(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】エアロゾル生成システム
(51)【国際特許分類】
A24F 40/465 20200101AFI20240130BHJP
A24F 40/20 20200101ALI20240130BHJP
【FI】
A24F40/465
A24F40/20
(21)【出願番号】P 2020563897
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2019062503
(87)【国際公開番号】W WO2019224076
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-02-22
(32)【優先日】2018-05-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】ローガン,アンドリュー・ロバート・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 毅
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア ガルシア,エドゥアルド・ホセ
【審査官】高橋 武大
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/036957(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/036955(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2012/0227752(US,A1)
【文献】中国実用新案第206137197(CN,U)
【文献】特表平08-511175(JP,A)
【文献】国際公開第2017/068094(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105852218(CN,A)
【文献】国際公開第2018/002086(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成システム(1、2、3、4)であって、
エアロゾル生成装置(10、210、310、410)であって、
エアロゾル生成材料(24)を受けるためのエアロゾル生成空間(22)、
前記エアロゾル生成空間(22)の周りに延びる誘導コイル(26)、及び
コントローラ(20)
を含むエアロゾル生成装置(10、210、310、410)、
時変電磁場の存在下で誘導加熱可能なサセプタ(32)
を含み、
前記サセプタ(32)は、前記エアロゾル生成材料(24)から分離可能であり、且つ
前記エアロゾル生成材料(24)から分離された状態で前記エアロゾル生成空間(22)に配置される管状部材を含み、前記エアロゾル生成材料(24)は、使用時に前記エアロゾル生成空間(22)に位置し、使用時に前記管状部材の内側及び外側に位置する、エアロゾル生成システム(1、2、3、4)。
【請求項2】
前記サセプタ(32)は、前記エアロゾル生成空間(22)に着脱可能に取り付けられる、請求項1に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項3】
前記エアロゾル生成装置は、前記サセプタ(32)を着脱可能に取り付けるためのコネクタを含む、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項4】
前記コントローラ(20)は、前記エアロゾル生成空間(22)における前記サセプタ(32)の前記取り付けを検出するように構成される、請求項2又は3に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項5】
前記コントローラ(20)は、前記誘導コイル(26)に供給される所定の電力レベルを検出し、且つ前記検出された電力レベルに基づいて
、前記サセプタ(32)を変更する時間又は最適に変更されるべきより前の前記サセプタ(32)の残り寿命を示すように構成される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項6】
前記コントローラ(20)は、サセプタ(32)を前記エアロゾル生成空間(22)に配置した後、前記誘導コイル(26)に供給される所定の電力レベルを検出するように構成され、及び前記検出された電力レベルに基づいて
