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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】自己出力型放射線検出器
(51)【国際特許分類】
   G01T 3/00 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
G01T3/00 F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020173426
(22)【出願日】2020-10-14
(65)【公開番号】P2022064670
(43)【公開日】2022-04-26
【審査請求日】2023-02-20
(73)【特許権者】
【識別番号】507250427
【氏名又は名称】日立GEニュークリア・エナジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】岡田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】伏見 篤
(72)【発明者】
【氏名】村上 洋平
【審査官】後藤 慎平
(56)【参考文献】
【文献】実公昭43-014716(JP,Y1)
【文献】特開昭53-112787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 1/167-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己出力型の放射線検出器であって、
金属製のエミッタと、
前記エミッタの外側に配置されたコレクタと、
前記エミッタと前記コレクタとを絶縁する絶縁材と、を備え、
前記自己出力型放射線検出器の長手方向の中心軸から径方向外側に直線を引いたときに、前記エミッタが前記直線と2回以上交差し、前記コレクタが前記直線と1回交差する
ことを特徴とする自己出力型放射線検出器。
【請求項2】
請求項1に記載の自己出力型放射線検出器において、
前記絶縁材は、前記エミッタと前記エミッタとの間で前記エミッタより厚く配置されている
ことを特徴とする自己出力型放射線検出器。
【請求項3】
請求項1に記載の自己出力型放射線検出器において、
前記エミッタと前記絶縁材とが、渦巻状に配置されている
ことを特徴とする自己出力型放射線検出器。
【請求項4】
請求項3に記載の自己出力型放射線検出器において、
前記エミッタおよび前記絶縁材とが一体の板として整形され、前記板が巻かれた事によって渦巻状を構築している
ことを特徴とする自己出力型放射線検出器。
【請求項5】
請求項1に記載の自己出力型放射線検出器において、
前記エミッタは、中性子、あるいはガンマ線検出用であり、
中性子検出用の前記エミッタ、あるいはガンマ線検出用の前記エミッタが、前記直線と2回以上交差する
ことを特徴とする自己出力型放射線検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線量率を監視する自己出力型放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
広い測定範囲を有する改善された放射線検出装置の一例として、特許文献1には、間隔を置いた第1のコレクタエレメントと第2のコレクタエレメントと、そしてこの第1、第2のコレクタエレメント間に設けられたエミッタエレメントと、上記のコレクタエレメントとエミッタエレメントに接続されて投射放射線の測定値を与える電流測定装置とより成り、上記のコレクタエレメントはエミッタエレメントの材料と異なる仕事関数と原子番号をもつ材料で構成され、上記の材料の異なる仕事関数が上記のコレクタエレメントとエミッタエレメント間に接触電位差を発生して低放射線レベルで電離電流を生じ、上記のコレクタエレメントとエミッタエレメントの原子番号の相異によって、より高い原子番号の材料から、より低い原子番号の材料よりも高いエネルギー電子を放出させ、高放射線レベルで上記電離電流より大なる自己出力電流を生じるようにした該放射線の検出装置において、上記のコレクタエレメントとエミッタエレメントが低再結合係数をもつ気体を含みある値を定める間隔係数をもち、その間隔関係は電離電流が低放射線フイールドで自己出力電流をこえるのに充分な大きさである広範囲放射線検出装置が記載されている。
【0003】
また、自己出力型放射線検出器の一例として、特許文献2には、中心部の導電性エミッタと、このエミッタの周囲に配設した絶縁手段と、この絶縁手段の周囲に配設したほぼ管状の導電性コレクタ外装とを備え、エミッタは管状部材であってその内部に絶縁手段を配設したガンマ線束感応性自己出力型放射線検出器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公昭61-036630号公報
【文献】特開昭55-499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
自己出力型放射線検出器は、電圧の印加を必要とせず、検出器を構成する物質中の電子数の変化に応じて流れる電流を計測することによって放射線量を計測する検出器である。
【0006】
