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特許7428656インサート及びこれを含む切削工具組立体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】インサート及びこれを含む切削工具組立体
(51)【国際特許分類】
   B23B 27/14 20060101AFI20240130BHJP
   B23B 27/16 20060101ALI20240130BHJP
【FI】
B23B27/14 C
B23B27/16 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020551404
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-10
(86)【国際出願番号】 KR2019003501
(87)【国際公開番号】W WO2019190165
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-01-27
(31)【優先権主張番号】10-2018-0036180
(32)【優先日】2018-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】508151781
【氏名又は名称】デグテック エルティーディー
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(72)【発明者】
【氏名】チェ,チャンヒ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,チャンウォン
【審査官】小川 真
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-078828(JP,A)
【文献】国際公開第2016/203462(WO,A1)
【文献】特開2003-340614(JP,A)
【文献】特開2005-001024(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0083594(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23B 27/14
B23B 27/16
B23B 51/00
B23C 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被削材を切削するための切削工具組立体に用いられ、シム又はインサートを収容する収容部を介して支持されて前記切削工具組立体に固定されるインサートであって、
四角形の形状を有する前記インサートの上面の各コーナに形成された第1~第4インサートコーナ部と、
前記第2インサートコーナ部及び前記第4インサートコーナ部のそれぞれから、前記第1インサートコーナ部及び前記第3インサートコーナ部に向かってそれぞれ延長するように形成されて前記被削材を切削するように構成された第1切削部及び第2切削部と、
前記第1~第4インサートコーナ部の間に配置され、インサートの中心を通るように前記上面の前記四角形の形状に対して垂直方向に配置された厚さ方向中心線を有するインサート中央部と、
前記第1インサートコーナ部と前記インサート中央部との間で前記四角形の形状に対する垂直厚さが前記厚さ方向中心線に向かうほど減少するように形成されて、前記切削工具組立体に固定されるときに前記シム又は前記収容部の少なくとも一部と接触して支持される面から成る第1傾斜装着部と、
前記第2及び第4インサートコーナ部のそれぞれに形成されており、前記第2及び第4インサートコーナ部の中央からそれぞれ前記第3インサートコーナ部に向かって伸び、前記四角形の形状に対する垂直厚さが前記厚さ方向中心線に向かうほど増加しており、前記切削工具組立体に固定されるときに前記シム又は前記収容部の少なくとも一部と接触して支持される面から成る第2及び第3傾斜装着部と、
前記第3インサートコーナ部と前記インサート中央部との間で前記四角形の形状に対する垂直厚さが前記厚さ方向中心線に向かうほど減少するように形成されて、前記切削工具組立体に固定されるときに前記シム又は前記収容部の少なくとも一部と接触して支持される面から成る第4傾斜装着部と、
前記第2及び第4インサートコーナ部のそれぞれに形成されており、前記第2及び第4インサートコーナ部の中央からそれぞれ前記第1インサートコーナ部に向かって伸び、前記四角形の形状に対する垂直厚さが前記厚さ方向中心線に向かうほど増加しており、前記切削工具組立体に固定されるときに前記シム又は前記収容部の少なくとも一部と接触して支持される面から成る第5及び第6傾斜装着部と、
を備えるインサート。
【請求項2】
前記厚さ方向中心線に垂直になるように前記インサートの長手方向の中心を通る長手方向中心線をさらに含み、
前記第1~第3傾斜装着部のそれぞれは第1~第3接点を含み、
前記第1接点と前記第2または第3接点を連結した線は、前記長手方向中心線と交差する所定の角度をなす、請求項1に記載のインサート。
【請求項3】
前記第1及び第2切削部のそれぞれは、前記被削材と接触するように構成された第1切削刃先及び第2切削刃先を含み、
前記第2及び第3接点は、前記第1接点を通りながら前記第1切削部の前記第1切削刃先に平行に延長する直線に対して前記長手方向中心線を基準に上側に位置する、請求項2に記載のインサート。
【請求項4】
前記第1~第3傾斜装着部のそれぞれは、平面で形成される第1~第3装着面を含む、請求項1に記載のインサート。
【請求項5】
前記第2及び第5傾斜装着部は、前記厚さ方向中心線を中心に互いに反対方向に傾くように構成され、
前記第3及び第6傾斜装着部は、前記厚さ方向中心線を中心に互いに反対方向に傾くように構成される、請求項1から4のいずれか1項に記載のインサート。
【請求項6】
前記第1及び第2切削部のそれぞれは、複数の凸面及び複数の凹面が繰り返される凹凸面を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のインサート。
【請求項7】
前記第1切削刃先及び前記第2切削刃先は、40°~50°の間の角度を形成するように構成される、請求項3に記載のインサート。
【請求項8】
前記長手方向中心線と前記第1及び第4傾斜装着部のそれぞれは、10°~15°の間の角度を形成するように構成される、請求項2に記載のインサート。
【請求項9】
第1~第4インサートコーナ部が各コーナに形成される四角形の形状を有する上面を備えるインサートと、該インサートを支持するシムとを備える被削材を切削するための切削工具組立体であって、
前記インサートは、
前記第1~第4インサートコーナ部の間に配置され、インサートの中心を通るように前記四角形の形状に対して垂直方向に配列される厚さ方向中心線を有するインサート中央部
前記第2インサートコーナ部及び前記第4インサートコーナ部のそれぞれから、前記第1インサートコーナ部及び前記第3インサートコーナ部に向かってそれぞれ延長するように形成されて前記被削材を切削するように構成された第1切削部及び第2切削部と、
前記第1切削部と前記インサート中央部との間に形成され、前記四角形の形状に対する垂直厚さが前記四角形の形状に対して垂直方向に配列されて前記インサートの中心を通る前記厚さ方向中心線に向かうほど減少するように形成されて、前記切削工具組立体に固定されるときに前記シムの少なくとも一部と接触して該シムに支持される面から成る第1傾斜装着部と、
前記第2及び第4インサートコーナ部のそれぞれに形成されており、前記第2及び第4インサートコーナ部の中央からそれぞれ前記第3インサートコーナ部に向かって伸び、前記四角形の形状に対する垂直厚さが前記厚さ方向中心線に向かうほど増加しており、前記切削工具組立体に固定されるときに前記シムの少なくとも一部と接触して該シムに支持される面から成る第2及び第3傾斜装着部と、