前記サセプタ(32)を変更する時間又は最適に変更されるべきより前の前記サセプタ(32)の残り寿命を示し、且つ/又は交換サセプタ(32)が前記エアロゾル生成空間(22)に配置されるまで前記誘導コイル(26)への電力供給を中止するようにさらに構成される、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項7】
前記コントローラ(20)は、
一服の数、
合計一服期間の長さ、
前記エアロゾル生成空間(22)内のエアロゾル生成材料(24)の配置の数、
前記エアロゾル生成空間(22)内のエアロゾル生成材料(24)の配置を可能にするために必要とされる、前記エアロゾル生成装置の1つ又は複数のコンポーネントの移動
の少なくとも1つを検出することにより、エアロゾル生成材料(24)の消費を検出するように構成される、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項8】
前記コントローラ(20)は、エアロゾル生成材料(24)の消費の所定のレベルを検出し、且つ前記検出される消費レベルに基づいて
前記サセプタ(32)を変更する時間又は最適に変更されるべきより前の前記サセプタ(32)の残り寿命を示すように構成される、請求項1~7のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項9】
前記コントローラ(20)は、サセプタ(32)を前記エアロゾル生成空間(22)に配置した後、エアロゾル生成材料(24)の消費の所定のレベルを検出するように構成され、及び前記検出された消費レベルに基づいて
前記サセプタ(32)を変更する時間又は最適に変更されるべきより前の前記サセプタ(32)の残り寿命を示し、且つ/又は交換サセプタ(32)が前記エアロゾル生成空間(22)に配置されるまで前記誘導コイル(26)への電力供給を中止するようにさらに構成される、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項10】
前記サセプタ(32)は、前記サセプタの長手方向軸が前記誘導コイル(26)の長手方向軸と略整列されるように前記エアロゾル生成空間(22)に配置される、請求項1~9のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項11】
前記エアロゾル生成空間(22)は、空洞を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項12】
前記エアロゾル生成材料(24)は、非液体エアロゾル生成材料を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項13】
前記エアロゾル生成材料(24)は、粉粒体、粒子、ゲル、条片、ばらばらの葉、切断フィラー、ペレット、粉末、断片、線維、発泡材及びシートからなる群から選択される1つ又は複数を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【請求項14】
前記エアロゾル生成材料(24)は、マウスピース(42)に接続されたハウジング(40)において提供される、請求項1~13のいずれか一項に記載のエアロゾル生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル生成システムに関し、より詳細にはユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するエアロゾル生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、エアロゾル生成材料を燃やすのではなく、加熱して、吸入のためのエアロゾルを生じさせる装置が消費者に人気になってきている。
【0003】
そのような装置は、いくつかの異なる方式の1つを使用して、エアロゾル生成材料に熱を提供することができる。そのような方式の1つは、誘導加熱システムを用いるエアロゾル生成装置を提供することであり、このエアロゾル生成装置には、エアロゾル生成材料を含むエアロゾル生成物品をユーザが着脱可能に挿入することができる。そのような装置では、誘導コイルが装置と共に提供され、誘導加熱可能なサセプタがエアロゾル生成材料と共に提供される。ユーザが装置を作動させると、電気エネルギーが誘導コイルに提供され、次いでこれにより交流電磁場が発生する。サセプタがこの電磁場と結合して熱を発生させ、この熱は、例えば、伝導によってエアロゾル生成材料に伝達され、エアロゾル生成材料が加熱されるとエアロゾルが発生する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の実施形態は、改善されたエアロゾル生成システムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル生成システムであって、
