(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20240130BHJP
B65D 81/02 20060101ALI20240130BHJP
【ＦＩ】
B65D5/66 311H
B65D81/02
【請求項の数】
6
(21)【出願番号】P 2020138480
(22)【出願日】2020-08-19
(65)【公開番号】P2022034672
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【弁理士】
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛央
(72)【発明者】
【氏名】岡部 大
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第３２２５３６７（ＪＰ，Ｕ）
【文献】登録実用新案第３１９４１５３（ＪＰ，Ｕ）
【文献】特開平１０－１５７７２３（ＪＰ，Ａ）
【文献】韓国公開特許第１０－２０１７－０１３６２７２（ＫＲ，Ａ）
【文献】実開昭５８－１５６６１６（ＪＰ，Ｕ）
【文献】特開２０１９－１８２４３８（ＪＰ，Ａ）
【文献】米国特許第４６４５１２２（ＵＳ，Ａ）
【文献】米国特許第４３８９０１３（ＵＳ，Ａ）
(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)
Ｂ６５Ｄ ５／６６
Ｂ６５Ｄ ８１／０２
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装物（Ｍ）を挟んで架設方向の両側に配置される一対の第１壁（１２）と、一対の前記第１壁の一端の間に架設される第２壁（１０）と、
一方の前記第１壁の他端から他方の前記第１壁に向かって延設され、先端側を内側に折り返すことで二重壁構造となる第１係合部（３６，３７，５３）が形成される第１フラップ（１４）と、
他方の前記第１壁の他端から一方の前記第１壁に向かって延設され、先端側を内側に折り返すことで二重壁構造となる第２係合部（４６，４７，６３）が形成される第２フラップ（１５）と、を備え、
前記第１係合部と前記第２係合部とは、前記被包装物に接触し、架設方向に直交する法線方向に着脱可能、且つ架設方向に着脱不能となるように係合することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記第１フラップは、一方の前記第１壁の他端に連設された第１基端壁（３０）と、
前記第１基端壁の先端から延設され、内側に折り返されて前記第１係合部を構成する少なくとも１つの第１係合壁（３１，５１）と、
前記第１係合壁の先端に連設され、前記第１基端壁の内面に対向して配置される第１先端壁（３２）と、
前記第１基端壁と前記第１先端壁の少なくとも一方において架設方向と法線方向とに直交する幅方向の両端に連設され、内側に折り返されて前記第１基端壁と前記第１先端壁との間に挟持される少なくとも一対の第１挟持壁（３３）と、を有し、
前記第２フラップは、
他方の前記第１壁の他端に連設された第２基端壁（４０）と、
前記第２基端壁の先端から延設され、内側に折り返されて前記第２係合部を構成する少なくとも１つの第２係合壁（４１，６１）と、
前記第２係合壁の先端に連設され、前記第２基端壁の内面に対向して配置される第２先端壁（４２）と、
前記第２基端壁と前記第２先端壁の少なくとも一方において幅方向の両端に連設され、内側に折り返されて前記第２基端壁と前記第２先端壁との間に挟持される少なくとも一対の第２挟持壁（４３）と、を有していることを特徴とする請求項１に記載の包装箱。
【請求項3】
一方の前記第１壁と他方の前記第１壁と前記第２壁の少なくとも１つにおいて架設方向と法線方向とに直交する幅方向の両端に連設された少なくとも一対の端壁（１１）を更に備え、各々の前記端壁は、先端側を内側に巻き込むことで前記被包装物を保護する筒状の緩衝部（２７）を構成することを特徴とする請求項１または２に記載の包装箱。
【請求項4】
前記第２壁は、前記被包装物を載置する底面を形成し、一対の前記端壁は、前記第２壁の幅方向の両端に連設され、
各々の前記第１壁は、
前記第２壁の架設方向の端部に連設された外側壁（２３）と、
前記外側壁の幅方向の両端に連設され、内側に折り返されて前記外側壁の内面に固定される一対の内側壁（２４）と、を有し、
各々の前記端壁と各々の前記内側壁との間には、連動壁（１３）が架設され、
前記端壁と前記連動壁との境界線となる第１傾斜線（Ｌ３）と、前記内側壁と前記連動壁との境界線となる第２傾斜線（Ｌ４）とは、前記第２壁と前記外側壁との境界線（Ｌ２）の端部から幅方向の外側に向かって互いに離間するように斜めに延設され、
一対の前記第１壁と一対の前記端壁の何れか一方が前記第２壁に対して立設されることに連動して、各々の前記連動壁は、前記第１傾斜線で正折りされ、前記第２傾斜線で逆折りされ、一対の前記第１壁と一対の前記端壁の何れか他方を前記第２壁に対して立設させることを特徴とする請求項３に記載の包装箱。
【請求項5】
前記第２壁は、前記被包装物を載置する底面を形成し、一対の前記第１壁は、前記第２壁の架設方向の両端から上方に向かって互いに接近するように傾斜した側面を形成することを特徴とする請求項１ないし４のいずれか１項に記載の包装箱。
【請求項6】
一対の前記第１壁の少なくとも一方には、作業者が手を入れる把持穴（２５）が形成されていることを特徴とする請求項１ないし５のいずれか１項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
直角に交差する２辺を有する底面と、各辺から垂直に延びる２つの側面から成る段ボール製コーナーパッドが開示されている（特許文献１）。底面は２辺で区画される頂角を２分する対角線に沿って分割され、２分割した底面の一方に切欠部が形成され、２分割した底面の他方に切欠部に嵌合する突部が形成されている。突部は、切欠部に垂直方向から抜脱可能に嵌合し、水平方向には抜脱不能な所要形状にされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平８－１９８３３４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した段ボール製コーナーパッドの切欠部と突部とは、段ボール１枚分の厚さしかなく、突部が切欠部から外れ易いという問題があった。このため、２分割した底面のロックが意図せず解除されてしまうことがあった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、第１係合部と第２係合部との係合状態を維持することができる包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、被包装物を挟んで架設方向の両側に配置される一対の第１壁と、一対の前記第１壁の一端の間に架設される第２壁と、一方の前記第１壁の他端から他方の前記第１壁に向かって延設され、先端側を内側に折り返すことで二重壁構造となる第１係合部が形成される第１フラップと、他方の前記第１壁の他端から一方の前記第１壁に向かって延設され、先端側を内側に折り返すことで二重壁構造となる第２係合部が形成される第２フラップと、を備え、前記第１係合部と前記第２係合部とは、前記被包装物に接触し、架設方向に直交する法線方向に着脱可能、且つ架設方向に着脱不能となるように係合する。
