(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】抗微生物性粉末組成物
(51)【国際特許分類】
A01N 25/12 20060101AFI20240130BHJP
A23L 3/3472 20060101ALI20240130BHJP
A23L 3/3508 20060101ALI20240130BHJP
A23L 2/44 20060101ALI20240130BHJP
A01N 25/00 20060101ALI20240130BHJP
A01N 37/02 20060101ALI20240130BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
A01N25/12
A23L3/3472
A23L3/3508
A23L2/44
A01N25/00 101
A01N37/02
A01P1/00
(21)【出願番号】P 2020520489
(86)(22)【出願日】2018-10-10
(86)【国際出願番号】 US2018055153
(87)【国際公開番号】W WO2019075016
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-10-01
(32)【優先日】2017-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515228003
【氏名又は名称】ケリー ルクセンブルク エス.アー.エール.エル.
【氏名又は名称原語表記】Kerry Luxembourg S.a.r.l.
【住所又は居所原語表記】17 rue Antoine Jans Luxembourg L-1820 GRAND DUCHY OF LUXEMBOURG
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】クラット,ジェニファー ジーン
(72)【発明者】
【氏名】クーパー,レネッタ
(72)【発明者】
【氏名】ランドルフ,アンジェラ クリスティーン
(72)【発明者】
【氏名】シーハン,ヴィヴィエン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ルー,インシュアン
(72)【発明者】
【氏名】マエグリ,ジャック ウィリアム
【審査官】小森 潔
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第00838161(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2007/0059423(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0225683(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0107468(US,A1)
【文献】特開平07-147951(JP,A)
【文献】Journal of Food Protection,2015年,Vol. 78, No. 5,p946-953,doi:10.4315/0362-028X.JFP-14-503
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01N
A23L
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗微生物性粉末を安定化させる方法であって、水溶液中で吸湿成分および低分子量の抗微生物性有機酸を組み合わせて液体のスラリー組成物を得るステップおよび前記液体のスラリー組成物を乾燥して抗微生物性粉末を生産するステップを含
み、
前記低分子量の抗微生物性有機酸が緩衝された食酢粉末であり、前記吸湿成分が培養されたセロリジュースである、前記方法。
【請求項2】
抗微生物性粉末を安定化させるための吸湿成分の使用であって、水溶液中で吸湿成分および低分子量の抗微生物性有機酸を組み合わせて液体のスラリー組成物を得ること、および前記液体のスラリー組成物を乾燥することを含
み、
前記低分子量の抗微生物性有機酸が緩衝された食酢粉末であり、前記吸湿成分が培養されたセロリジュースである、前記使用。
【請求項3】
前記吸湿成分および前記低分子量の抗微生物性有機酸が、1:100~100:100w/wの吸湿成分固体対有機酸固体の重量比で組み合わせられる、請求項1に記載の方法または請求項2に記載の使用。
【請求項4】
前記抗微生物性粉末が91%未満の担体を含む、請求項1に記載の方法または請求項2に記載の使用。
【請求項5】
前記方法または使用が、前記液体のスラリー組成物を乾燥するステップの前に、前記液体のスラリー組成物のpHを4.0~10.0の間へ調整するステップ、および前記液体のスラリー組成物を40°F(4.4℃)~180°F(82.2℃)の間の温度で加熱するステップを含み、前記加熱ステップの間に、前記液体のスラリー組成物が5%~70%の範囲中の有機酸固体の溶解パーセントを有するまで、前記温度が保たれる、請求項1に記載の方法または請求項2に記載の使用。
【請求項6】
前記低分子量の抗微生物性有機酸が中和された食酢
粉末である、請求項1に記載の方法または請求項2に記載の使用。
【請求項7】
前記中和された食酢
粉末が、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウムおよびその組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法または使用
。
【請求項8】
前記
緩衝された食酢粉末が酢酸ナトリウムで
