IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ シチズンホールディングス株式会社の特許一覧 ▶ シチズン・システムズ株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-プリンタ 図1
  • 特許-プリンタ 図2
  • 特許-プリンタ 図3
  • 特許-プリンタ 図4
  • 特許-プリンタ 図5
  • 特許-プリンタ 図6
  • 特許-プリンタ 図7
  • 特許-プリンタ 図8
  • 特許-プリンタ 図9
  • 特許-プリンタ 図10
  • 特許-プリンタ 図11
  • 特許-プリンタ 図12
  • 特許-プリンタ 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-29
(45)【発行日】2024-02-06
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 15/04 20060101AFI20240130BHJP
【FI】
B41J15/04
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021503634
(86)(22)【出願日】2020-03-04
(86)【国際出願番号】 JP2020009272
(87)【国際公開番号】W WO2020179848
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2022-12-02
(31)【優先権主張番号】P 2019039076
(32)【優先日】2019-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】507351883
【氏名又は名称】シチズン・システムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】松井 優和
(72)【発明者】
【氏名】菊井 健弘
(72)【発明者】
【氏名】神山 卓郎
【審査官】松林 芳輝
(56)【参考文献】
【文献】特許第5799981(JP,B2)
【文献】実開昭60-130244(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 15/00-15/14
B65H 16/00-16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれた用紙を収納する用紙ホルダーと、
用紙に印字する印字部と、
前記用紙ホルダーから前記印字部へ用紙を搬送する搬送部と、
ロール状の用紙の軸方向と直交する側面に配置され、用紙の幅方向に摺動可能な仕切り板と、を有し、
前記仕切り板は、用紙側に突出し、用紙の径が所定の径よりも小さくなった場合に、用紙と接するボスを有
前記用紙ホルダーには、前記仕切り板を用紙の幅方向に摺動可能とするためのガイド軸が設けられ、
前記ボスには、前記ガイド軸を通すための貫通孔が設けられている、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項2】
ロール状に巻かれた用紙を収納する用紙ホルダーと、
用紙に印字する印字部と、
前記用紙ホルダーから前記印字部へ用紙を搬送する搬送部と、
ロール状の用紙の軸方向と直交する側面に配置され、用紙の幅方向に摺動可能な仕切り板と、を有し、
前記仕切り板は、用紙側に突出し、用紙の径が所定の径よりも小さくなった場合に、用紙と接するボスを有し、
前記仕切り板を用紙の幅方向に摺動可能とするためのガイド軸と、
前記仕切り板の側面のうち、用紙が配置される側の側面に設けられた他のボスと、をさらに有し、
前記他のボスには、前記ガイド軸を通すための貫通孔が設けられている、
ことを特徴とするプリンタ。
【請求項3】
前記用紙ホルダーは、用紙の径が前記所定の径よりも小さくなった場合に、用紙と接する用紙ガイド部を有する、請求項1又は2記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、商店等での物品購入時に発行されるレシートの印刷に、ロール紙を用いたプリンタが利用されている。印刷量が多い場合はロール紙の交換を頻繁に行う必要があり、しかもロール紙の交換を迅速に行う必要がある。そこで、ロール紙をスムーズに交換することが可能なプリンタが報告されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載のプリンタは、支持するロール紙から繰り出される印刷媒体の一方の面に形成した粘着面の左右両端近傍部分を載置する一対のロール紙載置ローラを一対のガイド部材の各々にそれぞれ別々に組付けており、一対のガイド部材の近接または離間の移動に応じて一対のロール紙載置ローラがロール紙幅方向に近接または離間の移動をする点を特徴としている。