【0007】
この場合、前記第１フラップは、一方の前記第１壁の他端に連設された第１基端壁と、前記第１基端壁の先端から延設され、内側に折り返されて前記第１係合部を構成する少なくとも１つの第１係合壁と、前記第１係合壁の先端に連設され、前記第１基端壁の内面に対向して配置される第１先端壁と、前記第１基端壁と前記第１先端壁の少なくとも一方において架設方向と法線方向とに直交する幅方向の両端に連設され、内側に折り返されて前記第１基端壁と前記第１先端壁との間に挟持される少なくとも一対の第１挟持壁と、を有し、前記第２フラップは、他方の前記第１壁の他端に連設された第２基端壁と、前記第２基端壁の先端から延設され、内側に折り返されて前記第２係合部を構成する少なくとも１つの第２係合壁と、前記第２係合壁の先端に連設され、前記第２基端壁の内面に対向して配置される第２先端壁と、前記第２基端壁と前記第２先端壁の少なくとも一方において幅方向の両端に連設され、内側に折り返されて前記第２基端壁と前記第２先端壁との間に挟持される少なくとも一対の第２挟持壁と、を有してもよい。
【0008】
この場合、一方の前記第１壁と他方の前記第１壁と前記第２壁の少なくとも１つにおいて架設方向と法線方向とに直交する幅方向の両端に連設された少なくとも一対の端壁を更に備え、各々の前記端壁は、先端側を内側に巻き込むことで前記被包装物を保護する筒状の緩衝部を構成してもよい。
【0009】
この場合、前記第２壁は、前記被包装物を載置する底面を形成し、一対の前記端壁は、前記第２壁の幅方向の両端に連設され、各々の前記第１壁は、前記第２壁の架設方向の端部に連設された外側壁と、前記外側壁の幅方向の両端に連設され、内側に折り返されて前記外側壁の内面に固定される一対の内側壁と、を有し、各々の前記端壁と各々の前記内側壁との間には、連動壁が架設され、前記端壁と前記連動壁との境界線となる第１傾斜線と、前記内側壁と前記連動壁との境界線となる第２傾斜線とは、前記第２壁と前記外側壁との境界線の端部から幅方向の外側に向かって互いに離間するように斜めに延設され、一対の前記第１壁と一対の前記端壁の何れか一方が前記第２壁に対して立設されることに連動して、各々の前記連動壁は、前記第１傾斜線で正折りされ、前記第２傾斜線で逆折りされ、一対の前記第１壁と一対の前記端壁の何れか他方を前記第２壁に対して立設させてもよい。
【0010】
この場合、前記第２壁は、前記被包装物を載置する底面を形成し、一対の前記第１壁は、前記第２壁の架設方向の両端から上方に向かって互いに接近するように傾斜した側面を形成してもよい。
【0011】
この場合、一対の前記第１壁の少なくとも一方には、作業者が手を入れる把持穴が形成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第１係合部と第２係合部との係合状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る包装箱の内側壁を折り返した状態を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る包装箱の第１係合壁および第２係合壁を折り返した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る包装箱の側壁および端壁を起立させる途中を示す斜視図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る包装箱の側壁および端壁を起立させた状態を示す斜視図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る包装箱の一方の緩衝部を形成した状態を示す斜視図である。
【図10】本発明の一実施形態に係る包装箱の両方の緩衝部を形成した状態を示す斜視図である。
【図11A】本発明の一実施形態に係る包装箱の第１係合凸部と第２係合凹部とを係合させる途中を示す断面図である。
【図11B】本発明の一実施形態に係る包装箱の第１係合凸部と第２係合凹部とを係合させた状態を示す断面図である。
【図12】本発明の一実施形態の変形例に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【図13】本発明の一実施形態の変形例に係る包装箱を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すＦｒ、Ｒｒ、Ｌ、Ｒ、Ｕ、Ｄは、前、後、左、右、上、下を示している。前後方向（架設方向）、左右方向（幅方向）および上下方向（法線方向）は互いに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、方向や位置を示す用語は、包装箱を組み立てた状態での方向や位置を基準にしている。
【0015】
【0016】
図１に示すように、包装箱１は左右両端面を開口させた略角筒状に形成され、その内部には被包装物Ｍを収容する空間が形成されている。包装箱１は、被包装物Ｍを挟んで前後方向（架設方向）の両側に配置される一対の側壁１２（第１壁）と、一対の側壁１２の下端（一端）の間に架設され、被包装物Ｍを載置する底面を形成する底壁１０（第２壁）と、被包装物Ｍの上面を覆う天面を構成する第１・第２フラップ１４，１５と、を備えている。なお、ここでは、一例として、被包装物Ｍは略直方体状の箱であるが、これに限らず、被包装物Ｍは包装箱１の収容空間に収容可能な大きさ、形状であればよい。
【0017】
包装箱１は、図２に示すブランク１Ａを組み立てることで形成されている。ブランク１Ａは、例えば、波状の中しん９Ａの表裏に表ライナ９Ｂと裏ライナ９Ｃ（図１参照）とを貼り付けた紙製の両面段ボールシートから形成されている。ブランク１Ａは、一枚の紙製の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。なお、図２は表ライナ９Ｂ側（外面側）を示している。本明細書では、中しん９Ａと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「Ｘ」は「段方向」を示し、「Ｙ」は「流れ方向」を示している。
【0018】
