(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】端子変換アダプタ
(51)【国際特許分類】
H01R 31/06 20060101AFI20240130BHJP
H01R 11/12 20060101ALI20240130BHJP
H01R 13/11 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H01R31/06 A
H01R11/12 D
H01R13/11 302A
(21)【出願番号】P 2020092055
(22)【出願日】2020-05-27
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】目次 敦
(72)【発明者】
【氏名】青石 孝人
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-032979(JP,A)
【文献】特開2015-118790(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 31/06
H01R 9/00,9/22-9/26
H01R 11/12
H01R 13/11
H01R 4/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性を有し、丸形圧着端子を挿抜可能に収容する端子収容部が形成された本体と、
前記本体から突出する接続端子と、
前記本体に挿入された前記丸形圧着端子と前記接続端子とを導通させる導通部と、を備え、
前記導通部は、前記丸形圧着端子を前記端子収容部に弾性的に保持する弾性保持部を含
み、
前記弾性保持部は、前記丸形圧着端子の外周側面に沿った湾曲形状により前記外周側面を挟持する一対の板バネ部から構成される、端子変換アダプタ。
【請求項2】
前記弾性保持部は、前記一対の板バネ部の先端が互いに離間する方向に湾曲している、請求項
1に記載の端子変換アダプタ。
【請求項3】
前記本体には、前記端子収容部に挿入される前記丸形圧着端子の先端に当接して前記丸形圧着端子の挿入位置を規定するストッパが設けられている、請求項1
又は2に記載の端子変換アダプタ。
【請求項4】
前記ストッパは、前記端子収容部に突出した前記本体の突部である、請求項
3に記載の端子変換アダプタ。
【請求項5】
前記導通部は、前記ストッパと係合する係合部が設けられることにより前記本体に対する変位が規制される、請求項
3又は4に記載の端子変換アダプタ。
【請求項6】
前記導通部は、前記端子収容部に挿入される前記丸形圧着端子の平坦面に対して付勢される板バネ構造が形成されている、請求項1乃至
5のいずれかに記載の端子変換アダプタ。
【請求項7】
前記接続端子及び前記導通部は、一枚の板金からなる、請求項1乃至
6のいずれかに記載の端子変換アダプタ。
【請求項8】
前記接続端子は、接続先が異なる複数の分岐端子である、請求項1乃至
6のいずれかに記載の端子変換アダプタ。
【請求項9】
前記複数の分岐端子は、可撓性を有する配線を介して前記導通部から延在する、請求項
8に記載の端子変換アダプタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端子変換アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
電源供給に使用されるワイヤーハーネスは、接続先の電極や電気機器との安定的な電気的接続を行うことができるよう、ハーネスの先端に圧着端子が設けられることが一般的である。当該圧着端子は、中央にネジ穴が形成された環状薄板の金属部品からなる丸形端子(R端子、LA端子)が代表的である他、先端開放型(先開形状)のY型端子も広く利用され、例えばそのネジ径などの寸法が規格により定められている。
【0003】
ところで、ハーネスの先端に設けられる上記の圧着端子は、接続時に丸形端子又はY型端子のいずれかを選択したい場合や、丸形端子として使用した後に状況の変化に伴ってY型端子に変更したい場合がある。このような状況に対応する手段として、例えば特許文献1には、丸形端子のネジ穴から先端にかけて2本の溝を設けることにより、丸形端子の先端部を切断して先開形状に変形可能な圧着端子が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ハーネスの接続先を変更する必要がある状況において、接続先の変更前後でネジ径が異なる場合や、変更する接続先が丸形端子及びY型端子以外の規格である場合には、上記の従来技術では対処することができない。このため、接続先を変更するこれらの場合には、圧着端子を改造するための端子交換作業、又はハーネス全体の交換が必要となり、接続先変更に伴う作業面及びコスト面での負担が大幅に増加する虞が生じる。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ハーネスの接続先を変更する場合であっても作業面及びコスト面での負担増加を抑制することができる端子変換アダプタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
