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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】樹脂構造体
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/14 20060101AFI20240130BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240130BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20240130BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
H02G3/14
H05K5/02 P
H02G3/16
B60R16/02 610A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020142817
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038357
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】荘司 和輝
(72)【発明者】
【氏名】垣見 孝明
(72)【発明者】
【氏名】野垣 崇央
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】実開平7-16527(JP,U)
【文献】特開平9-28018(JP,A)
【文献】特開2011-10374(JP,A)
【文献】特開平9-149527(JP,A)
【文献】実開平6-9325(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
H05K 5/02
H02G 3/16
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向の一方側から電子部品が搭載されることになる第1樹脂体と、前記第1樹脂体と組み付けられる第2樹脂体と、を備えた樹脂構造体であって、
前記第1樹脂体は、
前記第2樹脂体と係合される被係合部と、
該第1樹脂体の前記所定方向の他方側に位置して、前記第2樹脂体に支持される底壁と、を有し、
前記第2樹脂体は、
前記被係合部と係合する係合部と、
該第2樹脂体の内壁に設けられる支持部と、を有し、
前記支持部は、
弾性変形可能な弾性片と、前記弾性片に設けられて前記底壁を支える支持突起と、を有し、
該樹脂構造体は、
前記第1樹脂体と前記第2樹脂体とが組み付けられた組付完了段階にて、前記支持突起が前記底壁と当接することで、前記支持部が前記底壁を支えている、
樹脂構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂構造体において、
前記第1樹脂体と前記第2樹脂体とが組み付けられる途中段階で前記弾性片が前記第1樹脂体に押されて撓み変形し、前記組付完了段階で前記弾性片が撓みから復元して前記支持突起が前記底壁と当接することで、前記支持部が前記底壁を支える、ように構成され、
前記途中段階では、前記一方側から前記支持突起が視認でき、前記組付完了段階では、前記一方側から前記支持突起を視認できない、ように構成される、
樹脂構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載される電気接続箱(例えば、リレーボックス)等のように、複数の樹脂体を互いに組み付けて構成される樹脂構造体が提案されている。例えば、従来の電気接続箱の一つは、電子部品等が搭載される本体ケースと、本体ケースの下部に組み付けられるカバーと、を有している。この電気接続箱では、本体ケースの係止部と、カバーの係止部とが係合されることで、本体ケースにカバーを固定するようになっている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-101543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述したように、本体ケースには電子部品(例えば、リレー)等が搭載される。本体ケースに電子部品等が搭載されるとき、本体ケースには搭載される電子部品の荷重が加わるため、本体ケースがカバーに対して位置ずれするおそれがある。つまり、本体ケースとカバーとは相対的に変位してしまい適正に組み付けられた状態が維持されない。