エアロゾル生成装置であって、
エアロゾル生成材料を受けるためのエアロゾル生成空間、
エアロゾル生成空間の周りに延びる誘導コイル、及び
コントローラ
を含む、エアロゾル生成装置、
時変電磁場の存在下で誘導加熱可能なサセプタ
を含み、サセプタは、使用時にエアロゾル生成空間に位置するエアロゾル生成材料から分離可能であり、且つ使用時にエアロゾル生成空間に配置される管状部材を含み、エアロゾル生成材料は、使用時に管状部材の内側及び外側に位置する、エアロゾル生成システムが提供される。
【0006】
システムは、エアロゾル生成空間及びサセプタの管状部材の内側/外側にエアロゾル生成材料を含み得る。
【0007】
管状部材は、外側円筒面及び内側円筒面を有する。外側及び内側円筒面は、連続した面である。
【0008】
エアロゾル生成装置は、エアロゾル生成材料を燃やすことなく、エアロゾル生成材料を加熱して、エアロゾル生成材料の少なくとも1つの成分を揮発させ、それにより、エアロゾル生成システムのユーザによる吸入のためのエアロゾルを発生させるように適合されている。
【0009】
一般論として、蒸気とは、臨界温度よりも低い温度で気相である物質であり、これは、温度を下げることなく圧力を増加させることにより、蒸気を液体に凝縮させることができることを意味する一方、エアロゾルとは、空気中又は別のガス中の微細な固体粒子又は液滴の浮遊物である。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に、ユーザによる吸入のために発生される吸入可能媒体の形態に関して互換的に使用され得ることに留意すべきである。
【0010】
サセプタは、再使用可能であり、エアロゾル生成材料とは別々のコンポーネントである。したがって、サセプタは、エアロゾル生成材料と共に提供される必要がなく、それにより、例えばエアロゾル生成材料を取り入れるエアロゾル生成物品及びエアロゾル生成物品内に統合される1つ又は複数の誘導加熱可能なサセプタよりも製造が容易且つ安価になる。エアロゾル生成材料がエアロゾル生成装置のエアロゾル生成空間に配置されているとき、誘導加熱可能なサセプタは、使用時にのみエアロゾル生成材料に接触されるため、保管中の誘導加熱可能なサセプタによるエアロゾル生成材料の汚染リスク、例えば金属汚染も除去されるか又は少なくとも減少される。
【0011】
エアロゾル生成空間にサセプタを配置することにより、サセプタと誘導コイルとの位置関係を固定させることが可能となり、それにより、誘導コイルによって生じる電磁場とサセプタとの間の最適な結合を確実にする。
【0012】
管状部材の形態でサセプタを提供すること並びに管状部材の内側及び外側に位置するエアロゾル生成材料を提供することにより、サセプタからエアロゾル生成材料への最適な熱伝達がもたらされる。次いで、これにより、エアロゾル生成材料の最適な加熱がもたらされ、エアロゾル生成システムの使用中に生成されるエアロゾルの特性が確実に最適化される。
【0013】
エアロゾル生成装置は、エアロゾル生成空間内に流れる空気を管状部材の内部及び管状部材の外部の両方に向ける給気口ポートを含み得る。給気口ポートは、空気が、管状サセプタの内側及び外側の両方に配置されたエアロゾル生成材料に向けられることを保証し、それにより、エアロゾル生成装置の排気口を通したエアロゾル生成空間からのエアロゾルの生成及び送出を最大化する。
【0014】
サセプタは、エアロゾル生成空間において着脱可能に取り付けられ得る。この構成では、サセプタは、エアロゾル生成装置の他のコンポーネントとは別々のコンポーネントとして提供される。したがって、例えば、サセプタが例えば使用期間後にエアロゾル生成材料の堆積物で損傷されているか、汚されているか又は汚染されている場合、サセプタは、適当な時間間隔で容易に交換され得る。
【0015】
エアロゾル生成装置は、例えば、エアロゾル生成空間において、サセプタを着脱可能に取り付けるためのコネクタを含み得る。コネクタの提供は、サセプタの容易に着脱可能な取り付けを可能にし、サセプタと誘導コイルとの間の適当な位置関係を有利に保証し得る。
【0016】
コントローラは、エアロゾル生成空間におけるサセプタの取り付けを検出するように構成され得る。コントローラは、サセプタのタイミング変更を示すように構成され得る。例えば、コントローラは、誘導コイルに供給される所定の電力レベルを検出し、且つ検出された電力レベルに基づいてサセプタのタイミング変更を示すように構成され得る。