自己出力型放射線検出器では、計測対象の放射線毎に自己出力型ガンマ線検出器(SPGD:Self powered gamma ray detector)や、自己出力型中性子検出器(SPND:Self powered neutron ray detector)と呼ばれる。本明細書中では主にSPGDを例に挙げて説明するが、基本的な考え方、構造はSPNDも同様である。
【0007】
SPGDでは、ガンマ線の照射によりエミッタと呼ばれる金属中の電子がはじき出される事に起因して電流が流れる。この電子の弾き出しによってエミッタの電子が減少し、これを補うためにエミッタに接続された導線を介して電子がエミッタに供給される。この導線中の電子の移動に伴い電流が流れる。
【0008】
SPGDは電離箱などで見られる電子の増幅機構が不要なことから微小な電流を計測することになり、適用は高線量率環境のみに限られていた。
【0009】
このような問題に対し、比較的低い線量率環境へ適用するSPGDの構造としては、上述した特許文献1がある。特許文献1には、高原子番号のエミッタと低原子番号のコレクタの間に空隙部分を有することで低線量率環境において空隙部分に電離を生じさせ、空隙部分で発生したイオン対が両電極間の接触電位差によって収集されるために電流が得られるSPGDが開示されている。
【0010】
SPGDを幅広い線量率環境に適用することが出来れば、電圧印可が不要なことや付属装置が少ないことなどから、線量率監視装置としての応用範囲が広がる。こここ、SPGDを低線量率へ適用する場合に必要となるのは高感度化である。
【0011】
SPGDの自己出力による電流の発生原理は、エミッタでの電子の授受による。エミッタから電子が放出された場合には正電流、エミッタに電子が吸収された場合は負電流が流れる。このため感度を向上させるためには、エミッタから放出される電子数を増やすか、エミッタで吸収する電子数を減らす必要がある。
【0012】
ここで、ガンマ線がエミッタ中の原子と相互作用を起こし、弾き出された電子はその飛程の短さからエミッタ中で吸収されることが多い。このため、電流値に寄与しないことになる。すなわち、ガンマ線とエミッタが相互作用したにも関わらず電流が発生しないイベントが多数存在していた。
【0013】
この電流値に寄与しない電子のエミッタ中での自己吸収割合を低減させる方法として、上述した特許文献2のようにエミッタを円筒状とする構造がある。
【0014】
しかしながら、特許文献2に記載されたようにエミッタを円筒状とした場合、ガンマ線がエミッタを通過する距離も短くなるため、相互作用を起こす確率が低下し、エミッタで発生する電子数の減少と、負電流の要因となる絶縁体での電子発生数の増加が起こる可能性があり、効果を得るには慎重な設計が必要であり、更なる改善の余地があった。
【0015】
本発明は、従来に比べて感度が高く、適用可能範囲が広い自己出力型放射線検出器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、自己出力型の放射線検出器であって、金属製のエミッタと、前記エミッタの外側に配置されたコレクタと、前記エミッタと前記コレクタとを絶縁する絶縁材と、を備え、前記自己出力型放射線検出器の長手方向の中心軸から径方向外側に直線を引いたときに、前記エミッタが前記直線と2回以上交差し、前記コレクタが前記直線と1回交差することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、従来に比べて感度が高く、適用可能範囲が広い自己出力型放射線検出器を提供でき、適用可能な場面を低線量率側に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施例1の自己出力型ガンマ線検出器の基本概念構成を示す側面の断面図である。
図2】実施例1の自己出力型ガンマ線検出器の基本概念構成を示す断面図であり、図1とは90度異なる方向から見た側面図である。
図3】本発明の実施例2の自己出力型ガンマ線検出器の基本概念構成を示す側面の断面図である。
図4】実施例2の自己出力型ガンマ線検出器の基本概念構成を示す断面図であり、図3とは90度異なる方向から見た側面図である。
図5】本発明の実施例3の自己出力型ガンマ線検出器の製作過程の一部を示した基本概念構成を示す側面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の自己出力型放射線検出器の実施例を、図面を用いて説明する。なお、本明細書で用いる図面において、同一のまたは対応する構成要素には同一、または類似の符号を付け、これらの構成要素については繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0020】
<実施例1>
本発明の自己出力型放射線検出器の実施例1について図1および図2を用いて説明する。図1および図2は、実施例1の自己出力型ガンマ線検出器(SPGD)の基本概念を示す図である。
【0021】
図1および図2に示すように、自己出力型の放射線検出器1は、検出器内部に鉛(Pb)製のエミッタ11、接続導線部14を除いてエミッタ11を覆うAl製の絶縁材12、絶縁材12の外側にステンレス製のコレクタ13、接続導線部14、芯線15、同軸ケーブル16、ハウジング17、計測装置18が存在している。
【0022】