ある、請求項1に記載の方法または請求項2に記載の使用。
【請求項9】
容器中で前記抗微生物性粉末をパッケージングするステップをさらに含む、請求項1に記載の方法または請求項2に記載の使用。
【請求項10】
前記低分子量の抗微生物性有機酸が、1:5~5:1容w/wの無水形態対水和物形態の比で、無水形態および水和物形態の両方の前記抗微生物性粉末で存在する、請求項1に記載の方法によって得られた
、安定化された抗微生物性粉末。
【請求項11】
前記
緩衝された食酢粉末が酢酸ナトリウムであり、1:5~5:1容w/wの無水形態対三水和物形態の比で、無水形態および三水和物形態の両方のガラス質結晶相中の前記抗微生物性粉末で存在する、請求項1に記載の方法によって得られた
、安定化された抗微生物性粉末。
【請求項12】
前記抗微生物性粉末が91%未満の担体を含む、請求項1
0に記載の抗微生物性粉末。
【請求項13】
前記抗微生物性粉末が、20℃の温度および70%の平衡相対湿度で少なくとも6か月間保存された場合に、多くとも5%の水分含有量を有する、請求項1
2に記載の抗微生物性粉末。
【請求項14】
低分子量の抗微生物性有機酸および吸湿成分を含み、前記低分子量の抗微生物性有機酸が、1:5~5:1容w/wの間の無水形態対水和物形態の比で、無水形態および水和物形態の両方で存在
し、
前記低分子量の抗微生物性有機酸が緩衝された食酢粉末であり、前記吸湿成分が培養されたセロリジュースである、抗微生物性粉末。
【請求項15】
前記低分子量の抗微生物性有機酸および前記吸湿成分が、1:100~100:100容w/wの間の吸湿成分固体対有機酸固体の比で存在する、請求項1
4に記載の抗微生物性粉末。
【請求項16】
前記抗微生物性粉末が91%未満の担体を含む、請求項1
4に記載の抗微生物性粉末。
【請求項17】
前記抗微生物性粉末が、20℃の温度および70%の平衡相対湿度で少なくとも6か月間保存された場合に、多くとも5%の水分含有量を有する、請求項1
6に記載の抗微生物性粉末。
【請求項18】
前記低分子量の抗微生物性有機酸が、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウムおよびその組み合わせからなる群から選択される中和された食酢である、請求項1
4に記載の抗微生物性粉末。
【請求項19】
前記
緩衝された食酢粉末が酢酸ナトリウムであり、1:5~5:1容w/wの間の無水形態対三水和物形態の比で、無水形態および三水和物形態の両方のガラス質結晶相中の前記抗微生物性粉末で存在する、請求項1
8に記載の抗微生物性粉末
。
【請求項20】
前記中和された食酢が酢酸ナトリウムで
ある、請求項1
8に記載の抗微生物性粉末。
【請求項21】
前記抗微生物性粉末が容器中でパッケージングされ、前記パッケージングされた抗微生物性粉末が91%未満の担体を含む、請求項1
4に記載の抗微生物性粉末。
【請求項22】
1つまたは複数の食用または飲用に適した成分と請求項1
4に記載の抗微生物性粉末を組み合わせるステップを含む、食料品または飲料を生産する方法。
【請求項23】
請求項1
4に記載の抗微生物性粉末と1つまたは複数の食用または飲用に適した成分を接触させることによって調製される、食料品または飲料。
【請求項24】
食用または飲用に適した成分および請求項1
4に記載の抗微生物性粉末を含む食料品または飲料であって、前記抗微生物性粉末が、重量で0.1%~5%の間の量の前記食用または飲用に適した成分を含有する、前記食料品または飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本特許出願は、2017年10月10日に出願された米国仮特許出願第62/570,313号の利益を主張し、その教示および開示の全体はそれを参照することによって本明細書に援用される。
【背景技術】
【0002】
現代の世界では基本的な料理へ戻っており、加工食品中で通常使用される化学保存料および硝酸塩/亜硝酸塩を置換するためにクリーンラベル抗微生物性構成要素を有することが所望される。単純化された貯蔵、長いシェルフライフ、および適用の容易性のために、安定的な乾燥形態でかかる抗微生物物質を有することが追加で所望される。
【0003】
この目的に向けて、噴霧乾燥またはドラム乾燥は、単純で費用効率が高く、したがって好ましい製造の方法である。残念なことに、大部分のかかる抗菌化合物は熱可塑性または吸湿性であるので、それらは粉末形態へと乾燥されるために「担体」を要求する。これらの担体は、それらが食品産物を無益に複雑にし、ラベル上の見かけを悪くし、最終食品産物へポジティブな目的を供しないという点で、通常所望されない。かかる担体の非限定例としては、マルトデキストリン、コーンシロップ、ガムおよびタンパク質が挙げられる。
【0004】
酢酸ナトリウムへ部分的に中和された食酢が担体無しに噴霧乾燥される場合に、この不安定性および担体の要求性の一例が観察され得る。かかる条件下での乾燥は、中和された食酢が、不安定で吸湿性の無水ガラス相へと乾燥することを引き起こす。このもたらされた粉末は迅速に水分を吸収し、より安定的な酢酸ナトリウム三水和物の結晶構造へ復帰し、食品加工中で使用不可能な粘着性のかたまりを形成する。
【0005】
図8および9はこの不安定性を実証する。
図8は、無水ガラス相から三水和物結晶相への酢酸ナトリウムの変換に起因して大きなかたまりを形成した、中和された食酢粉末(酢酸ナトリウム)のバッグを示す。
図9は、三水和物結晶形態(明るい結晶)(それは互いの粒子(およびこの事例においてスライドグラス)に結合する)へと変わる、より暗い無水酢酸ナトリウム粉末を示す、半偏光(semi-polar light)下の顕微鏡による視野(40×)である。
【0006】