【0005】
上述した課題に対し、例えば、本体ケースおよびカバーの係止部の数を増やすことで、位置ずれを抑制する方法がある。しかし、この方法では、複数の係止部のそれぞれで位置決めをしなければならないため、本体ケースとカバーとの組み付け作業が煩雑となり、作業性の観点では好ましくない。上述した状況より、電気接続箱は、作業性を煩雑化させることなく本体ケースとカバーとの相対的な変位が抑制されることが望ましい。
【0006】
本発明は、上述した状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂構造体を構成する複数の樹脂体間の相対的な変位を抑制する樹脂構造体、の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る樹脂構造体は、下記[1]~[2]を特徴としている。
[1]
所定方向の一方側から電子部品が搭載されることになる第1樹脂体と、前記第1樹脂体と組み付けられる第2樹脂体と、を備えた樹脂構造体であって、
前記第1樹脂体は、
前記第2樹脂体と係合される被係合部と、
該第1樹脂体の前記所定方向の他方側に位置して、前記第2樹脂体に支持される底壁と、を有し、
前記第2樹脂体は、
前記被係合部と係合する係合部と、
該第2樹脂体の内壁に設けられる支持部と、を有し、
前記支持部は、
弾性変形可能な弾性片と、前記弾性片に設けられて前記底壁を支える支持突起と、を有し、
該樹脂構造体は、
前記第1樹脂体と前記第2樹脂体とが組み付けられた組付完了段階にて、前記支持突起が前記底壁と当接することで、前記支持部が前記底壁を支えている、
樹脂構造体であること。
[2]
上記[1]に記載の樹脂構造体において、
前記第1樹脂体と前記第2樹脂体とが組み付けられる途中段階で前記弾性片が前記第1樹脂体に押されて撓み変形し、前記組付完了段階で前記弾性片が撓みから復元して前記支持突起が前記底壁と当接することで、前記支持部が前記底壁を支える、ように構成され、
前記途中段階では、前記一方側から前記支持突起が視認でき、前記組付完了段階では、前記一方側から前記支持突起を視認できない、ように構成される、
樹脂構造体であること。
【0008】
上記[1]の構成の樹脂構造体によれば、第1樹脂体と第2樹脂体とが組み付けられた組付完了段階では、第1樹脂体における電子部品が搭載される所定方向の一方側とは反対の他方側に設けられている底壁が、支持部によって支持される。具体的には、支持部は、支持突起が底壁と当接することで、底壁(即ち、第1樹脂体)を支えている。このように、底壁が他方側に設けられていることで、組付完了段階において、所定方向の一方側から第1樹脂体に電子部品が収容されたとしても、他方側に位置する底壁が支持突起によって支えられる。例えば、樹脂構造体には、第1樹脂体に電子部品を収容するときに、電子部品の荷重、或いは、電子部品を収容するときの作業者等の荷重が生じるが、支持部(支持突起)によって抑制できる。つまり、上述した荷重によって生じ得る第1樹脂体と第2樹脂体との変位は、係合箇所(即ち、係合部及び被係合部)のみならず支持部によっても抑制される。よって、本構成の樹脂構造体は、第1樹脂体と第2樹脂体との間の相対的な変位を抑制できる。
【0009】
上記[2]の構成の樹脂構造体によれば、組付完了段階にて、弾性片が撓みから復元することで支持突起が底壁と当接して支持部が底壁を支えるように構成されている。これにより、上述したように電子部品を搭載するときに掛かる荷重によって生じ得る第1樹脂体と第2樹脂体との相対的な変位を抑制できる。更に、組付途中段階では、一方側から支持突起が視認できるが、組付完了段階では、支持突起が視認不可となる。つまり、支持突起を視認することで、第1樹脂体と第2樹脂体との組み付け状態(即ち、組付途中段階、又は、組付完了段階)を確認できる。更に、支持部は、第1樹脂体、及び、第2樹脂体の製造ばらつき(製造上、不可避的に生じ得る寸法公差)を弾性片で吸収して、より確実な第1樹脂体の支持を実現できる。
【0010】
よって、本構成の樹脂構造体は、第1樹脂体と第2樹脂体との間の相対的な変位が抑制できるとともに、樹脂構造体の組み付け状態が容易に確認できる。