【0017】
コントローラは、エアロゾル生成空間における新たなサセプタの配置を検出するように構成され得る。コントローラは、例えば、検出された電力レベルに基づいてエアロゾル生成空間における新たなサセプタの配置を検出した後、サセプタのタイミング変更を示すように構成され得る。代替的に又は加えて、コントローラは、エアロゾル生成空間における新たなサセプタの配置を検出した後、且つ検出された電力レベルに基づいて誘導コイルへの電力供給を中止するように構成され得る。この構成は、エアロゾル生成材料の最適な加熱を保証するために、再使用可能なサセプタが適当な時間間隔で交換されることを保証する。
【0018】
実施形態では、コントローラは、サセプタに関連する特性を検出することにより、エアロゾル生成空間における新たなサセプタの配置を検出するように構成され得る。特性は、識別特性であり得、例えばサセプタに関連付けられたRFIDタグによって発される識別信号を含み得る。代替的に、ユーザは、例えば、ボタン押下又は一連のボタン押下などの所定のアクションを実行することにより、サセプタが新たなサセプタと交換されていることを示し得る。
【0019】
コントローラは、
一服の数、
合計一服期間の長さ、
エアロゾル生成空間内のエアロゾル生成材料の配置の数、
エアロゾル生成空間内のエアロゾル生成材料の配置を可能にするために必要とされる、エアロゾル生成装置の1つ又は複数のコンポーネントの移動
の少なくとも1つを検出することにより、エアロゾル生成材料の消費を検出するように構成され得る。
【0020】
エアロゾル生成装置は、エアロゾル生成空間におけるエアロゾル生成材料の配置をコントローラが検出することを可能にするためのセンサ、例えば光センサを含み得る。
【0021】
エアロゾル生成装置は、エアロゾル生成装置の1つ又は複数のコンポーネントの移動をコントローラが検出することを可能にするために、エアロゾル生成空間へのアクセスを可能にするための、マウスピース又はカバーなどの1つ又は複数のコンポーネント部品の移動を検出する1つ又は複数のセンサを含み得る。
【0022】
コントローラは、エアロゾル生成材料の消費レベルを検出し、且つ検出された消費レベルに基づいて(サセプタを変更する時間であることを示すため又は最適に変更されるべきより前のサセプタの残り「寿命」を示すためなど)サセプタのタイミング変更を示し、且つ/又は検出された消費レベルに基づいて誘導コイルへの電力供給を中止するように構成され得る。コントローラは、エアロゾル生成空間における新たなサセプタの配置を検出した後、エアロゾル生成材料の消費レベルを検出するように構成され得る。コントローラは、エアロゾル生成空間における新たなサセプタの配置を検出した後に検出された消費レベルに基づいてサセプタのタイミング変更を示し、且つ/又はエアロゾル生成空間における新たなサセプタの配置を検出した後、且つエアロゾル生成空間における新たなサセプタの配置が検出されるまで、検出された消費レベルに基づいて誘導コイルへの電力供給を中止するようにさらに構成され得る。また、この構成により、再使用可能なサセプタが、エアロゾル生成材料の最適な加熱を保証するために適当な時間間隔で交換されることが保証される。
【0023】
サセプタは、サセプタの長手方向軸が誘導コイルの長手方向軸と略整列されるようにエアロゾル生成空間に配置され得る。この位置関係は、誘導コイルによって生成される電磁場とサセプタとの最適な結合を保証する。
【0024】
エアロゾル生成空間は、空洞を含み得る。
【0025】
エアロゾル生成材料は、非液体エアロゾル生成材料を含み得る。
【0026】
エアロゾル生成材料は、粉粒体、粒子、ゲル、条片、ばらばらの葉、切断フィラー、ペレット、粉末、断片、線維、発泡材及びシートからなる群から選択される1つ又は複数を含み得る。したがって、共通の幅広く利用可能なエアロゾル生成材料がエアロゾル生成に使用され得る。エアロゾル生成材料は、植物由来の材料を含み得、特にタバコを含み得る。
【0027】
エアロゾル生成材料は、例えば、エアロゾル生成空間内に挿入され得るエアロゾル生成物品の形態において、マウスピースに接続されたハウジングにおいて提供され得る。ハウジングは、例えば、非導電性材料を含み得、例えば包装紙を含み得る。エアロゾル生成物品の提供により、エアロゾル生成システムの使用が容易になり得る。
【0028】