前記第3インサートコーナ部と前記インサート中央部との間で前記四角形の形状に対する垂直厚さが前記厚さ方向中心線に向かうほど減少するように形成されて、前記切削工具組立体に固定されるときに前記シムの少なくとも一部と接触して該シムに支持される面から成る第4傾斜装着部と、
前記第2及び第4インサートコーナ部のそれぞれに形成されており、前記第2及び第4インサートコーナ部の中央からそれぞれ前記第1インサートコーナ部に向かって伸び、前記四角形の形状に対する垂直厚さが前記厚さ方向中心線に向かうほど増加しており、前記切削工具組立体に固定されるときに前記シムの少なくとも一部と接触して該シムに支持される面から成る第5及び第6傾斜装着部と、
を含み、
前記シムは、
インサートが前記工具組立体に固定されるときに、前記第1傾斜装着部の少なくとも一部と接触して該第1傾斜装着部を支持する第1傾斜支持部と、
前記第1傾斜支持部から一側に延長して形成されて、インサートが前記工具組立体に固定されるときに前記第2傾斜装着部の少なくとも一部と接触して該第2傾斜装着部を支持する第2傾斜支持部と、
前記第1傾斜支持部から他側に延長して形成されて、インサートが前記工具組立体に固定されるときに前記第3傾斜装着部の少なくとも一部と接触して該第3傾斜装着部を支持する第3傾斜支持部と、
を含む切削工具組立体。
【請求項10】
前記シムは、第1~第4シムコーナ部を含むように四角形の形状を有する上面を備え、
前記第2傾斜支持部は、前記第2シムコーナ部に形成され、
前記第3傾斜支持部は、前記第4シムコーナ部に形成される、請求項に記載の切削工具組立体。
【請求項11】
前記シムは、前記第1~第4シムコーナ部の間に配置され、シムの中心を通るように前記シムの前記上面の前記四角形の形状に対して垂直方向に配列される厚さ方向中心線を有するシム中央部を含み、
前記第1傾斜支持部は、前記厚さ方向中心線の一側に配置され、前記第2及び第3傾斜支持部は前記厚さ方向中心線の他側に配置される、請求項10に記載の切削工具組立体。
【請求項12】
前記シム中央部は、前記厚さ方向中心線に向かって凹むように前記第2傾斜支持部及び前記第3傾斜支持部の間に形成される凹部を含む、請求項11に記載の切削工具組立体。
【請求項13】
上面と下面に被削材を切削する第1~第4切削部を有するインサートと、該インサートを収容する収容部と、前記インサートを支持するクランプとを備える被削材を切削するための切削工具組立体であって、
前記インサートは、
四角形の形状の上面の各コーナを形成する第1~第4インサートコーナ部、及び四角形の形状の下面の各コーナを形成する第5~第8インサートコーナ部と、
前記インサートの中心を通るように前記四角形の形状に対して垂直方向に配列される厚さ方向中心線を有するインサート中央部と、
前記第1インサートコーナ部から前記インサート中央部に向かって第1方向に傾く前記第1切削部、及び前記第3インサートコーナ部から前記インサート中央部に向かって第2方向に傾く前記第2切削部と、
前記第1方向に傾いており、インサートが固定されるときに前記収容部の少なくとも一部と接触して該収容部に支持される面からなる3つの傾斜装着部、及び前記第2方向に傾いており、インサートが固定されるときに前記収容部の少なくとも一部と接触して該収容部に支持される面からなる3つの傾斜装着部と、
を含む上面と、
前記第5インサートコーナ部から前記インサート中央部に向かって前記第2方向に傾く前記第3切削部と、前記第7インサートコーナ部から前記インサート中央部に向かって第1方向に傾く前記第4切削部と、
前記第2方向に傾いており、インサートが固定されるときに前記収容部の少なくとも一部と接触して該収容部に支持される面からなる3つの傾斜装着部及び前記第1方向に傾いており、インサートが固定されるときに前記収容部の少なくとも一部と接触して該収容部に支持される面からなる3つの傾斜装着部を含む下面と、
を備えており、
前記第1方向に傾く3つの傾斜装着部は、
前記第1インサートコーナ部と前記インサート中央部との間で前記四角形の形状に対する垂直厚さが前記厚さ方向中心線に向かうほど減少するように形成される第1傾斜装着部と、前記第2及び第4インサートコーナ部のそれぞれに形成されており、前記第2及び第4インサートコーナ部の中央からそれぞれ前記第3インサートコーナ部に向かって伸び、前記四角形の形状に対する垂直厚さが前記厚さ方向中心線に向かうほど増加しており、インサートが固定されるときに前記収容部の少なくとも一部と接触して該収容部に支持される面からなる第2及び第3傾斜装着部と、
を含み、
前記第2方向に傾く3つの傾斜装着部は、
前記第3インサートコーナ部と前記インサート中央部との間で前記四角形の形状に対する垂直厚さが前記厚さ方向中心線に向かうほど減少するように形成される第4傾斜装着部と、前記第2及び第4インサートコーナ部のそれぞれに形成されており、前記第2及び第4インサートコーナ部の中央からそれぞれ前記第1インサートコーナ部に向かって伸び、前記四角形の形状に対する垂直厚さが前記厚さ方向中心線に向かうほど増加しており、インサートが固定されるときに前記収容部の少なくとも一部と接触して該収容部に支持される面からなる第5及び第6傾斜装着部と、
を含み、
前記クランプは、前記収容部に支持されている前記インサートの前記上面または前記下面とは反対側の前記上面または前記下面を支持するように構成されている、
ことを特徴とする切削工具組立体。
【請求項14】
前記収容部の底面は、前記インサートの前記上面または前記下面と相補的な形状を有するように構成された、請求項13に記載の切削工具組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、インサート及びこれを含む切削工具組立体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
切削工具は、主に鉄系または非鉄系金属の切削に用いられるものであって、様々な方式の工作機械に固定させて用いられる。切削工具を用いて金属を切削する方法として、例えば、回転する金属製の被削材に切削工具の切刃を接触させて切削をする方式がある。これと異なる方式として、切刃を有する切削インサートを工具ホルダーに固定し、工具ホルダーを工作機械に固定させた後、工具ホルダーの回転を介して切削インサートを回転させながら切削インサートを予め固定された被削材に接触させて、被削材を所望の形状に加工する方式がある。
【0003】
被削材と直接的に接触する切削インサートは、金属の切削加工において最も重要な要素である。また、切削インサートの材質及び形状は、切削工具の寿命及び加工品質に影響を及ぼす。また、切削インサートを用いて被削材の対象加工部分を切削して除去させる時に、チップの形態で発生する金属スクラップを切削領域から安全に排出させる必要がある。従って、連続的に行われる切削加工工程を中断させたり作業者の身体に傷害を発生させたりせずに、作業領域からチップ形態の金属スクラップを安全かつ確実に排出させ得る切削インサートを開発しようとする努力がなされてきた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の多様な実施例は、4つの切削コーナを有するように構成された両面型切削インサート及び切削インサートの3面を支持するように構成されたシムを含む切削工具組立体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一実施例による被削材を切削するための切削工具組立体に用いられるインサートは、四角形の形状を有する前記インサートの上面の各コーナに形成された第1~第4インサートコーナ部;前記第1~第4インサートコーナ部の間に配置され、インサートの中心を通るように、前記上面の前記四角形の形状に対して垂直方向に配置された厚さ方向中心線を有するインサート中央部;前記第1インサートコーナ部と前記インサート中央部との間で前記四角形の形状に対する垂直厚さが、前記厚さ方向中心線に向かうほど減少するように形成される第1傾斜装着部;及び前記四角形の形状に対する垂直厚さが、前記厚さ方向中心線に向かうほど増加するように、前記厚さ方向中心線を基準に、前記第3インサートコーナ部側への前記第2及び第4インサートコーナ部のそれぞれに形成される第2及び第3傾斜装着部を含み得る。