このうち、エミッタ11は少なくとも2層以上の複層構造により中性子、あるいはガンマ線のいずれかの放射線を専用で検出するものであり(本実施例ではガンマ線用とする)、接続導線部14と電気的に接続されている。接続導線部14は、同軸ケーブル16の芯線15と電気的に接続されている。
【0023】
絶縁材12は、エミッタ11とコレクタ13とを絶縁する絶縁材料である。この絶縁材12は、エミッタ11とエミッタ11と間にも配置されている。
【0024】
コレクタ13は、絶縁材12を介してエミッタ11の外側に配置されており、金属で構成されたハウジング17と電気的に接続されている。ハウジング17と同軸ケーブル16の外部導線とも電気的に接続される。
【0025】
自己出力型放射線検出器1では、ガンマ線が照射されると、エミッタ11から電子が弾き出され、絶縁材12あるいはコレクタ13で吸収される。この時、エミッタ11から電子が減少するため、それを補うように芯線15の方のより先にある計測装置18から電子が移動し、電流が流れる。
【0026】
また、ガンマ線が照射されてコレクタ13、あるいは絶縁材12から放出された電子がエミッタ11で吸収された場合は電荷が増えるため、芯線15に逆方向の電流が流れる。
【0027】
計測装置18は、流れる電流値を計測し、コレクタ13等が配置されている空間でのガンマ線強度や中性子強度を演算する。
【0028】
ここで、高エネルギの電子が発生するような環境でない限り、電子の飛程は一般に短いため、多くの場合、発生した電子はそれぞれコレクタ13中、絶縁材12中、あるいはエミッタ11中で吸収されてしまい、電荷が変化せずに電流は流れないことになってしまう。
【0029】
そこで、本発明では、感度を上げるために、エミッタ11で発生した電子がエミッタ11の外に出るようにするために、エミッタ11の1層あたりの厚さを0.2mm以下と薄くしている。
【0030】
ただし、このエミッタ11の1層あたりの厚さは、想定されるガンマ線のエネルギによって最適な値が存在するため、必ずしも0.2mmが最適というわけではなく、あくまでも例示に過ぎず、入射するガンマ線のエネルギーとエミッタ11を構成する材料との相互作用の確率に応じた厚さとすることが望まれる。
【0031】
一方で、ガンマ線は透過力があるため、0.2mm以下のエミッタ11との相互作用確率は高くはなく、電子がエミッタ11で自己吸収される確率を下げる薄い構造とする事は、ガンマ線によって電子が発生する確率も低下させる。
【0032】
そこで、本実施例の自己出力型放射線検出器1では、薄いエミッタ11をガンマ線がSPGDを通過する間に複数回横切るように、自己出力型放射線検出器1の長手方向の中心軸から径方向外側に直線Lを引いたときに、エミッタ11が直線Lと2回以上交差するように多層のエミッタ11を設けている。
【0033】
ここで、本発明における「検出器の中心軸から径方向に伸ばす直線に2回」以上交差するとは、図1に示すような中心にもエミッタ11が配置されている形態であれば、出発点となる自己出力型放射線検出器1の中心軸部分に設けられているエミッタ11も回数に含める。
【0034】
これは自己出力型放射線検出器1を中性子検出用とした場合も同じであり、中性子検出用とした場合は、中性子検出用のエミッタを直線Lと2回以上交差するように配置する。なお、中性子検出用のエミッタの好適な厚さについてもガンマ線検出用の場合と全く同じで、1層あたりのエミッタの好適な厚さは入射する中性子のエネルギーに依存するため、上限や下限の具体的数値は特に限定されない。
【0035】
絶縁材12は、構造的な制約にも依存するが、エミッタ11とエミッタ11との間でエミッタ11よりも厚く配置する。最外周のエミッタ11とコレクタ13との間の絶縁材12の厚さは特に限定はないが、エミッタ11とエミッタ11との間と同様に、エミッタ11よりも厚く配置することができる。なお、最外周のエミッタ11とコレクタ13とは電気的に接続されていなければよく、この領域に関しては絶縁材12は必須ではない。
【0036】
ここで、絶縁材12の厚さは、1層あたりの厚さはエミッタ11で放出される電子のエネルギー、すなわち入射するガンマ線のエネルギーに依存するため、上限や下限の具体的な数値は特に限定されず、厚すぎるとエミッタ11以上に絶縁材12でガンマ線が相互作用を起こして逆向きの電流を流す要因となる絶縁材12由来の電子の発生数を増加させることから、適度な厚さとすることが望ましい。
【0037】
なお、絶縁材12の層の厚さのために電子は絶縁材12中で吸収されるため、絶縁材12とガンマ線との相互作用確率の増加割合に比べて、電流を抑制する効果は小さい。
【0038】
上述したようにエミッタ11は例えばPb、絶縁材12はAl、コレクタ13はステンレスであり、材質としてもエミッタ11がガンマ線と相互作用を起こす確率が高いものとする。
【0039】
ここで、自己出力型放射線検出器1自体の厚さは、入射する放射線のエネルギー、および設置スペースに制約されるが、エミッタ11の積層数は多ければ多いほどよく、厚ければ厚いほうが良い。
【0040】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0041】
上述した本発明の実施例1の自己出力型の放射線検出器1は、金属製のエミッタ11と、エミッタ11の外側に配置されたコレクタ13と、エミッタ11とコレクタ13とを絶縁する絶縁材12と、を備え、自己出力型放射線検出器1の長手方向の中心軸から径方向外側に直線Lを引いたときに、エミッタ11が直線Lと2回以上交差する。