【0011】
更に別の効果として、組付途中段階で弾性片が第1樹脂体に押されて撓み変形し、組付完了段階で弾性片が撓みから復元するように構成されていることで、第1樹脂体と第2樹脂体との組み付け作業が容易に行える。つまり、本構成の樹脂構造体は、作業性にも優れている。
【発明の効果】
【0012】
このように、本発明によれば、樹脂構造体を構成する複数の樹脂体間の相対的な変位を抑制する樹脂構造体、を提供できる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本発明の実施形態に係る樹脂構造体の斜視図である。
図2図2は、図1に示す樹脂構造体の分解斜視図である。
図3図3は、図2に示すフレームの一部を切り取った斜視図である。
図4図4(a)は、図1に示す樹脂構造体のA-A断面図であり、図4(b)は、図4(a)に示すC部拡大図である。
図5図5は、図1に示す樹脂構造体のB-B断面図である。
図6図6は、図5における組付途中段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、図1に示す本発明の実施形態に係る樹脂構造体1について説明する。樹脂構造体1は、典型的には、車両に搭載され、リレー等の電子部品を収容するリレーボックス(即ち、電気接続箱)である。
【0016】
図1に示すように、樹脂構造体1は、リレーとの電子部品(及び、その他の部品、図示省略)が収容されることになるブロック10と、ブロック10の外周を取り囲むように組み付けられるフレーム20と、を含んで構成される。ブロック10及びフレーム20の各々は、樹脂構造体1である。ブロック10は、本発明の「第1樹脂体」に対応し、フレーム20は、本発明の「第2樹脂体」に対応している。更に、周壁21の内方は、本発明の「内壁」に対応している。
【0017】
以下、説明の便宜上、図1図6に示すように、「上下方向」、「周方向」、「内外方向」、「上」、「下」、「内」及び「外」を定義する。「上下方向」、「周方向」及び「内外方向」は、互いに直交している。樹脂構造体1において、「上下方向」は、ブロック10とフレーム20との組付方向に対応している。「周方向」は、ブロック10の後述する周壁11及びフレーム20の後述する周壁21における周方向に対応し、「内外方向」は、周壁11及び周壁21における厚み方向に対応している。
【0018】
樹脂構造体1では、図1及び図2に示すように、周方向における複数個所に(本例で、2箇所)にて、係合箇所(即ち、係合部22及び被係合部12)が設けられている。係合箇所では、ブロック10とフレーム20との組付状態にて両者の上下方向への分離を防止するために両者を係合している。また、周方向における複数個所に(本例で、2箇所)にて、フレーム20にはブロック10の下方への変位を防止するための支持部23が設けられている。以下、樹脂構造体1を構成する各部材について順に説明をする。
【0019】
まず、ブロック10について説明する。ブロック10は、図2に示すように、上下方向に延びる略矩形筒状の周壁11を有する。周壁11は、周方向の長手側に延びる長手側周壁11aと、周方向の短手側に延びる短手側周壁11bと、からなる。
【0020】
図2及び図4に示すように、周壁11の内方には、複数の収容部14が形成されており、この収容部14には、それぞれ電子部品(例えば、リレー等)が搭載されることになる。収容部14は、下方に底壁13を有する。底壁13は、後述するフレーム20の支持部に支持される。
【0021】
図2及び図4に示すように、ブロック10は、短手側周壁11bの外方に被係合部12が設けられている。被係合部12は、被係止突起12aと、この被係止突起12aを周方向に挟み込むように設けられて、かつ、上下方向に延びる一対の被ガイドレール部12bと、を有する。被係止突起12aは、フレーム20の係止突起22aと係止関係にあり、被ガイドレール部12bは、フレーム20のガイドレール部22bが上下方向に摺動可能なように支持する。
【0022】
図4(b)に示すように、被ガイドレール部12bは、上方端部が当接面17となっている。当接面17は、ガイドレール部22bに設けられた規制部27と当接する。
【0023】