［ブランク］
図２に示すように、ブランク１Ａは、底壁１０と、一対の端壁１１と、一対の側壁１２と、４つの連動壁１３と、第１フラップ１４と、第２フラップ１５と、を備えている。なお、図２において、一対の端壁１１は左右対称に形成され、一対の側壁１２は上下対称に形成されているため、以下、一対であることを明記した場合を除いて、１つの部位に着目して説明する。これと同様に、図２において、４つの連動壁１３は、上下・左右に対称に形成されているため、主に、１つの連動壁１３について説明する。
図２に示すように、ブランク１Ａは、底壁１０と、一対の端壁１１と、一対の側壁１２と、４つの連動壁１３と、第１フラップ１４と、第２フラップ１５と、を備えている。なお、図２において、一対の端壁１１は左右対称に形成され、一対の側壁１２は上下対称に形成されているため、以下、一対であることを明記した場合を除いて、１つの部位に着目して説明する。これと同様に、図２において、４つの連動壁１３は、上下・左右に対称に形成されているため、主に、１つの連動壁１３について説明する。
【0019】
＜底壁、端壁＞
第２壁の一例としての底壁１０は、流れ方向に長い略長方形状に形成されている。一対の端壁１１は、第１折曲線Ｌ１を介して底壁１０の流れ方向（幅方向）の両端に連設されている。底壁１０の流れ方向の両側には、それぞれ、２つの積層穴１６が開口している。４つの積層穴１６は、それぞれ、略長方形状に形成され、第１折曲線Ｌ１を横断するように底壁１０から端壁１１（後述する端壁本体２０）に亘って開口している。
第２壁の一例としての底壁１０は、流れ方向に長い略長方形状に形成されている。一対の端壁１１は、第１折曲線Ｌ１を介して底壁１０の流れ方向（幅方向）の両端に連設されている。底壁１０の流れ方向の両側には、それぞれ、２つの積層穴１６が開口している。４つの積層穴１６は、それぞれ、略長方形状に形成され、第１折曲線Ｌ１を横断するように底壁１０から端壁１１（後述する端壁本体２０）に亘って開口している。
【0020】
端壁１１は、端壁本体２０と、３つの緩衝面部２１と、緩衝片２２と、を有している。端壁本体２０は、第１折曲線Ｌ１を介して底壁１０の流れ方向の端部に連設されている。端壁本体２０は、底壁１０から流れ方向に離れるに従って段方向に幅狭くなる略台形状に形成されている。３つの緩衝面部２１は、切目線を介して段方向に並設され、第１緩衝折線Ｌ１１を介して端壁本体２０の先端に連設されている。緩衝片２２は、第２緩衝折線Ｌ１２を介して３つの緩衝面部２１の先端に連設されている。
【0021】
３つの緩衝面部２１は、それぞれ、略長方形状に形成され、切目線で分離されている。流れ方向の中央の緩衝面部２１（第１・第２緩衝折線Ｌ１１，Ｌ１２）は、他の２つの緩衝面部２１（第１・第２緩衝折線Ｌ１１，Ｌ１２）よりも底壁１０側（基端側）に僅かにずれた位置に設けられている。つまり、３つの緩衝面部２１はジグザグ（略千鳥状）に設けられている。
【0022】
＜側壁＞
一対の側壁１２は、底壁１０の段方向の両端から互いに離れる方向に延設されている。側壁１２は、外側壁２３と、一対の内側壁２４と、を有している。なお、図２において、一対の内側壁２４は左右対称に形成されているため、以下、一対であることを明記した場合を除いて、１つの内側壁２４に着目して説明する。
一対の側壁１２は、底壁１０の段方向の両端から互いに離れる方向に延設されている。側壁１２は、外側壁２３と、一対の内側壁２４と、を有している。なお、図２において、一対の内側壁２４は左右対称に形成されているため、以下、一対であることを明記した場合を除いて、１つの内側壁２４に着目して説明する。
【0023】
（外側壁）
外側壁２３は、段方向に長い略長方形状に形成され、第２折曲線Ｌ２を介して底壁１０の段方向（架設方向）の端部に連設されている。外側壁２３の先端側（上側）には、包装箱１の運搬時等に作業者が手を入れる略楕円形状の把持穴２５が形成されている。また、把持穴２５の上縁には、把持折線Ｌ１３を介して把持片２５Ａが連設されている。
外側壁２３は、段方向に長い略長方形状に形成され、第２折曲線Ｌ２を介して底壁１０の段方向（架設方向）の端部に連設されている。外側壁２３の先端側（上側）には、包装箱１の運搬時等に作業者が手を入れる略楕円形状の把持穴２５が形成されている。また、把持穴２５の上縁には、把持折線Ｌ１３を介して把持片２５Ａが連設されている。
【0024】
（内側壁）
一対の内側壁２４は、第１折曲線Ｌ１を介して外側壁２３の流れ方向（幅方向）の両端に連設されている。内側壁２４は、底壁１０側（下側）の一辺が傾斜しており、外側壁２３から流れ方向に離れるに従って段方向に幅狭くなる略台形状に形成されている。内側壁２４の流れ方向の寸法（延出寸法）は、外側壁２３の流れ方向の寸法の半分よりも僅かに短く設定されている。内側壁２４の流れ方向の先端部には、略半円状の把持凹部２６が凹設されている。把持凹部２６は、内側壁２４を折り返して外側壁２３の内面に重ねたときに、内側壁２４で把持穴２５を塞がないようにするために設けられている。
一対の内側壁２４は、第１折曲線Ｌ１を介して外側壁２３の流れ方向（幅方向）の両端に連設されている。内側壁２４は、底壁１０側（下側）の一辺が傾斜しており、外側壁２３から流れ方向に離れるに従って段方向に幅狭くなる略台形状に形成されている。内側壁２４の流れ方向の寸法（延出寸法）は、外側壁２３の流れ方向の寸法の半分よりも僅かに短く設定されている。内側壁２４の流れ方向の先端部には、略半円状の把持凹部２６が凹設されている。把持凹部２６は、内側壁２４を折り返して外側壁２３の内面に重ねたときに、内側壁２４で把持穴２５を塞がないようにするために設けられている。
【0025】
＜連動壁＞
４つの連動壁１３は、それぞれ、端壁１１と内側壁２４との間に架設されている。詳細には、連動壁１３は、第１傾斜線Ｌ３を介して端壁１１の端壁本体２０に連設され、第２傾斜線Ｌ４を介して内側壁２４に連設されている。端壁１１（端壁本体２０）と連動壁１３との境界線となる第１傾斜線Ｌ３と、内側壁２４と連動壁１３との境界線となる第２傾斜線Ｌ４とは、第２折曲線Ｌ２（底壁１０と外側壁２３との境界線）の端部から流れ方向（幅方向）の外側に向かって互いに離間するように斜めに延設されている。つまり、第１・第２傾斜線Ｌ３，Ｌ４は、略Ｖ字状に形成されている。
４つの連動壁１３は、それぞれ、端壁１１と内側壁２４との間に架設されている。詳細には、連動壁１３は、第１傾斜線Ｌ３を介して端壁１１の端壁本体２０に連設され、第２傾斜線Ｌ４を介して内側壁２４に連設されている。端壁１１（端壁本体２０）と連動壁１３との境界線となる第１傾斜線Ｌ３と、内側壁２４と連動壁１３との境界線となる第２傾斜線Ｌ４とは、第２折曲線Ｌ２（底壁１０と外側壁２３との境界線）の端部から流れ方向（幅方向）の外側に向かって互いに離間するように斜めに延設されている。つまり、第１・第２傾斜線Ｌ３，Ｌ４は、略Ｖ字状に形成されている。