【0006】
一実施例によると、前記インサートは、前記第3インサートコーナ部と前記インサート中央部との間で前記四角形の形状に対する垂直厚さが、前記厚さ方向中心線に向かうほど減少するように形成される第4傾斜装着部;及び前記四角形の形状に対する垂直厚さが、前記厚さ方向中心線に向かうほど増加するように前記厚さ方向中心線を基準に前記第1インサートコーナ部側への前記第2及び第4インサートコーナ部のそれぞれに形成される第5及び第6傾斜装着部をさらに含み得る。
【0007】
一実施例によると、前記インサートは、前記厚さ方向中心線に垂直になるように前記インサートの中心を通る長手方向中心線をさらに含み、前記第1~第3傾斜装着部のそれぞれは第1~第3接点を含み、前記第1接点と前記第2または第3接点を連結した線は、前記長手方向中心線と所定の角度をなし得る。
【0008】
一実施例によると、前記インサートは、前記第2インサートコーナ部及び前記第4インサートコーナ部のそれぞれから前記第1インサートコーナ部及び前記第3インサートコーナ部に延長するように形成されて、前記被削材を切削するようにそれぞれ構成された第1切削部及び第2切削部をさらに含み、前記第1及び第2切削部のそれぞれは、前記被削材と接触するように構成された第1切削刃先及び第2切削刃先を含み、前記第2及び第3接点は、前記第1接点を通りながら前記第1切削部の前記第1切削刃先に平行に延長する直線に対して前記長手方向中心線を基準に上側に位置し得る。
【0009】
一実施例によると、前記第1~第3傾斜装着部のそれぞれは、平面で形成された第1~第3装着面を含み得る。
【0010】
一実施例によると、前記第2及び第5傾斜装着部は、前記厚さ方向中心線を中心に互いに反対方向に傾くように構成され、前記第3及び第6傾斜装着部は前記厚さ方向中心線を中心に互いに反対方向に傾くように構成され得る。
【0011】
一実施例によると、前記第1切削部及び前記第2切削部のそれぞれは、複数の凸面及び複数の凹面が繰り返される凹凸面を含み得る。
【0012】
一実施例によると、前記第1切削刃先及び前記第2切削刃先は、40°~50°の間の角度を形成するように構成され得る。
【0013】
一実施例によると、前記長手方向中心線と前記第1及び第4傾斜装着部のそれぞれは、10°~15°の間の角度を形成するように構成され得る。
【0014】
本開示の他の実施例による被削材を切削するための切削工具組立体では、第1~第4インサートコーナ部を含むように四角形の形状に形成されたインサート、前記インサートは前記第1~第4インサートコーナ部の間に配置され、インサートの中心を通るように前記四角形の形状に対して垂直方向に配列される厚さ方向中心線を有するインサート中央部、前記第2インサートコーナ部及び第前記4インサートコーナ部のそれぞれから前記第1インサートコーナ部及び前記第3インサートコーナ部にそれぞれ延長するように形成されて、被削材を切削するようにそれぞれ構成された第1切削部及び第2切削部、前記第1切削部と前記インサート中央部との間に形成され、前記四角形の形状に対する垂直厚さが、前記四角形の形状に対して垂直方向に配列されて前記インサートの中心を通る前記厚さ方向中心線に向かって減少するように構成された第1傾斜装着部、及び前記四角形の形状に対する垂直厚さが、前記厚さ方向中心線に向かうほど増加するように、前記厚さ方向中心線を基準に、前記第3インサートコーナ部側への前記第2及び第4インサートコーナ部のそれぞれに形成された第2及び第3傾斜装着部を含む;及び前記インサートを支持するように構成されたシム、前記シムは、前記第1傾斜装着部を支持するように構成された第1傾斜支持部、前記第1傾斜支持部から一側に延長形成されて前記第2傾斜装着部を支持するように構成された第2傾斜支持部、及び前記第1傾斜支持部から他側に延長形成されて前記第3傾斜装着部を支持するように構成された第3傾斜支持部を含む;を含み得る。
【0015】
一実施例によると、前記シムは、第1~第4シムコーナ部を含むように四角形の形状に形成され得、前記第2傾斜支持部は、前記第2シムコーナ部に形成され、前記第3傾斜支持部は、前記第4シムコーナ部に形成され得る。
【0016】
一実施例によると、前記シムは、前記第1~第4シムコーナ部の間に配置され、シム中心を通るように前記四角形の形状に対して垂直方向に配列される厚さ方向中心線を有するシム中央部を含み得、前記第1傾斜支持部は前記厚さ方向中心線の一側に配置され、前記第2及び第3傾斜支持部は前記厚さ方向中心線の他側に配置され得る。
【0017】
一実施例によると、前記シム中央部は、前記厚さ方向中心線に向かって凹むように前記第2傾斜支持部及び前記第3傾斜支持部の間に形成される凹部を含み得る。
【0018】
本開示のさらに他の実施例による被削材を切削するための切削工具組立体は、前記被削材を切削するように構成された第1~第4切削部及びインサートの中心を通るように四角形の形状に対して垂直方向に配列される厚さ方向中心線を有するインサート中央部を含むインサート、前記インサートは前記インサート中央部に向かって第1方向に傾く第1切削部、前記インサート中央部に向かって第2方向に傾く第2切削部が、前記第1方向に傾く3つの傾斜装着部及び前記第2方向に傾く3つの傾斜装着部を有する上面、及び前記インサート中央部に向かって前記第2方向に傾く第3切削部、前記インサート中央部に向かって前記第1方向に傾く第4切削部、前記第2方向に傾く3つの傾斜装着部及び前記第1方向に傾く3つの傾斜装着部を有する下面を含む;及び前記インサートを収容する収容部を有するホルダー;及び前記インサートが前記収容部に収容されるように前記インサートの前記上面または前記下面を支持するように構成されたクランプを含み得る。
【0019】
一実施例によると、前記第1方向に傾く前記3つの傾斜装着部は、前記第1インサートコーナ部と前記インサート中央部との間で前記四角形の形状に対する垂直厚さが、前記厚さ方向中心線に向かうほど減少するように形成される第1傾斜装着部、及び前記四角形の形状に対する垂直厚さが、前記厚さ方向中心線に向かうほど増加するように、前記厚さ方向中心線を基準に、前記第3インサートコーナ部側への前記第2及び第4インサートコーナ部のそれぞれに形成される第2及び第3傾斜装着部を含み、前記第2方向に傾く前記3つの傾斜装着部は、前記第3インサートコーナ部と前記インサート中央部との間で前記四角形の形状に対する垂直厚さが、前記厚さ方向中心線に向かうほど減少するように形成される第4傾斜装着部、及び前記四角形の形状に対する垂直厚さが、前記厚さ方向中心線に向かうほど増加するように前記厚さ方向中心線を基準に前記第1インサートコーナ部側への前記第2及び第4インサートコーナ部のそれぞれに形成される第5及び第6傾斜装着部を含み得る。
【0020】
一実施例によると、前記収容部の底面は、前記インサートの前記上面または下面と相補的な形状を有するように構成され得る。
【0021】
一実施例によると、前記ホルダーには前記クランプの一部を収容するための溝が形成され、前記クランプは、前記インサートの開口に挿入される第1突出部及び前記溝に挿入される第2突出部を含み得る。
【発明の効果】
【0022】
本開示の多様な実施例によると、切削インサートを用いて被削材を切削する過程において一定の形態を有する切削チップが生成され得る。また、切削加工の速度を向上させ得るため、切削加工工程の生産性を向上させ得る。また、一般的なターニング作業(フォワードターニング)及びバックターニング作業(バックワードターニング)がいずれも可能でありながらも、特に、加工方法上、ポジティブ切削刃先を形成しなければならないバックワードターニングにおいては、ポジティブ切削刃先を形成するにもかかわらず、チップの流れを妨害せずにもインサートを安定的に装着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本開示の一実施例による切削工具組立体を示す斜視図である。