この不安定性の別の例として、担体無しに乾燥した場合に、培養されたセロリジュース固体は、粘着性のフィルムとして噴霧乾燥器の内側をコーティングするだろう。培養されたセロリジュース固体の融点は、噴霧乾燥中で使用される実践的な排気乾燥温度未満である。使用される温度が培養されたセロリジュース固体の融点未満であるので、高真空乾燥は、培養されたセロリジュース固体を乾燥形態へ変換することに使用され得る。しかしながら、高真空乾燥は培養されたセロリジュース固体をガラス相に変換し、それは食酢の無水ガラス相よりもさらにより吸湿性である。この乾燥プロセスの結果のものは非常に吸湿性であり、産物を取り扱うことは難しい。さらに、産物の比較的高い塩濃度およびタンパク質/炭水化物の低い濃度に起因して、担体を添加せずに、この産物を冷凍乾燥することは財政的に実践的でない。
【0007】
図10は、78%の平衡相対湿度で周囲環境20℃の大気への1時間の曝露前後の、真空乾燥したセロリジュースの並列した比較を提供する。示されるように、担体無しに真空乾燥したセロリ産物は急速に水分を吸収し、シロップおよび次いで液体へと変わり、使用不可能になる。
【0008】
かかる液体の抗微生物物質を粉末形態へ変換する追加の方法は、プレーティング塩(Cargill Alberger加工塩またはMorton樹枝状塩等)の上へ液体をプレーティングすることを包含する。しかしながら、かかるプレーティング塩は、粉末を所望のようにする流動特性を損失することなく、5~10%のみの液状物質を保持することができる。したがって、かかる加工は、抗微生物物質の有効用量を得るために完成産物へ極端な量の担体を添加し、産物のナトリウムを所望されずに高くする。
【0009】
あるいは、多孔質シリカ塩は、液体の抗微生物物質を粉末形態へプレーティングするために使用され得る。しかしながら、かかるシリカは、流動性を保ちながら、それらの重量の2倍までを保持することができるが、それらは合成物であり消化できず、天然産物を有するという目的を無効にする。
【0010】
乾燥した中和された食酢(酢酸ナトリウム)の形成のための別の代替案として、米国特許出願第14/418,396号は、粒子をより安定的な三水和物結晶形態へ変換する比で、高剪断ブレンダー中で吸湿性の無水酢酸ナトリウムのガラス質の非晶形態の上へ酢酸を噴霧する多重ステップの方法を開示する。この産物が促進された安定性を有することが意図されるが、もたらされた純粋な三水和物の結晶は58℃の低温で溶融し、したがって制御された環境の(温度の)貯蔵を要求する。加えて、追加の水分が三水和物の結晶を融解するので、この中和された食酢産物は有効なレベルで他の吸湿性構成要素(亜硝酸塩含有の培養されたセロリ濃縮ジュース等)の組み入れを提供することができない。
【0011】
より望ましくは、本発明の目的は、吸湿成分(亜硝酸塩含有の培養されたセロリジュース等)と組み合わせて、および低分子量の安定的な結晶形態で、抗微生物性有機酸産物(中和された食酢等)を安定化することである。
【発明の概要】
【0012】
既知の方法(例えば噴霧乾燥、ドラム乾燥または同等物)によって中和された食酢(酢酸ナトリウム等)の溶液を迅速に乾燥する場合に、もたらされた粉末は、主として酢酸ナトリウムの無水ガラス質の形態を含有する。225℃の入口および90℃の排気のかかる乾燥プロセスのために使用される通常の最小の温度は、最も低い遊離エネルギーおよび吸湿性が安定的である三水和物結晶形態の58℃の融点を超えるものである。これは最初に乾燥粉末を生産するが、無水ガラス質の形態は非常に吸湿性であり、環境湿度を急速に吸収し、室温(20℃)の貯蔵でより安定的な三水和物結晶形態へ転換する。
【0013】
同様に、本明細書において論じられるように、他の吸湿成分(培養されたセロリジュース等)は、これまでに公知の乾燥方法によって担体無しに乾燥可能ではない。
【0014】
従来の抗微生物性粉末およびそれを調製する方法と関連する問題および短所は、本発明によって克服される。これらの構成要素の不安定性についての当該技術分野におけるかかる理解とは反対に、本発明者は、任意の安定化担体の要求性無しに、これらの不安定な低分子量の抗微生物性有機酸(例えば中和された食酢)および吸湿成分で構成された予想外に安定的な抗微生物性粉末組成物を生産した。
【0015】
本発明の抗微生物性粉末組成物は、吸湿成分および低分子量の抗微生物性有機酸(中和された食酢等)を組み合わせて液体のスラリー組成物を形成すること、および次いで液体のスラリー組成物を乾燥して抗微生物性粉末を生産すること、したがって低分子量の抗微生物性有機酸および吸湿成分を共乾燥することによって調製される。
【0016】
本発明者は、2つの非常に予期しない事象がこの実行において起こることを見出した。第一に、低分子量の抗微生物性有機酸(例えば酢酸ナトリウム)のもたらされた結晶構造は、融解無しに吸湿成分を格納するのに十分な表面領域を有していた。第二に、低分子量の抗微生物性有機酸のもたらされた結晶構造は、高温乾燥を可能にするのに十分な無水形態に加えて、促進された保存安定性を提示するのに十分な吸湿性が安定的である水和物形態の両方を含んでいた。
【0017】
ある特定の実施形態において、抗微生物性粉末中の低分子量の抗微生物性有機酸は、約1:5~5:1容w/wの無水形態対水和物形態、好ましくは約1:2容w/wの無水形態対水和物形態の比で、無水形態および水和物形態の両方のガラス質結晶相中に存在する。さらに、本出願の発明者は、抗微生物性粉末が、約20℃の温度および約70%の平衡相対湿度で少なくとも6か月間保存された場合に、多くとも約5%の水分含有量を有することを見出した。
【0018】