【0026】
＜第１フラップ＞
第１フラップ１４は、一方の側壁１２の段方向の先端に連設されている。第１フラップ１４全体の段方向の寸法は、底壁１０の段方向の寸法よりも短く設定されている。第１フラップ１４は、第１基端壁３０と、２つの第１係合壁３１と、第１先端壁３２と、一対の第１挟持壁３３と、を有している。なお、図２において、２つの第１係合壁３１と一対の第１挟持壁３３とは左右対称に形成されているため、以下、２つまたは一対であることを明記した場合を除いて、１つの部位に着目して説明する。
第１フラップ１４は、一方の側壁１２の段方向の先端に連設されている。第１フラップ１４全体の段方向の寸法は、底壁１０の段方向の寸法よりも短く設定されている。第１フラップ１４は、第１基端壁３０と、２つの第１係合壁３１と、第１先端壁３２と、一対の第１挟持壁３３と、を有している。なお、図２において、２つの第１係合壁３１と一対の第１挟持壁３３とは左右対称に形成されているため、以下、２つまたは一対であることを明記した場合を除いて、１つの部位に着目して説明する。
【0027】
（第１基端壁）
第１基端壁３０は、第１基端折線Ｌ５を介して一方の側壁１２の外側壁２３の段方向の先端に連設されている。第１基端壁３０は、略長方形状に形成されている。
第１基端壁３０は、第１基端折線Ｌ５を介して一方の側壁１２の外側壁２３の段方向の先端に連設されている。第１基端壁３０は、略長方形状に形成されている。
【0028】
（第１係合壁）
第１係合壁３１は、第１基端壁３０の先端から延設されている。２つの第１係合壁３１は、第１基端壁３０の流れ方向の中央領域において流れ方向に間隔をあけて並設されている。第１係合壁３１の段方向の中央には、第１先端折線Ｌ６が流れ方向に沿って延設されている。第１係合壁３１は、第１先端折線Ｌ６が最も幅広くなった略六角形状に形成されている。換言すれば、第１係合壁３１は、第１先端折線Ｌ６を下底とする２つの台形を、第１先端折線Ｌ６を介して連続させた形状となっている。
第１係合壁３１は、第１基端壁３０の先端から延設されている。２つの第１係合壁３１は、第１基端壁３０の流れ方向の中央領域において流れ方向に間隔をあけて並設されている。第１係合壁３１の段方向の中央には、第１先端折線Ｌ６が流れ方向に沿って延設されている。第１係合壁３１は、第１先端折線Ｌ６が最も幅広くなった略六角形状に形成されている。換言すれば、第１係合壁３１は、第１先端折線Ｌ６を下底とする２つの台形を、第１先端折線Ｌ６を介して連続させた形状となっている。
【0029】
（第１先端壁）
第１先端壁３２は、２つの第１係合壁３１の先端に連設されている。第１先端壁３２は、第１基端壁３０と略同等となる略長方形状に形成されている。
第１先端壁３２は、２つの第１係合壁３１の先端に連設されている。第１先端壁３２は、第１基端壁３０と略同等となる略長方形状に形成されている。
【0030】
（（第１係合穴、第１切欠き部））
また、第１基端壁３０と第１先端壁３２との間には、第１係合穴３４と２つの第１切欠き部３５とが、２つの第１係合壁３１を挟んで流れ方向に並んで形成されている。第１係合穴３４は、第１基端壁３０と第１先端壁３２との間、且つ２つの第１係合壁３１の間に開口している。２つの第１切欠き部３５は、第１基端壁３０と第１先端壁３２との間、且つ２つの第１係合壁３１の流れ方向の両外側に開口している。
また、第１基端壁３０と第１先端壁３２との間には、第１係合穴３４と２つの第１切欠き部３５とが、２つの第１係合壁３１を挟んで流れ方向に並んで形成されている。第１係合穴３４は、第１基端壁３０と第１先端壁３２との間、且つ２つの第１係合壁３１の間に開口している。２つの第１切欠き部３５は、第１基端壁３０と第１先端壁３２との間、且つ２つの第１係合壁３１の流れ方向の両外側に開口している。
【0031】
（第１挟持壁）
一対の第１挟持壁３３は、第１折曲線Ｌ１を介して第１基端壁３０の流れ方向（幅方向）の両端に連設されている。また、第１挟持壁３３は、第１挟持折線Ｌ７を介して内側壁２４の段方向の先端に連設されている。
一対の第１挟持壁３３は、第１折曲線Ｌ１を介して第１基端壁３０の流れ方向（幅方向）の両端に連設されている。また、第１挟持壁３３は、第１挟持折線Ｌ７を介して内側壁２４の段方向の先端に連設されている。
【0032】
第１基端壁３０と第１挟持壁３３と内側壁２４との連設部付近には、段方向の先端側に突き出すように屈曲した凸部形成穴１７が開口している。外側壁２３と内側壁２４の段方向の先端部で第１折曲線Ｌ１を横断する範囲には、積層凸部１８が凸部形成穴１７の内側に向かって突設されている。
【0033】
＜第２フラップ＞
第２フラップ１５は、他方の側壁１２の段方向の先端に連設されている。第２フラップ１５全体の段方向の寸法は、底壁１０の段方向の寸法よりも短く設定されている。第２フラップ１５は、第２基端壁４０と、３つの第２係合壁４１と、第２先端壁４２と、一対の第２挟持壁４３と、を有している。なお、図２において、一対の第２挟持壁４３は、左右対称に形成されているため、以下、一対であることを明記した場合を除いて、１つの第２挟持壁４３に着目して説明する。
第２フラップ１５は、他方の側壁１２の段方向の先端に連設されている。第２フラップ１５全体の段方向の寸法は、底壁１０の段方向の寸法よりも短く設定されている。第２フラップ１５は、第２基端壁４０と、３つの第２係合壁４１と、第２先端壁４２と、一対の第２挟持壁４３と、を有している。なお、図２において、一対の第２挟持壁４３は、左右対称に形成されているため、以下、一対であることを明記した場合を除いて、１つの第２挟持壁４３に着目して説明する。
【0034】
（第２基端壁）
第２基端壁４０は、第２基端折線Ｌ８を介して他方の側壁１２の外側壁２３の段方向の先端に連設されている。第２基端壁４０は、略長方形状に形成されている。
第２基端壁４０は、第２基端折線Ｌ８を介して他方の側壁１２の外側壁２３の段方向の先端に連設されている。第２基端壁４０は、略長方形状に形成されている。
【0035】
（第２係合壁）
３つの第２係合壁４１は、第２基端壁４０の先端から延設され、流れ方向に略等間隔で並設されている。各々の第２係合壁４１の段方向の中央には、第２先端折線Ｌ９が流れ方向に沿って延設されている。流れ方向の中央の第２係合壁４１は、第１係合壁３１と略同一形状に形成されている。流れ方向の両外側の２つの第２係合壁４１は、それぞれ、第１切欠き部３５と略同一形状に形成されている。
３つの第２係合壁４１は、第２基端壁４０の先端から延設され、流れ方向に略等間隔で並設されている。各々の第２係合壁４１の段方向の中央には、第２先端折線Ｌ９が流れ方向に沿って延設されている。流れ方向の中央の第２係合壁４１は、第１係合壁３１と略同一形状に形成されている。流れ方向の両外側の２つの第２係合壁４１は、それぞれ、第１切欠き部３５と略同一形状に形成されている。
