視図。
図6】撮影装置の支持構造に関する展開図。
図7】待機モード映像を表示した表示装置の正面図。
図8】作業モード映像を表示した表示装置の正面図。
図9】校正実行画像を表示した表示装置の正面図。
図10】自車選択画像を表示した表示装置の正面図。
図11】撮影警告画像を表示した表示装置の正面図。
図12】近接警告画像を表示した表示装置の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1はバックホー1の斜視図を示し、図2はバックホー1の運転座席46とその周辺の斜視図を示し、図3は建設車両用映像表示システム5の構成図を示している。
【0034】
また、図4は撮影装置51の撮影範囲Rを表す平面図を示し、図5は自車画像M1を中心に定義される立体投影面Psを表す斜視図を示し、図6は撮影装置51の支持構造に関する展開図を示している。
【0035】
さらに、図7は待機モード映像V1を表示した表示装置53の正面図を示し、図8は作業モード映像V2を表示した表示装置53の正面図を示し、図9は校正実行画像V3を表示した表示装置53の正面図を示し、図10は自車選択画像V4を表示した表示装置53の正面図を示し、図11は撮影警告画像V5を表示した表示装置53の正面図を示している。そして、図12は近接警告画像V6を表示した表示装置53の正面図を示している。
【0036】
本発明の技術的思想は、以下に説明するバックホー1だけでなく、ブルドーザやクローラクレーン等の他の建設機械にも適用することが可能である。
図1に示すように、バックホー1は、走行体2と、作業装具3を備える旋回体4とで構成されている。
【0037】
走行体2は、バックホー1の走行を可能とするものである。走行体2は、主に左右一対のクローラ21と油圧モータ22とで構成される。走行体2は、各油圧モータ22が左右のクローラ21を等しく回転駆動することで前後進を可能とする。また、走行体2は、各油圧モータ22が左右のクローラ21を互いに独立して回転駆動することで走行旋回や信地旋回を可能とする。
【0038】
作業装具3は、土砂等の掘削作業を可能とするものである。作業装具3は、主にブーム31とアーム32とバケット33と複数の油圧シリンダ34,35,36とで構成される。作業装具3は、各油圧シリンダ34,35,36がブーム31とアーム32とバケット33とを互いに独立して反復駆動することで掘削作業を可能とする。
【0039】
具体的に説明すると、図1に示すように、ブーム31は、旋回体4の中央部やや前方に支持されており、伸縮する油圧シリンダ34によって回動自在に構成されている。また、アーム32は、ブーム31の先端部に支持されており、伸縮する油圧シリンダ35によって回動自在に構成されている。そして、バケット33は、アーム32の先端部に支持されており、伸縮する油圧シリンダ36によって回動自在に構成されている。つまり、作業装具3は、三箇所の回動部を有する多関節構造となっている。こうして、各油圧シリンダ34,35,36がブーム31とアーム32とバケット33とを互いに独立して反復駆動することで掘削作業を可能とする。
【0040】
旋回体4は、作業装具3の首振旋回を可能とするものである。旋回体4は、主に旋回台41と油圧モータ42とで構成される。旋回体4は、油圧モータ42が旋回台41を一方へ回転駆動することで作業装具3の左旋回を可能とする。また、旋回体4は、油圧モータ42が旋回台41を他方へ回転駆動することで作業装具3の右旋回を可能とする。旋回台41には、キャビン43とサイドコンテナ44とバックコンテナ45とが載置されている。キャビン43には、バックホー1の運転に要する様々なものが収容されている。
【0041】
具体的に説明すると、図2に示すように、キャビン43には、運転座席46や各種の運転操作具47が収容されている。運転者は、運転座席46に着座した状態で運転操作具47である二つの走行レバー471,472を操作することにより、油圧モータ22の駆動に関する指示を与える。また、運転者は、運転座席46に着座した状態で運転操作具47である作業レバー473,474を操作することにより、各油圧シリンダ34,35,36や油圧モータ42の駆動に関する指示を与える。こうして、運転者は、バックホー1の運転操作(走行体2による前後進、走行旋回、信地旋回、作業装具3の作動、旋回体4による首振旋回)を行なうことができる。なお、キャビン43には、比較的に大きな破砕片等から運転者を守るべく、その前面に防護網48が取り付けられている。
【0042】
さらに、キャビン43には、運転操作具47(471,472,473,474)の操作について無効及び有効のいずれかに切り替える切替装置49が設けられている。切替装置49は、運転座席46の側方に配置される手動操作レバー491と手動操作レバー491に連動するスイッチ492(図3参照)とで構成される。運転者が手動操作レバー491を引き起こすと、スイッチ492がOFF状態となって運転操作具47の操作が無効化される。反対に、運転者が手動操作レバー491を押し倒すと、スイッチ492がON状態となって運転操作具47の操作が有効化される。そのため、運転者は、手動操作レバー491を引き起した状態で待機し、手動操作レバー491を押し倒した状態で掘削作業を行う。手動操作レバー491は、安全レバーとも呼ばれる。