したがって、低分子量の抗微生物性有機酸結晶の予想外にもたらされたブレンドは、経済的な乾燥および保存安定性の新規の組み合わせを可能にした。吸湿成分は、より多い水分の微粒子(それは、水を供与して噴霧乾燥流動床の冷却セクション中で三水和物結晶を形成する)をもたらすのに十分なように微粒化粒子の蒸発速度を低減するか、またはあるいは、吸湿成分は、より高い水分をもともと含有する「ガラス相またはゴム相」へ乾かされ、それは、冷却に際して無水の低分子量の抗微生物性有機酸(ガラス質の非晶形態)へ十分な水分を供与して、三水和物結晶形態へ転換させ得るか、のいずれかであると考えられる。どちらにしても、触知可能な量の所望される水和物結晶の形成は、他の場合には乾燥することが困難な吸湿成分(例えば培養されたセロリジュース)の存在を要求する。抗微生物性粉末中で形成された水和物結晶のタイプは低分子量の抗微生物性有機酸に依存し得る。一例として、好ましい実施形態において、本明細書において開示されるプロセスに記載の吸湿成分と組み合わせた酢酸ナトリウムの使用は、三水和物結晶形態を生産する。低分子量の抗微生物性有機酸の他の塩は異なる水和物結晶形態をもたらし得る。例えば、酢酸カリウムは1.5水和物結晶形態を生産することができる。
【0019】
一実施形態において、吸湿成分および低分子量の抗微生物性有機酸は、約1:100~約100:100w/wの吸湿成分固体対有機酸固体の重量比で組み合わせられる。
【0020】
抗微生物性粉末は、担体(マルトデキストリン、コーンシロップ、ガムおよびタンパク質等)の規定量を含み得る。ある特定の実施形態は、約91%未満の担体を含む。他の実施形態は、約50%未満の担体を含む。さらに他の実施形態において、組成物は担体を含まない。
【0021】
ある特定の実施形態において、抗微生物性組成物を調製する方法は、乾燥の前に約4.0~10.0の間の値へ液体のスラリー組成物のpHを調整し、約40°F~約180°Fの間の温度で液体のスラリー組成物を加熱し、液体のスラリー組成物が約5~70%の範囲中の有機酸固体(例えば酢酸塩-酢酸固体)の溶解パーセントを有するまで、温度を保つステップを包含する。
【0022】
低分子量の抗微生物性有機酸としては、中和された食酢、ならびにプロピオン酸、クエン酸、乳酸、ギ酸、グリコール酸およびリンゴ酸の塩が挙げられるがこれらに限定されない。ある特定の実施形態において、抗微生物性組成物中の中和された食酢は、酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウムおよびその混合物であり得る。他の実施形態において、中和された食酢はカリウム塩を含まない。
【0023】
吸湿成分は天然源の様々な組み合わせから選択され得、セロリ、テンサイ、キャベツ、キュウリ、ナス、キノコ、レタス、カボチャ、ズッキーニ、サラダ用ミックス野菜、ニンジン、アーティチョーク、グリーンビーンズ、ライマ豆、ブロッコリ、カリフラワー、コラードの葉、トウモロコシ、マスタード、オクラ、タマネギ、サヤエンドウ、クロメマメ、グリンピース、ジャガイモ、カブ、ラディッシュ、ホウレンソウ、フダンソウ、リンゴ、アプリコット、バナナ、ビルベリー、ブラックベリー、ブラックカラント、ブルーベリー、ココナッツ、カラント、サクランボ、チェリモヤ、クレメンタイン、ホロムイイチゴ、デーツ、ダムソン、ドリアン、エルダーベリー、イチジク、フェイジョア、スグリ、ブドウ、グレープフルーツ、ハックルベリー、ジャックフルーツ、ジャンブル、ナツメ、キーウィフルーツ、キンカン、レモン、ライム、ビワ、ライチ、マンゴー、メロン、カンタロープ、ハネデューメロン、スイカ、ロックメロン、ネクタリン、オレンジ、パッションフルーツ、ピーチ、西洋ナシ、プラム、プラムコット、プルーン、パイナップル、ザクロ、ザボン、マンゴスチン、レーズン、ラズベリー、ランブータン、アカフサスグリ、ウンシュウミカン、イチゴ、タンジェリン、トマトおよびアグリフルーツが挙げられる。1つまたは複数の吸湿成分は培養され得る。
【0024】
抗微生物性粉末組成物の一実施形態において、中和された食酢は酢酸ナトリウムであり、吸湿成分は培養されたセロリジュースである。
【0025】
抗微生物性粉末組成物を調製する方法は、容器中で抗微生物性粉末をパッケージングするステップも包含し得る。パッケージングされた抗微生物性組成物は、塩、流動剤および当技術分野において公知の他の担体を含み得る。
【0026】
抗微生物性粉末組成物は、食料品または飲料を保存するために、1つまたは複数の食用または飲用に適した成分と組み合わせられ得る。ある特定の実施形態において、抗微生物性粉末は、重量で約0.1%~約5%の間の量の食用または飲用に適した成分を含有する。
【0027】
これらおよび本発明の他の利点は、図面を参照して最も良好に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】酢酸ナトリウムの無水ガラス質の非晶性スタンダードの示差走査熱量計(DSC)スキャンである。
【
図2】酢酸ナトリウム三水和物結晶スタンダードのDSCスキャンである。
【
図3】噴霧乾燥した中和された食酢のDSCスキャンである。
【
図4】噴霧乾燥した中和された食酢-11%の培養されたセロリ濃縮ジュースのDSCスキャンである。
【
図5】噴霧乾燥した中和された食酢-26%の培養されたセロリ濃縮ジュースのDSCスキャンである。
【
図6】噴霧乾燥した中和された食酢ならびに共乾燥した中和された食酢および培養されたセロリジュース固体溶液の肉眼的な時間経過の比較である。
【
図7】噴霧乾燥した中和された食酢ならびに共乾燥した中和された食酢および培養されたセロリジュース固体溶液の顕微鏡による時間経過の比較である。
【
図8】無水物から三水和物への酢酸ナトリウム結晶の変換に起因して大きなかたまりを形成した、乾燥した中和された食酢粉末(酢酸ナトリウム)のバッグの写真である。