しかしながら、特許文献1に記載のプリンタは、ロール紙載置ローラをガイド部材とは別体で形成する必要があり、部品点数が増えてしまうという問題があった。さらに、一対のロール紙載置ローラを一対のガイド部材の各々にそれぞれ別々に組付けているため、ガイド部材を小型化することが難しいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5799981号公報
【発明の概要】
【0005】
本発明は、従来に比べて部品点数を削減することができ、かつ仕切り板の動きの安定性を向上させることが可能なプリンタを提供することを目的とする。
【0006】
本開示の実施例に係るプリンタは、ロール状に巻かれた用紙を収納する用紙ホルダーと、用紙に印字する印字部と、用紙ホルダーから印字部へ用紙を搬送する搬送部と、ロール状の用紙の軸方向と直交する側面に配置され、用紙の幅方向に摺動可能な仕切り板と、を有し、仕切り板は、用紙側に突出し、用紙の径が所定の径よりも小さくなった場合に、用紙と接するボスを有する、ことを特徴とする。
【0007】
用紙ホルダーには、仕切り板を用紙の幅方向に摺動可能とするためのガイド軸が設けられ、ボスには、ガイド軸を通すための貫通孔が設けられていてもよい。
【0008】
仕切り板を用紙の幅方向に摺動可能とするための他のガイド軸と、仕切り板の側面のうち、用紙が配置される側の側面に設けられた他のボスと、をさらに有し、他のボスには、他のガイド軸を通すための他の貫通孔が設けられていることが好ましい。
【0009】
用紙ホルダーは、用紙の径が所定の径よりも小さくなった場合に、用紙と接する用紙ガイド部を有することが好ましい。
【0010】
本開示の実施例に係るプリンタによれば、従来に比べて部品点数を削減することができ、かつ仕切り板の動きの安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本開示の実施例1に係るプリンタの斜視図であり、上ケースを開いた状態であって、用紙を収納していない状態を示す図である。
図2】本開示の実施例1に係るプリンタの斜視図であり、上ケースを開いた状態であって、用紙を収納した状態を示す図である。
図3】本開示の実施例1に係るプリンタの上面図である。
図4図3のA-A線における断面図であって、用紙の径が所定の径より大きい状態を示す図である。
図5図3のA-A線における断面図であって、用紙の径が所定の径より小さい状態を示す図である。
図6】本開示の実施例1に係るプリンタの下ケースの斜視図であり、下ケースと用紙ホルダーとを分離した状態を示す図である。
図7】本開示の実施例1に係るプリンタの用紙ホルダー及び仕切り板の斜視図である。
図8】本開示の実施例1に係るプリンタの仕切り板と付勢部材を分離した状態を示す斜視図である。
図9】本開示の実施例2に係るプリンタの用紙ホルダー及び仕切り板の上面図である。
図10】本開示の実施例2に係るプリンタの下ケースの上面図であり、(a)は用紙の幅が広い場合の仕切り板の位置を示す図であり、(b)は用紙の幅が狭い場合の仕切り板の位置を示す図である。
図11】本開示の実施例2に係るプリンタの用紙ホルダー及び仕切り板位置操作部を有する仕切り板の図9の線B-Bにおける斜視断面図であり、仕切り板位置操作部の構造を示す図である。
図12】本開示の実施例2に係るプリンタの用紙ホルダー及び仕切り板の図9の線B-Bにおける斜視断面図であり、仕切り板位置操作部の組立分解図を含む図である。
図13】本開示の実施例2に係るプリンタの用紙ホルダーの背面側の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明に係るプリンタについて説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態には限定されず、請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
[実施例1]
まず、本開示の実施例1に係るプリンタについて説明する。図1及び図2に、本開示の実施例1に係るプリンタ101の斜視図を示す。図1は、上ケース21を開いた状態であって、用紙を収納していない状態を示す。図2は、上ケース21を開いた状態であって、用紙100を収納した状態を示す。図3に、本開示の実施例1に係るプリンタ101の上面図を示す。図4及び図5に、図3のA-A線における断面図を示す。図4は、用紙100の径が所定の径より大きい場合のプリンタ101の断面図を示し、図5は、用紙100の径が所定の径より小さい場合のプリンタ101の断面図を示す。