<本発明の第1の態様>
本発明の第1の態様は、絶縁性を有し、丸形圧着端子を挿抜可能に収容する端子収容部が形成された本体と、前記本体から突出する接続端子と、前記本体に挿入された前記丸形圧着端子と前記接続端子とを導通させる導通部と、を備え、前記導通部は、前記丸形圧着端子を前記端子収容部に弾性的に保持する弾性保持部を含む、端子変換アダプタである。
【0008】
本発明の第1の態様に係る端子変換アダプタは、既存ハーネスに設けられた丸形圧着端子を端子収容部に挿入することにより、例えば任意の規格の圧着端子として形成された接続端子が導通部を介して当該丸形圧着端子と電気的に接続される。このとき、当該丸形圧着端子は、弾性保持部により端子収容部に弾性的に保持された状態となる。これにより、既存ハーネスは、先端の丸形圧着端子に端子変換アダプタが取り付けられるだけで接続端子の規格に容易に変換することができ、改造や交換を行うことなく接続先に適合させることができる。従って、本発明の第1の態様に係る端子変換アダプタによれば、ハーネスの接続先を変更する場合であっても作業面及びコスト面での負担増加を抑制することができる。
【0009】
<本発明の第2の態様>
本発明の第2の態様は、上記した本発明の第1の態様において、前記弾性保持部は、前記丸形圧着端子の外周側面に沿った湾曲形状により前記外周側面を挟持する一対の板バネ部から構成される、端子変換アダプタである。
【0010】
本発明の第2の態様に係る端子変換アダプタによれば、弾性保持部が丸形圧着端子を外周側面で保持することにより、端子変換アダプタの厚みを抑制することができる。このとき、一対の板バネ部から構成される弾性保持部は、丸形端子の外周側面に沿った湾曲形状に形成されていることにより、安定して丸形端子を保持することができる。
【0011】
<本発明の第3の態様>
本発明の第3の態様は、上記した本発明の第2の態様において、前記弾性保持部は、前記一対の板バネ部の先端が互いに離間する方向に湾曲している、端子変換アダプタである。
【0012】
本発明の第3の態様に係る端子変換アダプタによれば、丸形圧着端子を端子収容部に挿入する場合に、一対の板バネ部の先端がガイドとなって丸形圧着端子を所定の保持位置に誘導することができるため、丸形圧着端子を端子収容部に挿入しやすくすることができる。
【0013】
<本発明の第4の態様>
本発明の第4の態様は、上記した本発明の第1乃至3のいずれかの態様において、前記本体には、前記端子収容部に挿入される前記丸形圧着端子の先端に当接して前記丸形圧着端子の挿入位置を規定するストッパが設けられている、端子変換アダプタである。
【0014】
本発明の第4の態様に係る端子変換アダプタによれば、端子収容部に設けられたストッパが本体の内部において丸形圧着端子の過剰な挿入を防止することができるため、より確実に丸形圧着端子を所定の保持位置で保持することができる。
【0015】
<本発明の第5の態様>
本発明の第5の態様は、上記した本発明の第4の態様において、前記ストッパは、前記端子収容部に突出した前記本体の突部である、端子変換アダプタである。
【0016】
本発明の第5の態様に係る端子変換アダプタによれば、丸形圧着端子の挿入位置を規定するストッパを本体の一部として形成し、特に単純な形状の突部として形成しておくことにより、別部材を用いることなく且つ容易に当該ストッパを設けることができる。
【0017】
<本発明の第6の態様>
本発明の第6の態様は、上記した本発明の第4又は5の態様において、前記導通部は、前記ストッパと係合する係合部が設けられることにより前記本体に対する変位が規制される、端子変換アダプタである。
【0018】
本発明の第6の態様に係る端子変換アダプタによれば、本体とは別部材としての導通部において本体のストッパと係合する係合部を設けることにより、本体と導通部との相対変位を規制する位置決め機構として機能させることができる。
【0019】
<本発明の第7の態様>
本発明の第7の態様は、上記した本発明の第1乃至6のいずれかの態様において、前記導通部は、前記端子収容部に挿入される前記丸形圧着端子の平坦面に対して付勢される板バネ構造が形成されている、端子変換アダプタである。
【0020】
本発明の第7の態様に係る端子変換アダプタによれば、端子収容部に挿入される丸形圧着端子が、板バネ構造が形成された導通部の付勢力により押圧されることにより、導通部との電気的な接続状態を良好に維持することができる。
【0021】
<本発明の第8の態様>