【0043】
加えて、本実施形態におけるバックホー1は、建設車両用映像表示システム5を備えている。図3に示すように、建設車両用映像表示システム5は、バックホー1の周囲状況を撮影する四つの撮影装置51と、それぞれの撮影装置51が撮影した映像情報を合成して全周囲映像情報を生成する制御装置52と、全周囲映像情報に基づいて作成された様々な映像を表示する表示装置53とで構成される。
【0044】
第1の撮影装置51である前方カメラ511は、キャビン43の前面に設けられた防護網48のフレーム481(図1参照)に取り付けられる。図4に示すように、前方カメラ511による撮影範囲Rは、バックホー1の前方ならびに左右斜め前方の一帯を含んでいる。なお、前方カメラ511は、ケーブルを介して制御装置52に接続される。
【0045】
第2の撮影装置51である左方カメラ512は、キャビン43の左側面に設けられたステー431(図1参照)に取り付けられる。図4に示すように、左方カメラ512による撮影範囲Rは、バックホー1の左方ならびに斜め前方及び斜め後方の一帯を含んでいる。なお、左方カメラ512も、ケーブルを介して制御装置52に接続される。
【0046】
第3の撮影装置51である右方カメラ513は、サイドコンテナ44の上面に設けられた手摺り441(図1参照)に取り付けられる。図4に示すように、右方カメラ513による撮影範囲Rは、バックホー1の右方ならびに斜め前方及び斜め後方の一帯を含んでいる。なお、右方カメラ513も、ケーブルを介して制御装置52に接続される。
【0047】
第4の撮影装置51である後方カメラ514は、バックコンテナ45の上面に設けられたステー451(図1参照)に取り付けられる。図4に示すように、後方カメラ514による撮影範囲Rは、バックホー1の後方ならびに左右斜め後方の一帯を含んでいる。なお、後方カメラ514も、ケーブルを介して制御装置52に接続される。
【0048】
制御装置52は、例えば運転座席46の下方に取り付けられる。制御装置52は、インターフェース部521と、プロセッサ(CPU)を含む演算処理部522と、揮発性メモリ(RAM)及び不揮発性メモリ(ROM)を含む情報記憶部523とを備えている。
【0049】
インターフェース部521は、入力ポートと出力ポートを有している。入力ポートには撮影装置51のケーブルが接続している。そのため、撮影装置51からインターフェース部521へ映像情報が入力される。また、出力ポートには表示装置53のケーブルが接続している。そのため、インターフェース部521から表示装置53へ映像情報が出力される。
【0050】
さらに、インターフェース部521の入力ポートには、上述したスイッチ492から延びるケーブルが接続している。そのため、インターフェース部521には、手動操作レバー491を引き起こしている状態において、スイッチ492がOFF状態である旨の信号が入力される。あるいは手動操作レバー491を押し倒している状態において、スイッチ492がON状態である旨の信号が入力される。
【0051】
図5に示すように、演算処理部522は、バックホー1の自車画像M1を中心とする立体投影面Psを生成する。自車画像M1は、バックホー1の形状をコンピュータ上で再現したバーチャル車両である。立体投影面Psは、その中心から径外側方向へ向かうにつれて徐々にせり上がる椀型のバーチャル曲面である。立体投影面Psは、建設車両の車種に対応する大きさ及び形状のものが自動的に選択される。
【0052】
さらに、演算処理部522は、それぞれの撮影装置51が撮影した映像情報を合成して全周囲映像情報を生成する。つまり、それぞれの撮影装置51が撮影した映像情報を適宜に歪ませてつなぎ合わせ、立体投影面Psに投影可能な全周囲映像情報を生成する。そして、演算処理部522は、切替装置49のスイッチ492がOFF状態である場合に、バックホー1が待機状態にあると判断して所定の移動視点映像を作成する。あるいは切替装置49のスイッチ492がON状態である場合に、バックホー1が作業状態にあると判断して所定の固定視点映像を作成する。これらの映像については後に詳しく説明する。
【0053】
情報記憶部523は、演算処理部522が用いるプログラムを記憶している。また、情報記憶部523は、自車画像M1の車種及び車体色の組み合わせを記憶している。つまり、バックホー1を含む様々な建設車両の車種及び車体色に対応できるよう、自車画像M1の車種及び車体色の組み合わせを記憶している。なお、上述の車種とは、バックホーやブルドーザ、クローラクレーン、ホイルローダ、ダンプトラック等の機能に基づく分類だけでなく、それぞれのクラス(大きさ)に基づく分類も含む概念である。そのため、後述する自車選択画像V4にて、例えばバックホーの20トンクラスやブルドーザの4トンクラスのように機能とクラスを選択することができる。
【0054】