次いで、フレーム20について説明する。フレーム20は、図2に示すように、上下方向に延びる略矩形筒状の周壁21を有する。周壁21は、図1及び図2に示すように、内方にブロック10を組み付けることができるように(即ち、ブロック10を取り囲み可能なように)形成され、周方向の長手側に延びる長手側周壁21aと、周方向の短手側に延びる短手側周壁21bと、からなる。
【0024】
図2及び図4に示すように、フレーム20は、短手側周壁21bの外方に係合部22が設けられている。係合部22は、係止突起22aと、この係止突起22aを周方向に挟み込むように設けられて、かつ、上下方向に延びる一対のガイドレール部22bと、を有する。係止突起22aは、被係止突起12aと係止関係にあり、ガイドレール部22bは、被ガイドレール部12bに上下方向に摺動可能なように支持される。
【0025】
ガイドレール部22bは、上方に規制部27が設けられている。この規制部27は、組付完了段階にて当接面17と当接する。規制部27に当接面17が当接することで、ブロック10がフレーム20に組み付けられるとき、ブロック10のフレーム20に対する上方への過度な摺動が抑制される。
【0026】
別の言い方をすると、樹脂構造体1は、当接面17が規制部27と当接することで、ブロック10とフレーム20とが上下方向に位置合わせされる。つまり、樹脂構造体1では、当接面17と規制部27とが当接された状態にて、底壁13が支持突起26に支持される。
【0027】
図3及び図4に示すように、フレーム20は、長手側周壁21aの内方に支持部23が設けられている。支持部23は、アーム状に形成されて、弾性変形可能な一対の弾性片25と、一対の弾性片25を連結するとともに内方に向かって短く突出する支持突起26と、を有する。
【0028】
一対の弾性片25は、周方向に離間して、長手側周壁21aから内方に向かって短く突出する基部25aと、この基部25aの自由端から下方へ延びる垂下部25bと、からなる。即ち、弾性片25は、略L字状に形成されている。また、長手側周壁21aと垂下部25bとの間には、撓み許容空間Sが画成される。この撓み許容空間Sは、後述するフレーム20とブロック10との組付途中段階にて、撓むことになる弾性片25の撓み幅である。
【0029】
垂下部25bは、当接面17と規制部27とが当接したときに支持突起が底壁13を支持できるような長さに設計される。支持突起26は、一対の垂下部25bの下方側の端部を連結するように形成される。
【0030】
上述したように構成されることで、支持部23は一方が開口した略U字状に形成される(図3参照)。支持部23は、ブロック10に電子部品が収容される方向と同一方向(即ち、図1図3における上方)に開口するように形成される。
【0031】
本実施形態では、電子部品はブロック10に上方から収容されるため、支持部23は上方が開口するように形成されている。これにより、ブロック10とフレーム20との組付途中段階において、支持部23を上方から見たとき、支持突起26が視認できる(即ち、開口を妨げるものがない)。
【0032】
次いで、ブロック10とフレーム20との組み付け構造について説明する。図2に示すように、ブロック10はフレーム20に矢印Y1の向きに挿入される。具体的には、ブロック10は、フレーム20の下方からフレーム20の内方(即ち、周壁11に囲まれた空間)に挿入されて、フレーム20の内方を上方に向かって挿入される。
【0033】
そして、ブロック10がフレーム20の内方を上方に向かって所定の距離だけ挿入されると、係合部22と被係合部12とが係合する。これにより、ブロック10とフレーム20とが組み付けられる。
【0034】
より具体的には、ブロック10がフレーム20の内方に挿入される当初に、被ガイドレール部12bにガイドレール部22bが嵌め合わされる。これにより、ガイドレール部22bは、被ガイドレール部12bに上下方向の移動が案内される(即ち、上方向に摺動可能に支持される。)。
【0035】
ガイドレール部22bが被ガイドレール部12bに上下方向に摺動可能に支持された状態で、ブロック10を上方に向けて挿入を続けると、被係止突起12aが下方から係止突起22aと接触する。そして、ブロック10を更に上方に向けて挿入すると、被係止突起12aは、係止突起22aに押されてブロック10側に撓む。
【0036】