【0014】
図1、2、4、5に示すように、プリンタ101は、収納部1と、基準面2と、印字部(サーマルヘッド3)と、搬送部(プラテンローラー4)と、第1の用紙ローラー51及び第2の用紙ローラー52と、を有する。
【0015】
図4及び5に示すように、プリンタ101は、サーマルプリンタであって、熱を加えると色が変化する専用紙(感熱紙)である用紙100に熱した印字ヘッドであるサーマルヘッド3を当てて印刷する感熱方式を用いたプリンタである。用紙100は、ロール状に巻かれた帯状の連続紙である。
【0016】
図1及び2に示すように、プリンタ101は、サーマルヘッド3を設けた上ケース21及び下ケース22からなる。上ケース21は、下ケース22の上部を覆い、下ケース22の上部に開閉自在に支持されている。上ケース21に設けられた開閉ボタン8が押下されることで、図1及び図2に示すように、上ケース21は、回動軸23を中心として、下ケース22に対して上方に回動して開く。プリンタ101は、上ケース21を閉じた状態で用紙100への印字を実行する。
【0017】
図2に示すように、収納部は、ロール状に巻かれた用紙を収納する。収納部1は、図1の破線で示されるように、下ケース22内に配置された用紙ホルダー10及び仕切り板6と、下ケース22の基準面2とで構成される。
【0018】
図1及び2に示すように、基準面2は、収納部1のロール状の用紙100の軸方向の一方に配置されている。図1に示すように、収納部1のロール状の用紙の軸方向の他方には、仕切り板6が配置されている。即ち、用紙100の一方の側面100a側には、図1図2に示す基準面2が配置され、用紙100の他方の側面100b側には、図1に示す仕切り板6が配置されている。
【0019】
図4及び5に示すように、用紙100に印字する印字部にはサーマルヘッド3を用いることができる。サーマルヘッド3は、図4及び図5に示すように、上ケース21が閉まった状態で、プラテンローラー4と対向する位置に配置される。用紙100は、サーマルヘッド3とプラテンローラー4との間に挟まれる。サーマルヘッド3は、バネ3aによりプラテンローラー4側に押圧される。サーマルヘッド3は、制御部30によって制御されて、内蔵する発熱体を印刷対象の画像データまたは印字データに応じて発熱させ、感熱紙である用紙100に画像や文字を印刷する。
【0020】
図4及び5に示すように、搬送部は、収納部から印字部であるサーマルヘッド3へ用紙100を搬送する。搬送部は、プラテンローラー4、駆動モータ(図示せず)、及び歯車等によって構成される。用紙100は、サーマルヘッド3とプラテンローラー4とで挟持されながら、プラテンローラー4が回転することによって用紙ダンパー42を経由して搬送される。プラテンローラー4には、駆動モータから、歯車等の伝達機構を介して回転力が伝達される。サーマルヘッド3により用紙100に印刷された後に、用紙100は被印刷領域の後端で用紙切断部41によって切断され、用紙排出口40から排出される。用紙切断部41は、上ケースに配置された固定刃41a、及び固定刃41aに対向するように下ケース22においてプラテンローラー4と用紙排出口40との間に配置された可動刃41bからなる。
【0021】
図6に、本開示の実施例1に係るプリンタの下ケース22の斜視図であって、下ケース22と用紙ホルダー10とを分離した状態を示す。図7に、本開示の実施例1に係るプリンタの用紙ホルダー10及び仕切り板6の斜視図を示す。用紙ホルダー10には、第1の用紙ローラー51及び第2の用紙ローラー52が設けられている。第1の用紙ローラー51は、第1の用紙ローラー用ネジ9によって第1の用紙ローラーホルダー11に回転自在に固定され、第1の用紙ローラーホルダー11は第1のホルダー用ネジ11aによって、用紙ホルダー10に固定される。第2の用紙ローラー52は、第2の用紙ローラー用ネジ9aによって第2の用紙ローラーホルダー11bに回転自在に固定され、第2の用紙ローラーホルダー11bは第2のホルダー用ネジ11cによって、用紙ホルダー10に固定される。第1の用紙ローラー51及び第2の用紙ローラー52は、用紙100を支持しながら、用紙100の搬送に伴って回転する。具体的には、第1の用紙ローラー51及び第2の用紙ローラー52は、用紙100を収納する用紙ホルダー10に設置される。図4に示すように、第1の用紙ローラー51は、第2の用紙ローラー52よりも重力方向に低い位置に配置される。その結果、第1の用紙ローラー51及び第2の用紙ローラー52に用紙100が接している状態では、第1の用紙ローラー51に掛かる用紙100の荷重は、第2の用紙ローラー52に掛かる荷重よりも大きくなる。一方、図5に示すように、用紙100の径が小さくなった場合、用紙100は用紙ホルダー10の底面部12と第2の用紙ローラー52によって支持される。