図2図1に示す切削工具組立体の分解された様子を示す分解斜視図である。
図3図1に示す切削工具組立体をI-I方向に切断した断面図である。
図4図1に示す切削工具組立体をII-II方向に切断した断面図である。
図5】本開示の一実施例によるインサートを示す斜視図である。
図6図5に示すインサートの上面を示す上面図である。
図7図5に示すインサートの第1側面を示す側面図である。
図8図5に示すインサートをIII-III方向に切断した断面図である。
図9】本開示の一実施例によるシムを示す斜視図である。
図10図9に示すシムをIV-IV方向に切断した断面図である。
図11】本開示の一実施例によるインサートとシムが分解された様子を示す分解斜視図である。
図12図11に示すインサートとシムが組み立てられた様子の側面を示す側面図である。
図13】本開示の一実施例による切削工具組立体が被削材を切削する過程をインサートの上面が見える方向に示す図である。
図14】本開示の一実施例による切削工具組立体が被削材を切削する過程をインサートの側面が見える方向に示す図である。
図15】本開示の一実施例によるインサートが被削材を切削する過程で発生するチップを示す図である。
図16】本開示の他の実施例による切削工具組立体の分解された様子を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本開示の実施例は、本開示の技術的思想を説明する目的で例示されたものである。本開示による権利範囲が以下に提示される実施例やこれらの実施例に関する具体的説明に限定されるものではない。
【0025】
本開示に用いられる全ての技術的用語及び科学的用語は、異なって定義されない限り、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般に理解される意味を有する。本開示に用いられる全ての用語は、本開示をさらに明確に説明する目的で選択されたものであり、本開示による権利範囲を制限するために選択されたものではない。
【0026】
本開示で用いられる「含む」、「備える」、「有する」等のような表現は、当該表現が含まれる言句または文章で異なって言及されない限り、他の実施例を含む可能性を内包する開放型用語として理解されるべきである。
【0027】
本開示で記述された単数型の表現は、異なって言及しない限り複数型の意味を含み得、これは請求の範囲に記載された単数型の表現にも同様に適用される。
【0028】
本開示で用いられる「第1」、「第2」等の表現は、複数の構成要素を相互に区分するために用いられ、当該構成要素の順序または重要度を限定するものではない。
【0029】
本開示で記載される寸法と数値は、記載された寸法と数値のみに限定されるものではない。異なって特定されない限り、このような寸法と数値は、記載された値及びこれを含む同等の範囲を意味するものとして理解され得る。例えば、本開示に記載された「45°」という寸法は「約45°」を含むものとして理解され得る。
【0030】
本開示において、インサートまたはシムの長軸方向は「X軸方向」と定義され得る。また、インサートまたはシムの短軸方向は「Y軸方向」と定義され得る。また、インサートまたはシムの厚さ方向と平行で、X軸方向及びY軸方向に垂直な方向は「Z軸方向」と定義され得る。
【0031】
本開示において、厚さ方向中心線は、インサートまたはシムの四角形の形状に対して垂直方向に配列されてインサートの中心またはシムの中心を通る線と定義され得る。また、厚さ方向中心線は、Z軸方向と平行に配列され得る。
【0032】
本開示において、長手方向中心線は、インサートまたはシムの厚さ方向中心線に垂直になるようにインサートの中心またはシム中心を通る線と定義され得る。また、長手方向中心線は、X軸方向と平行に配列され得る。
【0033】
以下、添付の図面を参照し、本開示の実施例を説明する。添付の図面において、同一または対応する構成要素には同一の参照符号が付与されている。また、以下の実施例の説明において、同一または対応する構成要素を重複して記述することが省略され得る。しかし、構成要素に関する記述が省略されていても、そのような構成要素がある実施例に含まれないものとして意図されはしない。
【0034】
図1は、本開示の一実施例による切削工具組立体(1)を示す斜視図である。
【0035】
切削工具組立体(1)は、被削材を切削して所望の形態に加工するための切削機械(図示せず)に装着され得る。切削工具組立体(1)sは、インサート(10)、シム(30)、クランプ(70)、ホルダー(50)及び第1スクリュ(60)を含み得る。インサート(10)の下面はシム(30)により支持され得、その上面はクランプ(70)により支持され得る。または、インサート(10)はその上面がシム(30)により支持されてその下面がクランプ(70)により支持されるように裏返され得る。第1スクリュ(60)は、クランプ(70)をホルダー(50)に向かって加圧することができる。また、切削機械(図示せず)は、ホルダー(50)の本体(55)をホールディングすることができる。
【0036】
図1に表示されたI-I線は、インサート(10)の長軸方向に対応し、II-II線は、クランプ(70)の長軸方向に対応し得る。I-I線とII-II線は、所定の角度を形成することができる。所定の角度は、例えば、90°より小さい鋭角であってもよい。従って、クランプ(70)は、インサート(10)の上面または下面のよりも広い面積を支持することができる。
【0037】
インサート(10)は、加工中に発生する高い温度に耐えることができる十分な高温硬度、切削加工中に発生する衝撃や振動に容易に折れたり破損しないほどの強度、及び所望の形状に製造できる成形性などの条件を満たす材料から作られ得る。例えば、インサート(10)の材料の例は、鋳造合金、超硬合金、または、セラミックと金属の焼結複合体であるサーメット等を含み得るが、これに制限されるものではない。
【0038】
図2は、図1に示す切削工具組立体(1)の分解された様子を示す分解斜視図である。
【0039】
一実施例において、ホルダー(50)にはインサート(10)及びシム(30)の組立体を収容する収容部(53)が形成され得る。収容部(53)は、インサート(10)及びシム(30)の組立体に対応する形状を有し得る。第2スクリュ(40)は、シム(30)の中央に形成された開口(31)を貫通することができる。第2スクリュ(40)は、シム(30)がホルダー(50)に固定され得るように収容部(53)の下面に形成された開口(54)に結合され得る。
【0040】
クランプ(70)は、内部に開口(71)が形成された「T字型」クランプであってもよい。ホルダー(50)には、第1スクリュ(60)との結合のためのスクリュ収容部(51)が備えられ得る。第1スクリュ(60)は、クランプ(70)の開口(71)を貫通してクランプ(70)をホルダー(50)に固定させ得る。この過程において、クランプ(70)は、シム(30)がインサート(10)を支持する方向の反対方向にホルダー(50)に向かってインサート(10)を加圧するように構成され得る。
【0041】
図3は、図1に示す切削工具組立体(1)をI-I方向に切断した断面図である、図4は、図1に示す切削工具組立体(1)をII-II方向に切断した断面図である。
【0042】
図3を参考にすると、ホルダー(50)には排出経路(56)が形成され得る。流体は、排出経路(56)を介してホルダー(50)に形成された排出口(50a、50b)に排出され得る。排出された流体は、被削材の切削過程で発生するチップを被削材の加工面から除去することができる。また、排出された流体は、チップがインサート(10)に融着されることを防止するために被削材を冷却させ得る。
【0043】