表示装置53は、例えば運転座席46の右斜め前方に取り付けられる。表示装置53は、液晶ディスプレイ(LCD)又は有機ELディスプレイ(OELD)で構成されている。表示装置53は、全周囲映像情報に基づいて作成された様々な映像を表示することができる。また、表示装置53には、キーボード等の入力機器が接続されている。そのため、運転者は、表示装置53に表示された映像を見ながら映像に関する操作を行うことができる。なお、表示装置53にタッチパネル機能を付加してもよい。これらによって表示装置53に表示された移動視点映像や固定視点映像について視点の位置を変えることができるのが好ましい。
【0055】
ところで、建設車両用映像表示システム5は、建設車両から建設車両へ移設する使用態様が想定されている。そのため、少なくとも撮影装置51が脱着自在となっている。ここでは、第1の撮影装置51である前方カメラ511について脱着自在であることを説明する。
【0056】
図6に示すように、前方カメラ511は、ブラケット6によって支持される。ブラケット6は、板材を折り曲げることによって一対の側板部61が形成されている。それぞれの側板部61には、貫通孔61hが設けられており、この貫通孔61hに通されたボルト5Bが前方カメラ511のプレート51Pに設けられたボルト孔51hに対して螺合される。また、ブラケット6の底板部62には、貫通孔62hが設けられており、この貫通孔62hに通されたボルト6Bが防護網48のフレーム481(詳細には防護網48のフレーム481に溶接されたステー482)に設けられたボルト孔48hに対して螺合される。
【0057】
このような構成とすることにより、ボルト5Bを回すだけで前方カメラ511をブラケット6に対して取り付けたり取り外したりすることができる。また、ボルト6Bを回すだけでブラケット6をバックホー1(詳細には防護網48のフレーム481に溶接されたステー482)に対して取り付けたり取り外したりすることができる。すなわち、前方カメラ511がバックホー1に固定されたブラケット6に対して脱着自在又は前方カメラ511がブラケット6とともにバックホー1に対して脱着自在に取り付けられている。
【0058】
そのため、バックホー1の新車組立時に前方カメラ511を取り付けるだけでなく、供用中のバックホー1に対しても前方カメラ511を取り付けることができる(いわゆる後付けができる)。これは、その他の各カメラ512,513,514についても同様である。
【0059】
また図6に示すように、建設車両用映像表示システム5においては、ブラケット6に対して独立し、撮影装置51とバックホー1の構造部品とを直接的に連結する落下防止具7を備えている。落下防止具7は、金属ワイヤー71と、金属ワイヤー71をループ状に連結する鍵付ロック72とで構成される。建設車両用映像表示システム5の移設等に際しては、金属ワイヤー71を前方カメラ511の金属輪51cに挿通させ、さらに防護網48のフレーム481等を囲むループ状とし、金属ワイヤー71の先端部71tを鍵付ロック72に挿入して連結する。
【0060】
そのため、前方カメラ511が外れて地面に落下してしまうことを防止できる。つまり、前方カメラ511がブラケット6から外れたり前方カメラ511がブラケット6とともにバックホー1(詳細には防護網48のフレーム481に溶接されたステー482)から外れたりしても、前方カメラ511とバックホー1の構造部品(防護網48のフレーム481)とを離別不能につなぎ留めているので、前方カメラ511が地面に落下してしまうことを防止できる。なお、落下防止具7を破壊困難な構造とした場合は、前方カメラ511の盗難防止機能も獲得することができる。これは、その他の各カメラ512,513,514についても同様である。
【0061】
以下に、表示装置53に表示される映像に関して説明する。建設車両用映像表示システム5においては、上述した切替装置49と連動して表示装置53に表示される映像が切り替わるという特徴を有している。換言すると、バックホー1が待機状態にあるか作業状態にあるかによって表示装置53に表示される映像が切り替わるという特徴を有している。
【0062】
図7に示すように、バックホー1が待機状態にあっては、表示装置53に待機モード映像V1が表示される。待機モード映像V1は、バックホー1の自車画像M1を中心とする立体投影面Psに対して全周囲映像情報に基づく全周囲映像Voを投影した状態で、自車画像M1を斜め上方から見下ろすとともに自車画像M1から上方へ延びる仮想直線Lsを中心として旋回する移動視点映像(図5に表す視点P1から自車画像M1を見据えつつ視点P1が矢印r方向へ回転することによって得られる映像)を含んでいる。この移動視点映像は、待機状態にあるバックホー1を斜め上方から見下ろしながら、このバックホー1を中心に全周旋回する客観的な映像であるといえる。
【0063】
そのため、運転者は、表示装置53に表示された待機モード映像V1を見ることにより、死角における安全を全周囲にわたって確認できる。つまり、運転者の死角に人Hや物Fが入り込んでいないことを全周囲にわたって確認することができる。
【0064】
なお、待機モード映像V1は、このような移動視点映像だけでなく、その他の映像を含む構図であってもよい。例えば待機モード映像V1の一部を分割して各カメラ511,512,513,514による映像を表示してもよいし、各種の設定に用いるアイコンやタブ、ウインドウ等を表示してもよい。