エアロゾル生成物品は、細長いことができ、且つ略円筒形であり得る。その円形断面を有するエアロゾル生成物品の円筒形状は、特に、誘導コイルが円形断面を有する螺旋形の誘導コイルであるとき、エアロゾル生成物品のエアロゾル生成空間内への挿入を有利に容易にし得る。気化可能なエアロゾル生成物質及び特にタバコ製品は、円筒形の形態で包装され、販売されていることが多いため、加熱されることとなる略円筒形のエアロゾル生成物品を受けるエアロゾル生成空間の能力は、有利である。
【0029】
誘導コイルは、約20mT~最高密度のポイントで約2.0Tの磁束密度を有する変動電磁場を伴って使用時に動作するように構成され得る。
【0030】
エアロゾル生成装置は、電源を含み得る。電源及びコントローラは、高周波数で動作するように構成され得る。電源及びコントローラは、約80kHz~500kHz、場合により約150kHz~250kHz、場合により約200kHzの周波数で動作するように構成され得る。電源及び回路は、使用される誘導加熱可能なサセプタの種類に応じてより高い周波数、例えばMHzの範囲において動作するように構成され得る。
【0031】
誘導コイルは、任意の適当な材料を含み得るが、典型的には、誘導コイルは、Litzワイヤ又はLitzケーブルを含み得る。
【0032】
エアロゾル生成装置は、任意の形状及び形態を取り得るが、それは、過剰な材料の使用を低減するために、実質的に誘導コイルの形態を取るように構成され得る。上述のように、誘導コイルは、略螺旋形状であり得、且つ円形断面を有し得、したがって、エアロゾル生成装置は、略円筒形であり得、且つ略円形断面を有し得る。
【0033】
螺旋形誘導コイルの円形断面は、エアロゾル生成材料及び/又はエアロゾル生成物品のエアロゾル生成空間内への挿入を容易にし、エアロゾル生成材料及び/又はエアロゾル生成物品の均一な加熱を保証する。結果として生じるエアロゾル生成装置の形状は、ユーザが保持するのに快適でもある。
【0034】
サセプタは、アルミニウム、鉄、ニッケル、ステンレス鋼及びそれらの合金、例えばニッケルクロム又はニッケル銅などの1つ又は複数を含み得るが、これらに限定されない。サセプタの近傍に電磁場を印加すると、渦電流及び磁気ヒステリシス損失により電磁気から熱へのエネルギー変換がもたらされるのに起因して、サセプタは、熱を発生させ得る。
【0035】
エアロゾル生成材料は、エアロゾル形成剤を含み得る。エアロゾル形成剤の例は、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物を含む。典型的には、エアロゾル生成材料は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾル形成剤含有率を含み得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成材料は、乾燥重量ベースで約15%のエアロゾル形成剤含有率を含み得る。
【0036】
加熱すると、エアロゾル生成材料は、揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香味料などの香味化合物を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】エアロゾル生成空間にエアロゾル生成材料を配置する前のエアロゾル生成システムの第1の実施形態の断面図である。
【
図2】マウスピースが除去された
図1のエアロゾル生成システムの断面図であり、エアロゾル生成空間内のエアロゾル生成材料の配置を示す。
【
図3】マウスピースが除去された
図1のエアロゾル生成システムの断面図であり、エアロゾル生成空間内のエアロゾル生成材料の配置を示す。
【
図4】エアロゾル生成システムの第2の実施形態の
図1~3に類似の断面図であり、エアロゾル生成空間内に配置するための、エアロゾル生成材料を含むエアロゾル生成物品を示す。
【
図5】エアロゾル生成空間にエアロゾル生成材料を配置する前のエアロゾル生成システムの第3の実施形態の断面図である。
【
図6】エアロゾル生成空間にエアロゾル生成材料を配置する前のエアロゾル生成システムの第4の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
ここで、本開示の実施形態について、単なる例として添付図面を参照して説明する。
【0039】
まず、
図1~
図3を参照すると、エアロゾル生成システム1の第1の実施形態が図示されている。エアロゾル生成システム1は、近位端12及び遠位端14を有するエアロゾル生成装置10を含む。エアロゾル生成装置10は、電源18及び高周波数で動作するように構成され得るコントローラ20を含む装置本体16を含む。電源18は、典型的には、例えば誘導式で充電可能であり得る1つ又は複数の電池を含む。