クランプ(70)の下部には、インサート(10)が配置された方向に突出した第1突出部(72)及び第2突出部(73)が形成され得る。第1突出部(72)は、インサート(10)の開口(11)の少なくとも一部に挿入されるように構成され得る。また、ホルダー(50)には溝(52)が備えられ得、第2突出部(72)は溝(52)の少なくとも一部に挿入されるように構成され得る。クランプ(70)は、第1スクリュ(60)によりインサート(10)に向かう方向に移動しながらホルダー(50)に結合され、この過程でインサート(10)の上面を加圧して支持することができる。クランプ(70)の第1及び第2突出部(71、72)がそれぞれ、インサート(10)の開口(11)及びホルダー(50)の溝(52)に挿入されるため、クランプ(70)の両側支持構造が確保され、クランプ(70)が安定的にホルダー(50)に固定され得る。
【0044】
一実施例において、クランプ(70)は、第1突出部(72)が突出する内面(74)を含み得る。内面(74)は、インサート(10)の第1インサート中央部(16)の一部と接触するように構成され得る。従って、インサート(10)がホルダー(50)に結合される過程において、インサート(10)の下面はシム(30)により支持され得、インサート(10)の上面は第1インサート中央部(16)の一部と接触するクランプ(70)の内面(74)により支持され得る。
【0045】
図5は、本開示の一実施例によるインサート(10)を示す斜視図である。
【0046】
図5を参考にすると、Z軸方向と平行な厚さ方向中心線(M)及びX軸方向と平行な長手方向中心線(M)は、インサート(10)の質量中心点(C)で交差することができる。
【0047】
インサート(10)は、切削インサートとして用いられ得、多様な大きさの切削角度、傾斜角度、または、厚さを有する複数のインサートの中から1つ選択され得る。また、インサート(10)は、前記複数のインサートの中から被削材の材料、加工条件、または、摩耗度などの条件に応じて選択され得る。
【0048】
インサート(10)は、第1~第4インサートコーナ部(12、13、14、15)を含む四角形の形状に形成され得る。四角形の形状は、例えば、菱形形状であってもよい。第1及び第3インサートコーナ部(12、14)は、X軸方向に沿って配置され得る。また、第2及び第4インサートコーナ部(13、15)は、Y軸方向に沿って配置され得る。即ち、第1及び第3インサートコーナ部(12、14)の間の距離は、菱形の長軸であってもよく、第2及び第4インサートコーナ部(13、15)の間の距離は、菱形の短軸であってもよい。
【0049】
第1切削部(120)は、第2インサートコーナ部(13)及び第4インサートコーナ部(15)のそれぞれから第1インサートコーナ部(12)に向かって延長するように形成され得る。第2切削部(140)は、第2インサートコーナ部(13)及び第4インサートコーナ部(15)のそれぞれから第3インサートコーナ部(14)に向かって延長するように形成され得る。また、第1及び第2切削部(120、140)は、鋭い切削刃先を備えて被削材と接触するように構成され得る。
【0050】
一実施例によると、インサート(10)は、上面(10a)及び長手方向中心線(M)を基準として上面(10a)に対して対称形状を有するように構成された下面(10b)を含み得る。また、第1インサートコーナ部(12)及び第3インサートコーナ部(14)の間には、厚さ方向中心線(M)を含み、開口(11)を有する第1インサート中央部(16)が配置され得る。開口(11)は、第1インサート中央部(16)をZ軸方向に貫通するように形成され得る。即ち、上面(10a)は、第1インサート中央部(16)内に位置した質量中心点(C)を長手方向に通過する長手方向中心線(M)の上側に配置され、下面(10b)は長手方向中心線(M)の下側に配置され得る。また、上面(10a)及び下面(10b)の間には、第4インサートコーナ部(15)を取り囲む第1側面(21)及び第1インサートコーナ部(12)を取り囲む第2側面(22)が配置され得る。
【0051】
上面(10a)には、第1~第6傾斜装着部が形成され得、下面(10b)には、上面(10a)の前記第1~第6傾斜装着部と同一の構造を有する第7~第12傾斜装着部が形成され得る。第1~第12傾斜装着部の詳しい構造は、後述する。
【0052】
一実施例によると、第1切削部(120)及び第1インサート中央部(16)の間に第1傾斜装着部(171)が形成され得る。また、第2切削部(140)及び第1インサート中央部(16)の間に第4傾斜装着部(181)が形成され得る。第1及び第4傾斜装着部(171、181)は、X軸及びZ軸を含む断面方向における厚さが第1及び第2切削部(120、140)の厚さより厚くなるようにそれぞれ構成され得る。
【0053】
第1インサート中央部(16)と第1傾斜装着部(171)との間には、第1傾斜連結部(172)が形成され得る。また、第1インサート中央部(16)と第4傾斜装着部(181)との間には、第2傾斜連結部(182)が形成され得る。第1傾斜連結部(172)は、第1傾斜装着部(171)より低いZ軸方向の高さを有し得る。また、第2傾斜連結部(182)は、第2傾斜装着部(181)より低いZ軸方向の高さを有し得る。
【0054】
第1及び第4傾斜装着部(171、181)はそれぞれ、第1及び第3インサートコーナ部(12、14)とインサート中央部(16)との間で上面(10a)の四角形の形状に対する垂直厚さが、厚さ方向中心線(M)に向かうほど減少するように形成され得る。即ち、第1及び第4傾斜装着部(171、181)はそれぞれ、第1インサート中央部(16)に向かって傾くことができる。従って、第1及び第4傾斜装着部(171、181)の傾きの符号は互いに反対となり得る。また、第1及び第4傾斜装着部(171、181)は、厚さ方向中心線(M)を中心に対称の形状を有し得る。
【0055】
一実施例によると、第1インサート中央部(16)と隣接する位置に第1シート部(seat portion、130)及び第2シート部(150)が形成され得る。第1シート部(130)は第2インサートコーナ部(13)に形成され、第2シート部(150)は第4インサートコーナ部(15)に形成され得る。第1シート部(130)のX軸方向の両端部及び第2シート部(150)のX軸方向の両端部のそれぞれは、長手方向中心線(M)に向かって窪んだ形状を有し得る。
【0056】
第1シート部(130)には、第2及び第5傾斜装着部(131、132)が形成され得る。第2シート部(150)には、第3及び第6傾斜装着部(151、152)が形成され得る。第2及び第5傾斜装着部(131、132)は、厚さ方向中心線(M)を中心に互いに対称の形状を有し得る。また、第3及び第6傾斜装着部(151、152)は、厚さ方向中心線(M)を中心に互いに対称の形状を有し得る。
【0057】
図6は、図5に示すインサート(10)の上面(10a)を示す上面図である。
【0058】
インサート(10)の上面(10a)は、X軸及びY軸を含む平面の方向で菱形形状を有し得る。一実施例によると、第1切削部(120)は、被削材と接触するように構成された第1切削刃先(121)及び第2切削刃先(122)を含み得る。第2切削部(140)は、被削材と接触するように構成された第3切削刃先(141)及び第4切削刃先(142)を含み得る。また、第1及び第2切削刃先(121、122)が続く部分及び第3及び第4切削刃先(141、142)が続く部分には、ラウンドされたコーナ部(124、144)が形成され得る。
【0059】
一実施例によると、第1切削刃先(121)及び第2切削刃先(122)は、所定角度(α)を形成するように構成され得、第3切削刃先(141)及び第4切削刃先(142)は、所定角度(α)を形成するように構成され得る。前記所定角度(α)は、40°~50°の間の角度に設定され得る。例えば、所定角度(α)は45°であってもよい。
【0060】