【0065】
さらに、待機モード映像V1においては、自車画像M1における作業装具が省略されている。このようにするのは、全周囲映像Voに表れた人Hや物Fが自車画像M1の作業装具と重なって見えづらくなるのを防ぐためである。また、実際の作業装具3の姿勢に合わせて自車画像M1の作業装具の姿勢を変えるのは困難だからである。
【0066】
図8に示すように、バックホー1が作業状態にあっては、表示装置53に作業モード映像V2が表示される。作業モード映像V2は、バックホー1の自車画像M1を中心とする立体投影面Psに対して全周囲映像情報に基づく全周囲映像Voを投影した状態で、自車画像M1を後方斜め上方から見下ろす固定視点映像(図5に表す視点P2から自車画像M1を見据えることによって得られる映像)を含んでいる。この固定視点映像は、作業状態にあるバックホー1を後方斜め上方から見下ろす客観的な映像であるといえる。
【0067】
そのため、運転者は、表示装置53に表示された作業モード映像V2を見ることにより、バックホー1の前方の状況を自車画像M1ごしに見ることができるだけでなく、同時にバックホー1の後方及び側方における安全を確認できる。つまり、運転者がバックホー1の前方の状況を見ることができるだけでなく、運転者の死角となる後方及び側方、すなわち振り向かなければ見ることができない後方及び側方に人Hや物Fが近接していないことを確認することができる。
【0068】
また図8に示すように、作業モード映像V2は、バックホー1の自車画像M1を中心とする立体投影面Psに対して全周囲映像情報に基づく全周囲映像Voを投影した状態で、自車画像M1を真上から見下ろす固定視点映像(図5に表す視点P3から自車画像M1を見据えることによって得られる映像)を含んでいる。この固定視点映像は、作業状態にあるバックホー1を真上から見下ろす客観的な映像であるといえる。
【0069】
そのため、運転者は、表示装置53に表示された作業モード映像V2を見ることにより、稼働中のバックホー1の全周囲状況を広く見渡して安全を確認できる。つまり、運転者がバックホー1の全周囲状況を広く見渡して人Hや物Fが近接していないこと、ならびに人Hや物Fが近接したときにその方向や位置を確認することができる。
【0070】
さらに図8に示すように、作業モード映像V2である自車画像M1を真上から見下ろす固定視点映像には、自車画像M1を中心に自車画像M1から所定の離間距離を表す等距離線Ldが明示されている。等距離線Ldは、自車画像M1を中心に異なる色彩で描かれた二つの円であって、赤色の等距離線Ldがバックホー1から3mの離間距離を表し、黄色の等距離線Ldがバックホー1から5mの離間距離を表している。ただし、等距離線Ldは、選択された自車画像M1によってその大きさが変更される。
【0071】
そのため、運転者は、表示装置53に表示された作業モード映像V2を見ることにより、バックホー1に近接している人Hや物Fの離間距離を容易に把握できる。つまり、バックホー1に近接している人Hや物Fの位置を等距離線Ldと見比べることで、その離間距離を容易に把握することができる。例えば人Hや物Fの位置を赤色の等距離線Ldと見比べることで、離間距離が3mであるのか3mよりも近いのか遠いのかが容易に把握できる。また、人Hや物Fの位置を黄色の等距離線Ldと見比べることで、離間距離が5mであるのか5mよりも近いのか遠いのかが容易に把握できる。
【0072】
なお、作業モード映像V2は、このような二つの固定視点映像だけでなく、その他の映像を含む構図であってもよい。例えば作業モード映像V2の一部を分割して各カメラ511,512,513,514による映像を表示してもよいし、各種の設定に用いるアイコンやタブ、ウインドウ等を表示してもよい。
【0073】
さらに、作業モード映像V2においても、自車画像M1における作業装具が省略されている。そして、この自車画像M1の然るべき位置に前方カメラ511が撮影した作業装具画像M3が重畳される。このようにするのは、実際の作業装具3による掘削作業を表示装置53に表示したほうが映像の臨場感が増すためである。また、実際の作業装具3の動作に合わせて自車画像M1の作業装具を動かすのは困難だからである。
【0074】
加えて図3に示すように、建設車両用映像表示システム5においては、制御装置52の演算処理部522に時間計測部52aを備えている。時間計測部52aは、運転操作具47の無操作時間を計測することができる。つまり、運転操作具47の操作を行わなかった期間における開始時刻と終了時刻から差分を求め、この差分を無操作時間とするのである。このような構成により、制御装置52は、運転操作具47の操作を有効としている状態であっても時間計測部52aによって計測された無操作時間が所定時間を超えた場合に、作業モード映像V2から待機モード映像V1に切り替えることができる。
【0075】
そのため、一時的な待機状態にあるバックホー1に人Hや物Fが不用意に近接することがあったとしても、運転者は、表示装置53に表示された待機モード映像V1を見ることにより、死角における安全を全周囲にわたって確認できる。つまり、運転者の死角に人Hや物Fが入り込んでいないことを全周囲にわたって確認することができる。人Hは、一時的な待機状態にあるバックホー1に対して不用意に近接することがあるので、待機モード映像V1への切り替えは特に安全性の向上をもたらす。なお、待機モード映像V1に切り替わる時間を運転者が自由に設定できるとするのが好ましい。