【0040】
エアロゾル生成装置10は、概して円筒形であり、エアロゾル生成装置10の近位端12に装置本体16内の空洞として形成される、概して円筒形のエアロゾル生成空間22を含む。エアロゾル生成空間22は、例えば、粉粒体、粒子、ゲル、条片、ばらばらの葉、切断フィラー、ペレット、粉末、断片、線維、発泡材及びシートの形態において、
図2及び3に示されるようにエアロゾル生成材料24を受けるように構成される。
【0041】
エアロゾル生成装置10は、円形断面を有し、且つエアロゾル生成空間22の周りに延びる螺旋形誘導コイル26を含む。誘導コイル26は、電源18及びコントローラ20によって励磁され得る。コントローラ20は、電子部品の中でもとりわけ、電源18からの直流を誘導コイル26のための交流高周波電流に変換するように構成されるインバータを含む。
【0042】
エアロゾル生成装置10は、近位端12において装置本体16上に着脱可能に取り付けられ、且つ装置10の使用中に生成された蒸気をユーザがそれを通して吸入し得るマウスピース28を含む。
図1に図示されているマウスピース28は、装置10の使用中に生成されたエアロゾルがエアロゾル生成空間22からユーザの口内に流れることを可能にする排気口30を含む。
【0043】
エアロゾル生成システム1は、誘導コイル26によって生成された時変電磁場の存在下で誘導加熱可能な材料から形成される管状サセプタ32を含む。サセプタ32は、使用時にエアロゾル生成空間22において同心円状に配置される。サセプタ32は、例えば、エアロゾル生成装置10の一体コンポーネントとしてエアロゾル生成空間22に永久的に取り付けられ得るか、又は例えば適当なコネクタ(図示せず)によってエアロゾル生成空間22に着脱可能に取り付けられ得る。
図1から明らかであるように、サセプタ32は、その長手方向軸が誘導コイル26の長手方向軸と略整列されるようにエアロゾル生成空間22に配置される。エアロゾル生成材料24は、
図3に明確に見られ得るように、使用時に管状サセプタの内側及び外側の両方に位置する。
【0044】
サセプタ32が、エアロゾル生成空間22においてエアロゾル生成装置10に着脱可能に接続可能な別々の要素である場合、サセプタ32は、適当な接続機構によって確実に着脱可能に付着され得る。例えば、装置10は、摩擦嵌合を用いて、又はねじ嵌合(凹部に形成された突合せ溝若しくは隆起と連携するねじ山若しくは溝と共に供給される場合)を用いて、又はバヨネット嵌合を用いて、サセプタ32の端が快適に嵌合され得る連携凹部を含み得る。追加的に又は代替的に、装置10は、エアロゾル生成空間22内の明確な位置にサセプタ32を確実に付着させるための磁石を含み得る。
【0045】
誘導コイル26によってサセプタ32の近傍において時変電磁場が生じると、渦電流及び/又は磁気ヒステリシス損失に起因してサセプタ32において熱が発生し、この熱は、サセプタ32から、管状サセプタ32の内側及び外側の両方に位置するエアロゾル生成材料24に伝達されて、エアロゾル生成材料24を燃やすことなく加熱し、それにより、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成する。管状サセプタ32は、実質的にその全体の内側面及び外側面にわたってエアロゾル生成材料24と接触しており、したがってサセプタ32からエアロゾル生成材料24に直接的に且つそれにより効率的に熱を伝達することが可能となる。
【0046】
エアロゾル生成装置10は、管状サセプタ32の内部及び管状サセプタ32の外部の両方に空気を向けるように配置される入口ポート36、38を介してエアロゾル生成空間に空気を送出する給気口34を含む。この構成は、エアロゾル生成空間22から排気口30を通してエアロゾルの生成及び送出を最大化すると理解されたい。
【0047】
上述のように、マウスピース28は、エアロゾル生成空間22へのアクセスを可能にするために装置本体16から好都合に着脱可能である。したがって、マウスピース28は、エアロゾル生成材料24をエアロゾル生成空間22内に挿入可能にするために除去され、その後、エアロゾル生成システム1がエアロゾル生成に使用され得るように装置本体16に再付着され得る。使用期間後、マウスピース28は、使用済みエアロゾル生成材料24が除去されることを可能にするため、及びさらなるエアロゾル生成材料24をエアロゾル生成空間22に配置することを可能にするために再び除去され得る。さらに、マウスピース28を除去することにより、着脱可能に取り付けられたサセプタ32の場合、それが必要に応じて除去及び交換され得るように、サセプタ32へのアクセスも可能となると理解されたい。