一実施例によると、第1及び第2切削部(120、140)のそれぞれは、複数の凸面及び複数の凹面が繰り返されるように構成された凹凸面(123、143)を含み得る。凹凸面(123、143)は、第1及び第2切削部(120、140)に繰り返し配列され得る。第1及び第2切削刃先(121、142)と第3及び第4切削刃先(141、142)は、凹んだ部分と出っ張った部分が繰り返されるように構成され得る。これにより、第1及び第2切削刃先(121、142)と第3及び第4切削刃先(141、142)が部分的に摩耗しても一度に面取りが発生されず、鋭い刃形状をさらに長い間維持することができる。従って、第1及び第2切削部(120、140)の摩耗寿命を向上させ得る。
【0061】
図7は、図5に示すインサート(10)の第1側面(21)を示す側面図である。図7において、インサート(10)は、第1側面(21)を見る方向に図示されている。図7において括弧中に記載された参照番号は、第2側面(22)から見た構成要素を示す。
【0062】
インサート(10)の下面(10b)は、第5~第8コーナ部(19、23、20、25)を含み得る。互いに向き合う第5及び第7コーナ部(19、20)の間には、第2インサート中央部(26)が形成され得る。第6コーナ部(23)には、第3シート部(230)が形成され、第8コーナ部(25)には、第4シート部(250)が形成され得る。
【0063】
一実施例において、インサート(10)は、被削材を切削するようにそれぞれ構成された第1~第4切削部(120、140、190、200)を含み得る。インサート(10)の上面(10a)には、第1及び第2切削部(120、140)が形成され得、インサート(10)の下面(10b)には、第3及び第4切削部(190、200)が形成され得る。従って、インサート(10)は、上面(10a)及び下面(10b)をいずれも用いることができるため、切削工具組立体(1)内で4つの互いに異なる配置形態を活用して被削材を切削することができる。また、第1~第4切削部(120、140、190、200)はそれぞれ、被削材を接触時に接触面と同一の角度をなし得る。
【0064】
インサート(10)の上面(10a)において、第1切削部(120)は第1方向に傾き、第2切削部(140)は第1方向と異なる第2方向に傾くことができる。例えば、第1方向の傾きと第2方向の傾きは互いに反対の符号を有し得る。また、第1~第3傾斜装着部(171、131、151)はそれぞれ、第1方向に傾くことができる。第4~第6傾斜装着部(181、132、152)はそれぞれ、第2方向に傾くことができる。
【0065】
インサート(10)の下面(10b)において、第7傾斜装着部(191)は、第3切削部(190)と第2インサート中央部(26)との間に形成され、第10傾斜装着部(201)は、第4切削部(200)と第2インサート中央部(26)との間に形成され得る。また、第7及び第10傾斜装着部(191、201)はそれぞれ、四角形の形状に対する垂直厚さが、第3及び第4切削部(190、200)から厚さ方向中心線(M)に向かって減少するように構成され得る。
【0066】
第3シート部(230)には、第8及び第11傾斜装着部(231、232)が形成され得る。第4シート部(250)には、第9及び第12傾斜装着部(251、252)が形成され得る。また、第8及び第11傾斜装着部(231、232)は、厚さ方向中心線(M)を基準として互いに反対方向に傾くように構成され、第9及び第12傾斜装着部(251、252)は、厚さ方向中心線(M)を基準として互いに反対方向に傾くように構成され得る。
【0067】
インサート(10)の下面(10b)において、第3切削部(190)は第2方向に傾き、第4切削部(200)は第1方向に傾くことができる。第7~及び第9傾斜装着部(191、231、251)はそれぞれ、第2方向に傾くことができる。第10~第12傾斜装着部(201、232、252)はそれぞれ、第1方向に傾くことができる。
【0068】
一実施例によると、長手方向中心線(M)と第1及び第3切削部(120、190)は、所定角度(β)を形成するように構成され得、長手方向中心線(M)と第2及び第4切削部(180、200)は、所定角度(β)を形成するように構成され得る。前記所定角度(β)は、10°~15°の間の角度であってもよい。例えば、前記所定角度(β)は、12°であってもよい。
【0069】
第2インサート中央部(26)と第7傾斜装着部(191)との間には、第3傾斜連結部(192)が形成され得る。また、第2インサート中央部(26)と第10傾斜装着部(201)との間には第4傾斜連結部(202)が形成され得る。下面(10b)がZ軸に対して上側に位置した状態で、第3傾斜連結部(192)は第7傾斜装着部(191)より低いZ軸方向の高さを有し得、第4傾斜連結部(202)は第10傾斜装着部(201)より低いZ軸方向の高さを有し得る。
【0070】
一実施例において、第1及び第2シート部(130、150)の最高点(133、153)と第3及び第4シート部(130、150)の最高点(233、253)との間のZ軸方向厚さ(T)は、第1インサート中央部(16)の厚さ及び第2インサート中央部(26)の厚さの合計より大きくてもよい。また、前記厚さ(T)は、第1傾斜連結部(172)の開始点(P)と第3傾斜連結部(192)の開始点(P)との間のZ軸方向厚さ(t)または第2傾斜連結部(182)の開始点(P)と第2傾斜連結部(202)の開始点(P)との間のZ軸方向厚さ(t)より大きくてもよい。これにより、インサート(10)の短軸方向におけるコーナ部分の厚さが補強され得るため、インサート(10)の短軸方向の強度が向上させ得る。
【0071】
図8は、図5に示すインサート(10)をIII-III方向に切断した断面図である。
【0072】
インサート(10)の上面(10a)において、第1~第6傾斜装着部(171、181、131、151、132、152)はそれぞれ、長手方向中心線(M)に対して凸な曲面で形成され得る。例えば、第1~第6傾斜装着部(171、181、131、151、132、152)はそれぞれ、球面の一部で形成され得る。これを通じて、第1~第6傾斜装着部(171、181、131、151、132、152)とこれを支持するシムまたはホルダーとの点接触が誘導され得る。
【0073】
インサート(10)の下面(10b)において、第7~第12傾斜装着部(191、231、251、201、232、252)はそれぞれ、長手方向中心線(M)に対して凸な曲面で形成され得る。例えば、第7~第12傾斜装着部(191、231、251、201、232、252)はそれぞれ、球面の一部で形成され得る。これを通じて、第7~第12傾斜装着部(191、231、251、201、232、252)とこれを支持するシムまたはホルダーとの点接触が誘導され得る。
【0074】
一実施例において、第1~第3傾斜装着部(171、131、151)のそれぞれは、第1~第3接点(C、C、C)を含み得る。第1接点(C)と第2または第3接点(C、C)を連結した第2連結線(L)は、長手方向中心線(M)と所定の角度をなし得る。また、第1接点(C)を通りながら第1切削部(120)の第1及び第2切削刃先(121、122)と平行に延長する第1連結線(L)は第2連結線(L)と平行でなくてもよい。また、第2及び第3接点(C、C)は、長手方向中心線(M)を基準として第1連結線(L)の上側に位置し得る。
【0075】
他の実施例において、第1~第6傾斜装着部(171、181、131、151、132、152)は、それぞれが平らな面で形成される第1~第6装着面を含み得る。また、第7~第12傾斜装着部(191、231、251、201、232、252)は、それぞれが平らな面で形成される第7~第12装着面を含み得る。
【0076】
第1及び第7傾斜装着部(171、191)は、長手方向中心線(M)を基準として第1及び第3切削部(120、190)の上に配置され得る。第2及び第10傾斜装着部(181、201)は、長手方向中心線(M)を基準として第2及び第4切削部(140、200)の上に配置され得る。従って、インサート(10)がシム(30)により支持される時に、シム(30)は、第1~第4切削部(120、140、190、200)と接触せず、第1、第2、第7及び第10傾斜装着部(171、181、191、201)のいずれかと接触するように構成され得る。従って、インサート(10)は、シム(30)により加圧されても、第1~第4切削部(120、140、190、200)は損傷されない。