【0036】
（第２先端壁）
第２先端壁４２は、３つの第２係合壁４１の先端に連設されている。第２先端壁４２は、第２基端壁４０と略同等となる略長方形状に形成されている。
第２先端壁４２は、３つの第２係合壁４１の先端に連設されている。第２先端壁４２は、第２基端壁４０と略同等となる略長方形状に形成されている。
【0037】
（（第２係合穴））
また、第２基端壁４０と第２先端壁４２との間には、２つの第２係合穴４４が第２係合壁４１を挟んで流れ方向に並んで形成されている。２つの第２係合穴４４は、第２基端壁４０と第２先端壁４２との間、且つ３つの第２係合壁４１の間に開口している。
また、第２基端壁４０と第２先端壁４２との間には、２つの第２係合穴４４が第２係合壁４１を挟んで流れ方向に並んで形成されている。２つの第２係合穴４４は、第２基端壁４０と第２先端壁４２との間、且つ３つの第２係合壁４１の間に開口している。
【0038】
（第２挟持壁）
一対の第２挟持壁４３は、第１折曲線Ｌ１を介して第２基端壁４０の流れ方向の両端に連設されている。また、第２挟持壁４３は、第２挟持折線Ｌ１０を介して内側壁２４の段方向の先端に連設されている。なお、第２基端壁４０と第２挟持壁４３と内側壁２４との連設部付近には凸部形成穴１７が開口し、外側壁２３と内側壁２４の先端部には積層凸部１８が凸部形成穴１７の内側に向かって突設されている。
一対の第２挟持壁４３は、第１折曲線Ｌ１を介して第２基端壁４０の流れ方向の両端に連設されている。また、第２挟持壁４３は、第２挟持折線Ｌ１０を介して内側壁２４の段方向の先端に連設されている。なお、第２基端壁４０と第２挟持壁４３と内側壁２４との連設部付近には凸部形成穴１７が開口し、外側壁２３と内側壁２４の先端部には積層凸部１８が凸部形成穴１７の内側に向かって突設されている。
【0039】
なお、第２折曲線Ｌ２、第１傾斜線Ｌ３、第１基端折線Ｌ５、第１先端折線Ｌ６、第２基端折線Ｌ８、第２先端折線Ｌ９および把持折線Ｌ１３は、段ボールシートを裏ライナ９Ｃの側から厚み方向に潰した汎用罫線である。汎用罫線は、主に、裏ライナ９Ｃを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる（正折りする）機能を有している。第２傾斜線Ｌ４、第１挟持折線Ｌ７および第２挟持折線Ｌ１０は、段ボールシートを表ライナ９Ｂの側から厚み方向に潰した逆罫線である。逆罫線は、主に、表ライナ９Ｂを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる（逆折りする）機能を有している。第１折曲線Ｌ１、第１緩衝折線Ｌ１１および第２緩衝折線Ｌ１２は、汎用罫線上にミシン目線を形成したリード罫である。リード罫は、段ボールシートを正折りまたは逆折りする機能を有している。上記した段ボールシートの折り曲げに用いる線は、上記の例に限らず、例えば、ミシン目線等、段ボールシートを所望の向きに折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。なお、第２傾斜線Ｌ４の基端側（第２折曲線Ｌ２との交点側）は、切断線となっている。
【0040】
［包装箱の組立および被包装物の包装］
次に、図３ないし図１０、図１１Ａ、図１１Ｂを参照して、包装箱１の組立手順および被包装物Ｍの包装手順の一例について説明する。図３は内側壁２４を折り返した状態を示す斜視図である。図４は第１係合壁３１および第２係合壁４１を折り返した状態を示す斜視図である。図５は、図４のＶ－Ｖ断面図である。図６は、図４のＶＩ－ＶＩ断面図である。図７は側壁１２および端壁１１を起立させる途中を示す斜視図である。図８は側壁１２および端壁１１を起立させた状態を示す斜視図である。図９は一方の緩衝部２７を形成した状態を示す斜視図である。図１０は両方の緩衝部２７を形成した状態を示す斜視図である。図１１Ａは第１係合凸部３６と第２係合凹部４７とを係合させる途中を示す断面図である。図１１Ｂは第１係合凸部３６と第２係合凹部４７とを係合させた状態を示す断面図である。なお、包装箱１は、作業者によって手作業で組み立てられてもよいし、製函機（図示せず）によって全自動または半自動で組み立てられてもよい。ここでは、一例として、手作業で包装箱１を組み立てる場合について説明する。
次に、図３ないし図１０、図１１Ａ、図１１Ｂを参照して、包装箱１の組立手順および被包装物Ｍの包装手順の一例について説明する。図３は内側壁２４を折り返した状態を示す斜視図である。図４は第１係合壁３１および第２係合壁４１を折り返した状態を示す斜視図である。図５は、図４のＶ－Ｖ断面図である。図６は、図４のＶＩ－ＶＩ断面図である。図７は側壁１２および端壁１１を起立させる途中を示す斜視図である。図８は側壁１２および端壁１１を起立させた状態を示す斜視図である。図９は一方の緩衝部２７を形成した状態を示す斜視図である。図１０は両方の緩衝部２７を形成した状態を示す斜視図である。図１１Ａは第１係合凸部３６と第２係合凹部４７とを係合させる途中を示す断面図である。図１１Ｂは第１係合凸部３６と第２係合凹部４７とを係合させた状態を示す断面図である。なお、包装箱１は、作業者によって手作業で組み立てられてもよいし、製函機（図示せず）によって全自動または半自動で組み立てられてもよい。ここでは、一例として、手作業で包装箱１を組み立てる場合について説明する。
【0041】
作業者は、各々の内側壁２４の内面（裏ライナ９Ｃ）に接着剤を塗布し、図３に示すように、一対の端壁１１、二対の内側壁２４（４つの連動壁１３）、一対の第１挟持壁３３および一対の第２挟持壁４３を第１折曲線Ｌ１に沿って内側に折り返す（正折りする）。各々の端壁１１は、底壁１０の内面に対向して配置される。各々の内側壁２４は、内側に折り返されて外側壁２３の内面に接着剤を介して固定される。内側壁２４の把持凹部２６は、外側壁２３の把持穴２５に対応して配置される。各々の第１・第２挟持壁３３，４３は、第１・第２基端壁３０，４０の内面に対向して配置される。各々の積層凸部１８は、第１折曲線Ｌ１で折り返されて二重壁構造となっている。なお、一対の端壁１１等の先端同士は離間している。また、接着剤は、例えば、ホットメルト接着剤や水性エマルジョン系接着剤等を用いてもよいし、両面テープを用いてもよい。
【0042】