【0022】
図6に示すように、用紙ホルダー10は、ロール状の用紙100の軸方向と直交する側面100b側に配置された仕切り板6であって、用紙100の幅方向に摺動可能な仕切り板6を備えている。仕切り板6は、第2のボス142を有する。第2のボス142は、図5に示すように、用紙100側に突出し、用紙100の径が所定の径よりも小さくなった場合に、用紙100と接する。
【0023】
図1に示すように、プリンタ101の収納部1が種々の幅の用紙を収納可能するためには、仕切り板6を広い範囲で可動させるようにする必要がある。特に、幅が狭い用紙を収納する場合、仕切り板6を基準面2に近づける必要がある。
【0024】
一方、用紙100の径が所定の径より小さくなった場合に用紙100を搬送部へスムーズに搬送できるようにガイドするために、図6に示すように、用紙ホルダー10は、用紙100の径が所定の径よりも小さくなった場合に、用紙排出口40側へ引き出された用紙100の裏面と接する用紙ガイド部19を有することが好ましい。用紙ガイド部19の上面部19aが基準面2側で用紙100の裏面を支持する。これにより、第2のボス142の上面部142aで仕切り板6側の用紙100の裏面を支持する第2のボス142とともに用紙100の搬送をさらにスムーズにすることができ、用紙100の搬送時における斜行を防止することができ、安定して給紙を行うことができる。
【0025】
用紙ホルダー10に用紙ガイド部19のみを設け、第2のボス142を設けない場合、幅の狭い用紙を仕切り板6と基準面2とで挟持するためには用紙ガイド部19の長さを短くする必要がある一方、幅の広い用紙の裏面を支持するためには用紙ガイド部19の長さを長くする必要がある。しかしながら、用紙ガイド部19の長さを長くすると、仕切り板6が用紙ガイド部19に当接する位置で仕切り板6の可動範囲が制限される。そのため、用紙ガイド部19の長さより幅が狭い用紙は、仕切り板6と基準面2とで挟持できなくなり、収納部1(図1参照)に収納可能な用紙幅が用紙ガイド部19の長さ以上の幅に制限される。そこで、図7に示すように、用紙ガイド部19の長さd1を短くすることが考えられる。しかしながら、用紙ガイド部19の長さd1より、幅が広い用紙を収納する場合、長さが短い用紙ガイド部19のみで用紙を支持すると、用紙が振動し、その結果、斜行の原因となる。また、仕切り板6に用紙をガイドする部材である第2のボス142を設けないと、基準面2と接する側面100a側の用紙100は用紙ガイド部19に支持されるのに対して、仕切り板6と接する側面100b側の用紙100は支持されないことになり、用紙に振動が生じやすくなり、斜行が生じるという問題が生じる。
【0026】
そこで、本開示の実施例においては、図6に示すように、用紙100の径が所定の径よりも小さくなった場合に、用紙幅が狭い場合であっても、用紙幅が広い場合であっても用紙をガイドできるようにするために、仕切り板6に用紙100の裏面と接するボスである第2のボス142を設けている。第2のボス142を設けることにより、用紙ガイド部19及び第2のボス142の両者で用紙100の裏面を支持することができるため、用紙の搬送する際に生じる振動を抑制することができ、斜行を抑制することができ、安定して給紙を行うことができる。
【0027】
図7に示すように、収納部1を構成する用紙ホルダー10には、第2の用紙ローラー52と平行に、仕切り板6を用紙の幅方向に摺動可能とするためのガイド軸である第1のガイド軸161及び第2のガイド軸162が設けられている。仕切り板6の第1のボス141及び第2のボス142には、第1のガイド軸161及び第2のガイド軸162をそれぞれ通すための貫通孔が設けられている。仕切り板6は2つのガイド軸(第1のガイド軸161及び第2のガイド軸162)に沿って摺動可能となっている。これにより、仕切り板6を用紙ホルダー10の可動範囲における任意の位置に配置することができ、可動範囲に対応した任意の用紙幅の用紙を挟持することができる。さらに、第1のガイド軸161及び第2のガイド軸162を設け、仕切り板6を2つのガイド軸で支持することにより、仕切り板6の動きの安定性を向上させることができる。さらに、前述のように安定した給紙のために設けた第2のボス142は、仕切り板6が用紙の幅方向に摺動する際のガイドも兼ねること、及び、ローラーのような回転する機構を含まないボスであることにより、ローラーを用いる場合に比べて部品点数を削減することができる。
【0028】