【0077】
図9は、本開示の一実施例によるシム(30)を示す斜視図である。
【0078】
シム(30)は、インサート(10)を支持するように構成され得る。シム(30)の上面(30a)及び下面(30b)は、長手方向中心線(M)を基準として非対称形状を有し得る。また、シム(30)は、厚さ方向中心線(M)を基準として非対称形状を有し得る。従って、シム中心(C)は、シム(30)の幾何学的中心に対応し、その質量中心に対応しない。上面(30a)は、複数の傾斜支持部を含み得る。下面(30b)は、概ね平らな面で構成され得る。
【0079】
一実施例によると、シム(30)は、第1~第4シムコーナ部(32、33、34、35)を含むように四角形の形状に形成され得る。四角形の形状は、例えば、概ね菱形形状であってもよい。第2コーナ部(33)及び第4コーナ部(35)の間には、開口(31)を有するシム中央部(36)が形成され得る。また、第2及び第4コーナ部(33、35)の高さは、シム中央部(36)の高さよりZ軸方向にさらに大きくてもよい。また、第3コーナ部(34)には、傾斜部(341)及びX軸に垂直なように端部で切断された端面(342)が形成され得る。
【0080】
第1傾斜支持部(321)は、第1シムコーナ部(32)、第2シムコーナ部(33)、及び第3シムコーナ部(34)の間に形成され得る。第1傾斜支持部(321)は、1つの連続する面で構成され得る。第2傾斜支持部(331)は、第2シムコーナ部(33)に形成され得る。また、第3傾斜支持部(351)は、第4シムコーナ部(35)に形成され得る。図9を参考にすると、第2及び第3傾斜支持部(331、351)は、第1傾斜支持部(321)と断絶せずに続くように構成され得る。
【0081】
一実施例において、第1~第3傾斜支持部(321、331、351)は、長手方向中心線(M)に対して凸な曲面で形成され得る。他の実施例において、第1~第3傾斜支持部(321、331、351)はそれぞれ平らな面で形成され、シム(10)と接触するように構成された第1~第3支持面を含み得る。
【0082】
第1傾斜支持部(321)と第2傾斜支持部(331)との間には第1曲面(371)が形成され得る。また、第1傾斜支持部(321)と第3傾斜支持部(331)との間には、第2曲面(381)が形成され得る。第1及び第2曲面(371、381)のそれぞれは、互いに異なる曲率を有する複数の曲面を含み得る。また、第1及び第2曲面(371、381)は、インサート(10)と接触しないように長手方向中心線(M)に向かって凹んでいてもよい。
【0083】
図7を参考にすると、第1傾斜支持部(321)は、インサート(10)の第1、第2、第7及び第10傾斜装着部(171、181、191、201)のいずれかと接触するように構成され得る。第2傾斜支持部(331)は、インサート(10)の第2、第6、第8及び第12傾斜装着部(131、152、231、252)のいずれかを接触して支持するように構成され得る。第3傾斜支持部(351)は、インサート(10)の第3、第5、第9及び第11傾斜装着部(151、132、251、232)のいずれかを接触して支持するように構成され得る。
【0084】
シム(30)の上面(30a)がインサート(10)の上面(10a)と向き合う場合、例えば、シム(30)の第1~第3傾斜支持部(321、331、351)はインサート(10)の第1~第3傾斜装着部(171、131、151)とそれぞれ接触するように構成され得る。他の例として、シム(30)の第1~第3傾斜支持部(321、331、351)は、インサート(10)の第4~第6傾斜装着部(181、132、152)とそれぞれ接触するように構成され得る。
【0085】
シム(30)の上面(30a)がインサート(10)の下面(10b)と向き合う場合、例えば、シム(30)の第1~第3傾斜支持部(321、331、351)は、インサート(10)の第7~第9傾斜装着部(191、231、251)とそれぞれ接触するように構成され得る。他の例として、シム(30)の第1~第3傾斜支持部(321、331、351)は、インサート(10)の第10~第12傾斜装着部(201、232、252)とそれぞれ接触するように構成され得る。
【0086】
図9を参考にすると、第1傾斜支持部(321)は厚さ方向中心線(M)の左側に配置され、第2及び第3傾斜支持部(331、351)は厚さ方向中心線(M)の右側に配置され得る。即ち、第1傾斜支持部(321)と第2及び第3傾斜支持部(331、351)は、厚さ方向中心線(M)を基準として互いに反対側に配置され得る。従って、シム(30)は、所定距離以上に離間した3つの地点でインサート(10)を支持することができる。これはインサート(10)を堅固に支持することができるようにする。
【0087】
一実施例によると、シム中央部(36)は、第2及び第3傾斜支持部(331、351)の間に配置されてZ軸方向に凹むように形成された凹部(361)を含み得る。凹部(361)は、シム(30)がインサート(10)と接触しても、凹部(361)が第1及び第2インサート中央部(16、26)と干渉が発生しないようにZ軸方向に凹んだ形状を有し得る。また、シム(30)の凹部(361)は、インサート(10)の第1~第4傾斜装着部(171、181、191、201)と接触しないように構成され得る。
【0088】
図10は、図9に示すシム(30)をIV-IV向に切断した断面図である。
【0089】
図10を参考にすると、上面(30a)の第2及び第3傾斜支持部(331、351)は、第1傾斜支持部(321)から延びる平面上に配置され得る。また、傾斜部(341)は、第1傾斜支持部(321)と反対方向に傾斜し得る。また、第3コーナ部(34)は、下面(30b)と垂直になるように形成された端面(342)を有し得る。
【0090】
シム中央部(36)に形成された開口(31)の一部を取り囲む内周面(311)は、その半径が下向きに減少するように傾斜し得る。内周面(311)は、図2に示す第2スクリュ(40)のヘッドを支持することができる。従って、第2スクリュ(40)がホルダー(50)に結合する過程で第2スクリュ(40)はシム(30)の内周面(311)と接触し、シム(30)をホルダー(50)に固定させ得る。
【0091】
図11は、本開示の一実施例によるインサート(10)とシム(30)が分解された様子を示す分解斜視図であり、図12は、図11に示すインサート(10)とシム(30)が組み立てられた様子の側面を示す側面図である。
【0092】
インサート(10)の開口(11)は、Z軸を中心にシム(30)の開口(31)と同軸に整列することができる。一実施例において、インサート(10)の上面(10a)は、シム(30)の上面(30a)と向き合うように配置され得る。他の実施例において、インサート(10)の下面(10b)は、シム(30)の上面(30a)と向き合うように配置され得る。
【0093】
図11を参考にすると、インサート(10)の第1傾斜装着部(171)は、シム(30)の第1傾斜支持部(321)に接触及び支持され得る。インサート(10)の第2傾斜装着部(131)は、シム(30)の第2傾斜支持部(331)に接触及び支持され得る。インサート(10)の第3傾斜装着部(151)は、シム(30)の第3傾斜支持部(351)に接触及び支持され得る。
【0094】
他の例において、図11に示す状態から、インサート(10)はZ軸を中心に180°回転することができる。この場合、インサート(10)の第4傾斜装着部(181)は、シム(30)の第1傾斜支持部(321)に接触されて支持され得る。インサート(10)の第5傾斜装着部(132)は、シム(30)の第3傾斜支持部(351)に接触及び支持され得る。インサート(10)の第6傾斜装着部(152)は、シム(30)の第2傾斜支持部(351)sに接触及び支持され得る。