【0048】
着脱可能に取り付けられたサセプタ32を利用するいくつかの実施形態において、コントローラ20は、例えば、サセプタ32に関連する識別特性を検出することにより、又はサセプタ32が新たなサセプタ32と交換されたことを(例えば、所定のボタン押下又は一連の押下などを実行することによって)ユーザが示した結果として、エアロゾル生成空間22内における新たなサセプタ32の取り付けを検出するように構成され得る。新たなサセプタ32の取り付けを検出すると、コントローラ20は、誘導コイル26に供給される電力レベルを検出し、且つ検出された電力レベルに基づいて(サセプタ32を変更する時間であることを示すため若しくは最適に変更されるべきより前のサセプタ32の残り「寿命」を示すためなど)サセプタ32のタイミング変更を示し、且つ/又はコントローラ20が別の新たなサセプタ32がエアロゾル生成空間22に配置されていることを検出するまで、検出された電力レベルに基づいて誘導コイル26への電力供給を中止するようにさらに構成され得る。特に、装置10は、(経時的にコイル26に供給される電力を統合することにより)新たなサセプタ32を挿入してから経時的に誘導コイル26に供給される総エネルギーをモニタリングし得、所定の量のエネルギーがコイル26に供給された後、サセプタ32が変更される時間であると判断し得る。サセプタ32が変更されるべきであるとの通知は、任意の適当な手段を介して、例えば所定のパターンで警告ライトをフラッシュすることなどにより、ユーザに提供され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、コントローラ20は、一服の数、合計一服期間の長さ、例えば光センサ(図示せず)を用いた、エアロゾル生成空間22内のエアロゾル生成材料24の配置の数及びエアロゾル生成空間22内のエアロゾル生成材料24の配置を可能にするために必要とされる、エアロゾル生成装置10の1つ又は複数のコンポーネントの移動、例えばマウスピース28の移動の1つ又は複数を検出することにより、エアロゾル生成材料24の消費を検出するように構成され得る。追加的に、サセプタ32が変更されるべきであると判断するための技術は、概して、当業者に明らかであるように、エアロゾル材料24の消費量を検出するためにも使用され、その逆もあることに留意すべきである。
【0050】
いくつかの実施形態では、コントローラ20は、エアロゾル生成空間22における新たなサセプタ32の配置を検出した後、エアロゾル生成材料24の消費レベルを検出するように有利に構成され得、検出された消費レベルに基づいてサセプタ32のタイミング変更を示し、且つ/又はコントローラ20がエアロゾル生成空間22において別の新たなサセプタ32が配置されていることを検出するまで、検出された消費レベルに基づいて誘導コイル26への電源供給を中止するように構成され得る。
【0051】
ここで、
図4を参照すると、
図1~
図3に図示されたエアロゾル生成システム1と類似のエアロゾル生成システム2の第2の実施形態が示されており、ここで、対応する要素は、同じ参照番号を使用して示されている。
【0052】
エアロゾル生成システム2は、着脱可能なマウスピース28を含まないことを除く全ての点において、上述したエアロゾル生成装置10と同一のエアロゾル生成装置210を含む。
【0053】
エアロゾル生成システム2において、エアロゾル生成材料24は、マウスピース42に接続されている、例えば包装紙の形態の非導電性ハウジング40において提供される。エアロゾル生成材料24、ハウジング40及びマウスピース42は、エアロゾル生成空間22に着脱可能に配置され得るエアロゾル生成物品44を一緒に構成する。管状サセプタ32は、エアロゾル生成材料24に入り、エアロゾル生成物品44がエアロゾル生成空間22に配置されるときにエアロゾル生成材料24内に完全に延び得、マウスピース42は、ユーザの唇によってふさがれ得るようにエアロゾル生成装置210の遠位端12から突出すると理解されたい。
【0054】
誘導コイル26によってサセプタ32の近傍において時変電磁場が生じると、熱がサセプタ32において発生し、サセプタ32から、管状サセプタ32の内側及び外側の両方に位置するエアロゾル生成材料24に伝達されて、エアロゾル生成材料24を燃やすことなく加熱し、それにより、ユーザによる吸入のためのエアロゾルを生成するように、エアロゾル生成システム2は、上述したエアロゾル生成システム1と同様に動作する。エアロゾル生成材料24の加熱によって生成されたエアロゾルは、マウスピース42を通してユーザにより吸入される。