本発明の第8の態様は、上記した本発明の第1乃至7のいずれかの態様において、前記接続端子及び前記導通部は、一枚の板金からなる、端子変換アダプタである。
【0022】
本発明の第8の態様に係る端子変換アダプタによれば、変換先の規格に合わせて形成された接続端子、及び丸形圧着端子を保持しながら電気的に導通する導通部が、一続きの一枚の板金を加工して一体的に形成されていることで、部品点数の削減に伴う製造コストの抑制が可能となる。
【0023】
<本発明の第9の態様>
本発明の第9の態様は、上記した本発明の第1乃至7のいずれかの態様において、前記接続端子は、接続先が異なる複数の分岐端子である、端子変換アダプタである。
【0024】
本発明の第9の態様に係る端子変換アダプタによれば、接続端子を複数の分岐端子とすることにより、作業面及びコスト面での負担を増加させることなく、ハーネスの接続先を増加させることができる。
【0025】
<本発明の第10の態様>
本発明の第10の態様は、上記した本発明の第9の態様において、前記複数の分岐端子は、可撓性を有する配線を介して前記導通部から延在する、端子変換アダプタである。
【0026】
本発明の第10の態様に係る端子変換アダプタによれば、複数の接続先の距離や位置がどのような組み合わせであっても、可撓性を有する配線によりそれぞれの接続先へ各分岐端子を接続することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ハーネスの接続先を変更する場合であっても作業面及びコスト面での負担増加を抑制することができる端子変換アダプタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】第1実施形態に係る端子変換アダプタの斜視図である。
【
図2】端子変換アダプタと既存ハーネスとの接続形態を模式的に表す図である。
【
図4】接続端子を含む金属部品の詳細構造を示す三面図である。
【
図5】丸形圧着端子が端子変換アダプタに挿入される前後の本体内部の状態を示す模式図である。
【
図6】第2実施形態に係る端子変換アダプタのXZ平面における断面を表す断面図である。
【
図7】第3実施形態に係る端子変換アダプタのXZ平面における断面を表す断面図である。
【
図8】第4実施形態に係る端子変換アダプタの構成を透過的に示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図面を参照し、発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、発明は、以下に説明する内容に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において任意に変更して実施することが可能である。また、実施の形態の説明に用いる図面は、いずれも構成部材を模式的に示すものであって、理解を深めるべく部分的な強調、拡大、縮小、または省略などを行っており、構成部材の縮尺や形状等を正確に表すものとはなっていない場合がある。
【0030】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る端子変換アダプタ1の斜視図である。端子変換アダプタ1は、本体10、接続端子20、及び本体10の内部に設けられる導通部30(
図1では図示を省略)を備える。端子変換アダプタ1は、丸形の圧着端子が設けられた既存のワイヤーハーネスに接続されることにより、規格の異なる端子に変換するための変換アダプタである。
【0031】
本体10は、例えば樹脂などの絶縁性を有する材料からなり、本実施形態においては直方体形状の筐体として構成されている。
【0032】
接続端子20は、本体10から突出するように設けられる金属端子であり、本実施形態においては環状薄板のいわゆる丸形端子が形成されている。より具体的には、本実施形態に係る接続端子20は、平坦な端子面20aの中央にφ4mmのネジ穴20bが形成され、接続先の電極や電気機器に対してねじ止めにより電気的接続が可能となるよう構成されている。ただし、接続端子20は、ネジ穴20bの径がこれに限定されるものではなく、更には丸形端子に限定されるものでもない。すなわち、接続端子20は、先開形状のY型端子であってもよく、同じく圧着端子の一種である平形接続端子などの様々な端子形状を採用することができる。
【0033】
ここで、各図の三次元空間においては、互いに直交するそれぞれの方向を符号X、Y、Zで表し、本体10から接続端子20が突出する方向をX方向と定義し、接続端子20の端子面20aがXY平面を構成するようにY方向を定義し、当該XY平面に垂直な方向をZ方向と定義することとする。
【0034】