【0076】
加えて図3に示すように、建設車両用映像表示システム5においては、制御装置52の演算処理部522に接続検出部52bを備えている。接続検出部52bは、撮影装置51の接続を検出することができる。このような構成により、制御装置52は、接続検出部52bによって撮影装置51の接続を検出した場合に、全周囲映像情報の生成に必須である校正を実行するための校正実行画像V3を表示装置53に表示することができる。図9に示す校正実行画像V3は、校正を実行する際における一場面であり、自車画像M1を取り囲むウインドウW1,W2,W3,W4に各カメラ511,512,513,514の座標が表示される。
【0077】
そのため、建設車両用映像表示システム5の移設等によって撮影装置51の取付位置が変わったとしても、建設車両(例えばバックホー1)の全周囲を取り囲む、切れ目のない全周囲映像情報の生成を担保できる。なお、上述の校正とは、各カメラ511,512,513,514の標準座標と実際の座標とを比較して補正値や補正係数を取得する行程であり、建設車両用映像表示システム5の移設時には必ず実施しなければならない。各カメラ511,512,513,514の座標が変わったにも関わらず校正を行わなかった場合は、全周囲映像情報の一部に欠損が生じる恐れがある。
【0078】
加えて図3に示すように、建設車両用映像表示システム5においては、制御装置52の情報記憶部523に画像記憶部52cを備えている。画像記憶部52cは、自車画像M1の車種及び車体色の組み合わせを記憶することができる。このような構成により、制御装置52は、接続検出部52bによって撮影装置51の接続を検出した場合に、自車画像M1の車種及び車体色を選択するための自車選択画像V4を表示装置53に表示することができる。図10に示す自車選択画像V4は、自車画像M1を選択する際における一場面であり、自車画像M1の車種及び車体色について様々な選択肢が表示される。同自車選択画像V4においては、スクロールバーS1のほか、スクロールアップボタンS2ならびにスクロールダウンボタンS3が表示される。これらを操作すれば、自車選択画像V4を上下方向にスクロールすることができる。
【0079】
そのため、建設車両用映像表示システム5の移設等によって建設車両(例えばバックホー1)の車種及び車体色が変わったとしても、新たな建設車両の車種及び車体色に各モード映像(待機モード映像V1及び作業モード映像V2)に表れる自車画像M1を合わせることができる。なお、各モード映像に表れる自車画像M1と現実の建設車両とが異なる場合は、運転者に違和感を生じさせることとなる。そして、運転者に生じた違和感によって運転者が自車画像M1の選択等について未実施であることを認識できる。
【0080】
加えて図3に示すように、建設車両用映像表示システム5においては、それぞれの撮影装置51(511,512,513,514)に方向検出部51aを備えている。方向検出部51aは、撮影装置51の撮影方向を検出することができる。このような構成により、制御装置52は、方向検出部51aによって撮影装置51の撮影方向が変化したことを検出した場合に、撮影方向に変化が生じた旨の警告音を発報することができる。同時に撮影警告画像V5を表示装置53に表示することができる。図11に示す撮影警告画像V5は、左方カメラ512の撮影方向に変化が生じた旨を説明するものである。同撮影警告画像V5においては、左方カメラ512に当たるウインドウW2がハイライトされ、このウインドウW2に撮影方向に変化が生じた旨が表示される。
【0081】
そのため、運転者は、撮影装置51の取付状態にガタが生じたり撮影装置51が外れて落下したりしたことを直ちに把握できる。なお、制御装置52に撮影装置51を接続したままの状態で建設車両用映像表示システム5の移設を行った場合は、上述した校正実行画像V3や自車選択画像V4が表示装置53に表示されないこととなる。しかしながら、移設の前後で撮影装置51の撮影方向が変わることから、撮影方向に変化が生じた旨の警告音等によって運転者が校正や自車画像M1の選択等について未実施であることを認識できる。
【0082】
加えて図3に示すように、建設車両用映像表示システム5においては、近接検出装置54を備えている。第1の近接検出装置54である前方センサ541は、バックホー1の前方に向けて取り付けられ、第2の近接検出装置54である左方センサ542は、バックホー1の左方に向けて取り付けられ、第3の近接検出装置54である右方センサ543は、バックホー1の右方に向けて取り付けられる。そして、第4の近接検出装置54である後方センサ544は、バックホー1の後方に向けて取り付けられる。
【0083】