図7に示すように、第1のボス141及び第2のボス142は、仕切り板6の側面のうち、用紙が配置される側の側面に設けられ、それぞれ第1のガイド軸161及び第2のガイド軸162の軸方向に所定の幅を有することが好ましい。第1のボス141及び第2のボス142が所定の幅を有することにより、仕切り板6の用紙の軸方向に対する角度(約90度)を一定に保つことができる。
【0029】
ここで、図7に示すように、用紙ガイド部19の用紙の軸方向の幅をd1とし、第2のボス142の用紙の軸方向の幅をd2とすると、幅d1と幅d2の和(d1+d2)が、用紙ホルダー10に収納可能な用紙の最小幅dminとなる。さらに、用紙の幅方向の両端で均等に用紙を支持するためには、用紙ガイド部19の用紙の軸方向の幅d1と第2のボス142の幅d2とは等しいことが好ましい。従って、用紙ガイド部19の幅d1及び第2のボス142の幅d2は、それぞれ用紙幅の最小値dminの1/2であることが好ましい(d1=d2=dmin/2)。
【0030】
また、図5に示すように、第2のボス142の上面部142aが用紙100となす角度θは鋭角であることが好ましい。このようにすることで、安定した給紙が実現できる。さらに、図7に示すように、用紙ガイド部19の上面部19aが用紙となす角度も鋭角であることが好ましい。このようにすることで、安定した給紙が実現できる。また、第2のボス142の上面部142aが用紙100となす角度θは、用紙ガイド部19の上面部19aが用紙となす角度と等しいことが好ましい。このような構成により、第2のボス142に接した用紙の一方の端部と、用紙ガイド部19に接した用紙の他方の端部とが同様の挙動を示すこととなり、安定した給紙が実現できる。
【0031】
図8に、本開示の実施例1に係るプリンタ101の仕切り板6と付勢部材7を分離した状態の斜視図を示す。仕切り板6は、用紙の軸方向に突出した突出部6eを有している。突出部6eの端部に係止部6gが設けられており、後述するように係止部6gは用紙ホルダー10の開口部18b(図13参照)に嵌合する。突出部6eには開口部6fが設けられており、後述するように、開口部6fには仕切り位置操作部15(図12参照)が嵌合する。さらに、仕切り板6は、用紙を基準面2(図1参照)へ押し付ける方向へ付勢するための付勢部材7を有している。付勢部材7は、付勢部材本体7a、バネ7b及びネジ7eからなる。バネ7bは、仕切り板6に設けられた穴部6bに収容され、付勢部材本体7aは、仕切り板6の溝6aにバネ7bを介して嵌合するように配置される。付勢部材本体7aの両端には、フック状の第1係止部7c及び第2係止部7dが設けられている。第1係止部7c及び第2係止部7dは、溝6aの両端に設けられた第1開口部6c及び第2開口部6dのそれぞれに挿入され、さらにネジ7eにより付勢部材本体7aが溝6aから脱落しないように係止する。バネ7bは、付勢部材本体7aが用紙に接し、さらに仕切り板6を用紙側に近づけたときに、付勢部材本体7aを用紙側に押し付けることができる。図1に示すように、付勢部材7が用紙100の側面100bを押すことにより、用紙100の基準面2側の側面100aが基準面2に接する。これにより、用紙100と基準面2との間に摩擦力が生じ、用紙100の搬送時に生じる慣性力を抑えることができ、用紙100を送り出す量が所望の量を超えて用紙に弛みが生じることを抑制することができる。また、基準面2側の側面100aが、基準面2から離隔して仕切り板6側に移動することを抑制することができる。さらに、付勢部材本体7aは、鉛直方向に延伸した構造を備えている。そのため、用紙の径が所定の径より小さくなった場合でも、付勢部材本体7aは、用紙の仕切り板6側の側面に接することができる。その結果、用紙100の搬送の際に生じる用紙の弛みや斜行を抑制することができる。
【0032】
[実施例2]
次に、本開示の実施例2に係るプリンタについて説明する。図9に、本開示の実施例2に係るプリンタの用紙ホルダー10及び仕切り板6の上面図を示す。実施例2に係るプリンタが、実施例1に係るプリンタと異なっている点は、仕切り板6は、仕切り板6を摺動可能な範囲における任意の位置に固定するための仕切り位置操作部15を有する点である。実施例2に係るプリンタのその他の構成は、実施例1に係るプリンタにおける構成と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0033】