【
図9】互いの粒子に結合する三水和物結晶形態(明るい結晶)へと変わる、より暗い無水酢酸ナトリウム粉末を示す半偏光下の顕微鏡による視野(40×)である。
【
図10】78%の平衡相対湿度で周囲環境20℃の大気への1時間の曝露前後の、真空乾燥したセロリジュースの並列した比較である。
【
図11】75%の平衡相対湿度下で48時間、真空乾燥した培養されたセロリ産物(左側)、および緩衝された食酢と共に乾燥した24%のセロリ固体ジュース(右側)の並列した比較である。
【
図12】75%の平衡相対湿度下で96時間、真空乾燥した培養されたセロリ産物(右側)、および緩衝された食酢と共に乾燥した24%のセロリ固体ジュース(左側)の並列した比較である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
抗微生物性粉末組成物ならびにそれを生産および使用する方法が本明細書において開示される。
図1の酢酸ナトリウムの無水ガラス質の非晶形態スタンダードのDSCスキャンおよび
図3の噴霧乾燥した中和された食酢(酢酸ナトリウム)のDSCスキャンの比較によって観察することができるように、中和された食酢の溶液の噴霧乾燥は、大部分のすべての酢酸ナトリウムの無水ガラス質の非晶形態をもたらし、測定可能な三水和物結晶はない。
【0030】
図4、5の11%および26%の培養されたセロリ濃縮ジュースと共に噴霧乾燥した中和された食酢のDSCスキャンと、
図2の酢酸ナトリウム三水和物結晶スタンダードのDSCスキャンの比較によって観察することができるように、予想外に、低分子量の抗微生物性有機酸(例えば酢酸ナトリウム)および吸湿成分(例えば培養されたセロリ濃縮ジュース)の溶液を共乾燥することは、水和物結晶形態および無水ガラス質の非晶形態の両方を含む、全く異なる組成物をもたらす。酢酸ナトリウムが低分子量の抗微生物性有機酸である好ましい例において、酢酸ナトリウムは、好ましい三水和物結晶形態が優勢であるが、産物を噴霧ドラム乾燥機(そこで、乾燥チャンバー温度は三水和物結晶の融点の58℃をかなり上回っている)中で乾燥加工が可能なようにする、十分な無水ガラス質の非晶形態と共にある。抗微生物性粉末組成物は、乾燥性のために、全有機酸(例えば酢酸ナトリウム)結晶ベースで少なくとも約20%の無水ガラス質の非晶形態w/w、および保存安定性のために、全有機酸結晶ベースで少なくとも約20%の水和物結晶形態w/wを含有し得る。一実施形態において、抗微生物性粉末中の中和された食酢は、保存安定性のために、全中和された食酢結晶ベースで少なくとも約50%の三水和物結晶形態w/wであり得る。別の実施形態において、抗微生物性粉末中の低分子量の抗微生物性有機酸は、保存安定性のために、全有機酸結晶ベースで約80%の水和物結晶形態w/wであり得る。なおさらなる実施形態において、抗微生物性組成物は、約1:5~5:1容w/wの無水形態対水和物形態、好ましくは約1:2容w/wの無水形態対水和物形態の比で、無水形態および水和物形態の両方のガラス質結晶相中で、低分子量の抗微生物性有機酸を含有し得る。1つの好ましい例において、抗微生物性粉末組成物は、約1:5~5:1容w/wの無水形態対三水和物形態、好ましくは約1:2容w/wの無水形態対三水和物形態の比で、無水形態および三水和物形態の両方のガラス質結晶相中で、酢酸ナトリウムを含有する。
【0031】
共乾燥した複数の構成要素の抗微生物性の発明の利点を実証するために、当技術分野において現在実践されるように、乾燥後にブレンドされた、独立して乾燥した構成要素を備えた同じ組成物へ比較した。
図6は、これらの2つのサンプルを白色紙のシート上で20℃の温度および78%の平衡相対湿度で28時間の期間で放置した結果を示す。
図6中で観察することができるように、真下の紙が湿ってしわが寄ったようになるほど、左側の独立して乾燥した構成要素のブレンドは水を吸収しシロップ様になった。その一方で、右側の本発明の共乾燥した産物は、使用可能な粉末形態で残った。
【0032】
この挙動は、
図7の顕微鏡画像のより接近した視野で観察され得る。左側の時間経過画像は、20℃の温度および78%の平衡相対湿度で180分間独立して乾燥した構成要素のブレンド中の粒子の40×概観図を、同じ条件下で共乾燥した発明の右側で時間経過画像へ比較して、上から下に示す。観察することができるように、左側上の粒子は融解および融合するようになったが、右側の共乾燥した発明の粒子は単一性および流動能を保った。
【0033】
共乾燥した抗微生物性粉末組成物の利点のなおさらなる実証として、
図11および12は培養されたセロリ産物、および中和された食酢(酢酸ナトリウム)と共に乾燥された共乾燥した24%のセロリ固体ジュースを比較する。
【0034】
図11は、22℃で75%の相対湿度下で48時間、真空乾燥した培養されたセロリ産物(左側)vs中和された食酢と共に乾燥した24%のセロリ固体ジュース(右側)を図示する。結果は、真空乾燥した培養されたセロリ産物が、中和された食酢と共に共乾燥した24%のセロリ固体ジュースへ比較して、48時間で極めて吸湿性であることを指摘する。真空乾燥した培養されたセロリ産物の水分に誘導された相移行は、試験された条件下で不良な保存安定性を指摘する。
【0035】
図12は、22℃で75%の相対湿度下で96時間、中和された食酢(酢酸ナトリウム)と共に共乾燥した24%のセロリ固体ジュース(左側)vs真空乾燥した培養されたセロリ産物(右側)を図示する。結果は、貯蔵の終了時に残存する結晶材料によって示されるように、本発明の共乾燥した複数の構成要素の抗微生物性粉末組成物が部分的にのみ液化されたことを指摘する。その一方で、真空乾燥した培養されたセロリ産物は、96時間の試験期間の終了までに完全に注げるようになった。