図４および図５に示すように、作業者は、第１フラップ１４（第１係合壁３１）を第１先端折線Ｌ６に沿って内側に折り返す。第１先端壁３２は、一対の第１挟持壁３３を挟んで第１基端壁３０の内面に対向して配置される。内側に折り返された一対の第１挟持壁３３は、第１基端壁３０と第１先端壁３２との間に挟持される（図５参照）。第１フラップ１４の先端側を内側に折り返すことで二重壁構造となる２つの第１係合凸部３６（第１係合部）が形成される。また、第１係合穴３４と２つの第１切欠き部３５とは、二重壁の厚みをもった３つの第１係合凹部３７（第１係合部）を構成する。つまり、第１フラップ１４の先端側に凹凸形状が構成される。第１係合凸部３６は、平面から見て基端（第１基端壁３０等）から先端（第１先端折線Ｌ６）に向かって左右方向に広がる略台形状に形成されている（図４参照）。第１基端壁３０と第１先端壁３２とは第１挟持壁３３を挟んで三重壁を構成するため、第１係合凸部３６は、側面（または断面）から見て先端から基端に向かって厚みが増加する略三角形状（くさび状）に形成されている（図５参照）。左右方向の中央の第１係合凹部３７は、平面から見て基端から先端に向かって左右方向に狭まる略台形状に形成されている（図４参照）。左右方向の両外側の２つの第１係合凹部３７は、平面から見て左右方向の内側の辺を基端から先端に向かって外側に傾斜させた略台形状に形成されている（図４参照）。
【0043】
また、図４および図６に示すように、作業者は、第２フラップ１５（第２係合壁４１）を第２先端折線Ｌ９に沿って内側に折り返す。第２先端壁４２は、一対の第２挟持壁４３を挟んで第２基端壁４０の内面に対向して配置される。内側に折り返された一対の第２挟持壁４３は、第２基端壁４０と第２先端壁４２との間に挟持される（図６参照）。第２フラップ１５の先端側を内側に折り返すことで二重壁構造となる３つの第２係合凸部４６（第２係合部）が形成される。また、２つの第２係合穴４４は、二重壁の厚みをもった２つの第２係合凹部４７（第２係合部）を構成する。つまり、第２フラップ１５の先端側に、第１フラップ１４の凹凸形状と相補的な凹凸形状が構成される。左右方向の中央の第２係合凸部４６は、平面から見て基端（第２基端壁４０等）から先端（第２先端折線Ｌ９）に向かって左右方向に広がる略台形状に形成されている（図４参照）。左右方向の両外側の２つの第２係合凸部４６は、平面から見て左右方向の内側の辺を基端から先端に向かって外側に傾斜させた略台形状に形成されている（図４参照）。第２基端壁４０と第２先端壁４２とは第２挟持壁４３を挟んで三重壁を構成するため、第２係合凸部４６は、側面（または断面）から見て先端から基端に向かって厚みが増加する略三角形状（くさび状）に形成されている（図６参照）。２つの第２係合凹部４７は、平面から見て基端から先端に向かって左右方向に狭まる略台形状に形成されている（図４参照）。
【0044】
次に、図７に示すように、作業者は、一対の側壁１２または第１・第２フラップ１４，１５を把持し、一対の側壁１２を第２折曲線Ｌ２に沿って上方に折り曲げ、一対の側壁１２を底壁１０に対して立設させる。一対の側壁１２が底壁１０に対して立設されることに連動して、各々の連動壁１３は、第１傾斜線Ｌ３で正折りされ、第２傾斜線Ｌ４で逆折りされ、一対の端壁１１を底壁１０に対して立設させる。つまり、一対の側壁１２を立ち上げに連動して、一対の端壁１１が自動的に立ち上がる。
【0045】
なお、上記の説明では、作業者が、一対の側壁１２を把持し、一対の側壁１２を底壁１０に対して起立させていたが、本発明はこれに限定されない。作業者は、一対の端壁１１を把持し、一対の端壁１１を底壁１０に対して起立させてもよい。この場合、一対の端壁１１が底壁１０に対して立設されることに連動して、各々の連動壁１３は、第１・第２傾斜線Ｌ３，Ｌ４で互いに逆向きに折られ、一対の側壁１２を底壁１０に対して立設させる。
【0046】
作業者は、端壁１１および側壁１２を略垂直に立ち上げた後、一対の端壁１１と４つの連動壁１３とで囲まれる範囲に被包装物Ｍを挿入して底壁１０上に載置する。ここで、作業者は、被包装物Ｍを底壁１０上に配置する前に、被包装物Ｍの左右方向の寸法に応じて端壁１１の形状を変更する。
【0047】
例えば、被包装物Ｍの左右方向の寸法が底壁１０の左右方向の寸法と略同一である場合、図８に示すように、緩衝面部２１や緩衝片２２は折り曲げられることなく、一対の端壁１１は底壁１０から直立した状態とされる。この状態で、底壁１０上に被包装物Ｍを載せると、一対の端壁１１全体の内面（裏ライナ９Ｃ）が被包装物Ｍの左右両側面に接触する。
【0048】
また、例えば、被包装物Ｍの左右方向の寸法が底壁１０の左右方向の寸法よりも若干小さい場合、図９に示すように、作業者は一対の端壁１１のいずれか一方（図９では左側）の形状を変更する。作業者は、３つの緩衝面部２１を第１緩衝折線Ｌ１１に沿って内側に折り曲げ、緩衝片２２を第２緩衝折線Ｌ１２に沿って下方に折り曲げる。３つの緩衝面部２１と緩衝片２２とが内側に巻き込まれることで、略筒状（正確には逆Ｕ字状）の緩衝部２７が形成される。３つの緩衝面部２１は緩衝部２７の上面を構成し、緩衝片２２は緩衝部２７の内側面を構成する。前後方向の中央の緩衝面部２１は他の２つの緩衝面部２１よりも左右方向の外側にずれているため、中央の緩衝面部２１は、左右方向の内側から外側に向かって下方に傾斜し、他の２つの緩衝面部２１は、左右方向の外側から内側に向かって下方に傾斜する。この状態で、底壁１０上に被包装物Ｍを載せると、緩衝部２７（緩衝片２２）と他方の端壁１１全体の内面（裏ライナ９Ｃ）とが被包装物Ｍの左右両側面に接触する。３つの緩衝面部２１の傾斜が互い違いになっているため、緩衝部２７（緩衝片２２）は弾力性をもって被包装物Ｍに接触し、被包装物Ｍに加わる衝撃等をやわらげる。これにより、被包装物Ｍを衝撃等から保護することができる。
【0049】
さらに、例えば、被包装物Ｍの左右方向の寸法が底壁１０の左右方向の寸法よりもかなり小さい場合、図１０に示すように、作業者は、一対の端壁１１の先端側を内側に巻き込んで一対の緩衝部２７を形成する。この状態で、底壁１０上に被包装物Ｍを載せると、一対の緩衝部２７（緩衝片２２）が被包装物Ｍの左右両側面に接触する。
【0050】
次に、作業者は、第１フラップ１４と第２フラップ１５とを連結して包装箱１の天面を構成する。図１１Ａに示すように、作業者は、一対の側壁１２を僅かに接近させながら、第１フラップ１４の第１基端壁３０および第１挟持壁３３を第１基端折線Ｌ５および第１挟持折線Ｌ７に沿って下方に折り曲げ、第２フラップ１５の第２基端壁４０および第２挟持壁４３を第２基端折線Ｌ８および第２挟持折線Ｌ１０に沿って下方に折り曲げる。
【0051】
図１および図１１Ｂに示すように、作業者は、第１フラップ１４の２つの第１係合凸部３６を第２フラップ１５の２つの第２係合凹部４７に嵌め込みながら、且つ第２フラップ１５の３つの第２係合凸部４６を第１フラップ１４の３つの第１係合凹部３７に嵌め込みながら、第１・第２フラップ１４，１５を折り曲げる。第１フラップ１４は前方の側壁１２の上端から後方の側壁１２に向かって略水平に延設され、第２フラップ１５は後方の側壁１２の上端から前方の側壁１２に向かって略水平に延設され、包装箱１の天面が構成される。この状態で、第１係合凸部３６は第２係合凹部４７に嵌合し、第２係合凸部４６は第１係合凹部３７に嵌合している。第１・第２係合凸部３６，４６は、被包装物Ｍ（の上面）に接触し（図１１Ｂ参照）、上下方向に着脱可能、且つ前後方向に着脱不能となるように係合（嵌合）する。また、第１先端壁３２および第２先端壁４２も、被包装物Ｍの上面に接触している（図１１Ｂ参照）。