図10(a)及び(b)に、本開示の実施例2に係るプリンタの下ケース22の上面図を示す。用紙は、基準面2と仕切り板6の付勢部材7との間に形成される収納部1に収納することができる。図10(a)は収納部1に収納可能な用紙の幅を最大とした場合の仕切り板の位置を示し、図10(b)は収納部1に収納可能な用紙の幅を最小とした場合の仕切り板の位置を示す。仕切り位置操作部15は、仕切り板6を摺動可能な範囲における任意の位置に固定することができる。図10(a)は用紙幅d3が収納部1に収納可能な最大の用紙幅である場合における仕切り板6の配置例を示している。用紙幅を最大とした場合の例として、用紙幅d3を4インチとすることができる。ただし、このような例には限られず、用紙幅が4インチより大きくなるように、仕切り板6の位置を設定してもよい。図10(b)は用紙幅d4が収納部1に収納可能な最小の用紙幅である場合における仕切り板6の配置例を示している。用紙幅を最小とした場合の例として、用紙幅d4を2インチとすることができる。ただし、このような例には限られず、用紙幅d4が2インチより小さくなるように、用紙ガイド部19の幅d1及び第2のボス142の幅d2の合計値(d1+d2)である用紙幅d4を設定してもよい。仕切り位置操作部15を操作することにより、用紙幅がd3~d4の範囲内の任意の幅の用紙に対して、用紙の仕切り板6側の側面を付勢部材7と接するようにすることができる。そのため、用紙は基準面2に接し、用紙と基準面2との間に生じる摩擦力により、用紙の搬送時に生じる慣性力を抑えることができ、また用紙が仕切り板6側に移動することを抑制することができ、用紙の搬送時における弛みを抑制し、用紙の斜行を抑制することができる。
【0034】
図11に、本開示の実施例2に係るプリンタの用紙ホルダー10及び仕切り板位置操作部15を有する仕切り板6の図9の線B-Bにおける斜視断面図を示す。図12に、本開示の実施例2に係るプリンタの用紙ホルダー10及び仕切り板6の図9の線B-Bにおける斜視断面図であって、仕切り板位置操作部15の組立分解図を含む図を示す。図13に、本開示の実施例2に係るプリンタの用紙ホルダー10の背面側の斜視図を示す。
図11に示すように、仕切り板6は、第1のボス141及び第2のボス142に設けられた貫通孔に通された第1のガイド軸161及び第2のガイド軸162に沿って用紙の軸方向に摺動可能である。ただし、仕切り板6の位置を用紙の幅に合わせて用紙ホルダー10上の所定の位置に固定することが好ましい。そこで、仕切り板6の位置を所定の位置に固定するための仕切り板位置操作部15が用紙ホルダー10と支持部17との間に設けられている。支持部17は、ネジ17a及び17bにより、用紙ホルダー10の支柱18c及び18dにそれぞれ固定される。
図12に示すように、仕切り板位置操作部15は、ボタン15a、バネ15b、バネ支持部15c、及びストッパ部15dから構成される。バネ支持部15cは、支持部17と接し、バネ15bを支持する。バネ15bはボタン15aを鉛直上方向に付勢する。ボタン15aは仕切り板6の突出部6eに設けられた開口部6fに嵌合する。ボタン15aにはストッパ部15dが形成されている。
【0035】
図13に示すように、用紙ホルダー10の背面には、複数の溝18a及び開口部18bが形成された溝配置部18が設けられている。図11に示すように仕切り板位置操作部15を構成するボタン15aが開口部18bを介して、用紙ホルダー10の表面側に露出している。図12及び図13に示すようにボタン15aには、溝配置部18と対向するようにストッパ部15dが設けられており、溝18aにストッパ部15dが嵌合することにより、仕切り板6の位置を所定の位置に固定(ロック)することができる。一方、仕切り板位置操作部15を構成するボタン15aを鉛直下方向に押すことにより、ストッパ部15dが溝18aから分離(ロック解除)し、その状態で仕切り板6をガイド軸(161、162)に沿って摺動することができる。仕切り板6を所望の位置に移動させた後、ボタン15aを押していた指等を離すとバネ15bが元通りに伸びてボタン15aを元の位置に戻すことにより、再度、溝18aにストッパ部15dが嵌合し、仕切り板6を所望の位置に固定(ロック)することができる。
【0036】
図9に示すように、用紙ホルダー10は、投入する用紙の幅に合わせて仕切り板6の位置を決めるためのスケール60を有していてもよい。スケール60に用紙の幅に合わせた目盛りを付しておくことにより、目盛りに基づいて、用紙の幅に合わせた位置に仕切り板6を移動させることができる。
【0037】
上記の実施例においては、プリンタの印刷方式として感熱式を採用した場合を例にとって説明したが、このような例には限られない。ロール紙を使用するものであれば、例えば、インクジェットプリンタ、電子写真方式プリンタ、ドットインパクトプリンタ、昇華型プリンタ等であってもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13