【0036】
上記から観察することができるように、本発明の共乾燥した複数の構成要素の抗微生物性粉末組成物は、分離して加工した成分の乾燥ブレンドされた組成物に加えて、真空乾燥した培養されたセロリ産物単独を上回る有利なシェルフライフを有する。担体無しの本発明のこの実施形態は、培養されたセロリジュースの担体無しの(真空乾燥した)バージョンへ並はずれた改善を提供する。
【0037】
低分子量の抗微生物性有機酸としては、中和された食酢(酢酸ナトリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カリウムおよび酢酸カルシウム等)に加えて、プロピオン酸、クエン酸、乳酸、ギ酸、グリコール酸、リンゴ酸およびその混合物の塩が挙げられるがこれらに制限されない。
【0038】
中和された食酢は、商業的供給源から購入されるか、または中和剤による食酢組成物の緩衝によって調製され得る。食酢組成物は液体または粉末の形態であり得る。本プロセスにおいて使用され得る食酢の例としては、モルトビネガー、ワインビネガー、シェリービネガー、リンゴ酢、果実酢、米酢およびその組み合わせが挙げられる。
【0039】
中和された食酢は、約4.0~8.0の範囲内の値へ食酢組成物のpHを調整するために食酢組成物へ中和剤の添加をすることを介して調製され得る。好ましい実施形態において、食酢組成物のpHは約4.5~7.0の値へ調整される。より好ましい実施形態において、食酢組成物のpHは約5.0~6.0の値へ調整される。類似する好ましいpH範囲は、本明細書において検討される他の低分子量の抗微生物性有機酸へ同様に適用されるだろう。
【0040】
低分子量の抗微生物性有機酸のpHの調整のための中和剤は、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、(重)炭酸ナトリウム、(重)炭酸カリウム、およびその混合物からなる群から選択される。
【0041】
培養されたセロリジュースに加えて、他の吸湿成分が抗微生物性特性を有するかどうかに関わらず、それらは代用され得る。例えば、かかる吸湿成分としては、培養されたかまたはされない、他の吸湿性の野菜ジュース(ニンジン、キャベツ、トマトまたは同種のもの等);非植物性の吸湿成分(高DEコーンシロップ、デキストロース、アラビノース、アミノ酸、短ペプチド、タンパク質加水分解物、蜂蜜または同種のもの等);および吸湿性のフルーツジュース(オレンジ、ブルーベリー、パイナップルまたは同種のもの等)が挙げられる。
【0042】
ある特定の実施形態において、含水性成分は、根、幹、葉および/または花から単離された、植物または果実の基材の培養されたかまたは培養されない源であり得る。一例として、植物材料は、セロリ、テンサイ、キャベツ、キュウリ、ナス、マッシュルーム、レタス、カボチャ、ズッキーニ、サラダ用ミックス野菜、ニンジン、アーティチョーク、グリーンビーンズ、ライマ豆、ブロッコリ、カリフラワー、コラードの葉、トウモロコシ、マスタード、オクラ、タマネギ、サヤエンドウ、クロメマメ、グリンピース、ジャガイモ、カブ、ラディッシュ、ホウレンソウ、フダンソウおよびその組み合わせから選択され得る。果実基材は、リンゴ、アプリコット、バナナ、ビルベリー、ブラックベリー、ブラックカラント、ブルーベリー、ココナッツ、カラント、チェリー、チェリモヤ、クレメンタイン、ホロムイイチゴ、デーツ、ダムソン、ドリアン、エルダーベリー、イチジク、フェイジョア、スグリ、ブドウ、グレープフルーツ、ハックルベリー、ジャックフルーツ、ジャンブル、ナツメ、キーウィフルーツ、キンカン、レモン、ライム、ビワ、ライチ、マンゴー、メロン、カンタロープ、ハネデューメロン、スイカ、ロックメロン、ネクタリン、オレンジ、パッションフルーツ、ピーチ、西洋ナシ、プラム、プラムコット、プルーン、パイナップル、ザクロ、ザボン、マンゴスチン、レーズン、ラズベリー、ランブータン、アカフサスグリ、ウンシュウミカン、イチゴ、タンジェリン、トマト、アグリフルーツの群から選択される。
【0043】
吸湿成分は、Micrococcus属、Kocuria属、Staphylococcus属、Lactobacillus属、Lactococcus属、Streptococcus属、Pediococcus属、Leuconostoc属、Propionibacterium属、Xanthomonas属、Bifidobacterium属、Acetobacter属、Bacillus coagulans、Enterococcus属およびその組み合わせを包含するがこれらに限定されない株を使用して培養され得る。
【0044】
構成要素の代謝物質は有機酸またはその塩を包含し得る。かかる例としては、グリコール酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、プロピオン酸、酢酸、ソルビン酸、ギ酸、プロパン酸、ラク酸、吉草酸、アジピン酸、グルコン酸、グリコール酸、リンゴ酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、サリチル酸、安息香酸、カルノシン酸、亜硝酸塩、ペプチド、植物性薬品、抽出物、酵素またはその混合物が挙げられる。
【0045】
本開示の組成物は、1つまたは複数の添加物(抗微生物性化合物、界面活性物質、pH調整剤、凍結保護物質、消泡剤、キレートおよび増粘成分のうちの1つまたは複数等)を含み得る。
【0046】