【0052】
最後に、作業者は、第１・第２係合凸部３６，４６と第１・第２係合凹部３７，４７との係合部分を覆うように、粘着テープや配送伝票等（図示せず）を貼付する。以上によって、包装箱１の組立が完了し、被包装物Ｍが包装された状態になる（図１参照）。完成した包装箱１では、一対の側壁１２が底壁１０の前後方向の両端から上方に向かって互いに接近するように傾斜した側面を形成する（図１参照）。このため、包装箱１は、側面から見て略台形状に形成されている。
【0053】
また、包装箱１は、上下方向に複数積み重ねることができる（図示せず）。複数の包装箱１を積み重ねた場合、下方に位置する包装箱１の４つの積層凸部１８が、上方に位置する包装箱１の底壁１０に開口した４つの積層穴１６に嵌合する。積層穴１６は端壁１１（端壁本体２０）にも開口しているため、積層凸部１８が積層穴１６に嵌合したことを外部から目視して確認することができる。
【0054】
以上説明した本実施形態に係る包装箱１では、第１フラップ１４の先端側を折り返すことで第１係合凸部３６と第１係合凹部３７とが形成され、第２フラップ１５の先端側を折り返すことで第２係合凸部４６と第２係合凹部４７とが形成される構成とした。この構成によれば、第１・第２係合凸部３６，４６および第１・第２係合凹部３７，４７は、二重壁の厚みを有するため、一重壁よりも厚くすることができる。これにより、第１・第２係合凸部３６，４６が僅かに上方にずれたとしても第１・第２係合凹部３７，４７から容易に外れることがなく、第１・第２係合凸部３６，４６と第１・第２係合凹部３７，４７との係合状態を維持することができる。
【0055】
また、本実施形態に係る包装箱１では、第１挟持壁３３が第１基端壁３０と第１先端壁３２とに挟まれ、第２挟持壁４３が第２基端壁４０と第２先端壁４２とに挟まれる構成とした（図５および図６参照）。この構成によれば、第１係合凸部３６と第２係合凸部４６とを支える基部が三重壁構造となるため、第１係合凸部３６と第２係合凸部４６とを先端から基端に向かって厚くなるくさび状に形成することができる。これにより、第１・第２係合凹部３７，４７に嵌合した第１・第２係合凸部３６，４６が更に外れ難くなるため、第１・第２係合凸部３６，４６と第１・第２係合凹部３７，４７との係合状態を良好に維持することができる。
【0056】
また、本実施形態に係る包装箱１では、各々の端壁１１が、先端側を内側に巻き込むことで被包装物Ｍを保護する筒状の緩衝部２７を構成していた（図１０参照）。この構成によれば、例えば、一対の緩衝部２７を被包装物Ｍの左右両面に当接させることで、被包装物Ｍを衝撃等から保護することができる。また、被包装物Ｍの大きさ（左右方向の寸法）によっては、例えば、１つの緩衝部２７のみを形成して緩衝部２７と端壁１１とを被包装物Ｍの左右両面に当接させたり（図９参照）、緩衝部２７を形成せずに一対の端壁１１を被包装物Ｍの左右両面に当接させたり（図８参照）することもできる。このように、端壁１１（緩衝部２７）は緩衝材としての機能に加えてスペーサとしての機能を有しており、被包装物Ｍの大きさに応じて被包装物Ｍの設置スペースを変更することができる。
【0057】
また、本実施形態に係る包装箱１によれば、一対の側壁１２を底壁１０に対して立設させると、各々の連動壁１３は、第１傾斜線Ｌ３と第２傾斜線Ｌ４とで互いに逆向きに折り曲げられながら、一対の端壁１１を底壁１０に対して立設させる構成とした。この構成によれば、側壁１２の起立に連動して端壁１１を起立姿勢にすることができる。これにより、被包装物Ｍを包装する作業を迅速かつ円滑に行うことができる。
【0058】
また、本実施形態に係る包装箱１は側面から見て略台形状に形成されるため、底壁１０を床に接地させた状態で安定する。これにより、包装箱１の転倒を抑制することができる。
【0059】
例えば、作業者が一方の側壁１２に形成された把持穴２５に片手を入れて持ち運ぶ場合、第１・第２フラップ１４，１５には前後方向（架設方向）に分離させるような力が作用する。本実施形態に係る包装箱１によれば、第１・第２係合凸部３６，４６と第１・第２係合凹部３７，４７とは前後方向には着脱不能であるため、第１・第２係合凸部３６，４６が第１・第２係合凹部３７，４７から離脱することがない。これにより、包装箱１を片手持ちされたとしても、第１・第２係合凸部３６，４６と第１・第２係合凹部３７，４７との係合状態を維持することができる。
【0060】
なお、本実施形態に係る包装箱１では、第１フラップ１４に２つの第１係合壁３１が設けられ、第１フラップ１４に２つの第１係合凸部３６および３つの第１係合凹部３７が形成され、第２フラップ１５に３つの第２係合壁４１が設けられ、第２フラップ１５に３つの第２係合凸部４６および２つの第２係合凹部４７が形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第１フラップ１４に１つ以上の第１係合壁３１が設けられ、第２フラップ１５に２つ以上の第２係合壁４１が設けられてもよいし、第１フラップ１４に２つ以上の第１係合壁３１が設けられ、第２フラップ１５に１つ以上の第２係合壁４１が設けられてもよい（図示せず）。以上のように、第１フラップ１４には、少なくとも１つの第１係合壁３１が設けられ、内側に折り返されて（少なくとも１つの）第１係合凸部３６等が構成されればよい。これと同様に、第２フラップ１５には、少なくとも１つの第２係合壁４１が設けられ、内側に折り返されて（少なくとも１つの）第２係合凸部４６等が構成されればよい。
【0061】
また、本実施形態に係る包装箱１では、第１・第２係合凸部３６，４６（第１・第２係合凹部３７，４７）が略台形状に形成されていたが、これに限らず、三角形状、五角形状または円形状等でもよく（図示せず）、係合状態で前後方向（架設方向）に着脱不能となる形状であれば如何なる形状でもよい。
【0062】
また、変形例として、図１２に示すように、第１フラップ１４と第２フラップ１５とが、フック部５２を有する第１係合壁５１とフック部６２を有する第２係合壁６１とを備え、図１３に示すように、第１・第２先端折線Ｌ６，Ｌ９で第１・第２係合壁５１，６１を折り返すことでフック形状を成す第１・第２係合部５３，６３が形成されてもよい。第１係合部５３のフック部５２と第２係合部６３のフック部６２とは、前後方向に着脱不能に噛み合う（係合する）。なお、第１係合壁５１と第２係合壁６１とは２つ以上設けられてもよい（図示せず）。また、第１・第２係合部５３，６３は、フック部５２，６２の返し部分を省略し、略Ｌ字状に形成されてもよい（図示せず）。