【0042】
このような構造とすることで、ガンマ線や中性子との相互作用確率に影響を与えるエミッタ11の体積の減少を抑制しつつ、一方でエミッタ11からの電子の放出に影響を与えるエミッタ11の厚さを薄くすることができるため、エミッタ11での電子の自己吸収割合を低減させるとともにガンマ線や中性子とエミッタ11の相互作用確率を向上させることができ、高感度な自己出力型のガンマ線や中性子の検出器を提供することができる。
【0043】
また、絶縁材12は、エミッタ11とエミッタ11との間でエミッタ11より厚く配置されているため、エミッタ11で発生した電子が異なる層のエミッタ11で吸収される事を低減することができ、検出感度の向上を更に図ることができる。
【0044】
<実施例2>
本発明の実施例2の自己出力型放射線検出器について図3および図4を用いて説明する。図3および図4は、実施例2の自己出力型ガンマ線検出器(SPGD)の基本概念を示す図である。
【0045】
図3および図4に示す本実施例の自己出力型放射線検出器1Aは、エミッタ11Aと絶縁材12とが、渦巻状に配置されている。
【0046】
上述した実施例1に示した自己出力型放射線検出器1では、薄いエミッタ11を多層とするが、接続導線部14の設置を行うためにエミッタ11の薄さに制約が発生する可能性がある。
【0047】
このような問題を回避するための構造として、本実施例では、エミッタ11Aを図3および図4に示すように渦巻状とする。
【0048】
接続導線部14Aは、エミッタ11Aと少なくとも一か所が接続されていれば良いため、本実施例の自己出力型放射線検出器1Aでは、実施例1の自己出力型放射線検出器1に比べて複雑な接続導線部14Aを構築する必要はなく、エミッタ11Aを薄くする事に対する制限が実施例1に比べて緩和されたものとなる。
【0049】
本実施例においても、絶縁材12は渦巻状のエミッタ11Aの間を埋めるように配置し、コレクタ13は絶縁材12を覆うように外側に配置する。また、コレクタ13とエミッタ11Aとの間にも絶縁材12を配置する。
【0050】
その他の構成・動作は前述した実施例1の自己出力型放射線検出器1と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0051】
本発明の実施例2の自己出力型放射線検出器1Aにおいても、前述した実施例1の自己出力型放射線検出器1とほぼ同様な効果が得られる。
【0052】
また、エミッタ11と絶縁材12とが、渦巻状に配置されていることにより、エミッタ11Aと接続導線部14Aとの接続が実施例1の自己出力型放射線検出器1に比べて容易な構造とできるため、エミッタ11Aをより薄く事ができ、例えば検出器のサイズが同じであってもより多層化を図り、入射する放射線との相互作用の確率をより高めることができることになる。
【0053】
<実施例3>
本発明の実施例3の自己出力型放射線検出器について図5を用いて説明する。図5は実施例3の自己出力型ガンマ線検出器の製作過程の一部を示した基本概念構成を示す側面の断面図である。
【0054】
図5に示す本実施例の自己出力型放射線検出器1Bでは、エミッタ11Bおよび絶縁材12Bとが一体のエミッタ絶縁板21Bとして整形され、エミッタ絶縁板21Bが巻かれた事によって渦巻状の自己出力型放射線検出器1Bを構築している。
【0055】
渦巻状のエミッタ11Bの間に絶縁材12Bを配置する方法の例としては、エミッタ絶縁板21Bを巻いて、コレクタ13とコレクタ13内周側を覆う絶縁材12Bで構築された円筒の内部に設置する方法が挙げられる。
【0056】
接続導線部14Bは巻いたエミッタ11Bと少なくとも一か所で電気的に接続し、接続導線部14Bは同軸ケーブル16の芯線15と電気的に接続する。
【0057】
その他の構成・動作は前述した実施例1の自己出力型放射線検出器と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0058】
本発明の実施例3の自己出力型放射線検出器1Bにおいても、前述した実施例1の自己出力型放射線検出器1とほぼ同様な効果が得られる。
【0059】
また、エミッタ11Bおよび絶縁材12Bとが一体のエミッタ絶縁板21Bとして整形され、エミッタ絶縁板21Bが巻かれた事によって渦巻状を構築していることにより、薄いエミッタ11Bを多層構造とした検出器を非常に容易に得ることができる。
【0060】
<その他>
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0061】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【0062】
例えば、実施例1乃至実施例3では、自己出力型放射線検出器1,1A,1Bは、その中心軸に対して垂直な断面の形状が円の形態について説明したが、断面は円以外にも三角形や四角形などの多角形の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0063】
1,1A,1B…自己出力型放射線検出器
11,11A,11B:エミッタ
12,12B:絶縁材
13:コレクタ
14,14A,14B:接続導線部
15:芯線
16:同軸ケーブル
17:ハウジング
18:計測装置
21B:エミッタ絶縁板
図1
図2
図3
図4
図5