図2は、端子変換アダプタ1と既存ハーネス2との接続形態を模式的に表す図である。既存ハーネス2は、配線部2aの一端側に例えばφ3mmのネジ穴が形成された丸形圧着端子2bが設けられ、図示しない他端側が例えば電源装置などの他の機器に接続されているか、又は他の機器の内部から延在している。そして、端子変換アダプタ1は、本体10における接続端子20が突出する方向とは反対側の面に、既存ハーネス2の丸形圧着端子2bを挿抜可能に収容するための開口部11が形成されている。これにより、既存ハーネス2は、丸形圧着端子2bを端子変換アダプタ1の開口部11に挿入することで、一端側の端子を接続端子20に変換することができる。
【0035】
続いて、本体10の内部構造について、より具体的に説明する。
図3は、本体10の内部形状を表す断面斜視図である。より具体的には、
図3は、本体10を接続端子20の上面の高さにおいてXY平面に平行な面で切断した場合の断面斜視図である。
【0036】
本体10は、接続端子20を含む金属部品と共に、開口部11から挿入される丸形圧着端子2bを収容することができる端子収容部12が内部に形成されている。また、本体10は、内底面において端子収容部12の空間に突出した突部13が設けられている。そして、本体10は、その内底面において、接続端子20を含む金属部品が配置される。
【0037】
図4は、接続端子20を含む金属部品の詳細構造を示す三面図である。より具体的には、
図4は、接続端子20をXY平面、YZ平面、及びZX平面でそれぞれ平面視した場合の平面図であり、本体10及び端子収容部12の位置をそれぞれ破線及び鎖線で表している。
【0038】
本実施形態における接続端子20及び導通部30は、一続きの一枚の板金から構成され、本体10に挿入された上記の丸形圧着端子2bが導通部30の平板部分に接することにより、丸形圧着端子2bと接続端子20とが導通する。
【0039】
また、導通部30は、端子収容部12に収容される丸形圧着端子2bを弾性的に保持する弾性保持部31を含む。本実施形態における弾性保持部31は、導通部30のY方向両側に設けられた帯状部分をXY平面に対して垂直に折り曲げて形成され、導通部30から延在する一対の板バネ部として構成されている。そして、弾性保持部31は、丸形端子の外周側面に沿った湾曲形状を有することにより、端子収容部12に収容される丸形圧着端子2bをY方向の両側から挟持する。ここで、弾性保持部31は、一対の板バネ部の先端が互いに離間する方向(Y方向)に湾曲していることにより、丸形圧着端子2bを挿入する場合のガイドとして機能する。
【0040】
更に、導通部30は、端子収容部12の空間に突出した上記した突部13と係合する係合部32が形成されている。係合部32は、本実施形態においては、板金からなる導通部30に設けられた貫通孔であり、XY平面における断面形状が突部13の輪郭と同一形状となるように形成されている。これにより、係合部32は、本体10と導通部30との相対変位を規制する位置決め機構として機能することになる。
【0041】
図5は、丸形圧着端子2bが端子変換アダプタ1に挿入される前後の本体10内部の状態を示す模式図である。既存ハーネス2の丸形圧着端子2bは、本体10に設けられた開口部11に挿入されることにより、一対の板バネとしての弾性保持部31をY方向に押し広げながら、ストッパとしての突部13に当接するまで端子収容部12に挿入される。
【0042】
このとき、突部13は、端子収容部12に挿入される丸形圧着端子2bの先端に当接することにより過剰な挿入を防止し、丸形圧着端子2bの挿入位置を規定するストッパとして機能する。
【0043】
これにより、丸形圧着端子2bは、突部13及び弾性保持部31により規定される所定の位置に収容されると共に、弾性保持部31の弾性力に応じた保持力で端子変換アダプタ1から意図せず抜けてしまう虞を低減することができる。そして、既存ハーネス2は、丸形圧着端子2bが導通部30を介して接続端子20と導通することにより、接続端子20の接続先と電気的導通を図ることができる。
【0044】
すなわち、既存ハーネス2は、接続先の規格が丸形圧着端子2bから変更する場合であっても、接続先の規格に適合した接続端子20が設けられた端子変換アダプタ1を介することにより、圧着端子を改造するための端子交換作業、及びハーネス全体の交換作業を行うことなく、変更後の接続先に接続することができる。
【0045】
従って、端子変換アダプタ1は、ハーネスの接続先を変更する場合であっても作業面及びコスト面での負担増加を抑制することができる。
【0046】
<第2実施形態>
続いて、第2実施形態に係る端子変換アダプタ3について説明する。第2実施形態に係る端子変換アダプタ3は、上記した第1実施形態の端子変換アダプタ1における導通部30の形状が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる部分について説明することとし、第1実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
図6は、第2実施形態に係る端子変換アダプタ3のXZ平面に平行な断面を表す断面図である。より具体的には、