【0095】
図12を参考にすると、第1傾斜装着部(171)の第1接点(C)は、第1傾斜支持部(321)にポイントツーポイント接触して支持され得る。第2傾斜装着部(131)の第2接点(C)は、第2傾斜支持部(331)にポイントツーポイント接触して支持され得る。第3傾斜装着部(151)の第3接点(C)は、第3傾斜支持部(351)にポイントツーポイント接触して支持され得る。
【0096】
上述の実施例によると、インサート(10)の3つの傾斜装着部がシム(30)の3つの傾斜支持部により支持される。従って、インサート(10)はシム(30)により堅固に支持されることにより、切削過程における切削品質が向上する。
【0097】
図13は、本開示の一実施例による切削工具組立体(1)が被削材(W)を切削する過程をインサート(10)の上面(10a)が見える方向に示す図である。
【0098】
図13を参考にすると、インサート(10)の第1切削部(120)は、被削材(W)と接触して被削材(W)を切削することができる。被削材(W)は、回転軸(R)を中心に回転することができる。インサート(10)が被削材(W)に対して右側方向(実線の矢印で表示)に移動する工程は、フォワードターニング(FT)工程と定義し得る。また、インサート(10)が被削材(W)に対して左側方向(一点鎖線の矢印で表示)に移動する工程は、バックワードターニング(BT)工程と定義し得る。
【0099】
バックワードターニング工程において、被削材(W)の加工面とインサート(10)の第1切削部(120)は、所定角度(γ)を形成することができる。前記所定角度(γ)は、例えば、20°~25°の間の角度であってもよい。例えば、前記所定角度(γ)は22.5°であってもよい。フォワードターニング工程において、被削材(W)の加工面とインサート(10)の第1切削部(120)は、所定角度(γ)を形成することができる。前記所定角度(γ)は、例えば、110°~120°の間の角度であってもよい。例えば、前記所定角度(γ)は、112.5°であってもよい。
【0100】
図2を参考にすると、本開示の一実施例によるインサート(10)は、インサート中央部に向かって傾く切削部及び傾斜装着部を含む構成を有する。従って、インサート(10)がホルダー(50)に装着されてのフォワードターニング(FT)工程またはバックワードターニング(BT)工程時に、半径(radius)形状の滑らかなチップ生成及び円滑なチップ排出が誘導され得る。これにより、切削が完了した被削材(W)の外面を損傷を与えずチップから保護することができる。また、被削材(W)とインサート(10)が所定角度(γ)をなすバックワードターニング(BT)工程で被削材(W)を加工する場合にも、一定のチップの厚さを得ることができ、高速移送加工工程においても滑らかなチップ排出と半径形状の滑らかなチップ発生を誘導することができる。
【0101】
図14は、本開示の一実施例による切削工具組立体(1)が被削材を切削する過程をインサート(10)の側面(21)が見える方向で示す図である。
【0102】
インサート(10)は、シム(30)により支持され得る。図13を参考にすると、被削材(W)は、回転軸(R)を中心に反時計方向(A)で回転することができる。インサート(10)の第1切削部(120)は、インサート中央部に向かって傾斜するように形成される。従って、回転軸(R)から延びた被削材(W)の中心線(C)と第1切削部(120)との間の角度は、実質的に0°であってもよい。この過程において、インサート(10)は、被削材(W)に対してポジティブレイク角度を形成し得る。インサート(10)が被削材(W)とポジティブレイク角度を形成する場合、被削材(W)と第1切削部(120)との間で形成された空間が十分である。従って従って、切削過程において一定の厚さと大きさを有するチップが生成され得る。
【0103】
図15は、本開示の一実施例によるインサート(10)で被削材(W)を切削する過程で発生するチップを示す図である。
【0104】
インサート(10)の材料は、例えば、SCM440であってもよい。被削材(W)の回転速度(V)は250m/minであってもよい。また、被削材(W)の1回転当たりの移送距離(V)は、0.4mm/revであってもよい。また、被削材(W)の外径部切削深さ(D)は、1.5mmであってもよい。被削材(W)の外径部は、インサート(10)の第1切削部(120)により切削され得る。
【0105】
図16は、本開示の他の実施例による切削工具組立体(2)の分解された様子を示す分解斜視図である。
【0106】
上述の実施例で説明された構成と重複した説明は省略する。上述の実施例とは異なり、切削工具組立体(2)は、図2に示すシム(30)及び第2スクリュ(40)を採択しない。
【0107】
切削工具組立体(2)は、インサート(10)、クランプ(70)、ホルダー(80)及び第1スクリュ(60)を含み得る。例えば、インサート(10)の上面(10a)は、クランプ(70)により支持され得る。これとは異なり、インサート(10)が裏返される時に、下面(10b)はクランプ(70)により支持され得る。また、切削機械(図示せず)は、ホルダー(80)の本体(85)をホールディングすることができる。
【0108】
クランプ(70)は、内部に開口(71)が形成された「T字型」クランプであってもよい。ホルダー(80)には、第1スクリュ(60)との結合のためのスクリュ収容部(81)が備えられ得る。クランプ(70)は、第1スクリュ(60)により、ホルダー(80)に結合され得る。即ち、第1スクリュ(60)は、クランプ(70)の開口(71)を貫通してクランプ(70)をホルダー(80)に固定させ得る。この過程において、クランプ(70)はインサート(10)をホルダー(80)側に押すように構成され得る。
【0109】
一実施例において、ホルダー(80)には、インサート(10)を収容する収容部(83)が備えられ得る。収容部(83)は、インサート(10)の形状に対応する形状を有し得る。収容部(83)の底面(87)は、インサート(10)の上面(10a)または下面(10b)を支持するように構成され得る。例えば、底面(87)は、インサート(10)の上面(10a)または下面(10b)と相補的な形状を有し得る。
【0110】
一実施例において、底面(87)は、図9に示すシム(30)の上面(30a)と同一の形状を有し得る。従って、ホルダー(80)には、図9に示すシム(30)の構成が反映される。即ち、底面(87)は、シム(30)の上面(30a)と一体化した形状を有し得る。本実施例において、図2に示すシム(30)及び第2スクリュ(40)が不要なため、部品全体の数が減る。従って、生産原価を節減することができる。
【0111】
本開示の多様な実施例による切削工具組立体において、インサートの切削部は中央部に向かって傾くように形成される。従って、インサートの切削部は、被削材の切削面とポジティブレイク角度を形成することができる。従って、切削加工時に形成されるチップが一定の厚さと形状を有するように誘導され得る。また、本開示のインサートは、被削材(W)との溶着及び切削抵抗を最小化して加工表面粗度、工具寿命及びチップ処理能力を向上させ得る。
【0112】
以上、一部実施例と添付の図面に示す例により本開示の技術的思想を説明したものの、本開示が属する技術分野で通常の知識を有する者が理解できる本開示の技術的思想及び範囲を逸脱しない範囲で多様な置換、変形及び変更がなされ得るという点を知るべきであろう。また、そのような置換、変形及び変更は、添付の請求の範囲内に属するものと考えられるべきである。
図1
図2
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図11
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図16