このように被係止突起12aが撓んでいる状態にて、ブロック10を更に上方に向けて挿入すると、被係止突起12aは、係止突起22aを乗り上げるように擦り抜ける。そして、ブロック10の挿入を更に続けると、被係止突起12aは係止突起22aを乗り越え、これにより被係止突起12aは撓みから復元し、係止突起22aの上方に位置する。
【0037】
このようにして、被係止突起12aが係止突起22aの上方に位置するとき(図4参照)、係合部22と被係合部12との係合完了である。つまり、この状態では、係合部22と被係合部12は係合関係にある。これにより、ブロック10とフレーム20とが組み付けられることになる。
【0038】
なお、ブロック10は、作業性をより向上させるため、ガイド部(不図示)を設けてもよい。ガイド部は、周壁11の外方であり、且つ、被係合部12及び支持部23とは異なる箇所に設けることができる。このように構成する場合、フレーム20は、周壁21の内方であり、且つ、ガイド部と対応する箇所に、ガイド部に対応するガイド溝(不図示)が設けられる。このガイド溝は、上述した被ガイドレール部12bのように構成されてもよい。
【0039】
次いで、ブロック10とフレーム20との支持構造について説明する。図5は、ブロック10とフレーム20とが組み付けられた組付完了段階を示す。図6は、ブロック10とフレーム20との組み付け途中である組付途中段階を示す。
【0040】
図5に示すように、組付完了段階では、弾性片25の垂下部25bは、ブロック10の長手側周壁11aと略平行である。また、この状態では、支持突起26は、底壁13と当接しており、支持部23によって底壁13(即ち、ブロック10)を支えている。つまり、これにより、ブロック10は下方への変位が抑制される。
【0041】
組付途中段階における支持構造について説明する。ブロック10がフレーム20に所定の距離だけ挿入されると、支持突起26はブロック10の長手側周壁11aと当接する。そして、ブロック10が更に挿入されると、図6に示すように、支持突起26は長手側周壁11aに押されて矢印Y2の向き(即ち、長手側周壁21a側)に撓む。
【0042】
具体的には、弾性片25は、長手側周壁11aに押されることで基部25aと垂下部25bとの連続する箇所(即ち、図6における基部25aの左方側端部)を軸にして、垂下部25bが、撓み許容空間Sに逃げ込むように撓む。なお、このとき、支持突起26は、上方から視認できる。
【0043】
このように、弾性片25が撓んでいる状態にて、ブロック10の挿入を更に続けると、ブロック10の底壁13が支持突起26を乗り越えて、底壁13が支持突起26の上方に位置することになる。なお、このとき、支持突起26は、上方から視認できない。
【0044】
つまり、底壁13は、支持突起26の上方から支持突起26と当接する。これにより、支持突起26が底壁13と当接して、支持部23が底壁13を支える。よって、フレーム20に対するブロック10の下方への変位が抑制される。
【0045】
<作用・効果>
本実施形態に係る樹脂構造体1によれば、ブロック10とフレーム20とが組み付けられた組付完了段階では、ブロック10における電子部品が搭載される所定方向の一方側とは反対の他方側に設けられている底壁13が、支持部23によって支持される。具体的には、支持部23は、支持突起26が底壁13と当接することで、底壁13(即ち、ブロック10)を支えている。このように、底壁13が他方側に設けられていることで、組付完了段階において、所定方向の一方側からブロック10に電子部品が収容されたとしても、他方側に位置する底壁13が支持突起26によって支えられる。例えば、樹脂構造体1には、ブロック10に電子部品を収容するときに、電子部品の荷重、或いは、電子部品を収容するときの作業者等の荷重が生じるが、支持部23(支持突起26)によって抑制できる。つまり、上述した荷重によって生じ得るブロック10とフレーム20との変位は、係合箇所(即ち、係合部22及び被係合部12)のみならず支持部23によっても抑制される。よって、本実施形態に係る樹脂構造体1は、ブロック10とフレーム20との間の相対的な変位を抑制できる。
【0046】