図6は、本体10の突部13を通るように端子変換アダプタ3を切断した場合の断面を表す断面図である。
【0048】
端子変換アダプタ3は、端子収容部12に挿入される丸形圧着端子2bの所定の位置に張り出すように、導通部30の一部が端子収容部12の内底面から僅かに離間する反り部30aが形成されている。すなわち、本体10の内底面に配置された導通部30は、端子収容部12に挿入される丸形圧着端子2bの平坦面に対して付勢される板バネ構造となっている。
【0049】
これにより、丸形圧着端子2bは、端子収容部12の所定の位置に挿入された場合に、反り部30aにおいて導通部30との電気的接続状態が良好に維持される。尚、反り部30aは、
図6に示す形状に限定されるものではないが、丸形圧着端子2bの平坦面との接触面積を最大化する形状であることが好適である。
【0050】
<第3実施形態>
続いて、第3実施形態に係る端子変換アダプタ3について説明する。第3実施形態に係る端子変換アダプタ4は、上記した第1実施形態の端子変換アダプタ1における本体10の内部形状が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる部分について説明することとし、第1実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0051】
図7は、第3実施形態に係る端子変換アダプタ4のXZ平面に平行な断面を表す断面図である。より具体的には、
図7は、本体10の突部13を通るように端子変換アダプタ4を切断した場合の断面を表す断面図である。
【0052】
端子変換アダプタ4は、端子収容部12に挿入される丸形圧着端子2bの所定の位置に張り出すように、本体10のうち内底面と対向する面に狭窄部14が設けられている。これにより、端子収容部12に挿入された丸形圧着端子2bは、平坦面が狭窄部14により導通部30へ押し付けられ、導通部30との電気的接続状態が良好に維持される。尚、狭窄部14は、
図7に示す形状に限定されるものではないが、丸形圧着端子2bと導通部30とが確実に面接触する形状であることが好適である。
【0053】
<第4実施形態>
続いて、第4実施形態に係る端子変換アダプタ5について説明する。第4実施形態に係る端子変換アダプタ5は、上記した第1実施形態の端子変換アダプタ1における接続端子20の構成及び接続形態が第1実施形態と異なる。以下、第1実施形態と異なる部分について説明することとし、第1実施形態と共通する構成要素については、同じ符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
図8は、第4実施形態に係る端子変換アダプタ5の構成を透過的に示す構成図である。端子変換アダプタ5においては、接続端子40は、複数の分岐端子41、42、及び43からなり、それぞれの端子が異なる接続先に接続できるよう構成されている。このため、端子変換アダプタ5は、端子収容部12に挿入された丸形圧着端子2bの接続先を複数の分岐端子41、42、及び43のそれぞれの分岐先に分岐することができる。
【0055】
より具体的には、本実施形態における分岐端子41は、可撓性を有する配線41aの両端にφ3mmのネジ穴が形成された丸形端子41b及び丸形端子41cがそれぞれ設けられている。ここで、本体10の内部には、内底面から突出する円柱状の支柱15が導通部30を貫通するように形成されている。そして、分岐端子41の一端に設けられた丸形端子41cのネジ穴が支柱15に篏合するように設けられて本体10の内部に固定されている。尚、本実施形態においては、分岐端子42及び分岐端子43についても形状及び導通部30との接続形態が分岐端子41と共通するため、ここではその説明を省略する。
【0056】
そして、本実施形態における分岐端子41、42、及び43のそれぞれは、既製品としての圧着端子付きハーネスを使用することができるため、端子変換アダプタ5の製造コストを抑制することができる。
【0057】
また、接続端子40は、端子の分岐数が2以上であればよく、それぞれの分岐端子のネジ穴の径もφ3mmに限定されるものではない。また、それぞれの分岐端子は、丸形端子に限定されるものではなく、先開形状のY型端子であってもよく、平形接続端子などの様々な端子形状を採用することもできる。更に、それぞれの分岐端子は、互いに規格が異なる圧着端子であってもよい。そして、接続端子40は、導通部30との接続形態が
図8に示す形態に限定されるものではなく、例えば圧着端子に替えてラグ端子を採用し、半田により導通部30に接続してもよい。
【符号の説明】
【0058】
1、3~5 端子変換アダプタ
2 既存ハーネス
2b 丸形圧着端子
10 本体
11 開口部
12 端子収容部
13 突部
20、40 接続端子
30 導通部
31 弾性保持部
32 係合部