【0063】
また、本実施形態に係る包装箱１（変形例も含む。以下同じ。）では、第１・第２係合壁３１，４１，５１，６１が第１・第２基端壁３０，４０と第１・第２先端壁３２，４２との間に架設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第１・第２先端壁３２，４２が省略されてもよいし、第１・第２基端壁３０，４０と第１・第２先端壁３２，４２とが省略されてもよい（図示せず）。これらの場合、第１・第２挟持壁３３，４３も省略される。また、第１・第２基端壁３０，４０と第１・第２先端壁３２，４２とを省略した場合、第１・第２係合壁３１，４１，５１，６１は、側壁１２（外側壁２３）から延設される（図示せず）。
【0064】
また、本実施形態に係る包装箱１では、第１フラップ１４と第２フラップ１５とが天面を形成していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第１フラップ１４と第２フラップ１５とが、包装箱の側面を形成してもよい（図示せず）。この場合、被包装物Ｍを挟んで配置される一対の第１壁のいずれか一方が底面を形成し、他方が天面を形成し、一対の第１壁の一端の間に架設される第２壁が第１・第２フラップ１４，１５に対向する側面を形成する（図示せず）。また、この場合、把持穴２５は、天面を形成する第１壁に開口させる。
【0065】
また、本実施形態に係る包装箱１では、一対の第１挟持壁３３が第１基端壁３０に連設され、一対の第２挟持壁４３が第２基端壁４０に連設されていたが、本発明はこれに限定されない。一対の第１・第２挟持壁３３，４３は、第１・第２基端壁３０，４０に代えて、第１・第２先端壁３２，４２の左右両端に連設されてもよいし、第１・第２基端壁３０，４０と第１・第２先端壁３２，４２との左右両端に連設されてもよい（図示せず）。また、第１・第２挟持壁３３，４３は、内側壁２４に連設されていたが、内側壁２４から分離されていてもよい（図示せず）。また、第１・第２挟持壁３３，４３は省略されてもよい。
【0066】
また、本実施形態に係る包装箱１では、側壁１２が外側壁２３と内側壁２４とで二重壁となっていたが、本発明はこれに限定されない。内側壁２４を省略し、側壁１２が外側壁２３のみで（一重壁）構成されてもよい（図示せず）。また、端壁１１や連動壁１３も省略されてもよい。
【0067】
また、本実施形態に係る包装箱１では、一対の端壁１１が底壁１０の左右方向の両端に連設されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、一対の端壁１１は、底壁１０に代えて、一対の側壁１２の一方または他方の左右両端に連設されてもよい（図示せず）。なお、端壁１１を側壁１２に設ける場合、側壁１２は内側壁２４を省略して一重壁にする。また、例えば、二対の端壁１１が底壁１０に加えて、一対の側壁１２の一方または他方に連設されてもよい（図示せず）。すなわち、少なくとも一対の端壁１１が、一方の側壁１２と他方の側壁１２と底壁１０の少なくとも１つにおいて幅方向の両端に連設されていればよい。
【0068】
また、本実施形態に係る包装箱１では、端壁１１に３つの緩衝面部２１が設けられていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、２つの緩衝面部２１が設けられてもよいし、４つ以上の緩衝面部２１が設けられてもよい（図示せず）。また、緩衝面部２１および緩衝片２２は省略されてもよい。
【0069】
また、本実施形態に係る包装箱１では、一対の側壁１２にそれぞれ把持穴２５が形成されていたが、本発明はこれに限定されない。把持穴２５は、一対の側壁１２の少なくとも一方に形成されていればよい。また、把持穴２５は省略されてもよい。
【0070】
また、本実施形態に係る包装箱１では、一対の側壁１２が底壁１０の前後両端から上方に向かって互いに接近するように傾斜していたが、本発明はこれに限定されない。例えば、一対の側壁１２は、底壁１０の前後両端から上方に向かって略垂直に立設されてもよいし、底壁１０の前後両端から上方に向かって互いに離間するように傾斜していてもよい（図示せず）。
【0071】
また、本実施形態に係る包装箱１では、底壁１０に積層穴１６が開口し、側壁１２に積層凸部１８（凸部形成穴１７）が形成されていたが、積層穴１６や積層凸部１８は省略されてもよい。
【0072】
また、本実施形態に係る包装箱１は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、これに限らず、片面段ボールシートや複両面段ボールシート、または厚紙、若しくは樹脂製の板（シート）等で形成されていてもよい。また、包装箱１は、略直方体状に形成されていたが、これに限らず、直方体の角稜線部に隅切面を設けてもよい（図示せず）。つまり、包装箱１は、平面または側面から見て六角形や八角形等の多角形に形成されてもよい。また、包装箱１の各部の寸法（幅、奥行き、高さ）や形状、段ボールシートの厚みや中しん９Ａが延びる方向等は自由に変更してもよい。
【0073】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0074】
１ 包装箱
１０ 底壁（第２壁）
１１ 端壁
１２ 側壁（第１壁）
１３ 連動壁
１４ 第１フラップ
１５ 第２フラップ
２３ 外側壁
２４ 内側壁
２５ 把持穴
２７ 緩衝部
３０ 第１基端壁
３１，５１ 第１係合壁
３２ 第１先端壁
３３ 第１挟持壁
３６ 第１係合凸部（第１係合部）
３７ 第１係合凹部（第１係合部）
４０ 第２基端壁
４１，６１ 第２係合壁
４２ 第２先端壁
４３ 第２挟持壁
４６ 第２係合凸部（第２係合部）
４７ 第２係合凹部（第２係合部）
５３ 第１係合部
６３ 第２係合部
Ｌ２ 第２折曲線（境界線）
Ｌ３ 第１傾斜線
Ｌ４ 第２傾斜線
Ｍ 被包装物
１０ 底壁（第２壁）
１１ 端壁
１２ 側壁（第１壁）
１３ 連動壁
１４ 第１フラップ
１５ 第２フラップ
２３ 外側壁
２４ 内側壁
２５ 把持穴
２７ 緩衝部
３０ 第１基端壁
３１，５１ 第１係合壁
３２ 第１先端壁
３３ 第１挟持壁
３６ 第１係合凸部（第１係合部）
３７ 第１係合凹部（第１係合部）
４０ 第２基端壁
４１，６１ 第２係合壁
４２ 第２先端壁
４３ 第２挟持壁
４６ 第２係合凸部（第２係合部）
４７ 第２係合凹部（第２係合部）
５３ 第１係合部
６３ 第２係合部
Ｌ２ 第２折曲線（境界線）
Ｌ３ 第１傾斜線
Ｌ４ 第２傾斜線
Ｍ 被包装物
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】