更に、組付完了段階にて、弾性片25が撓みから復元することで支持突起26が底壁13と当接して支持部23が底壁13を支えるように構成されている。これにより、上述したように電子部品を搭載するときに掛かる荷重によって生じ得るブロック10とフレーム20との相対的な変位を抑制できる。更に、組付途中段階では、一方側から支持突起26が視認できるが、組付完了段階では、支持突起26が視認不可となる。つまり、支持突起26を視認することで、ブロック10とフレーム20との組み付け状態(即ち、組付途中段階、又は、組付完了段階)を確認できる。更に、支持部23は、ブロック10、及び、フレーム20の製造ばらつき(製造上、不可避的に生じ得る寸法公差)を弾性片25で吸収して、より確実なブロック10の支持を実現できる。
【0047】
よって、本実施形態に係る樹脂構造体1は、ブロック10とフレーム20との間の相対的な変位が抑制できるとともに、樹脂構造体1の組み付け状態が容易に確認できる。
【0048】
更に別の効果として、組付途中段階で弾性片25がブロック10に押されて撓み変形し、組付完了段階で弾性片25が撓みから復元するように構成されていることで、ブロック10とフレーム20との組み付け作業が容易に行える。つまり、本実施形態に係る樹脂構造体1は、作業性にも優れている。
【0049】
<他の形態>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0050】
上記実施形態では、係合部22は、係止突起22aとガイドレール部22bから構成されているが、係止突起22aのみでもよい。また、被係合部12も同様に、被係止突起12aと被ガイドレール部12bとから構成されなくとも、係合部22と被係合部12とが係合関係にあればよい
【0051】
上記実施形態では、長手側周壁21aに支持部23が設けられ、短手側周壁21bに係合部22が設けられているが、逆でもよい。つまり、長手側周壁21aに係合部22が設けられ、短手側周壁21bに支持部23が設けられるように構成されていてもよい。このとき、被係合部12は長手側周壁11aに設けられる。
【0052】
ここで、上述した本発明に係る樹脂構造体の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[2]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
所定方向の一方側から電子部品が搭載されることになる第1樹脂体(ブロック10)と、前記第1樹脂体と組み付けられる第2樹脂体(フレーム20)と、を備えた樹脂構造体(1)であって、
前記第1樹脂体(ブロック10)は、
前記第2樹脂体と係合される被係合部(12)と、
該第1樹脂体の前記所定方向の他方側に位置して、前記第2樹脂体に支持される底壁(13)と、を有し、
前記第2樹脂体(フレーム20)は、
前記被係合部と係合する係合部(22)と、
該第2樹脂体の内壁に設けられる支持部(23)と、を有し、
前記支持部(23)は、
弾性変形可能な弾性片(25)と、前記弾性片に設けられて前記底壁を支える支持突起(26)と、を有し、
該樹脂構造体(1)は、
前記第1樹脂体(ブロック10)と前記第2樹脂体(フレーム20)とが組み付けられた組付完了段階(図5)にて、前記支持突起(26)が前記底壁(13)と当接することで、前記支持部(23)が前記底壁(13)を支えている、
樹脂構造体(1)。
[2]
上記[1]に記載の樹脂構造体(1)において、
前記第1樹脂体(ブロック10)と前記第2樹脂体(フレーム20)とが組み付けられる途中段階(図6)で前記弾性片(25)が前記第1樹脂体(ブロック10)に押されて撓み変形し、前記組付完了段階(図5)で前記弾性片(25)が撓みから復元して前記支持突起(26)が前記底壁(13)と当接することで、前記支持部(23)が前記底壁(13)を支える、ように構成され、
前記途中段階(図6)では、前記一方側から前記支持突起(26)が視認でき、前記組付完了段階(図5)では、前記一方側から前記支持突起(26)を視認できない、ように構成される、
樹脂構造体(1)。
【符号の説明】
【0053】
1 樹脂構造体
10 ブロック
12 被係合部
12a 被係止突起
12b 被ガイドレール部
13 底壁
20 フレーム
22 係合部
22a 係止突起
22b ガイドレール部
23 支持部
25 弾性片
25a 基部
25b 垂下部
26 支持突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6