ある特定の実施形態において、本開示の組成物は、約91%未満の担体を含み得る。本明細書において使用される時、かかる担体としては、マルトデキストリン、コーンシロップ、ガム、タンパク質などを包含するがこれらに限定されない当技術分野において公知のものが挙げられる。好ましくは、組成物は、約50%未満の担体を含む。より好ましくは、組成物は担体を含まない。
【0047】
低分子量の抗微生物性有機酸(例えば酢酸ナトリウム)および吸湿成分(例えばセロリジュース)の前記の産物の組み合わせを得るための非限定加工条件は、以下で提供されるような条件を含み得る。
【0048】
液体のスラリー組成物の調製:
【0049】
約1~100容の間の吸湿成分(セロリジュース固体等)(乾燥w/wベースで)を、水中で約5~70(w/w)パーセントの間の全溶解固体の100容の中和された食酢固体または他の低分子量の抗微生物性有機酸(酢酸ナトリウム-酢酸固体等)へ、組み合わせることによって溶液を調製する。別の実施形態において、液体のスラリー組成物は、約1~50容の間の吸湿成分(乾燥w/wベースで)を、100容の中和された食酢固体または他の低分子量の抗微生物性有機酸へ、組み合わせることによって調製される。好ましい実施形態において、液体のスラリー組成物は、約10%~30%(w/w)の間の吸湿成分および約70%~90%(w/w)の中和された食酢を含む。1つの好ましい例において、液体のスラリー組成物は、約25%(w/w)の吸湿成分および約75%(w/w)の中和された食酢を含む。さらに、前述のパーセンテージは、最終的な抗微生物性粉末組成物の乾燥w/wベースである。
【0050】
液体のスラリー組成物を調製した後に、スラリーの温度は、高溶解パーセントの有機酸固体(例えば酢酸塩-酢酸固体)を達成するように、有意な量の有機酸(例えば酢酸)を揮発させるほど熱くなく、約40°F~180°Fの間;好ましくは約130°Fに調整される。一実施形態において、組成物が約5~70%の範囲中の溶解パーセントの酢酸塩-酢酸固体を有するまで、液体のスラリー組成物が加熱される。好ましい実施形態において、組成物が約20~50%の範囲中の溶解パーセントの酢酸塩-酢酸固体を有するまで、液体のスラリー組成物が加熱される。さらにより好ましくは、組成物が約25~35%の範囲中の溶解パーセントの酢酸塩-酢酸固体を有するまで、液体のスラリー組成物が加熱される。1つの好ましい例において、組成物が約30%の溶解パーセントの酢酸塩-酢酸固体を有するまで、液体のスラリー組成物が加熱される。もたらされた液体のスラリー組成物のpHは約4.0~10.0の間へ;好ましくは約5.8へ調整され得る。
【0051】
液体のスラリー組成物の共乾燥:
【0052】
液体のスラリー組成物を乾燥する例示的なプロセスは、約220~550°Fの間の入口温度によるAPVまたはNiro Minorタイプの対流乾燥機を介して液体のスラリーを噴霧乾燥することを含み、約130~210°Fの間の排気温度を保つように産物供給速度を調整することができる。産物は、約100~10,000psiの間(好ましくは2500psi)で操作する水圧微粒化ノズル、または約0~40psiの間の産物圧力および約10~250psiの間の気圧(好ましくはそれぞれ0psiおよび35psi)で操作するエア微粒化ノズル、または約10,000~50,000RPMの間(好ましくは20,000RPM)で操作する遠心式微粒化ホイールを介して供給され得る。
【0053】
別の例示的な乾燥プロセスは、約225~500°Fの間(好ましくは325°F)の表面温度および約5~90秒の間(好ましくは30秒)の滞留時間で、Bufflovacタイプ乾燥機により液体のスラリーをドラム乾燥することを包含する。
【0054】
さらに別の例示的な乾燥プロセスは、最初に約0~100°F(好ましくは15°F)のトレーまたはベルトの温度により約0.05~70mm水銀柱の間(好ましくは0.3~4mm水銀柱)の圧力で、トレーまたはベルトドライヤー中の液体のスラリーを真空乾燥または冷凍乾燥し、プロセスの終了時で約50~200°Fの間(好ましくは130°F)の値へ温度を増加させることを包含する。ウィンドウリフラクタンスおよび赤外線乾燥は、代替の実施形態に従うなおさらなる乾燥プロセスである。
【0055】
乾燥後に、もたらされた粉末またはフレークは、メッシュスクリーン(US#10メッシュスクリーン等)または同等の方法を介してふるいにかけてかたまりを除去することによって収集され得る。
【0056】
最終的な組成物は、意図された使用量ごとに適切な容器中でパッケージングされる。例えば、容器は、環境からの湿度の吸収を抑止するために2ミルまたはより厚いポリエチレンライナーを有し得る。
【0057】
1つの好ましい例において、溶液中の約25%w/wの培養されたセロリジュース固体および約75%w/wの酢酸ナトリウム中和食酢の混合物は、噴霧乾燥、ドラム乾燥、真空乾燥または冷凍乾燥のうちの1つによって乾燥される。この乾燥プロセスは、約1:2容w/wの無水物対三水和物の比での熱的に安定な(噴霧乾燥に対して)無水形態および非吸湿性の(保存に安定的な)三水和物結晶形態の両方のガラス質結晶相における酢酸ナトリウム、および培養されたセロリジュースの結合形態の粉末組成物を提供し、それは吸湿性溶融分解への安定性を促進した。
【0058】
別の好ましい例において、通常使用されるカプセル化材料(担体)が無い、抗微生物性粉末組成物が提供される。抗微生物性粉末組成物は、約1:5~5:1容w/wの間の無水物対水和物の比で、および好ましくは約1:2容w/wの間の無水物対水和物の比で、熱的に安定な(噴霧乾燥に対して)無水形態および非吸湿性の(保存に安定的な)水和物結晶形態の両方のガラス質結晶相中で中和された食酢を含む。抗微生物性粉末組成物は、約1:100~100:100容の間の培養されたかまたは培養されないセロリジュース固体(乾燥w/wベースで)対中和された食酢固体(乾燥w/wベースで)、好ましくは1:100~50:100容w/wの培養されたかまたは培養されないセロリジュース固体対中和された食酢固体の比で、中和された食酢ガラス質結晶の間またはその内に分布する、亜硝酸塩または硝酸塩を含有する培養されたかもしくは培養されないセロリジュース濃縮物を、さらに含む。この実施形態の抗微生物物質は流動可能な保存に安定的な粉末を提供する。