各センサ541,542,543,544は、電波送信部54aと電波受信部54bとを有しており、電波送信部54aが電波を送信した時期と電波受信部54bが反射波を受信した時期とを制御装置52に入力することができる。このような構成により、制御装置52は、近接検出装置54によって人Hや物Fが近接していることを検出した場合に、人Hや物Fが近接している旨の警告音を発報することができる。同時に近接警告画像V6を表示装置53に表示することができる。図12に示す近接警告画像V6は、バックホー1の前方及び左方に人Hが近接している旨を説明するものである。同近接警告画像V6においては、人Hが近接している方向にウインドウW5が表れ、このウインドウW5に人Hが近接している旨が表示される。また、人Hを取り囲むようにボックスBが表示される。
【0084】
そのため、運転者は、バックホー1に対して人Hや物Fが近接していることを直ちに把握できる。なお、車体に近接検出装置を備えないバックホー1であったとしても、この建設車両用映像表示システム5を介して近接検出装置54を後付けすることができる。このように、近接検出装置54を後付けすれば、人Hや物Fの近接について警告を発する機能を容易に獲得することができる。
【0085】
以上のように、建設車両用映像表示システム5は、バックホー1の周囲状況を撮影する複数の撮影装置51と、それぞれの撮影装置51が撮影した映像情報を合成して全周囲映像情報を生成する制御装置52と、全周囲映像情報に基づいて作成された様々な映像を表示する表示装置53とを備えている。建設車両用映像表示システム5は、バックホー1における運転操作具47の操作について無効及び有効のいずれかに切り替える切替装置49と連動し、運転操作具47の操作を無効としている場合においては、全周囲映像情報に基づいて作成された待機モード映像V1を表示装置53に表示し、運転操作具47の操作を有効としている場合においては、全周囲映像情報に基づいて作成された作業モード映像V2を表示装置53に表示する。このような建設車両用映像表示システム5によれば、バックホー1の安全性を向上できる。
【0086】
詳述すると、切替装置49によって運転操作具47の操作を無効としている場合は、バックホー1が待機状態にあると判断できる。そのため、制御装置52が全周囲映像情報に基づいて待機モード映像V1を作成し、これを表示装置53に表示する。待機モード映像V1とは、待機状態にあるバックホー1の運転者が安全を確認するために適した映像態様であり、具体的には運転者の死角に人Hや物Fが入り込んでいないことを確認できる映像態様である。したがって、運転者の死角となる領域が広いバックホー1において、安全性を向上できる。
【0087】
さらに、切替装置49によって運転操作具47の操作を有効としている場合は、バックホー1が作業状態にあると判断できる。そのため、制御装置52が全周囲映像情報に基づいて作業モード映像V2を作成し、これを表示装置53に表示する。作業モード映像V2とは、作業状態にあるバックホー1の運転者が安全を確認するために適した映像態様であり、具体的には稼働中のバックホー1に対して人Hや物Fが近接していないことを確認できる映像態様である。したがって、前後進や走行旋回、信地旋回等を繰り返し行い、さらにはバケット33等で構成される作業装具3の作動や作業装具3を備える旋回体4の首振旋回を繰り返し行うバックホー1において、安全性を向上できる。
【0088】
また、撮影装置51を支持するブラケット6を備え、撮影装置51がバックホー1に固定されたブラケット6に対して脱着自在又は撮影装置51がブラケット6とともにバックホー1に対して脱着自在に取り付けられる。
【0089】
このような建設車両用映像表示システム5によれば、バックホー1の新車組立時に撮影装置51を取り付けるだけでなく、供用中のバックホー1に対しても撮影装置51を取り付けることができる。したがって、保有しているあらゆるバックホー1に建設車両用映像表示システム5を後付けすることができる。このため、建設車両用映像表示システム5の汎用性が向上する。また、バックホー1のリース事業やレンタル事業において、建設車両用映像表示システム5をオプション機器として取り扱うことができる。このため、契約内容に応じて建設車両用映像表示システム5を取り付けたり取外したりすることができる。
【0090】
また、ブラケット6に対して独立し、撮影装置51とバックホー1の構造部品(例えば前方カメラ511にあっては防護網48のフレーム481)とを直接的に連結する落下防止具7を備える。
【0091】
このような建設車両用映像表示システム5によれば、撮影装置51がブラケット6から外れたり撮影装置51がブラケット6とともにバックホー1から外れたりしても、落下防止具7が撮影装置51とバックホー1の構造部品とを直接的に連結しているため、撮影装置51が地面に落下してしまうことを防止できる。また、落下防止具7を破壊困難な構造とした場合は、撮影装置51の盗難防止機能も獲得することができる。
【0092】
また、待機モード映像V1は、バックホー1の自車画像M1を中心とする立体投影面Psに対して全周囲映像情報に基づく全周囲映像Voを投影した状態で、自車画像M1を斜め上方から見下ろすとともに自車画像M1から上方へ延びる仮想直線Lsを中心として旋回する移動視点映像を含んでいる。
【0093】