【0055】
使用期間後、エアロゾル生成物品44は、エアロゾル生成空間22から除去され得、さらなるエアロゾル生成物品44は、エアロゾル生成空間22に配置され得る。さらに、エアロゾル生成物品44を除去することにより、着脱可能に取り付けられたサセプタ32の場合、それが必要に応じて除去及び交換され得るように、サセプタ32へのアクセスが可能となると理解されたい。
【0056】
ここで、
図5を参照すると、
図1~
図3に図示されたエアロゾル生成システム1と類似のエアロゾル生成システム3の第3の実施形態が示されており、ここで、対応する要素は、同じ参照番号を使用して示されている。
【0057】
エアロゾル生成システム3は、
図5に示されるように、サセプタ32がマウスピース28上に取り付けられ、マウスピース28がエアロゾル生成装置310の近位端12において装置本体16上に配置されるときにマウスピース28からエアロゾル生成空間22内に延びることを除く全ての点において、上述したエアロゾル生成装置10と同一のエアロゾル生成装置310を含む。したがって、エアロゾル生成装置310の近位端12においてマウスピース28を装置本体16上に着脱可能に取り付けることにより、サセプタ32がエアロゾル生成空間22に着脱可能に取り付けられる。
【0058】
この構成では、サセプタ32の交換がマウスピース28の交換を必要とするように、サセプタ32は、一体コンポーネントとしてマウスピース28と共に形成され得る。代替的に、サセプタ32が、マウスピース28を交換することなく使用期間後に除去及び交換され得るように、サセプタ32は、例えば、コネクタ(図示せず)により、マウスピース28上に着脱可能に取り付けられ得る。
【0059】
ここで、
図6を参照すると、
図1~
図3に図示されたエアロゾル生成システム1と類似のエアロゾル生成システム4の第4の実施形態が示されており、ここで、対応する要素は、同じ参照番号を使用して示されている。
【0060】
エアロゾル生成システム4は、エアロゾル生成装置410の近位端12において一体的に形成されたマウスピース428を有するエアロゾル生成装置410を含み、ここで、エアロゾル生成空間22は、装置410の遠位端14に位置する。エアロゾル生成空間22のカバー46は、遠位端14において装置本体16に着脱可能に取り付け可能である。カバーは、管状サセプタ32の内部及び管状サセプタ32の外部の両方に空気を向けるように配置される給気口ポート48、50を含む。この構成は、エアロゾル生成空間22から空気通路52に沿った且つ排気口30を通したエアロゾルの生成及び送出を最大化すると理解されたい。
【0061】
エアロゾル生成システム4において、サセプタ32は、
図6に示されるように、カバー46上に取り付けられ、カバー46がエアロゾル生成装置410の遠位端14において装置本体16上に配置されるとき、カバー46からエアロゾル生成空間22内に延びる。したがって、サセプタ32は、エアロゾル生成装置410の遠位端14において装置本体16上にカバー46を着脱可能に取り付けることにより、エアロゾル生成空間22に着脱可能に取り付けられる。
【0062】
この構成では、サセプタ32の交換がカバー46の交換を必要とするように、サセプタ32は、一体コンポーネントとしてカバー46と共に形成され得る。代替的に、サセプタ32が、カバー46を交換することなく使用期間後に除去及び交換され得るように、サセプタ32は、例えば、コネクタ(図示せず)により、カバー46上に着脱可能に取り付けられ得る。
【0063】
これまでの段落では、例示的な実施形態について説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これらの実施形態に対する様々な修正形態がなされ得ることが理解されるべきである。したがって、特許請求の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0064】
本明細書で特段の断りのない限り又は文脈によって明らかに矛盾しない限り、全ての可能な変形形態における上述した特徴の任意の組み合わせが本開示によって包含される。
【0065】
文脈が明らかにそうでないことを必要としない限り、本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「含む」、「含んでいる」などの語は、排他的意味又は網羅的意味とは反対に、包含的に、即ち「含むが、限定されない」という意味で解釈されるべきである。