【0059】
本開示のある特定の実施形態において、低分子量の抗微生物性有機酸および吸湿成分の共乾燥した粉末組成物は、約3.5~12の間の範囲中のpHを有する。他の実施形態において、共乾燥した粉末組成物は、約6.5~8.0の間の範囲中のpHを有する。なお更なる実施形態において、共乾燥した粉末組成物は約7.0のpHを有する。
【0060】
開示された共加工した粉末組成物は、異なる条件(大気条件、真空下またはMAPパッケージングが挙げられる)下で保存され得る。
【0061】
開示された共乾燥した粉末組成物は、食物、飲料およびパーソナルケア適用の範囲での使用に好適である。かかる適用としては、食肉、調味料、冷蔵サラダ、飲料、ドレッシング、スプレッド、ソース、ディップ、フィリング、マリネおよび乳製品が挙げられるがこれらに限定されない。これらの実施形態において、共加工した粉末組成物は、様々な方法(直接的な添加等)によって添加され得る。
【0062】
一例として、共加工した粉末組成物は、基材に対するw/wベースで約0.1~5%の適用速度で基材へ直接添加され得る。かかる適用において、共加工した粉末組成物は、腐敗微生物および病原微生物(E.coli、Staphylococcus属、Campylobacter属、Salmonella属、酵母、カビ、桿菌、LABに加えて、Clostridium属の種およびListeria monocytogenes等)の増殖を阻害または遅延させる。
【実施例】
【0063】
以下の実施例は、本明細書で開示された主題を例証するために包含される。以下の実施例のある特定の態様は、本明細書で開示した主題の実践において良好に動作するように本発明者によって見出されたかまたは企図された技法および手順に関して記載される。これらの実施例は、本発明者の標準的な実践を示す。本開示および当該技術分野の技能の一般的なレベルに照らして、当業者は、以下の実施例が単に例示的であることが意図され、多数の変化、修飾および変更が本明細書で開示された主題の範囲から逸脱せずに用いられ得ることを認識するだろう。
【0064】
実施例1
11%の培養されたセロリジュース粉末:
【表1】
【0065】
表1中で提供される量において、ナトリウムにより5.8のpHへ緩衝された食酢粉末を水中の培養されたセロリジュースと組み合わせて、6.78のpHを有する液体のスラリー組成物を形成した。液体中で測定されるように、液体のスラリー組成物が約27%の溶解パーセントの酢酸塩-酢酸固体を有するまで、液体のスラリー組成物を130°Fの温度へ後続して加熱した。
【0066】
液体のスラリー組成物を噴霧乾燥器(APV「Minor」等)の中へ供給し、約190°Fの排気温度を約30分間の約350°Fの一定の入口気体温度により保った。
【0067】
乾燥機を約130°Fへ冷却した後に、もたらされた粉末を収集した。
【0068】
実施例2
25%の培養されたセロリジュース粉末:
【表2】
【0069】
表2中で提供される量において、ナトリウムにより5.8のpHへ緩衝された食酢粉末を水中の培養されたセロリジュースと組み合わせて、7.00のpHを有する液体のスラリー組成物を形成した。液体中で測定されるように、液体のスラリー組成物が約23%の溶解パーセントの酢酸塩-酢酸固体を有するまで、液体のスラリー組成物を130°Fの温度へ後続して加熱した。
【0070】
液体のスラリー組成物を噴霧乾燥器(APV「Minor」等)の中へ供給し、約190°Fの排気温度を約30分間の約350°Fの一定の入口気体温度により保った。
【0071】
乾燥機を約130°Fへ冷却した後に、もたらされた粉末を収集した。
【0072】
当業者によって認識され得るように、ドラム乾燥または気流乾燥等の乾燥の他の類似する対流形態または伝導形態を用いることができる。
【0073】
本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書において特別の指示のない限り、範囲内に収まる各々の分離した値を個別に指す簡便方法として役立つように単に意図され、あたかも本明細書においてそれが個別に列挙されるかのように、各々の分離した値は明細書の中へ援用される。任意のおよびすべての実施例、または本明細書において提供される例示的な文言(例えば「等の」)の使用は、本発明をより良好に明らかにすることを単に意図し、特に請求項に記載されない限り、本発明の範囲に対する限定をもたらさない。本明細書内の文言は、任意の請求されていない要素を本発明の実践に不可欠なものとして指示すると解釈されるべきでない。本発明の好ましい実施形態は、本発明の実行のために本発明者に公知の最良の様式を含んで、本明細書において記述される。それらの好ましい実施形態の変動は、前述の記述の読了に際して当業者へ明らかになるだろう。本発明者は当業者が必要に応じてかかる変動を用いることを予想し、本発明者は具体的に本明細書において記述された通り以外に実践されることを本発明について意図する。したがって、本発明は、適用可能な法令において認められるように、本明細書に添付された請求項において列挙された主題の修飾および均等物をすべて含む。さらに、そのすべての起こり得る変動における上述の要素の任意の組み合わせは、本明細書において特別の指示のない限りまたは明らかに文脈と矛盾しない限り、本発明によって包含される。