このような建設車両用映像表示システム5によれば、待機状態にあるバックホー1を斜め上方から見下ろしながら、このバックホー1を中心に全周旋回する客観的な映像が表示装置53に表示される。そのため、運転者は、表示装置53を介して死角における安全を全周囲にわたって確認できる。つまり、運転者の死角に人Hや物Fが入り込んでいないことを全周囲にわたって確認することができる。
【0094】
また、作業モード映像V2は、バックホー1の自車画像M1を中心とする立体投影面Psに対して全周囲映像情報に基づく全周囲映像Voを投影した状態で、自車画像M1を後方斜め上方から見下ろす固定視点映像を含んでいる。
【0095】
このような建設車両用映像表示システム5によれば、作業状態にあるバックホー1を後方斜め上方から見下ろす客観的な映像が表示装置53に表示される。そのため、運転者は、表示装置53を介してバックホー1の前方の状況を自車画像M1ごしに見ることができるだけでなく、同時にバックホー1の後方及び側方における安全を確認できる。つまり、運転者がバックホー1の前方の状況を見ることができるだけでなく、運転者の死角となる後方及び側方、すなわち振り向かなければ見ることができない後方及び側方に人Hや物Fが近接していないことを確認することができる。
【0096】
また、作業モード映像V2は、バックホー1の自車画像M1を中心とする立体投影面Psに対して全周囲映像情報に基づく全周囲映像Voを投影した状態で、自車画像M1を真上から見下ろす固定視点映像を含んでいる。
【0097】
このような建設車両用映像表示システム5によれば、作業状態にあるバックホー1を真上から見下ろす客観的な映像が表示装置53に表示される。そのため、運転者は、表示装置53を介して稼働中のバックホー1の全周囲状況を広く見渡して安全を確認できる。つまり、運転者がバックホー1の全周囲状況を広く見渡して人Hや物Fが近接していないこと、ならびに人Hや物Fが近接したときにその方向や位置を確認することができる。
【0098】
また、作業モード映像V2における自車画像M1を真上から見下ろす固定視点映像(図8に示した作業モード映像V2における左側の映像)に対し、自車画像M1を中心に自車画像M1から所定の離間距離を表す等距離線Ldを明示する。
【0099】
このような建設車両用映像表示システム5によれば、バックホー1を真上から見下ろす客観的な映像に円形の等距離線Ldが明示される。そのため、運転者は、表示装置53を介してバックホー1に近接している人Hや物Fの離間距離を容易に把握できる。つまり、バックホー1に近接している人Hや物Fの位置を等距離線Ldと見比べることで、その離間距離を容易に把握することができる。
【0100】
また、制御装置52に運転操作具47の無操作時間を計測する時間計測部52aを備え、制御装置52は、運転操作具47の操作を有効としている状態であっても時間計測部52aによって計測された無操作時間が所定時間を超えた場合に、作業モード映像V2から待機モード映像V1に切り替える。
【0101】
このような建設車両用映像表示システム5によれば、運転操作具47の操作が行われずに一時的な待機状態にある場合において、バックホー1を斜め上方から見下ろしながら、このバックホー1を中心に全周旋回する客観的な映像が表示装置53に表示される。そのため、一時的な待機状態にあるバックホー1に人Hや物Fが不用意に近接することがあったとしても、運転者は、表示装置53を介して死角における安全を全周囲にわたって確認できる。つまり、運転者の死角に人Hや物Fが入り込んでいないことを全周囲にわたって確認することができる。
【0102】
また、制御装置52に撮影装置51の接続を検出する接続検出部52bを備え、制御装置52は、接続検出部52bによって撮影装置51の接続を検出した場合に、全周囲映像情報の生成に必須である校正を実行するための校正実行画像V3を表示装置53に表示する。
【0103】
このような建設車両用映像表示システム5によれば、建設車両用映像表示システム5の移設等によって撮影装置51の取付位置が変わったとしても、建設車両(例えばバックホー1)の全周囲を取り囲む、切れ目のない全周囲映像情報の生成を担保できる。したがって、車種を問わず建設車両用映像表示システム5の機能を発揮することができる。また、同じ車種においても、撮影装置51の取付位置を問わず建設車両用映像表示システム5の機能を発揮することができる。
【0104】
また、制御装置52に撮影装置51の接続を検出する接続検出部52bと自車画像M1の車種及び車体色の組み合わせを記憶する画像記憶部52cを備え、制御装置52は、接続検出部52bによって撮影装置51の接続を検出した場合に、自車画像M1の車種及び車体色を選択するための自車選択画像V4を表示装置53に表示する。
【0105】
このような建設車両用映像表示システム5によれば、建設車両用映像表示システム5の移設等によって建設車両(例えばバックホー1)の車種及び車体色が変わったとしても、新たな建設車両の車種及び車体色に各モード映像(待機モード映像V1及び作業モード映像V2)に表れる自車画像M1を合わせることができる。したがって、運転者が各モード映像に表れる自車画像M1とその周囲状況を現実の建設車両とその周囲状況として理解することができる。また、運転者が建設車両の車長感覚や車幅感覚、近接している人Hや物Fまでの距離感覚を得ることができる。さらに、各モード映像に表れる自車画像M1と現実の建設車両とが異なる場合は、これらの差異によって運転者が自車画像M1の選択等について未実施であることを認識できる。
【0106】
また、それぞれの撮影装置51に撮影方向を検出する方向検出部51aを備え、制御装置52は、方向検出部51aによって撮影装置51の撮影方向が変化したことを検出した場合に、撮影方向に変化が生じた旨の警告音を発報及び/又は撮影警告画像V5を表示装置53に表示する。
【0107】
このような建設車両用映像表示システム5によれば、運転者は、撮影装置51の取付状態にガタが生じたり撮影装置51が外れて落下したりしたことを直ちに把握できる。さらに、制御装置52に撮影装置51を接続したままの状態で建設車両用映像表示システム5の移設を行った場合は、撮影方向に変化が生じた旨の警告音等によって運転者が校正や自車画像M1の選択等について未実施であることを認識できる。
【0108】
また、人Hや物Fの近接を検出する近接検出装置54を備え、制御装置52は、近接検出装置54によって人Hや物Fが近接していることを検出した場合に、人Hや物Fが近接している旨の警告音を発報及び/又は近接警告画像V6を表示装置53に表示する。
【0109】
このような建設車両用映像表示システム5によれば、運転者は、バックホー1に対して人Hや物Fが近接していることを直ちに把握できる。さらに、車体に近接検出装置を備えないバックホー1であったとしても、この建設車両用映像表示システム5を介して近接検出装置54を後付けすることができ、人Hや物Fの近接について警告を発する機能を容易に獲得することができる。
【0110】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、この発明の建設車両はバックホー1に対応し、
以下同様に、
走行体は走行体2に対応し、
作業装具は作業装具3に対応し、
旋回体は旋回体4に対応し、
建設車両用映像表示システムは建設車両用映像表示システム5に対応し、
ブラケットはブラケット6に対応し、
落下防止具は落下防止具7に対応し、
運転操作具は運転操作具47に対応し、
切替装置は切替装置49に対応し、
撮影装置は撮影装置51に対応し、
制御装置は制御装置52に対応し、
表示装置は表示装置53に対応し、
近接検出装置は近接検出装置54に対応し、
方向検出部は方向検出部51aに対応し、
時間計測部は時間計測部52aに対応し、
接続検出部は接続検出部52bに対応し、
画像記憶部は画像記憶部52cに対応し、
等距離線は等距離線Ldに対応し、
仮想直線は仮想直線Lsに対応し、
自車画像は自車画像M1に対応し、
立体投影面は立体投影面Psに対応し、
全周囲映像は全周囲映像Voに対応し、
待機モード映像は待機モード映像V1に対応し、
作業モード映像は作業モード映像V2に対応し、
校正実行画像は校正実行画像V3に対応し、
自車選択画像は自車選択画像V4に対応し、
撮影警告画像は撮影警告画像V5に対応し、
近接警告画像は近接警告画像V6に対応するも、この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【0111】
上述の説明において、落下防止具7は、可塑性を有する金属ワイヤー71等で構成され、撮影装置51とバックホー1の構造部品とを離別不能につなぎ留めるものであるが、可塑性を有しない金属フレーム等で構成され、撮影装置51とバックホー1の構造部品とを互いに係止あるいは固定するものであってもよい。このようにしても、撮影装置51が外れて地面に落下してしまうことを防止できる。また、落下防止具7を破壊困難な構造とした場合は、撮影装置51の盗難防止機能も獲得することができる。
【0112】
また、上述の説明において、時間計測部52aは、運転操作具47の操作を行わなかった期間における開始時刻と終了時刻から差分を求め、この差分を無操作時間とするものであるが、開始時刻から単位時間ごとに数え上げ、終了時間までの合算を無操作時間とするものであってもよい。このようにしても、運転操作具47の操作が行われずに一時的な待機状態にある場合において、待機モード映像V1が表示装置53に表示される。そのため、一時的な待機状態にあるバックホー1に人Hや物Fが不用意に近接することがあったとしても、運転者は、表示装置53を介して死角における安全を全周囲にわたって確認できる。
【符号の説明】
【0113】
1…バックホー
2…走行体
3…作業装具
4…旋回体
5…建設車両用映像表示システム
6…ブラケット
7…落下防止具
47…運転操作具
49…切替装置
51…撮影装置
52…制御装置
53…表示装置
54…近接検出装置
51a…方向検出部
52a…時間計測部
52b…接続検出部
52c…画像記憶部
Ld…等距離線
Ls…仮想直線
M1…自車画像
M3…作業装具画像
Ps…立体投影面
Vo…全周囲映像
V1…待機モード映像
V2…作業モード映像
V3…校正実行画像
V4…自車選択画像
V5…撮影警告画像
V6…近接警告画像
図1
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